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Chikirinの日記 RSSフィード

2010-12-30 あなたの文章を私は読んでいます

匿名でブログ書くのって悪くないと思う。


残念ながらちきりんブログはもはや匿名ブログとはいえません。

リアルな私を知っている人でこのブログを読んでいる人はたくさんいます。当然そういう人に読まれることを意識して書いています。

けれど、誰にも言わず、完全な匿名でブログを書いている人もいるし、書くこともできるでしょう。


匿名でブログを書いていると最初は誰も読んでくれません。だから反応が欲しい人には続けるのがつらいかもしれない。

けど、書き続けていれば必ず誰かが継続的に読んでくれるようになります。

大人気ブログになったり、アクセスがすごく増えたりすることはないかもしれない。過疎ブログのまま何年も過ぎるかもしれない。

それでも“必ず誰かが”読んでくれるようになります。


完全に匿名でブログを書くと、自分の思うことをそのまま素直に表現できるはず。

誰にも遠慮せず、誰にも羞恥心を感じず気遣いもせず、思うがままにかけるはず。

そのことが書き手の精神に与える安定剤としての役割は決して小さくないのでは?とちきりんは思ってます。


後から自分が過去に感じていたことを振り返ることもできるし、将来誰かに自分のことを理解してほしいと思った時に活用できるかもしれない。

「自分が考えてきたことの記録」「自分が感じてきたことの記録」を、他者の目を気にせずそのままに保存しておくことは、自分の存在の記録であるといえます。


毎日のアクセス数が20だったら書く気がしませんか?

でも、実際に20人があなたが毎日感じていることや考えたことにじっくり耳を傾けてくれるなんてリアルではありえないでしょう?

20人って(リアルな人間と考えれば)相当な数じゃないですか?

その中からいつか“全く飾り気なく表現されたあなた”を理解してくれる人が現れるかもしれません。


私もいくつものブログを読んでいます。

フォローしていないツイッターアカウントでも定期的に読んでいるものもあります。

私が読んでいるという痕跡を残さないほうがいいよね、と思うからサイレントリーダーとして読むのです。

誰かに読まれていることを意識して内容が変わってしまうことを恐れるから。


書くことは人を救ってくれる。

そう信じています。

自分を表現することは誰にとってもとても素敵なことのはず。

多くの人に、完全に匿名で、自分の思うことをそのままに文章にして残しておいてほしいです。

誰も読んでいないなんてことはありえません。


あなたの文章を私は読んでいます。

年の終わりに


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2010-12-29 人生で得たものの返し方

ちきりんブログの私設応援団長であるライフネット生命の出口治明社長から新著を送っていただいたのでご紹介。




副題に「旅」と「読書」で学びなさい!とあるように、後半では出口社長のお勧めの本と旅先が紹介されています。ちきりんも旅行好きなのですが、本はそんなに読むほうではありません。でも来年からはちょっと読書もしようかなーと思ってます。仕事もしてないわ、新聞もよまないわ、本も読まないわでは、いかがなもんよ、という気がしてきたんで。というわけで参考にさせていただきます。


ところでこの本の中で一番しんみりと心に響いたのが下記です。

私はかって勤めた日本生命や生命保険協会で多くの先輩から生命保険のイロハを叩き込まれましたが、その恩返しとして、私の経験や知見をすべて投入して生保不信を終わらせ、生命保険をよりよいかたちで次世代に渡すことが大事な役目だと思っています。

出口社長が始められたネット生命は、表面的には既存の大手生保業界へのアタッカー企業に見えるけど、実際には、反乱などではなく“恩返し”なのよね、とよくわかる一文。


ここ数年、定年退職を迎えている団塊世代付近の方々には、こういう思いに共感される方も多いんじゃないでしょうか。日本の高度成長時代の中でモーレツサラリーマンとして働きながら、様々なことを経験し、学び、その成果を体感してきた人たち。

この本の帯には「元エリート、還暦ベンチャー社長が語る」とあるけれど、「元エリート」といえるような立場にいた方の多くは、株式会社ニッポンを形成する大企業・大組織に長年属し、そのインフラを最大限に活用して、個人ではとても得られないような貴重な経験をしてこられているはず。

