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2009-02-03

相次ぐPCメーカーのスマートフォン参入

このところ、PCメーカーのスマートフォン参入表明およびその噂が目立ってきている。この1週間ほどの間に、AcerDell東芝といった各社のスマートフォン市場参入についての報道があった。

Acer

Acer smartphone launching Feb. 16 | Crave - CNET

Dell

Dell Prepares To Dial Into Smartphone Marketplace - WSJ.com

東芝

日本経済新聞


世界経済全体が失速するなか、買換え需要の喚起要因に乏しいPC市場よりも、まだしも市場の伸びが期待でき、利益を確保できそうに見える、ということがこうした背景にあるのだろう。スマートフォンは、小型の通信機能内蔵モバイルPCになぞらえて考えることも出来なくはないし、そこにPCメーカーとしての優位性も見出せなくはないとは思う。

ただ一方で、スマートフォンとPCとは大きく異なる点が、少なくても2つ、すぐに思いつく。それに伴う課題を、果たしてPCメーカーがクリアできるのかどうかが、成功のポイントになるのではないだろうか。

ひとつは、PCとちがって、スマートフォンの姿にスタンダードと呼べるものは確立していない、ということである。PCの場合、大雑把に言って、本体・ディスプレイ・キーボードマウス(ないしノートPCなら、ポインティングデバイスやトラックパッドなど)という構成要素はメーカー間の差異がなく、その姿かたちもシルエットにしてしまえば大同小異である。WindowsPCとMacであっても、マウスのボタンの数が1つか2つかという違いくらいだし、それすらも共用可能な範囲の差異に過ぎない。

一方、広い意味でのスマートフォンを考えると、iPhoneのように入力系をすべてタッチパネルに委ねているものもあれば、正統的伝統的スマートフォンのように、小さいながらQWERTYキーボードを備えるものもある。画面の使い方のタテヨコにしても機種ごとにさまざまであるし、折りたたむとメインの液晶が表面に見えない機種もあれば、ストレートタイプで常にメイン液晶が見えているものもある。カメラの有無やそのレンズの位置をはじめ、各種ボタンの位置や数に至っては、メーカーが同じであっても機種が違えばまったく違うといった具合だ。

PCメーカーは、PCを作る限りにおいては、こうした筐体に関する設計について、(スマートフォンとの比較に関する限り)さほど頭を悩ますことがなかったのではないだろうか。どちらかといえば”臓物”であるパーツ類のマッチングの問題やOSとのマッチングに主にフォーカスしていればよかったのが、スマートフォンとなると、臓物系と筐体の形状や出入力デバイスの選択や配置の全体をうまくバランスさせていかなければいけない。そこに、ひとつのハードルがあるのではないかと思われる。


もうひとつは、海部美知氏が、「携帯電話と男フォームファクターが第一」と指摘しているように、スマートフォンを含む携帯電話は、極めて個人の感性との相性が重要なもの、つまり、センスとかフィーリングに左右される領域が大きい持ち物である、ということだ。

携帯電話機一般にそうだが、常に持ち歩き、肌身離さずに使うケースも多いだけに、機能・性能の問題は当然として、それに加えてアクセサリー的な要素、つまりデザイン的な好き嫌いとか、持ったときの手のなじみ方などが、大きな選択のポイントになる商品である、というところが、PCと大き違うのではないかと思う。見た目のよさ、ある意味での"セクシーさ"が求められるということだ。

DellのPCが売れた理由を考えてみると、BTOで自分が求めるスペックが自由に選択ができて、それが安い値段で手に入る、というところが大きかったのではないかと思う。その代わり、PC自体の外見つまり見た目は、お世辞にもセンスが良いものとは言えなかったのではないだろうか。どんなにスペック(中身)に凝ってみたところで、筐体はどれも同じ、しかも決してセンスはよろしくない、ということになっていたのだと、個人的な見解だが、私はそう感じている。PCであれば、それも許容範囲だったのだが、このPCの感覚で携帯電話機を作っても、果たして多くのユーザーが受け入れるのか、ちょっと疑問である。

もちろん、AcerDellスマートフォンメーカーを買収しての参入であるようだし、東芝はPCだけでなく携帯電話機も作ってきているので、純粋にPC作りの延長でスマートフォンを作るということではないと思うが、果たしてこういうハードルをどのようにクリアして製品を出してくるのか、興味深いところである。

2/4追記:

その後、東芝製のスマートフォン「TG01」については、下記の報道があった。

Toshiba TG01 announced: iPhone 3G and Touch HD killer? - SlashGear

東芝、1GHzチップ「Snapdragon」搭載のスマートフォン「TG01」を発売へ - CNET Japan

再来週バルセロナで開催される、Mobile World Congressで、何らかの発表や展示がされるのだろうか。

murakyutmurakyut 2009/02/06 08:16 いよいよスマートフォンが本格的に動き始めてきましたね。やはりユーザーから見たUIやカスタマイズ性が重要になるようですね。この時、ウィジェットによる仮想的なカスタマイズ性というのも重要になると思うのですが、この辺はどう見ていらっしゃいますか?
それから、セットメーカーの立場から見ると設計、開発(プラットフォーム)、製造と3つに分けた時に、設計と開発、しかもSDKのようなプラットフォームの開発がビジネス収益上は重要になると思うのですが、日本の場合、キャリアと端末メーカー、ソフト開発メーカーの役割分担はどのように変わるんでしょうかね?

Batayan3Batayan3 2009/02/10 22:52 murakyutさん、反応遅くなりましてすみません。

”UIやカスタマイズ性”は確かにそのとおりなのですが、そう言ってしまうと、どうも業界の人をミスリードする気がしています。iPhoneについて、日本のケータイ業界の人が、しきりに(iPhoneの)UIがポイントだ、というような言い方をしていたのですが、意味するところは、どうも”タッチパネルにすればいいんだ”といったような認識らしい。でも、タッチパネルやUIありきではなく、ユーザーが何をしたいか、あるいはユーザーに何を(経験)させたいか、がまずあって、それを実現する手段としての”UI”はどうあるべきか、というのが、商品開発のセオリーのはず。そこを飛ばしているから、本質的に新しいものが出来てこないのだと、気づいた次第です。ウィジェットは、iPhoneのApp storeやAndroidのMarketを引き合いに出すまでもなく重要なのですが、いかにしてウィジェットの多様性を確保するか、どうやって開発者をひきつけるのか、がポイントでしょう。App storeですら、なかなかそこ(だけ)で食っていくのは大変な状況のようですから、日本だけの、それも一キャリアの閉じたマーケットで勝負、というのでは、開発者サイドの食指が動かないはずです。

役割分担については、キャリアは基本的にはドメスティックな商売を続けていくしかないので置いておくとして、端末やソフト開発で、どのようにビジネスを組み立てるのか、です。書き出すと長くなるので結論だけ書くと、現状のB2B2Cのビジネスを、いかに、B2CあるいはB2Bのビジネスに切り替えていけるか、がキーになるのではないでしょうか。役割分担以前に、どうやって存在し続けるかが問題ですね。端末メーカーもソフトも、国内企業がなくなれば、海外から入れればいい、というのがキャリアのホンネでしょうから。もっとも、キャリア自体も縮小する国内市場の中で衰弱すれば、海外メーカーも相手にしてくれなくなる可能性もあり、それが、日本の携帯電話業界にとって最悪のシナリオでしょう。

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