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Chikirinの日記 RSSフィード

2007-03-28 そんなに違うものなのね・・

数日前の記事なんですけどね(一部抜粋です)。これ、どーですかね?


キヤノンは2007、08年度の2年間に、国内のグループ19社の製造部門で働く計3500人の派遣社員や請負労働者を、正社員などの直接雇用に切り替える計画を明らかにした。


 2年間にグループの製造部門で新卒採用を含め計5000人を正社員などの直接雇用で採用。このうち、現在、派遣社員や請負労働者として間接雇用している従業員から1000人を中途採用の正社員として、2500人を契約期間3年未満の期間社員として採用する計画だ。


 同グループの製造部門では、従業員の75%にあたる約2万1400人が間接雇用(派遣社員約1万3000人、請負労働者約8400人)。




<感想その1>

正社員と非正社員のコスト、もしくは、能力差ってのは、すごい“でかい”んだな、ってこと。これはちょっと驚きました。

キヤノン、この件では袋だたきにあっている状態です。トップが経団連の会長なのに国会で“法律違反ではないか?”と問題を取り上げられて議論されてる。

普通、そんな恥ずかしい状態になったら、「ある程度のコストをかけてでも問題を一掃したい」と強く思うのが普通の企業です。

ところが、右往左往したあげくにキヤノンが提示した解決策は全くどうしようもないものです。記事によれば、「グループ19社の中で、2万人以上の非正規雇用労働者がいて、うち1000人をこれからの2年間かけて正社員にします。」ってことです。

これじゃあ、ほとんど解決策になってない。


なんで2万人のうち1000人だけなの?

なんで既にキヤノンで働いている1000人を正社員にするのに2年もかかるの?


ってのに驚きました。


会社のトップがあんなに責められて汗かいて恥かいてても、できるのはこれが限界なんですとキヤノンは言ってるってことです。そう、正社員にかかる費用(人件費)がいかに高いか、反対に言うと、非正規雇用の人がいかに安いコストで調達できるのか、わかろうと言うモノです。

★★★

実は今年あたり、新卒大学生の採用は「超売り手市場」で。キヤノンだって「相当の採用コスト」をかけて人材確保に血眼になっているはず。

それなのに、です。

既に自社工場で働いている人は20人にひとりも正社員にしない。(できない。)


これは、コストだけでは説明できない話のような気がしません?新卒は何百人も雇う予定なのだ。「正社員」がひとりも必要ない!という会社ではありません。

じゃあさ、そんなすごいコストをかけて新卒採用に血眼にならなくても、自分の工場に「正社員になりたい!」と叫んでいる人が沢山いるんだから、そっちから採用すれば?と、思うよね。


ところが、そうはしない。

なぜか。



工場で働いてもらうために雇っている人と、正社員として採用したい人のスペック差が、ものすごく大きいということでしょ。正社員として採用したい人と、工場で働いてもらいたい人は「全然違う人」なのだ。

だから、必死で、すごいコストをかけて新卒採用戦線にのぞみ、一方で、いくら国会で問題視されても、「あの人達を正社員にするのは無理です」という。


これ何が違うか。次の感想につながるのだけど、つまりは「工場で働く人を正社員にするのは無理です」ってことなんだと思う。正社員ってのは日本では40年雇う必要があるわけで。キヤノンはおそらく「今後40年間、日本に工場を持ち続ける可能性はない」と思ってるんだと思う。

だから「工場で働く人」は正社員にしない。本社で働く人でないと正社員にはできないんです。(正社員に訓練期間だけ工場で働かせる、というのはあるとしてもね)

そうなると正社員と非正社員の“質”は全然違うってのもわかる。なので、おいそれと非正社員を正社員にはできないってことなんだろうと思います。

★★★

<感想その2>

で、やっぱ国内に工場持つのは無理なのね、ってこと。

だって、製造“部門”の75%が正社員でないって書いてあるんだけど、これ、ラインで働いている人に限ればおそらく90%が正社員ではない、っていう感じの比率ですよね。

ってことは、もしこの人件費がアップするなら国内に工場は置いとけません、ということになるだろう。

つまり民主党やら社民党は、鬼の首をとったかのようにキヤノンを弾劾してますが、会社側は大半が非正規雇用者である工場の「全員を正社員に」という方向に努力するより前に、「海外に工場を移す」ことを検討するでしょう。

