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Chikirinの日記 RSSフィード

2005-10-28 本を買う

今週は、読書週間だそうです。「バレンタインはチョコレート」という信仰をお菓子メーカーが確立して大成功して以来、どの業界もこんなんばっかりですね。○○週間、○○の日が乱立しております。それでも「そうか読書週間か、じゃあ、本読もう」という人がちょっとでも増えればいいのでしょう。頑張ってください。


「出版不況」も言われ始めてから10年以上。それってもはや不況じゃなくて“衰退”というべきなんでしょう。メディアはよく「本離れ」「活字離れ」っていうけど、客側が悪いようにいうこの言葉はちきりん的には余り好きでないです。

じゃあなんで?って話ですが、本が売れなくなった理由ってすごく複合的ですよね。


(1)調べモノがネットに移った。

昔だと、なんか調べたい、知りたいと思うと、本しかなかった。今は、ちょっとしたことならネットで答えが見つかります。ちきりんブログも、世界の人口だの生活保護受給率だのといろんなデータをひっぱってきて文章を書いていますが、全く本を必要としないですね、ネットで数分探せば大抵は元データが見つかります。単純なデータサイトの他に、哲学とか歴史でも、充実した解説サイトがたくさんありますからね。変な本買うより、早くて内容もすばらしかったりする。


(2)図書館が超充実し始めた。

昔の図書館は「ベストセラーを発売直後に大量仕入れ」なんかしなかった。名著とか古い本とかは保存するけど、「流行モン」は自分で買え、という感じだった。でも今は「リクエストカード」とかおいて、利用者が読みたい本をわざわざ買ってくれる。話題の本がもうすぐ出る!というタイミングで、本屋に行くか図書館に行くか、というチョイスができたのも大きい。あと、もちろん「ブックオフ」も影響が大きいよね。


(3)図書館を利用できる人が増えた。

基本的に、若い働き盛りの人って図書館に行きにくい。でも、定年して家の周りの探索を始めると、実は近くに図書館がある。お金の節約にもなる。


(4)子供が減った。

なんだかんだ言っても子供は本を読みます。てか強制的に読まされる。夏休み毎に、小中学生は全員「読書感想文」を書かせられるし、年に1回は「読書感想文コンクール」がありますからね。子供の数は200万人から120万人に減っており、これだけでも、本の売り上げ数は4割減です。


(5)エンタメ娯楽が本から他に移った。

前は電車の中で本を読んでた人の中で、今は携帯をいじってたりゲーム機を楽しんでる人も多いと思う。エンタメツールとしての競争に負けているってことでしょう。時間の他、お金も有限だから、ゲームか本か、というようになるしね。


こうみると「本を読む」機会より、「本を(定価で)買う」機会の方が圧倒的に減ってるかもね。ブックオフや図書館で手に入れた本を読む人は、今までよりお金もかからないしたくさん読むようになっていてもおかしくない。

ただ出版業界は「本を読んでほしい」のではなく、「本を(定価で)買ってほしい」ので、それじゃあだめなんでしょうが。彼らが高いマーケティングコストをかけて「読書週間」などというものを作っている理由は、「本を読んでほしい」からではなく「本を買ってほしい」からですよ、みなさん。

100歩譲って「成長したければ、学びたければ本を読め」という宗教を認めるとしても、「読む本は、定価で手に入れなければならない」という論理を成立させるのはもう誰にもできないだよね。そこがつらいところです。仕組みが変わるってのはそういうことだ。


ではまた明日!

2005-10-27 介護保険のからくり

介護保険がほんとーに意味不明な件について書いてみる


介護保険を使って、入浴時に使う、浴室用の介助椅子を買いました。すると、「介護保険適応マーク付き」の椅子は数種類しかありません。しかも値段は 8000円くらいです。

定価は 8000円でも、購入者が負担するのは一割の 800円です。ほとんどの人はコレがホントの値段だと思っているので(=介護保険について知識がないので)、「すごく安い!」と思います。

ですが、実際には安くありません。残りの 7200円は、介護保険から椅子メーカーに支払われます。椅子メーカーの売上げは 8000円です。


椅子の価値としては、というか、ドンキホーテで同じような商品を探せば、多分 1980円程度の椅子です。プラスティックとゴム足の、シンプルな、簡単な椅子です。何の工夫も技術革新もありません。

でもね、介護保険が適用されている人は、ドンキで 1980円で買うより、8000円の椅子を一割負担の 800円で買う方が 1000円以上、お得です。

だから、ドンキで買わずに、わざわざ「介護保険適用商品の取り扱い認可のお店」で、高い方の、8000円の椅子を買います。

椅子メーカーも、8000円の椅子に「介護保険適用!」認可をもらう方が、1980円の椅子をドンキに卸して売るより、何倍も大きな売上げが上がります。


まとめましょう。


<得している人>

(1) 椅子メーカー 原価は1000円未満でしょう。8000円で売れたら、7000円くらい得

(2) 介護椅子買う人 ドンキで買えば 1980円だけど、介護保険なら 800円で買えるので、1000円くらい得してる。

(3) この椅子を審査して、介護保険適応マークを「認可」している公務員・・給与分得してる。


<ソンしている人>

上の(1)、(2)、(3)の得した額の合計額を、「介護保険料」として毎月払っている人です。

今は40才以上の人が払っていますが、既に制度が破綻しそうということで、そのうち「20才以上の人はみんな払え」という制度になるかもしれません。



こんな制度、破綻します。高齢化が進むからでも少子化が進むからでもなく、制度がばかげているという理由で。

介護保険がなければ、介助椅子は 1980円か、もしくは、もっと安く売られるのです。

貧しい人に補助をしたいなら、その 1980円を補助すればいい。そしたら補助金は 1980円で済むんです。

ところが介護保険という制度を通すと、補助に必要な額は 7200円に跳ね上がります。この補助する額って・・・介護保険料を払ってる人の負担額なんだよ。


あんな樹脂椅子が 8000円で売れるなんて、介護保険市場しかありません。信じがたいくらい儲かりそうです。

私が椅子メーカーの社長ならどうするか?


当然、制度を作っている厚生労働省の介護保険課の課長だか、厚生族の政治家にでも“付け届け”をするでしょうね。

あの椅子一つで 7000円のあぶく利益が手に入るです。だったら、そのうち 3000円ぶんくらい(×売れる椅子の数)は、“お礼”としてそういう人に献金しても割に合う。もしかしたら接待漬けにしちゃうかも。

もちろん制度を守ってくれる政党と政治家にも寄付しますよー!


わかると思うけど、お風呂の介助イスなんていう安い商品ならまだマシなんです。

何万円、何十万円もする電動ベッドから特殊な介助用トイレ、電動車イスに至るまで(形態は購入に加え、レンタルの場合もありますが)多くの介助用品でこういうことが起こっています。

たとえば車椅子は、一ヶ月借りてたった 300円。だけど保険からは、追加で 2700円が業者に支払われてます。仕入れ値が 1万円ちょっとの車椅子を、ユーザーは 300円で借りることができ、業者は一ヶ月で 3000円もらえる。5ヶ月目以降は全額利益です。

だから業者は積極的に「車椅子どうですか?」って勧めるし、それらを使う人は「安い安い!」と言って、どんどん購入&レンタルします。そりゃ―安いよね。たった1割の負担で使えるんだもの。


でもね、残りの 9割を払ってるのは誰なのさ?



f:id:Chikirin:20150810175729j:image:medium

また明日!


追記)私がこのエントリを書いてから 11年後、ようやく中日新聞がこの件を報じました。

https://twitter.com/kelog21/status/786240000354430976



http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+personal/  http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+shop/

2005-10-25 本を贈る

みなさんは、本をもらったこと、贈ったことがありますか?子供の頃はよく本をもらいましたが、大人になってから本をもらう機会は案外少ないのでは?

