アビコ青年のネオ・ディベート事件簿 file 27

ほぼ月イチコラム アビコ青年のネオ・ディベート事件簿 file 27

本日のテーマは「相手の立場に立つ力」です。

先日、NHK EテレRの法則」に弊社・出口汪理事長が出演しました。太宰治の名著「人間失格」を題材に、10代の若者が抱える人間関係の悩みを紐解く、大変興味深い内容でした。

出口汪 現代文講義の実況中継(1) (実況中継シリーズ)

出口汪 現代文講義の実況中継(1) (実況中継シリーズ)

物語の主人公「葉蔵」は、幼いときから「人は一体何を考えているのか分からない」と悩みました。その不安から逃れるために、自分を偽って世間に合わせることを選びます。今でいう「キャラ設定」を続けた結果、破滅的な最期を迎えてしまいます。
程度の差はあっても、いつの時代の人も人間関係の悩みは一緒のようです。
人間失格

人間失格

これまでネオ・ディベートの視点からの解決策として、相手の立場に立って人の気持ちを理解する「キャスト・ライトアップ」をご紹介しました。本日はキャスト・ライトアップを、さらに一歩踏み込んで考えてみます。

誰でもいきなり「さあ!人の立場になってみましょう!」と言われても、「それが出来ないから困っているんだよ…」というのが本音です。

ここで大きなヒントを得られるのが「人の気持ちがわかる人、分からない人〜アドラー流8つの感情整理術」(和気香子著 クロスメディア・パブリッシング)です。和気さんは「嫌われる勇気」で話題のアドラー心理学をベースに活躍されているプロコーチです。

人の気持ちがわかる人、わからない人~アドラー流 8つの感情整理術~

人の気持ちがわかる人、わからない人~アドラー流 8つの感情整理術~

和気さんは「相手の立場に立つ」とは、「相手の気持ちを『考える』」のと少し違うと指摘されています。というのも、相手に対する少ないイメージだけで当てずっぽうに「考えている」レベルでは、あくまで自分の視点・価値観の域を越えられないからです。

大切なのは、「相手の感情を疑似体験してみること」。
言い換えれば、「相手の感情を想像してみること」。

感情の疑似体験は、映画や小説を読んで感情移入する経験を重ねることが有効なトレーニングと紹介しています。和気さんもコーチトレーニングを受けている際は、積極的に映画や小説に触れるようにアドバイスを受けたそうです。

さらに大切なのは「いかに相手に関する情報を集めるか」。
いくら想像力や共感力が高くても、相手の情報が少なければ限界があります。

そこで大切なのが「聞く技術」。
和気さんは「自分本位の質問で“縁”を台無しにしてしまっていることが多い」といいます。その上で、人が質問をする時の姿勢は3つあることを紹介しています。

1. 「無関心」
2. 「相手に関心を持つ」
3. 「相手の関心事に関心を持つ」

混同しやすいのが?と?。一番良いのは?です。
「相手の関心事に関心を持って」質問すると、相手もついつい話したくなります。(例えば、趣味や今抱えている悩み、最近感動したこと等々)

一方、「相手に関心を持って」する質問は、自分の興味を満たすための質問になりがちです。(相手の年齢、学歴、年収、既婚・未婚 等々)

相手がついつい話したくなる話し方も紹介しています。

1. 丁寧語で質問する
2. 積極的に感情を表現する
(相手を褒めたり、感謝を伝える)
3. きっかけ、理由、背景を聞く

どれも興味深い視点です。
これまでコラムでご紹介した内容でまとめると、次のように言えます。

1. 「コミュニケーション
は情報収集から始まる」(法則17)→情報収集はコミュニケーション
の質を決定する
2. 「相手を主語にして話す」(法則73)→相手の関心事に意識を切り替える
3. 「情熱をもって人に接する」(法則27)→人は感情に左右される生き物。身振り手振りや声の高低、表情も大切
4. 「隠れた理由を探すことで、相手の価値観に迫る」(法則25)→きっかけや背景には、その人の価値観がある

(※法則は全て「話し方にもっと自信がつく100の法則」(太田龍樹著 中経出版)から引用)

話し方にもっと自信がつく100の法則

話し方にもっと自信がつく100の法則

今回は漠然とした「相手の立場に立つ」という言葉の意味を探ってみました。私自身も相手を理解する力を高められるように、改めて意識しようと思います。

2014年も残りわずかとなりました。
今年一年、拙いコラムにお付き合い頂きありがとうございました。
皆様にとって、来年がさらなる飛躍の年になることを心から祈念しております。
寒さも厳さを増しておりますが、くれぐれもご自愛ください!

以上、アビコレポートでした。
(2014年12月17日記)

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