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Chikirinの日記 RSSフィード

2009-02-27 官から民へ(前編)  その戦いの歴史

昔、日本史の授業だろうか。「官業払い下げによって財閥の基礎が形成された。」と習った記憶がある。維新をとげた明治政府は富国強兵のスローガンのもと、多くの基幹産業を国営事業として自ら手がけていたが、途中からその大半を民に払い下げている。

土佐の貧しい浪人であった岩崎弥太郎が、船舶、炭坑、造船所、金山などの払い下げを次々と受けることで三菱財閥を作りあげたストーリーは多くの人が知っているだろう。また現在の重厚長大系企業の多くがそのルーツを払い下げられた官業に持っている。八幡製鉄所が払い下げられて新日鐵に、長崎造船所が払い下げられて三菱重工に、など例はいくらでもある。

「官から民へ」というのは小泉元首相の言葉として記憶に新しいが、実際には武士の世界が終わった後、明治政府が強力な中央集権体制で作り上げた国の組織や官業を、順次民間に移管していく流れこそが近代日本の経済史でもあった。それ以降、この国での経済の流れは常に「官から民へ」だった。


★★★


明治維新からほぼ80年、戦後間もない1949年に戦後最大のミステリーと言われる事件が起っている。その名は“下山事件”。国鉄の初代総裁に就任した下山定則氏が白昼に失踪し、未明に自らが総裁をつとめる国鉄の常磐線線路において貨物列車に轢断された事件だ。

未だ真相が不明のこの事件については多くの書籍が発行されているのでここで詳述はしないけれど、ちきりんが思いをはせるのは「国鉄」という組織の特殊性だ。

現在のJRは、国の事業から2段階で民営化されている。最初は政府に「鉄道省」という省庁が存在し、鉄道は国の一機関として保有、運営されていた。「国電」が「省線」と呼ばれていた時代だ。これが戦後すぐに日本国有鉄道としてまず政府から分離された。

下山氏は東大工学部から鉄道省に入った鉄道技師でいわゆる官僚だ。当時、新たに発足する日本の国有鉄道の初代総裁には、民間からの起用が検討され、近畿日本鉄道や阪急電鉄社長などが候補にあがったが実現していない。

戦時に軍需産業の要でもあった国鉄は、当時、戦後の経済混乱の中での復興期においても最も優先順位の高いインフラと位置づけられており、資金と資材の最優先配分機関だった。いわば国鉄は、その当時の日本において最大かつ最重要の「利権団体」だったのだ。

加えてGHQの指示で共産勢力と深く結びついた労働組合の解体に向けた大規模なリストラも予定されているなど、組織の内外は殺気だった混沌に包まれていた。

そんな組織の初代総裁となることは、命の危険を感じるようなリスクのある行為であり、取りざたされた民間経営者達が尻込みをしたのも無理はない。最後は鉄道省の官僚が自ら火中の栗を拾うこととなり、そして、実際に非業の死を遂げることになる。犯人は組織解体を阻止したいと考えた労組か、労組に責任を負わせたい者の謀略か、はたまたGHQが絡んで、など諸説あるが真相は未だ闇の中である。


その後長らく国有事業であった国鉄をJRへと民営化したのは、中曽根元首相だ。この時も大きな抵抗運動があり、様々な問題が起っている。郵政公社を民営化したのが小泉元首相ということと合わせて考えればわかりやすいが、これくらい大きな官業を民営化するのは、たかだか一年の任期しか首相でいられない人では実現不可能だ。安定した政権で、意固地なほどの信念をもつ強烈なリーダーシップが確立した時にだけ、大英断が実行に移される。


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JRが発足した1987年、もうひとつの国営事業が「完全民営化」を果たしている。

「日本の翼」日本航空だ。彼らはそれまでも株式会社ではあったけれども政府が株式を保有する国有会社であり、文字通り「日の丸を背負って飛ぶ」飛行機会社だった。

他の元国営企業と同様に、日本航空もこの国有数の強固な労組を抱え、そのためにリストラが思うように進められず長きにわたり業績低迷にあえいでいる。また運輸行政、大物政治家との癒着、社内政治や労使関係の極まりない複雑さは、様々な“闇”を生み出し、多くの人の人生がその闇に飲み込まれた。

脚色があるとはいえ、山崎豊子氏の最高傑作である「沈まぬ太陽」を読めば、この巨大な元国営航空会社のもつ利権の巨大さ、闇の深さ、魑魅魍魎は、下山事件が起こった頃の国鉄と質を一つにするものであると理解できるだろう。

元々国がもっている“官業”というものは、常にそれ自体が巨大な利権の“山”であり、無数の顔の見えない巧みな利害関係者達によって、狡猾かつ巧妙に操られるその微妙なバランスの上で成り立っている化け物なのだ。


★★★


最もうまくいった官業民営化は電電公社ではないだろうか。(日本専売公社などもあるのだが、規模の点で同列でないと思われる。)

民営化は1985年。その数年前から民間(石川島播磨重工業)から真藤恒氏をトップに招いての民営化だ。電電公社だって他の官業組織と同様に労組はめちゃ強いし、利権の固まりだし、自民党の強固な票田組織だった。それでも他に比べれば「官から民へ」の転換がスムーズだったのは、より明確に「国際競争」が目前に見えていたからだろう。

未だに独占に近い鉄道や(新幹線を民間が開発するのは無理でしょ)、成田の発着枠さえ政府が抑えておけば国際競争のレベルを調整できる航空会社と異なり、通信の世界に関しては「日本の中だけで頑張る」では誰がみても“もたない”とわかっただろう。

世界的な通信の自由化、新技術の勃興、という避けがたい現実が誰の目にも見えていたために、「抵抗勢力」もおおっぴらに「電電公社の民営化反対」を叫ぶことが能わなかったのではないだろうか。

電電公社の時代、携帯電話の不存在はともかく、電話機は「黒のダイヤル式」の一種類しかなかった。電話機を作る会社は「決められていた」ので、メーカーが自由に作って競争して販売することさえできなかった。民営化が決まると、電電公社は「カラーの電話機」を売り出した。黒い電話機をプラスティック製のカラー樹脂で作っただけだ。

その後、自由化された後、ほぼすべての家電メーカーが電話機市場に参入した。留守番電話やファックス付き電話はすべてこの後に市場にでてきた商品だ。もっとも民営化のメリットが一般の人に見えやすいのもこの民営化であったかもしれない。


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明治以来続いている「官から民へ」の流れは平成になっても継続している。同じく利権の固まりと言われた日本道路公団の民営化は2005年だ。

この時も矢面にたった猪瀬直樹氏は多くの脅迫状を受け取っている。また「猪瀬氏はハイヤー代を何百万円分も使っている」など、“庶民の正義心(の仮面をかぶった嫉妬心)に訴える報道”がいくつか行われている。抵抗勢力が使う手は毎回ワンパターンだ。


そして今もいくつかの大きな官業組織の民営化がその途上だ。面前の山場は社会保険庁と郵政公社だろう。いずれも平成になってから手がつけられた後発組だ。

近年の「官から民」の流れは以前とは異なる困難さを伴っている。ひとつの理由は「社会の民主化」だ。明治の時代には官業払い下げで財閥がいくら利益を得ようと、一般人はそれを責める手立てを全く持っていなかった。庶民は選挙権さえ持たなかったし、新聞は経済界、政治家のための情報誌にすぎなかった。

中曽根氏の時代でも今よりは圧倒的にたやすかったであろう。日本航空や国鉄の民営化にあたり巨額の労組対策費、政治献金が乱れ飛んだ。しかし、それらを問題視する意識は今より圧倒的に低かったと思う。またこういった国家プロジェクトを指揮する人に「地下鉄で通勤しろ」というような、嫉みだか正義感だかわからないような“世論”は必ずしも多数派ではなかった。

時代は権力者同士の癒着の時代であり、大きな決断や判断には出所不明の巨額の金が動く時代だった。公共事業の競争入札という制度すら普及していなかった当時、手続き上の問題点を細かく洗い出そうなどという人達は存在しなかった。その中で盤石の政権基盤に支えられた中曽根氏がまさに清濁を併せ飲み、歴史のコマを一歩前に進めたのだ。



上記に書いた例を見ればわかるように「官業」というのは、利権であり、票田であり、政治の駆け引きそのものだ。「官業の民営化」において、“政治家がひとりも賄賂をもらいませんでした”とか、“労組の幹部が誰も金で買収されませんでした”、“どの企業も全く不当な利益を得ませんでした”みたいな絵空事はあり得ない。

これは高校の文化祭とは違うのだ。有象無象の妖怪が闊歩する魔界のような組織を、とにもかくにもまずは国から分離し、株式会社化し、最終的に民営化しなければならない。その指揮をとれる人は数代にひとりしか表われない強大な力を持つリーダーだけだ。


そのひとり、小泉元総理が退陣した後、3人の総理大臣を経ながら、歴史の大きな流れに抵抗しようとする旧守派の重鎮達が、民主化された社会の声を利用して時代を後ろに進めようと画策している。「官から民」に対する抵抗勢力がいかに粘り強い勢力であるか、よくわかる出来事だと思う。

官業民営化の際に組織の長となる経営者は、常に叩かれる運命にある。住友銀行の頭取として権世をふるった西川氏も今や姑息な狼藉者扱いだ。しかし上記のような歴史を見る限り、この仕事はそれほどの仕事なのだとわかるだろう。今は暗殺を心配する必要が(おそらく)ないだけでもマシと思うしかない。70歳という年齢でのあの激務と叩かれ方をみていると、過去のどの官業民営化でもそうであったように、今回もこの国家的大プロジェクトに寿命を捧げる人が要るのだと感じさせられる。


数十年後、元号も変わった世の中で、郵政公社も社会保険庁も上記の歴史のひとつとなるだろう。大きな流れの中で、私たちがどちらに進もうとしているか、見失ってはいけないと思うと同時に、これくらいの困難でこの流れがとどまることはないという確信が持てる。水は山から海に流れるのだ。


そんじゃーね。

2009-02-26 広告メディア 3つの楽しみな変化

先日のメディアの攻防に関しての続編です。

数年以内にネット&モバイル広告が新聞広告を抜くのはほぼ確実としても、この世界、次の10年となると正直何が起こるのか、今の時点で想像するのはとても難しいですよね。だって今想定されていないことが起こる可能性がいくらでもあるからです。

それを思わせるのが元データの過去の変化です。たとえば1999年のデータには「ニューメディア広告」という項目があるのですが、翌年には消えています。そういえばやたらと「ニューメディア」っていう言葉が使われてた時期がありましたねえ。あれはいったい何を「ニューメディア」と呼んでいたのでしたっけ?

その年にはニューメディアとインターネットは別々に集計されていますので、ニューメディアにはネットは含まれていません。時期からいってモバイルも無関係でしょう。で、翌年のデータを見てみると、ニューメディアという項目自体が消えて、代わりに「衛星メディア関連広告」となっています。

おお、ニューメディア、というのは衛星テレビのことだったのね、と。そういえば今はスカパー!とか言ってるけど、確かアレもスカイ社とパーフェクト社の2社だったんだっけ?とか、他にも別の衛星放送会社があったっけ?とか、衛星BSとかいってやたらと宣伝していた時期が、とか、次々と走馬燈のように記憶がよみがえります。

また、2007年には「フリーペーパー&フリーマガジン」というカテゴリーが初登場しており、「そうか、ここらへんからはR25とか無視できなくなったんだな」と思い当たります。

このように広告メディアの世界はとても流動的。“かわら板”の世界から脈々と数百年を生き抜いてきた新聞様から言わせれば確かに皆「新参者」に過ぎないのかもしれません。



さて、このような変化がどんどん起こると考えれば、2018年のデータ項目が今年と同じ項目である可能性自体がまず非常に小さいと考えるべきでしょう。(またこういったデータを集計しているのが10年後も電通なのか?というのもおもしろい問いです。)

たとえば今はインターネット広告とモバイル広告は総額で表示されていますが、ほどなくこの二つは分離されるのではないでしょうか。ネットよりモバイルが大きくなることだって考えられます。来年からこの二つを別々に集計すれば「ネットが新聞を抜く日」を1〜2年遅らせることも可能でしょう。

また「けーたい」と「スマートフォン」や「iPhone等のブラウザフォン?」が別カテゴリーになっている可能性もあるでしょう。今はない全く新しい概念のハードが広告メディアとして出てきていても不思議ではないです。

また、現在の分類を混ぜたような形態、テレビなのかネットなのか区分しにくいような形態、がでてくることを予想する人も多いでしょう。

というわけで将来予測という意味では、先日のような「現在のメディアが10年後にどうなるか」を推測するのもいいのですが、どちらかというと、その項目名である「メディアの種類、分類」がどうなるか?ということを想像するほうが楽しい気がします。

★★★

もうひとつ元データの分類でおもしろい点があります。このデータによると、日本の広告費は大きくわけてふたつに分類されています。ひとつが「マスメディア」、もうひとつが「販促プロモーション」です。マスメディアの方は、伝統的な4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)とネットです。

一方の販促プロモーションは、DM,折り込みチラシ、交通(中吊り広告や駅の広告)、屋外(看板、今は街頭大型スクリーン?)、POP(店頭プロモーション)、イベント系などの合計です。フリーペーパーとフリーマガジンもこちらです。

大きな違いは「マス」か「ローカル&リージョナル」か、という違いと思われます。販促プロモーションの大半は、都市圏に集中してます。「交通」なんて、そもそも通勤にJR,私鉄、地下鉄がこんなにヘビーに使われているのは首都圏、横浜、関西圏くらいですよね。田舎のローカルバスにも一応広告はでてますが額的には微々たるもんでしょ。

新聞の折り込みチラシも、東京でさえ中心の商業地やオフィス街では全然入りません。過疎地域でも入っていません。分厚い折り込みが入るのは中堅以上都市の住宅地だけです。しかも「徒歩圏にあるパチンコ屋やスーパーのチラシ」が中心という非常にミクロな範囲の販促伝達メディアです。


で、現在の元データでは、この「全国一律の“マス”メディア」と「ローカル販促ツール」を区分して集計しているわけですが・・・これも将来は変わるかもしれないですよね。

だって、誰が考えても一番「ローカル」に対応できる広告メディアは「携帯」でしょ?持っている人の住んでいるエリアが登録されてるんだもん。もしくは、移動したとしても「今その人がいるエリア」を勝手に探ることができるわけで。

迷惑メールが問題になってるから全く普及しないけど、このまま10年、この状況が続くか?というのは誰も断言できないでしょう。

“マス4媒体”の広告費に占めるシェアは1999年には65%でした。2008年は49%です。10年後には何%になるでしょう?というのもとても興味深いです。個人を特定できるメディアがどんどん進化した時に、“マス”の比率がどこまで下がるのか?というのも注目点だと思います。

マス広告がゼロになるとは思いませんから、必要最小限のところまで落ちて下げ止まるはずなのですが、それが2割なのか1割なのか、知りたいところです。

★★★

もうひとつ。昨日のコメントにもありましたが「受動的な態度の人にも広告を届けられるメディア」がテレビ以外に出てくるのか?という点もおもしろいと思います。

たとえば、新聞、雑誌はもちろん、ネットのクリックも「能動的に」人が行動を起こさないと広告は目に触れることがありません。しかし、テレビやラジオは違います。多くの人はテレビを「ながら」で視聴しています。「ながらメディア」で流される広告は完全に受動的な人にも届きます。こういう広告は一定量必ず必要だと思われます。

たとえば花王がアタックの新製品を出したとしましょう。この「新しい洗剤!」はどこで告知すればいいのでしょう?ネットで??携帯で??ちょっとイメージしにくいですよね。主婦は忙しいのです。一日に何時間もパソコンの前に座ったりしていないし、暇に任せてあちこちの広告サイトをクリックしたりもしないでしょう。

掃除や炊事や洗濯や食事をしてる間中テレビがついていて、境目のない形で番組と広告を流している。消費者は画面を見ている必要さえ有りません。必要な時、気を引かれただけ目をそちらに向ければいいのです。

「新しい洗剤がでた!」という広告サイトを能動的にクリックする人はいなくても同様の趣旨のCMが掃除中に流れたら「あら、私がいつも使ってる洗剤が新しくなるんだわ」と記憶に残す人はたくさんいます。

特に何かアクションを起こさなくても「スイッチだけ入れておけば」広告が流される、という意味でテレビは他のメディアと圧倒的に違うのです。


でもネットにもこれらを取り込もうとする動きはあるようです。いくつかのニュースサイトは、表示の最初にまずCMだけが表示され、記事の読み込みがかなり遅いですよね。事実上「無料ニュースを読む前に強制的にCMを観させられている」と感じることがしばしばあります。

また、ブロードバンドの月料金は今や5千円前後だと思いますが、「たとえば2時間に一度、ブラウザーがいきなり15秒のCM画面に変わってしまう」ということを条件に、これらの月料金をゼロにしてくれるといわれたらそちらを選ぶ人はいるかもしれません。

最悪なのは“パソコンがあまりに面倒すぎるハードである”ということですが、何度もトライされているテレビ画面の利用が普及すれば、液晶に映るCMがテレビ広告なのかネット広告なのか区別しにくい時代もやってくるかもしれません。(パソコンというハード自体、10年後に残ってない可能性大アリですよねぇ)


というわけで、先日書いた「それぞれの広告メディアのシェアの変化」と同時に、もしくは、それ以上に

(1)広告メディアの種類は、次の10年でどう変わるか?