ちきりんは、この「本を贈る」という行為を過大評価というか過剰意識していて、ほとんど誰かに本をあげた記憶がないです。子供に絵本あげるのはよくあるでしょ。クリスマスとか誕生日に。でも、大人の人に本をあげる、というのは“怖くて”なかなかできない。


ある友人が、我が家に来たときに、本棚をじーっと見てるんです。なにしてるん?と聞くと、「本を見ると、その人がどういう人かわかるから」というんです。「へえ〜」と思うと同時に「不気味〜」とも思いました。

確かに本って、その人の内面をえぐり出すような気がする。私がどういう人か、何を考えているか、何にこだわっているか。いろんなものを浮かび上がらせてしまう。持っている本を他人様にさらすのは、初めて出会った人に「私の信じるもの」について懇々と説く、という行為にも似た、恥の多い行為に思えます。

★★★

自分が大人になってから「もらった本」で記憶があるのは、3冊だけです。で、どれも捨てずに置いてあります。

ちきりんに本をくれた3名は、なぜこの本をちきりんにくれたんでしょう?そこには、彼らが思うところの「ちきりん」像があるわけです。「ちきりんというのは、こういう人のはずである」「ちきりんは、こういうのを読めば(自分と同じように)こういうことを感じるはずである」という思いみたいなのがあるんですよね。

ちきりんが、これらの本を一生捨てないだろうと思うのは、本の中身の問題ではなく、「私は、こういう人だと思われていたのだ。少なくとも、ある特定の人から」という気がするからです。なお、3人とも恋愛関係にあったとかいう人ではなく、友人です。

ちきりんにとって、この3冊の本が、とても特別なものである理由は

(1)本自体には理由はなく、

(2)贈ってくれた人にも理由はなく、

(3)「ちきりんが、こういう本を贈ろうと思わせる対象として、他人の目に映っていた」ということに理由がある。

んです。

★★★

3冊の本の一冊目は、寺山修司 青春歌集。角川文庫で昭和47年発行の第三版。当時の値段で180円。歌集だから今でもちらちらと読んでます。

寺山修司青春歌集 (角川文庫)

寺山修司青春歌集 (角川文庫)


寺山修司さんは大好きです。太宰と同じ臭いがする。そして天才。


「書を捨てよ、町にでよう」

「海を知らぬ 少女の前に麦わら帽の我は両手を ひろげていたり」

「地下室に樽ころがれり革命を語りし彼は冬も帰らず」

「息荒く夜明けの日記つづりたり地平をいつか略奪せむと」

「煙草臭き国語教師が言うときに明日という語は最もかなし」


この本をくれた人は、ちきりんにくれるためにこの本を買ったのではなく、自分の本棚からこれをくれたと思います。

★★★

二冊目。V.E.フランクルという人が書いた「夜と霧」。訳本です。もともとはドイツ語。ナチスに強制収容所にいれられた人の記録です。著者は精神科医、心理学者ですね。

夜と霧 新版

夜と霧 新版


コレ・・怖くて読めないです。あと、難しい。

本の最後に、この本をくれた人の万年筆の文字が残っています。フランス語で「ちきりんの22才の誕生日を祝う」と書いてあります。

・・・

重すぎ

・・・

22才の女性の誕生日に「ナチス強制収容所の体験記」プレゼントします?普通・・・

しかも世はバブル真っ最中。ブランドもんのバッグとかアクセじゃないのか?

ちきりんがいかに「他人様に幻想を与えていたか」が思い起こされる一冊です。

★★★

三冊目。シモーヌ・ヴェイユ「重力と恩寵」

フランスの思想家です。女性ですね。名前くらいは知っている、という程度です。思想書というより、詩集みたいだから、一部だけ読んでます。


「その人が、心のどの深さから語っているのか、ということは、聞き手にかならず伝わるものだ」という箇所にしおりをつけ、マーキングして贈られました。どーゆーことなんでしょう?ちきりんが「心のすごい浅ーいところから話しているのを、俺はわかっているぞ」ってことなんでしょうか。。。それとも反対?どちらにしても・・

・・・

怖すぎる

・・・

★★★

この3冊により浮かび上がる「ちきりん」という人は、この本を贈ってくれた人が感じた、もしくは、「そうであってほしい」と思ったちきりん像であって、実際のちきりんとは違う、と思います。

本を贈る、という行為は、受け取る側の人のことを理解した上で贈っている、というよりは、「その人はこういう人のはずである」という誤解と、「こういう人であってほしい」という幻想と、そしてまた「自分はこういう人である」という自己主張というか、「理解を求める切実なる心の訴え」みたいなものを表すと思います。


一方で、簡単に他人に本を贈ることができる人というのは、自分が本をもらっても、こういうこだわりを持たないんでしょう。だから気軽に人に本をあげることができる。

ちきりんには、その行為はあまりに「重く」て、もしかしたら一生誰かに本を贈る、という行為をしないかもしれないと思います。


ではまた明日

2005-10-24 言葉は歴史

ちょっと思いついたので言葉の成り立ちについて。


「たわけ者!」というのが大バカ者を意味するのは、豊臣秀吉の時代からです。

“たわけ”というのは“田を分ける者”で、兄弟2人の家で、親の田んぼを分けて相続することをいいます。そんなことしたら田んぼが小さくなって、生産性が悪くなってしまう。田は「分けずに」長男だけが相続し、次男は小作にでるなり別の商売をするべきだ、と。豊臣秀吉が「田畑を分けてはいけない」という法律を作ったことは教科書でも習うと思います。というのが“たわけもの!”の語源。

「くだらない」という言葉は、戦国時代にできた言葉だ。戦国時代に京都が戦争の場となった時、多くの貴族が「貴重なお宝は田舎に避難させよう」ということで、毎晩、かごに満載したお宝を地方の館に移したそうな。当時は京都が日本の中心だから、京都にくることが「上り」で、京都から離れることが「下り」ですね。「江戸に下る」の方向です。

で、貴族・公家の皆様は「高いコストをかけても、戦火の京の都から避難させるだけの価値のあるもの」を「下るもの」と呼び、そこまでせんでもいいで、燃えたら燃えたでいいか、という程度の価値のものを「京都から地方へくだらないもの」と決めた。それが「くだらない」という言葉の語源です。値打ちのナイもの、という意味ですね。

で、「とりとめない」ってなんなのさ?と思う。「とりとめる」ものがあるんだと思う。で、そうでないものが「とりとめないもの」なんだと思う。なんだい。とりとめるって・・

★★★

英語で「電話を切る」という意味での「切る」は「hang up」です。なんで「切る=hang up」なのか?昔の電話は長方形の箱が壁などにかけてあって、切るときは受話器を受話器受けに「掛ける」システムだったわけですね。今の公衆電話(緑の)もそうですよね。電話機の横についている受話器受けに、受話器を「掛ける」でしょ。あれです。昔は家の電話も含めすべてあの形だった。だから「hang up」です。今は受話器は「置く」と切れます。

ちなみに、「hang up」に相当する日本語は思いつきません。これは、日本で電話が普及した時には、既に電話は「置く」形のものに進化した後であったということではないかと推理しています。英米では電話の普及が早く、そのころは「掛けて切る」式の電話だったのではないかと。一方、英語で「受話器を置く」というのはplaceでしょうか。ほとんど聞きません。「最初に」「普及」した時の形態によって、使われる言葉が決まるとしたら、固定電話より携帯電話が先に普及した南米や中国の言葉などでは「電話を切る」というという動作がどのような言葉で語られているのか興味深いところです。push the redつーよーな感じかも??

電話を「かける」という動詞は未だに「dial」が使われることがある。でも、もう電話は「ダイアル」しないよね。日本語でもまだ「電話番号を回す」と言うこともありますよね。でも、既に「電話番号を回す」って何を回すの?と質問したい人もいるかも。そういう人には「お父さんが小さい時にはね、電話番号は回すものだったんだよ」と懇切丁寧に教えてあげねばなりません。だって、自分が電話をかけ始めたころには既に、電話番号は「押す」ものであった、という人も多くなっているから・・・。(ちきりんブログの読者にはそんな若い人はいないかも?)

「私は彼の電話番号を押した」

どうですか?違和感のある人は、おじさんおばさん以上。違和感ない人は若者です。

★★★

「録画する」という言葉もビデオの時代の言葉ですね。HDDなら「保存する」ですよね。DVDは「焼く」なんだろうか?

昔→「お母さん!今日のドラマ、録画しといてね!! 行ってきまーす。」

今→「お母さん!今日のドラマ、保存しといてね!! 行ってきまーす。」

となります。

「記録する」という言葉ならどの媒体でも使えそうです。



なんで、こんな「とりとめもない」ことを夜中に書いているのか、とても不思議です。我ながら。

もしも「とりとめる」という意味が「とっておく」「記録しておく」という意味だとしましょう。(いや、知らんのですが、想像で)。つまり、「記録しておく価値のあること」=「とりとめる(べき)こと」だとしましょう。

すると、まさに今ちきりんは「記録する価値のないことを、とりとめている」という状態です。「とりとめないけど、とりとめておく」行為をやってます。ああ・・・・くだらない!