つまり・・・不安定な雇用状態と安い給与を改善しようとした人たちは・・・職を失うことになる。



本当にそれが目的なのかな、今キヤノンを責めている人たちは。

この結論が見えているのかな? 今キヤノンを責めている人たちは。


もうこの国で“物作り”などをするのは、夢なんですよ。



というわけで。結構驚いた。あれだけ責められてこんな解決方法しか出せないってことは、本当「すんごい違い」があるってことだ。

格差はなくならないよ。


んじゃね。

2007-03-24 通販生活と意見があうのが悔しい

電子レンジが壊れた。これも4ヶ月前に書いてます。

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20061117

11月には「ドアが開かない」だけだったのですが、先日出張からもどって使ったらチンって鳴ったのに「暖まってないじゃん!」・・・で、再度暖めたらなんか妙な音がでている。「ががががが〜」って。ありゃりゃ。です。典型的に「壊れた」状況ですね。

デカイ音がして、暖まらず、フタが空かない。壊れてます。


というわけで、電子レンジ無いと暮らせないちきりん、早速買い換えを検討中です。んが、前のエントリにも書いたように、ちきりんの欲しいモノはなかなか売ってない。そう、こういう「単機能・高機能」系も日本より海外の方が多いですね。日本は「複機能・高機能」だからね。

なんだけど、スーツケースと違って電子レンジを海外から買って帰るってのは無理です。つーか、日本人が家電を海外で買って帰るなんて変じゃん。秋葉原で買い物している外人さん、成田で日本の家電を持ち帰る外人さんはたくさんいるけど。日本人がそーしたらあかんじゃん!


てか、デジカメとかならいーんだけど電子レンジ持って帰っても電圧やら規格もややこしそうだし。

ちなみに、携帯電話もデジカメも海外では「単機能・高(?)機能」系のものがあります。日本はなかなかない。あっても「シニア向け」ばっかでしょ。どーも趣味が合わないちきりんです。

★★★

今の電子レンジは実は14年前に9千円で買った物で、いやよく使いました。14年だもん。しかも9千円ってのは、一回当たりで考えるとホント安い。

これ、コロナってメーカーの商品。ガス器具のメーカーだよね。でも電子レンジはガス器具より売れそうだ。で、作ったけど電子レンジで普通ガスメーカーのモノなんて買わない。つまり売れない。

売れない安売りの電子レンジが売り場の隅の方にぽつんとあって。んで、それを見つけたちきりん。「あっ、単機能のがあるじゃん!」ということで買ったのが14年前。

よく働いてくれましたよ。さんきゅ。

★★★

最近も売り場を時々探していたのだが、やっぱ店頭には本当に単機能のもの少ない。単機能のは2,3個しかなく、しかも、すんごい「低機能」なんだよね。「この商品は、数年しか使わないつもりの学生、留学生向きです」というか、「とても貧乏な方向きの商品です」というか、「さめた惣菜の暖めのみ用」ですっていうような商品なの。

ぶー。

ところが、ちきりんのニーズは、実は特殊ではない。そう、「単機能・高機能」を求める人は実はいる。だからありました。「通販生活」っていう通販雑誌に載ってました。まさにそれ、っていうのが。

値段2万8千円。


まじかよ〜。


電子レンジ単機能でこの値段ってすごいです。オーブンレンジならともかく。商品性としてはちきりんの欲しいモノそのものなんだけど、この値段は明らかに「ふっかけてる」感じです。

この通販生活ってのが、すごい「こずるい」感じの会社なのよ。ものすごい「エコ」とか「環境」とか「人権」とかに配慮している「振りをする」のが「うまい」のよ。

で、すごい暴利を享受してます。


「環境は儲かる」のお手本


みたいな会社です。


この、昔ちょっと左でしたとか、私環境に配慮してます、的な奥様方に支えられる、この会社から買うのがちょっと気分よくないちきりんではあるが、しかーし、実はやっぱりいい商品というか、ちきりん好みの商品が結構あるのよね。んで今までに別のモノで何度かいろいろ買っているのであります・・バカ高い値段で・・・



でもそれにしても高い。2万8千円??電子レンジだけで??


