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Chikirinの日記 RSSフィード

2007-01-22 “ドルより自国通貨”という国の幸せ

ちきりんはよく海外に出かけますが、海外に出ると日本が素敵に見える、というのはよくある話。反対に、海外にでると日本のひどいところも目につくものらしいが、少なくともちきりんは、「日本より素敵!」と思えた国はほとんどないので、根っからの日本好きなのでしょう。



出張の時、外貨を購入すると、最近は小額紙幣も混ぜたパックを売ってて、たとえば100ドルパックというのは、20ドル札から1ドル札までバランスよく入っています。で、ちきりんはこの中の1ドル札を最初から「お持ち帰り用」として確保し、出張の時は全然つかいません。だって20ドル札を使えばすぐにおつりが手に入るしね。

なんで1ドル札を持ち帰るかというと、個人で(出張ではなく)旅行する国の多くが発展途上国だからです。そういう国では20ドル札は使えない←だって現地通貨を使うべきだからね、本来。一方1ドル札なら、「そのまま使える」という国も少なくない。実は・・・チップにしろなんにしろ「自分の国の通貨より、ドルをもらえた方がうれしい」という国が世界にはたくさんあるんです。

そういう国の物価は基本的にすごく安いので、20ドル札なんかより1ドル札がちょうど便利、というわけです。


この「自国通貨より米ドルが欲しい」という感覚が、昔は理解できなかったのですが、ある頃から、「円でいいよ。別にドルなんていらないんだけど?という日本に生まれ育ったことの価値」、というのを理解するようになりました。

それは、中央銀行や政府が、自国民に対してきちんとした仕事をしている証であり、国民が自国を信じている最大の証、なわけです。日本でも「政治不信」「政府批判」などよく言われますが、実際のところ日本人は自分の国をとても信頼している、信頼できる幸せな国です。(嫌みではなく、本当に幸せなことだと思っています。)

世界には、自国通貨より米ドルがもらえた方が嬉しい!と感じる国の方が、圧倒的に多いんです。北朝鮮やキューバなどの社会主義の国であっても、メキシコやチリやペルーなど南米の国も、インドやパキスタンやらも、アメリカと敵対する多くの中東の国でも、アフリカでも、そしてロシアでも、一般の人たちが「米ドルが欲しい!」と思っているんです。

これらの国には「自国通貨では買えないが、ドルなら買える」ものが必ずあり(時には違法な商品、麻薬とか、の場合もあります)、自国通貨の価値は国家によって恣意的にコントロールされている。もしくは、自国通貨のコントロール権が外国に握られている、というわけです。

そして、「特権階級」とは「ドルを持っている人たち」という意味だったりするのです。

★★★

タクシーに乗ったときに、ドル紙幣を差し出し、「ごめん、現地通貨がないからこれでいい?」と聞けば、これらの国のタクシードライバーで「やだ、銀行で替えてこい」という人はほとんどいないんです。で、これは結構おもしろい「見分け方」です。

実はちきりんは、時々この「実験」をやっています。現地通貨を持っていてもあえて「ドルでいい?」って聞いてみるんです。町の人がどちらを好むかを調べるために。

たとえばバンコクなどは昔はドルで受け取りましたが、経済発展に伴い結構「バーツがいい」という人が増えてきたんです。「ああ、政府の国家運営が成功しているのね」と思いました。

ところが通貨危機とかがあったので、バーツへの信頼は失墜。当時はドルも手に入らず、人は「金」に殺到しました。また今バンコクはクーデターで混乱していますが、これが続くとバーツより金やドルの方がいいと思い始めるでしょう。

あと、バンコクって円への信頼も高い。円で受け取る人もたくさんいます。自分の通貨より日本の通貨を信頼してくれる。こそばゆいくらいありがたいこととも思います。



ちなみに中国人も同じですね。やたらと金を買います。預金通帳にいくら多額の「元」を貯めても意味がないと思っているから。元東欧の紛争地域も同じです。ドルは戦争で焼けるかも?だし、多額になるとかさばります。だったら金!です。自国通貨など持っていても全く安心できないのだから。



自国通貨への圧倒的な信任。それは日本が、押しも押されもせぬ、世界トップ10の先進国であることを意味しています。最近はG7からG8だのG9だの、どんどん拡大していますが、「ドルより自国通貨が好まれる国」は、おそらくこの10ヶ国くらいしか世界に存在しないのです。

ドルを、金(Gold)を貯めておかなくちゃ!という危機感を持たなくていい、安心して暮らせる国、それが、ちきりんの生まれたにっぽんなのでありました。


ではね!