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2012-03-21

商業施設とレストランフロアの関係(その2)

 

 

前回の記事では商業施設における飲食部門に関して、

その位置づけなどについて全体的に触れました。

今回はより具体的な整理をしてみたいと思います。

 

商業施設における飲食部門位置づけは、

A)商業施設利用者に対応する

B)商業施設利用者以外を取り込もうとする

の大きく二つに分かれると思います。

そのどちらを軸足としながら、立地や利用客層に合わせて

さらに分類をすることができるようです。

 

またレストランフロアをどのような規模や内容で開発するかは、

その商業施設の業態や外部環境によって変わってきますが、

ハード的な要件や開発者の意志や性格、

さらにリニューアルの場合はそのタイミングによっても変わってきます。

これを一覧にしてみたのが下の表です。

中分類で1〜7までのパターンに分類してみました。

ちなみに表中の各パターンの面積(四角の広さ)に意味はありません。

  

f:id:BlueMountainForever:20120321135657p:image:w550

 

この中で多くのレストランフロアは下記の2つに含まれると思います。

2)来館者対応型の飲食施設

3)来街者対応型の飲食施設

 

まず「来館者対応型」の飲食施設ですが、

これは、その商業施設=館を訪れる

買物目的のお客様の飲食需要に対応するために

レストランフロアを設置しているタイプです。

 

このタイプのレストランフロアは、

百貨店型や地域密着型の商業施設などにおいて多く見られ、

売場面積に対して15〜20%程度の飲食部門を配しているようです。

施設全体で幅広い業種を展開し、

多様な買物需要に対応することが求められるため、

飲食部門に限らず、特定の業種を極端に多くしたり、

少なくしたりすることを避けるためと考えられます。

 

このため飲食部門内でのラインナップにおいても、

特定の業種に片寄ることなく、和洋中のオーソドックスな業種や、

古典的な専門店を万遍なく配しておくことが多いですが、

最近ではエスニック系や商品に特徴を持たせたお店をミックスさせています。

 

一方「来街者対応型」の飲食施設ですが、

これは、その商業施設=館を訪れる買物目的のお客様のみならず、

エリアに訪れる人々=来街者の飲食需要に対応するために

レストランフロアを設置しているタイプです。

 

特にメガターミナル駅などに隣接するような商業施設においては、

厖大なトラフィックを潜在顧客に持つため、

自店来館者のレストラン需要とは関係なく、

そこで発生する多様な飲食需要に取り込むために、

売場面積に対して20〜25%と多めの飲食部門を配することが効果的と言えそうです。

 

フードビジネスの売上は「客席数×客席回転率」によって構成されるため、

物販とは異なり自ずと売上に限界があります。

また外食という行為は曜日や時間帯によって需要が集中化するため、

いわゆる「稼ぎ時」にいかに機会損失なく売上を獲得できるかが

飲食部門の売上効率と施設全体の売上効率の向上につながるからです。

 

ただし近年、平日と休日の繁閑比は、その差が縮まってきていますし、

ピークタイムも平準化が進んできていますので、

開業から時間が経ち、施設規模とのバランスを欠いたレストランフロアなどでは、

個店ごとの空席がかなり目立つところも多いようです。

  

これらの2つのパターンのどちらかに基本方針を定めた上で、

周辺施設や利用客層に合わせて、個々のレストラン店の業種や業態を組み合わせ、

レストランフロアを作り上げていくことが成功の鍵となります。

 

次回は、他のパターンも含めて、

具体的な事例をあげていきたいと思います。

 

  

2012-02-26

商業施設とレストランフロアの関係(その1)

  

  

学会で発表する研究の一環で

百貨店やショッピングセンターなどの商業施設の飲食施設、

いわゆるレストランフロアの視察を繰り返しました。

その数はおよそ2年間で113施設と結構な数になりました。

だいたい毎週1施設という感じですね。我ながらよく行ったものです。

  

今回は、この視察の結果を活かして、

商業施設におけるレストランフロアについて

ちょっとしたまとめをしてみたいと思います。

 

まず全体として感じたのは、

商業施設における「飲食部門の位置づけ」が随分と変わったこと。

 