(2)マス広告の比率はどこまで低下するのか?

(3)受動的広告メディアとしてのテレビのシェアを、ネットは奪えるか?


という3点はとても関心の持てる点です。

この世界はほんと楽しみ。


そんじゃーね。

2009-02-24 テレビ&ネット時代は10年後?

リーマンショックであらゆる媒体の広告費が大激減しています。

ということで、年に一度、電通が発表してる媒体別の広告市場データを見てみた。

グラフにしたのが下記。単位は億円です。

2005年以降は集計定義の変更があり一部データは継続性に欠けます。(縦の短い黒線を入れたところね)。でもまあ、トレンドは非常によくわかる。

赤い線が携帯とインターネットの広告合計ですが、ご存じの通り急激に伸びており、2004年にラジオ広告を追い抜き、2006年に雑誌を抜いてます。

そして、2008年にはいよいよ新聞広告と肉薄。

今はリーマンショック直後の大不況なので、ネット広告でさえ伸び率は落ちてます。

が、それでも 2008年に 12.5%減った新聞広告にたいして、ネット広告は「伸び率が大幅に鈍化」してもまだ16%の増加。

同じ率でもう一年変化すれば、既に来年にはこの二つの広告費は逆転します。

つまり数年以内に、ネットは「テレビに継ぐ広告メディア」となるのです。


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いよいよ、って感じですかね。

「ラジオを抜いた」とか言われても「ふーん」って感じですが、「雑誌も新聞も抜いた」となると、ネットももう「伸び盛りの新しい分野」ではなく「広告業界の主要メディア」になるわけで、いろんなことが変わってくるんじゃないかな。

少なくとも“大新聞様”に「たかだがネットごときが」みたいな言われ方をする筋合いは、この観点からは全くなくなります。

「へっ?なんで新聞ごときにそんなこと言われなあかんの?」って感じです。


ところで向こう 10年だとどうなるんだろ?ってのを、超適当な前提でグラフにしてみたのが下記。

前提としておいた各媒体の伸び率は、ネット以外の媒体、つまりテレビ、新聞、雑誌、ラジオに関しては、「過去3年の伸び率の平均」を使ってます。

実際にはこれらの既存媒体は過去 3年ずうっと下降トレンドにあるので「市場縮小率」と言った方がいいかも。

具体的には、

テレビ 2%減

新聞 7%減

雑誌 5%減

ラジオ 4%減 です。

みなさん大変ですね。。。過去3年上記ずつ売り上げが減ってたわけですね。


ネットは過去は年 24%増とか直近でも 16%の伸びで来ていますが、さすがにこれが続くと仮定するのはどうかと思ったので、つまり過去 3年の伸び率平均では高すぎになるので、とりあえず「年率 5%で伸びる」と仮定してみます。


で、グラフにしたのが下記。

縦に黒い線が入ってますが、そこが今いる 2009年時点。その線の右側は未来です。

一番右側が 2018年で 10年後です。なお短い黒線は上記のトレンド計算をした過去 3年を示すためにいれてます。グラフの傾きがわかりやすいかなと思って。

f:id:Chikirin:20090224005653j:image:w500


このグラフを見る限り、伸び率 5%の仮定なら、向こう10年、ネットがテレビを抜くことはありません。

が、5%の伸びでも1兆円を軽く超えてきます。伸び率がより高くなれば、テレビに肉薄ももありえる。

ちなみに、もし 8%成長を 10年間続けられれば 10年後にはテレビと同じ 1兆 5千億円くらいに達します。


テレビの方が本当にこういう比率で下がるのかどうかはよくわかりません。今年はリーマンショックという特別な出来事があったし、

テレビの広告費はオリンピックやワールドカップなど、4年周期で変わるものも多いから。


とはいえ、いわゆる「テレビ離れ」が起こってるという共通認識はあると思うので、まあこんなもんかなと。

これでいけば、10年後の広告メディアの市場というのは、

「テレビとネットが 2大広告メディアなんですよ。まあ一応新聞とか雑誌とかラジオとかもあるけどね」

みたいな感じになるってことですね。

で、下の方に、ごちゃっと新聞や雑誌やラジオが“その他”的にある世界。

テレビ、新聞、ラジオ、雑誌はよく“マス4媒体”と括られるのですが、いつまでこの括りで数字を追うのか。

寧ろテレビとネットの“2大メディア時代”って呼び方のほうがふさわしくなるんじゃないかな。

一方、新聞の存在感ってのは、今のラジオと同じくらいになっていくものと思われます。


北朝鮮キム王朝の崩壊も、日本の構造改革も、ちきりんが待ち望むことは何一つとして現実化しないけど、この分野だけは、向こう 10年でもそれなりに大きな変化がおこりそう。


楽しみです。

そんじゃーね。


<合わせて読みたい>(てか、宣伝)

新聞業界 崩壊の理由5つ、いや6つ


追記)2009年のデータが発表されました。インターネットは7069億円、新聞は6739億円(18.6%減)と逆転が実現しました。しかも新聞の広告費の下がり方が半端じゃないですね・・


追記)2012年のデータでは、テレビが 1兆 7757億円、ネットが 8680億円。だいたい上のグラフ通りの推移かな? (電通によるデータ

2013年はテレビが 1兆 7913億円、ネットが 9381億円 (同資料


アメリカは2013年でこんな感じ→ネット広告が初めて地上波テレビの広告額を抜いた!

2009-02-22 かんぽの宿 5つの論点

この件、ちょっとねじ曲げられすぎです。5つの論点にわけてまとめておきます。


論点1 売却価格は本当に109億円なのか?

かんぽの宿の売却価格である 109億円が安すぎると騒いでるアホな人がいますが、これ、実質的には 109億円ではありません。

まず、この施設の年間の赤字額は約 50億円と言われてます。

いくらなんでも、来年から黒字になんてできません。買った人は、当面の赤字分も補填する覚悟があるんです。

また、70カ所もあるかんぽの宿を建て直すには、それなりの経費が必要です。改装も宣伝もせず、新しい支配人の採用もせずに、大幅赤字のビジネスを立て直すなんて無理です。

ひとつの施設に 1億円の投資をするとしても 70億円必要だから、これも 109億円に加えて負担する必要があります。また、一部の不採算施設を閉めるための経費も必要かもしれません。そういう経費と投資をする資金も(当面の赤字補填に加えて)必要なんです。

今回( 109億円が安すぎるから)売らないと決めれば、先日まで公務員だった郵便局の人(かんぽの宿がずっと赤字でも一生首にならないし降格にもならない人達)がこの施設を経営するわけでしょ? ホントに立て直せるの? 赤字が拡大したりしないの??

109億円は安すぎるから売らないとか言い出してる鳩山さんて、この 109億円の意味をわかってんのかな?



野村證券は、破綻したリーマン証券の欧州とアジア部門を買収しました。買収価格は 2ドルです。

これも同じように「 2ドルあればリーマンを買えるなんて安すぎる!」と思ってる人がいるのかな?

来月からのリーマン社員の給与総額、オフィス家賃等の経費総額なども全部(その期間内でのリーマンの売上げで足りない分は)野村證券が払うんだよ。


論点2 最大の無駄遣いはどれなのか?

メリルへの買収アドバイザリー料支払いが 6億円で、高すぎるとか問題にしてる人も意味不明。アドバイザリー料は対象となる資産価格への割合(率)として表されることが多いです。

たとえば 1000億円の M&A(もしくは株式絡みのファイナンス)をやれば 2%から 3%のフィーで20億円から30億円が手数料となります。債権などは非エクイティ(株式以外)だともっと料率は低くなります。

今回のメリルの手数料の 6億円は、2400億円の資産にたいして 0.25%にあたる額です。また最終の販売価格と比べると 109億円にたいしてとなり、5.5%にあたります。


ところで、簡保の宿の建設費総額は 2400億円らしいけど、これは、普通に民間企業が建設会社に発注をしていれば、どの程度安く建てられたのでしょう。

民間だった場合の建設費用が 2400億円より 10%安いだけでも、 240億円もの税金が無駄に使われたことになります。これはメリルに払われる手数料の 40倍です。

ゼネコン情報筋に言わせれば、「役所の発注は相場の 30%くらい高い」という人も。そうすると 2400億円のうちの 3割、720億円の税金が無駄に使われたわけです。(メリルへの手数料の 120倍です!)


検証すべきは本当に「メリルへの手数料が高すぎないか?」という点ですか? 「そもそも建設費の 2400億円って高すぎないか?」じゃなくて?

こんなスゴイ額の税金の無駄遣いした人って、いったいどこの誰なのってことじゃなくて?



論点3 利権はどこにあるのか?

上記の「無駄に使われた税金」はすべて、その割高な発注を受けて建設工事等を行った会社や備品を売った会社に“ぼろもうけの利益”として転がり込んでいます。

通常より何割も高い利益を税金からもぎとっていったこれらの会社群に、総務省(郵政省)の官僚が何人くらい天下っているのでしょう?

それらの企業において、「 2年働いて 1000万円以上の退職金」を貰っているなど、いわゆる“渡り”を繰り返している人達に流れた給与や退職金の総額はいくらなの?、というのも関心のあるところです。

あと、多くのかんぽの宿は、仕事も全くないようなローカルなエリアにあります。そこで働く正社員の皆様は、その地域の人の平均と比べてどの程度恵まれた年収を得てらっしゃるのでしょう?(←聞くところによると、平均年収 600万円だそうです。地方では相当いいレベルの収入ですよね。)また、そういう人達の採用は、どのように決められたのでしょ?

かんぽの宿があるような避暑地・保養地で、赤字でもリストラされず安定した給与を貰い続けられる正社員のうち、その地域の郵便局幹部関係の縁故採用で仕事を得た人はどれくらいいるんだろう?ってのも、知りたいところです。


今回非難されてるオリックスは、総務省(郵政省)の天下りを受け入れているのでしょうか? 今までに受け入れを打診され、断ったことがあるのかな?「絶対に天下りなど受け入れない」と宮内会長が決めたりしたことはあるのか? なども知りたいところです。

彼等もそれを受け入れてさえいれば、こんなことにならなかったのかなあ?という素朴な疑問がでてきますよね。

もしかすると「宮内さんもまだまだ青いね、払い下げ財産で一儲けしたければ、天下りの 20人やそこらは受け入れないと。世間知らずなんだから。」ってことなのかもしれません。



論点4 売れ残りをどうするつもり?そのコストは?

世田谷の物件は買いたい会社がある、とか、埼玉の物件は県や市が関心もってるとか報道されてますが・・・そりゃあ、売れる物件に関心ある人がいるのはあたりまえですよね。

今回の販売のポイントは「いかに不良債権化した物件を売りさばくか」ではなかったのでしょうか? 


ちきりんが関心あるのは、まずは

今の時点で(もしくは近い将来)オリックス以外に「すべてをまとめて購入したい」と言っている入札者は存在するのか?ということ。

もしもすべてをまとめて売ることができずに、売れる部分だけを売却した場合、売れ残るかんぽの宿の数はいくつあるのか?

それらの売れ残った宿は、いったいどうするつもりなのか?(大半の売れ残る物件は東京だの首都圏ではなく、とても山深い地域にあることでしょう)

それらもずうっと営業を続けるのか? 年に 50億円の赤字の大半はそういうところの施設から発生してますよね?

その場合、誰も買いたがらない場所にある、それらの売れ残った宿が毎年流し続ける赤字を補填するのに必要な税金はむこう 5年なり 10年分でいくら?

てのが知りたいよね。



論点5(おまけ) “成り上がり”が嫌いだよね。この国は

宮内さんも叩かれやすい人です。公務員もマスコミも規制産業だから、規制緩和派の人は余り好きではないってことなのかな。

一流大学から一流企業に入るというとても保守的なキャリア選択をしている人達にとって、リスクをとって大成功するなんていうキャリアは「ずるい」とでも思えるのかもしれません。

“嫉み?”と思うくらい、世論だかマスコミだかしらないけどこういうタイプの人を叩くよね。

自分の実力で成功して金持ちになった“成り上がり”の起業家ってのは「すごく欲深くて、ずるい人に違いない」と思われてるみたいに感じます。


先祖代々大物政治家という家に生まれ、先祖代々巨万の資産を(何代も続けて相続税を払っているはずなのに、なぜか全く目減りせず増え続ける資産を)生まれながらにして引き継いでいる鳩山氏を、自分で企業を大きくした宮内氏より尊敬してんの? 

「生まれながらの億万長者なんだからお金にはきれいなはず。今回だって金のためではなく義憤で怒っているのだな」って思えるから?

国全体として、「安定志向でリスクをとらず、大組織の中で生きていきたい人を多く育てたい」「昔ながらの大資産家はお金に汚くないから信頼しよう」ということであって、一代で成功した起業家的な人をバシバシ叩くのは国益に沿ってるってことなのかな?