“自分を育ててくれたもの”“自分がここまで来られた環境”に強く感謝している人も多いだろうし、これからの人生を、車と秘書つきの名誉職として、もしくは暖かなリゾート地でゴルフ三昧で暮らすより、なんらか社会に還元する活動に使いたいと思っている人も少なくないはず。


なんだけど、そういう方が口にされる言葉に、「自分が得てきたものを若い世代に教えていきたい」とか、「本にまとめたい」というパターンが多いことに、ちきりんはいつもひっかかる。

たしかに大学で教えるのも本を出すのも悪い話ではないと思うけど、必ずしもそれらが「人生で得てきたものを社会に還元する最良の方法」だともちきりんには思えない。

大学で教える側に立つとか、著者として若者に人生の学びを伝えるのは、確かに“格好のよい、自尊心やプライドを満たしてくれる、最も古典的な方法”でしょう。

けれど時にそれは“ヒエラルキーを利用した説教の押し付け”になるし、学ぶ側のニーズより教えたい側の自己満足に沿ったものになりがちだと思うから。


出口社長は、新しい生命保険会社(しかも、自分が“こうあるべき”と考える理想の会社)を立ち上げるという機会とめぐり合えたコトに心から感謝されているように見える。前に“高齢社という高齢者の派遣会社を起業した高齢者”の話を書いたことがあったけど、あの創業者の方の選択もすばらしいと思った。

機会があれば同じ判断をする人も多いかも。だけど実際には大半の人は、方法論として「大学で教える」「本を出す」以外を思いつけない。めぐり合えない。と思い込んでいる。

これって「社会の役に立つ仕事をしたい」と思う若者が、公務員かNPOで働くこと以外の方法論を思いつかないのと全く同じ。目的ひとつに手段はせいぜいふたつくらいしか考えてみない。世間と慣習が用意したプロセスにのって“就活”をするのも、“晩年”のすごし方を決めるのも、おんなじだよね。


ふむー。


ちきりんには「大学で教える」とか「本を出す」ことが目標になりはじめたら終わりだよねーという感覚がある。それって「自分が終わりました」という宣言にも聞こえる。いやもちろん“いい晩年のすごし方”だとは思います。でもあくまで“晩年”のすごし方。

経済的基盤も確立し、子供も独立し、奥さんも自分の人生を楽しみ始め(??韓流??)、自分が“晩年”以外の人生を送りたいと思ったら、学校で教える、本を出す、以外の道を選ぶのもひとつの手。若者に「元気を出せ!」とか言ってるくらいなら、自分でもう一回、やってみればいい。


というわけで、いつもは若者をあおってるんだけど、今日は上の世代もあおってみた。



そんじゃーねー!

2010-12-27 来年こそ“ダダ漏れ元年”?

ちきりんがビーチで遊んでた間に、とあるタレントさんが元夫と他のタレントさんの不倫についてTwitterでつぶやくという事件がありました。

このツイートをきっかけに、3者それぞれが記者会見を開くことになり、かなりプライベートなことまで話さざるを得なくなったのは見ていてちょっと衝撃でした。


ネット上での情報系トラブルを分類してみると、

(1) 政治的意図をもった作為的な情報リーク

(2) プログラムによる情報流出

(3) 気軽にツイートしたことが拡がって大事件化

(4) 告発型(悪口、悪評判など)

(5) 個人情報突き止め型

あたりでしょうか。


最初のはウィキリークスや尖閣諸島ビデオの流出など。

二番目のは winny やスパイウエアなどのウィルスにより、本人の意図なくして情報が漏れるもの。

三番目は、今回の「夫が○○さんと不倫してた。ショック!!」というツイートや、先日話題になった「一流といわれていたレストランのスタッフが客の悪口をツイートした件」など。

また過去にも、mixiで自分の悪行を自慢げに開示して糾弾された人もありました。つぶやいた人はここまで大事になるとは思ってなかったでしょう。

四番目は企業内の不正行為を内部告発するとか、個人が企業の労働政策について告発する、行ったお店のひどいサービスについてつぶやく、セクハラや詐欺など他者の悪行について告発するなどのパターンです。

このタイプのものとしては、ずっと昔に東芝のお客様サービスへのクレーム事件がありました。最近ではストーカーやセクハラを告発してる個人のツイートもあるようです。


最後のは、あれこれつぶやいたり mixi やブログで書いていることから「総合的に何かが判断される」パターンです。

アメリカの一部業界では、TwitterやFacebook、ブログでの発信内容を採用判断に使うケースがあるといわれますが、そういうものだとか、反対に“統合された情報”によって犯罪の証明も可能になるかもしれません。