もう寝ます。

おやすみなさい。また明日。

2005-10-21 官僚と新聞記者、兄と弟

昨日の続きですが、あの話には別の背景もあると思います。

「税金で留学したのに、高給の外資系企業に転職する公務員はひどい!」という批判は、新聞やテレビ、雑誌などのマスコミが指摘、報道しているのですが、実は、批判側のマスコミと批判される側の官僚達は、元々は同じ大学の学生、もしくは「同じ大学に通うかもしれなかった人たち」ですよね。

ある人たちは官僚(権力側)となり、ある人たちは“権力の監視機関であるマスコミという在野の分野”を選んだわけです。けれど元々はほとんど同じようなグループにいたのです。

官僚を育てるための東大に入ったか、在野の反権力、マスコミに人材を輩出する早稲田大学に入ったか、の違いなんて微妙な違いです。「東大に入れていたら官僚になっていたけど、早稲田大学に進学することになったのでマスコミに就職した」人がいても不思議ではありませんよね。

昨日書いた「税金返せ論」は、そういう二つのグループのさや当て的な色合いがあるとも言えます。たとえて言えば、兄弟げんかみたいなもんです。


お兄ちゃんも弟もとても優秀で有意の青年だった。お兄ちゃんは「権力側」に、弟は「権力を監視する側」に道を選ぶ。お兄ちゃんは、給料は安いが税金で留学する。マスコミには企業派遣制度があまりないので、弟にはそんなチャンスはない。ただし、弟の会社(マスコミ業界)の給与水準はかなり高い。安月給で官費留学のお兄ちゃんと、高給取りだが派遣留学の制度がない弟。これならバランスがとれています。

ところが、留学帰りのお兄ちゃんが外資系企業に転職し、弟よりずっと高い年収をもらいはじめた。「それはずるいだろ?」と弟が記事を書く。そういう話です。

外部の人から見れば、お兄ちゃんも弟も「とっても恵まれたエリート」です。こんな話に、市井の人が首をつっこむのは結構滑稽であったりもします。


そもそもお兄ちゃんの生涯賃金は“官費留学”と“天下り”を併せて初めて、新聞社で働く高給取りの弟と同等になるシステムです。本当はこういうねじれは解消した方がいいよね。安月給の代わりに官費留学と天下りで埋め合わせる、みたいなことをしてるから弟にたたかれる。

官費留学や天下りは廃止して、かわりに給与は適切な額を払えばいいのですよね。そうすれば初めて「そういう額に見合う仕事をしていますか?お兄ちゃん!」という議論が、国民の審判を受けるんだと思います。今のようなごまかした「生涯報酬」の払い方は欺瞞にすぎる、と思います。


ではまた明日!

2005-10-20 税金の使い道

若手のキャリア官僚が国費で留学し卒業直後に転職することへの批判が高まっています。卒業直後に給与が高い外資系金融機関に転職したり、起業する、もしくは米国で働き始める。そういう人が増えており、「税金の無駄遣いだ!」というわけです。

抑止策として「留学後すぐに辞めた場合、留学にかかった費用を国に返還させる」という趣旨の法律が検討されています。この話、「税金が無駄になるとはどういう意味か」という点で興味深いです。


たとえば次の二つのケースを比べてみましょう。

<ケースA>

国費(税金)で留学したエリート官僚のAくん。留学から戻って配属されたのは、学んだことと全く無関係な部門。仕事は相変わらずのお役所仕事。上司もべたべたの浪花節。学んできた新しい方法を提案しても「アメリカでは巧くいっているかもしれないが、必ずしも日本にあっている制度ではない」などと言われることが多い。たまに英語で電話がかかってきた時に対応するくらいしか、学んだことは使えない。それでもAくんは、留学させてくれた組織に感謝しつつ最後まで粛々と勤め上げる。

<ケースB>

国費(税金)で留学したエリート官僚のBくん。留学から帰ってすぐに、外資系の投資ファンドに転職。年収は3倍になったが、成果がでなければ解雇される可能性もあり、仕事の厳しさも3倍になった。アメリカの投資家が日本の企業に投資するのを手伝い、買収された企業を経営再建する仕事に従事。15年後、経営再建のプロとしてあちこちの日本の中堅企業の立て直しに従事した。

(もしくは大成功パターンとしては)投資ファンドで5年勤めた後、ネットの可能性に賭けて起業。事業は成功し、10年後に東証マザーズに上場。BくんもIPOで資産12億円を達成!


さて、このどちらが「税金の無駄遣い」でしょう?


まず彼等が海外で学んできたことが活用されているか?という視点でみると、Aくんの場合、学んだことは全く無駄になっています。税金を使って留学したのに、効果はゼロで、税金は無駄に使われています。一方Bくんは、学んだことを最大限に活用しています。

国家公務員の生涯給与は(天下りが廃止されれば)非常に低いので、Aくんが生涯に納める税金より、Bくんが生涯に納める税金はかなり多いでしょう。その納税額の差で、留学費用が返還できてしまう場合もあるのではないでしょうか。加えてBくんの成功パターンの方であれば、起業した企業が納める法人税も多額だし、そこで雇われた従業員が払う所得税や消費税なども国の税金となります。千人に一人でも成功すれば、Bくんグループの納税面での国への貢献度は、Aくんグループを圧倒するでしょう。

日本経済への貢献度合いを比べてみましょう。Aくんは官僚としてすばらしい法律や制度を作ってくれるでしょう。日本の財政破綻を防ぐために、消費税を20%にする法律を作ったり、年金の破綻を防ぐため年金支払い年齢を75才に引き上げるという法律を作るかもしれません。

また、国交省で地方の高速道路建設の再開を計画したり、総務省で日本郵政の再国有化に尽力し、総務省で地方分権に反対する仕事をするかもしれません。そのうち立候補して政治家になる可能性もあるし、そうなると将来は大臣もあり得ます。


一方のBくんは、企業再建や経営支援の分野でプロとなり、日本企業のグローバル化推進を支援したり、和製ファンドを立ち上げて複数の企業の再建を支援するかもしれません。

起業で成功した場合には、毎年数百人、10年で数千人の新規雇用を生み出す可能性もあるし、個人としても「世界のビジネスリーダー100人」などに選ばれるかも。そういったリストに一人でも日本人が入っているのを見て誇らしく思う日本人の納税者も存在しますよね。


さて、A君とB君どちらが「税金の無駄遣い」でしょう?


ちきりんは、税金で留学した人は、是非ともその経験や学びを日本という国、そして日本人全体に貢献するために使ってほしいと思っています。たとえば厚生労働省から派遣されて留学した人は、厚生労働省にその恩や義理を返すのではなく“国民への価値提供”という形で報いてほしいということです。

そう考えれば、「自分を留学させてくれた特定の省庁に一生勤務すること」が税金を有効活用する唯一の方法とも思えません。たとえ他の組織で働くことになっても、学んだことが日本のために活かせるなら税金は有効に使えていると思います。

個人が経済的に成功すれば、その人は必ず納税という形で国に貢献します。給与の安い公務員のままでいてくれるより、民間に転職して多額の給与を稼いでくれる方が国への貢献度は高くなります。ましてや天下り先の確保に多額の税金を無駄遣いする必要性もなくなりますしね。

せっかく広い世界を見たり新しいことを学んできた人は、個別の官僚組織への義理立てではなく、より大きな目でそれらを還元してほしいものです。


ところでこういった「派遣留学制度」は、国家公務員だけではなく大企業にも存在しています。公務員の場合と違い資金が税金ではないので余り問題になりませんが、民間企業でも留学後に辞めてしまう社員は少なくありません。

彼らが留学後に辞めてしまう理由のひとつは、企業側が留学生が学んできたことに期待しておらず、留学中の学びが帰国後の業務で活かせないからです。極論すれば霞ヶ関も大企業も、この制度に期待しているのは“新卒採用を有利に進める”ことであって、彼等の学びを経営や組織運営に活かすことは最初から考えていない、と思える場合さえあります。

さすがに今はそんなところはないのでしょうが、ひと昔の銀行などでは「留学帰りはアメリカかぶれしているから、帰国したらまず田舎の支店で働かせてアクをおとさせる」というような辞令を出すこともあったと聞きます。

そんなことでは、留学して帰ってきた若者の多くが気持ち的に腐ってしまいます。「税金の無駄遣い」とは、国費で留学した若手公務員が転職してしまうことではなく、どうせ使う気もない知識や経験を得させるために国費で留学させること自体であったり、せっかくの学びを得て帰ってきた人材を、その能力や学びを活かせるポジションにつかせないことの方なのではないでしょうか。


「なにが税金の無駄遣いなのか」「どうなれば税金は有効に使われていると言えるのか」、国費留学生が辞めなくなったらそれでよし、とするのではなく、もう少し深く考えてみる必要があるのでは?と思いました。


また明日!

2005-10-19 契約書 読んでる人 手を挙げて!

最近は普通に生活するだけでも、法的効力をもつ様々な書類にサインや同意、判子を求められますよね。たとえば、、


(1)不動産を取得&売却した時

自宅マンションを買った時、販売契約、ローン契約、抵当権設定、登記関係、委任状、保険契約など多数の契約書に実印を押しました。一応すべてに目を通しましたが、当時は仕事も忙しく、帰宅後、深夜に難解な文書を読むのは苦痛な作業でした。

住宅ローンが終わって抵当権を解除する時は自分で手続きしたのですが、この時は法務局の職員の方に教えられるままに書類を作りました。「よくわからないけど、これでいいらしい」という感じです。不動産の売買やローンを組むというのは、まさに「契約作業」なのだと実感しました。

不動産よりはマシでしたが、車を購入した時もあれこれ書類を作った記憶があります。



(2)国際機関に就職しようとした時

20代の頃ですが、この時は、中学校の卒業証明書から成績証明書、さらに「その学校は中学校である」という証明書まで求められて笑えました。その上、面接のプロセスが進むごとに「次はこの書類を用意して下さい」と次々と提出が必要な書類の一覧表が渡され、「これは私には合ってない仕事だ・・」と気がついて、途中で応募をやめました。

教育制度が全く違う世界中の国から応募がある国際機関では、履歴書に書いてある学校が何年間の学校なのか、義務教育なのか、いちいち証明書が必要というわけです。

でもそういった背景を考えても、求められた書類の量は尋常ではありませんでした。日本も多額の資金を国際機関に拠出していますが、それらの一部は、こういった提出書類をチェックする人の人件費になっているのでしょう。