どーしよ。


ねえ。

2007-03-22 タミフルの何が妙か

タミフル飲んで異常行動、というのが問題になってます。寝ていたこどもがいつのまにかベランダから飛び降りるだなんて、最悪ですよね・・

ところでこの薬、一番不思議なのは「今、この薬の8割は日本で処方されている」ってことでしょ。

「なぜ、他国の医師が全く使わない薬を、日本の医師は大量に使用するのか?」

もしくは、「日本で大量に処方されている薬なのに、なぜ他国の医師は全く使っていないのか?」

輸入元の中外製薬、製造元のロシュ。いったいどのくらいのお金を厚生労働省の役人とそのご用聞き学者に渡せば、こんなことが可能になるのか?って思うよね。

★★★

薬害って実は結構ありますよね。肝臓ガンに進行する可能性のあるC型肝炎の一部は、昔小学校等で強制的に全員が摂取させられた「予防注射」で感染した、と言われている。今の40代〜50代の人が発病してる。

最近は義務化されなくなった「三種混合ワクチン」も相当の副作用があると言われているが、それを強制的に打たれた幼児、児童の世代がいる。今何歳くらい?

妊娠中に風疹になると困るといわれて、女児が全員強制的にうたれた予防接種もすごい副作用があると言われている。そもそも妊娠中に風疹にかかる可能性と、その予防接種の副作用とどっちが・・・って感じだ。

タミフルだって「神経」に影響を与えるわけで。今、異常行動がなかったからといって、将来何かの影響がでないとは限らない。


なんで他国の医師はこの薬をほとんど使わないか?

といえば、治らないからじゃないかな、この薬でインフルエンザは。

たとえば「風邪薬で風邪が治る」と思っている人、いるんですかね?風邪薬=総合感冒薬というのは、解熱剤と咳止めと鼻止めと睡眠薬が混ぜてあるだけだよね。

つまり、熱を下げたり、咳をとめたり、鼻水を止めたりはするけど、これらはすべて「症状」であって、風邪薬ってのは「風邪の諸症状」を緩和もしくは阻止するだけです。風邪を治しているわけではない。

タミフルも同じ。インフルエンザを治す薬ではないでしょ、これ。「高熱」という症状を抑えるだけの薬だ。

結局のところ、栄養と睡眠によって体の抵抗力が回復して免疫力を強化して風邪やインフルエンザを克服するしか「治すメカニズム」はない、んだよね。


単なる「症状の緩和」のために(副作用の有無に限らず)薬を飲むべきか?という質問に対する回答が、日本は他の先進国と異なるのだと思う。だから、「日本だけで使われる」んだと思う。

乳幼児や超高齢、もしくは病弱な人でなければ、インフルエンザで人が死亡する確率はとても低い。だから無理矢理「異物を体に入れて」「症状を抑えるべきでない」と考えるか、「異物を体にいれて」「治らなくても」「症状を抑えるべき」と思うか。

特に40度近い熱を一気に“無理矢理”下げるタミフルは、「ものすごい効き目」であって、その「ものすごい怪力」が、当然体の別の部分にも「ものすごい作用」をおよぼしているだろうことは想像に難くないよね。



いや、高熱に苦しむ子供がいて、薬を飲ませたらけろっと熱がさがったら、親も嬉しいし医者もうれしいだろう。それはよくわかる。

でも、他の国の親も医者もそうは考えてないってことだ。彼らは「寝てれば治る病気だ。薬は症状を緩和するだけ。だったら変なものを飲ませないほうがいい。」と思っている。特に「解熱」と「頭痛止め」ってヤバイ薬な気がする。


なんで日本だけ考え方が違うんだろう?


んじゃね。

2007-03-21 スーツケース新調!

昨年の10月31日に「新しいスーツケース買いたい!」って書いており、 → http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20061031


それ以来ずっとスーツケース売り場を見てたのですが、日本ってハードケースタイプが多くてソフトケースタイプが少ない。ハードタイプは真ん中で割れるタイプが多くて、ちきりんの趣味と違う。

で、圧倒的にソフトタイプの多い米国で買うことにしました。鞄屋の多いNYで買うべ、ということで、今回はわざわざ壊れたスーツケースを持って行き、現地で新しいのを購入して取り替えて帰ってきました。



「完全に希望通り」の商品を見つけたです。

A.キャリータイプ

B.「ふた」タイプ

C.ジッパー開閉タイプ

D.厚みが一定以下

E.黒以外の色か模様


全部OK!!