本人はあちこちで(他者にわからないように)発信しているつもりでも、誰かがそれらの情報を統合し、人格判断(人物証明)に使える形にまとめあげていく、というイメージです。

特定のレストランや芸能人らの悪評を意図的に(統合すればそういうメッセージが浮かび上がるように)散布していく、ような行為が始まったり、「○○さんの Twitter の発言で名誉を毀損された」と実際に訴える人もでてくるかもしれません。


★★★


で、そういうのと絡んで興味深いのが企業や組織の情報管理ルールです。

たいていの大企業は、新卒入社した人向けに 1ヶ月以上の研修をやっています。ちきりんも最初に日本の会社に入社した時、名刺の渡し方、タクシーや宴席で下っ端(の自分)が座るべき席、お辞儀の仕方、電話の取り方や話し方まで研修で習いました。

そういった研修制度の整った企業においては、ブログやTwitterの使い方、メールの書き方、会社のパソコンの私的使用ルール、USB やサーバーでのデータ管理の方法などについて、今は新人研修で正式に教えているのでしょうか?

たとえば、何はつぶやいてもいいことで、何はつぶやいたらダメなことなのか、何は家に( USBメモリなどで)持ち帰って作業してもよくて、何はダメなのか。メールに絵文字をつけてもいいのか、いけないのか、などなど。

こういうことについて、「統一ルールを設定して教える」ということがなければ、各人は皆自分の常識で判断することになります。その常識が誰でも同じであれば問題はありません。社外秘と赤いはんこが押された企画書の内容をつぶやいてはいけないことくらいは、誰でもわかるでしょう。


けれど、来年あたりに大学を卒業する人と、組織の管理職や長ポジションにいる人たちの、こういうことについての常識はかなり違うんじゃないでしょうか。

すると各人が常識に基づいて判断した結果、「えええええええっーーー!!」みたいな情報が外に漏れる事件はこれからいくらでも起こりえます。


たとえば上に書いた、レストランのスタッフが客の悪口をTwitterでつぶやいた事件。これ、内容が悪口だったから、大半の人は「とんでもないスタッフだ」と思ったことでしょう。

では、もし「ほめ言葉」だったとしたら、それでも「大きな問題だ」と思う人の数は同じでしょうか?たとえば「今日は○○さんが来店された。実物はテレビで見るより圧倒的に美人だった!」というツイートだったらどうだったでしょう。

実際には、「今日誰が店に来たか」を吹聴するスタッフがいるような店は、とても一流とはいえません。

京都の老舗旅館、政治家が使う東京の一流料亭、銀座の一流クラブやレストランなどにおいては、「今日誰が来たか」自体が高度にプライベートな情報であって、内容の良し悪しに関わらずそんな情報を漏らすなんて許されることではありません。

けど、「そう?ほめてるんならいいんじゃないの?街中で○○さんを見た!とつぶやくのと同じでしょ?」と考える人もいるでしょう。このあたり、人によって許容限度がかなり違うと思います。


なので、企業や組織は相当程度、社員教育に気を使わない限り、必ずこれらの問題に遭遇することになるでしょう。

しかも「新人の研修内容」を企画検討している側の人たちが「 Twitter も Facebook も使ったことがない」世代だとすれば、そういったことが研修に含まれるようになるまででさえ、かなり時間がかかりそうです。だからといって「個人でもTwitter禁止」なんて今時できるわけでもありません。

というわけで、来年あたり、異なるネットリタラシー、異なる情報開示許容度を持つグループが混在する組織(特に大組織、大企業)において、「ありゃりゃ」な情報流出が大幅に増えるんじゃないかと、混乱Lover的には心待ちに楽しみにしているちきりんです。


来年もよい年になりますように。


そんじゃーね。

2010-12-22 疾走・混乱・混沌・恍惚

携帯ゲーム業界の深刻な問題を積極的に報道できないマスメディア 提供:木走日記


上の記事を読んで、確かに携帯ゲームのテレビCMやたらと増えてるよね、とあらためて思った。特定業界のCMが一定以上に増えてくると、「なんか始まってるなー」って感じる。

