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Chikirinの日記 RSSフィード

2009-11-29 街の風景が変わる

2009年11月26日、日経新聞の一面トップ記事の見出しは「JTB、国内200店閉鎖」だった。200店という数は全体の2割にあたるらしい。流行り言葉を借りれば「販売チャネルの組み替え」であり、旅行は「店舗の窓口で売る商品」から、「ネットで売る商品」に変わっていく。

「何を今さら」という人もいるだろう。しかし、業界最大手の企業が、これだけの規模(既存店舗の2割)で、当然に人員削減を伴うであろう、チャネルの組み替えに踏み切ることの意味は決して小さくない。だからこそ「一面トップ記事」なのだ。

旅行業界に関して言えば、「有人店舗からネット」への本格的なシフトが起るかどうかは、楽天トラベルや一休ドットコムが決めるのではない。JTBの決断がそのレバーを引くのだ。


同じ日の33面には「ネット時代の報道拓く」という記事がある。日経新聞が来春に電子新聞を創刊する、ことの特集だ。まだ料金などの詳細は発表されていないが、構想としては、

・無料と有料のニュースの開示範囲を変える

・過去データのリンク付けなど、ニュース報道に新たな付加価値をつける

・紙の新聞の購読料とのセット販売を促進する

ということらしい。


ビジネスに関する膨大なデータベースを持つ日経新聞ならではの試みだが、果たして今後も「紙の新聞」が生き残ることができるかを決する“最後の試み”になるだろう。

毎日新聞は共同通信に参加し、地方の支局や記者を整理する方向のようだが、さすが朝日新聞と読売新聞は動きが遅い、と変なところで感心する。

最初の記事では「業界最大手のJTBが動くことの意味」を書いたが、ここでは「最も傷の浅い日経新聞が動くことの意味」がポイントだ。


上記のふたつは11月26日の記事だが、その前日の日経新聞12面には「米グーグルの電子書籍 来年、日本で有料サービス」という記事があった。書籍の電子化については世界中で著作権に絡む様々な駆け引きがあり、これからもまだ一悶着ありそうだが、それでも、この1年で相当大きな動きが起きているように思う。


さらに、11月28日号の週刊ダイヤモンドの特集は「ネット通販」だ。昨年、通販全体の売上が8兆円を超え、百貨店全体やコンビニ全体の売上げを抜いているのだが、その通販の中で驚異的に伸びているのが「ネット通販」だというものだ。

そりゃあそうだろう。今や何を探しても楽天市場に引っ張って行かれるし、アマゾンは本から鍋から家電からブーツまで売ろうとしている。生地のアップから様々な方向から撮った写真まで、ファッション雑貨、アパレル販売サイトの拡充振りもめざましい。

あまりに充実した家電の価格比較サイトなどを見ていると、そのうちビッグカメラなどの量販店は「サンプル展示用店舗」になるのではないか、と思える。

それにしても通販売上がコンビニや百貨店の売上げを超えているとはあらためて驚く。しかも5年後には、その二つの合計より大きくなっていてもおかしくない。


上から「旅行」「新聞」「書籍」「一般小売り商品」に関する記事を紹介してきたが、その背景はひとつだ。すべての消費が、街中に存在する既存チャネルからネットにシフトし始めている。そのうち車のような高額商品でさえネットで販売されるようになるだろう。

日本の個人消費は300兆円強だが、そのうちいわゆる「店舗で販売される商品」の合計を100%とすれば、いったい何%がネット販売に流れるのか?その影響は、世の中の光景を一変させるほど大きいだろう。

朝日新聞が潰れますよ、程度の話ではない。古くからの商店街がシャッター通りになったように、「百貨店を中核店舗とするターミナル駅近隣の商業圏」や、この10年で日本の隅々にまで増殖した大規模な「ショッピングモール」が、その姿を変えてしまうかもしれない。


めっちゃ、おもろいやん!


と思います。「マーケティング」ということの概念も大きくかわるだろう。ちきりんがずうっと前にビジネススクールに学んでいた時、マーケティングの基礎を学ぶこととは「コトラーのマーケティングの本を読む」ことだった。

しかし今や「ネット販売についてのマーケティング」を学ばずしてマーケティングを学んだとは言えないだろう。そして「ネット上でのマーケティング」とは、大量のアクセス・トラフィックを専用のソフトで分析することから始まるものであり、それらは今までの伝統的なマーケティング分析とはかなり異なったものとなる。

広告論や販売手法に関するノウハウも同じだ。5年前にそれらを学んだ人の知識は、これから一気に時代遅れになるだろう。


今、起っていることは「普通の人がネットでモノを買い始めた」ということだ。一部のネットやITに詳しい人ではなく、「マス」が動き始めたということだろう。そしてそれは「人の行動が変わった」のではなく、「世代交代」ということから起っている。

すなわち、若い頃からネットに触れてきた世代が、40代になりはじめ、消費の大層がそれ以降の世代によって担われるようになってきたのだ。

今はまだ、日本の貯蓄を独占する60代以上の人達はJTBの窓口で旅行を申し込んでいる。だから、JTBは残す店舗をそういう人向けにチューニングしていくだろう。「高級感のあるカウンターでベテラン社員が高額クルーズのご相談をさせていただくための店舗」だ。

しかし、そういう店舗の寿命も既に見えている。今の40代が60代になりかける15年後には、それらもネットを通して売れるようになっていくだろう。

(12/2追記:三越は社員の4分の1が早期退職すると発表した。“社員の4人に一人”が退職する事態は、まさに百貨店という“店舗”が直面している危機を象徴している。)


NOVAは一足早く潰れてしまったけれど、英会話学校なんて10年後に存続し得ると思えない。今やスカイプを使って、家でいつでもネイティブの講師(もちろん日本にいるわけではない)とチャットしながら英語が学べる。「英会話学校」という「店舗」など要らないのだ。当然、そんなものを地価の高い日本に維持するコストをのぞけば、その料金は今より圧倒的に安くなる。


ネットは「街の風景を変える」だろう。


というのが、今日の結論だ。販売という機能を失う店舗に求められる(新たな)機能とは何なのか。「販売」ではなく、なんらかの「販売に伴う付加価値を提供する場所としてのリアル店舗」はその存在意義を急速に先鋭化することになるだろう。「チャネルマネジメント」という言葉の意味も大きく変わるはずだ。


これはちょっとおもしろいじゃん。


と思う。

2009-11-28 “昔の若いモン”は・・

「若者の海外旅行離れ」という話をよく聞く。それがホントなのかどうかは別の検証にまかせるとして*1、今日は別の視点から考えてみる。

というのも、この話に関して聞くのは「なんで、最近の若者は海外旅行に行きたがらないのか」という方向の話ばかりだからだ。たとえば、


最近の若者は

・内向き思考だ。

・知的好奇心に欠ける。

・バイタリティや冒険心に欠ける。などなど。


ひどい人になると「若者が海外旅行をしないようでは、日本の将来が思いやられる」とかおっしゃる。でもね、一回反対に考えてみたらどうよ?と思う。つまり

「いったいなんで“昔の若者”はそんなに海外旅行が好きだったのか?」という方向の問いもあり得るはずでしょ。


たとえば・・

1)ハイソ・ライフへの憧れ

昔の一時期、子供はやたらとピアノ(オルガン)を習わされた。これはその親の世代に「ピアノ=上流階級」というイメージがあったから。一方で今の親は、実家の放置された黒い箱を見て育ってる。ピアノへの憧れなどない。

同様に「海外旅行」は昔は憧れの商品だった。JALパックの肩掛け鞄が金持ちの印だった。空港で見送られながら旅立つ人達、ドラマの中では山口百恵のおばさまもパリに在住。そういう時代の人にとっては「海外に行く」は「ピアノを買う」と同様、形として憧れの対象であり、誰も彼もがピアノを子供に習わせたいと思ったように、誰も彼も海外旅行をしたがった時代だと思う。

でも、今の人達にはそういうのはもうない。ピアノと同様、海外旅行も陳腐な“虚構の金持ちグッズ”に過ぎない。


2)娯楽の少なさ

昔の若者はよく「俺が小さい頃はよく外で遊んでいた」というけど、それって家の中で子供が遊ぶ道具(ゲーム機やパソコン)がなかったからだよね。海外旅行も同じだと思う。昔の大学生って、パソコンも携帯も持ってない。それどころか下宿だとテレビもない。娯楽ってマージャンと飲み会くらいしかなかったんじゃないかな。