ちきりんには、オリックスへの売却手続きに一切の瑕疵がなかったという気はありません。よく見知ったモノ同士、なれ合いや甘えがあったんじゃないかなと思います。

しかし、巨悪と闘うべきその時に、大きな議論をひんまげて、重箱の隅をつつくようないちゃもんをつけることをしていたら、得をするのはいったいだれなのかよく考えるべきではないか、とも思います。

すべてが無茶苦茶な時に、一歩でも前に進もうとするのではなく、「完璧に問題が解決されるのでないかぎり、一歩たりとも足を前には進めず、ひたすらに文句を言い続けるべきだ」と思っている人は本当にそれが生産的な考え方だと思っているのでしょうか。

今回、鳩山氏の大手柄のおかげで、いったいこれからいくらの税金が無駄になるのか、考えただけでくらくらしちゃう。


そんじゃーね。



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2009-02-21 輸出を想定せずに作られたもの

ある韓国ドラマで、日本占領下の朝鮮を舞台にしたドラマを観てます。多くの若い朝鮮人の人達が独立運動をしています。当然、日本の警察は彼らを取り締まります。

ドラマの中で日本の官憲が若い朝鮮人の独立運動家を逮捕して射殺するという場面。独立運動家達は新しく就任してくる朝鮮総督府の総統の暗殺計画を練っているところでした。

活動家が夜道を歩いていると、建物の陰で待ち伏せしていた日本の官憲が突然現れ、ピストルを活動家の目の前に突きつけ、すごんだ目つき&ドスのきいた声で言う台詞があります。官憲役も韓国人俳優が演じているのですが、一応(なまりつつ)日本語で話します。

が、これは韓国で作られたドラマなので、本来の視聴者である韓国人のためには字幕がでます。その字幕は「お前らの企みは全部お見通しだ!」と出ています。なるほど、総督暗殺計画の情報が漏れてしまっているわけですね。


で、字幕はそうなんですが、その韓国人俳優が口にだして(音声で)言っている日本語の言葉はこうです。



「お前達の作戦は、もうバレちゃったぜ!」



吹き出しました。なんだよ、その子供の喧嘩みたいな台詞は??

まじめに作ってよ!!シリアスな場面なのに。


これが「輸出を想定せず、国内市場だけを念頭において作られた商品」ってことなんです。韓国ドラマは日本だけでなくアジアでも大人気だけれど、それでも(この時期のドラマは)「最初からアジア市場に向けて作られたわけではない」とわかります。ハリウッド映画とは違うということです。

日本のデジカメとかテレビ、自動車なんかは、今はもう当然のように最初から世界で売ることを前提として作られてるでしょ。一方でアニメのように「日本で売れていた物がたまたま海外で受け始める。」というものもあります。

「最初から世界で売ることを考えて作る」というのは、「たまたま日本で受けたものを海外にも売る」というのとは細かいところで全然違うことなんだなと、そのドラマを観ていて思いました。


人も同じかな?と思った。

日本で成功することを念頭に教育を受けた人が、あとから世界に出て行くのは結構大変だったりする。最初から世界で活躍することを念頭に教育されてたら全然ちゃうんだろうな、と。

教育制度そのものもそう。どういう人を育てたいと思って制度設計しているのか。よく聞くのは技術立国を支える人材かな。それは悪くないと思うけど、もうひとつ必要だよね。

日本ってすでに人口が減り始めている。「日本発」で世界初に売れるものが車と電気製品だけ、ではいつまでももたない。「人」自体が世界で通用するようにならないともたないでしょ。世界を舞台にリーダーになれる人を(一定数は)育てる必要がでてきてると思います。

最初に「いい大学をでていい会社に入る」ことを目的にして育てられちゃうと、あとから世界に出たときに、上のドラマの台詞のような、滑稽なことになってしまうのだよね、と。思ったりしたわけです。

んじゃ。

2009-02-18 メディアの見識 中川さん問題に関して

中川元財務相の酩酊、辞任問題について、日本の大手メディアの報道内容と態度があまりにあまりなので、ちょっとまとめておきます。正直言って、中川さんは病気なんだからしかたない(早く治療しなよ)ということですが、マスコミのやり方はさすがに今回はちょっとひどいでしょ、と思うので。


問題1 当事者意識の欠如

一番最初にこの問題を日本のメディアが報道した時、新聞もテレビも「会見に臨んだ中川大臣がろれつが回らない様子であったことを、海外通信社がアップ画像で捉えて世界に配信し、世界各地で波紋が拡がっています。」というニュアンスで報道しました。


これ、なんなの?


「中川大臣が会見で全くろれつが回っておらず、大変な失態を演じました。」でもなく、

「その前日は夜遅くまで某マスコミの記者と、また、会見直前には某新聞社の美人記者と飲んでいて、その結果、記者会見の時間には完全な酩酊状態になっていて、会見がまともに行えませんでした。」でもなくて、


「海外メディアが」

「日本の大臣のろれつが回ってない眠そうな顔を」

「世界に配信しました。」

って、報道してんだよ。


なんじゃそれ。

あんたの役目は「海外メディアが何を報じてるか」を報じることなのか?


「海外メディアが何をしたか」じゃなくて、「自分の国の大臣が何をしたか」を報道すべきではないのか?


「世界で波紋が拡がっています」って、もしかして「日本人記者の間では“またか”ってことで波紋なんて全然なかったのに、世界では波紋が拡がったから驚いた」のか?


この当事者意識のまるで無さが、まさにニッポンのメディアクオリティ。



問題2 権力との馴合い

彼等は今回の件を、海外メディアが報じなければ、おそらく(いつもの国内のべろべろ会見と同様に)適当にカットして放映して、闇に葬り去ったのであろう。

少しずつ報じられ始めているけど、記者の人達も同行していた官僚や日銀の人達も、中川さんが前夜から、そして直前も「ごっくんごっくん」飲んでいたことを知っていますよね。

だからあんな会見をしても「中川大臣、もしかすると脳梗塞の可能性があります。すぐ病院に行きましょう。MRIを撮らないと」と言い出す人は誰もいなかったわけです。だって現地にいる人達は皆、脳疾患なんかではないことを知っていた。「やばくないか?小渕さんの時と症状が似てるぞ」と言い出す人はいなかった。


「あんだけ飲んだらべろんべろんにもなるよな」

「脳梗塞? 違う違う。飲み過ぎだよ。むっちゃ酒臭いで」と、皆わかっていたからだ。


だって、もし“しらふ”の大臣が“風邪薬だけで”あんな状態だったら、周りの人はすぐに救急車を呼びますよ。イタリア政府も最大限の協力をしたと思うよ。大臣が死んだらまずいじゃん。でも、みーんなわかっていたので、誰も騒がず、「まあとにかく日本に帰ろう。機内でよく寝てね」ってことになった。


でさ、全員あれが「酒だ」と知っていたのに、なぜ今日あたりまで(大臣が辞任するまで)「あれは酒だ」という報道をしない?


ひとつの理由は「オフレコ協定」のためですよね。

日本のメディアは、記者クラブで公式にリーク情報を貰うかわりに「オフレコ設定」された(多くは飲み会などの)機会に政治家が言ったこと、やったことは書かない、という協定をずっときちんと守っている。

お互いに都合のいいことを、都合のいいタイミングで新聞やテレビで国民に知らせる。それが彼等の合意した「お互いに一番いい方法」だからだ。

だから、今回、前日も会見直前も中川さんと一緒に飲んでいた記者(別の記者です)がいるにも関わらず、彼が辞任するまではずっと中川さん側の情報をそのまま垂れ流して報道する。曰く「酒は飲んでいない。」「ワインはなめた程度」

おいおい。


見てた記者がいるじゃん?


なんで書かないの?なんで「えっ、でも、会見直前までうちの紙の記者とレストランで飲んでましたよね?」って聞かないの?

聞きません。「だってそれはオフレコだから」 それはマスコミと政治家の間では「なかったこと」扱いなんですよ。だから聞けないんです。書けないんです。ばらしちゃいけないんです。



問題3 マスコミ村意識

今回、「えっ、でも、中川さんは会見直前にも飲んでますよね?」って記者が問いたださなかった理由はもうひとつある。それは、前夜に中川さんと一緒に飲んでいた記者とその会社、および、会見直前に中川さんと飲んでいた別の記者とその新聞社、を守るためです。

特に直前のほうのはタチが悪い。なんと会議のオフィシャルランチを抜け出してホテルのレストランに行き、記者を含めてまた酒を飲んでるわけですから。それに、そこに同席した美人経済部記者はちょっと有名な人。中川さんに限らず、酒と女性が好きな大臣とのオフレコ飲み会には必ず先輩記者が同行させるこの記者は、中川さんがこの直前のレストランでどれくらい飲んでいたか、きちんと理解してる。


でもそんなことが世間にばれたら?


民主党はその美人記者を国会で証言させろとか言い出しかねない?

すると新聞社はその記者を地方に飛ばさないといけなくなる?

そもそも、直前に飲んでいたと知っていたのにそれを報道せず、「海外で波紋を呼んでいます」と他人事みたいな報道をしていたことをどう説明するんだろ。「世界で一番部数が多い」ことを威張ってる新聞社さんは。。


いずれにせよ、この記者達の所属する社は、ホントのことを一切報道できなかった。そして他社も「同じマスコミの仲間を売るようなことはできない」と遠慮していた。それが、真相の報道がかなり遅くなっている理由でしょ。


もっとはっきり書けって?

大丈夫。しがらみの少ない週刊誌が、1,2週間後に書いてくれますよ。有名な記者だから写真もでるんじゃないかな。飲んでた量だって暴露されると思うよ。そして数ヶ月後の人事異動で彼女は地方に飛ばされる。そしてその半年後に退職してフリーの記者になって戻ってくる。って感じだろうか。




問題4(おまけ) でも自分のためなら仲間も売る!

毎日新聞のウエブニュースが笑える。最後の一文がこうです。

毎日新聞の記者は、中川氏との会合には、いずれも出席しなかった。
http://news.livedoor.com/article/detail/4022387/


自分が最初に潰れそうだからって、

“あらたにす”で仲間はずれにされたからって

そこまであからさまに書く?


しかも、わかっているくせに「どこの会社のなんという記者が中川さんと直前まで飲んでいたか」は書かない。知ってるくせに。

だけど「うちは違います」だけはしっかり書く。


おもしろすぎる。




メディアって・・・てか“メディア”と呼ぶのも悲しくなるよね。まるで単なる

“放送電波割り当て獲得企業”であり、

“広告ちらし配達媒体業”になりさがってる。




それにしてもテレビ局とか新聞社ってすごいよね。

国際会議で大臣がオフィシャルランチを抜け出して新聞記者とワイン飲んでるんだって。国際会議のテーマ?世界的な経済不況だって。へええ。そんなん何処吹く風?


じゃーね。


2009-02-17 日本経済悲観新聞

以下はすべて本日の日経新聞から抜粋


新幹線の乗客数 3ヶ月連続減る

景気後退によるビジネス客の利用減少が鮮明となってきた。

一月はのぞみ4%減、ひかり増減なし、こだま8%現

二月はのぞみ16%減、ひかり9%減、こだま16%減と落ち込んでいる。*1


マンション発売24%減

一月首都圏16年ぶり1000戸台

近畿圏の発売戸数も5.4%減


2008年度の乗用車 世界販売13%減

期初計画比は380万台減 20工場分の能力余剰に


日産 今月は5日休業

国内3工場 基本給2割カット


コンテナ輸送能力 

商船三井10%追加削減


プレス機受注額98%減

プレス機は7割が自動車、2割が電機メーカー向けに供給されている。一月は新規受注がほぼとまりキャンセルも急増。


アルプス電気

福島の工場閉鎖 

年内メド 電子部品不振で


不動産ファンドを運営する大手4社の2008年12月期の連結最終損益は全社が赤字に転落した。


新興3市場に上場する企業の2008年12月期の決算を日本経済新聞社が集計したところ、連結経常利益は前年比48%減ったことがわかった。


学習塾大手 授業料下げ

さなる、最大半額、城南、成績低迷なら免除


製造派遣5社、2社が最終赤字

製造派遣を手がける人材派遣5社の今期業績見通しは日本マニュファクチャリングサービスなど二社が最終赤字、フジスタッフホールディングスなど二社が最終減益になる見通しだ。(略)

アウトソシン単体では売上高は13%減、純利益は32%減の見通し。



↓おっ、珍しく売上増加のニュースだ。

ハイアールジャパンセールスによると日本でのハイアール製洗濯機の今年1月の売上高は前年を約3割上回った

(略)

韓国LGエレクトロニクスの洗濯機が好調なのはヨドバシカメラ。容量が5キロ以下の製品が2月1日までの4週間で前年の約3倍売れた。


ちきりん注)ハイアールは中国の家電メーカー





この抜粋を毎日淡々とやるだけで、それ相応のアクセス数の稼げるブログができそうである。




大変なこっちゃ。


*1:のぞみとひかりとこだまの減少幅の差がおもしろいよね。のぞみの客の一部はひかりに流れてます。こだまの客は在来特急に流れているのでしょう。逃げ場のないひかり(=こだまとの差が大きすぎ)の減少率が一番小さくなるわけです。おもしろいね。

2009-02-16 大臣はアルコール依存症

中川昭一財務大臣ですけど・・アルコール依存症ですよね。

今回の映像は特にひどかったけど、5年くらい前に経済産業省の大臣だった時の記者会見も何度もろれつが回ってなかった。明らかに“酔ってるなあ”という感じでした。

日本の大手マスコミは権力とは持ちつ持たれつで遠慮もあるからあんましそういう場面を放映しないけど*1、昼まっから酒臭いことが多々あったのは皆知っていたはず。今回は海外通信社が撮ったから遠慮のない映像だっただけ。

海外メディアはよくわかってないから、「時差+風邪薬+ワイン」くらいで納得してる感じもありますけど、日本の関係者は皆わかっていたでしょう。


5年前に既に昼間の会見の時にお酒が切らせない状態であったわけで、それから数年、病状はいよいよ進行してきてるんだと思う。ものすごく大事な時だけでさえ隠せないレベルになってきた、ということ。

昨年の11月には宮中晩餐会で酔って騒いでるし、今年は国会での受け答えでもぐちゃぐちゃ。今回もあれだけ大きな記者会見の場があるとわかっていて自制できてないんだから、ここ半年くらいは急激に悪くなっている感じ。もう“飲む”ということに関しては、自分の意思でどうこうできるレベルではないのでしょう。つまり、“病気”ということだと思います。

そろそろ治療を始めないと、内蔵(肝臓を含む)か脳神経かのいずれか弱い方に大きな障害が表われると思います。まだ56歳くらいなのに命を粗末にするべきでないと思う。



なんだけど、難しいなあと思うのが、このアルコール依存症の治療。

今回だってもし彼が本当に治療しようと思ったら、まずは入院が必要になるだろう。麻生総理が毎日高級?バーで飲んでると言われるような政界にいて、大臣をやりながら自主的にお酒を断つなんて、既に重度の依存症と思われる彼には不可能でしょう。

特に彼のような人の場合、基本的に周囲にいる人はすべて“部下”なわけで、それらの人達は“やめてください。飲まないでください”とは言えても、実効力をもって止められるわけではない。唯一の彼の上司である麻生さんだって、そんな強制力はもたないし、そもそもずっと見張ってるわけにもいかない。