★★★


問題はただひとつ。「気に入ったのが二つあったこと」

いつものちきりん解決法。「ふたつ買っちゃえばいーじゃん!」


すみません。でも、どうどう?かわいーでしょ??

特に左側のなんてなかなか無いですよ。春の新作をウインドーに並べようとしていた店員さんに「それ素敵〜」とお願いして買ってきました。超お金持ちっぽく見える。いや、そう見えたいわけではなくて、とにかくかわいいので気に入ったです。

この派手なスーツケースをころがして、髪の毛を振り乱して成田を駆けってるナイスなおばさんを見つけたら、それはちきりんです。ご遠慮なくお声掛けを!


んじゃね〜



f:id:Chikirin:20070321231611j:image

左はBRIC'Sというイタリアの鞄メーカーのもの。日本にはお店がないみたい。さっき検索して探そうとしたんだけど、このブランド名、このご時世、すごい検索が難しいです!!

右はキプリング。ベルギーのメーカーだと思うです。こっちは日本でもよく見るメーカーですが、なぜか日本ではやたらと高い。NYより3割は高いんじゃないかなー。今時なんで??



追記)ただし、直近に私が使っているスーツケースはこれです!

2007-03-20 麻雀放浪記

機内で見た映画 「麻雀放浪記」


麻雀放浪記 [DVD]

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1984年だから23年前に作られた邦画ですね。終戦直後のバラックと焼け野原の東京で「プロの博徒」というか、“いかさま麻雀”で生きる人たちの生きざまを描いた映画です。

わざと白黒で撮ってあります。主演は真田広之(若いなあ)。それとこの人、演技がほんとーに上手だよね、すんごい女たらしらしーですが、芸はさすがです。


他には男性で、鹿賀丈史さん、高品格さん、名古屋章さん。女性で大竹しのぶさん、加賀まりこさん。特に女優さんはちきりんの大好きな二人。彼らもみんなスゴイ演技巧いです。

カメラワークもテンポ良く最初から引き込まれる感じだし、ストーリーも説教くさくなくていい。時代感もちゃんとでてるし。(って、その時代見たことないけど)大変おもしろかったです。



ちきりんは、こういう時代の悲壮感が好きなんだと思う。

なぜだかわかりませんが、「人間ごときが努力したくらいではどうにもならない状況」というのにすごく心惹かれるんですよね。「努力したら何でもできる」とか「やってできないことはない」的な言葉は、嘘だと思うし傲慢だと思う。もしくは“無知”から来ているのかもしれない。

「どうしたって、どうにもならないことがある」・・・この価値観を共有できない人とは友達になれないです。「やればできるはずだ!」とか言う人に会うと、「勝手にやってれば」と思っちゃう。



自由のすばらしさをたたえているという点も素晴らしい。こういうストーリーが大好き。前にも書いたと思うけど、ちきりんは説教臭い人も映画も本も大嫌いなんです。反対に、自由に生きる人の強さ、割り切りのよさ、自然なかっこよさに、すごく憧れるし、惹かれる。

高品格演じる賭博師(←なんで“師”なんだろう?)が、突然死する前に腕になにか注射するシーンがある。薬かな? 鹿賀丈史が演じるケンは、自分の女を女郎屋に売って賭の金を払う。大竹しのぶは、そんなにされてもケンの元を離れない“女”の役。この人も、ホント演技巧い。

加賀まりこさんは違法賭場を開くバーのママで、オーナーの愛人。米兵から麻雀で大金を巻き上げるけど、結局その金は奪われてしまう。けばい厚化粧で、悲しい時代の波間を巧く巧く渡り歩くしかない哀しみを表現する。墜ちた女性を演じさせたら、この人より巧い人いないよね。なんたって顔がいい。覚悟がある顔だ。


