自分を営業

私は今の仕事に巡り会えて、本当にラッキーだと思っています。

この仕事は大学をでてから3つ目の仕事。一つ目、二つ目の仕事は、それぞれ5〜6年くらいずつやりました。

どれもおもしろい仕事だったし、学びも出会いもありましたが、私に“ベストフィット”の仕事ではなかったと思います。

そしてここにきて3つ目の仕事。

既に一番長く携わっているわけですが、これはなかなかに適性があったと思うし、忙しいけど楽しく働けていてとてもラッキーに思えます。


実は今の仕事は、転職したとか、辞令がでたという形で始めたものではありません。

今私がやっている仕事は、うちの会社には以前は存在していませんでした。

より正確に言えば、皆が手分けして片手間でやっていて、この仕事の専任職スタッフはいなかったのです。

他の仕事をやっていた私は、「この仕事おもしろそーじゃん!」と思い始め、ある時「専任職でちきりんを雇うべし!」という企画書を作り、役員会で企画提案書を発表し(もちろん事前に根回しもやりましたが)、めでたく現在のポジションを獲得しました。

提案書には、仕事内容の他、「ちきりんをこのポジションで雇うと、こんなメリットが」的な、いわゆる営業トーク、また、「給与はこれくらい」「権限はこれとこれをください」みたいなのも含めました。今まで無かった仕事なので、全部設計しないといけないから。

で、いろいろ議論はありましたが、「まあやってみたら」ということになり(やさしい会社だ)、現在に至っています。

★★★

こういう「ポジションがあって、応募して、選ばれる」という通常のプロセス以外の仕事の探し方、獲得方法があると知ったのは、実は、とある若い人がそうしているのをみたからでした。

その人は、ほとんど「その子」というくらいの若さで(20代前半だったと思う)、ある仕事に転職しました。

彼は、前の仕事の有給休暇を利用して、ある会社で無料でアルバイトをさせてくれ、と頼みに行きました。アルバイトというか、無給だからボランティアですね。

そして、そのアルバイトの期間中に、自分の仕事ぶりを通してその会社の経営者を説得してしまい、その若さでいきなりの部長職を得て転職しました。

もちろんその会社は、そんな求人をしていたわけではなく、募集していたのはアルバイトだけなんですけど。

それに、もし部長職の求人があったとしても、もし彼が普通に履歴書を送って転職活動をしていたら、あの若さ、数年の実務経歴だけで、そこそこの会社への部長職への転職なんてあり得なかったと思います。

この時、もちろん彼は私よりもずっと若かった訳ですが、私はこの彼のやり方に大きな感銘を受けました。

どうやったら、こんな自由な発想ができるのか、自分のやり方で自分の未来を拓く力を持っている、こんな若い人がいるんだなと。すごいなあと。

★★★

その数年後、私は上に書いた方法で現在のポジションを得ました。

間接的にではありますが、大きなヒントをくれた彼には本当に感謝をしています。

その彼は数年前、誰もが知る企業の社長に抜擢されました。彼が社長としてどうなのか、最近は会う機会もないのでよくわかりません。でも、そういう器の人だったんだな、と思います。

こういう若い人に会えたことを本当にラッキーと思います。


んじゃね。