2009-05-10
放浪記- 私は古里を持たない
「私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない」から始まる林芙美子のこの日記は、私のバイブル。
1920年代の貧しい日本のほとんど底辺で生きた作者の若い日々が綴られている。
旅とチェーホフが古里だと言って、林芙美子は日本各地を転々として、女中になったりカフェーの女給になったりしてその日暮らしを続ける。
男の人もたくさんいて、恋もたくさんするけれど、変わらないのは母への愛情と旅をしたいという熱望だけ。
25歳になったあたりでは自分の先行きに不安を覚えたり。
まるで自分のことのようで、身につまされる。
「二十五の女心の痛みかな…」を始めとする詩もすべて、とてもいい。
−女ほど同情のないものはない。
女に意地悪するのは、女だもんね。
−母を手でたたきたいほど可愛くなってくる。
−地球よパンパンとまっぷたつに割れてしまえと、呶鳴ったところで私は一匹の烏猫だ。
−私、家なんかちっとも持ちたくなんぞならないわ。このまま煙のようにスッと消えられるものなら、その方がずっといい。
−東京には、いっぱい、いいことがあると思ったけれど一つもない。
そうよね…私もそう思うことがある。
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