ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

Chikirinの日記 RSSフィード

2007-01-20 素人コメントの大きな価値

最近、団塊世代を特集したテレビ番組がやたらと多い。雑誌や本も調子に乗りすぎで、「団塊世代のための資産活用」とか「団塊世代のためのクルーズ入門」とか、枕詞的にやたらと“団塊”“団塊”という。

そんな番組のうちの一つを少し前にNHKで見たのだが、とてもおもしろいやりとりがあった。視聴者参加型の番組で、多くの団塊世代がアンケートに回答を寄せていて、それに基づいて番組が進行する。

ある人が「自分の人生を採点すると?」というアンケート問題に「今までの人生を採点するとゼロ点に近い。結婚、離婚、子供なし、転勤8回、今は緑内障の内縁の妻と同居。こんな人生に誰がした?」と回答した。

NHKが揃えていたパネラーの一人が「誰がしたって、自分の責任でしょう?」と言った。

で、回答者本人と電話がつながる。パネラーのコメントに、その本人の方が反論した。「それはサラリーマンをしたことのない人の言葉ですよね。」と。


なるほどね。


ここで、一気にNHKの番組の欠陥が明確になった。団塊問題とはサラリーマン問題なんです。だって、団塊の世代が60歳になるから騒いでいるわけではない。団塊の世代が“定年”になるから騒いでいるんです、世の中は。

もし、現在の定年年齢が55歳なら、大騒ぎは5年前に起きていたし、定年が65歳なら大騒ぎは5年後に起きていた。今年、この話がピークを迎えて騒がれているのは、定年が60歳だからで、今年から彼らがその年齢になるからです。

つまり、「なんで今年、やたらと団塊の世代が注目されるか?」というと「今年から大量定年だから」です。問題は「定年」です。ということは、自営業の人には関係ない話です。


実際、今年60歳でも(まさに団塊世代なわけですが)、自営業の人は別に騒いでいないと思う。いきなり60だから隠居しよう!とも思わないでしょう。

自営業の人が引退しようと思うのは、病気をして体力的に限界とか、一定量の資産がたまったとか、息子が継いでくれてるから別にやりたい趣味があるとか・・・年齢以外のことで引退時期が決まる。


で、話を戻すと、それなのに、そのNHKの番組にパネラーとしてでていたのは・・・30代の漫画家、団塊世代の漫才師、団塊世代の映画監督、多分同世代の経済評論家・・・全員自営業やんか?という状態だったのでありました。

「あ〜、こりゃあかん」とちきりんはじめ、多くの視聴者が思ったことでしょう。あのアンケートの回答をした人は、全国テレビの生中継で、極めて鋭いコメントをしたわけです。「なんでサラリーマンの定年問題を、自営業の人だけで話し合ってんのん?」と。

これ、超おもしろかった、です。

★★★

というわけで、NHKも次回からは「今年NHKを退職する団塊世代のスタッフ」を出演させて番組を作った方がいい。そしたらまさにリアルな番組になると思いました。

実際この「定年問題」ってのは、サラリーマンと自営業で全く“受け止め方”が違うよね。そもそも自営業には「定年」という概念がない。「隠居」「引退」であって、定年の“定”められた年ってのはないわけです。

だから自営業の方が圧倒的に「自然な判断」がなされるよね。各自が自分の健康や経済状態、家庭環境に合わせて判断する。サラリーマンは画一的に「○歳ですから」で決まるんだもん。

しかも、サラリーマンはお金について「異常なこと」が起こる。定年前は「給与=定期的な収入フロー」だったのに、定年後は「一時金ドカン!」と「年金」に変わる。

この「一時金ドカン」というのが、すごい特殊なわけです。

実は世の中が「団塊団塊」と騒いでいるのは、この「一時金ドカン」があるからだよね。給与が年金に変わるだけなら、「時間をもてあます老人*1が大量発生!」という問題にすぎないのだが、退職金のおかげで「今まで見たことない額のお金を手に入れる人が大量発生!」という事態ととらえられている。

で、世の中大騒ぎ。基本は退職金狙いビジネスが大騒ぎしている、ってことだと思う。実際、暇な老人がたくさんでてきます、だけではここまで騒がないのではないかな。

などと思いました。


というわけで、世の中ひょんなことから本質的な課題が浮かび上がることがあるよねと思いました。

あのコメントをした団塊世代のおじさんは、大きな価値ある発言をしたと、思います。今後も自営業ばっか集めて定年退職問題の番組を作るとしたら、NHKってやっぱり○○だ、と思うよね。


んじゃね。

*1:60歳が老人ではない、云々のコメントは別課題ということで・・