見てない人が払ってくれるのがありがたい

NHKの受信料の支払い率、今は70%くらいらしい。今後は80〜85%を目指すんだって。でも、今の70%ってのも、いろんな意味で微妙な数字ですよね。

最も視聴率の高い紅白歌合戦やワールドカップの日本戦でも、視聴率は瞬間的に50%いくかいかないか、ですから、NHKが普通の有料放送だったら加入率が今の“70%くらい”なんかになるはずはありません。

だから彼らは絶対に「有料放送」にはなりたくないんです。あくまで「受信料制度」にしがみついていたい。スクランブルをかけたとたんに「契約世帯数」が半減(もしかしたら7割減とか)になることは眼に見えてます。


この受信料制度、今は「見てるのに払ってない」人が問題になってるけど、実際は「見ないけど払ってる」人がすごく多いという制度です。

「見てないけど払ってくれてる人」が余りに多いため、「有料放送」になんて絶対なりたくないというわけ。


それに、今の支払い率の70%超というのも、かなり怪しいんじゃないかな。実際はもっと低いと思うんだけど、リアルな支払い率を開示すると、まじめに払ってる人が「じゃあ、オレも払わねえ!!」って怒り出します。

だから「70%の人は払ってるんですよ、払ってないアナタは少数派であり、ずるい人ですよ」というプレッシャーをかけることができる数字を発表してるんだと思います。


それはそれとして、じゃあギリギリまで受信料制度を維持できるよう(政治的に)頑張り続けるのが、NHKにとってベストなのか?というと、そうでもないと思うのですよね。

だって、“競争の練習”をは始めるのが遅くなるだけだから。

「マーケティング」とか「プライシング」とか、経験値が貯まって巧くなるまでに数年から10年はかかるわけで、NHKも早めに競争の練習を始めた方が、本当は有利だと思う。

NHKも含めて地上波の番組って、「テレビのチャンネルが何に設定されているか」という意味不明な数字=視聴率をずっと気にしてる。これ、実際には(家族の)誰が見てるのか全然わかんないでしょ。

でも、スカパー!やケーブルテレビは、それに加えて契約者のプロファイルをもっている。さらに、有料放送だと「視聴料分の価値がない」と思われたらすぐに解約される。だから「解約した家庭のニーズは何だったんだ?」とか調べるでしょ。新たな加入者のプロファイルも集めてる。

ところがNHKって顧客データを持たない会社なんだよね。普通の経営者からみれば、「顧客データなしで経営するって怖くないっすか?」って感じだと思う。

BtoCの会社(消費財とか消費サービスを売ってる会社)って、顧客データを手に入れるためにすごいお金をかけて市場調査とかするわけで、そういうデータは「お金をかけてでも手に入れるべき」価値のあるものなんです。


でもNHKはそういうのには多分、関心はないんでしょう。「見てない人が払ってくれる受信料制度」の方が得だと心から信じている。民放と一緒になって「視聴率」だけ気にしてる。


そんなんでいいのか?


じゃね!!