一時期、消費者金融のCMがテレビをジャックしてた時期があった。感覚的には今の携帯ゲームのCMより圧倒的に多かった。(一社当たりは同じかもしれない。消費者金融は会社数が多かったから)

当時はネットよりテレビをつけている時間が長かったので余計そう感じたのかもしれない。夜中じゅう、消費者金融のCMでおねえちゃんが網タイツの足を振り上げていた。


ビジネス嗅覚がとても鋭い知人が、「急成長してる会社で無茶をやってない会社なんてない」と言っていた。ああそうだよね、と思った。どんなに善人面している会社でもビジネスでも、一定以上の勢いで伸びている時というのは、一種「いっちゃってる」状態になっている。

特定の人やグッズのブームも同じ。テレビで毎日それを見る、どのチャンネルを回してもその人がでてくる、という状態は、“おんなじ業界のCMばっかり”というのと同じで、“ちょいと異常な域”に入ってる。本人も周囲の人もそんなことは百も承知だ。

バブル期の株式市場だって同じだった。すべての番組が株価について語ってた。ニュースや経済番組はもちろん、バラエティまで株の話、お笑いタレントまで投資話。


こういう“波”がくると、マスコミなんてひとたまりもない。勢いのあるモノというのは、巨額のお金を動かす。お金だけじゃない。常に興奮と新規性を求めている、鋭い嗅覚と腕力をあわせもった人の心をわしづかみにして振り回す。

そしてものすごい勢いで、お金とチャンスとリスクと有象無象の人たちを怒涛のように巻き込んで動き始める。当然に犠牲者もでる。だけどいったんそういう状態に入ったら誰にも止められない。ブレーキなんて利かない。そういう“域”なんです。

スポンサーの広告費で食べているテレビや(同じ穴の狢の)新聞は、アクセラレーターにはなりえても批判主体になんてなれるはずがない。というより、別にそんなことを期待する必要もない。



こういう動きが全くない社会とか、そもそもありえない。市場と言うのは次々と「尋常じゃないエネルギーをもったもの」を求めている。それらはいくつもの候補の中から突然頭角を現し、瞬く間に成長し、一気に世間の耳目を独占し、あれよあれよという間に狂気を得て、これまた不可避である終幕の日に向かって爆走する。

史上最高の利益に沸いていたリーマンショック前の金融界も、異常な価格につりあがったイギリスやスペインの不動産市場も、ネットバブルの時期のシリコンバレーも同じだろう。

こういうのは賢い人たちが知恵をだして避けられる過ちでも、あってはならない混沌でもない。むしろ私達の生きる世の中に不可避で不可欠な“ある種の熱病”だと思う。私達は常に“熱病”を探してる。


批判するのもいいし傍観するのもいい。遠くに眺めながら避けて歩くのもいい。もちろん、巻き込まれてみてもいいし、積極的に足を踏み入れてもいい。主役になってみたいなら飛び込んでみるのもいいかもしれない。

エネルギーにはいいとか悪いとかない。勢いとエネルギーレベルの高いものにこそ“生の実感”がある。やけどしたり怪我したりぼこぼこに叩かれたり逮捕されたりするかもしれないけど、一度でもそういう世界を体感したら、人生は“安全な小道”からみえるものとは全く違ったものに見えてくる。



そんじゃーね。

2010-12-20 「ゆるく考えよう」 

来年1月20日(予定)にイースト・プレス社より、ちきりんの、


「ゆるく考えよう」

人生を100倍ラクにする思考法


が発売(出版)されることになり、アマゾンで予約販売が始まりました。これも日頃より「Chikirinの日記」を読んで下さっている皆様のおかげです。心から感謝しています。


ブログのアクセス数アップと共にお声掛けいただいただくことも増え、「そのうち本になるかもね−」とぼんやり考えていました。でもまさかこーゆー本になるとは想像していませんでした。「こーゆー本」とは、ちきりんの考え方とか働き方について、また人生の選択や楽しみ方についての本、という意味です。

世の中には「いかに成長するか」「キャリアアップのために!」系の情報が溢れているし、実際この就職難のご時世、「もっと頑張らなくちゃ!」が基本トレンドなんだろうと思うのです。