真田広之が演じる主人公は17歳でこの世界に入っていく。加賀まりこに向かって「あんたを女房にしたいんだ」と叫ぶ。“未熟であることを表現するために、何をさせればよいか”、私たちはよくわかっている。未熟であることが、とても素敵なことだと言うことも。


★★★


この映画の中では、誰も彼もが“自由”なんです。

誰一人として“こうあるべき”という道に沿って生きていない。そうすることに“あきらめ”を感じているから。


なぜなら、そういう時代、だから。


今日本がこういう国なのは、そのころから、“きちんと”“こうあるべき”という道に沿って生きた人のおかげだと思う。そういう人たちの努力の賜が今の日本になっている。

なんだけど、そうは生きられない人もいる。いつの時代でもね。


それを格差などという下品な言葉で表すのはやめよう。

私たちには、自分がおかれている状況を、精神的に正当化する権利がある。

そうすることが自由に生きることなのだ、と思うです。



最後のシーンを見ていて、こんなふうに生きられたら(死ねたら)いいよね、と思えた。自由であるという錯覚に包まれて死にたい。そして、生きたい。



★★★


時代感が重要な映画で、主役が若手で、周りをベテラン俳優が固めていて、という意味では、今テレビで放映中の華麗なる・・との共通点が多いのだけど、


・主役俳優の力量があまりに違う。

・時代感の出し方が圧倒的に巧み。


というわけで、全くレベルが違ってました。

すんごくおもしろかったです。

2007-03-17 モダンアートも見てればわかる

雪です、NY。

今日は現代美術館、MoMAに行ってきました。出張中で移動も仕事もない唯一の休日だったのですが、なんせ朝から雪。遠くに行く気にならず、2ブロック先の美術館で一日過ごすことに決めたわけです。

すごい混んでましたね。寒くてしかも雪だからタクシーもつかまえられないし、皆遠くに行かないんだよね。5番街をウンインドショッピングするのも寒いでしょ。メトロポリタン美術館は遠いけど、モマはホテルの集中してるエリアにある。というわけで、すごい混雑でした。皆考えることが同じだね。

ちきりんMoMAに来るのは数年ぶりです。現代美術専門なので、日本人は余り多くないですね。&都会っぽい人が多いです。世界中からアーティストやアーティストをめざす人が来ている感じ。

博物館・美術館が無料!の国から移動してきたので、20ドルは高っ!って思ったけど、内容を見て納得。ほんと充実しています。日本も近頃は現代美術が流行始めているらしいけど、こういうところで見始めると“はまる”と思います。一定のレベル以上のものは現代だろうと古典だろうとすばらしいです。


ちきりんが美術系で好きなモノとは、二種類あって、ひとつが「心を打つパワーのあるもの」もうひとつが「構造美のあるもの」です。

ゴッホの絵などが典型的ですが、怨念というか執念というか、作家の尋常でないレベルのパワーが作品に宿っており、何十年、いや何百年前のものであっても観る人の心を打つ、そういう作品がありますよね。これが前者のカテゴリー。

もうひとつが、“構造美”です。もしくは「ラインの美しさ」と言ってもいい。とにかく長い時を経て万やら百万やらのなかから一つ選ばれて後世に残ってきたモノというのはとにかく「ライン」がきれいです。「構造」がきれいです。

色とかアイデアとかいろいろあるんだけど、全体としてパッと観たときのバランス、その美しさがすばらしい。これも古典でも現代美術でも同じ。いや実は、洋服とかも同じなのよね。イタリアのすばらしいドレスとかって、ラインがすばらしい。

やっぱり「完成」されたものは、無駄なモノがなく、必要最小限で、しかも、形で表現してる。とても美しいモノが多かったです。

★★★

覚え書きをかねて訪問記録を。

(1)最もすばらしいと思った作品は、1962年にスイスに生まれたPipilotti Rist氏の映像作品です。口では説明できません。ふたつの異なる映像をかぶせたものです。女性が道を歩きながら、手に持った花の茎で、時々、路上に駐車された車の窓を叩き割ります。音楽がずっとかかっている。女性は水色のテロテロのワンピースに赤いパンプス。

以上です。芸術家ってこういうことかと思います。ほんと、すばらしい作品で、ちょっと感動です。


(2)1961年にブラジルに生まれたWik Muniz氏の写真もすばらしいです。これも説明できません。現代アートって説明できないよ。ビジュアルに観てくださいな。がらくたで女性ふたりが手を合わせているところを再現しています。それだけ。