これまで商業施設開発者や運営者にとって「飲食テナント」は、

「物販テナント」を利用しに来館する顧客への付加サービスや

施設内の滞留時間や回遊性を高めたりするものという認識が強かったと思います。

あくまでも商業施設の中心は「物販」で「飲食」は「補完機能」だったわけです。

 

しかし昨今、商業施設間の競争はますます激しくなり、

立地やキーテナントによる集客力にも限界が見えてくると、

それ自体が館の来店目的となるような飲食テナントのリーシングを積極的に行い、

魅力あるレストランフロアづくりを目指している施設が増えてきています。

  

また、このようなレストランフロアにおいては、

単に人気のあるテナントを配置すれば終わりということではなく、

初期投資のかさむ飲食テナントといえども、継続して店舗の入れ替えを行うことで、

いつまでも集客力の衰えないフロア運営を行っていることも見て取れます。

  

立地とそれに紐付く「特定の客層」に魅力的に感じてもらえるレストランフロアを作ることは、

衣料品や雑貨などの物販部門との相乗効果や波及効果を生み出し、

業績向上の鍵を握っているといえます。

  

一見あたりまえに思えるこのようなことも、飲食テナントを単なる補完と考えていると、

飲食需要と物販需要との関連がどんどん崩れていくことに繋がります。

最終的には施設内の滞留や回遊どころか、ターゲットの分離を招いて

その商業施設ブランドの価値まで下げているという事例、よく目にするのではないでしょうか。

 

当然のことながら、こうした考え方の延長線上には

商業施設は物販店が中心となって集客し、一方飲食テナントは、

集客の責任を負わなくてよい代わりに、高い賃料や販促費を受け入れる、

という考え方も見直す必要がでてきます。

 

悪立地を逆手にとって繁盛させている街場の飲食店と比較するのは酷でしょうが、

高い家賃負担に耐えられるような業態モデルの飲食店では

いまのお客様を満足させられる価値を提供することは正直言って困難です。

 

絶妙なレベルでQSCAを提供している飲食店を導入し、それを輝かせ続けるために、

施設開発者や運営者側は賃料形態や条件設定を見直す必要がありますし、

そのためには飲食テナントのビジネス構造をもっと理解する必要があるでしょう。

 

一方でテナント側も、固定的な性格から変動費的な性格へと変化した賃料を活かし、

これに加えて初期投資を抑えて、ROIを高めた業態モデルを構築し、

立地に甘んずることなく自らの力で集客をし、固定客を掴む力、

そして変化対応できる力を蓄えておく必要があると思います。

 

魅力的で、活性化している商業施設の成功要因には、

飲食施設が果たしている役割が意外と大きいのではないかと思いました。

 

次回は位置づけの整理と規模についてまとめてみます。

  

 

 

 

2011-12-31

2012年について

 

 

引き続いて、2012年についても触れてみます。

 

 

■あらゆるもののソーシャル化、シェア

 

2012年は、2011年のソーシャル元年の勢いのまま、

あらゆるものがソーシャル化していきます。

例えば、テレビのソーシャル化。

Huluの登場によりタブレット端末で映画を見る人、スマートフォンで動画を見る人など、

今まで端末ごとに機能が分けられていたものが、境界線が曖昧になっています。

また、コンテンツのソーシャル化も進んでいくでしょう。

ポイントはシェアされやすい内容になっているか、

誰かに伝えたくなる面白さや良さが重要になってきます。

 

 

■ソーシャルコマースの拡大

 

ソーシャルコマースとは、ソーシャルメディアを利用して商品やサービスの電子商取引を促進すること。

見ず知らずの他人ではなく、

知人や自分が信頼できる情報筋からのおすすめによって購入を検討することが可能なのです。

Booze&Companyによると、

ソーシャルコマースは2015年までにグローバルで300億ドルの市場規模になると予測しています。

 

 

■プロシューマーの出現、世の中はシームレスにつながっていく

 