ところがちきりんときたら、「背伸びして生きるなんてロクなことにならないよ」、「とりあえずは楽しい道を選ぶべきでしょ」などと考え始め、最近は数年ごとにキャリアダウンする生き方を選んできました。あげくに今や無職です。こんな右肩下がりな人の思考法を本にするなんて、最初はピンと来ませんでした。

そんな中、打ち合わせの際に編集者の方から「『あいつ、ゆるいよねー』って言うのは、僕ら若い世代の中では褒め言葉なんです」と聞かされ驚きました。

そんな言葉がポジティブな意味を持ち得るなんてびっくりです。実際、ちきりんがもし採用担当者で、候補者が「ボク、ゆるく生きてます」などと言えば、速攻、5秒で不採用にしたことでしょう。


なので最初にお話を頂いた時は、編集者の方が出したいと言われている本がどのようなものか理解できず、「すみません。イメージがよくわからないんで、とりあえず何か書いてきてもらえます?」とお願いしました。(どっちが編集者でどっちが著者??)

そうしたらタイミングよくちょうど仕事を辞めた頃に、「こんな本です!」と持ってきてくださった原稿が、この本の原型になりました。(えっ?誰の本!?)

そして言われた通りに書いているうちに(←真に受けないように)「おもしろいじゃん、この本!」と思うようになりました。


内容的には今までブログに書いてきたことをベースとして、大幅に改訂したものです。自分の生き方、考え方を象徴するようなテーマについては新たに書き加えています。

何より、ブログでは話があちこちに飛びがちで、かつ、本気だかおちゃらけだかわからないエントリも多く、「結局のところ、ちきりんはどういう思想の人なわけ?」というのが、わかりにくいですよね。

今回本にするにあたっては、「ちきりんとしては、こう考えてて、こんな感じで生きるといいんじゃない?と思ってるんすよ」という一貫したメッセージが伝わるよう構成を整えました。(明確なメッセージを伝えるにはストラクチャーがすべてだと、今回あらためて認識しました。)というわけで、手前味噌ではありますが、私としてはとてもいい本になったと思えています。

自由に、楽観的に、楽しく生きたい方に、読んで頂けたら嬉しいです。



ところで、この本の締めの一文(最後の文章)は?

それはもちろん・・・


そんじゃーね。


ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法
ちきりん
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追記)現在は文庫本にもなっています! 

ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法 (文庫ぎんが堂)
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2010-12-18 仕事の4分類:成長・支援・維持・再生

仕事には、いろんな分け方があります。

業種で分けたり、大企業、中小企業、スタートアップ、と企業規模やステージで分けたり、もしくは営業、開発、企画、財務など職種で分ける方法もあるでしょう。

ちきりんが「これも仕事を選ぶ時に役立ちそう」と思っているのが、下記の4つにわける方法です。

1.成長の仕事

2.支援の仕事

3.維持運営の仕事

4.再生の仕事


成長の仕事とは、新しいビジネスを立ち上げる、立ち上がって間もない仕事を軌道に乗せる、伸び盛りの分野で業容を拡大する、などの仕事です。

ネットでの中古売買やオンライン英会話など新しい業態のビジネス、モバイルやソーシャルゲーム、SNSなど急成長分野、高齢化に着目して伸びはじめたビジネスや、中国やインドなど高成長国を担当する場合も成長系の仕事です。


2番目の「支援」の仕事。

典型的なのはプロフェッショナルサービスと呼ばれる弁護士、会計士、コンサルティング、投資銀行やベンチャーキャピタルの仕事です。

マーケティングやPRの支援企業もありますね。個人で支援の仕事をしている人も多いです。


3番目は「維持と運営」の仕事。

仕事の数としてはこれが一番多いです。公務員の大半はそうだし、大企業の大半の仕事もこれです。

維持するものはふたつあり、ひとつが定番のオペレーション、もうひとつが組織自体です。

ずっと長く行われているビジネスは普通に回していくだけでも結構な人手が必要だし、巨大組織や公的機関の中には「組織自体の維持のための仕事」もたくさん存在します。


4番目の仕事が「再生」です。“事業再生”とか“ターンアラウンド”と呼ばれます。

主に「再生専門ファンド」や一部のプライベイトエクィティファンドがなどが担当しますが、ファンド以外でも、大メーカーや小売店の中には、不良店舗や不良ビジネスの再生を担当する部門や特別チームが存在するし、大組織に作られる“○○改革チーム”もこの仕事をします。