しかしたとえ短期間であれ、入院治療します、と言い出したら、それは即、大臣だけではなく政治家をやめる、つまり政界引退騒ぎになってしまうだろう。特に衆議院はいつ選挙があってもおかしくない。虎視眈々と地盤を狙っている人が党内にも党外にもいる。彼がいま「依存症だから入院して治療します」とはとても言えない状況だ。半年後に戻ってきた時に、「いやあ、お帰りなさい!」と言って地盤をすんなり返してくれるようなお人好しは政界にはいない。

奥さんだって同じだ。普通の夫婦なら「仕事より健康が大事。もういいから治療しましょう」という判断をする奥さんもいると思う。だけど彼は二世。ああいう家に嫁に入った段階で、奥さんも「夫の進退は家族の一存で決められるわけではない」ことも重々理解されているでしょう。

アルコール依存症って通常は本人より家族が先に病院に相談するケースが多いのだが、この家の場合、奥様が自分の意思で先に病院に相談するというのはちょっと無理だろうと思う。


もしもこの病気がアルコール依存症ではなくガンだったら、彼だってすぐに病院に行くだろうし、治療を始めるだろう。支持者や選挙民も彼の闘病を支えながら、次の選挙でも彼を選ぶ可能性は大いにある。だけど、この病気では「治療を始める」=「政界引退」になってしまう可能性が高い。

これはサラリーマンも同じだろう。普通の病気なら「病欠をとって治療の間は休職」ってのも十分あり得るが、サラリーマンが「アルコール依存症なので」と病欠の申請ができたりする?本人も家族も「会社生活や仕事をあきらめることを覚悟してでも治療すべき状態にある」と感じるところまで切羽詰まらないと、なかなかそういう決断はできない。

「すべてを失う覚悟」が病気の治療に必要ってのは、他の病気とはちょっと違う決断の重さが求められるよねえ、と思う。


もうひとつ治療が難しいのは、「病気である」という意識が本人、そして周囲の人にない、もしくは薄いことによるものと思われる。今回、麻生さんは「体に気をつけてこれからもしっかり仕事をしてくれるように言った」らしい。これは「もう酒はほどほどにしろよ。体壊すぞ」くらいのことを言ったということと想定される。麻生さん自身がコトの深刻さを理解していないのだ。

だいたい日本のおじさんというのはお酒に寛容だ。「酒を飲んだ上でのことだから」とか「酒の席でのことだから」という理由で、しらふでは許されないことが許されると思っている節がある。しらふで女の子のおしりを触るのは変態だが、酒を飲んでちょっと触っちゃうのは仕方ないだろ?という理屈だ。全く意味不明の理屈です、これ。

「お酒を飲む飲まないに関して自制が効かなくなる状態」を「危ない」「病気だ」という意識がないんだろうな、と思う。だから周りの人も「引退してでも直せ」とは言わない。というか、誰も言わないでしょう。特に彼ほど(多くの大臣を歴任してる)大物になるとね。

「ちょっと酒癖が悪いくらいで引退なんてありえんだろ。アホなこと言うな」っていう気持ちだろう。それくらいの現状認識なんだと思う。


なので、彼は当面、治療を始めず、というか、病気であるということも認めず、結局はだらだらと酒を飲み続けるのだろう。そしていつか倒れて病院に運び込まれる日まで病識ももたず治療も始めないのだろう。

それがどれくらい大きなものを失うことにつながるか。

実際にそうなる前にはなかなか想像がつかないものなのだ。


難しい病気だと思います。

そんじゃーね。




追記)ニュースって、辞任した後に一斉にこういうこと書き始めるんだよね。“みんなで書けば怖くない”ってやつかな?

中川財務相 何度も酒に飲まれ失態

酒で失敗「反省」繰り返す人 「専門家に相談」が重要


*1:最初は「大手マスコミは権力側の支援機構だから」という表現をしていましたが、id:jaguarsanさんのブックマークコメントをみて、確かにそうかも、と思ったので修正しました。コメントありがとうございました。

2009-02-15 解体の希求、結合の希求

高度経済成長期から現在に至る社会の変化のひとつに、伝統的な「共同体の解体」があります。

“村八分”という言葉もあるように、地域が生活全般の共同体であった時代には、コミュニティの構成員間の結びつきは今とは比べものにならないくらい強いものでした。

共同で行う季節ごとの農作業はもちろん、町内会、自治会や消防団、老人会、祭りや信仰のためのコミュニティ、学校関係の子供会、親の会(PTA)など、多種多様な共同体が存在していました。

以前はこういった“共同体への帰属”はすべての人にごく当然に求められ、参加しないという選択肢はありませんでした。しかし、経済成長、都市への人口移動、そして家族形態の多様化に伴い、これらの共同体は一貫して弱体化が進んでいます。

★★★

その一方で現代の人達は、「自分の属するコミュニティ」を探したり、自ら形成するために多大な努力をしています。

ミクシーなどSNSは「コミュニティ結成の支援サービス」だし、自分が気に入った記事をソーシャルブックマークなどで他者に紹介するのも、趣味や意見を同じくする人を捜す行為です。

ブログや掲示板を使う人の中にも、「誰かとつながりたい!」光線を出している人はたくさんいて、うまくコミュニティに入っていけると“嬉しく感じ”、入っていけないと“俺は一人だ”と絶望したりします。


ネットの中だけではなく現実社会でも、会社や家族以外のコミュニティを積極的に作ろうとする人達が増えています。趣味を同じくする人の集まり、ボランティアグループ、勉強会などが数多く存在するし、シェアハウスで共同生活を送る若者も増えています。

会社にしても、社員同士のつながり形成に積極的な支援をする「熱い会社」が人気だったりします。給与をもらって時間を切り売りするのではなく、「カリスマ社長」がいて、その人に「ついていきますっ!」な仲間が集まれば、単なるサービス残業も「夢に向かって皆が一致団結している状態」だと思える……これってまさに「共同体幻想」ですよね。


★★★

では、現代人が「逃げ出したい」と思った伝統的な共同体と、時間やお金を投資してまでも「手に入れたい」「入りたい」と思っている共同体は何が違うのでしょう?

消滅しつつある伝統的な共同体の多くは、個人に参加・不参加の決定権がありません。そこでは、家族は家族であるという理由で一緒にご飯を食べることを求められ、同じ会社の社員であるという理由で日曜日に運動会に呼び出され、ご近所であるという理由で日曜日の草むしりに参加しろと言われます。

一方、現代社会で求められているのは、「運動をしたい人だけが運動会に参加する」「草むしりのボランティアをしたい人だけがボランティアグループに入る」という、個人の参加意思を前提としたコミュニティです。

行為としてはたとえ同じこと(たとえば草むしり)をするのでも、「自分の時間をコミュニティのために犠牲にしているのではなく、自分の好きなことだからやっている」という前提が求められる。これが「敬遠されつつある共同体」と「求められている共同体」の違いです。


ところが、共同体を成功裏に運営し続けるには、一定量の「個人の犠牲」が必要という点では、昔の共同体も今のコミュニティも同じです。

どこでも、コミュニティの長(リーダー)は無報酬で相当の時間の投資を要請されるし、時にはくだらないもめ事に巻き込まれます。「共同体のために自分の時間を使い、嫌われる可能性も引き受ける」人がいないと、共同体は長期間にわたっては成り立ちえません。「楽しそうだから入りたい」「楽しくないから辞める」という人しかいないコミュニティは長続きせず、すぐに解体(自然消滅)してしまうのです。

だからといってそこに「個々のメンバーが果たすべき責任」とか強い「共同体のルール」を求めてしまうと、それを「うざい」と感じる人が増え、最初は盛り上がって成立したコミュニティも、昔のコミュニティ同様に崩壊してしまいます。


このため長く続くコミュニティの多くは、下記の2種類のいずれかの場合が多いように思われます。

(1)フリーライダー(ただ乗りする人)が混ざり込まない、ごく少数の間だけは成立するケース。(コミュニティの規模が大きくなると崩壊してしまう。)

(2)コミュニティの維持運営に相当の役割を担う「コミュニティリーダー」が仕事の大半を担ってくれる「個人主催コミュニティ」のケース。多くの場合、そうすることに商業的なメリットがある人がその役割を引き受ける。

本来は、すべての人が「テイクより少し多めにギブする」というのが共同体が成り立つ条件ですが、実際には多くの人が「ギブよりテイクの方が少しでも多いなら参加したい」と考えるため、多くのコミュニティの寿命はとても短いものになってしまうのです。

★★★

強制的に入れられた共同体から離れて“個”を追求したいという気持ちは多くの人が感じるものです。それを私たちは「自由に生きたい」と言ったり「個の自立」、「集団の束縛から逃れる」などとポジティブにとらえてきました。

一方で、「つながりたい」「誰かにわかってほしい」「わかりあいたい」「仲間が欲しい」という強い欲求もまた消えることはありません。だから、解体された個人は必然として「新たな共同体」を探します。

人間が社会的な存在であり、結局のところ「共同体」なしには生きられないというのなら、昔の共同体を解体しなければよかったのではないか、とか、それらを再生すべきだ、などという議論もありますが、話はそんなに単純ではありません。

参加・脱退の自由が個人全員に認められ、かつ、コミュニティの維持に必要なエネルギーを確保しつづける、というふたつの条件を同時に充足することは、そんなに簡単なことでもないのです。


f:id:Chikirin:20150810175729j:image:medium

そんじゃーね


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2009-02-14 新聞と雑誌より

記事の配置

昨日の日経新聞14面くらいかな。上下にふたつの記事が並んでました。


上段の記事は、タイトルが「トヨタ米英でワークシェア」「人員削減規模 極力少なく」

内容はトヨタの北米と英国の工場で相当のリストラが必要な状況なのだが、労組にワークシェアリングを提案して解雇人数を削減する努力をする、というもの。

ただし、一人当たりの勤務時間と収入が減る話なので、同時に募集する早期退職制度の方に応募する人も結構いるかもしれない、と書いてありました。


そのすぐ下の記事のタイトルは「賃金改善 4000円要求決定 トヨタ労組、18日に提出」

内容は、昨年の春闘では1500円の賃上げを要求して 1000円で妥結したトヨタの労組が、

今年の春闘では 4000円の賃上げを求めることに決めた、というもの。

「物価上昇から組合員の生活を守るのが組合の役割だ」という労組側の“高水準の要求の理由”も書いてある。


このふたつの記事を上下に隣接して並べるセンスは悪くはないが(=さすが経営者寄りの日経新聞!と思うが)、ちきりんだったら“左右”に並べるかな。もちろん下段の記事を左側に配置します。


“日本の労組わけわかんねえな”と思われる方向けのエントリはこちら(長文注意!)→見解の相違

高卒の人の数

アエラの09.02.09号がいすず工場で働いていて雇用を切られた人の中から 51名のプロファイルを掲載している。その 51名の最終学歴の割合は、


大卒 3人(6%)

高卒 38人 (74%)

高校中退と中卒 10人(20%)

です。


一方、文部科学省の統計を見ると、平成 19年 3月の高等学校卒業者数は 114万 7千人で、そのうち

「就職者」は21万1千人 (18.4%)

「一時的な職についた者」が1万6千人(1.4%)

「その他」が6万人(5.2%)です。

合計すると高卒で社会人にでた人の最大数は28万7千人で。全体の25%です。


(なお平成19年3月の中学校卒業者は121万4千人で、うち「就職者」は8千人(0.66%)、「その他」が1万5千人(1.2%)です。)


ん〜


じゃ。


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2009-02-12 経費節減で景気がますます悪くなるやね

テレビを見てたら、多くの企業がリーマンショック後の不況をなんとか乗り切るため、血のにじむような工夫をしてると紹介してた。

トーンとしては「みんなで我慢してこの苦境を乗り切りましょう!」って感じだった。

無駄遣いや使い捨てになれた現代生活を反省して、「もったいない」精神の生きていた“古き良き時代に皆で戻ろう!”みたいなノスタルジックな番組だったよ。

きっと戦争中に行われた「欲しがりません! 勝つまでは!」ってキャンペーンってこんな感じだったんだろうなと思わせられた。


一部、内容を紹介すると・・



オフィスの蛍光灯を一部外して電気代を浮かし、

しかも外した蛍光管は保管して、使ってる蛍光灯が壊れた時は(新しいのを買わずに)そこから補充するとか。


社内での連絡便のために使う封筒も、破れてもセロハンテープで修理して長く使うとか。


社内の文具置き場には貸出票がおいてあって、はさみとかテープとかそこから“借りて”、使い終わったらそこに戻すとか。文房具費用の今年の新規購入予算はゼロなんだって。


同じビルにはいっている他の会社と“営業車”を共有して使うっていう会社も紹介されてた。

カーシェアリングっていうらしい。

予約はネット上でできて、使った時間に応じてコストを割る。3台の営業車をそのビルに入ってる 10社くらいと 2人の個人で共有してると。


出張は全面禁止で、全部テレビ会議でやるんだって。


パソコンもアップグレードは全面停止するんだって。


社内で購入していた専門雑誌や専門新聞誌の購読も「課で一部」を「部で一部」に減らすんだって。


業者のコーヒーメーカーが入ってたのをサービス停止にして、飲みたい人はインスタントコーヒーを自費で共同購入して給湯器のお湯で自分で作って飲むことにするんだって。


本社のレイアウト変更も中止にしたんだって。新しい家具買ったり、工事や引っ越しにもお金がかかるから。


それに、今まではバイク便に資料配送を頼んでたんだけど、これからは社員が地下鉄にのって届けるらしい。


あっ、もちろんコピー紙を裏表使うとか、カラーコピー禁止とか、それにしたってできるだけ印刷しないとか、昼休みに電気消すとか、残業しないってのはもう常識なんだって。



ふーん。



とりあえず、

文房具メーカーと電球メーカーと自動車メーカーと

損保会社と駐車スペースを貸してる不動産会社と

パソコンメーカーとソフトメーカーとオフィス家具メーカーと引っ越し業者と

オフィス工事会社と飛行機会社とホテルとJRと

オフィスドリンクサービス会社とバイク便会社と専門雑誌や専門誌の出版社と

電力会社と製紙メーカーとコピー機メーカーの

売り上げはかなり落ちるよね。

こんなことされちゃあ。


ん〜


これって、日本経済のためにみんなで経費削減をして頑張ろう!っていう番組だったんだろうか。

それとも、経費削減なんてしたら経済が落ち込んでしまうよ!という警告番組だったんだろうか?

それとも、いろんな会社の売上げを減らして、みんなでもっと不況を大きくしようという番組だったのかな?


