メールオーダーブライド

先進国の男性に、アジアなどの貧しい国の女性を結婚相手として斡旋する会社(仲介業者)は、今は日本にもあるみたいですけど、

アメリカにもずっと前から、 MAIL ORDER BRIDE ってのがあります。

実はちきりん、学生の頃にこのビジネスを知り、「おもしろそ〜」と思って登録したことがあるんです。


登録してみたのはアメリカ人向けのカタログサービスで、アジア人専門で“お嫁さん”候補を紹介する会社。

募集広告は、東京の外人向け情報誌に掲載されています。
「結婚して、夢の国アメリカへ行こう! アメリカ人のエリート男性が、日本人の奥さん大募集!!」みたいな感じです。


そういう情報誌には、この手の会社の広告がものすごく沢山、しかも毎月載っていたので、大きな市場なんだな〜と思って、その中の大手と見られるエージェントに、写真やプロファイルを登録してみたわけです。(ネットなんかまだなかった時代です)

女性の登録はもちろん無料。こちらが出す情報は、名前、住所、年齢、学歴、結婚歴、あとPR文章くらいかな。


そしたら大変なことになりました。


なんと 1ヶ月後くらいから、毎日毎日ポストに英語の手紙が大量に届くんです。

全部で(半年で) 100通くらい来たんじゃないかな。


手紙を送ってくるのは大半が 50才以上のアメリカ人で、大学教授とか、自分でビジネスをやってるとか牧場経営者だとか(ホントかどーかは知りませんが)いろんな人です。


共通点は

  • 年齢が高い( 50才 〜 70才)
  • 金持ちっぽい(嘘付いてる可能性もある)
  • アジア人女性好きの人が多い(前の奥さんは韓国人だったとかベトナム人だったとか・・)

です。


手紙に書いてあるのは、職業に年齢にルーツ(白人だとかイタリア系だとかなんとか)に、住んでいる場所に・・・などの自己紹介に加え、「僕と結婚したら、こういう生活が送れるよ!」みたいな売り文句がたくさん。


家がどれくらい広いとか、庭があるとか車があるとか、家にはプールがついてるとか・・・。ベッドルームの写真を送ってくる人も。


すんごいおもしろいな!と思って、いくつかの手紙にお返事を書きました。で、根掘り葉掘り、このシステムについて質問しました。

「男性は、このサービスにいくら払ってるの? 成功報酬?」とか「なんで、こういうシステムでお嫁さん探すの??」とか。


そういう手紙を書くと、大半の人は「あっ、これは違う」ってことで、返事をくれなくなるわけですが、

中には「君は知的好奇心が旺盛だね! 僕はそーゆー知的な女性が好きなんだ!」とかいって、いろいろ教えてくれる人もいるんです。


で、いろいろ学びました。


しかも一人は「私の掲載されたカタログを見たいからぜひ送って!」という私のリクエストに応じてくれ、私は初めて自分が掲載された「アジア人お嫁さん候補カタログ」を目にすることになりました。

笑っちゃいましたよ。売春してる気になった。

いえ、もちろん私は(20代だしね)、かわいく写ってましたよ!!


★★★


カタログには女の子の写真がずらりと掲載されてて、各写真の下に、年齢、既婚歴、子どもの有無、最終学歴などが載ってます。

なんで女性側の学歴が重要なのか疑問なのですが、国によっては小学校卒だと字が読めない人とかもいるからなのかな。


で、私が(大量の手紙が届くほど)モテモテな理由もわかりました。

だって登録してる中に、日本人なんてほとんどいないんだもん。


大半がベトナム、フィリピン、タイ、中国などの女の子です。

つまり、貧しい国から逃げ出すためにアメリカ人と結婚したい!ということなんでしょう。


男性の方も、こういうシステムを利用して(女の子に会いに行くなどを)経験している人もいるわけで、いかにも「お金のために!!!」ってのが前面にでている女性より、日本みたいに裕福な国の女性のほうが安心ですよね。

だって、結婚したとたんに「フィリピンの家族に仕送りをお願い!」とか言われると大変でしょ。


カタログに載っている女性の中には、40才近くで子供が 5人います、とか書いてる人もいて、ちょっとは嘘つけばいいのにと思ったりもしましたが。


で、数人と文通している間に
「チケットを送るから、一度アメリカまで会いにこないか?」とか
「今度日本に行くから会えないか?」とか言う人が現れるわけですが、

私は怖がりで保守的な性格なので、調査はここまで。


いきなり家に来られるなんてメチャやばいなと思って・・・引っ越しました。学生だったので引っ越しは簡単。


★★★


バンコクのパッポン通り(でしたっけ?)、あそこでバーのカウンターの上で踊っている少女をみると、本当に衝撃を受けるでしょ。

12才〜15才くらいの女の子が、ほとんど裸みたいな格好でカウンターの上で“くねくね”してる。

そのカウンターの下で、欧米人と日本人がビールを飲みながら女の子を品定めし、適当に「買って」帰る。


毎日毎日、裸でカウンターの上でクネクネして・・・いろんな男性にホテルにつれていかれて・・・もらったお金の大半はバーの経営者にくすねられて・・・


そういう生活よりは、誰かと結婚して「豊かな国に行きたい」と思う子がいるのは、全くもって不思議じゃない。

そうしたら「今より幸せになれるんじゃないか」と・・あたしだって、切実にそう思いそう。


★★★


最近は、日本人男性向けの同じようなサービスもありますが、そういうのを使って女性を探してる男性が行うお見合いって、

男性側が自費でアジアの都市を訪ね、(日本にいる間に写真と書類で選んでおいた)数人から10人ほどの女性にまずはざっと面通しをし、

その後は気に入った子と一日すごして(たいていの場合、相手の家に行って、家族にも挨拶して)、それで結婚を決めるみたいです。

「この子」と決めた場合は(後から揉めないよう)、家族にしてあげられることもその場で話し合ってしまう。「現地の家族に買ってあげられる家は、これくらいのレベル。毎月の仕送りはこれくらいが限度」みたいにね。

んで、家族も合意すると、その娘と結婚して日本に連れて帰れる。


渡航費含め 200万円くらいをはたいてお嫁さんを輸入する感じかな。これは男性側にとっても小さな金額ではないです。「これだけ投資したのだから」と思うに十分な額でしょう。


こうやって書いてくると、体の良い人身売買のようにも思えます。まるで本人の自由意思のように装った人身売買。


もちろん結婚後、うまくいっている家庭もあるでしょう。


でも、お互いの思惑がずれまくることも多いでしょう。

男性側は「貯金をはたいて、お前の親に家までたててやったんだぞ」状態だし、女性の方は日本に来て初めて、夫の収入や資産は「日本で豊かな生活を送れるレベル」では決してないと気が付くわけで。


それでも、幸せになっている人もいると信じたい。


そうそう、それと今は、日本の女性向けに「国際結婚斡旋」をしているエージェントもあります。

これは昔のとは違って、「日本の女性側」がお金払うんです。で、海外の男性側が無料。男性は欧米先進国の白人限定だったりする。

日本も豊かになったモンです。



ではまた明日


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