私の日常に現れた古代エジプト神話

雨があがってよく晴れた昨日の朝、川沿いを自転車で走っていたら、

川の中にある白いプラスチックのブイのようなものの上にアオサギがとまってただずんでいるのが目に入りました。私には一瞬、それがエジプトの壁画か死者の書のような巻物に出てくる絵のように思えました。
アオサギはエジプト神話ではベンヌといい、ギリシャヘロドトスが「歴史」でポイニクス(=フェニックス)として紹介している鳥です。古代エジプト人はこの鳥を「太陽神ラーの魂」と考えていました。


私は自分が見た風景を、

と、ふと思っていました。「原初の丘」というのは、エジプト神話に登場する、この世の初めに海から出現した丘のことです。そして全ての創造はここから始まる、という意味を帯びた場所のことです。そこに巨大なエネルギーを持つ太陽が現れます。
要するに、このイメージは私には「出現」あるいは「創造」という意味合いを帯びています。
そこで、私はちょっと冗談交じりに、古代ローマ人のようにこの良い兆しを受け入れたのでした。気持ちの良い朝でした。

  • 古代ローマ人のように」というのは、古代ローマ人は何かの前兆に出会った際に、それを受け入れるかどうか、自分で決定出来る、という考え方のことを指しています。悪い前兆であれば、それを拒絶してもかまわないのです。たとえば、共和制ローマ時代の将軍アエリミウス・パウルスがマケドニアペルセウスと戦うための軍隊をローマから出発させる時のことです。自分の幼い娘が泣いているのを見つけてわけを聞いたところ娘が「お父様、うちのペルセウス(飼い犬の名前)が死んじゃったのを知らないの?」と答えるので、彼はそれを「良い前兆」として受け入れたのでした(プルタルコス「アエリミウス・パウルス伝」より)。