実際、文房具メーカーの社長が見ていたら、この局からはCM全部引き上げたいと思ってもおかしくないような内容だったよ。

「こうすれば文房具代をゼロにできますよ〜」みたいな工夫を次々と嬉しそうに紹介する番組って・・・

文具経費ゼロって文具メーカーから見ると売り上げゼロってことっすよ。

オフィスビルでの営業車共有システムだって、自動車会社的にどうよ?「おっ、こんな手があったか!」とか気がつかせちゃうわけで。そうでなくても車なんて今、全然売れないのに。


この番組が不況を乗り切るために役にたっていると思っているのか、それとも経済状況に“より大きな害悪”を与えたいと考えて作られた番組なのか、イマイチ趣旨のわかりにくい番組だったでごじゃります。


byちきお


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2009-02-11 ベーシックインカムの世界

ベーシックインカムというアイデアをご存じでしょうか。

簡単に言えば、「すべての成人に無条件に(=働いていなくても、多額の資産をもっていても)最低限の生活費を支給する制度」の提案です。

その代わり、公的な雇用保険、年金制度、生活保護制度、障害者年金制度、などは廃止。

たとえば月 15万円(年収 180万円)くらい、全成人に支給する。世帯ではなく個人単位です。

未成年の子供をもつ親は、子供の分もいくらか貰えるんだと思います。つまり最低限の生活でよければ人は働く必要はなくなる、という制度です。


制度として論じられてますが、どこかの国で実現しているわけではありません。また、具体的な支給額を含め、詳細部分には様々なバリエーションがあります。

この制度を巡っては、思想的な是非や財源面での実現可能性について様々な議論があるのですが、今日は、

社会学的かつ空想的に「ベーシックインカムが実現したら、いったいどういう世の中になるの?」

について考えてみます。


★★★


まずは「ベーシックインカム制度が本当に実現したら、どういうことが起こるか?」、思いついたことを列挙してみると、


(1) 離婚が増える。中高年以上の離婚が特に増えそう。

「離婚したら食べていけない」という理由で、破綻した結婚生活を続けてる人はたくさんいるので。


(2) 子供の親からの自立も早まりそう。

今は一人暮らしをするお金がないから仕方なく親の家に住んでる子が、ベーシックインカムがもらえる年齢になった時点で、家をでるという子は増えそう(あたしとか)。

大学生も仕送り不要で都会の大学に行けるから、家が貧乏でも上京する人が増えそう。地方大学はいよいよ「終わり」じゃない?


(3) 起業や転職をする人も増えるでしょう。

就職しなくても最低限の生活費がでるし、起業で失敗してもセーフティネットが確定してるわけだし。

失業時の仕事探しだって気に入る仕事が見つかるまで延々と探し続ける人がでるだろうな。

若い頃の夢(音楽で生きていく!)とかを本気で追い求める人も増えそう。


(4) もちろん一定数の人は働かなくなるでしょう。


(5) いったん就職したけどすぐ辞めちゃう人ももっと増えると思うし。


(6) 失業しても焦って仕事探そうとかしなくなる。ゆっくり「好きな仕事を探す」人が増えそう。


(7) 過大な貯金をせず消費する人が増えそう。

老後のための蓄えが何千万も必要という話はなくなるでしょう。景気がよくなりそうだね。


(8) 反対に、会社の経営者にとって、社員を解雇することが簡単になると思う。

首を切っても相手が路頭に迷うことはないから、法律もあまり解雇を厳しく言わなくなりそう。

首切られてもホームレスが増えるわけでもないし、失業保険や生活保護の支払い(税負担)が増えるわけでもないし。


などがすぐに思いつくところです。


★★★


上記の具体例をざっくりまとめれば、まずは「金の切れ目が縁の切れ目」ってのがより容易に現実化するだろうってこと。みんなお金のために我慢しなくなる。

夫婦であれ親であれ会社であれ。みないろいろ不満があっても「現実的に食べていけないし」と思うから我慢してる人は少なくない。

それが“切れる”ようになる。親子であれ夫婦であれ会社であれ、今よりは「経済関係を共にしている人と縁を切ってしまうこと」が容易になる。つまり増える。


2番目に、リスクをとることが怖くなくなるってこと。

これはいいよね。皆、失敗を怖がらなくなり、より積極的な生き方をし始めると思う。


そして3番目、すごく「あからさまな欲望が顕在化する」ということ。

上記 (8)のように、会社で役に立たない人を首にするのって、今よりよほど気楽になる。首にしても、その人が生活に困るわけじゃないから。

ちなみに首を切られた方は、今は「首になると経済的に困る」とか言ってるけど、じゃあ「経済的に困らなければ首を切られても平気か?」と言えば、たぶん違うよね。

人は「お前は役に立たない」と言われると、経済的に困るということよりも大きく心を傷つけられる。

つまり首にする方は「気楽に」首を切り始めるけど、解雇される方は「首を切られても、ベーシックインカムがあるから今よりは気楽」ってわけでもない。なので、結構つらい世の中になりそう。


あと、男性に関して言えば「経済力はないけど、イケメンで一緒にいて楽しい人」は今よりモテるようになる。

とりあえず一人 15万、夫婦で 30万もらえるなら、あんまり結婚相手の経済力を問題にする必要がなくなる。

反対に「つきあっててすごく楽しいわけでもないけど、彼と結婚すれば将来安定してるし」みたいな人はベーシックインカム制度には反対した方がいい。

“安定した経済力を提供できる能力の価値”が相対的に下がってしまうのだから。

“まじめないい人”より(相対的に)“ちゃらんぽらんだがおもろい人”が“恋愛市場だけではなく結婚市場でも”モテるような社会になるでしょう。


離婚も「食べていきやすくなる女性側」が言い出すパターンはもちろん増えるけど、一方の男性側だって“糟糠の妻”を捨てやすくなるでしょ?

本音の本音ではもう別れたいけど、ここまでしてくれたこいつを一人で放りだすなんてなあ、そんな身勝手なことはできないよなぁ・・とかいう躊躇は少なくなりそう。


というわけで、ベーシックインカムが実現すれば、より本能的な我が儘が、実際に行動に移されやすくなる


生きていくのにお金のかかる現在の社会では、収入がない人は独立した人間としての意志が貫けていない場合が多い。

簡単に言えば、「お金のために我慢」してる。


親に我慢し、夫に我慢し、妻に我慢し、会社に我慢し、部下に我慢する。が、ベーシックインカムが導入されれば「生きていくため」の最低収入は保証されているので、そういう我慢は不要になる。

ある種の“人間解放の思想”、“精神の解放”という意味でインパクトが大きそうだよね、

てか、こっちのインパクトの方が「貧困対策」とか「社会福祉」的観点でのインパクトより、より大きい意味をもつんじゃないかな。

こういうのが実現したら、有史上初めて「食べていく」=「生存する」ということを前提としない人間の行動が見られるようになるわけで、他にももっと「えええええっ!」ってな現象が起こるかもしれませんんね。それはそれで楽しみ。


★★★


ベーシックインカム制度に賛成している人の意見を読んでいると、この面に注目して賛成している人も結構いるよね。

堀江さん(ホリエモン)の意見なんて「くだらん奴には金(給与)だけ払って仕事場からは引き離したほうがいい」って感じでしょ。

「お金払ってでも、職場から追い出したい人がいる」ってのがベースにある。*1


なおベーシックインカムに関しては、「みんな働かなくなってしまうのでは?」とか言う人がいますが、そんなわけないじゃん。

そもそも、「働きたく無い人」「最低限の生活費がもらえるなら仕事を止める人」が働かないなんて、なんの問題もありません。

そんな仕事はどんどん機械に置き換えればいいんだし、むしろ今、そういう人達の仕事を守るために残されている様々なウザイ規制を撤廃できるようになって、稼げる人はもっともっと自由に働け、稼げるようになる。

「働きたい人が自由に働ける」社会である限り、「働きたくない人」が働かなくてもなんも問題ないです。


むしろ問題は、国際的な移動の自由がある時代には、一ヵ国だけこれをやると、移民や難民の目的国にされてしまう、とういこと。そっちの解決方法のほうが難しい。


いずれにせよベーシックインカムが実現すれば、上に書いたような「欲望がむき出しになる世界」になりますよってこと。誰も書いてなかったので、まとめときました。

ベーシックインカムに賛成する人の中に、「貧困がなくなる」とか「公正な機会が与えられる」、「社会から不安感が取り除かれる」とか、そういう夢物語みたいなことを言う人がいますが、それはまったく反対だと思う。

こんな制度が導入されたら、私達は貧困などよりよほどオドロオドロシイもの=「人間の生の欲望が顕在化する世界」を見せられることになるでしょう。

超楽しみ!


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そんじゃーね。


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*1:堀江さんのブログはこちら→http://ameblo.jp/takapon-jp/entry-10178349619.html

堀江さんが引いている山崎元さんのブログはこちら(こっちの方を先に読むと制度についてはわかりやすいかも)→http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/e/df9729ff82024e97dd3447d08d9c5f27

2009-02-10 ボタンを探せ

ネット上でいろんな人の主張を読んでいると、自分の考えはそこそこ一般的なものだと感じます。

これはテレビなど既存マスコミを見ている時に、自分の考えがとてもおかしな、少数派の意見に感じられるのとは対照的です。


たとえばテレビでは未だに“企業の剰余金を取り崩して非正規社員を正社員にしろ”などと言う人が登場しますが、なぜあんな摩訶不思議な意見を電波に乗せるのか、ちきりんには全く理解できません。

一方、ネットメディアでは誰もが賛成しているようにみえるのに、現実には、何年たっても変わらないことがたくさんあります。


たとえば、

「官僚組織と産業界の既得権益者が深く癒着して無駄な税金を浪費し続けており、そのために必要なところにお金がまわっていない」という状況認識。


たとえば

「新卒採用、年功序列、雇用規制などがどれほど成長への阻害要因となっているか」ということ。


たとえば

「現在の教育制度が、これからの日本に必要な人材を育成しているとはとても思えない」こと。


たとえば

「ネット選挙を解禁すべき」ということ、など。


ネット上では非常に多くの人がこうした問題意識を共有しているように思えます。

それなのに、なぜ何も変わらないのでしょう?

なぜ、現実はこんなにも強固なのでしょう?


ネット上で積極的に発言している人や声の大きい人なんて、世間では傍流だからでしょうか? 

確かにそれもあるでしょう。けれどもうひとつ、一定数以上の人がそうだと思っていても現実が変わる気配を見せない理由は、「ボタンが見つからない」からだと、私は思っています。


たとえば明るくて寝られないので電気を消そうとしたとしましょう。

「眠るためには電気を消せばよい」ということはわかっています。けれど、その照明を消すボタン(スイッチ)の場所がわからないと消せません。

問題はわかっているんです。明るくて眠れないことです。

どうすればいいかもわかっています。あの天井の照明を消せばいいんです。

ところが、それを実現するために、押すべきボタンがどこにあるかわからない。だから状況が変えられないのです。


ちきりんも同じです。ブログや記事に「こうあるべき」「こうなるべき」という意見は書けても、「ここにソレを変えるボタンがあるんです!」と書くのはすごく難しい。

なぜなら、その部屋は自分の部屋ではないからです。

私はその分野の専門家でも、自分がその世界で働いたことがあるわけでもありません。

だから「何をまず変えれば変化の歯車が動き出すのか」。「現実的にどうすれば変わるのか」がわからないのです。


自分の部屋ならボタンの場所は最初からわかっています。けれど初めて泊まるホテルでは、電気のスイッチを探すこともよくあります。

他人の家に行った時も同じです。廊下のスイッチが見つからなくて、その部屋の居住者に聞いて初めて「ああ、こんなところに」となります。

自分の専門領域外でボタンを見つけるのは大変なのです。


けれどボタンはあるんです。だからこそ、電気はついているわけですから。

そして、その分野で働いている人にはボタンの場所はわかっています。でも彼らが動かない限り、外部者にはボタンの在り処はなかなか見えません。


多くの場合、内部者はボタンの位置を外部者に教えないどころか、それを隠そうとさえします。

なぜなら彼らこそ状況を変えたくない張本人だからです。

私達は「何が正しいのか、何がおかしいのか」だけではなく、「どうすればそれが実現できるのか」に焦点をあてて考え始めなければなりません。

ボタンを見つけ、それを押さないと、現実はなにも変わらないのです。


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そんじゃーね


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2009-02-08 インフルエンザにしろ風邪にしろ

ちきりんの会社でも世間同様、風邪が大流行している。一部はインフルエンザなのかもしれないが、あんまり病院に行かない人が多い会社なので、皆、自分がかかっているのがインフルエンザなのか風邪なのか結核なのかわかっていないと思われる。迷惑な会社である。


ちきりんの部署も、ちきりん以外全員がなにらかの病にかかっている。世間はパンデミックとかいう大流行を怖れているらしいが、ちきりんの部署に限って言えば既にパンデミックが起こっているといえよう。

ゲホゲホいっている社員には、一応「インフルエンザ?」と聞くようにしているが皆「いえ、風邪です。」という。「それは誰が風邪と判断したのか?」と聞きたいところであるが、聞くのが怖い気もするのでいまのところ聞いていない。

たとえそれが単なる風邪だとしても、だいたい「なんであんたらみんな、風邪ひいてるのに会社に来てるのさ?休みなよ」と思う。しかし誰も休まない。なんでか、と問うと、「仕事があるから」だそうだ。

ああそうなんだ。そういうことなら仕方がない。


のか? 

だとすると、仕事がない人は休んでもよいってことなのかな?

というか、風邪をひいても休めるのは“仕事が無い奴”だけなのか?

じゃあ、うちの部署で休めるのはちきりんだけってこと?



いやいや、もとい。なんか混乱してるな。最初に戻ってもう一度考えてみよう。彼らが風邪をひいているのに会社に来続ける。理由は“仕事があるから”だそうだ。なるほど。


百歩譲って、彼らはいいとしよう。どうせ風邪をひいているのだから。


でもさ、ちきりんはどーなるのよ?


ちきりんは風邪をひいていない。幸いインフルエンザの兆候もない。しかし予防接種をしているわけではないし、体が強いわけでもないので、いつこれらにかかるか、という恐怖感は非常に強い。

ちきりん以外が全員、風邪をひいている部署にいて、しかも誰も休まないなんて・・・こんな状況ではこっちが休みたくなる。

しかもちきりんは彼らと違ってたいして忙しいわけでもない。風邪をひけばすぐに休める。にもかかわらず、ちきりんは風邪もひいていないので、休むことさえできないのだ。これでは風邪をうつされてしまうのも時間の問題であろう。



いったいどうすれば、風邪が蔓延した会社に行かずに休めるのであろうか?


などと考えていたところ、

「そうか!風邪をひけばいいんだ!」

と気がついたわけであるが、それでは風邪をひきたくないのではなく、会社にいきたくないだけだ、と疑われてしまうので、口に出すのはやめた。このへんが、ちきりんの論理的なところである。


まあとにかく、こんな簡単なことへの解がみつからないばっかりに、明日もちきりんは風邪の蔓延した会社&部署に出社するのである。まるで一種の“ウィルス耐久レース”に参加しているかのようである。


★★★

ちきりんにできる予防方法といえば、まずは通勤途上の地下鉄の中ではずっとマスクをしている、ということ。できる限り(飲みに行くのを除く、不要不急のことでは)人混みにでないということ。一日数回のイソジンをつかったうがいと(通勤の後と、部署内会議の後は必ず!)、加えて手もよく洗う。

あと、栄養のよいものをよく食べてよく寝る。ビタミンCをとるためテーブルみかんを欠かさない。運動もしたほうがいいかもね?ということで、二日に一度30分ほどウォーキングする。電気代がもったいないなあ、とは思うのだが寒いと風邪をひきそうなので家でも暖房をつけている。

あと、社内の人とのミーティングもできる限り避けている。電話かメールで済むことならそれですませるし、別にちきりんがかかわらなくても結論が変わらないと思われる仕事には口をつっこまないようにしている。これはやってみたらかなり効果があった。なぜなら、大半の仕事にはちきりんはかかわらなくてもいいということがわかったためである。これなら風邪をひかずにすむかもしれない。

しかしながら、そのためにここんとこ全然仕事が無く、もしかすると風邪にかかる前に首になる可能性がでてきた。このご時世、風邪にかかるのも怖いが、失職するのも割と怖い。なので、どっちに、より気をつけるべきか、というバランスが大事だな、と最近気がついた。右ばっかりみていたら左からもバイクが飛び出してくるかもしれないのだ。バランスよく気をつけたいものである。

★★★

ところで学校には風邪やインフルエンザが流行った時には「学級閉鎖」という方法がある。時には「学校閉鎖」もあるらしい。

しかしながら今のところ会社が風邪やインフルエンザで「事業所閉鎖」とか「会社閉鎖」になった、という話を聞いたことがない。過去にそういう例があるのだろうか?

