Chiezaru’s diary

字を書くときはChiezaruで写真を撮るときはMeta_Monkey

徒然雑記


【 虞美人草の咲く風景 】- ローマ、イタリア
Olympus E-5 + Olympus Zuiko Digital 12-60mm f/2.8-4 ED SWD

「村上春樹さん発言要旨 京都で公開インタビュー」 http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/201305/0005967489.shtml の記事を読んで。

「・・みんな自分が主人公の複雑な物語を、魂の中に持っている。それを本当の物語にするには、相対化する必要がある。小説家がやるのは、そのモデルを提供すること・・」という箇所が一番興味深かった。

個人的に『ノルウェイの森』がどうしてあれだけ売れたのかずっと不思議におもっていたけれど、この回答を見て、あ、やっぱり確信犯だったか。快哉。と思った。
(『ノルウェイの森』が嫌いというわけではないです。)

氏の作品を読んでいるとリードしながらもどこか作品を読者に引き渡してしまうような印象がを受けることがあるのだが多分これがポイントなのだろう。

ファンの数はおびただしいが、Twitterなど見ているとアンチの人も多い様子。(アンチの内容はいちいち読まないけれど。)

ただ、ファンにしろ、アンチにしろ、一人の人間をして一冊の本を読ましめてしまうその文章の力は否定できないと思う。

すこし前に『海辺のカフカ』を読んだときの感想で、文章が達人の域で自由自在という感じと書いたけれどご本人もそれを自負しておられる様子。さすが。

ところで。

この人の本のほかの作家の書くものと違うところはというと、ストーリーだけではなく文章を読む心地よさが並外れているところのように思う。

『1Q84』の物語自体には特に驚きを感じなかったけれど、そこに書かれている「ことば追う快感」というのものが氏の書く文章にはある。

それは彼の培った音楽性からくるものかもしれない。
音にはならなくても身体に馴染むじむリズムというものを文章で再現するというのだろうか。

村上春樹の文章を読むというのは音楽を聴いて楽しむというタイプの気持ちのよさが加味されているような気がする。

快感原則に則ったことばたち。

稀有の作家。

あと数枚↓
(全てOlympus E-5 + Olympus Zuiko Digital 12-60mm f/2.8-4 ED SWDで)