太陽熱発電(Ivanpah)

日本では太陽発電と言うともっぱら「太陽光発電」ですが、アメリカでは「太陽熱発電」も活発です。

今年の2月に、太陽熱発電プラント開発の米BrightSource Energy社は、米エネルギー省(DOE)から13億7000万ドル(137Mドル1,370Mドル=約1,230億円)の融資保証を得たと発表しました。この資金は、同社がカリフォルニア州に建設を進める世界最大規模のIvanpah(イヴァンパ)太陽熱発電所建設プロジェクトに充てられます。一般家庭14万(140K)世帯の電力需要に相当する400メガワット(400M)を発電するこの発電所により、米国の太陽熱発電の発電能力は現在の2倍に増加するそうです。(Milestone 1)

その後、今月8月2日にCalifornia Public Utilities Commission (CPUC) が第1期の117メガワット分の建設認可を出したそうです(Milestone 2)。また8月4日にCalifornia Energy Commission (CEC) が「本プロジェクトを認可した方が良い」という結論(提案)をだしたとのことです(CEC siting committee issued a proposed decision recommending approval of the project.)。で、最終認可(Milestone 3)は今年の秋になるそうですが、この辺りの許認可は日本以上にややこしい。(砂漠にも先住生物が色々住んでおり、その権利を守る必要ありということです。これら先住生物は残念ながら公聴会に出て来て発言できないので、自然保護団体の方が替わりに発言される訳です。)
イヴァンパ発電所の発電設備は、多数の小型ミラーを使って太陽光を反射させ、タワー先端にある水を満たしたボイラーに送ることで蒸気を発生させ、タービンを回すという仕組みを採用するそうで、ボイラーとかタービンの設計製造はSiemensです。
通常「太陽光発電」とか「太陽熱発電」の設置場所は砂漠が多いですが、「太陽熱発電」の問題点は一度蒸気になった水をまた水に戻すのに冷却する必要があり、冷却用の大量の水を必要とする事で、砂漠の貴重な水を使うという事が問題になります。今回の施設では「水冷」ではなく「空冷」にすることで、貴重な水の使用料を90%減らすと言っています。
2010年後半に第1基が着工し、2012年から稼動を開始する予定。第2基と第3基は2013年から建設を開始。また、この建設プロジェクトにより1000人規模の雇用が創出される見込み(失業率を常に気にするオバマ大統領が喜びそう)。
BrightSource Energy社は、PG&E(Pacific Gas & Electric)とSCE(Southern California Edison)の間で2.4GWのエネルギー供給契約を結んでいるそうです。2/3がPG&Eに、1/3がSCEに行くそうです。
同社曰く、

  • generate enough clean energy to power 140,000 homes
  • reduce carbon dioxide (CO2) emissions by more than 400,000 tons annually, the equivalent of taking more than 70,000 cars off the road
  • provide more than 1,000 local union jobs at the peak of construction; 650 jobs annually on average for its three year construction period
  • provide $650 million in employee wages over its first 30-year life

by 阪口