トフラーが1980年に示した「プロシューマー(生産消費者)」の出現も、2012年には顕著になるでしょう。

プロシューマーとは、生産活動を行う消費者のことです。

情報の発信が可能なツールを手に入れ、

特に情報をシェアしていくことが賢い、価値である、とますます認識される中、

ある商品の紹介から商品開発の域まで行っていく状況も考えられます。

 

 

■とはいえ、消費者オリエンテッドがマーケティングではない

 

すぐれた消費者が必ずしも、すぐれた生産者ではないように、

人はカタチにして見せてもらうまで、自分では何が欲しいのか、なかなかわからないものです。

もちろん、消費者目線、ソーシャルメディアをウォッチしつつ、

最終的にプロダクトやサービスに落とし込んでいくのは他ならぬ生産者なのです。

消費者が生産に介入する、というよりは、

生産者がより消費者の視点を忘れずにいることが重要かと思われます。

 

 

それではみなさま良いお年をお迎えください。

 

 

2011年をふりかえって

 

 

本年も残すところあとわずかとなりました。

最後に2011年のトレンドをふりかえってみましょう。

 

 

■誰でもメディアになり得る小さい個人が活躍する世界

 

米誌タイムは、年末恒例の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に

世界各地のデモに参加する「抗議者」を選んだと発表しました。

特定の人物を選ぶのが通例ですが、今回は不特定多数が対象になりました。

タイムは、「抗議者」としていますが広義に捉えると、

世界中の人=あなた、小さい個人の声が世の中を変えていくことができることを示しているに他なりません。

これは、twitterブログSNSなど誰もがメディアを持ち、

個人がメディアになり家族や世の中とつながっていくことができる状況だからこそのうねりなのです。

 

 

■ソーシャル元年。消費者のコンテンツキュレーションとロケーションサービス

 

日本において、まさにソーシャル元年な2011年でした。

ツールを手に入れ、つながっていくことと共に、

消費者のコンテンツのキュレーション(編集)が多く見られました。

例えば、「NAVERまとめ」や「Togetter」が良い事例です。

TwitterFacebookのように、ストリームで絶え間なく流れていく情報に対して、

自分にとって本当に価値のある情報をキュレーションすることの必要性が高まっています。

また、一方で自分自身の行動をコンテンツになぞらえ、

foursquarefacebookのcheck in などのロケーションサービスも一般化しました。

 

 

■スペンド・シフト、本質的価値の追求

 

つながっていくこと、ソーシャル化しシェアしていくことを後押ししたのは、3月の東日本大震災です。

それ以降、何が大切で何が必要なのか、あらためて自分自身に問う機会が増えました。

実は、震災前から生活者は、ものの背景やそれをつくる企業の姿勢に関心を持ち始めていました。

そのモノやサービスがなくてはならない理由が求められるようになります。

生活に必要なアイディアやありそうでなかったもの、必然的なものが求められるようになり、

場当たり的な既存商品のバリエーションのようなものは意味をなさなくなります。

経済活動を積極的に行っていくという行為をとっても、とりあえず、というよりは、

厳選されたモノや体験を選択していくことになってきました。

それが社会的に意義のあるものなのか、そんなことも問われる時代になったのです。

目的のソーシャル化です。

それは、消費者にとっては、〈希望をもたらす消費〉でもあり、継続していくでしょう。

 

 

 

 

2011-12-18

DAIKANYAMA T-SITEに行ってきました

 

この1ヶ月ほど忙しくしてしまい、ブログも随分と放置してしまいました。

各方面から好評のDAIKANYAMA T-SITEに行ってきましたので報告がてら書いてみます。

 

DAIKANYAMA T-SITEはカルチュア・コンビニエンス・クラブが、

NTT都市開発と共に、代官山の徳川邸屋敷跡地で開発を進めていた複合商業施設です。

一種のライフスタイルセンターのような商業施設だと感じました。

 

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「新しい大人文化を提案する街」がコンセプトで、

3棟からなる「森の中の図書館」をイメージして作られたTSUTAYAは、

代官山 蔦屋書店」というブランドを冠し、

従来のイメージを覆す新しいスタイルの業態を展開しています。

本・音楽・映画を中心に、

文字通り「ライブラリー」のように取り揃えて素敵です。

 