学生の活動だって、政治活動の他は超健全な運動会くらいしかない。今みたいに学生が起業してみたり海外の大学生と一緒に活動するような団体はほとんどなかったと思う。

つまりは“エキサイティングでおもしろいもの”が少なかったと思うよ。だから「海外へのバックパッキング旅行」が受けていたんじゃないかな。


3)情報の少なさ

昔は、海外がどんなもんか誰も想像もできず、そこには何か「すばらしい世界」があると思っていた。日本にはない何かがね。

ところが、情報が行き渡り実像がばれた。で、「なんだよ、日本の方がよほどいいじゃん」とわかった。安全で清潔で人がまとも。食事も美味しくて、しかも今や日本の方がモノが安く、おまけに品質もよい。

たとえば昔、外貨が貴重だった日本は輸入品に高い関税を掛けていた。だからブランドモノや洋酒は「すごく価値がある高級品」に見えた。なので海外旅行にいって“免税”で買ってきた。重いのに。

しかし行ってみて皆わかった。イギリスにいけば別にスコッチウイスキーとか普通の酒だし、と。フランスに行ってみれば、ヴィトンとかおばさんの鞄だし、と。何をありがたがる必要がある?マイルドセブンの方がマルボロより旨いし、と。しかも内外価格差もどんどん小さくなり、海外で買い込んでくる必要もなくなる。

情報が行き渡り、「洋物はハイカラ」とか「海外には(日本にはない何か)特別なものがある」とは皆思わなくなった。これが3番目の理由。


4)飢餓感、希少価値感覚

昔は海外旅行は高かった。為替レートも悪かったし、飛行機も高かった。人は「なかなか手に入らないもの」に憧れる。海外旅行は「新婚旅行で一生に一回」とか、「定年後に退職金で行こう!」という対象だった。それが「生協で申し込める!」となったからブームになった。HISの創業者の方だって「普通の人でも旅行ができるように」という気持ちがベースにあったと思う。

が、今や海外旅行にそういう「希少価値」は全くない。人はいつでも手に入るものに飢餓感を持たない。昔は粗品とか全部もらったけど今はもう受け取らないって人もたくさんいるでしょ。そういうもんなんです。


★★★

つまり“昔の若いモン”は、娯楽の少ない時代に生きており、情報も少なかったから、海外にさえ行けば何か特別なものがあると信じていた。しかも、そうそう行けるもんでもないし、行けるのは「金持ちだけ」という時代。

そこへ学生でも若くてたいしてお金がなくても海外にいける時代がきたもんで、「海外旅行に熱中した」ってことなんじゃないかな。


まとめるとこんな感じ↓

1)ハイソ・ライフへの憧れ

2)娯楽の少なさ

3)情報の少なさ

4)飢餓感、希少価値感覚


というわけで、この件に限らず、「最近の若者論」の裏側には常に「昔の若者論」があるというお話でした。


そんじゃーね。


2009-11-26 “睡魔>ミーハー心”

帰国後の最初の食事です。


セブンイレブンのおでん!

f:id:Chikirin:20091126012927j:image

ああ、美味しい国だわ〜、ホントに。コンビニおでんでこのおいしさ。

泣っ!



機内で、前の席に香取慎吾くん、斜めあっち側に三谷幸喜さんが座っていた。通路でふたりで「よっ、お疲れさん!」とか握手していて、おおっ!と思った。

13時間、一緒だぜぃとか思っていたが、すぐ寝てしまった。

“睡魔>ミーハー心”

もう全然、ぶっちぎり。 




日本に戻ってきてありがたい国だな、と思うのは、


第1位 日本のごはん

寿司とか天ぷらじゃなくて、普通のご飯が美味しすぎる。向こうでも日本食的なるものは食べられるが、どこもかしこも“ご飯の炊き方”がなってない。一回、日本にきてご飯食べてみ?


第2位 韓国ドラマ

これのない人生はもう考えられない。


第3位 洗い場のあるお風呂

日本人の寿命が長いのはこれが理由だよ。絶対。

同着第3位 シャワー洗浄機能のあるトイレ

欧米の人ってあの気持ちよさを一生知らずにすごすのなあ。と思った。



そんじゃーね。

2009-11-25 国の借金額  3つの視点から

今日も国の借金について。

一応断っておきますと、別に毎日毎日、国の借金について考えているわけではなく、先週ちょいと考えたことを文章化したところあまりに長すぎたので3回に分けただけです。


で、先日のエントリでは「国債残高800兆円」と書いたのですが、こちらをみるとすでに国債だけで850兆円、政府保証債務をいれると900兆円らしい。すごいな。ちょっと目を離すと50兆円くらいすぐ増えますね。

というわけで、とりあえず今後は国の借金は900兆円と書くことにします。

この900兆円という額が、個人の金融感覚的にはまるでよくわからない額なので、今日は下記の3つの視点でその額の意味をみていきたいと思います。


(1)資産と負債

こちらによると、国の借金900兆円にたいして、国の保有金融資産が半分の450兆円くらいあるらしく、差し引きの純負債は450兆円強らしい。

国の金融資産には「年金の支払いのための積立金」なども含まれているのでおいそれと借金返済にはあてられませんが、「国が破綻する」という話になれば、当然、借金返済に充てることになるでしょう。まさか国が破綻するのに、年金だけは払い続けましょうってな話にはならないでしょ。

なので“危機会計”としては、純負債は450兆円くらいである、ということらしい。

で、これを個人金融資産の1400兆円と比べて、個人金融資産がすべて国債に回るわけではないにしても、まあまだ20年くらいはもつかもしれない、という話がひとつ。

ただし、この20年は「破綻まで」の20年であって、混乱(福祉や行政サービスの切り捨て)はもっと早いと思いますけどね。

これが、借金額を「資産と負債」という感覚でとらえた場合の話。



(2)収支の話

次に、収支でみてみましょう。ここのポイントは、一般会計と特別会計を合わせた収支がきちんと開示されていないという点にあります。

ご存じのように一般予算側では、40兆円の税収にたいして国債元利払い20兆円。これは確かに“どうよ?”って感じの比率なんですが、実はこれとは別に特別会計と言われる“別の財布”がある。

これがいったいいくらなの?ってのが(霞ヶ関の各お役所により巧妙に隠されており)わかりにくいのですが、交付税と国債元利払いに当てられる基金、その他の重複を除いて、ざっと150兆円から200兆円くらいあるんじゃないかと思われます。(これ本当に魑魅魍魎なので、正確にいくらなのかわからないのですが・・)

つまり、一般会計では、

・収入90兆円=税収40兆+借金50兆円 なのですが、

それとは別に、特別会計で入ってくるお金が

・150兆円〜200兆円あるってことなんです。


これって、お父さんは40万円の給与に50万円借金して、家族の生活費を90万円払ってるってのに、お母さんがデイトレと別のバイト・・・?で、実は月に150万〜200万円稼いでいる家って感じです。ところがお母さんが稼いだお金は家族には開示されず、特別生活費としてテラスを直したりガーデニング経費に使ったりしているようなもんで・・・お母さんにきくと「家族の生活に必要なことにちゃんと使っている」とは言うものの、詳細がわからないし、お父さんの方の一般生活費とは絶対合算したくない、という。で、家計がこういう状態なのにそれはないでしょ、って話。

以前この話を塩爺さんは、一般会計(お父さんの方の生活費)=“母屋はお茶漬け食べてるくらい厳しい状態”といい、お母さんの方の財布を“でも、離れでは毎日すき焼きを食べてる”と表現してました。


もちろんこれらの特別会計の中には年金や医療補助を含んでいるし、各省庁に言わせればそれ以外の(道路や地方空港を造るための)特会も、「それぞれ必要な予算なんだから、一般会計と合算するなんてとんでもない!」ってことかもしれませんが、国民の目でみれば「合算して事業仕分けしちゃうべき」が大勢なのでは?