世の中ではパンデミックに備えて数日分の食料を確保しておくべき、みたいなことを言っている人もいるが、そもそも会社の場合、誰かが「会社閉鎖だ」とか決めてくれない限り、誰も休まないではないか。いったい誰が、どういう状況の時に「今日は会社は閉鎖します」って決めるんだろう?

そういう基準とか判断者が明確になってるんですかね?世の中のまともな会社は??



日本の会社では、病にかかった人は「仕事があるから」と出かけていき、病にかかっていない人は「元気なのだから」休む理由はないだろうということで、結局皆、会社にいく。これではパンデミックに備え食料を買い込んだはいいが、いったいいつ、家に引きこもり、それらの買い込んだ非常食を食べていればいいのか。せっかくの非常食も賞味期限切れになってしまうではないか。


というわけで、ちきりんにはひとつ提案がある。


定期的に予行演習をしてはどうか、ということだ。一年に一度くらい、一番インフルエンザや風邪が流行っている時に、1週間くらい国全体で予行演習をしてみるのだ。「パンデミック予行演習です。すべての会社も学校も休みにしてください!」ってな感じで、朝からテレビが放映するのだ。

そして、国民は1週間家に籠もり、本当に自分たちが用意した食料や日用品が十分な潜伏に足るものかどうか、何か足りないものはないか、不覚にもマヨネーズが切れていないか、などを確認するのである。いつもは仕事のすれ違いばかりで顔を合わすことのなかった夫婦でも、1週間家に一緒にずっといたら「この結婚は間違いだった」と気がつくかもしれない。いろいろと確認できるよい機会になるのではないか?



それに加え、どうせ日本も世界も大不況である。1週間も働くのをやめればいい感じの供給調整になるのではないか。そういう意味では、今年は2,3回、練習してもいいくらいだ。浜松から名古屋にかけてのエリアなんかは、一ヶ月くらい予行演習していても大丈夫かもしれない。

そしてそのうちみんな、「なんだ、こんなに働かなくてもよかったんだ」って気がつくかもしれない。一石四鳥くらいの名案ではないか。


もしも国全体で予行演習をやるのが難しいというのなら、県別でもいいし、市町村別でもいい。いやそれでも大がかりすぎるというのなら、会社ごとでもいいし、部署ごとでもよい。

おお、部署ごとの予行演習ならその部署の責任者が決めれば実施できるのではないか?


と考えて、一瞬、自分の部署で試してみることも考えたちきりんであるが、そんなことしたら多分間違いなく職を失いそうなので、とりあえず明日もおとなしく会社にいくことになるのであろう。


あああ、あたしったら本当に小心者。


あっ、でもひとついい案があった!

部署の皆を巻き込まず、自分ひとりで予行演習してみたらどうだろう?あたしがひとりくらいパンデミック対策の予行演習をしていても、誰も気がつかないし、最初にも書いたように仕事にも差し支えはないので、誰にもばれず、したがって、仕事を失うリスクも最小化できるのではないか?

しかもちきりんが予行演習から学んだことは、後から部署の皆に教えてあげればよい。そうすれば仕事も滞らず、かつ、うちの部署としては、きちんとパンデミックにも備えることができる。



「おいおい、ちきりん、そこまで会社行きたくないのか?」って?


違いますよ。パンデミックが怖いだけ。



ちきりんの言うこと、信じてる?

信じてないでしょ?

素直じゃないな。大人って。



そんじゃーね。


★★★


まさかと思いますけど本気にしないように。このブログに書いてあることは嘘ばっかりです。

じゃね。

2009-02-07 兵庫会席

兵庫県の名産尽くしの和風会席を、鉄分たっぷりの金の湯で有名な有馬温泉(神戸近く)でいただきました。

おいしかった。兵庫県にこんなおいしいものがたくさんあったとは知らなかったです。



食前酒: ざくろ酒


前菜: 日本海境港水揚げ 松葉蟹酢浸し*1

    .菊花 菊菜 生姜酢


造り: 明石鯛うす造り*2


煮物椀: 丹波山芋 とろろ仕立て*3

       椎茸、陸蓮根、鴨つみ入れ


強肴: 神戸ワインビーフ*4

     温しゃぶ 胡麻たれ


焼物: 淡路沖 太刀魚手網焼き*5


焚合わせ: 地産 里芋茶巾*6

        海老芝煮 絹さや 百合根 銀杏


食事: 丹波黒豆ご飯*7

     貝柱 人参


止椀: 田舎味噌仕立て*8

     牛蒡 大根 人参 椎茸 三つ葉


幸の物: 4種盛り*9


果物: 地産 有野二郎寒いちご*10



こういう地元の名産だけでコースを作るってのはいいアイデアですね。しかも蟹やら神戸ビーフやら鯛やら豪勢だし、兵庫県って恵まれてるのね、と痛感。日本海と瀬戸内の両方の海に面していて、その間に平野と山エリアがあるでしょ。2種類の海に平野に山、だから食材が多彩なんです。ほんと美味しかった。温泉も最高だし、お宿のサービスもすばらしかったです。



幸せってこーゆーことよね〜。


ではでは〜


.

*1:おいしいっ。お酢の味が上品。蟹は風味たっぷり。スターターとしてすばらしい。コース料理は何から始まるとか流れとかが大事だよね。

*2:おいしいね〜 明石といえば蛸!と思いがちな庶民派のちきりんですが、やっぱ鯛やね〜。歯ごたえがあって美味しかったっす。

*3:これはよくわかりませんでした。

*4:ちきりんは余りに脂身の多いお肉は苦手なのですが、これは程よい霜降りでおいしかった。ポン酢たれのほうがあっさりしていいかもだが。

*5:お酒より白いご飯がほしくなる一品。こういうさっぱり系のお肴大好きです。

*6:おおっ里芋って美味しいやん。ほこほこしています。関西っぽい上品なお味です。

*7:黒豆と貝柱をいれたご飯。黒豆は見たことない大きさで、ほっこりしてておいしかった。これはヒットです。土鍋で炊いておこげもおねばもついてるし。

*8:確かに田舎仕立て。牛蒡とかが美味しい。

*9:お祝いの席だったので“香の物”は当て字を使ってくださったのだと思います。ごく普通。

*10:このイチゴは・・・スーパーで売ってるのとは味が違いました。甘みは強くないのにとてもおいしい。スーパーのイチゴって人工的な甘みがするのね、と気がついた。

2009-02-06 自分の国に住まない人達

最近、自分の国に住んでない人、たくさんいるよね。日本人で海外に住む、外国人で日本住む、両方増えてると思う。留学生とか企業内の転勤とかを除き、期限を決めずかなり長く海外に住む人のことですけど。

どんなパターンがあるんだろ?と思って考えていたら結構いろいろあるのでまとめてみた。なんか抜けてるのがあったら教えてね。教えてくれたら100円天あげるよ!(嘘だよ。)


なお順番は適当。

「順番が適当」であることに違和感を感じる人はよく思い出してほしい。これは仕事ではなくブログです。

ではスタート。



国際結婚型

外国の人が日本人と結婚して日本に、もしくは、日本人が外国人と結婚して相手の国に住むというケース。選んだその国にずっと住み続ける場合が多く、時には帰化する場合もある。配偶者が現地の人のため、離婚さえしなければ生活の不便や不安定さは少ない。

たいていの場合、国際結婚を選んだ段階で、相手の国やその文化自体に好意を感じているケースも多いのだと思う。



農村の嫁取り型

形としては国際結婚であり、上記の派生形式。エージェントが存在し、100万円から500万円程度の費用でアレンジや手続きのサポートをしてくれる。農村だけでなく都市生活者の利用も増えている。

日本だけでなく欧米など先進国に存在するサービスで、お金を払う側はほぼ全員が男性、「選ばれる側」はアジア、南米、東欧など経済レベルの低い国の女性、というパターンが主流。



シルバー滞在型

定年後を格安の、もしくは温暖な海外で過ごそうとする人達。日本の家を売り払う移住型から、日本に家を保ち、季節ごとに移動する滞在型などがある。

夫婦揃って一定の健康と一定の財力がある場合のみ成立する。慣れない海外生活でのストレスや、病気、トラブルなどで短期で帰国する人もいる。



現地駐在後の住み着き型

商社マンやメーカーの製造現場責任者などで、特定の国に10年近く駐在し、日本への帰国辞令がでた段階で退職して駐在国に戻ってくる人達。いったん帰国した後、数年後に戻る場合や、定年になってから戻る場合などもある。

もともとの専門分野で駐在中に得たネットワークを活かし起業する人が多い。経済地盤がしっかりしている上、生活や言葉にもなれているため、サラリーマン時代より稼ぐ人もたくさんいる。

一方で、慣れが油断を生み、金目当ての誘拐や強盗などにあう人もいる。



文化・生活様式選択型

考え方や生活様式、仕事のスタイルなどが自分の国で主流のものと合わないと感じている人が、選択肢となりうる「自分とあうスタイルの国や地域」と出会ったときにそちらに仕事と生活の拠点を移動してしまうパターン。

タイ、香港、ベトナム、フィリピンなどアジアを選ぶ場合と、シリコンバレーやNYなどの米国を選ぶケースがあり、趣味・指向が別れる。

最初は留学生としてその地で暮らしそのまま、もしくはいったん自分の国に戻った後に再度戻るというパターンがひとつ。もうひとつは買い付けなどの仕事で行き来しているうちにその国が気に入って、というパターン。その他に「香港で輝いてみませんか?」的エージェントも存在する。



才能移籍(流出)型

ノーベル賞級の研究者が海外の大学から招聘される、とか、超一流野球選手が大リーグに移籍する、幼い頃に国際コンクールなどに入賞した天才少女が奨学金をもらって欧州の音楽院に、みたいなパターン。ごく限られた人の道。



本場で勝負型

上記の才能移籍型の一般人バージョン。金融のプロフェッショナルでウォールストリートで働くとか、ジャズシンガーでNYで歌うとかね。オペラ歌手でイタリアなどの芸術系で欧州、変わり種ではベリーダンスでエジプトとか。

つまり自分の専門分野の主な舞台が海外であった場合に、その国で通用するレベルを目指して移住するケース。

成功した場合はそこそこのレベルを維持して定住。というか、そもそも日本で成功していて、本場に舞台を移すという場合が多そう。

一方で芸術系などは大半が上手くいかないので、現地ガイドやドライバーとして生計を立てながら何十年も芽が出ないままその国に住み続ける人も。中には日本に戻るきっかけを逸してしまう場合もあり。



自分探し&放浪型

「オレはビッグになる!」「世界を見る!」「とにかくまずは日本を出ようと思ったんだ!」などと言って、当ても予定もなく渡航するパターン。何のツテもない国を放浪し、お金がなくなった時点で戻ってくる人もいるが、ふとしたきっかけで一国に住みとどまり、日本料理屋や柔道教室などを開いて定住する場合もある。*1日本からきた旅行者などに会うと、「私なんてもう日本には帰れませんよ。はは」と遠い目をして言う。(?)



出稼ぎ型

世界的にはフィリピン人の出稼ぎが有名。アメリカの場合は南米からの出稼ぎが主流。日本の日系ブラジル人の場合、この類型と移民型のハイブリッド型である場合もある。

単身で海外に働きに行き国に残した家族に仕送りするパターンが多いが、家族ぐるみ、親戚ぐるみで移住という場合もあり、この場合、より定住する可能性が高い。反対に単身型の場合は一定のお金を手に入れると家族の待つ本国に戻るケースが多い。ただし、単身かつ本国に強い家族のつながりがないと「違法滞在」の形で居残り続ける場合もある。



移民・難民型

政治的迫害等の理由で他の国に亡命、難民として移住するケース。また経済的な理由や、政府主導の大がかりな移民政策が行われその結果として、というパターンもある。

二世は微妙だが、三世以降になると移民というより現地国の人と考える方が適切かもしれない。



留学延長型

海外で大学や大学院に進み、奨学金が得られてそのまま博士課程に進んでいる間に滞在期間が10年を超えてくるようなパターン。学校周りのアルバイト(日本語クラス担当や数学授業のアシスタントなど)で生計をたてている。その後どうなるのかよく知りません・・



使命遂行型

アフリカや中近東などの紛争地域、貧困地域で、信念に基づいて支援活動などを行ううちに十数年など長期にわたり海外に在住する人達。国際機関などに所属する場合もあるし、NGO,NPOや個人で、という人もいる。(仕事の転勤で数年滞在という人は除く)

キリスト教の場合、布教がその使命である場合も。



犯罪被害者型

戦前の強制労働で朝鮮半島から人を集めて連れてきたようなパターンや、拉致で連れて行かれてる人、とか。本人の意志に反して他国に住む人達。



だいたいこんな感じですかね?結構いろんなパターンがありますね。他にもあるかしら。

短期の留学や転勤は除いてます。


んじゃね。



*1:tetsuya_mさんのコメントを得て一部修正

2009-02-05 声を出して笑える文章

アエラに掲載されている野田秀樹氏のコラムがいつもおもしろい。

1月19日号では、やたらとマスクが好きな日本人を皮肉って以下のような記述がある。


日本人は子供の頃から自分がマスクをするのも、マスクをしている人間を見るのも慣れっこである。

西洋人はマスクに慣れていない。彼らはマスクをしている人間が街を歩いているのを見ると訝しく思う。この街には伝染病が流行っているのか、くらいのことを思う。



(中略)



しかもマスクは近頃どんどんでかくなっている。でかいマスクで半分以上顔を隠して、携帯電話で話しながら町中の人間が歩いている姿を見たら、やっぱり、その街に何かよからぬ病が流行り、必死に連絡をとりあっているように思うのは、人間ってもんじゃねえですかねえ。


おもしろいなあ。次の一節も秀逸。



だいたい「三次元マスク」って何?それ、でっぱってるだけだろって言いたくなる。そんなこといったら、すべての商品が三次元ですよ。三次元コップ、三次元デスク、三次元テレビ(外が出っ張っているということでよろしく)。


たしかにそうだ。そんなこと言ったら、あたしだって「三次元ちきりん」だぜ。

あっ、でも皆さんにとってはあたしは「二次元」なんですかね・・


ちなみにこの日のタイトルは「怪しいマスク民族」





今週号のタイトルは「日本の便器に隙を見せるな」で、


だが近頃、高級レストラン(つまり、自分の金でいかないレストラン)とかで油断していると大変なことになる。


便器の前に立ったとたん、まずジーコと開く。その開き方にも二種類あって、二枚開くのと一枚開くのと。どうやったら、そういう違いが起こるのかがわからないまま、用を足していると、突然、蓋が閉まり始めたりしてうろたえたりする。


もー最高。

女性だと「途中で蓋が閉まりはじめても」背中に当たるだけじゃん。でも、男性の場合、途中で(“小”の途中で)蓋が閉まり始めたりしたら大変だな、確かに、と思って(=“あわわっ!”とかなってる図を“絵的”に想像しちゃって)、地下鉄の中で吹き出しました。あっ、もちろん“マスク”をしてましたので、前に座ってる人に唾がかかったりはしませんでしたけどね。



その後も。トイレの操作盤のボタンについて、

それらにのボタンの横には小さな液晶画面があり「強」「弱」「前」「後」という文字が東西南北に配置されている。

外人だったら、この神秘的に配置された「強弱前後」を「弱肉強食」みたいなものだと思うかもしれない。

次にその外人と会った時は、腕に「強弱前後」と刺青をしているかもしれない。


おもしろすぎる。



週刊文春のコラムの土屋賢二さん(哲学者)の文章も、最初は吹き出すほどおもしろかった。余りにワンパターンなので最近はちょっと食傷気味ですが。


ちきりんも「吹き出されるほどおもしろい」文章を書きたい。って思ってます。誰かが「声を出して笑っちゃった」と言ってくれたらとっても嬉しい。笑いって人を幸せにする。だから、そういう文章が書けるということは、人を幸せにできるチャンスがあるってことだと思う。


そういう文章を書いていきたい。

いや、たまにでいいのでね。


そういえば、“ブックマークコメント”にも時々めっちゃおもしろいのがあって吹き出すことがあります。見つけた時は星マークをつけるようにしてるのだけど。(全部読んでるわけではなのでたまたま見つけた場合だけですけど)




「笑わせる」ってほんとナイスなことだと思う。


関西人だからそー思うのかな?「笑わせてナンボ」です。



そんじゃーね。

2009-02-04 北海道はハワイ化を目指せ!