また、支援の仕事である弁護士や会計士、コンサルティング会社にも(あくまで仕事は「支援の仕事」ですが)この分野を専門とする人や事務所があります。

傾いた家業を建て直す、みたいなのもありますね。


★★★


この4つは同じ職種であっても、すごく違う仕事です。

たとえ同じ営業職、開発職、財務の担当や採用の担当であっても、自分が「成長分野」で働いているのか、それとも「維持運営分野」で働いているのか、によって日々の仕事は全く異なります。

成長分野で働いている人には、営業だろうと開発だろうと人事だろうと財務だろうと、「成長するぜ!」系の仕事のやり方が求められます。

朝と夕方で指示や目的が変わったり、少々細かい点が詰まっていなくてもどんどん前に進めたり、また意思決定も行動も上司の決裁などまたず現場でスピーディに行うなど、成長分野に共通する仕事のやり方があるからです。


加えて、4つの分野では学べること、得られる経験の種類や質も違います。求められる資質や能力、さらに個々人にどれが合っているか、という適性も違います。

維持運営の仕事が合っている人、成長の仕事が合っている人、再生の仕事が合っている人、というのは違うタイプの人なのです。


間違えない方がいいと思うのは、「オレは頑張るぜ!」系のエネルギーのある人の仕事選択です。

こういう人は「維持+運営の仕事」を嫌い、それを避けて就職(転職)活動をします。でも、残りの3つの仕事の区別がついてないことがあるんだよね。

「成長の仕事」をするのと、「成長の支援をする仕事」は全く違う仕事だし、「成長の仕事」と「再生の仕事」は180度違う仕事です。

成長の仕事とはゼロや 10を 1000にする仕事であり、再生の仕事は -50をゼロに近づけたり、10にもっていく仕事です。

頭の使い方、時間の使い方、判断のよりどころなど、すべてが違います。


30代半ばまでの自分の生き方を考える時代に、この4つのうちどれを経験しておくのか、よく考えた方がいいです。

また、30代半ば以降の「自分の人生の中心となる仕事」を選ぶ際にも、人生の時間をこの4つのうちどれに使いたいか?よく考えた方がいいです。

再生や支援の仕事をおもしろいと感じる人もいるし、「他社の支援」や「ゼロを目標にする再生」なんて、何がおもしろいのか全然理解できない、という人もいます。

あと、「オレは何かを成し遂げたい!」と思うなら、とりあえず「成長の仕事」に携わらないと話になりません。支援や再生は年をとってからでもできます。

そこんとこまちがえないよーに。


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そんじゃーね!


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2010-12-16 アマゾンと楽天

楽天が本を売り始め、アマゾンが靴や鞄から食品の販売を増やし始め、「アマゾンと楽天の戦いが、おもしろくなってきたー!」と楽しんでいるちきりんです。

このふたつの通販サイト、「自分はこっちだけを使う」という人も多そうですが、どうなんでしょう?

使い分けてる人もいるんでしょうか? 私は家電と本はアマゾン、食品と雑貨は楽天が多いです。というわけで今日は、ミーハー消費者としてふたつを比較した感想を書いておきます。


 VS. 


アマゾンが圧倒的に有利っぽいのは「物流」でしょう。消費者目線の言葉では「配送費」と「配送日数」となります。

今や amazon.co.jp が販売主ならほぼ送料が無料、というのは、思いついた時にアレコレちょこちょこ買いたい人にはメリットが大きいですよね。

また、画面で「在庫あり」となっていれば配送にかかる期日もほぼ一定していて、いつ購入すればいつ頃手に入るか読みやすいです。

これはひとえに、アマゾンが自社の巨大倉庫から一斉配送をしているからです。

配送業者はアマゾンと契約すれば大量の仕事が得られるため、相当に低い単価で配送業務を請け負っていると思われます。そして消費者は、その恩恵を受けているわけです。


一方の楽天では、商品は各ショップから配送されるため、配送業者も各ショップが選んでます。だから業者もバラバラだし、配送料のディスカウントも(店自体が)受けていません。

このためネットショッピングをする客は、数千円から1万円近く買わないと送料が無料にできない場合が多いです。これだと、気に入ったものを一個だけ即買いするのは躊躇されます。