天才です、この人。



他によかったのは、(3)Jeff Wallという人のバックライト・カラー・トランスペアレンシーの作品。ええっと、「写真をOHPの透明シートにコピーして裏から光をあてたもの」ってことね。これは方法論の勝利だと思う。なかなかユニークだった。

彼は1946年生まれ、作品は1970年代のものです。


それ以外で感動したこと。

(4)MoMAのほぼすべての部屋は「寄付した人」の名前がついてます。この美術館の建物自体がすばらしい「構造美」なんですが、こういうものが寄付によって成り立っているってのがアメリカです。

大半の名前は「英文字の名前」ですが、一つだけ日本人が寄付した部屋がありました。The Yoshiko & Akio Morita Galleryです。誰だかわかりますよね。

こういうところに日本人の名前を発見すると誇りに思えるよね。これから増えると思います。セブイレの母体の創業者の伊藤さんも、その名を冠したビジネススクールがアメリカにあります。後は寄付する先がアメリカに片寄らないことを祈るばかりか。

あと・・・絶好調のトヨタの創業者、松下の創業者の方ももっと文化的なプレゼンスを意識的に作ったらよかったのに、と思います。そういう時代じゃなかったんだろうね。それとこれからの起業家達も是非!

ちなみにそのギャラリーはでかいテレビを利用した映像作品のギャラリーでした。なるほどね。もちろん、内容もなかなかでしたよ。


(5)auの携帯がMoMAに所蔵されたという話を聞いていたので探していたら、工業デザインのところにありました。が、そこにはもっとすばらしい日本の作品もありました。

iMacって覚えてますよね。二代目の白い、半球からディスプレイが突き出た感じの、2001年に発売。それが展示してあって、その隣にそのiMacと極めて酷似したものが展示されてるんです。

それは1974年製と書いてありiMacより30年近く古い。したがって、ここだけ見れば「なあんだ、iMacのデザインって斬新だと思ったけど、30年前の商品の真似じゃん」と思えます。

その商品はもちろんコンピューターではありません。当時そんな小さなコンピューターは無かった。それは「テレビ」です。ラジオもついてるけど基本はテレビです。小型テレビ。

メーカーは、JVC。そうビクターです。今、経営が破綻し、日本から外資系ファンド、そしてその先に虎視眈々と狙うサムソン、その好餌となろうとしているビクターの1974年製のテレビです。

「デザイナー不詳」と書いてあります。そりゃそーです。当時の家電メーカーにデザインという概念はなかったでしょう。それは開発部門のエンジニアの合議でなーんとなく作られた形なのかもしれません。

そしてその形の、




美しいこと。




感嘆ものです。


その近くにauの携帯もあったけど・・・このテレビに比べたら“どーでも”って感じでした。他にもイギリスのダイソンの掃除機の一号機もあった。その隣にもっと古い掃除機が。んで、そっちの方が断然素敵だったりする。

そういうことなわけ。


デザインも必ずしも進歩していないと思います。



ではまた明日。

2007-03-16 楽天イーグルスの微妙な立ち位置

野球のお金の問題が、おもしろいなあと思っている。

一場選手は確か巨人と横浜と阪神からお金をもらっていたってことで、どこにも行けなくなって、でも楽天なら誰も文句言わないということで楽天入り。

この手の事件のおかげで楽天イーグルスは案外早く強くなるかもしれないね。最初できた時には一生優勝できないチームになるのかもと思ったけど。


今回の二人も西武に行くのはもちろん無理だろうし、お金のある球団、たとえば巨人や阪神にも行けないと思う。なぜならお金のある球団は当然(とある誰かに)やはりお金を払っており、探られたくない腹がある。こういうややこしい選手をとりたいとは思えない。

で、漁夫の利を得るのが楽天なんじゃないかと勝手に想像してるわけ。だって(三木谷氏は金持ちだが)楽天はお金がないから誰にもお金払ってないと思うんだよね。少なくとも“まだ”。で、今の戦略はかなりかしこい。「スキャンダルが判明して主要球団に行けなくなった選手を集める」という戦略。

他の球団も「まあ楽天ならいいか」と思うんじゃないかな。他の球団と違って、ここにいい選手が行っても優勝争いにはなんの影響も及ぼさないし。

というわけで、今回の二人も楽天に入ればいい。少しずつ強くなるんじゃないかな。楽天。

★★★

それにしても楽天で思い出すのは、本拠地選択における三木谷氏のあまりにも節操のない判断だ。

最初は地元の神戸を本拠地にと言っていた。「大阪と神戸は違う」とまで言い切り、やたらと神戸にこだわった。

ところがいきなり東北だよ。

なんでさ?

