空の近く。こころ高く。 ― ブータンてきとう日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2010-11-17

「実際のところ、夜這いってどんな?」経験者たちに聞いてみました

さて、最近巷でどうも話題になっているようである、ブータンの夜這いについて。

(巷って、たとえばこんなところ⇒http://www.1101.com/tasogare_skirt/2010-10-28.html)


「ブータンには今でも夜這いがあるの?」


「男の子が女の子の意志をたしかめるためにナスやキュウリを渡すって本当?」


などなどいくつかの疑問をいただいておりましたので、今日はそれらに答えるべく、友人たちにインタビューをしてみました。

夜這いはすでに私の住む首都ティンプーではなくなっているので、地方出身の友だちに聞いてみようと2人に声をかけてみたところ、なんと2人とも夜這い経験者!夜這いは本当にあるのです。それぞれに夜這いってどんななのか、聞いてみました。

※注:この記事は、民俗学的・社会学的な正確さを保証するものではなく、単なる私の友だちへのインタビューです 

まずは一人目。『いいやつだけど、ひと言多い』でおなじみの、パサンです。


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  • 21歳、仕事はドライバー
  • 未婚、自称彼女あり。本人曰く「彼女はいま別の県で学生をしてる」(しかし私の周りでその存在を確かめられた人はまだいません)
  • 口グセは、「それ、いくらだった?」
  • 彼はブータン東部の村出身。首都からは車で3日、そこからさらに山を歩くこと3日の、計6日かかるそうです
  • 彼の村はまだ電気がきていません。ケータイは2010年9月から使えるようになりました。人口は60人。過疎化が進んでいるのだとか

 「パサン、ちょっと、ブータン東部の文化について、インタビューさせてもらいたいのだけど」



パサン 「どうぞどうぞ。今ちょうどテレビでやってるこのお祭り、これはブータン東部のものだよ。このお祭りの歴史は・・・」


 「うん。実はね、夜這いについて聞きたいのだけれど」


パサン 「えへーーーーー!!??(笑) お前、夜這いについて聞くのかよーーーー!!!!(笑) すごいこと聞くな。そりゃ、うちの村とかみんなやってたけどさぁーーー」


 「やっぱりやってるんだ!!夜這い!!」


パサン 「こっち(首都ティンプー)きてからはやってないよ! 村ではってこと」


 「でも、村ではやってるんだ。ほー。みんなやるの?いまも?」


パサン 「16歳ぐらいから、みんなやるよー。あはは、今も。あはは」


 「それは、事前に約束とかしておくものなの?今日行っていいかな、って。それとも突然押しかけるの?」


パサン 「場合によるね。お祭りのときとかは、約束するよ。男が女のところに行って、今日行くよ、って。でもそれ以外は、アポなしだな」


 「突然なんだ!」


パサン 「でもだいたい行けるとときは決まってる。たとえば冬になると、大人たちは野生の動物よけのために夜たき火にでかける。そうすると、家に親がいないだろ? そーいうときに押しかけるんだよ! これが狙い時!あはは!! あと、大人たちが農作物を売りに他の村に出かけたときとかね。3日ぐらい帰ってこないわけ。だからそういうときを狙っていくんだよ」


 「なるほどー。でもさ、そういうときって村のみんながわかってるわけでしょ?あの家は親がいない、って。そうしたらさ、男の人が何人も行って、鉢合わせちゃったりしないの?」


パサン 「あははー!!するするする!!!オレも何度かやった、鉢合わせ!!!!あはは!!!そうなると、男はすごすご退散して、馬小屋で寝るんだよ。馬小屋は、1階に馬がいて、2階に干し草とかが置いてあってさ。そこで、干し草にくるまって、寝るんだ。これがけっこう切ない」




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 「それは切なそうだね・・・。鉢合わせのときって、どうやって、だれが行くって決めるの?女の子がみんなの前で、『えーっと、あなた!』って選ぶの?」


パサン 「違うよ、家に入って、先に男がいたら、すごすご帰るの。それだけ」


 「ん?それ、早い者勝ちってこと?」


パサン 「そう、早い者勝ちってこと」


 「えーーー。女の子からは選べないの? やだね、それ」


パサン 「しょうがないじゃん。でも女の子が断ることはあるけどね。オレに言わせると、ちょっと断りすぎだよね、女ってやつは。すぐやだっていう」


 「それは残念だったね、パサン。。。女の子は、どうやって意思表示するの?いいですよ、とかいやです、とか。日本では、キュウリとかナスを握ったら・・・とか言われてるんだけど」


パサン 「キュウリ?それは知らない。でもお茶とかおやつとか持ってくときはあるけどね。さきにお茶してなごませるために」


 「そういうところから入ることもあるんだね。パサンもよく夜這いした?村にいるとき」


パサン 「したよー!成功するときもあれば、しないときもある。仲間と出かけて行って、夜這いに家に入ることもあれば、その辺ぶらぶらして帰ることもある。オレの村は、ティンプー(首都)みたいに夜遊べるところがあるわけじゃないからさ、とりあえず仲間でぶらぶら外歩くんだよ」


