ローゼンブラットのパーセプトロン(3)

ローゼンブラットのパーセプトロン(2)」で示した\vec{x}(k)から\vec{z}(k)への変換は1:1対応になっていることに注意して下さい。このようにして生成された\vec{z}(k)を要素として全て含む全体集合がU_2でした。U_2の任意の部分集合をJとします。Jとその補集合\bar{J}が線形分離可能であることを示します。


\vec{z}(i)\in{J}であるようなiの集合をAとします。\vec{z}(i)は、成分z_iだけが1で、他の成分は全て0なので、

  • \Bigsum_{i\in{A}}z_i=1・・・・(13)

となります。一方、1からmまでの整数の中で、j\notin{A}であるようなjについては、\vec{z}(j)の成分のうちi\in{A}であるz_iについてはz_i=0なので

  • \Bigsum_{i\in{A}}z_i=0・・・・(14)

となります。そこで

  • i\in{A}ならば
    • s_i=1
  • i\notin{A}ならば
    • s_i=0
  • h=0.5

であるとすると

  • \Bigsum_{i=1}^ps_iz_i-h=\Bigsum_{i\in{A}}z_i-0.5・・・・(15)

となります。式(15)(13)(14)から

  • i\in{A}ならば
    • \Bigsum_{i=1}^ps_iz_i-h=0.5>0
  • i\notin{A}ならば
    • \Bigsum_{i=1}^ps_iz_i-h=-0.5<0

となりますので、Jとその補集合\bar{J}が線形分離可能であることを示しています。


ローゼンブラットのパーセプトロン(2)」で提示した課題は、パターン群I(w)を真ん中の層が変換して出来た\vec{z}(k)の集合をJ(w)とするとき、J(w)とその補集合\bar{J(w)}が必ず線形分離可能になるように変換することは出来ないか、というものでした。上に述べたように、U_2の任意の部分集合とその補集合が線形分離可能なので、J(w)とその補集合\bar{J(w)}が必ず線形分離可能になるように変換することは出来ることになり、その変換は「ローゼンブラットのパーセプトロン(2)」で示したように真ん中のニューロンn_{1k}シナプス係数s_1kiしきい値h_k

  • x_i(k)=1の時
    • s_{1ki}=1・・・・(5)
  • x_i(k)=0の時
    • s_{1ki}=-1・・・・(6)
  • h_k=\Bigsum_{i=1}^nx_i(k)-0.5・・・・(7)

とすることによって実現されます。
J(w)とその補集合\bar{J(w)}が必ず線形分離可能になるように変換されるので、右側の層のニューロンn_{2w}J(w)を識別するように学習することは可能になります。よって、このパーセプトロンは任意の入力パターン群I(w)に対してy_wのみが反応するように学習することが出来ます。つまり、学習能力に制約はありません。