東京在住の客だと配送料は 600円程度の場合が多いのですが、ネットでモノを買うのが一般化すればするほど買う商品の金額は小さくなるので、配送料の比率が大きくなります。1000円の商品に 600円の配送費はかなりつらいですよね。

あと、在庫管理も各店に任されているから、ショップ画面で「在庫あり」になっていても実際に注文したら「ちょっと待ってね」みたいなメールがくることもあります。届くまでの日数も店によってバラツキがあるし、

下手すると「メーカーに注文したけど在庫切れでした。すみません」みたいなメールが来て終わりってこともあります。何日も待ってこれでは次から買う気が削がれます。


楽天のお店の多くはごく小さな雑貨屋だったり食品店だたりするわけで、サイトのメンテナンスもきちんとできていないし、巨大なモンスターロジスティックスセンターを抱えるアマゾンとはオペレーションのレベルも全然違うから仕方ないとはいえ、イライラすることも多いです。

この点も、ネット販売が一般化すればするほど、注文はより小口高頻度となり、アマゾン型の有利さが際だつんじゃないかなーと思います。


★★★


ウエブサイトの作りについては、グローバルに統一してあり、マニュアル主義で、スケールメリットを追求するアマゾンと、「日本のごちゃごちゃな商慣行をそのままネットに持ち込んで商売する」楽天の違いをキレイに反映してますよね。

アマゾンの画面の場合、たとえ売り主が一般店(楽天にも店を出している小売店)であっても、画面は超シンプルです。


一方の楽天ショップの(ほとんどのサイトの)ケバケバしいこと。なんじゃこれ、なショップも多々あります。ドンキホーテ的店づくり=サイト作り(多分意図的?)のお店が多く、あれは好き嫌いがあるだろうと思います。

これ、お店がかってにやっているというよりは、楽天のアドバイザーがそう勧めているらしいです。そういえば情報商材をうるサイトもめっぽうサイトが長いので、「ずうっと読んでいるうちに欲しい気持ちが高まる」という効果が、本当にあるのかもしれません。

いずれにせよ、このサイトのビジュアルの違いは、まさにアメリカ的なるものと日本的なるものの違いにも見えます。


★★★


一方、楽天は、ポイントやカードでの囲い込みがめっちゃ巧く、また、本を除けばカスタマーレビューも楽天の方が圧倒的に充実しているように感じます。

特にポイント制度は強力ですね。

ポイント 10倍セールとか、ポイント山分けセールとか、しょっちゅうやってますが、「セールだとついつい買いに行く」人ってのは、リアル店舗のセールを見ていてもわかるように、相当数いるんです。

アマゾンもセールはやっていますが、こういう客の取り込みに関しては、楽天の方が圧倒的に成功しています。


そもそもアマゾンの場合は「必要なモノを買っている客」が多いのに対し、楽天は(テレビショッピング同様)「ハマってしまって、要らないものもやたら買っている客」がたくさんいるはずです。

つまり、アマゾンでは売れないけど楽天では売れている、という商品や店はたくさんあるはずなんです。

「買うことの便利さ」を提供してくれるアマゾンと、「買うことの楽しさ」を提供している楽天の違い、ですかね。


特に要らないものを買いがちになる洋服と雑貨について、楽天はアマゾンに比べ、圧倒的に充実しています。

洋服って、そもそもリアル店舗でさえ、「要らないけど買っちゃうもの」なんです。買って、家に帰ったら同じような服がたくさんあった、って人も多いはず。もし誰もが合理的に「必要な服以外、一切買わない」みたいになったら、アパレル業界は成り立ちません。

アマゾンは「消費者が探してるものを、できるだけ効率よく買えるように=ワンクリックで買えるように」することには熱心ですが、

この「要らないモノを、ついつい買わせてしまう」という市場に弱いのです。


洋服や靴、アクセサリー、カワイイ雑貨、文具、食器、こだわりスイーツなど、そういう市場って全部会わせると結構でかいので、この市場で楽天が(アマゾンに)圧勝しているのは重要なコトです。

ただし洋服に関しては、もしアマゾンが、試着・返品自由で洋服などを売り始めたら、相当のインパクトがあると思うし、この 2社の関係にも地殻変動が起こると思いますが、それはまだかなり先なのかもしれません。