中国で「非誠勿擾」という映画が大ヒットしたという記事を読みました。海賊版DVDを含めると一億人が見たかもなんだって。

すげっ!

内容は北海道を舞台にした恋愛ドラマらしいのだけど、北海道の景色、温泉、食べ物がふんだんに出てくるため、映画を見た中国人が「日本がこんな美しい国だって知らなかった!」「是非、行ってみたい!」と言ってると。


台湾でも前に北海道の富良野を舞台にした恋愛ドラマ(映画?)が流行り、それ以来、富良野にラベンダー畑を見に来る台湾からの観光客が急増したと聞きました。

韓国ドラマでも北海道ロケはよく見ます。

韓国(ソウル)なら雪は珍しくないのになぜ北海道が珍しいの?と思うけど、やっぱりあの“広大感”が(韓国には)ないのかな。


あと、パウダースノーがすばらしいニセコがオーストラリア人の人気スキーリゾートとなりつつあり、不動産価格も上昇して景気もよくなり、住民の日本人まで皆どんどん英語が上手くなってる、みたいな話もよく聞く。

などと考えていて思い浮かんだのが「北海道のハワイ化」


ハワイってよく「アメリカなのか日本なのかわからん」と言われます。

もちろんハワイ全島ではなく一部のエリアなんだけど、北海道もこれからそうなるかもね、って思いました。

特定の観光地に関しては中国人と韓国人とオーストラリア人とかが溢れていて、「ここ、どこの国??」みたいになって。言葉もそれらの言葉ができれば十分に旅行できて。

経済的にもハワイ(もしくは北海道)の経済は、ほとんど観光収入で成り立っていて、みたいになる。

まあもちろん、ちょっと田舎の方に行くとローカルピーポー(日本人)しかいないような田舎もあるんだけどね、みたいな・・


★★★


北海道って不思議なところだなあといつも思ってました。

あんなに恵まれたところはないように思えるのに、いつだって“経済的に厳しい場所”と言われる。

今は整理統合されたけど、沖縄と北海道には特別の官庁まであって、構造的に多額の補助金を投入されてきました。

たしかに沖縄はわかります。地上戦までやって長く日本の領土でさえなくて、返還後も米軍基地の大半をその中に抱えさせられて、そりゃあ特別な役所も必要だったでしょう。


でも北海道って、たとえば青森とどう違うの?って感じです。

冬の厳しさとか地場産業のなさにかんしては、福井県も青森県も秋田県も北海道も同じに見える。

でも青森開発庁とかないでしょ。なんで「寒冷地開発庁」じゃなくて「北海道開発庁」なの?

開墾開拓を始めた頃に特別の役所が必要だった理由はわかりますよ。

元々人のいなかったところに街を作り人を住まわせようとしたら、相当のインフラ整備が必要だからね。

だけど戦後もずっとそれが必要だったのはなんで??って感じです。


いずれにせよ、そんな官庁があったくらいだから、そりゃー多額の税金、補助金、公共工事予算など、中央のお金が大量に北海道に投入されていたのでしょう。

そして、そんなに長らく補助金漬けにされたら、独自の経済基盤が育たないのもごく当然。

人間だって、40歳まで月 100万円の仕送りを受けていたら、なかなか自分の経済力をつけなくちゃ!って気にはならない。

そして、自分が 40歳になった時、いきなり親が倒れて「すまん、もうお前に仕送りする金はない。後は自力で頑張れ」とか言われちゃったら・・・どーしていいかわからん、ってのが本音でしょう。

そうして地元の銀行、地元の老舗デパートが倒産し、地方公共団体である市(夕張)まで破綻する。


★★★


だけど繰り返しになりますが、本州に住んでいて北海道に行けば、その「資産の豊かさ、有利さ」を感じない人はいないと思う。

中国、台湾、韓国、オーストラリアの人が北海道に魅了されているというニュースも当然に思える。全く不思議なことでもなんでもない。本当にすばらしい資産がある。

だからこそ、それで不況だなんて、どーゆーこと??って感じ。

これが企業だとしたら、あれだけの「ユニーク・アセット」をもっていて稼げないなんて経営者なにしてんねんって話になる。


ここにきて「外国人に北海道大人気」というニュースと、「北海道経済、大不況」的なニュースを併せて聞き始め、「あ〜もしかして北海道ってハワイみたいになるのかもね」って思いました。

今、昔から長く北海道にあったデパートなどが潰れているのは、ある意味、北海道の中の「日本」が終焉を迎え始めているプロセスそのものなんじゃないかと。

「日本としての北海道」が消えて「ハワイ的なる北海道」が始まるその過程に於いて、昔からあるものに“寿命”が訪れ始めてる。


そういえば 911の直後、アメリカへの旅行客は激減しました。ハワイへの日本人観光客も同じです。

日本からの観光客に州の経済が大きく依存していたハワイは焦りました。そしてキャンペーンをうちました。

その時ハワイ観光局が使った切り札コピーが「ハワイはアメリカじゃありません。だから安心ですよ!」ってな感じのものだった。

これはおもしろいスローガンだと思ったんです。


だってこれ、北海道でも使えるんじゃない?

海外向けの観光キャンペーンで。「ここは日本じゃありません。だから英語も中国語も通じますよ!」って言えばいい。


そんな感じ。


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んじゃね。


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2009-02-03 三菱と日興 愛と憎しみの物語

私の名前は日興証子。

今日は皆さんが、私の激動の半生と、これから迎える新しい運命の人生について聞いてくださるということなので、恥ずかしながらやってまいりました。


まずは私の生い立ちから話を始めさせてください。

私は遠山の父の元に生まれました。昔から親戚の興銀おじさんにはかわいがってもらって・・その興銀おじさんの家から一文字もらって、うちの家は“日興”って改名したくらいです。

そのおじさんの家も今はもう別の名前に変わってしまってるんですけどね。


あの頃は楽しかったです。うちの家と、野村さんち、大和さんち、それに山一君のおうちは“四大証家”とも言われて、そりゃあ羽振りもよくて。

私もなんの苦労もなく育てられました。12月なんてほとんど毎日、銀座の高級店でご飯を食べてました。今から思うと信じられないかもしれませんが。


でも父が亡くなった頃からいろんなことが変わり始めて・・・そうそう、山一君ちが自己破産に追い込まれた時は本当びっくりしました。まさかそんなことが起るなんて思ってなくて。

山一君のお父さん、男泣きに泣いてらしたわ。「家族は悪くないんです。全部この私が・・」って。私も思わず目頭が熱くなりました。


でも、他人ごとじゃなかったんです。

私の家族からも何人も逮捕される人がでて、父もいなくなっちゃうし。

私なんかが一人で生きていけるかどうか心もとなくて。不安で不安で。

ちょうどその頃だったと思うんですけど、当時、元々ずうっとお友達だったご近所の三菱君が私を見る目が変わってきたんです。

初めはちょっと誘ってくるだけだったんだけど、どんどんエスカレートして。

最後の方はもう「おまえなんか俺に頼らずに生きていけるわけがないんだから、おとなしく俺の言うことをきけよ。」って、まるで押し倒さんばかりの振る舞いになってきて。


あのエリートで紳士的な三菱君がこんなこと言うなんて・・・

もちろん、「最終的には結婚も考えてるから」とは、ほのめかされてました。

だけど別に正式に結婚が決まってたわけでもないし、それに彼の態度というか考え方はすごく古いんです。頭が固いというか、まじめではあるんだけど。

女は男に従って当たり前だって感じだし。銀行は証券なんかより圧倒的に偉いんだっていう態度が見え見え。

友達から見ると「トップエリートの三菱君とつきあえるなんて超うらやまし〜」とも言われたけど、私自身はなんだか気乗りがしなくて・・ぐずぐず悩んでたんです。


その頃うちはNY帰りの兄が社長になってたんですけど、その兄がNY時代の友人のソロモンバーニー君っていうアメリカ人のお友達を紹介してくれたんです。

最初はお食事だけ、と思ってたんだけど、でも、話してみると三菱君と違って、発想は柔軟だし、元気だし、自由な感じだし、お金も持ってるし。

うふふ。

結構仲良くなっちゃんたんです、私。


それで、ある日突然、結婚しちゃったんです、私たち。

もちろん兄は知っていて応援してくれてましたけど、親戚等には全然言わずにこっそり準備したんです。

だって親戚は皆私は三菱君のおうちに嫁ぐと思っているし、三菱君のおうちもそう思い込んでるし、もしも話がばれたらきっと反対されちゃうと思って。国際結婚なんて当時はまだ珍しかったし。


私たち?

幸せでした。もちろん国際結婚だから、やってみて初めてわかったいろんなこともありました。慣習が違うというか考え方が違うというか。

でも、私も努力したし、至らないことはずいぶん改善したつもりです。私、教会で洗礼も受けてミドルネームももらったんです。“コーデ”って。だから今の正式名は“日興コーデ証子”です。


三菱君はどうしたかって?

そりゃあずいぶん怒ってました。結婚すぐの頃は道であっても挨拶もしてくれないし、ちょっとしたお金も用立ててくれないし。ほんとに子供っぽいことされましたね。

それに三菱君、あれから荒れちゃって。すごくいろんな女の人とつきあったみたい。

そんな貧しい家のお嬢さん、三菱家の長男がつきあうような人じゃないでしょ、みたいな方ともおつきあいされてたみたいです。

最終的には野村さん家のご親戚筋だった国際家のお嬢さんを貰われました。ああ、正式に籍は入れられてないみたいですけど。

ただ、あんまり性格も合わないらしくて、うまくいってないみたい。仮面夫婦だって言われる方もあるくらい。

噂では三菱君はやっぱりかなりの男尊女卑派で、国際ちゃんに自分のやり方を一方的に押しつけてるらしいです。

一方で国際ちゃんは野村家の血も入ってるんで結構気が強いんです。

それに国際ちゃんは投信とかいう商品を売る内職がすごく巧くいっていたので、経済的にも三菱君に頼ってたわけではないですしね。

まあよそ様のことだから実際のところはよくわからないんですけどね。

あらあら私ったら話がそれましたね。


それで、私の話なんですけど。ええっと、どこまで話しましたっけ。

ああそうそう、国際結婚をしたところですよね。

あれからまあいろいろありながら、それなりにやってきたんですけど。実は、私再婚してるんです。今の夫はソロモンバーニー君じゃなくて、シティ君っていうんです。

いえ浮気したとかそういうんじゃなくて。ソロモンバーニー君とは結婚後すぐに別居をしてるんです。

彼の商売と私のもともとの商売は結構客層が違うからっていうことで、彼だけ赤坂に別邸を構えたりして。ええ、仕事上の形式的な別居というか、だったんですけど、結局・・。


で、私の方はその後もいろいろあって。

2番目の兄が自分の成績をよく見せるために帳簿をごまかすっていう事件も起りましたし。で、商売がやっぱり巧くいかなくて、それで今度はシティ君のおうちに助けて貰ったんです。

その、お世話になってるもんですから会う機会も増えるでしょう? それで、ある日求婚されて。

彼はその頃の借金も全部払ってくれるっていうし、実はうち“上場貴族所”の会員の立場を廃止されてしまうかもっていう危機的な状況だったりして、それでつらくて私もついシティ君に頼ってしまって・・。

なので、今の夫はシティってことになってるんです。


それはともかく、私もふらふらしていた罰があたったのかもしれません。

夫のシティは今回の金融危機に巻き込まれて、いくつかの事業でも大きな失敗をして。もう仕事の方がめちゃくちゃで。

ここ数ヶ月は何がどうなっているのか私もわからなかったんですけど。ようやく先週、夫とゆっくり話す機会があったんです。そしたら、言われたんです。


「別れよう」って。


ショックでした。

いろいろあったけど、私、シティ君と添い遂げるつもりだったんです。共に白髪の生えるまで、って。私、案外古風なんです。

シティ君に捨てられないように彼の指示通り、家計も切り詰めたり、おなかに余分な脂肪もついてたんですけど、それもそぎ落としてスリムになってたのに。それなのに、


「僕にはもう君を支える力は残っていないんだ。君はきれいだ。まだまだ多くの男が君を欲しがってる。だから僕と別れる方が君のためでもあるんだ。」って。

噂ではNYにいらっしゃるシティ君のお父様が「もう別れろ」っておっしゃってるって。彼はお父様の言うことには逆らえない人なんです。

それにしても彼は、机の上にお見合い写真を3つ並べたんです。

「住友君、瑞穂君、それに三菱君が、君に関心があるって言ってる。いや、関心があるどころか、是非君に来て欲しいって、みんなすごく熱心に言っていた。どう?」とまで言うんです。

私、もう目の前がくらくらして・・・

そんなことまで勝手に考えていたなんて。

私にとっては対等な結婚をしてパートナーとしての関係を築いてきたつもりだったけど、結局のところ私なんてシティ君にとっては「所有物のひとつ」に過ぎなかったみたい。

仕方ないですよね。多額の資本金をだしてもらったんだもの。私なんて彼のいいなりになるしかないんです・・

すみません、ちょっと涙が。


えっ?でも、すごくモテるじゃないかって?

そうですね。それはありがたいと思ってます。でも私って結局「都合のいい女」にすぎないんだろうなと思うんです。

だって、たとえば野村さんちのお嬢さんは、頭もすごくいいけど気も強いし、バリバリのキャリアウーマンなんです。

この業界では珍しく独身だけど、外国人のボーイフレンドにお金出してあげたりもするみたいな方ですから。

どこの殿方も彼女と結婚したら、家を乗っ取られるかも、くらいの心配をされるんだと思います。


大和さんちのお嬢さんは保守的で、ずうっと昔から許嫁だった住友さんちの次男の方とそのまますんなり結婚されて。

ご自身の意思もあんまりない、男に頼って生きていくタイプというか。すごくおきれいだから、男の方にとっては都合のいい方だと思います。

でもまあ、いずれにせよもう住友家の人妻だし、他の方とは結婚できないでしょう?