そのほかにも色々な専門店がオープンモールの敷地内で展開していて、

緑に囲まれた散歩道でゆるやかに繋がっています。

そんな中にあるキーテナントがカフェバーダイニングの「IVY PLACE」です。

 

施設全体の雰囲気がとても良いなかで、

この飲食施設も非常によい佇まいをみせていて期待感が高まります。

 

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インテリアも、すべてを回ったわけではありませんが、

テラス、エントランス、ダイニング、カフェエリア、バー、

大振りの家具を多用し、

大箱の店舗をお得意とされるT.Y.EXPRESSらしい居心地のよい空間が

海外のレストランのようで非常に好印象です。

 

グローバルコンフォートフードと呼ばれるお料理の方も、

同じ雰囲気をお皿の上から感じさせるものです。

食べたのは2,900円のプリフィックスランチですが、

すべて視覚的にも美しいボリューム感があります。

具体的には、最後のデザートまでぬかりなく満足感があり、

例えばそのデザートにあしらわれているベリー類の量目なども感動ものです。

 

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また海外のレストランのように、

アイスティーがリフィールフリーなのですが、

ダイニングのテーブル上にアイスティーのグラスがズラッとならぶのは

とても美しい光景ですね。

 

これだけの内容をこの価格で提供されると、

他の店がかわいそうに思えてしまいます(笑)

 

内部的には「原価率が、、」、お客様の声からは「量が多い、、」

そんな声が入ってくると、色々と変化してきてしまうお店も多いです。

でもブランドをつくるためには信頼していない人の声を聞いてはなりません。

当初のコンセプトを貫き通すことができるのも(できるはず?)、

同社のお店の魅力であり、強みなんだろうと思いました。

 

以前は職場も住まいも代官山だったのですが、

代官山は意外にも食の空白地帯だと思います。

もっと早く出来て欲しかった素敵な施設です。

  

いろいろな動機で、頻繁に立ち寄ることができる、

大人のためのファミレスのようなお店だと思いました。

 

ごちそうさまでした。

 

2011-09-07

トイレを掃除するということの意味

 

  

私が店舗のレベルを計るときに重視しているのはお手洗いの清潔さです。

ここに注目される方はとても多いですが、

私がそれを習ったのは父からでした。

 

私の父は出版社を経営していたのですが、もういまから30年以上前に、

現在でいうグルメ情報誌のようなものを発行していました。

その中に「良い店の基準」というページが毎号割かれていて、

10ほどの項目が上げられているのですが、

その多くがクレンリネスに関わるもので、

特に「トイレが清潔であること」というのが印象的でした。

 

まだ幼かった私は、なぜそんなにトイレの綺麗さが重要なのか尋ねると、

父はそこにすべて表れるからだと言いました。

放っておけば汚れてしまうところをどれだけ綺麗に保てるかで管理がわかる。

厨房や食材庫の中に入って確認できないがトイレで結構それがわかるものだ、と教わりました。

父は妙に管理能力に厳しく、

お店などでなにか不適際があるとわざわざ上長を呼び出して責めていたのを思い出します。

当時はそれがとても恥ずかしくてイヤでしたが、いま思えば現場には優しかったんですね。

  

そのグルメ情報誌には、

様々な文化人や経営者の方々が食にまつわる話しを寄稿してくださったのですが、

父はその方々を募って美食倶楽部のようなものも主催していました。

当時は今ほどグルメ情報も出回っておらず、

特に海外の有名店などにはそう簡単には行けなかったので、

みんなで楽しもうというような趣旨だったと思います。

 

その席でもことあるごとにトイレの綺麗さの話しになったのを今でも鮮明に覚えています。

とある経営者が言うには、

自分の会社では従業員みんなで毎日会社の掃除をさせていているが、

それを見れば、その人間がどんな人物かわかるから、そうさせているのだと。

営業で外に出て行ってしまったあとのことはわからない、

でもどんな風にトイレを掃除しているかで大体のことはわかる、と言っていました。

こちらは、管理する側の立場からの視点ですね。

 

経営者というのはトイレが本当に好きなようです。

トイレ掃除は本当に奥が深い。