(3)許認可や補助金をもらう時

許認可や免許の必要な事業を始める時の手続きはあまりに複雑で、多くの場合、その分野に明るい弁護士の支援が必要になるし、書かれたルール(法律など)を読んだだけでは理解できず、役所の担当者に直接教えてもらう必要があります。

株式会社の設立については昔よりはかなり簡素化されましたが、それでも、なんだかんだと役所に通わされた経験のある方も多いでしょう。

また、たかだか“バリアフリー・リフォームの補助金を申請する”というレベルのことでも、それなりに複雑な手続きが必要です。本来は単身高齢者のための補助金なのに、「高齢者一人じゃとてもこの手続きはできないでしょ?」と思えるような事務処理を求められます。



(4)ソフトウエアを買う時。ネットサービスを利用する時

インターネットの世界も、すぐに「同意」を求められますよね。延々とスクロールをする必要のある長い文章を読んで(?)「同意する」というボタンを押さないと何ひとつ始まりません。特に金融取引をする際に求められる確認文章の量は膨大です。

★★★

というように、役所からインターネットまで、最近の世の中は“法的な文章”に溢れていて、もはや私たちはそれらを回避して生活することはできません。

祖母の時代であれば、一生の間に判子を押した書類はせいぜい婚姻届けくらいだったはずです。(それも戦前なので、親ではなく本人の判子が必要だったのかどうか不明です。)

一方、今の二十代の人などは、一生のうちにいったいどれくらいの契約書に判子を押すのでしょう?そして、そのうち「目を通して、ちゃんと理解して契約する文章」はどれほどあるのでしょう?


そういえば、先日テレビが、高齢の一人暮らしのおばあさんが悪徳リフォーム屋にだまされて大金を巻き上げられた事件について伝えていました。その人には身寄りがないので、今後は役所が後見人を紹介するとのこと。で、その様子をテレビが放映してたんですけど……。

市役所の人と担当の専門家が家に来て、「おばあちゃん、ここに判子を押してね、押すだけだからね」といって、後見人になるための契約書に判子を押してもらっていました。

なんだかブラックジョークみたいだなと思いました。この認知症のおばあさんにとっては、悪徳リフォーム屋も役所の人も同じに見えていたことでしょう。わけのわからない紙に「ここに判子を押してね!」と笑顔でいう人達。


なんだかな〜ですよね。


また明日

2005-10-18 謙虚にいきませう

10月8日、パキスタンのカシミール地方でマグニチュード7.6の大地震があり、9万人もの死者が出たと報道されています。すごい数です。

阪神淡路大震災の死者は6千人強、911とニューオリンズのハリケーンの犠牲者が約2千人ずつ。

人命の重さが数に比例すると言う気はありませんが、9万人が亡くなったパキスタンの地震より、犠牲者2000人の911の方が、圧倒的な関心を集め、長く記憶されるのが世界の現実です。

反面、パキスタンで大地震があったことを世界の人が知る時代になっただけでも、すごいことともいえます。

最近、世界のあちこちで大災害が起こっているような気がしますが、実際には「昔は遠い外国で起こった災害は、他国ではあまり報道されなかった」だけかもしれません。


★★★


私はよく「世界とは、自分が知っている範囲のことである」と感じます。知らないことは、存在自体が認識されません。私達が「世界は・・」と語るとき、それは自動的に「私が知る範囲の世界は・・」ということです。

努力すれば、より多くを知り、自分の知る世界を拡げることができます。けれども、誰にとっても「この世に存在しているすべてを知る」ことは不可能です。

読書家を自認する人なら誰でも「こんなにもたくさん読むべき(読みたい)本があるのに、時間が全く足りない」という焦りを感じたことがあるでしょう。

世の中には無限に広がる知の世界があるけれど、すべてを知ることは誰にもできません。


一方で、「知らないからこそ幸せ」という状況もよくあります。人間は、知れば知るほど楽しくなれるわけでも、幸せになれるわけでもありません。むしろ世界が狭いほど、知っている範囲が狭いほど、幸せだという場合も多いです。

人は、自分より恵まれている人、豊かな人の存在を知らなければ、ねたみや焦燥を感じないで済むし、パートナーの浮気や裏切りを知りたくない人は多いでしょう。


「世界=自分が知っている範囲」であるならば、個々人が認識する世界は、その人が「どの程度知ろうとしているか」という意思や勉強量、経験量に依存します。

たとえば世界に貧しい人達がいることを知らない間は、日本でのほほんと暮らすことができます。これを「ステップ1」としておきましょう。

しかし海外に行き、驚くほど貧しい国があると実際に見聞すると、いきなり問題意識が高まり、開発経済学を学んでみたり、海外ボランティアに参加し始める人が現れます。知っている世界が広がり、行動が変わる。これがステップ2です。

さらに学びの範囲が拡がると、非営利団体の非生産性や、支援側の国際機関が極めて官僚的な組織であること、国際援助の現場にも政治の駆け引きが渦巻いている、といった現実も知ることになります。

それらの新たな世界を知ったために、国際援助の仕事ではなく、自分の国で普通に働き、経済的な付加価値を高める活動に自分の居場所を見つける人もいます。これがステップ3です。

さらに一部の人は、国際援助に非効率や政治的な側面があるのは事実だけれど、それでも自分はそんな環境の中で地道に援助を続けていこう、と思い始めます。これをステップ4とします。


人がこれらのステップのどこに位置するかは、それぞれの人が「知っている範囲=その人に見えている世界の様子」の違いによって影響を受けます。

ある人が国際援助に強い関心をもち、他の人がそうでないのは、ふたりの価値観の違い以上に、ふたりに見えている世界が異なるものだから、という理由も大きいのです。


さらに興味深いのは、ステップ2にいる人が、より広い範囲が見えているステップ3の人にたいして、「彼らが国際援助に興味を持たないのは、貧しい人たちの現状を知らないからではないか」と感じることさえあることです。

実際にはステップ3の人は、貧しい人たちの現状のほかに、それを援助する側の実態に関してまで知識を得てしまったために、自分の人生を別の場所におこうという判断をしたわけです。しかし、ステップ2の人にはそんな世界は見えていません。


★★★

 

この例に限らず、私たちが理解しておくべきは、自分が「これが世界の現状だ」と思っているものは、決して「世界」の現状なんかじゃないということです。

個々の人が知っている範囲が、その人にとっての「世界」に見えているだけです。誰かが「ばかげた意見」を口にしたとき、私達は「あいつはホントにわかってない」と思ったりします。

けれど本当は、その人には、自分には見えていない、何か別の世界が見えているのかもしれないのです。


911はこれからも多くの人の記憶に残り続けます。けれどパキスタンで9万人がなくなった地震は、多くの人にとって、遠からず「なかったこと」になってしまうでしょう。けれど、それをずっと身近に見知っている人にとっては、世界は全く違ったものに見えているのです。


謙虚にいきましょう。

2005-10-16 経団連会長

経団連の次期会長が内定したようですね。トヨタ自動車の奥田さんから、キヤノンの御手洗さんに・・。


ちなみに、経団連歴代会長は下記です。

1948年3月16日〜1956年2月21日  初代会長 石川 一郎(日産化学工業社長)

1956年2月21日〜1968年5月24日  第2代 石坂 泰三(東京芝浦電気社長)

1968年5月24日〜1974年5月24日  第3代 植村 甲午郎(経団連事務局)

1974年5月24日〜1980年5月23日  第4代 土光 敏夫(東京芝浦電気会長)

1980年5月23日〜1986年5月28日  第5代 稲山 嘉寛(新日本製鐵会長)

1986年5月28日〜1990年12月21日  第6代 斎藤 英四郎(新日本製鐵会長)

1990年12月21日〜1994年5月27日  第7代 平岩 外四(東京電力会長)

1994年5月27日〜1998年5月26日  第8代 豊田 章一郎(トヨタ自動車会長)

1998年5月26日〜2002年5月28日  第9代 今井 敬(新日本製鐵社長)

2002年5月28日〜2005年現在   第10代 奥田 碩(トヨタ自動車会長)

んで、次期が、第11代 御手洗 冨士夫(キヤノン)の予定となるようです。


どうですかね。会社としては、日産化学、東芝、新日鐵、東京電力、トヨタ自動車だけです。そーだったのか。この5社だけだったのね!!この流れ、とてもおもしろいですよね。まずは、化学産業、そして、重電と鉄、電力。ここまでが「重厚長大の時代」ですね。そして自動車となり、いよいよ「精密」、つーか元カメラ会社の登場です。

うーん、思うのは「経団連もすこーしずつ時代に伴って変化しているが・・・・そのスピードは、すげえ遅い」ということでしょうか。これでは、楽天 三木谷・・・とかが登場するのは、ちきりんの寿命では間に合いそうにないかも、ですね。

