制服の処女?

またぞろ、職場近くの女子校話で恐縮だが、平日なんて特にネタがないんでお許しを。
昨日の関東地方は、3月だというのに結構雪が降りしきった。私はふだん、通勤のときはJRの某駅から地下鉄に乗り換えて会社まで行くのだが、昨日は地下鉄の駅から会社まで歩くのがかったるかったので、JRの駅からバスに乗ることにした。これだと私の会社の目の前まで着くのである。で、私の会社のバス停の一つ前が、その女子校の真ん前のバス停なのだ。これが何を意味するかはおわかりだろう。そのバス路線は事実上、その女子校のスクールバス状態となっているのである。
で、駅のバスターミナル。いつものごとく、長い女学生の列ができていた。吹きすさぶ風と雪の中である。短いスカートにナマ足の女学生が寒そうで気の毒だったが、私の後ろに並んだ高校生と思しき2人組*1がやたらとうるさい。風が吹くたびにピーピーギャーギャー叫ぶのだが、風と雪が後ろから吹き込んできたらこう言いたれた。「なんかさぁ、後ろから攻められてない? 『後ろ攻め』だよね」「『バック』だよね」。…いや、ホントに言った。確かに言ったんだって。私だって耳を疑ったさ。朝にである。雪の朝にである。女子高生がである。
やがてバスが来た。乗り込んで料金を払いながら、いくらなんでも今のはやはり私の聞き間違いか、あるいは私が下品な勘繰りをしただけだったのだ、と思い直した。朝っぱらから女子高生がそんな会話をするはずがないではないか。私は自分を恥じ、最後尾の座席に座った。私の右隣の窓際にはその女子校の小学生(低学年と思われた)、左隣には件のうるさい2人組が座る。雪の中、バスは動き始めた。チェーンを巻いているため、タイヤの音がいつもより格段にうるさいのだが、そんなのをものともせず彼女達は喋っている。話題は彼女達が好きな歌手だかバンドのことのようだ。コンサートに行きたかった、とかその歌手がやっているラジオを聴いたか、というようなことを喋っており、その流れで、「ラジオ局の前で『出待ち』しようかなー」と片割れが言った。すると…。
「『出待ち』ってさぁ、なんかリアルだよね。『出るのを待つ』、みたいな」
「『で、で、でる、でる、でれ、でろ』じゃんw」
「じゃ入れるだと『れ、れ、れる、れる、れれ、れろ』とか」
……え、何これ? 季節外れの雪が見せた幻? それとも遊人のマンガ? 繰り返すが、ホントに言ってた。間違いなく言ってたのだ。私は激しく惑乱していた。
そうこうするうちに、バスがその女子校の停留所に着いた。つむじ風のように2人組は降り、私は、右隣の窓際に座っていた小学生のために一度立って通り道を空けた。彼女は私にしっかりと「ありがとうございます」と礼をして、バスを降りていった。その立ち居振る舞いは、渓谷に湧く、手がちぎれるほど冷たく澄んだ清水を思わせた。
いま激しく舞い降っている雪も、降りたては白く美しい。しかし、一度降りつもると、泥や土にまみれて、道の片隅で汚れていく。その小学生の彼女には、いつまでも降りたての雪のようであってほしい、との願いを禁じ得ないのだった。もう顔も覚えていない、通りすがりの少女ではあったけれど。

*1:その女子校は、系列の小学校から高校までが同一のキャンパスにある