それと、ちきりんが思うに結構多くの人が「いざとなったら特別会計があるから大丈夫」と思ってるんじゃないかと。でも、いつのまにか「実は特別会計を合算してもかなりやばかった」という状態になっててもおかしくないんだよね。

なので第一歩として、「収支」を語る時は常に「一般会計と特別会計の合算で話す」と決めるべきなんじゃないかな。それだけでも相当の進歩があるはずなんだけどね。



(3)借金のGDP比率

国際比較でよく使われる借金のGDP比率。こちらの図とかみると、「おいおい」な感じですよね。

水準ももちろんなのだが、「日本は借金を管理しようという気がないのでは?」というのが一番問題な気がします。

意外にも過去3年程度はとりあえず国債残高の維持には成功してたわけですが、ここにきて不況で税収は減っちゃうのに加え、超のつく「福祉優先政権」の誕生で、国債を50兆円も発行するとか言ってますからね。

来年からまたこのグラフが右肩あがりに急カーブを描くと考えれば、そりゃあ諸外国の皆様としては心配にもなると思う。(てか、諸外国の皆様より日本の皆様が心配したほうがいいわけだが。)


借金額とGDP額を比べる考え方は、国際比較に便利というのはあるのだけど、実質的にはどういう意味なのか。おそらく、「“GDP=経済付加価値”の一定割合が税金となるわけで、その“税金=収入額”の最大ポテンシャルと、借金残高を比べる」という意味なのだと思われる。


だとすると、この比率を抑えるには、

(1)GDPをのばす=成長戦略

(2)GDPのうち税収の割合を増やす=増税策

(3)支出を減らす=行政改革

という方法がある。


で、日本の状況と各国からの乖離度合いを見ると、このうちひとつで解決するなんて不可能であり、日本は(1)も(2)も(3)もやりますよ、と言わないといけないのに、民主党政権は(1)は無視(or 現在深く考慮中?)、(2)は明確に否定、で、(3)は一生懸命やってるように見えたのに、いきなり90兆円予算とか出してくるから「まじまじ?」って話になってるんだろうな。


でも反対にいえば、「全部やっても借金が増え続けている!」という状態ではないのよね。つまり、「めちゃめちゃ勉強してるのに成績が落ちている」のではなく、「全く勉強してないので、成績が落ちている」わけで、


「だったら、勉強したら成績があがるのではないか?」


という希望ももてるんじゃないの?

とか思ったりもする。



あっ、すみません、またもや無責任で。


そんじゃーね。

2009-11-22 国より先に潰れるもの

国の財政破綻の話の続き。

今後どんどん財政バランスが悪化すると、消費税20%とか所得税アップとか、まずは税率が欧州並になるんだと思うのだけど、その後、それでも破綻に向かうとしたら現実的にどういうプロセスなのかな〜と考えてみた。

で、おそらく国の破綻前に、いろんな公的な団体が破綻するだろうと思った。だって、霞ヶ関が「地方に交付金を出しつつ、まず国家財政破綻」なんて道を選ぶわけがない。どう考えても先に地方への補助金をストップしそうでしょ。


そうなると、たとえば夕張みたいになる地方団体がたくさんでる。現時点で東京以外のほぼすべての都道府県、市町村が国からの交付金なしには財政が成り立ってない。国が、自分が破綻する前に地方に分配する分を削れば、地方公共団体の破綻が相次ぐと思います。

で、それって悪くないかもね。地方公務員のやたらと高い人件費とか、やたらと多い頭数とか強制的にリセットするいいきっかけかもしれませんよ。ええい、みんな夕張になっちゃえ!状態というか。

あっ、すみません、無責任で。

混乱loverなもんで。



他にも、補助金でもっているような公的な組織は(国が潰れる前に)破綻するでしょう。たとえば関空とか、本州四国の間の橋の元公団(今は株式会社らしい)とか、真っ先に潰れそうです。それに地方の高速道路や地方大学も、全部、国より先に潰れると思う。

で、それって悪くないかもね。存在意義のわからない公団とか、強制的にリセットするいいきっかけかもしれませんよ。ええい、みんな夕張になっちゃえ!状態というか。

あっ、すみません、無責任で。

混乱loverなもんで。



あとは、そうだ、ゾンビ企業も全部潰れるよね。公共工事で生きてるゼネコンとか、国のIT投資で生きてるIT企業、あと、国の補償をつけてもらった融資でやっとこさ生き残ってる飛行機会社とかね。

国だって自分がやばくなれば、そういうところにお金を出す余裕はなくなるじゃん。だから国よりは先に、そういう会社が全部潰れると思う。

で、それって悪くないかもね。市場で生きていけない企業とか、強制的にリセットするいいきっかけかもしれませんよ。ええい、みんなダイエーになっちゃえ!状態というか。

あっ、すみません、無責任で。

混乱loverなもんで。



他には?

天下り団体とかも潰れそうだな〜。いくらOBを養うことが官僚の最も重要な仕事とはいえ、本気でお金がなくなってきたら「先輩、すんまへん!」って言わざるを得ない。霞ヶ関の役人達だって、自分達が解雇されてまでOBのいる天下り団体に補助金を流すとは思えないよ。そうなると多くの天下り財団が潰れるかも。

それに、特別会計も多くが取りつぶしになるかもね〜。一般予算が「税収より国債元利払いの方が多い」という状態になれば、当然、特別会計の収入も取り込もう、という話になりそうじゃん。

で、それって悪くないかもね。天下り財団とかしょうもない特別会計とか、強制的にリセットするいいきっかけかもしれませんよ。ええい、みんな夕張になっちゃえ!状態というか。

あっ、すみません、無責任で。

混乱loverなもんで。



でもよく考えたら、これらのことが実際に起こったら、日本の財政も一気に健全化するんじゃないの?案外いい機会かもよ?


あっ、すみません、無責任で。

混乱loverなもんで。


そんじゃーね。

2009-11-20 案外、破綻しない不思議なもの、3つ

「このままでは日本はもたない。いずれ財政破綻するだろう」

「このままでは北朝鮮はもたない。いずれ体制は崩壊するだろう」

という話は過去 20年くらい聞く話ですが、全然その兆候もなく、次の 20年でホントに崩壊するんだろうか?というのが注目です。


企業でも国家でも個人でも、資金の貸し手がいる限り破綻しません。どんな赤字、債務超過企業でも、銀行が貸してくれる限り存続できるし、個人も闇金が貸してくれる間は(借金額は膨大になっても)破産しない。国家も同じです。

たとえば北朝鮮の場合だと、その崩壊を望まない中国がラストリゾート(最後の貸し手)としていくらでも貸し続けるわけですから潰れるわけがない。


では日本の場合はどうなんでしょ。今は「国債を発行して買って貰う」ことにより資金調達しているので、誰も国債を買ってくれなくなると破綻につながります。

国債を買う人が少なくなると国は(国債を売るために)金利を上げます。金利をいくら上げても誰も買ってくれなくなると、日銀に買わせる(=輪転機を回す)という話になり、そうなると円暴落→原油が買えなくなる→アウト(=日常の基本生活が麻痺)となります。


で、そういうことが起こるのか?

現在の日本の国債の消化先(借金の貸し手) は、(1) 銀行、(2) 機関投資家(保険と年金)、(3) 個人です。

このうち (1) と (2) は最後まで国債を買うだろうなと思います。理由は財務ルール上で国債が非常に特殊な商品だから、です。

銀行であればBIS基準、保険会社も同様のルールがあるし年金も一定のルールに基づいてアセットアロケーションをしています。そういうルールの中で、「自国の国債」というのは、リスクウエイトが極めて低い有利な商品として位置づけられています。


日本が財政破綻しそうなほど借金が大きい状態であれば、「日本国債を買うより、アメリカのグーグル社の株式を買う方が安全ではないか」と、一般の投資家は思うかもしれません。

しかし会計的には、「自国の国債」は「外国の、民間企業の、株式」より、圧倒的にリスクが低いと位置づけられています。

金融機関等は、保有資産のリスクに応じて資本を積むことを求められていますから、国債を売って他商品を買うと資本(金)を積まなくちゃいけない。それって結構コストの高いことなんで国債保有高を大幅に減らすインセンティブは働きにくいと思います。


また、銀行が保有する大量の国債が(金利上昇によって)価格が暴落し銀行が破綻する、というシナリオですが、これも現実的かどうか不明です。

これは銀行が潰れそうな有事の際にも、現行の「時価評価ルールを継続する」という前提での話だと思いますが、古くは石油ショックの時もそうだし、リーマンショック後のウォールストリートの投資銀行や保険会社だって、なにやかやで破たんを免れるための「特例」が適用されたりしています。

銀行が潰れそうとなれば、「長期保有する国債の時価評価は停止。額面で評価」くらいのことはやるのでは? そんなことしたら外国から文句がつくって? ほんとかな。どこの国が日本の銀行がばたばたと破綻することを本当に望んだりするでしょう? 誰もそんなことは望まないです。


で、個人投資家はどうか、という点ですが、ちきりんが思うに国債を買う人は国を信じている+お金を持っている人達なんで、ずっと買い続けるんだろうなと思います。

今、「日本は危ない、財政破綻するかも、国債なんて買うのはバカだ」と言っている人達は、たいしてお金をもってない人でしょ。もしくは、もっていても国債なんて買ってない人ですよね。いや別に国もそんな人の財布をアテにしてないし、って感じではないかしら。


今、国債を買っている人が買うのをやめるのか?というと、国債が売れなくなって金利があがったら喜んで、さらに買う人さえいそう。

昨年のリーマンショックにおいて彼等、堅実な貯蓄家が学んだことは「株なんて買うより国債をかっておいた方がよほど得だった」ということですしね。

いや、もしマスコミが「国債は危ない!」と大キャンペーンを始めたら、彼等も国債を買わなくなるかもしれない。

でもその時、彼等がそのお金をどこにもっていくかといえば、銀行や郵便局に預けるんじゃないの。そしたら・・・銀行や日本郵政がかわりに国債買うってことになるだけでしょ。


というわけで、「案外、そんな早期には崩壊しないんじゃない?」って気がする。


ちなみに、とはいえ国債を買う資金が底をつくのではないか?というアプローチで考えると・・・確かに貯金も保険も減ってますからね。昨年の金融破綻で 1500兆円の個人金融資産は 1400兆円くらいになったらしい。

国債残高 800兆円と考えると・・まあ、やっぱ 20年くらいは猶予があると見るのが正しいんじゃないかと思う。


★★★

で、最後に読者の方向けのクイズです!

