土曜日

彼は考えていた。

この道は右に続く道か?左に続く道か?

2つのゴールがあるのだからどこかで道が分かれているのだろうか?

それともどちらか一方に勝手につながっているのだろうか?


そこで彼はふと思う。

そう、思いついたのだ。

進めばいいんだ。

そう、この道はまっすぐなのだから。


臆す必要がどこにあろうか?

たとえ道が分かれてもきっとどこかでまたつながる。


あの目的地は終わりではない。

始まりだ。


そして彼は歩き出す。

あの得意なニヤリとした笑みを浮かべて。




もう一度言おう。





これは終わりではない。





始まりだ。





きっといつかまた。どこかで。そう信じて。

6/30 タコハチ























DEES










完結祭












〜俺たちは最初からクライマックスだ祭〜














タコハチの日記














完。

金曜日

彼は考えていた。

彼はバイト仲間と少しづつこの後どうするか話し合っていた。


やめるもの。続けるもの。まだ悩んでいるもの。

様々だった。


隣の駅の店に行った前の店長が来て、うちに来てくれと彼に必死に頼んだ。

彼はというと、まだ悩んでいた。


彼には道が見えた。


まっすぐな道だ。


分かれ道はない。


しかし同時に彼には


2つの目的地が見えていた。

木曜日

彼は考えていた。

(俺はいったいこの仕事で何人の人とかかわったのだろう?)

一日平均100人はかかわっている。まぁ常連が多いので、単純にそれかける働いた日とはならないわけだが、それでも相当数かかわっているわけだ。

彼は今までそんなこと考えたこともなかった。


しかしそれはすごく偉大なことなのではないか?


そう、そして彼はこの仕事を通じて少しづつ感じていたのだ。


ニンゲンも捨てたもんじゃないな。

火曜日

彼は考えていた。

近くにある同じ系列の店で働いてみたらどうだ?あそこはいいぞ

店長は言った。


しかしそう簡単に決められるものではない。

確かにそれが一番いいのだろうけれど、この場所が好きだった彼には簡単に返事はできなかった。

考えてきます。


そういって帰った。

彼は今、悩んでいた。

月曜日

彼は考えていた。

やっぱり駄目だ。

ここ数日間忘れていたがやはりバイトをすると思い出してしまうのだった。


彼はすごく悩んでいた。


バイトにもいつものやる気がなかったように感じられる。

全ては木曜に知らされた事実が原因だった。


そうかわりようもない事実……






バイト先がつぶれるという事実だ。

日曜日

彼は考えていた。

雨か……

朝からサークルのバーベキューに行くため彼は車を走らせていた。


途中よった大きなデパートを出たときにはすでにその冷たい粒は彼のほほにあたっていた。


なんてこった。


彼は思った。


しかしここでやめるわけにはいかない。

今日の事だって結構計画たててやってきたんだ。

雨なんかに負けるものか。


彼は車を走らせ続けた。

キャンプ場に着いた時、雨はけっこう本格的になっていた。

屋根があるからバーベキューはできるものの、これではな……と彼は正直思っていた。


しかしはじめてみてすぐに思う。

楽しい。


そう彼は大切なものを忘れていたのだ。


自然は偉大である。

しかしそれを感じるのは彼自身である。

彼の中にそれを超えるもっと偉大なものがあればその自然さえも軽く超えられるのだ。


彼は深くうなずいた。