阪神と近鉄とオリックスのオーナーから「神戸にこだわるならつぶすぞ。東北なら、ライブドアじゃなくて、楽天に一票入れてやる」と言われたからでしょ。

なんつーか、汚い感じ。


東北ならどの球団の商圏ともかぶらないから、誰も困らないからね。


なんか、これ、スキャンダル選手の獲得と構図が似てない?

楽天ってのは、「他の球団が“あそこならしゃーない”と思うような立ち位置」の球団なんだなと思う。本拠地の立地も、球界における立場もね。

★★★

あと、ふたつほど追加すると・・・

一場投手は才能があったからこそ幾つもの球団がお金を渡していたわけだと思うが、楽天に入ったりするともう「勝利」とは縁遠くなるわけで、そういう意味では人生変わりますね。

自分が完封しても最高で引き分け。打線が点を取らないと絶対に勝てないモンね。新人賞も最多勝利も20勝投手もあり得ない。んだけど、プロになれただけ幸せ?うーん、ちきりんだったら別の国に行くことを考えたような気もするなあ。

だって日本にいるとずうっとついて回るでしょ。彼はその時期を迎えても「フリーエージェントで多額の契約金で巨人へ」とか行けると思います?皆けっこうひつこく覚えているから難しい気がする。それに、楽天で少ないリソースの中でヘビーに使われて、でも勝利の経験が積めなければ、体壊すくらいのことはあっても、スキルがどんどん伸びるとも思えない。

なかなかつらい人生です。

そしてそれが「氷山の一角」とか「スケープゴート」なのだとしたら、かなりかわいそうな感じではあります。



もうひとつ、根本的なこと。

なんでお金渡すのがあかんのか?ってことよ。日本は資本主義で、実力のある人に高報酬が提示されるのは不思議でも何でもない。それを禁止するから裏で、ということになる。

彼らの言い分は「そんなことしたら金持ちの球団だけが強い選手を集められる」というけど。そりゃそーだろ。誰が毎年赤字の球団に入りたいか?会社員でも同じでしょう。

「金持ちの会社が、よりいい社員を採用できる」ってのは普通のことですよ。中小企業はいい人採用するの、大企業より大変でしょ。だけど「大企業は中小企業と同じしか採用経費を使ってはいけない」なんて言わないじゃん。

大企業に内定すると英会話の費用とか、三菱商事なんて中国語レッスンもお金出してくれるよ。なんでプロ野球は「実力ある人には栄養費奨学金を出します」と堂々と言えないのか?


それぞれの会社の実力が拮抗していないと野球自体がおもしろくないからって?本気でそう思っているならドラフトとか中途半端なことやめて、常に下位球団から順に指名権を持つようにすればいい。ドラフトで「割り箸」なんか引くのやめて、まずは楽天が最初に5名指名して・・・というふうに。(最近は巨人も優先権高いかも・・)




野球界というかスポーツ界って嘘が多いよね。

本音では「金のあるところ」「人気のあるところ」がいい選手を獲得するのは当然と思っているのに、そうでない振りをする。だから事は裏で行われ、スキャンダルが起こる。

業界の大人の嘘のために、有為な若者の人生が狂ってしまう。なんかかわいそうだと思うよ。


まあ、そんなことを考えたです。

んじゃね。

2007-03-08 一点豪華主義にみる非階級社会

おもしろい言葉だな、と思うのが、「一点豪華主義」とか「プチセレブ」という言葉。これ「階級や階層のない社会で、経済力が高くなると何が起こるか」をよく表現していると思う。