下記の括弧の中に、それぞれの起こる順番を予想して記入せよ。

(  )日本の財政破綻

((  )北朝鮮キム王国の破綻

((  )中国共産党の一党独裁体制の破綻


名付けて「東アジア破綻予想クイズ!」

できれば順番だけでなく、予想年も記入してみてね!


んじゃー

2009-11-18 現地コミュニティ新聞から見えるもの

NYでラーメン屋など日本飯屋にいくと、現地の日本人向けコミュニティ新聞が無料で置いてあります。それを暇つぶしによく見るのですが、なかなかおもしろいなあと思うので、それについて書いてみます。

無料誌なので広告ばかりなのですが、実際、記事より広告の方がおもしろいので、そちらについて。


1.住まい、医者、レストラン

広告で圧倒的に多いのがこの3種。これは“現地コミュニティ誌”の存在意義をよく表してると思います。

日本からNYに来てさて生活しようと思えば、まずは住む場所が必要。慣れない国で英語で不動産屋で部屋を探すのは大変だし、そもそも共有しないと高すぎて住めない。でもいきなり見知らぬ外国人と・・・と躊躇しつつおなかがすいたのでラーメン屋にはいると、こういう新聞が待っている。

で、「お部屋探しは日本語でOK!」とか、「ワタシハニホンゴベンキョーチュウ。日本の方とのルームシェア募集シマス」とかいう広告を目にしてほっとするわけですね。


医者の広告も多いのは、衣類や家具なら現地の店でいいけどやっぱり医者は日本語が通じる方がいい、という人が多いからでしょう。同様の理由だと思うのですが、カウンセリング、弁護士やエステ、美容院、めがね屋さんの広告も多いです。たしかにどれも日本語が通じると楽ですね。

レストランの広告では、韓国料理や中国料理も多く、基本的にアジア系レストランの広告ばかりです。やっぱり料理は恋しくなるよね。ちなみに牛角とか一風堂なども。


2.英語学校、アルバイト求人、飛行機・・

これらも常連広告主です。英語学校は「在住認可をもってない学生でも登録できます」とか書いてある。とりあえずこっちにきてから英語学校を探す人もいるのかもしれません。

アルバイト求人の大半は日本食レストランでシンプルな3行広告が多いのですが、“フロアレディー募集”の場合は(広告主もお金があるのか)広告枠が大きく色刷りです。

飛行機は日本への帰国便や呼び寄せ便の広告ですね。その他に引越屋さん、携帯電話やネット回線契約などが日本語でOK!とか、日本語入り名刺が作れます!という広告も。異国での生活のスタート時に不可欠なものばかりですね。塾や補習校など子育て系も多いです。


3.日本企業進出系

最近、増えてきたと思われるのがこれ。ブックオフが日本で仕入れた中古本をNYで売り始めたのは“目の付け所”がすばらしいと思いますが、今回は楽天の広告も見つけました。日本のグッズがすべてアメリカから購入できますよ!ということで、化粧品から炊飯器まで通販できます。駐在員などお金のある人には便利ですね。

それとヤマト運輸などが引越とは別に「買い付け品を日本に送ります」という広告を出している。たとえば観光ビザで数週間アメリカにきて、こちらでアパレルや雑貨などを買い付けてヤマト運輸で送る。で、日本でそれをネットで売る、などすれば、かなり簡単に「輸入雑貨業」的なビジネスが始められそうです。便利になったもんだね。


4.体売る系

最後にこれ。2種類あります。ひとつは、

大手製薬会社による新薬開発のための健康な日本人

男女モニター募集


日程:2009年12月○日〜○日

治験期間:健康診断1日、施設内滞在7泊8日

場所:○○○ (マンハッタンからバスで送迎いたします)


謝礼金合計:最高1950ドル

女性対象者は妊娠の可能性のない方のみ

なるほど〜。食事などもすべて供されるので、一週間泊まり込んで20万円もらえたら結構よいですよね。ご丁寧にマンハッタンまで送迎付きだから車がない貧乏人でも大丈夫。

NYにきて英語学校に通ってたけど、思いの外はやくに貯金が底をついて。「どーしよーかな〜」と思いつつおなかがすいたのでラーメン屋にはいって新聞を読むと・・・心揺らぎます?


でももっと稼げる広告もありました。

なーんと謝礼は7000ドルから8000ドル!


卵子ドナー登録者募集

不妊で悩むご夫婦を助けていただけませんか?


米国でもトップの実績を誇る信頼あるクリニックでご提供いただけるので安心・安全です。

プログラム中にかかる旅費や諸経費、食費も支給されます。あいた時間はサンフランシスコ観光を楽しんでください。

秘密厳守。他の登録会社と違い、最初から最後まで日本語での丁寧なサポートをさせていただきます。


卵子提供は臓器の提供ではありません。一回分の月経周期の卵子を採取させていただくだけですので、ご自身の卵子がなくなる心配はありません。


26才までの心身共に健康で責任感のある女性

(ちきりん注:別の会社の広告では、19才〜29才となってました。)


いろいろ考えさせられますね。

・そうか、卵子って80万円くらいで売るもんなんだ。

・そうか、26才、29才あたりまでの卵子しか売れないんだ。

・そうか、卵子提供と臓器提供の区別がつかない人が、卵子売ったりするわけだ。

と。



若い頃に「NYで暮したい!」とかいって渡米して、生活費に困ってこういうところで卵売っちゃったりすると、40才くらいになった時に、自分によく似た二十歳の娘と空港ですれ違ったりするのかもしれないよ。

飛行機会社のカウンターでチェックインしようとしたら、そこにいる係員の顔がなんか自分に似ているとかさ。係員の方も、その人のパスポートを確認するのに写真ページをあけて、(10年パスポートだとすると30才そこそこの時の写真が貼ってあって)それをみた若い係員の表情が驚きで一瞬固まる、みたいな。

ちきりんが星新一氏的才能を持ち合わせていれば、すでにショートショートが一本できちゃってる感じです。



なんだかね。



話変わりますが、精子バンクの広告はみないです。なんでだろうね。日本人男性の精子へのニーズが少ないのか、それとも、男性の方は売りたい人が多いので紙媒体に広告を出す必要がないのか。


人生いろいろ


そんじゃーね。

2009-11-17 相対的貧困率あれこれ

ちょっと前に発表された日本の相対的貧困率が 15%ちょいというのは、どうリアクションしていいのか微妙な数字だな〜と思いました。

日本は「不動産をもってたり貯金を貯め込んでいる、でも、フローの収入は低い高齢者」がかなり多いと思うので、できれば 60 才未満で計算してみるとか、もう少し工夫がほしいかなとは思いました。


それと、この相対的貧困率って数字、どういう場合に高くなったり低くなったりするのか、いまひとつわかりにくいと思うので、具体的な数字を使って計算してみました。

わかりやすいように 5 人で考えてみます。これ、AさんからEさんまでがそれぞれ 2000万人ずついて、合計で人口 1億人の国、と考えても同じです。


まずは、“トップ 2割が金持ち国”の場合

Aさん年収 1000万円

Bさん年収  120万円

Cさん年収  110万円

Dさん年収  100万円

Eさん年収  90万円


中央値は 110万円で、その半分が 55万円

年収が 55万円に満たない人はゼロ人だから、

この国の相対貧困率は 0%


つまり、貧困率ゼロのすばらしい国ってことですね?

