NOKIAの日本市場再参入が国内メーカーにもプラスのはず

やや旧聞に属する話題ながら、NOKIAが日本市場からの撤退を決めた*1。これをうけて、すでに発表していたドコモとソフトバンク向けの端末供給についても、撤回をキャリア2社が追認、それぞれ発表された。

一方でNOKIAは、日本撤退発表とほぼ同時に、来年投入するフラッグシップモデルN97の発表を行っている。これまでiPhoneキラーと称された端末は多々出てきているが、タイミング的にiPhone/iPhone3Gを研究し尽くして開発された端末が市場投入されるのは来年以降であろうと考えられる。N97は、そうした真のiPhone対抗端末としてNOKIAが出す最初の答えなのかもしれない。

こうした最新のNOKIAスマートフォンが日本市場に入ってくる可能性が閉ざされてしまったことは、やはりマイナスと考えるべきだろう。国内メーカーを含め、すでに日本市場に参入しているプレーヤーにとっては、競争相手が減ったということにはなるかもしれない。しかし、ひきつづきスマートフォンOSとして半分のシェアを握るSymbian搭載機の動向を、国内市場で身近に確かめることが出来ないことは、特に国内メーカーにとって、ライバルの動向をつかみにくくなるハンデの方が大きいのではないだろうか。いつになるかは分からないが、世界経済が回復し、スマートフォンが日本市場でも一定の普及を見せれば、NOKIAが日本市場に再参入してくることもあるだろう。むしろ、確実にそういう時がくると思って準備しておくべきだ。

逆に、スマートフォンも普及せず、これまでのスタイルの”和式ケータイ”も売れないままに日本メーカーがずるずると総崩れになることが、実は最悪のシナリオだと思う。そうなったら、ほそぼそと1〜2社程度に統合されて生き残った国内メーカー製端末と、かろうじて韓国や中国のメーカーが供給してくれる普及価格帯の端末くらいしか選択肢がない、というような事態にもなりかねないのではないだろうか。

さらに、iPhoneまでもが日本市場撤退となればもっと深刻で、かつてケータイ大国であった日本は、見る影もないままにiモードレベルで足踏み、となるのが最悪のシナリオ。そうなれば日本は、ケータイ事情だけでなく、IT全体の事情が深刻な(世界の趨勢からの)遅れを伴う、ということになるのではないか。

もちろん、ドコモが旗を振ってLTEをはじめ最新の技術を導入し続けていくと思うし、この最悪のシナリオが起こる可能性は低いと思うのだが、ドコモが振る旗についていける国内の端末メーカーがどこなのか、いくつあるのか、ということは見極めておかなければならない。

逆説的かもしれないが、NOKIAが再び参入を検討するような日本の市場環境を作っていくことが、長い目で見て業界全体のプラスになると思う。そのためにも、iPhoneはもちろんのこと、見えにくくなるとはいえNOKIAの動向に注意を払い続けるべきだと思うし、また、まだ日本市場に入ってきてはいないAndroid端末にも目配りをしておくべきだ。

折しも、合計424ドルを払えば、事実上誰でも(1人1台限定だが)SIMロックフリーAndroid G1を堂々と入手できるようになった。
SIMロックフリーのAndroid端末「G1」が登場--日本含む18カ国で - CNET Japan

まだ私自身は手続きをしていないが、送料を考えても、日本の最新端末を買うよりも安くなりそうだ。
ここまでの条件がそろって、メーカーの開発者で、今後数ヶ月経っても自分を含めてまわりにG1所有者が一人も居ない、という状況は考えられないはず、だと願っている。

*1:ただし、超高級端末であるVERTUの日本市場参入とMVNOでのサービスは撤回されていない。VERTUは日本語ホームページもすでに用意されている