長崎電気軌道 未届け事故問題など

長崎電気軌道 505号

 12月になりました。いずれ今年を振り返ってというようなことをやりますが、経営的には業界の優等生とみられていた長崎電気軌道で大量の未届け事故が発覚した問題は、今年の大きな出来事のひとつに挙げられるでしょう。その関係の記事が出ています。
 長崎電気軌道 事故未届けは183件 朝日新聞
 長崎電気軌道事故隠し:未報告183件に 毎日新聞
 事故未報告183件 長崎電気軌道社長が謝罪会見 長崎新聞
2002年1月から今年7月までで、人身事故29件、物損事故154件、合計183件が警察へ届けられていなかったとのことで、この間に起こった事故は計638件、未届けの事故のほとんどは、「電車側に過失が少ない事故」で、事故を報告するかしないかは社長らが事故の程度などを基に判断していたそうです。
 約5年で600件余りという事故の件数は、感覚的に多いなと思いますが、他社の実態は分からないので、果たして本当に多いのかどうかはよく分かりません。平均すると3日に1回くらいは起こっているから、責任事故じゃないようなものは多少はいいだろうという判断があったことは想像に難くないのですが、やはり届出義務を負う側が届けるか、届けないかを判断することは、具合が悪いというほかありません。
 今日も、出島と築町の間で自転車と接触する死亡事故はが発生し、公式サイトでもお詫びが出されています。
 交通事故:路面電車と衝突、78歳男性が死亡−−長崎 毎日新聞
 この事故の原因は調査中とのことですが、一般的に路面電車は、自動車、自転車や歩行者など、多くのものと同じ空間を共有していて、自動車よりも止まりにくく、ハンドル操作でかわすこともできないし、逆に急ブレーキをかけると車内の転倒事故が発生する、そういう不利な立場にあることは事実でしょう。だからといって、事故を少なめにしておくことが正当化されるわけでもないし、「言わなければ分からない」で済むご時勢でもないのです。「コンプライアンス委員会」もいいかもしれないけど、やはりトップがきっちりやっていくということを態度で示さないとだめなんじゃないかと思います。