全員高収入や全員低収入の場合=格差が全然ない国の貧困率が低いのはわかるのですが、こういう“ごく少数の人だけが高収入”っていう国も相対貧困率は低いんです。



次に“下位 2割が貧乏人”の場合はどうでしょう。さっきと反対です。

Aさん年収 1000万円

Bさん年収 1000万円

Cさん年収  980万円

Dさん年収  960万円

Eさん年収  300万円


中央値は 980万円で、その半分が 490万円

年収が 490万円に満たない人は 5人中のひとりだから、この国の相対貧困率は 20%


最初の国の場合より貧困率が高くなります。上位 2割だけが高収入なら貧困率はゼロになりえるけど、下位 2割が低収入だと、その人たちが貧困層にカウントされてしまうからです。

でもこの例の場合だと、人口の 8割が高収入だから納税額も多そうで、社会福祉で下位 2割を助けるのは容易そう。つまり、社会福祉還元後の相対的貧困率はゼロにできそうです。


なお、この国の場合、貧困率が下がる可能性は二方向あって、ひとつはEさんの年収が 500万円になることです。最低賃金の引き上げや製造業派遣禁止などで、これを試みるのが民主党の政策でしょうか?

もうひとつのシナリオは、中間層の崩壊です。経済全体がより一層悪化し、正社員や公務員までリストラで職を失って年収がぐっとさがれば、最初の国みたいに“トップ 2割以外は全員低収入”になる方向で相対的貧困率が下がる可能性もあります。上の例では、Cさん、Dさんの年収が 600万円になれば、相対的貧困率はゼロに下がります。

日本の場合、こっちの方向での“貧困率低下”もありそうで怖いです。



さらに次。“一般的な勝ち組先進国”の場合

Aさん年収 3000万円

Bさん年収 2000万円

Cさん年収 1500万円

Dさん年収  700万円

Eさん年収  600万円


中央値は1500万円で、その半分が750万円

年収が 750万円に満たない人はふたりだから、この国の貧困率は 40%


数字をざっとみた感じ、全体に裕福そうな国ですけど貧困率は高いですね。国民の4割が貧困なんて聞いたら驚いちゃいます。


こう見てくると、つまりは“中央値”が高いと(相対的)貧困率は上昇するのだということがよくわかります。相対的貧困率に影響を与えるのは、「真ん中の人がいくらもらっているか」という点です。真ん中より上の人に関しては、いくら貰っていようと(年収一億円でも 10億円でも)相対的貧困率には全く関係ありません。

ポイントは、「給与がその国で真ん中」に位置する人のもらっている額と、「それより収入が低い人の間の格差が大きいか小さいか」という点です。つまり「下半分の人達の中での格差」が問われるのです。


あと、今回計算していて思った。みんな自分の周りで相対的貧困率を計算してみたらおもしろいんじゃないかと。

兄弟とか親とか親戚とか、友達グループでもいいけど、一定の範囲の人の年収を(推定で?)並べてみて、“中央値の人の年収”の“半分以下の年収”の人が何人いるか、って計算してみてくださいな。


日本って、案外この「身近な範囲の相対的貧困率」が低いんじゃないかとちきりんは思うんです。


意味、わかりますよね?


で、そのことのほうが社会問題としては結構な問題なんじゃないの?って気もしたりした。


ふーん。


そんじゃーね



反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)

貧困の現場

貧困の現場

2009-11-15 いざっ、友愛社会へ

蓮舫議員が先端科学技術系の予算に関して「事業仕分け」しちゃおうとしてる件が話題です。

科学者の皆様が怒り心頭で大変なことになってて・・・混乱Loverな私はワクワクしています。


実はちきりん最近は日本を離れてるので時事ネタに疎いのですが、ネットで読むこの関連のニュースの中に「世界一である必要はあるのか?」みたいな言葉があって、ああ、そうだよね、と思いました。


これね、今政権をとっている「民主党+社民党+国民新党」の基本原則を思い起こせば、ごく自然な判断なんです。

だって彼等は一貫して「競争してトップを目指す」という世界を否定してるんだもん。


だって競争なんてしたら、「勝ち組」と「負け組」ができますからね。

スパコンで世界一番とか、自分が勝ち組だったらそれでいい、という発想自体がだめなんです。

友愛なんすよ、友愛。


なので、「弱者を蹴落として世界で一番を目指すために1000億円」なんて予算はありえない、ってことなんでしょう。


競争しなくていいじゃん!

勝ち負け決めなくていいじゃん!

友愛だぜ、友愛!


ってことなんですよ。


みんな自分の選んだ政権の基本原則を忘れちゃいかんですよ。


東京が、上海やシンガポール、香港との“アジアの中核都市”競争に負けないように、税金 1000億円を東京の再開発に投資しよう!っていう話に、みんな賛成する?

「そんなの勝ち組のための政策だ」とか「地方や弱者切り捨てだ」という話になるでしょ。

「先端の人や企業や街が、ますます強くなるための投資」は「もうダメでやんす!」ということになって、民主党政権が誕生したんです。


「いやいや、先端の人が益々強くなれば、いつかは弱者までおこぼれが回ってくるから、弱者も得しますよ」という人に、「そんなの詭弁だ!先端企業や勝ち組の人にいくら投資しても、下の人にはメリットは回ってこないのだ!」って言ってたじゃん。

「より直接的に、下の人達、弱者にそのお金を回すべきだ!」ってことで民主党政権になったんでしょ?


構造は同じですよ。


蓮舫議員ら民主党の仕分けチームはそこを明確にしているわけです。

我々の優先順位は、世界で勝ち抜いてトップを目指す人達ではなく、地方で貧困にあえぎ、修学旅行もいけないような子供達の教育支援であり、だから子育て支援なのです、と。

先端科学に投資しておけば波及効果でいつしか下々まで“技術立国であることの恩恵”を受けられるとかいう“上げ潮派”みたいな考えはまやかしにすぎないのだと。


だから、

“世界での競争に勝って、一番を目指す”ための予算なんて、優先順位高くないですよ。そんな“競争主義”はもう終わったんですよ。




というわけで、


友愛なの、友愛。

競争社会、はんたーい!

なの。



そんじゃー

2009-11-13 要)生活保護の再設計

生活保護は2009年の7月で受給者数が171万9971人、受給世帯数は124万4660世帯。これは日本の人口の1.3%、世帯数の2.5%です。年間支給総額は2兆円ちょいでしょうか。

“100人に一人以上が生活保護で暮らしている国”“40世帯に一世帯が生活保護で暮している国”には暗澹たる気持ちにさせられますが、今後も「雇用情勢は当面、よくなりそうにない」+「超福祉指向政府の誕生」ということで、生活保護の受給世帯数&受給人数は伸びると予想されます。

であるならば、現在でもいろいろ問題が指摘されるこの制度、今後に備えて制度設計をし直した方がいいのでは?と思います。


まず生活保護に関して現在指摘されている問題を整理しておきましょう。


(1)門前払い&強制打切り問題

自治体の窓口で申請書さえもらえないなど、必要な人が保護を受けられない。また、まだ保護が必要な状態なのに一方的に保護打切りにされてしまうケースもあるという問題。


(2)悪質業者問題

生活保護費をピンハネ?して、不当に高い価格で食事や居室を提供したり、無届けや基準を満たさない高齢者向け施設を運営している業者が存在すること。最近は悪徳病院などの問題も指摘されています。


(3)モラルハザード問題

働いているにも関わらず生活保護額以下の生活を余儀なくされている人がいる。年金支給額との逆転も同じ。「働かずに生活保護を受ける方が得」「年金は未払いで保護を受ければよい」というモラルハザードが生じて、勤労意欲への悪影響や、理不尽な(被保護者への)バッシングが発生。


(4)財源問題

高齢者の受給者が増えており、今後はいったん支給が始まった保護費を「一生払い続ける」ケースが増えるでしょう。高齢化も進むし、必要財源がどんどんふくれあがるという問題。


(5)支援体制の不備

ハローワーク、生活保護申請、住宅支援、職業訓練などいろんな支援策、保護策がバラバラに運営されていて、使い勝手が極めて悪い、という問題。ケースワーカーが足りないとも言われています。


(6)不正受給問題

顔に傷のある方も・・


といったところでしょうか。なぜこれだけの問題が噴出しているかといえば、日本の社会福祉系の制度の多くが「一億総中流社会」と「道徳」を前提に設計されているからです。

大半の人が中流で、普通に働いていれば生活していけるという一億総中流社会においては、生活保護で生きる人は“ごく少数の限定的な立場の人”達だった。それが今は“ごく普通に存在する貧困者”という規模になってきたために制度がもたなくなってきたということでしょう。


「道徳によって制度設計されている」という点については、この過去エントリをどうぞ。「あるべき論が生み出す不幸」 ←日本はこの問題も深刻だと思う。

市長や県知事が「俺の県や市には生活保護の人が少ない」と胸を張るって、もうやめたほうがいい。“おらが村には貧しい人がいない”ことではなく、“おらが村では貧しい人を助けている”ことを誇るべきだよね。

