イラク戦争前のドバイと、クレジットカード詐欺

「オタクが、個人情報取られたんでしょう!」
詐欺にあった、と伺いましたが、というのんきな返答に頭に来て、語気は荒らげなかったが、一言いうと、先方、馬鹿丁寧な対応に変わった。
数日前、三菱UFJ関係のクレジットカード会社に電話をした時のことである。

話は遡って、その前日のこと。三菱UFJらしきアドレスから、一通の英語メールが来た。
どうやら、何か問題があって、クレジットカードの利用が制限されているか、停止されているので、以下の手続きをして欲しい、という内容であった。
一応、リンク先のページをみると、日本語で通常の三菱UFJのスタイル、そこに、
クレジットカード関係の情報を再入力することになっていた。
が、情報を入れると、ページは対応せず、記入ミスがある、という表示。その後慌ただしく、
翌日の朝になって、確認の電話をカードの裏に書いてある電話番号に掛けると、
「昨日から、同じような問い合わせが続いています。」
じゃあ、何か対応策があれば聞きたいし、カードの利用の停止・再発行しかないなら
そうしたいのだが、というと、「担当から電話させます。」
暫くして携帯がなるも、応対する前に切れてしまって、その後は全くないので、
再度こちらから電話し、同じ事を話したら、暫くして再度「担当」から電話が掛かってきた。
(長くなったが)、その時の第一声が、冒頭のコメントだ。


同じような問い合わせが続いていて、しかも、個人情報が漏れていなければ、発生しにくいような詐欺。
しかも、同じ電話から転送したものでないと、今回のようなメールと同様、手の込んだ犯罪であったら、詐欺の入り込む余地は幾らでもある。
実際、このカードの関係会社の電話対応者は、
「私以外の者がお電話しますが、会社名を申しますので」
と言ったが、今回のように「担当」から電話が掛かってくるまでにも時間があるような場合、電話での詐欺が行われたような場合、どうやって本物と見分ければ良いのか。


なぜ、こんなことを書くかと言えば、いや、なぜ、こうも簡単に詐欺に掛かったかと言えば、
最近、クレジットカード絡みで問題が多く、ある時はカード会社に助けられ、ある時は、複雑すぎる対応に困り。。。
いずれにせよ、一貫したシステムがないために、参ったことになっていた。
昨年、ウエブから航空券を買い、ネット環境とウエブでの対応の問題で、航空券が二重発券された時は、出発まで日にちのないものだったのだが、カード会社が、海外名義で同じ内容で二重引き落とし請求が出ていることを不審に思って、こちらの携帯に連絡をくれたせいでわかった。
e-ticketは一枚しか受け取っていなかったが、すでにカードの限度額は超えていて、暫く利用もできなかった。
航空会社には、状況を理解させるだけでかなりの手間がかかった。


他にも、2月にガザで、コンピューターからカード決済の手続きをしようとしたら、幾らやっても途中で止まる。
おかしいなあ、と思っていたら、その後、例えば先月日本に招聘したサラ・ロイ氏の講演に併せて彼女の著書を、代行して取り寄せようと出版社への支払いをしようとしたら、「そのカード、幾らやっても請求できません」という返事が、米国とイギリスの出版社両方から来た。
帰国すると、クレジットカード会社から、至急問い合わせをしてください、とのはがき。
この会社が今回も問題になった三菱UFJ関係なのだが、個別の対応には何か言おうとは思わない。
航空券のケースなど、非常に助かった。
詐欺などにあってカードの不正利用があった場合など、カード会社もカード保持者に金額の請求は出来ない規程になっているカードだと思うので、そのための対応なのだろうが、それにしても有り難かった。
一方、こうした統一性のない対応だと、何処の誰からの連絡を信じて良いのか、全くこちらは判別不能
特に、海外での利用が多いので、困る。


ガザでもクレジットカードが利用できる店はかなりあるし、7,8年近く前でも高級ホテルなどでは使えた。
インテイファーダ中でも結構使え、ATMも普通に作動していることが多かった。
それが、ハマスが政権を取ってから、西岸を含む外部からの送金が停止、または制限され、今も状況は不透明。
私のような海外で作ったカードを使う場合、使用できないのが、カードの性質のためなのか、
全ての金融取引に大幅な制限が掛かっているためかは、全てを確認するのは不可能だろう。
今回は、ホテルの支払いをカード決済で行えたが。


因みに、02年12月、イラク戦争直前のドバイでは、Citi Bankの銀行カードを持っていても、ほぼ全てのATMで、現金の引き落としが出来ずに苦労した。
Citiの支店に行かない限り、お金が引き出せなかった。
が、戦争終了直後になると状況は一変。
現在に至るまで、ATMで現金が引き落とせなかったことは一度もない。


面白かったのは、ガザの中産階級は、カードを使いたがっていること。
会社などが、(主にファタハ系のPA関連企業などは)、会社の事業と関連のある付帯サービスがあるクレジットカードを持つことを、社員に奨励しているとも聞く。
要は、新しいカードを持って、嬉しくて、友人をご馳走するときにカードを見せたい、単純に使いたい、ということのようだ。
いずれにせよ、政治的な側面は否めないが、心情的には良く分かる現象で、何よりそうした見栄はおいしいので、随分とパレスチナ人にご馳走になってしまった、前回のガザ滞在時期には。

(4/20 日本 小田切 拓)