私 「そっかー。なるほどね、勉強になる」


パサン 「ならよかった。てかお前の村には、夜這いなかったわけ?」


 「・・・」

つづきまして二人目。『たぶんティンプーいちのシャイボーイ』ティンレーです。


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・27歳、観光関連のお仕事です

・未婚、彼女なし

・最近の悩みは、「4人以上人がいると、緊張で頭が真っ白になっちゃって、なにも話せない」こと。克服したいそうです

・口グセは、「実家帰りたい」

・ブータン中部のブムタン出身

・大家族の出身で、「イトコはたぶん100人ぐらい。たまに帰省すると、おみやげで給料が飛ぶよ」


 「ちょっと、夜這いについて聞きたいのだけど」


ティンレー 「あぁ、いいよ。夜這いね。そういえば、夜這いについてまとめた本があったよ、本屋行ったら売ってるかも。行く?」


 「そんなのあるんだ!今度、買ってみるよ。でも今日は、できたらティンレーの話を聞かせてもらえるとうれしいのだけど。ブータン中部のティンレーの村にも、夜這いってあった?」


ティンレー 「あるよあるよ。僕も昔よくやったよ」


 「本当にー!?ティンレー、夜這いしてたのー!?すごいね。何歳ぐらいから?」


ティンレー 「うーん15歳くらい」


 「15歳!?早くない!?」


ティンレー 「いや、そんなもんだよ。いとこや兄貴に連れてかれた。みんなでグループで行ってさ、お前はこの家、俺はこの家、みたいな感じで行くんだよ。15歳ぐらいになると連れて行かれる」


 「そうなんだ!でもすごいねー、ティンレー15歳で夜這いしてたんだぁ。それ、すごい勇気いりそうだね。それに比べたら、みんなの前での話すのなんて、なんでもないでじゃない(笑)」


ティンレー 「そんなことないよ!プレゼンの方が全然緊張するよ!だってプレゼンではすごく気を遣わなくちゃいけないでしょ?あれは言っていい、これはだめ、とか。いろいろなことにセンシティブじゃなくちゃいけない。夜這いなんてみんなやってるし、何も考えないでとりあえず行って、うまくいけばうまくいく、だめなら帰ってくる。それだけだからさー。別にそんな緊張するもんじゃないよ」


 「そうなのか・・・。そういうものなのね」


ティンレー 「でも最近はずいぶん減ってきちゃったけどね。電気がきたからさ。忍び込んでも、親が部屋の電気つけちゃったら終わりじゃない(笑) リスクが上がったよねー。あれが原因で減ってると思う」



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 「なるほどねぇ。でも夜這いって、親がいないときを見計らっていくんじゃないの?」


ティンレー 「あんまり関係ないよ。親は別の部屋で寝てるから。だからさ、音を立てないように気をつけて歩いたり、高いところにある窓を、こんな風にして(よじ登る動作)、よじ登って入ったりしてさー。あと最近はケータイがあるから、事前にアポとることが多いんじゃないかな、突然行くより」


 「そっか。やっぱりケータイと電気の影響は大きいのね。なんかさ、男が女に、キュウリとかナスとかを手渡して意志を確かめる、とか聞いたのだけど、そういうのはある?」


ティンレー 「僕のところではないな。聞いたことない。でもそういうのって地域によって違いもあると思うよ。だから僕はわからない。僕のところは、いやならふつうにいやだ、って女の子が言ってたよ」


 「そうなんだ。地域によるんだね。ちなみにどのぐらいの確率で女の子はOKで、どのぐらいの確率でだめなの?」


ティンレー 「うーん、ざっくり7:3」


 「けっこう高いねそれ!7割OKなんだ!」


ティンレー 「そうね。そうかも。でも文化として浸透してるんだよね。もともとは、結婚は正式には夜這いをとおして成立したものしか認められなかったぐらいだから」




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 「そうなんだー。でもやっぱり女の子は、断ることはできても、選べはしないんだね」


ティンレー 「うーん。あ、たとえばジャガイモの収穫の時期とかはね、女の子とかもみんな外に出て、暗くなっても収穫とかするんだよね」


 「ふむふむ。そういうときだと、男の人が夜這いしても、失敗しちゃうわけか」


ティンレー 「ちがうちがう。そういう時は、外に夜這いしにいくんだよ。ジャガイモ畑に。そしてそのときはね、男からでも、女からでもいいんだよ。へへへ」


 「えーーーーー!!!!! ちょっと、そんな過激なことは、私のブログには書けないから、カットするね。もうちょっと、文化的な雰囲気だから、ブログ」




ティンレー 「そんなの読者の人がなに読みたいかなんてわからないじゃない。Tamakoが判断することじゃない。一応僕がインタビューで言ったのだから、最後に小さくでいいから、それ、書いといて(笑)」


 「・・・」




2件インタビューをしてみてわかったこと。

  • たしかに夜這いは、地方にはまだ残っている
  • 夜這いの形はさまざま。地域や人によって違うようである
  • 夜這いのことを聞くと、その人のあらたな一面が見える

今日は、いっつも寡黙でシャイで、人前ではすぐもじもじしてしまうティンレーが、夜這いのことを少しも照れず、なつかしさもこめながら、淡々と語る姿が印象的でした。パサンは照れに照れていましたが(笑) 

ちょっと大人だ、ティンレー。

人は、わからないものですね。

明日からティンレーを見る目が少し変わりそうです・・・


そんなブータンへの行き方はこちら