★★★

問題の整理をしただけで長くなったので解決方法については、思いついた範囲で書き留めておきます。


(1)門前払い&強制打切り問題と(6)不正受給問題は、合わせ技で解決できそう。

現在の制度は

・財源は、国庫から75%、地方自治体の負担が25%

・支払いの認定や事務などすべてのプロセスは、地方自治体が担当


これだと受給決定の権限を持つ地方は、自分の財政負担を怖れ「できるだけ受給者を少なくしたい」というインセンティブが働きます。一方で、不正受給を防ぐ強力なインセンティブがどこにもないです。

たとえば「財源は100%国庫負担とする」+「支払い認定、プロセスはすべて地方行政団体が担当する」+「不正受給の取り締まりは国が行う。不正受給数に応じて、地方自治体ごとに国庫負担率を引き下げる」というようにすれば、地方自治体側には「正当な人に払い渋る理由はなくなり、不当支払いについては厳しく気をつける」インセンティブが働きますよね。


併せて、(5)の支援体制の不備は地方への大幅権限委譲で改善するのがいいかも。

国は官庁ごと、局や課ごとにすべてが縦割りだけど、県庁や市役所はそんなにでかくないし、部局をまたぐ人の異動もあるから霞ヶ関よりは風通しがいい。

仕事探し、住居探しと生活保護行政を一体化、という話で“ワンストップサービス”という言葉が使われるけど、本当はもっと総合的な一体化が必要。

たとえば、メンタルヘルス問題、アルコール依存症対策、闇金対策(多重債務問題)、虐待問題などと生活保護行政を全部まとめて、被保護者に総合的に対処していかないとね。

霞ヶ関の切り口は“政策”だけど、地方自治体の切り口は“住民”です。これが地方分権の意義の一つのはず。是非、より住民に近い地方の役所で総合的に考えて欲しいです。


次に(2)悪質業者問題と(3)モラルハザード問題、それから(4)財源問題については、「格安生活インフラを提供する市場」を創っていくことが必要ではないかと思います。

生活保護で家賃分として4万円支給される(額は地域により異なります)といっても、敷金や礼金が必要な一般のアパートには入居できません。また、そういう人の入居を嫌がる大家さんも多いです。

だから生活保護の人は一部のアパートに集中して住むことが多く、そういうところでは、貸し主は最初から生活保護受給者をターゲット客として想定し、敷金や礼金をもらわない代わりに全くメンテしないような部屋を貸しています。その際、家賃はその地域での“生活保護での住居費の支給額上限”に設定します。これが極端に走るといわゆる“悪質なぼったくり業者”です。


問題の本質は、生活保護では一般の民間賃貸住宅市場が利用できないこと。そのため、分離された“特別な市場”を使うしかないのですが、そこでは供給が極めて限定的なため市場原理が働かず、供給者側の論理のみがまかり通ります。これが悪徳業者がこの市場に目を付ける所以です。

したがって解決方法としては「行政が、低額で敷金や礼金が不要な住宅の供給を促進する」手立てをうつことが必要(たとえば、敷金・礼金をとらない賃貸物件については固定資産税を安くするなど)です。

上記で紹介したサイトでも悪徳病院の駆逐には、無料や低額の医療制度が必要とありましたが、これも同じ解決方法です。

今は生活保護だけが「医療費無料」で、保護を受けていない貧困層が払う医療費との差が大きすぎます。貧困層は「高いから病院にいかない」のに、保護を受けている人は「無料」だからいくらでも医療を受ければいい。その無料側市場を、供給者側が好き勝手して儲けている。それがこの問題の本質です。

それ以外でも、今は収入が減っても「転居することのコスト」が高すぎて家賃の安いところに引っ越すことさえできません。衣食住、医療、教育については、低所得家庭、低年金家庭が躊躇なく利用できるレベルの“市場”を作っていく(格安生活圏を作っていく)ことをそろそろ真剣に考えるべきではないかと思います。


三つ目。「働くより生活保護の方が得じゃないか」という声が大きくなる背景には、仕事に関して「生活費を得る」以外の意義を見いだせない層が拡大している、という現状があるのでしょう。

以前のように希望すれば正社員になれ、経済成長に伴って会社の売上や事業範囲も拡大し、そして個人の給与やスキル、仕事の範囲も拡大・上昇していく、という社会であれば、人は仕事に「お金以外の価値」を見いだせます。

しかし、派遣で時給で働き、仕事は単純作業で意味も見いだせず技能の向上もなく、さらに来年も再来年も仕事にはなんの変化も進化もなく・・となってくれば、「同じ10万円がもらえるなら働かずにもらえる方が得」という話になってしまいます。

働くことを経営者側が「労働力」に過ぎないととらえ、労働者側が「生活費をもらうための手段」に過ぎないと捉えるなら、この議論(働いたら負け)は正当性を持ってしまいます。


このことへの根本的な解決には、やはり生産性の高い分野への産業シフトを強力に進めていく、ということが大事なんじゃないかと思います。

まずは労働法規の遵守を徹底し、残業代を払わないなど違法な状態でなければ存在し得ない企業に転換を迫ること、競争力のなくなった企業に税金を投入するのも、無駄な雇用を支えるための公共事業もやめて、生産性が高くない企業は市場から退出して貰うことです。

そんなことしたら余計失業者が増えるじゃないかと言われるだろうけど、追い詰めないと何も変わらないです。世界市場の中で生き残っていける生産性を持つ企業でないと、“成長機会”=給与を毎年上げることができ、仕事の範囲を拡大していける機会、を労働者に与え続けるのは難しいのですよ。

★★★


というわけで、

1.地方に権限を委譲し、国は負担と監視だけを行う。

2.貧困層向けの衣食住+医療+教育の市場形成を促進する。

3.生産性の高い産業を生み出し、労働に非金銭的意義を取り戻す。

ということが必要な気がしますよ。


そしてその前提として、日本もそろそろ

「福祉で生きる人を社会のイチ構成グループとして正式に認知する」必要があるってことかと。


そんじゃーね。

2009-11-11 人生は早めに諦めよう!

すべての人は、いつか人生を諦めなければなりません。なぜなら人は皆いつか死ぬからです。その時点では、誰もが人生を諦めることになります。

けれどその前に、「いつ、どのタイミングで、どんな理由で、人生のどの側面を諦めるか」ということは、人によって大きく異なります。中には“死の間際まで諦めなかった”と言う人もいるでしょう。反対に、非常に早く多くのことを早めに諦めて生きている人もいます。

ちきりんは、日本は他の国より全体に「諦めるのが遅いのではないか?」と感じています。そしてそれが不幸の元ではないかと思うのです。多くの人は、もっと早めにいろいろ諦めた方が楽に生きられるのではないでしょうか。


「階層」や「階級」のある社会では、小学生くらいの子供でも、周りをみて「自分にはあの人達のような人生は決して手に入らない」と理解します。そしてその時点で一定の職業や生活については諦めるのです。

たとえばイギリスやフランスに生まれれば、小学校の終わりくらいで、「自分にはオックスブリッジやグランゼコールにいって、エリートキャリアを歩み、大企業の社長や政府高官になって高給を得るのは無理だ」とわかります。

韓国のように、同族財閥や富豪が多く存在する貧富の差が激しい国でも同じでしょう。インドでも法律で禁止されているとはいえ、国内で生きる限りカーストは一生つきまとうでしょうし、中国だって同じ上海に生まれた子供でも、上海の戸籍があるかどうかで人生は大きく分かれてしまいます。

また、南米の庶民の子ども達が将来の夢としてよくサッカー選手を挙げるのは、それが唯一「階層や階級」がなくてもお金や地位・名声を得られる方法だと、子供ながらによく理解しているからです。

一方、日本だと、小学校や中学校のクラスで将来の夢を聞かれた時に、「この夢は○○君には可能だろうけど、ボクには無縁だな」と思う子供は多くないでしょう。


社会人になる時も同じです。欧米だと入社した時点で「自分がこの会社で役員になることはありえない」と理解してる人もたくさんいます。なぜなら、役員になるような人は全く違う経歴で、自分達とは違う入り口から入ってくるからです。

しかし日本では大卒で一斉就職した人の多くが、「自分も将来は部長くらいまでなれて、巧くいけば役員になる可能性だってある」と思っていそうです。あたかもそれを象徴するかのように、4月1日に入社式に望む新入社員は全く同じ条件で雇われており、あたかも横一線に並んでキャリアをスタートするかのように扱われているのですから。

でも、「総ての人に同じだけのチャンスがある」などと考え、何も諦めずに社会にでて、ずっと働き続けることこそが「不幸の元」なんじゃないかとちきりんは思うのです。


諦めてないと、頑張るじゃん。

無駄なのに。



「あ〜、自分はあんまり勉強は得意じゃないな〜」と思ったら、勉強が必要なことは早めにあきらめた方がいいと思います。塾だの家庭教師だのと大金を注ぎ込んでも正直言って多分、あんまり結果は変わらないんじゃないでしょうか。

「あ〜仕事巧くいかない、出世するのは無理かも」と思ったら、仕事はまったりやることに決めればいいんです。仕事にこだわるより、別の人生の楽しみ方を覚えた方が楽しく生きられるでしょう。


早めに「人生の天井」を知る。

そういうことを中学生くらいで知ることを不幸と思う人もいるのでしょうが、ちきりんは反対に「そういうことが40才まで分からないよりは、中学生くらいで分かった方が幸せなのでは?」と思います。


いつまでもいつまでも「頑張ればやれる」などと思ったまま大人になるのは、本当に幸せなことなのでしょうか?