★★★

経団連の会長会社ってのは、産業全体に睨みがきかなくちゃいけない。だから重厚長大が多かったんだと思いますが、今のトヨタ自動車もそうですね。奥田さんが打ち出した就職協定とかって、どの企業も尊重せざるを得ないんですよね。だって、新日鐵も東電も、家電メーカーも機械メーカーも・・・トヨタにたてつけないもの。その点、キヤノンはちょっと苦しいかもしれません。鉄もそんなに使わなさそうだしね。そういう意味では、会長だすのは「インフラ系」の会社が向いているんだよね。なら、そのうちIT系の会社が入れるかもしれないとは思わせますよね。


HPを見てみたら、「日本経団連の使命は、「民主導・民自律型の経済社会」の実現に向け、企業の付加価値創造力の向上、その活動を支える個人や地域の活力の向上を促し、わが国経済ならびに世界経済の発展を促進することにあります。」と書いてあります。だから公的部門のトップは選ばれない。例えば電電公社総裁とか国鉄総裁とかね。実際には、公社の時代から経済界のドンだった気はするけどね、こういうポジションの会社。


ちなみにこの「民主導」ってのをもう少しわかりやすく言うと、経団連の存在意義は、

(1)自民党政権の維持・・・共産主義・社会主義になるのを防ぐってことね。

(2)労組との戦いの勝利・・・労組=共産主義での支配層だからね。

ってことですね。大変わかりやすくてよろしい。


あと「民主導」に続けてご丁寧に「民自律的」という言葉まで入れてあります。これはどういうことか。

1)民主導=資本主義であって、共産主義・社会主義ではない。

2)民自律的=規制や官僚支配のない世界。  ってことでしょ。


つまり、経団連の敵は3つです。

・共産党と社会党

・労組

・霞ヶ関

この3つと戦うために、経営者が団結したのが経団連。まあいうと、経営者の「労組」みたいなもんですな。

★★★

あと金融も入りませんね。一時期は銀行もすごい力を持っていたと思うけど、やっぱり「経済」ってのは、「金融を除く」っていう概念なんだろうか。それとも公的部門と同様「別枠」っていう考え方なのかな。なんたって雇用の大きさが違いますからね。今でこそメーカーも工場持ってないけど、昔は、工場のあるメーカーってのは桁違いに働いている人が多い。経団連が戦わねばならなかった労組がでかい。だから基本的にはメーカー系の団体なわけですね。(東電も工場はないけど、山ほど発電所があるし。)


任期は昔は長いけど、最近は短くなってますね。時代のスピードを反映してるんだと思います。


日産化学だけは「なんだっけ?この会社?」と思うけど、当時はすごかったんですかね?いわゆる日産コンツェルンの会社かしら?今もありますよ。かなりでかい会社です。

ちなみに日産化学が初代会長をだしながら今や「それどこ?」って感じになっているように、もう今後、経団連会長職を東電や新日鐵が出すってことは無くなるんじゃないかな。「それどこ?」には成らないかもしれないが、「あっそう」っていう会社になる可能性はあるよね。時代の流れってすごいパワフルだ。


みんな年寄りですな。御手洗さんも(そうは見えないが)70才なんだって・・・すごいよね。「英雄色を好む」という言葉があるでしょう。これは、「英雄になるのは、人並みはずれた体力・気力が必要」ってことだと思うんだよね。70才でこんなバカ忙しそうな仕事に就くなんて、まじ「卓越した体力・気力」がないと無理だと思う。


あとね、会社がある程度大組織になってないと無理だよね。だって、その人が会社経営を離れて経団連活動に専念しても大丈夫、と言えるような人材の厚みがなくちゃいけない。御手洗さんが会長活動に専念したときに、キヤノンの経営をきちんと回せる人が会社側に残ってないなんて状態では困りますからね。

★★★

奥田さんが次期会長を出す会社としてこだわったのは「国際的な会社・人」って条件なんだって。これは、

「東京電力には戻しませんよ。」

「花王とか、たとえ24期連続増益会社でも、だめよ」

「金融ももちろんだめよ」

ってことね。「日本でだけエバってる会社はだめよ」ということ。


これはどういうことかと言うとさ、経団連の役目は今までは上に書いた3つと戦うことだったけど、今後はちょこっと相手が変わってきたださ、ってことだと思う。

・共産党・社会党→既に戦う必要がなくなった。

・労組→これも、そろそろ戦いが終わりつつある。

・霞ヶ関→これは、今最大の相手。小泉さんと一緒に戦う!

・米国→新たな対戦相手として登場。

ということですね。なるほど。


そのうちテロが日本で頻発するようになると「イスラム圏や中東でビジネスを展開している会社や経験のある人」とか言うのが、次期会長の条件になるかもしれない、つーことですね。

★★★

トヨタ自動車とキヤノンはホントにいい会社だよね。おもしろいのは、

・国際的に活動し、

・継続的に利益を上げている、ということ以外に、

・日本的な経営をする、というのが共通しているということ。

これも上に書いた経団連の新たなミッションを支えているように思うのさ。株主よりも雇用を重視すべき、という信念。これはね、米国が提示する価値観への挑戦ということなわけですよ。米国が「新たな対戦相手」としてでてきた。それはどういうことかというと、「あんたらの支持する過激な資本主義、金融支配主義的な考え方を、わたしらは支持しませんで」ということ。だから、株主価値を上げるためにバンバン首切りをするような会社は「経団連としてはえらびまへん」ということ。

なんか、よーく考えると、すべてがきちんとリンクされていて、とてもおもしろい。

★★★

ある意味では、トヨタ自動車やキヤノンというのは、今「米国的なるもの」に、キチンとした裏付け(儲かっている。世界でも儲かっている)をもって対抗できる、唯一の主体なのかもしれないということ。だって、国レベルでは全く対抗できてない。いいなりでしょ。後あり得るのはドイツの会社くらいかな。彼らもつらそうね。「欧州的なるもの」について、ちきりんは知識が足りないのでよくわからないのだが。




つまり、現時点において「自分たちのやり方で米国に対抗できている」のは・・・

経団連会長会社とアルカイダ。この二つだけ、ってことです。


なるほどね〜(なにが「なるほど」やねん・・)



ではまた明日

2005-10-10 国勢調査すごすぎ

みなさん国勢調査、書きました? 5年ごとだからちきりんも既に○回は書いているはずだけど、あまり記憶にないですね。

これすごいんですよね。全数調査なのに 5年前の回答率が 98%以上なんですよ。東京都でさえ 95%を超えてる、ちょっと信じられなくらいすごい回答率ですよね・・


ただちきりんは、この回答率は今年は大幅に下がると思ってます。大きなニュースになるくらい下がるんじゃないかな。

政府は今年から、全自治体で「封筒」を用意しました。そうなんです、今までは封筒にはいらずに調査票だけが配られてたんです。封筒に入れ始めたのは個人情報保護に配慮する必要がでてきたためですね。

まあ確かに家の広さとか所有形態、勤め先まで書くわけで、んなもん調査員=近所のおばちゃん、もしくは、アルバイトのおにーちゃんに知られたくないよね。でも、5年前まではそんな状態でありながら、98%の回答率。ふむー。


★★★


なーんで今年は相当、回答率が下がるはず!という気がするのか。今年は国勢調査員が調査票を持ってきた時に「めんどー、こんなの個別宅配でやってんの〜、回答しない人たくさんいるだろーなー」と感じました。今年初めて、そう感じたんです。

なぜちきりんは、今年初めて「違和感」を感じたんでしょう。「こんな制度もうもたないでしょう?」と、なぜ今年初めて感じたのか。


考えられる理由はいくつかあります。

(1)個人情報に関する意識が高まった。

(2)今年は土日もかなり忙しい。(基本的に土日に回ってきます、東京のマンションだと。)


上のどっちもある。どっちもあるけど・・・お風呂で考えていたら、一番大きい理由は他にあると思い始めた。それは、

(3)鉛筆で記入せよ、みたいな自動読み取りシートへの回答に、すごい違和感を覚えるほど、ネット入力に慣れてしまった。

というのが、一番大きな理由ではないかと思い始めました。


前回、2000年にもネットは存在していたし、すでにウエブもメールも使っていたけど、ここまでネットは普及していなかった。特にネットに個人情報を記入することは余りなかったんです。

ところが今は、ネットショッピング、何らかの申請、会員登録云々で、個人情報をネットに入力するのもとても日常的なことになりました。

そして反対に「用紙が郵便で届く」「誰かが配りに来る」ということがすごく少なくなった。だから「紙が配られてきて」「鉛筆で塗りつぶして記入して」「封筒に入れて提出」とかいわれると「何??」という違和感が強く残るようになったんです。

5年前は思わなかったのに、今年は「これはなに?」という気がする。それを今年初めて感じた、というわけです。


★★★


電話も同じ。最近は、家の固定電話が鳴っても「でない」という人がたくさんいる。ちきりんもそうです。でる必要がある電話は、携帯にかかってくる。

家の電話にかかってくるのは、オレオレ詐欺とリフォーム屋さん、会社でさえ固定電話に外線でかけてくるのは投資マンションの営業やヘッドハンターばっかりです。だから出る気、出る必要性がなくなった。

訪問してくる人も同じ。今やマンションに訪ねてくる知らない人なんて、大半が「対応する必要のない人」ばっかりでしょ。新聞の勧誘、NHKの徴収、リフォームのセールス・・・そこに5年に一度だけ「国勢調査調査員」がやってくる。


