古代エジプト

古代エジプト (文庫クセジュ)

古代エジプト (文庫クセジュ)

古代エジプトの通史の本です。プトレマイオス朝は入っていません。私の古代エジプトへの興味は、たぶん高校生のころだったと思いますが、矢島文夫さんの「古代エジプトの物語」を読んだのがきっかけです。
しかし、今日の話題は、この本のことではなくてクセジュ文庫の「古代エジプト」です。この本は歴史としての古代エジプトを知るのによい本です。しかし、おそらく訳者はあまり古代史に詳しくなかったのでしょう。固有名詞の訳し方が、日本で一般に使われている名前に訳していなかったので、時々、謎解きのようなことになります。もちろん、その謎を解く、ということを楽しみにすることも可能です。その一例は「スィレーヌ」という町の名前です。この名前の町がこの本に登場するのですが、これはリビアギリシア人植民市「キュレーネ」のことでした。発音がフランス語式になってしまっているのです。

  • 余談ですが、固有名詞の訳し方による謎で私が思い出すのは、スコットランドエジンバラ城を観光した際に買った日本語パンフレットに書かれていた「バーガンディ公、フィリップ・ザ・グッド」という人名です。これが、「ブルゴーニュ公、フィリップ・ル・ボン」(日本の歴史書ではフィリップ善良公)であることに気づいたのは1年以上経ってからでした。

以上は余談ですが、この本はヘロドトスの「歴史」の第2巻と併せて読むとおもしろさが増すと思います。