階級社会だと、景気がよくなったりGDPが大きくなったりしても、貧乏人は金持ちの真似をしないんだよね。たとえば、農家のおじさんが井戸を掘っていたら遺跡が見つかって大金持ちになったとするでしょう。

この人は、そのお金をどう使おうとするかというと、「小作はもうやめだ!自分の土地を買うぞ!牛も沢山買って、もっと陽当たりと水はけのいい所に畑を作ろう!」と思うわけです。いきなりスポーツカーを買うとか都会にでるとかではなくて、あくまで農家として、どうそのお金を使うか、と考える。

家を建てよう!と思うかもしれないが、それも、自分が住んでいる村に豪邸を建てる。いきなり都会や高級住宅地に行ったりしない。

なぜならそんなところに行っても幸せになれる感じがしないからだ。

そこに住んでいる人たは、自分たちとは違う階層・階級の人であって、自分とその人たちの違いは「金の有無」ではなく、「変えられない何か」なのだ。

んが、その違いが「今持っている金の有無、多寡」だけである社会、すなわち、非階級・非階層社会なら、貧乏人でも「金が手に入れば」、田園調布に家を買うとか、ポルシェを買うとか、宝石を買うとかいう形になる。労働者と資本家を隔てるものは「金だけ」である。


だから、プチセレブとか一点豪華主義という形が起こりえる。

前も書いたけど、とても高級なドレスを売っている店の人が困惑していた。「洗濯に出したらレースが取れたとか言ってくる客がいる」と。そんな高いドレスを買う人は、同じドレスを何度も何度も、何年も何年も着ることはしない人たちだという前提で作られているのに。

パンプスも同じ。あんなヒールの高い靴を履いて地下鉄に乗ったり長く歩くことは想定されていない。自分で運転することも想定外。誰かが運転する車に乗って移動する人のための靴だ。そんなもん履いて歩くから外反母趾になる。

というわけで、20万円のハンドバックを持って地下鉄に乗り、狭いマンションで100万円のホームシアターを配備し、母親がスーパーでレジ打ちパートをして息子をおぼっちゃま小学校に通わせる、という「一点豪華主義」が始まる。



って、批判がましく聞こえます?いえいえ、批判なんてしてないよ。「なんでも」が「お金さえあれば手に入れられる」というのは、とても民主的だ。とてもフラットな社会だということだ。

金の有無ではなく、「(いくらお金をお持ちかしりませんけど)ここは貴方の入る店ではないんですよ」という区別がある国を見ているとほんとそう思う。


んじゃね。

2007-03-05 ゆがんだ清貧思想

この国は特に、お金持ち、お金を稼いだ人にたいする「妬み」ってのがすごいなあと思う。

清貧の思想って、論理的にゆがめられている。「貧しいことがいいことだ」みたいになっているでしょ。貧しいことがよいことだったりしませんよ。貧しいよりお金があるほうが、いいに決まってるじゃん!

そういう当たり前のことを否定するために、ものすごくゆがんだ思想が使われる。たとえば、

「お金があると、人は心が汚くなる」みたいな話ね。

そんなことにはなりませんよ。お金持ちで心が清い人も、貧乏人で性格がゆがんだ人もいます!


清い人がよくて、清くない人がよくない、というごく当たり前の結論が、「貧乏はよくて」「金持ちはよくない」という結論にすり替えられる、その原動力が「妬み」だ。


「お金持ちなのにやさしい」とか「稼いでいるのに気さくな人だ」という言い方も、とても変。その二つの間には何ら相関も因果関係もその他の論理的つながりもない。

同じコトは「外見」でもある。「美人なのにやさしい」とか「かっこいいのに性格がいい」とか。なんで「but」でつなぐのよ。外見と性格に論理的なつながりがあるのか?あるとすればむしろ「美人だから、やさしい」という方だと思うけど。


「貧乏で清い」より、「金持ちで清い」方が、

「ぶさいくでやさしい」より、「美しくてやさしい」方が、

「能力はないけど幸せ」より「能力もあって、かつ、幸せ」の方が、

余程良いよね!


という当たり前のことを、ちゃんと言えるようになった方がいいと思う。

負け惜しみを美学に置き換えて自分を慰めるのはその人の自由だが、そういう負け惜しみ思想を次の世代に伝えないほうがいいと思う。


んじゃね。