5年前には気にならなかったけど今年はすごく違和感があります。「こういう大事なもの、公的なものが、こういう方法でやってくるんだ!」という驚きの気持ちが出るほどに。

なぜならこの 5年間で、固定電話や個別居宅の訪問という「個人へのアクセスパス」の性格が全く変わってしまったからです。

今や、そういうアクセスルートを使うのは大半が“押し売り”か“うさんくさい人”だという認識になってしまっている。だから、今年はすごく違和感があった。「ピンポーン、国勢調査です。」って言われて・・・


★★★


もちろん、誰もがネットをやっているわけではない。キーボードを使えるわけではない。だから紙でやるべきなのかもしれない。だけど・・・すでにこういうやり方にすごい違和感を感じる人の数も相当数に上っているはず。


というわけで、今年はかなり国勢調査の回答率は下がるんじゃないかなと。そして政府は、調査のやり方を根本的に変える必要に迫られるだろうと。

だってこんなやり方だと、回答しない人のプロファイルがとても似てくると思うのです。都会の若者、ひとりぐらしか共働き。昼間いない。土日もいない。もしくは、土日は誰が来ても居留守を使う。そういう人たちはたくさんいる。そして、こういう人たちが集中的に回答しない。それは、国勢調査の結果への信頼性を大きく損なう。


★★★


それにしてもね、ほぼ「全数調査」ができるってのに、「くだらないことしか訊かないのね」とも思いました。

全数調査なんてホントに貴重なんだから、もっといろいろ訊いちゃえばいいじゃん! 国民全体(少なくとも世帯主全員)の意向が直接確認できて、選挙投票率の倍の回答率があるっていうのになんだかもったいない。これだけでいいのか、訊くことは??

居住用の面積について聞き始めたのが何年前かしらんが・・・んなもん今一番大事だとは思えない。住居が「持ち家か」「賃貸か」ということが、今でも「国勢」すなわち「国の勢い」を示すのかな? こういう質問は、「持ち家比率」が国の勢いに関わる時代に作られた質問だと思える。

どっちかと言えば「ネットにつながっていますか?」くらいのことを訊いた方が役にたつ気がする。そっちの方が余程「国勢」を表す気がする。

六本木ヒルズに住んでる人たちの大半は賃貸住宅に住んでいるわけだけど、彼らが「勢いのない人」とは言えないでしょう。(ちなみに、ヒルズみたいなマンションも国勢調査員は苦労していそう・・)


★★★


5年後の国勢調査が、ネットで行われる(少なくとも「ネットでの回答を選択できる」)可能性はどれくらいでしょうね?

個人特定、識別が必要ですが。うーん、ちきりん的には「8割!」と言いたい。

つーか、5年後にまた「ピンポーン、国勢調査ですっ!」ってやってきたら・・・本当暗いよ。この国は・・・


ではまた明日!


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2005-10-07 満足の沸点

世の中には日常のささいなことで満足する人と、すばらしい結果がでているのに全く満足しない人がいます。

「どの程度のことが達成できたら満足するか」という点を、ちきりんは“満足の沸点”と呼んでいます。個々人によって満足の沸点は異なり、とても高い人と低い人がいます。

人生の中でも沸点の高い時期と低い時期があります。たいてい若い時の方が満足の沸点は高いため、若者は常に社会や自分に不満、フラストレーションを感じています。

けれど誰でも年をとるにつれて満足の沸点は下がってきます。中年からシニアの年代になれば「ご飯がおいしい」、「孫から電話があった」くらいのことで満足を感じられるようになります。


年齢と共に満足の沸点がさがるのは、悪いことではありません。満足の沸点が低ければ、より確実に「満足」を感じることができ、「幸せ度」が上がっていきます。それは若い人には妥協と見えますが、中高年からみれば“人生への感謝の高まり”です。

反対の言い方をすれば、何にも満足できずモンモンとするのは若者の特権とも言えます。満足しない心、すなわち高い“満足の沸点”を、年をとっても維持し続けることは結構難しいことなのです。


事業で成功した人の中にも、一定のところで「それより上」を求めなくなる人もいます。「人生を楽しもう」とか「見えてしまった」と言い出し、適当に楽しみながら会社を回すようになる。

お金は十分あるし、タレントも合コンに押し寄せる。若い時には考えられなかった贅沢ができる。そして、その現状に満足してしまう。

芸人さんや作家も同じで、“大御所”と言われる立場になって「満足しちゃいました」的な匂いがプンプンする人もいます。でも、人間は“満足の沸点”に達したとたんに、成長できなくなってしまう。

したがって、最終的に希有な結果を残せる人というのは、「他人から見ると大成功を収めているにも関わらず満足しない人」であり、この「決して満足しない」というのは“才能”と言えるくらいすごいことなのです。


ビジネス界で「沸点が高いな〜」と驚愕させられるのは、ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正社長です。2002年に社長を退いたのに 3年で(自ら指名した若者を追い出して)復帰し、4000億円の売上げを 5年後に1兆円にすると宣言しました。

満足の沸点の高い人は、求めるスピードが非常に速いです。なぜなら人生は有限なので、同じ期間で高い点に到達しようとするとスピードを速めるしかないからです。一瞬たりとも立ち止まらずスピードを緩めず走り切る必要があります。

5年前に若き新社長がユニクロを去ることになったのは、柳井氏の満足沸点の高さ、そして、それ故に求められるスピードについていけなかったからでしょう。方向性が同じでも、満足の沸点が違うと、人は一緒にやっていけないのです。


ところで、ユニクロの売上で 1兆円というのは、どういう数字でしょうか。

平均の商品単価を仮に 2千円として考えてみると 1兆円÷ 2000円は 5億個となります。これを日本で売ろうとすると、7歳以上 70歳未満の人口である 1億人が、ひとり平均で一年に 5個の商品を買うという計算になります。

ユニクロの商品はとても品質がいいので 3年間は着られるとすると、ひとりあたり 15枚のユニクロ商品をもつこととなり、夫婦二人に子供が一人なら 45枚のユニクロ商品が自宅に存在する計算になります。

3年以上着る人がいればこの数字はもっと大きくなるし、商品の単価だって 2000円より安そうですよね。

また、今は 7歳以上 70歳未満の1億人が全員買うと仮定したけれど、実際には 1枚も買わない人もいます。買う人が半分なら、10点以上のユニクロ商品を毎年買い続けてくれないと売上一兆円は達成できません。つまり、日本だけでカジュアル衣料単一商売をやっていては限界はあきらかなのです。


今後の選択肢はそんなに多くありません。

(1) 日本の外でも売る→ユニクロ商品の単価なら、インドや中国では日本の 10倍以上の購買層が存在します。そういう市場で成功すればまだまだ成長できるでしょう。

(2) 3年もたない服を売る→定番のTシャツやパンツだけではなく、普通のアパレルメーカー同様、「ファッション性の高い商品」を売れば毎年買い続けてもらえます。

(3) 単価の高いものを売る→高級品ブランドを立ち上げるとか買収する、などが考えられます。

(4) 服以外のものを売る→ユニクロの服はもう我が家に40枚以上ある、となれば、なかなか無制限に買うことはありませんよね。でも、服以外のもの、たとえば鞄や靴なら買ってもらえる余地がある。


実際にユニクロは海外進出や買収、浴衣の販売などを始めています。夢はどでかい会社ですが、やっていることは突飛なことでもなんでもありません。

しかし、こういう「しごく当たり前のまっとうな商売」を大規模に行うと、「当たり前のことが得意」な人が会社に集まり始めます。そして、そういう人の満足の沸点は、そんなに高くないのです。

すると組織の中に「今年も増収増益でよかった」と満足したり、新規事業でも「利益がでてよかった」とか「累損が一掃できてよかった」と喜ぶ人がでてきます。

人並み外れて満足の沸点が高い柳井社長にはそういうことは許せないでしょう。「そんなレベルで満足していてどうするのだ?」と。


いままでもファーストリテイリングは事業の責任者、経営が担える人材を育てるための様々な人事の仕組みを導入してきました。

けれど今回、柳井社長は「経営者は育てられないと学んだ。だから探してくることにする。」とおっしゃっていました。実際に外部から積極的に幹部候補生を雇い入れているようです。

「何は学べて、何は変えられないのか」という点は興味深い点ですが、ちきりんは“満足の沸点”には個人固有のレベルがある、と思っています。

人事制度などのインセンティブの付け方によって「より熱心に働く」ということはあっても、また、各種研修制度によって「手法を学ぶ」ということはあっても、なにかの制度によって個人の満足沸点が高くなる、ということはおそらく起らないと思うのです。


なので、柳井社長のような満足の沸点が桁外れに高い経営者が“次の世代”に期待されるのは、まずはなによりも“少々の成功では決して満足しない人”ということになりそうです。

そうなると必要なのは、満足の沸点が非常に高い人を外部から探し出してきて採用し、事業のやり方や経営手法を後から教えこむ、という方法です。

アパレル業界や経営についてよく知っていたり、海外市場について詳しいとか語学が得意ということも大事ではあるでしょうが、まずはなによりも“満足の沸点”が高くないことには、ああいう経営者の方と共に走ること自体が難しくなってしまいます。