仮に非常に早い段階で「自分にはなれない職業がある、手に入れられない生活がある」と理解したとしても、人生全部を諦めて絶望する必要は全くないのです。寧ろそれは早めに「進むべき道が現実的に選べる」ということを意味します。


しかも、中年になってから諦めるのはつらいです。もっと遅く、老後を迎えてから「あれっ?みんなと同じように家を買って子供を大学まで行かせただけなのに、なんで自分だけ老後の蓄えが全然ないんだろう?」とか、そんな時点まで他人様の天井と自分の天井に差があると知らないまま進むのは、危険すぎとさえ言えます。

それより、若い時にいろいろ諦めておいたら違う人生が開けてくるんじゃないでしょうか。

貧困国の子供をみて「くったくのない笑顔」と表現する人がいるけれど、自分が人生で得られるもの、得られないモノを早いうちに理解し、過大で過分な夢を持たなければ、くったくのない人生をすごせるのです。


そんじゃーね!

2009-11-08 高すぎませんかね・・

先日ポストに入っていたマンションの広告です。

二子玉川という、渋谷から6駅目の私鉄沿線です。ニコタマと呼ばれてる“ミセス向けのおしゃれな街”で、駅から徒歩数分(一番遠いエリアでも10分くらい)の巨大な再開発地域にたつタワーマンションです。まあ、立地としては悪くはないと思います。部屋番号からみて7階の部屋のようですね。バルコニーは北向き。


もちろん新築ですが、それにしても、いくらなんでも高すぎませんかね。この部屋、35平米弱で3280万円??


f:id:Chikirin:20091105002505j:image


しかもこの間取り、普通に考えて単身者用ですよね。大人二人で住むのもきゅうくつそうでしょ。

投資用としてこんな高い物件を買う人はいないだろうと思います。家賃はどれくらいかな、11万円くらいですかね。それ以上高い家賃で借りられる単身者がこの地域にたくさんいるとは思えません。

じゃあ自分で住む人が購入するのかというと、3280万円の価格にローンを組んで金利を払い、諸経費をのせた値段で買うとなると・・・相当の資力が必要な気もするのですが、それで手に入るのがこの面積?


ここ、開発計画の発表もリーマンショックの1年前だから土地の取得価額が相当高いのだとは思います。それはわからなくもないのだけど・・それにしてもなんだかあり得ない値段だなあ、と思いました。このご時世にこんなの売らなくちゃいけないなんて営業マンも大変だ。


そんじゃーね。

2009-11-07 人材の最適配分

“天下り”って官僚だから(国民の税金である予算が配分されるという点では)問題になるけど、この仕組み自体は実は大企業はどこでも同じことをやっていますよね。


社長はいろんな役員と仕事をしながら次第に自分の後継候補を絞り込み、「次はこいつに任せたい」と最終的に一人に決める。

新社長が決まると他の役員は次々と子会社に転出する。元の立場(専務かヒラ役員かなど)によって重要子会社の社長になったり、小さめの孫会社の副社長にもなる。

外に出るのは、直接のライバルだった役員達だけではない。破れた役員達の“それぞれの子飼いの部長”らも主流業務からははずされ、子会社などに出ていく。

大企業においては部長より上になれば、仕事の能力や成果に加え“どの役員についてきたか”という政治的な立場もとても重要だ。


一方で新社長は、転出させた人の後釜に「自分の部長達」を昇格させ脇を固めていく。彼等は、引き上げて貰ったご恩から新社長に忠誠を尽くしつつ、次のヘッドになるチャンスをうかがい始める。

★★★

日本は和を重んじ礼節を旨とするので、新社長は出ていく元ライバルらを丁寧、丁重に遇する。

彼等の新しい仕事は、たいしておもしろくないかもしれないが、社長の肩書きにふさわしい社長室、専用車、秘書、報酬、が約束される。高級官僚の“わたり”にあたるような、玉突き人事もよくある話だ。こうして「処遇だけ」は完璧に整えて出て行っていただく。

つまり、官も民も大組織はみな同じことをやっているわけで、ある種の合理性がある制度なんでしょう。おそらくこの仕組みがないと全然若返らないのですよ、経営陣が。


日本だけでもない。アメリカでGEがウエルチ氏の後継社長を選んだ時は、後継候補だった数人の役員達は、ひとりがGEの社長となり(イメルト氏)、他の人達はその後、他社の社長になっていった。

アメリカだって、複数の社長候補の中からひとりが社長になった後、残りのメンバーは他社にでていくわけです。自分と競い合っていた人の部下になったりはしない。

ただ、アメリカの場合は「経営者の転職市場」が存在するから、自分で他社の社長職に転職できるけど、日本の場合はそういう市場がないので、民間でも官庁でも次の就職を“組織としてアレンジ”せざるを得ない。「市場がないから、組織がアレンジ」というのは、まさに日本的なやり方ですね。


こう考えると、ちきりんも「天下り禁止」には賛成だけれど、民主党のいう「みんな定年まで働いてもらう」案がベストなのか悩ましい。

「誰かが社長になったら、その世代の人は後進にポジションを譲って出て行く。このことにより定期的に組織の若返りと活性化を図る」というのは悪くない“リーダーシップ委譲の方法論”かもしれない。

アメリカみたいにそういう人の転職市場が存在するなら=労働力の流動性が高い世の中であれば、なんの問題もない。

「全員、定年まで霞ヶ関にいろ」なんていったら、そうでなくても時代に遅れた人の集まってるエリアなのに益々高齢化が進んで・・・どうなることやら、とも思えます。。

★★★

ライフネット生命の出口社長が自著の中で「新しい保険会社を起業するという機会を得られたことは宝くじに当たるにも等しい幸運」であり、「誰にでも与えられるわけではないすばらしい機会を得たのだから、必死で頑張らないといけないと思う」というように書かれていた。

それをみて、なるほどと思った。


今までは、天下り(官の場合)や子会社へ転出(民の場合)する人は、何度も高額の退職金を貰い、名誉職的な仕事で何千万円もの年収をもらうなど、“ずるい”という印象をあった。

でも、ちがうかも、と思った。


彼らは仮にも一度は大企業でトップを目指した人達です。彼等が本当に欲しいと思っているものが「処遇だけ」の仕事のはずがない。

全員とはいわないが、「処遇なんてどうでもいいから、力が発揮できる機会が欲しい」と思っている人は少なくないだろう。

しかも彼等にはそれなりの貯金も手厚い企業年金もある。心から賛同できる機会であれば、給与が低くても頑張るぜ、という人もいそうだ。

けれど日本にはこういう人の「転職市場」が存在しない。だから仕方なくアレンジされた“処遇だけの仕事”に流れていくしかないのかもしれない。


だとしたら・・・人材マッチング業的な業界で、こういうマーケットに目をつけるのもいーんじゃないの?と思った。

日本の転職斡旋業界は若手の転職支援には熱心だけど、こういう「経営職レース参加経験人材層」に注目するのもいいんじゃないかな、と思った。

こういう人達ってホント豊かな経験をもっている。複数の海外経験があったり、合併や買収後の組織統合を経験していたり、法律や規制や上場や免許関係に精通していたり、銀行と何度もギリギリの融資交渉をしてきたり。

そういう人を「処遇だけ」のポジションに押し込めるなんて「人材しか資源がない」と豪語する日本としては、ちょっともったいない。

そもそもこの層に限らず、「日本が、有能な人材に機会を与えずに放置する」というのは、「サウジアラビアが原油を沙漠に垂れ流す」のと同じ。 国の唯一の資産を無駄にしてどーするの?

