鰤端末鉄野菜 Brittys Wake このページをアンテナに追加 RSSフィード

You have eaden fruit. Say whuit. You have snakked mid a fish. Telle whish.

-- J. Joyce, Finnegans Wake, Book IV

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2009-02-21

[] 消え行くアイヌ語

ユネスコの言語調査が報道されていた。

【パリ=国末憲人】世界で約2500の言語が消滅の危機にさらされているとの調査結果を、国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部パリ)が19日発表した。日本では、アイヌ語が最も危険な状態にある言語と分類されたほか、八丈島や南西諸島の各方言も独立の言語と見なされ、計8言語がリストに加えられた。

調査は、全世界で6千前後あるといわれる言語を調査。538言語が最も危険な「極めて深刻」に分類された。続いて「重大な危険」が502語、「危険」が632語、「脆弱(ぜいじゃく)」が607語だった。

また、1950年以降消滅した言語が219語にのぼった。

朝日新聞デジタル:どんなコンテンツをお探しですか?

アイヌ語の話者(active speakers、流暢に日常会話をする能力のある話者)は15人、日本国内ではただひとつ「極めて深刻」な状態にある言語という*1。エスノローグのアイヌ語のページを見ると方言は4つ、サハリン(樺太)、タライカ(多来加、カラフト東岸に話者が分布)、エゾ(北海道)、クリル(千島)*2。かつては少なくとも19以上の方言があったとエスノローグは続ける。

ロシアでも話されるとエスノローグはいっているが、こちらの未来も芳しくなさそうだ。サハリン方言は話者がもういない。1994年に最後の話者が死んだ。タライカ方言については情報を見つけることが出来なかった。

日本人が色丹島に強制移住させた千島(クリル)アイヌは環境の変化に堪ええず、死滅したといわれている(漁労狩猟民だった彼らに農耕を強い、環境の変化もあって病没があいついだという)。だから千島(クリル)方言も、あるいはとうに失われているのかもしれない。*3

このままにしておいてはいけない、と思うのだが、なにか圧倒的なものに咽喉がふさがるようにして、先へ思考が進めない。日本語版ウィキペディアで「アイヌ語」の項目をみると、試験運転中の「ウィキペディア・アイヌ語版」へのリンクがあったのだが、ヨーロッパのどこかの人が、無変化の単語がひとつだけ入ったページをふたつ、おしるしばかりにおいているだけだった。

追記:

ブックマークコメントにて

id:nabeso 言語 沖縄本島語が約百万人の話者、民族的には1億人いることになっているのを読んで、エスノローグに対する信頼を失いましたw

ご指摘ありがとうございます。

これは若干同情すべきかなと思ってます。というのは Yukio Ueyama さんの調査ということで、このインタビューの方と同じ方なんではないかと推量します。インタビューでは(他の日本人の学者同様に)Ueyama さんは一貫して「琉球方言」という術語を使っています。そこで、言語の話者総数に関する数字が出てくるとき日本語のものが出てくるのはわかります。

実は同じことが日本語にもいえて、エスノローグの「日本語」(jpn)の話者数は、琉球方言や八丈方言を含んだ数字になっているように思います。日本の人口とほぼ同じ数字がでてますからね……。調査をした人が伝統的な日本の学界の日本語観をもった方であれば、あるいは国のものであれば、そうなるのは当然だと考えます。エスノローグの数字というのが、そういう粗さをもった数字であることは、念頭におく必要があります。

細部で信用のできないデータベースとはいえ、それは寄せ集めの宿命であって、エスノローグが世界最大級の言語データベースであることには変わりありません。欠点を承知した上で、必要に応じて使うのがよいと思っています。

2013年追記。

http://aynis.doorblog.jp/archives/28397406.html からトラックバックをいただいて、このとき抱いた疑問のいくつかに解決の糸口を得た。御礼申し上げる。アイヌ語話者15人はこの2009年の時点でも多きに過ぎる数字だったようだ。タライカ方言は樺太東海岸にかつて分布した。古形を残す貴重な方言だったそうだが、もう話者はいないようだ。アイヌ語の学習環境については http://aynis.doorblog.jp/archives/27170386.html が整理されている。

*1:ただしユネスコの少数言語のページでは150となっていた。他の資料との整合性からすると15人のほうが正しいのかなと思うのだが、詳細は不明。2013年追記も参照。

*2:資料によっては樺太・北海道・千島の三方言に分ける http://homepage3.nifty.com/tommy1949/Aynu.htm が、ここではエスノローグに従った。

*3:希望をもつとすれば、樺太千島交換条約の際、若干の千島アイヌがカムチャッカに移住したといわれているが、その人たちについての情報は見つけられなかった。詳しくはサルルさんの「千島アイヌについて」を参照。

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