世界の富豪として名を連ねるレベルの財産を築いた今でも、全く満足するそぶりさえ見せない柳井社長。今の日本における数少ない勝ち組企業であるファーストリテイリングの将来は、そんな社長とともに走ることのできる“満足沸点が異常に高い人”をどれくらい見つけられるか、そのことにかかっているのではないでしょうか。

もちろん、世界で勝負できるアパレル企業が日本から誕生することを、(満足沸点の非常に低いちきりんも)心から期待、そして応援しています。


そんじゃーね。

2005-10-05 あの服はどこへ行く

以前から「どーなってんだろ?」と思っていることの一つが、日本のお店にあふれる商品の多さ。まーホント、どこに行っても商品があふれてますよね。

店も多いし、一つの店にある商品も多い。“あきらかに”国全体として必要な量より多いモノがこの国にはあると思う。“ちょっと多い、という程度ではない。必要な量の10倍以上くらいは存在している気がする。

そういった「最終的に不要なもの」はいったいどこに行ってしまうのか?がすごく気になる。

ひとつわかっているのは食物です。これは、多すぎると焼いたりしています(農家や農協が焼却している)。家庭でも腐って捨てたりするし、レストランでは残飯になる。最終的にはどちらも焼却されます。したがって、「必要量以上の食物」は基本的に「焼却」され「灰」になってます。これはよくわかる。

それ以外のものは?


高付加価値の高いモノは、そもそも「作りすぎないように」かなり気を付けられている。車とか家とか。作りすぎると、それを抱えた企業が大変。だからパソコンなどでも、何がどれくらい売れているか毎日チェックしながら、工場を稼働させる。在庫管理はメーカーの要諦になっています。

反対にいうと、こういうものの「作られすぎ」はそんなに大規模には起こらない。マンションを造りすぎて売れないと会社潰れます。だから、それ以上に作りすぎる、ってことが難しい。

一番「必要量」を超えて存在しているモノは、したがって、食べ物とこれらの高付加価値品の間にある中間的なモノ、だと思う。その代表例が「服」です。


服って・・・多すぎると思いません??

そもそも、既に自宅に「着もしないモノも含め、服多すぎ」という個人はたくさんいる。にもかかわらず、店にも服があふれている。高級ブティックからデパート、そして地元の商店街にスーパーの衣服売り場。通販のカタログにネット販売も。

あの服って、スーパーの衣服売り場に並んでいる大量のあの洋服って、最終的に「誰かが買っている」と思います?

とても思えない量ですよね。

じゃあいったいどうなっているのか????


よく言われる話では・・超高級ブランドの服は「焼かれる」と言われています。変に安売りをしてブランドイメージを壊すくらいなら焼いてしまった方がいい。その分のコストも含めて値付けがされている。30万円のイタリア製のスーツの値段のうち10万円は、売れずに焼かれていくスーツのコストです。

それを「もったいない」とか言ってバーゲンを始めると、値崩れが始まるし、ブランドイメージが悪化する。悪循環に入ります。この辺、微妙なセンスが求められる。ファミリーセールとかいう“誰でも入れる”セールで10分のイチとかで売られている高級ブランド服は沢山あるが、それをしながら“トップ・ブランド”で居続けられたブランドは皆無でしょう。規律が問われる。


もっと安い服。ブランドもないような服は、最終的にどうなっていくのか??

ずうっと店に置いておく?そんなことしてません。つーか、そういうことしていた服屋さんはだいたい潰れます。これも悪循環。

全く人気のない服が延々と売り場を占領しているわけですから、ますます売れなくなる。誰も来なくなる。ダイエーの衣料品売り場なんてそうなってましたよね。

だからといって、売れない服をどこに持って行くのか?ご存じの通り、保管倉庫だって安くはない。雨ざらしにするわけにいかないし、この土地の高い日本で売れない服を延々保存しておくことはできない。

昔は日本で売れなかった服は、アジアに流れて格安に売られていたと思います。ところが、最近アジアも「それなり」のモノを求め始めていて、今や「日本で売れ残った服を中国で売る」ってのはとても難しい。

せいぜい「上海で売れ残った服を中国の郊外で売る」くらいしかできない。日本から運送費かけて運んでいては持たないです。

ちなみにアフリカなんかには持って行けません。遠すぎてコストがかかるし、常夏の国に持って行けるものは限られる。価格もあわない。唯一アジアは(今までは)日本のモノの「売れ残り市場」として機能していた。それも今や消滅しつつあるわけです。

じゃーどうしているのか?

実は焼却処分も結構なコストがかかります。家庭ゴミと違って産業ゴミは基本的に有料です。手間暇もバカにならない。といってタダで配ったり年中セールをすると、それこそ、他の服が正価では全く売れなくなる。



どーすりゃいいのさ!!!?

そして

どーしているのさ???!


知りません。


たまーに被災地とかに「売れ残ったセーター○万枚」とか寄付されていると思うけど。そんなもんで捌ける量じゃない量が余ってます。服って・・・

まあたぶん、ある程度は焼いているでしょうね。ある程度はバーゲンで捌く。スーパーで売れなかった服が、田舎の「服屋さん」に流れている部分も一部あるでしょう。

でも、それにしてもすごい量です。あの世の中にあふれる服の末路を知りたい。気になる。知りたい。気になっちゃって気になっちゃって夜も眠れない。

嘘です。ぐっすり寝てます。


ではまた明日!

2005-10-04 バイト募集雑誌より

コンビニに無料のアルバイト・求人雑誌が置いてあった。テレビ番組表がついていたので、もらってみた。おもしろすぎる・・・

皆さんにも是非知って頂きたく、今日のブログは、フリーアルバイト情報誌からご紹介。まずはこちらから。


・新大久保駅から徒歩2分

・水着、グラビア、ビデオモデル

・一回の出演料3〜100万円

・借金まみれで電話にもビクビクという貴女へ。一生懸命働いてみたら、借金も返せて電話にも出られる!!堂々と遊べる万々歳のお仕事です!!

それと、

・会員制個人撮影会モデル。パーツモデル。顔出しがダメでもOK。容姿不問。

・一勤務1〜30万円

最初のはAV女優、二番目はオタクの方向けの写真モデルですね。パーツモデル、というのは、「足首だけ」とか「おへそだけ」とかの写真を撮らせるモデルで、そういう写真を撮りたい人=おへそフェチとか足首フェチの人がカメラマンとして集まるというイベントのモデルです。どの部位を撮らせると最高額の30万円なんでしょうね。ちょっと気になります。



次はこちら。

・学生・フリーター、OLの方集まれ!

・メールオペレーターのお仕事です。

・髪型、髪色、服装自由。

このメールオペレーターという募集が非常に多いんですが、これは一体何の仕事なんでしょう?スパムを送るお仕事かしら?写真は若い女性が多いです。何か若い男性向けに詐欺のお誘いメールを送るような仕事?チャットルームとか出会い系のサクラ役でしょうか。何なんだろうね。

と思っていたら、もう少し丁寧に説明してくれている会社もありました。

・パソコンを使ってライブチャット(映像配信型音声チャット)をするだけの簡単なお仕事です。

・18才〜40才の女性。

・容姿は問いません。映像はこちらで用意することも可能です。

・月収100万円以上獲得者続出!

・カメラ、マイク無料貸与。ソフトのインストールもお任せください。

あ〜なるほどね〜



が、この下あたりからは、ちきりんの想像力ではどんな仕事か全く不明です・・・

・留学・ホームステイ経験者または目指す方、大歓迎

・働きながら英会話がマスターできます。

・企画営業、語学アドバイザー、受付案内、PR広報、マーケティングのお仕事

・年3回の海外研修あり

・学歴、英語力不問

・ゆとりの10時半出社

・収入:週8万9千円以上(手渡し、週払い)

これどうですか〜??なんか、すばらしいお仕事に見えません?1ヶ月働くと35万円ですよ。しかも年3回の海外研修!!思わず応募しそうになってしまいました。

しかも、

・こんな人に向いています。

  ・上下関係とか好きじゃない!

  ・そろそろ目標を見つけたい!

  ・もう履歴書は書きたくない!

  ・楽しいことが大好き!

  ・っていうか、楽しくないとダメ!

  ・将来、自分でお店を持ってみたいな〜なんて思う。などなど

・飲食店の企画PRスタッフ

・社員旅行有り(ハワイ、韓国等)

って書いてあるんですけど。どうですか?

「こんな人に向いてます!」の部分を読んでいると、「おお、ちきりんに向いているよ!」と思いましたが。社員旅行で海外も素敵だわ!!



次はこちら。

・のびのびと活躍できる会社です。

・海外商品の情報アドバイザー

・未経験でも安心

・あなたの人生を変えるチャンスです!!

・アットホームな雰囲気の会社です。

・フリーター、ニート大歓迎

・事業:海外商品・先物取引業

あ〜なるほど。アットホームなのかあ。

同じ種類で、

担当エリア内の住宅を回り、リフォームに関心をお持ちのお宅を見つけてくるだけの簡単なお仕事です。

・オーダー時現金即日払い!