人材の最適配分を促すような仕事、仕組みってのが必要だよね。ほんとに。


そんじゃーね。

2009-11-05 おちゃらけ損害保険

10月31日の日経新聞に「エース損害保険は11月1日、振り込め詐欺の被害額を保障する保険を国内で初めて販売する。一人当たり月額50〜200円の保険料を払えば、30万〜50万円を上限に被害額相当の保険金をもらえる。」という企業発表記事が載っていた。

そんな名前の保険会社があることさえ知らんかったけど、内容的には結構おもしろい保険じゃん、と思った。上限50万円は低い気もするが、還付金詐欺や架空請求系だったら数万円の被害も多そうだから、それなりに役にたつのかもね。やっぱり高齢者ほど保険料が高いのかな?

で、この記事に触発されて、「いろんな保険がありうるかも?」と思ったので書いてみる。



<熟年離婚保険>

定年退職日から起算して一年以内に離婚した場合、妻に請求され渡すことになった退職金の金額を補填する保険。年金分割を行った場合は“一時弔慰金”も支給される。


<痴漢冤罪保険>

痴漢で訴えられた場合は一律10万円の一時金を支給(冤罪かどうかを問わない)。その後、起訴された場合にお見舞い金として10万円支給、また、冤罪と証明(判決)された場合は、補償金として200万円が支払われる。


<落選保険>

議員向け保険。落選した場合、最長4年間に渡って月10万円の生活費が支給される保険。前回選挙の得票率によって保険料が異なる。また、政党単位で加入する「団体落選保険」は保険料が格安となる。


<宗教保険>

家族がなんらかの宗教団体に所属し、熱心な信者となった場合、その家族が「購入した本、ツボ、神の水」などの宗教グッズの購入代金の5割を保障する保険。ただし保険料の請求には、具体的な購入品目を記した領収書の添付が必要。


<ロスジェネ保険>

子供が就職活動を行う時機に、経済不況で就職浪人した場合は、一年間の就職浪人間の生活費として120万円(月10万円)が支給される保険。加入できるのは、子供が15才になるまでのみ。


<浮気調査保険>

配偶者が浮気をしているのではないかと思った時に、必要になった調査費などを保障する保険。結婚してから2年以内の時期のみ加入できる。


<保存メディア変換保険>

子供の成長を記録した8ミリビデオ等、昔のメディアが衰退することに備えた保険。DVDビデオなど新メディアの市場シェアが7割を超えた場合、自宅に保存してある旧メディアを新メディア形式に転換するのに必要な費用の8割を保障する。なお、長男長女のみ保険料が2倍(通常、第二子より圧倒的に記録の量が多いため)となる。


<婚活積立保険>

女性は30才、男性は35才まで独身の場合に、その後の婚活に必要な費用を保障する保険。掛け捨てではなく、30才から40才の間に満期設定が可能で、結婚した場合にはお祝い金として返還される。


<子育て3大リスク特約>

学資保険の特約として設定。子育てに伴う3つの大きなリスクである、(1)引きこもりになる、(2)大麻で逮捕される、(3)就職できない、の3つを集中的に保障する。一口50万円から10口まで加入可能。


<中高年3大ショック特約>

通常の生命保険の特約。中高年におこりがちな“ショックな状態”にたいして備える保険。(1)メタボと診断され、“食事制限”“通院・入院”“投薬”のいずれかを指示された場合、(2)リストラを宣告された場合、(3)離婚を切り出された場合に、心理的保障一時金として、一口加入で(1)の場合は50万円、(2)は100万円、(3)は200万円が支給される。


<激太り保険>

加入時から比べて5年後に体重が2割(例:50キロ→60キロ、80キロ→96キロ)以上増えた場合、着られなくなった洋服を買い換えるために必要な費用を保障する保険。


<通販無駄遣い保険>

通販、テレビショッピングなどで購入した商品で、購入後3ヶ月以内に全く使わなくなってしまった商品の3割の額を保障する保険。なお、「ダイエット商品、健康器具」だけに保障を絞った保険もある。本人が加入することはできず、妻を被保険人として夫が加入するという方式の保険。


<隠れコレクター保険>

結婚した後に、夫が何かのコレクターであったと発覚した場合、コレクションのために注ぎ込まれた代金の2割を補填する保険。ただし結婚前のみ加入可能で、かつ、加入時審査があり、保険会社が夫の身辺調査を行う。その時点で「コレクターですね」とわかったのに結婚した場合は、保険金は支払われない。


<モンスター保障保険>

教師がモンスター親に出くわしたり、医療従事者がモンスター患者に遭遇した場合に、心理的なショックにたいして一時金が支払われる保険。ただし、支払い時には厳格な審査があり、相手が本当にモンスターなのか、自分が非常識なだけではないのか、などが審査される。



こうして見てみると、日常生活は多くのリスクにさらされていますね。日頃から保険で備えておくのが大事かもしれません。


そんじゃーね。

2009-11-03 経済産業省、正社員のためのハローワークを創設?

以前“仕事より人が多い”ということ、というエントリで「正社員の貸し借り市場ができるかもしれないね。そんなことになったら派遣切りで失業した人は益々就職できないね」と書いた。それが9月8日だった。

一ヶ月半後の10月22日の日経新聞に下記のような記事を見つけた。*1


記事前半=厚生労働省の雇用対策についての話は略)

一方、経済産業省は企業の出向制度を活用した雇用安定化策に乗り出す。景気変動が生産活動に及ぼす時期が業種や業界によって異なることを踏まえ、企業間での柔軟な人材移動を促す。


同省や各地の経済産業局に専門の支援機構を設け、人材が不足してる企業と一時的に送り出したい企業に関するデータベースをつくる。


データベースには必要とする人数や処遇、受け入れ期間などを登録。余剰人員を抱える企業と人材不足に直面する企業の双方に情報を提供し、出向の形で行き来できるようにする。



おお、やっぱり〜!!


「われわれ経済産業省は正社員が解雇されないよう、正社員の貸し借り市場を作ります」、と。

「製造業への派遣禁止が実現すれば、民間での派遣が禁止されるから、じゃあこれからは国が派遣斡旋することにしますね」、と。

「ほらやっぱり、こういう仕事は民より官がやるべきでしょ?製造業への派遣禁止で民間の人材関連業界は大打撃を受ける。ビジネスが立ちゆかなくなるかも。だから官がその業務を引き継ぎます。今、時代の流れは“民から官へ”なのですよ」、と。

「あっ、悪いけど、現時点で失業してる人は経済産業省じゃなくて厚生労働省の担当なんで、ハローワークでも行って求人でも探してみてよ」、と。


そういう感じ?



さすが労働組合出身の経済産業大臣だけのことはある。まあ、“労組貴族”と言われるくらい労組から支援を受けている大臣としては当然なのかな。「正社員の雇用を守るためなら、税金を投入して経済産業省でも正社員専用のハローワークを経営するぜ」という意気込みなのかな。


経済産業省の役割は「正社員の雇用を守るため専用のハローワークを作ること」ではなくて、今、「失業している人たちが職にありつけるように、新たな経済成長の機会を作り出すこと」じゃないのか?などと、考えの足りないちきりんなどは思ってしまうのだが、官僚の皆さんに言わせれば、これの何が悪い?ってことなんだろう。

だって、一度失業した人を助けるより、失業者が出ないようにした方が「全体としての社会コストは低いのだから、納税者全体でみても、つまり、国民全体にとってこの方法の方がよいのだ」とおっしゃるのだろうな。


わかる。わかるよ。全体最適のためだってことでしょう?

お役所の偉い人達は、いつだって“お国のために”全体最適で考えてくれるのさ。

全体最適 vs. オレ様最適



そんじゃーね。




*1:いつも日経の記事に関するエントリが遅れがちなのは・・・ためてる新聞を休日に捨てる直前にまとめ読みするためです。タイムリーじゃなくてごめんなさい。

2009-11-01 ドラフトに見る時代の価値観

先日行われたプロ野球のドラフト会議より。


菊池雄星選手

・1991年(平成3年)6月生まれの18才

・アメリカか日本か、については徹底検討

・ただし、日本の球団の中ではどこでもOK。こだわらない。

→「球界で一番のピッチャーになりたい」平成生まれ



長野久義選手

・1984年(昭和59年)12月生まれの24才

・日本の中の“巨人”にこだわり続けて苦節3年

・米国行きを検討したという報道は見ない

→“日本で一番の組織に所属すること”にこだわる、昭和生まれ



野球界だけではない。平成3年生まれと昭和59年生まれの価値観の差がここにある。

昭和生まれの親は言う「大企業に入りなさい」と。


なぜなら昭和生まれにとって

「日本で一番の組織に所属する」ということは、

一生を左右するほど大事なことなのだ。


「二浪してでも(日本で一番の)東大に入りたい」とか「就職留年してでも(日本で一番の)テレビ局や新聞社に入りたい」という人は、昭和生まれで最後になるだろう。



そんじゃーね。