それに比べると私は、野村さんみたいなバリバリでもないし、でも、外人の夫ともつきあったことがあるからそれなりに勝手もわかっているし、なにより夫のシティが離婚に賛成しているし。

それにいろいろ傷ついてきた人生ではあるけれど、私ってほら実は“脱ぐとすごいタイプ”に思われてるみたい。うふふ。だからモテちゃうんだと思います。

あっ、でも、脱いだら本当にすごいのかっていうのは・・うふふ。秘密です。

そう思わせておけばいいの。実際には「脱がせてみたらびっくり」みたいなことかもしれないんですけどね。今、私のほうからそんなこと言う必要もありませんし。ねえ。



私の気持ちは誰にあるのか、って?

難しいことを聞かれるのね。

ええっと、住友君のところなんて個人的にはありえないと思うんです。大和さんのお嬢さんが正妻にいらっしゃるのに私があの家に入ることになったら、どういう立場で入ることになるのか。

住友さん、どういうつもりで私にお声なんてかけられるのかしら・・もちろん“大和ナデシコ”と“日興証子”を両方手に入れたら、まさに怖いモノはない、というのは私にも理解できるんですけど・・

三菱君は・・なんだかほろ苦い思いがいたしますわ。

小さい頃から幼なじみとして仲良くしてきて一時は結婚も考えた仲ですもの。あの時もし彼と結婚していたらどうなっていたのかなって、今でも考えることはあるんですよ。

でも今、彼と結婚したら、当時結婚するよりもずっと亭主関白にされちゃうんだろうなって思います。

だって私にはもうこの身体しかないんです。他にはなんにもないんです。だから三菱君の言うことはすべて聞いて従う人生になっちゃうんだろうな・・・

正直、そういう意味ではあまり気は進まないかな。

三菱君との思い出は青春のアルバムに残しておきたい。一度あんな別れ方を経験した二人ですし。そんな感じです。

ただ、聞いた話では、三菱君は今回3人のなかでも一番必死になってるみたいなんです。「今度こそ日興証子は俺が手に入れる」ってあちこちで言い回ってるみたい。

三菱君のところは親戚がすごくいろんな商売をやってるんだけど、親戚ぐるみで今回のことを応援するって言ってました。

なんだか私なんて運命に翻弄される大海の小枝みたいものですよね・・


あえて誰が一番いいかっていえば、瑞穂君かな、と思います。

瑞穂君って女気がなかったというか。私の肌って「リテール証券肌」っていう肌タイプなんだけど、瑞穂君ってこういう肌タイプの女性とつきあったことがないみたいなの。

だから、その、お互い持ってないものを提供しあう形で、巧くやっていけるかな、とか思ったりしてます。

住友君の奥さんの大和さんのお嬢さんや、三菱君とこの国際家のお嬢さんは、私と同じ「リテール証券肌」なんです。

そういうところにいくよりは、「なんとしてもリテール証券肌が欲しい!絶対大事にします!」と思ってくれてる瑞穂君のところにいくのが、幸せかなって。

それに瑞穂君の家って、没落する前は興銀おじさんの家でもあったんです。

私が小さい頃は父と興銀おじさんは結構うまくいっていたし。なんとなくそういう安心感もありますよね。

住友さんのおうちの家風とかは結構、関西諷だって聞いてますし、味付けとかいろいろ違うかもしれない。そういうのも興銀おじさんの家からつながってる瑞穂君のところなら違和感が少ないかもって。


ああ、でも、他にもお話はあるんですよ!

実は野村さんのおうちでも“他に嫁がれるくらいならうちの一族の誰かのところに来て貰ったらどうか”というお話がでているみたいで、とてもありがたいと思います。

でも、野村さんのところは、先ほども申しましたように、大胆なお嬢様が最近外国人のボーイフレンドに入れ込んでしまって、かなりのお小遣いを出してあげたらしいんだけど、それがちょっと巨額すぎて台所事情が厳しいみたいなの。

なので今、私を嫁として迎え入れるにはあんまりタイミングがよくないみたい。内部がちょっとごたごた混乱されているみたいなんで。


はあ〜。

でも、ほんとどうなるのかわかりません。三菱君は本気みたいだし。結局のところ三菱君と結婚するのが私の運命だったのかも。

あの頃から20年。逃げ続けた男のもとで人生の最後を送ることになるのかもしれませんね・・ふふ。



あらあら、思わぬ間に長くなりましたね。私ったらつい長居してしまって。失礼いたしました。

ええっと、最後にお礼だけ。

この場所を提供してくれたちきりんさんにはとても感謝しています。私の運命はどうなるかわからないけど、これからもたくましく生きていくつもり。

だってこれが私の選んだ人生ですもの。あの時、私がまだ若くて本当に魅力的だったころ、ええ、あえて三菱君を選ばずに、ソロモンバーニー君を伴侶にを選んだことは今でもこれっぽちも後悔しておりませんわ。


それではみなさん、これで失礼させていただきます。

ちきりんさん、またお会いしましょう。



日興コーデ証子




★★★

Inspired by 本日の日経新聞の朝刊

このエントリに登場する人物や団体は架空の存在であり、実在する人物や団体とは一切の関係がございません。あらかじめご了承ください。


追記)続編です↓

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20090910

2009-02-01 ちきお再び

ちきお「ねえねえ、ちきりん」

ちきりん「なに?」

ちきお「聞きたいことがあるんだ。ちきりんの書いてることでよくわかんないことがあって、僕ちょっと混乱してて・・」

ちきりん「偉いね。ちきりんの言うこと理解しようだなんて。案外やる気あるじゃん。なに?」


ちきお「ちきりんはさあ、この円高が日本を救う!(かも)っていうエントリの後半で「内需創造が必要」って書いてるでしょ?」

ちきりん「外需頼みの経済体制を転換するチャンスだって書いたよね。」

ちきお「今までの日本は特定産業が輸出にすごく強くて、だから日本は外需に依存してまともに内需を作り出す努力してなかったけど、もう逃げられないよ、いよいよ日本も内需創造に真剣に取り組まざるを得ないよ。で、それっていいことじゃん、っていうエントリだよね。」

ちきりん「そう。よくわかってんじゃん。いったい何がわかんないの?」


ちきお「ん〜、ええっと、あのね、たとえば危機の中にある“日本経済再生への糸口”を読むとね、“国内産業をぶっつぶせ!”くらいに思えちゃって、ええっ、でもそれじゃあ内需なんてなくなっちゃうじゃん、って思えたんだ。」

ちきりん「ああ、なるほど」

ちきお「それって矛盾してない?前のエントリと。つまりさ。ちきりんが今の経済危機に際して“何が必要だ”と言ってるののかってのがわからなくなってきちゃって。」

ちきりん「あ〜ん、なるほど」

ちきお「そこんとこ説明してもらっていい? ・・ダメ?忙しい??」


ちきりん「もちろん説明するよ。まずね。日本経済は“ふたつの問題”を抱えてるってことを理解してね。これが第一歩なの。」

ちきお「ふたつの問題?」

ちきりん「そう。ふたつってなんだと思う?」


ちきお「ええっとひとつはもちろんサブプライムから波及した世界の金融危機、それに伴う世界大不況、世界で需要が半分になるような急激な市場縮小、信用縮小のことだよね」

ちきりん「そのとおり。すごいね、ちきお。じゃあ、もうひとつは?」


ちきお「えっ、もうひとつ?」

ちきりん「そう。もうひとつの日本経済の大問題はなんだと思う?サブプライムの問題が起こる前って日本経済には何の問題もなかったっけ?今回の危機の前から問題だったことがたくさんあるでしょ。思い出してみて。」


ちきお「ああ、確かに今回の危機の前でも問題はいろいろあったよね。ええっと・・、ずっとデフレで成長率も低くて、でも食料やエネルギーは高騰してて、人口は減ってて、年金問題があって、みんな将来が不安でお金使わなくて、でも官は肥大化してて無駄なお金つかってて・・・」

ちきりん「わかったわかった。いろいろあるのはいいけど、大きくまとめれば何が問題だったの?ちょっとは考えてから話しなよ。」


ちきお「あわわわ。はい。ええっと・・・」(ノートに何か書いてみたりする。5分経過)


ちきお「僕の考えでいい?」

ちきりん「当たり前でしょ。他に誰の考えを言うのよ??」

ちきお「あっ、そっ、そーだよね。・・・(汗)・・・ええっと、大きな問題は3つです!」

ちきりん「はっ?あんたコンサル?」


ちきお「えっ、違うけど・・。3つって変?」

ちきりん「いいよ。中身によるから。言ってみな。」


ちきお「ええっと、ひとつめ。ちきりんのいう特定の産業以外の生産性がすごく低くて国際競争力がなかったこと。」

ちきりん「そうだね。それから」


ちきお「少子化の進行と社会福祉にたいする不信感から将来不安が起こって、んで、消費が押さえ込まれ個人金融資産が全然流動化しないこと」

ちきりん「なるほど。最後は?」


ちきお「規制当局と既得権益者がつるんで、新規参入者、新しい産業や市場、そして起業家の成長を阻害していること。この3つが構造問題! どう?・・・どうかな?」


ちきりん「結構上手くまとめたじゃん。」

ちきお「えっ、ほんと? へへへ」


★★★


ちきりん「じゃあ“日本にはふたつの異なる問題がある”ってことがわかったところで次ね。この2つの問題は“それぞれ必要な対策が違う”んだよね。今度はそれを考えてみて。」

ちきお「うんうん、ええっと。」


ちきりん「まず最初の世界同時不況、市場縮小問題にはどんな対策が必要だとちきりんは書いてる?」

ちきお「ん〜、最初はセーフティネットが必要だって書いてたよね。」

ちきりん「そうだね、それから?」

ちきお「今日の一番上に書いた、内需刺激だよね。」

ちきりん「そう。一時的には大規模な公的出動が必要だよね。ニューディール的な。」

ちきお(メモをとりながらつぶやく)「ええっと、世界同時不況への対策としては、まずはセーフティネット、次に公的出動による内需下支え、ニューディール、と。」


ちきりん「で、二番目の問題である、日本の構造的な問題に関してはどういう対策が必要?」

ちきお「ええっと、あっ!それが数日前の“危機の中にある“日本経済再生への糸口” っていうエントリだね!!」

ちきりん「その通り。あの日に書いた問題は二番目の問題なわけ。つまりそれらは矛盾してないの。ふたつの問題にたいするそれぞれの対応策を別々に書いただけってことなの。」

ちきお「はあ〜、なるほどぉ」



ちきりん「でも、実はここで終わりじゃないんだよね。」

ちきお「えっ、まだあるの?それなに?」

ちきりん「二つの問題とそれぞれの対策が、独立して存在せず、絡みを見せるんだよね。まあ当然なんだけど。ひとつの国の話なんだから。」


ちきお「はあ〜」

ちきりん「どう“絡み”はじめてるかわかる?」


ちきお「・・・・・」

ちきりん「ヒントをあげる。コレ読んでみ→“内需特需”を補助金争奪戦に終わらせてはいかんです。



ちきお「わかった!!第一の危機に対応する振りして、そもそもの構造問題には害があるような政策がとられる可能性がある、ってことだ。ふたつの問題の対応策が矛盾したり、ぶつかり合う場合があり得る、ってことだね。」

ちきりん「そうなの。そもそもの構造問題の方は改革に抵抗する人がたくさんいるわけ。彼らの中には今回の危機を、構造改革を止めるのために利用しようとする動きがあるんだよね。で、構造改革をやらずに公的資金による内需刺激だけやると結局、補助金争奪戦になってしまうわけ。」

ちきお「なるほど。」


ちきりん「もうひとつあるんだよ。二つの問題の絡みあいが。」

ちきお「なに?」


ちきりん「必要な時期とタイムラグの話なの。たとえばね。セーフティネットを整備しようとする。どれくらいタイムラグがある?」

ちきお「すぐできるよ。生活保護の申請を受ければいいだけだもんね。支給は1ヶ月後くらいかな。」

ちきりん「そうだね。じゃあ、公的支援による内需刺激を実施するのに必要な期間は?」

ちきお「予算を国会で通して財政出動するなら数ヶ月くらいかかるよね?法律作るなら半年くらいかかるかも。」

ちきりん「そう。これは数ヶ月から1年かかる。じゃあ、構造改革はどれくらいかかる?」

ちきお「ああそれはすごいかかるよ。最低でも3年くらい?もっとかな。」


ちきりん「そうだよね。ということは今やらないといけないのはどれ?その中のどれからやるべき?」

ちきお「・・・ああ、そおかあ・・・全部今やりはじめても、セーフティネットは次の数ヶ月に実現、公的支援による内需刺激は半年から一年後、構造改革は数年後の実現になるよ、ってこと?」


ちきりん「ちきお、すごいね、成長したね!」

ちきお「そう? へへ。毎日ちきりんブログ読んでるんだよね〜。わからない時は何度も読み返してるんだ。」

ちきりん「この図を見てご覧 →http://f.hatena.ne.jp/Chikirin/20081203224703 これが今、ちきおが言ったことなんだよ。」

ちきお「ああ〜、なるほど。セーフティネット、ニューディール(内需刺激)、マーケットメカニズム(構造改革)、この3つが順番に必要になるんだ!」


ちきりん「そのとおり。どれかひとつでいいってことじゃなくて全部必要なの。しかもそれぞれ実現までのタイムラグが違うから、セーフティネットを整えながら他の二つも同時に始めないといけない。

公的資金による内需刺激ったって、そんなもんを何年も続けたりはできないんだから。それに、内需をまず下支えして、それが終わった後で構造改革、とかいってると、タイムラグの関係で全く間に合わない、わけ。」

ちきお「は〜、なるほどねえ。」

ちきりん「ちゃんと理解した?」

ちきお「うん。でもさ、もうひとつ質問が、」



ちきりんB「ちきお〜、ちきりん〜!!」

ちきお「あっ、ちきりんBが来たよ」

ちきりん「うるさそう。私はもう帰るよ。」



ちきりんB「ちきお!ねえねえ、今、韓流スターのファンクラブのネーミング考えてるんだけどさ。98個も思いついちゃった。今から一つずつ説明するから聞いてくれる?で、意見が欲しいんだ。」

ちきお「きゅっ98個ぉ??」

ちきりん「あんた、もしかして一晩中それやってたの?」

ちきりんB「そーだよ。それがどーしたの?」

ちきりん「別に。じゃね。私は忙しいから」

ちきりんB「うん。じゃあ、ちきお、一つ目から説明するね。まず最初が、」

ちきお「へっ、あの、僕、韓流とかあんまし・・」


ちきりんB (ギロッ)

ちきお「あわわ。はい。はい・・」



「ちきお、頑張ってね」(ちきりん、つぶやきながら左側から舞台の袖に去る。)

(ちきりんBとちきおだけを照らすスポットライト一本を残して舞台の照明が落ちる。)


〜ゆっくりと幕〜