・平均月収150万円!!

・海外研修旅行あり

・職人、施行会社、同時募集!!

営業も募集し、施行会社や職人も募集してるって、、、



お水系に移りましょう。

・○○バニーはセクパブじゃないよ!テレビでも紹介された正当派コスプレキャバクラだよ!

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昼間の仕事に限界か〜


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なるほどね〜。この「年功序列がない」とか「先輩のいじめはない」というのは、どのホストの募集広告にも書いてあります。反対にいうと、そういう世界だってことですね。どの世界も大変ですね。昼間の世界に「限界を感じて」飛び込んで、夜の世界も「年功序列」じゃねえ。


★★★


その他、本日学んだこと。

・日払いOK!手渡しOK!という売り文句が多いですね。月に一度しか現金が手にできない方式では困る、という人や、銀行振込なんて信じられない、もしくは困る(差し押さえられる)、という人が多いみたいです。

・若者系だと「髪型、髪の色自由!」というのが多いです。若者にとってはコレが大事みたいですね。「髪の毛の色を黒くしてまで働きたくないよ」ということでしょう。

・女性のお水系でも「容姿不問」が多くなってきました。(昔は容姿はとても大事だったと思う。)このあたり、ITの進歩や「パーツフェチ」などの方の出現により「ぶさいくな女の子」にもチャンスが与えられる時代になってきた、ということでしょうか。

・海外研修や海外社員旅行あり、というのがとても多いです。そんなにみんな海外にいきたいのか?今やエコノミークラスなら数万円でアメリカでもいけちゃうのにね。ちょっと不思議です。



というわけで、お仕事はいろいろあります。


また明日!

2005-10-02 日本共産党綱領

ちきりんが今、一番「一緒にお酒を飲みたい」のは共産党の志位委員長です。

肩書が党首じゃなくて委員長なんだね。なんの委員だろ、とHP見てみたら、日本共産党「幹部会委員長」なんだって。ふーん。

とはいえ今は議員全部でも 18人しかいないんだから、全員幹部なんじゃないの? って気もしたり・・


以前の肩書きは、党中央委員会書記局長でした。たしかゴルバチョフ氏は書記長だった。書記局長と書記長って違うのかな?

ていうか、なんで共産党って党首でも総裁でもなく「中央委員会」の長とか、「書記」なんて名前が権力を表すのか、よくわからない。もしかしてなんか、ごまかそーとしてる?? 


ちなみに志位さんは今 52才なんだけど、中央委員会書記局長になったのは 35才の時で、党委員長になったのも 47才の時。超出世早い! すごいエリートです。(注:日本共産党の書記局長は、自民党の幹事長にあたる要職です)


★★★


志位委員長には、ホントにお会いしてみたいです。だって・・・

・あのポーカーフェイスがすごい。何を聞かれても滔々と答えて全く取り乱さない。

・主張が余りにシンプルで、とてつもなく愉快。あれは誰が考えているのか是非知りたい。「確かな野党」とかコピーが巧すぎる。

・本当に今でも共産主義を信じてるのかも知りたい。財界を目の敵にしてるので、もしかして、まだ「階級闘争」をやっているのかな? 


経歴は・・・千葉県生まれで、お父さんもお母さんも小学校の教員かつ共産党員だったそうです。日教組家族ですね。共産党員としては「出自がいい」ってことなんでしょう。

先祖代々「貧乏=搾取される側、かつ、共産党信奉者」である方がいいんだと思う。北朝鮮でも文化大革命の時の中国でもそうだもんね。

この家に生まれていたら、ちきりんも「共産党員」になっただろうか? 


なってないとも言い難い。なってるかも。でも、出世はしてないと思う。いや、案外頑張ってるかも? 

わかんない。なんせ志位さんは幼稚園児の頃に、すでに安保闘争に連れて行かれたらしい。すごい。「我が子も革命家に育てる」という決意があったのかな。そんな危ないとこに連れて行くなよ、我が子を・・・とも思うけど。


東大工学部の出身です。

頭いーんだね。共産党ってすごい学歴社会な気がする。60年安保の時なんて、東大の人ばっかだもん。志位委員長も大学一年生から党員です。そして一回もそれ以外の仕事はしてません。

これはどーなんだろ?


一回働いた方がいいんでないかな。搾取される側の労働者体験とかあった方がいいんじゃないの? 

赤旗の売上からずっと給与もらってては、「搾取される側の気持ち」とかよくわかんないのでは?(←大きなお世話です、と言われそうです。冷静なポーカーフェースで・・)


趣味は音楽だって。作曲家になりたかったんだって。クラッシックが好きらしい。そーなのかー、確かにちょっとノーブルだよね。労働者の党の代表なのに、皇室の人みたいな雰囲気もあります。


★★★


「共産党綱領」見たことあります? ソビエトが崩壊した後、2004年に変えたんだよね。HPで見てみました。


この綱領には、まだ

日本の社会発展の次の段階では、資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義的変革が、課題となる。

と書いてあります。まだ目指してるらしい、社会・共産主義。


しかし、その次の文章は、

社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である。社会化の対象となるのは生産手段だけで、生活手段については、この社会の発展のあらゆる段階を通じて、私有財産が保障される。

となってる。

つまり、企業=生産手段は国営化されるが、個人のもの=生活手段は、私有財産制だと。つーことは、会社は全部国有、つまり、全員公務員になる。んで、家とか車は個人のものよ、と。


社会主義的変革は、短期間に一挙におこなわれるものではなく、国民の合意のもと、一歩一歩の段階的な前進を必要とする長期の過程である。

これは「でも、すぐにはやらないから、怖がらないでね」って意味ですね。


日本共産党は、社会主義への前進の方向を支持するすべての党派や人びとと協力する統一戦線政策を堅持し、勤労市民、農漁民、中小企業家にたいしては、その利益を尊重しつつ、社会の多数の人びとの納得と支持を基礎に、社会主義的改革の道を進むよう努力する。

これは重要そうだわ。

「勤労市民、農漁民、中小企業家は、利益が尊重される」ってのがミソかな。

つーか「農漁民」なんて言葉もうあんまり使わない気がする。農民と漁民?「農家」と「漁業従事者」とかの方がいいよ。


中小企業家は利益が尊重されるらしいが、IT系のベンチャーの小さいとことかも、これに含めてもらえるのかな?

勤労市民・・・これに、ちきりんが含まれるかどうかも、やや難しい。

勤労してるよ、市民だよ。でも、なんとなく「勤労市民」でない気もする。一生懸命働いてないからか?(働いてるよ)。でも、これにサラリーマンがすべて含まれるとすると・・・日本の全員じゃん、ほぼ。


残りはなに? 利益を尊重されないのは大企業ってことだね。でも大企業の社員も「勤労市民」だよね。含まれないのは経営者だけ? ずいぶん絞り込みますね。

資本家を排除してるのはわかるけど、あたしも含め、サラリーマンで株持ってる人も多いしね。そういうのどうなるんだろう。


民主主義的な変革は、労働者、勤労市民、農漁民、中小企業家、知識人、女性、青年、学生など、独立、民主主義、平和、生活向上を求めるすべての人びとを結集した統一戦線によって、実現される。

ふむ。労働者と勤労市民はどう違うんだろ?

あと「知識人、女性、青年、学生」と続くってことは、知識人は「女性でなく、若者でなく、学生じゃない」ということだろうか。言葉尻捕まえて申し訳ないけど・・


★★★


日本共産党と統一戦線の勢力が、国民多数の支持を得て、国会で安定した過半数を占めるならば、統一戦線の政府・民主連合政府をつくることができる。

国会で安定した過半数って、目標が高いですね。大志を抱いてますね。まあ目標は高い方がいいよね。うん。


国の産業政策のなかで、農業を基幹的な生産部門として位置づける。

ええっ!!マジ?

これはすごいな。目標高すぎ・・・これはマジで言っているのかしら。こんな狭い国土の国でいまさら農業国になるのはつらいような気がするけどね。



現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす。

天皇はいてもOKってことね。これは思い切ったコトいいますね。昔は違ってたはずだよね。


現在、日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではなく、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破――日本の真の独立の確保と政治・経済・社会の民主主義的な改革の実現を内容とする民主主義革命である。

えっ?なんか右翼みたいな文章なんですけど。これなに??

目指してるのは社会主義革命じゃないんだ。二段階なんとかってやつかな。



いま、アメリカ帝国主義は、世界の平和と安全、諸国民の主権と独立にとって最大の脅威となっている。

そのとーり!! パチパチ!!


ソ連などの解体は、資本主義の優位性を示すものとはならなかった。

えー、そうかなあ。示していると思うぞ。

かなり長いんで、ここまで。


★★★


ところで綱領じゃないんだけどHPに

第39回赤旗まつりは、10月8〜10日の3日間、都立「夢の島公園」で開催を予定していましたが、急きょ決まった9月11日投票の総選挙に全党が全力をあげるために、本年の開催を中止することにしました。

とあります。


え〜赤旗まつり中止?

それは残念。


じゃね!


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