単勾式

五月より単勾式の学習が始まりました。ちなみに前回は約二年前、単勾式走圏と八法、さらに鴛鴦鉞の套路を学習する機会がございました。


前回は単勾式を学ぶ前に単換掌第二法を学んでいましたが、今回は磨身掌変化(身法主体)を学んでから、になっております。


単勾式の第二法では、入りからして龍形八大母掌の揺身掌と同様の身法を要求され、さらに転身動作では原地180度方向転換する身法を要求されます。非常に難しい動作ながら、順に進行していくのは「式」たる所以でしょうか。


師曰「この単勾式を象徴する動物は、双頭の蛇と燕である」との由、今回は掌法の中にある「蛇」と「燕」について詳しく説明がございました。また手形の要求と効果についてもより詳しく講義が行われました。


また非常に重要な問題として


「練習する内に龍形走圏が簡単に、楽に感じられてくる。何故か?練習を積み重ねたから…ではない。実は同じ位置でやっているつもりでも徐々に楽な形に崩してしまう。探してしまう。これは人間の本能である」


「忘れないでほしい!楽をすれば大いに失われるものがあることを!」


「よく出来ている、と感じられる時こそ注意してほしい!」

対練の目的について


最近まで対練の目的というのがわかっていなかったのですが、先月末に李老師から「私の自宅に来なさい。練習しましょう」とお招き頂いた際に、直接対練の指導を受けてある程度見えてきた所があります。


要約すると「対人訓練を通じて走圏の重要性を再認識する」「得たものを走圏、単換掌にフィードバックする」というところでしょうか。つまり掌法を学ぶのと同じ目的だと感じました。歪み無いですね。


具体的には

「姿勢・構造の力を把握し、腕の部分的な力ではなく腰腿からの力を運用する事を学ぶ」

「(相手からの圧を通じて)自身の構造の脆弱な部位(問題点)を把握して、走圏や単換掌で強化していく」…といったところでしょうか。


"相手の胸をお借りして、自身を知る為の練習"と今は認識しています。

新年の食事会、練習会と于志明師爺の印象


2012/1/7に李老師のご自宅で行われた新年会にて、于志明師爺の映像を拝見させて頂きました。


映像の中で、于志明師爺の双撞掌や両掌底を合わせた撞掌?で李老師が軽々と飛ばされるのですが、打たれた部位の反対側(背面)が「グッ」と盛り上がり、その後に弾ける様に飛んで行きます*1


まるで大型ダンプカーと軽ワゴンとの交通事故のようです。


これについて李老師から「于志明師爺に合わせて、わざと飛んでいるわけじゃないんだ」との説明がありました。またもう一つ、「これを見て信じられないと思う人も居るだろう。このような先人の功夫を信じずに嘘だと思った時、そこで伝統が潰えてしまうのだ」と仰っておりました。

続く

*1:所謂「繊細な技術で均衡を崩して…略」とは異なり、純粋な功力による結果だと思います

大扣大擺歩と帯手

12月は帯手の理解を深めるのが目的との由。まず順勢原理を理解した上で帯手を行うため、順勢掌母掌と回身掌母掌の復習から始まりました。とある程派の先人を例に、順勢掌はどのように表現すべきかの説明がございました。また変化ということについて、意図的に平衡状態を崩す意義の説明がございました。


さらに磨身掌を通じて大扣大擺歩を改めて学び、12月最終日には帯手の理論《単換掌で得た力を八方向に転換する方法》と練習上の2つの注意、帯手原理を穿掌からの帯手(掌法)で学びました。


もっとも強調されたのは『これは動作や技術ではなく、一つの原理、一つの功夫である!』


最後に(拙)力<勁<意<神について、非常に重要な説明がございました。


体験教室では、動物に学ぶべき内容について鷹勢走圏を以って講義が行われました。また馬貴派の鷹勢走圏と他派との違い、単換掌の中正について、劉万川先師とその伯父にあたる劉慶福先師のエピソードを例に説明がございました。

穿掌強化月間

11月の講習会は穿掌を集中的に学習致しました。

講義内容は「穿」という言葉の意味と具体的な意味合い、「穿」を表す伝統的な二つの表現、武功としての拳に対する優位点、「探」「穿」の違い、龍形走圏において後手を肘下に置く必然性、心肺機能/脳の血管を安全に鍛える方法などであります。

掌法は代表的な穿掌の方法を4種、また下盤の三穿掌と仆地龍単操(当方は易筋と思ってやっていました)を学びました。


体験教室では、最も基本となる身法/歩法/手法/眼法の具体的な説明から、上盤/中盤/下盤の具体的な気血通順法、病と湿邪の関係性、湿邪の最も効率的な排出方法(受動的/主動的方法)などを学びました。




馬貴派八卦掌を学び始めて3年と約10ヶ月。一見簡素でありながら実に奥深く、

「この道の先達に追い付くには何十年掛かるのだろうか」と日々走圏する度に思っております。