★★★


もうひとつ大きな違いは、楽天が抱えている店は、基本は超ローカルな日本の小さなお店だってことです。彼らは今それらを世界につなげようとしています。

そもそもね、「世界中の人、死ぬまでに一回くらいは日本のケーキ食べてみた方がいいですよ」ってくらい日本には美味しいモノがあるでしょ。

そして楽天が頑張れば、世界中の人があれを食べられるようになるかもしれない。これって私が最近よく言う「ジャパンバリューのマネタイズ・ビジネス」です。

個々の小さなお店にはそんなことできないので、ぜひ楽天に頑張って欲しいけど、これも先にアマゾンがやり始めたら厳しくなるだろうなと思います。


などなど、

グローバルモデルの世界展開をやってるアマゾンと、ジャパンバリューのマネタイズをやろうとしている楽天のバトル。ちきりん的には超楽しみなところです。


そんじゃーねー



↓実力差を大きさで表してみた・・

 VS. 



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2010-12-14 得るモノ、失うモノ

飲み会の支払いの際、たまたまAさんに持ち合わせがなく、同僚のBさんから千円借りました。

すぐ返すつもりが、多忙な日が続き、顔を会わせないまま1ヶ月が過ぎました。

期限も決めていないし催促もされなかったので、「忘れてるかな。今頃言い出すのもどうかな。たいした額じゃないし」と思っているうちに、そのままになってしまいました。

このことで、Aさんが得たのは「千円」、反対にAさんが失ったのが「信用」です。


ずっと先のある日、Aさんは起業をしました。

Aさんは仲間や出資を募っています。別の飲み会でそれが話題になった時、Bさんはふと昔のことを思い出して言いました。

「でもあいつ、ちょっとルーズな面もあるよね」と。


責める諷でもなく軽い調子のコメントで、実際Bさん自身、昔のことをそんなに気にしているわけではありません。気軽な“つぶやき”みたいなものです。

でもその場にいた、実は出資を検討していたCさんには、これはちょっとした情報になりました。

細かい話はどうでもいいのです。昔からAさんを知っている人に、Aさんが残している印象がどんなものなのか。それが関心を呼びます。

出資は融資とは異なり、担保は「お金を出す相手の人」そのものですから。


ここではふたりの行動、言動の妥当性について議論したいわけではありません。

書きたいのは、「世の中はこういうふうに動いている」ということです。実際にそういう場面をみちゃったりすることがある、ってことです。


★★★


Dさんと Eさんが交渉ごとをして、Eさんの主張が通ったとしましょう。Eさんは「よかった!」と思うでしょうし、「勝った!」と思うかもしれません。

でも反対に交渉相手のDさんは「譲った」と思っているし、「譲らされた」と感じているかもしれません。


交渉ごとで自分の主張を通すのは、「借金をする」みたいなものです。

あちこちで交渉ごとに勝っていると、あちこちで「自分に貸しがある」と思う人を増やすことになります。

反対に、何かの交渉ごとの際、「ここはオレが一歩引いておくか」とか「今回は助けてやろう」という判断をしたら?

そういう行為は「貯金をする」のに近い効果があります。

これを続けているとあちこちに、「あの人には借りがある」と感じる人が増えるからです。


交渉ごとに強い人の中には「自分の強い立場」を利用して、自分の主張を通そうとする人がいます。

相手が断れないとわかっていて、交渉をもちかけるような人です。

もしもその交渉ごとが一回だけで終りなら、そうやって自分の主張を通すのも悪くないかもしれません。

でも世の中は続いていきます。

立場を考え、譲らざるを得なかった方にどんな感情が残るか、いつまで相手がそのことを覚えているか、と考えれば、めったなことで立場を振り回すのは損だと理解できるはずです。


これは社員と会社の関係でも同じです。

会社が「コイツに辞められたら困る」と思っているような優秀な社員なら、「この頼みをきいてくれないならボクは辞めますよ」的にチラつかせ、自分の待遇や仕事内容について交渉できるかもしれません。

けれど、そうやって自分の主張が通った時には、「さて今回の件で、自分が得たものは何で、失ったものは何なのか」と考えてみましょう。

自分の主張が通ったのは「自分が優秀だから」ではなく、「相手が譲ったから・譲らされたから」です。

そのことにより相手に残った感情や、自分にたいする相手のイメージがどう変わったか、考えてみましょう。

あたなが失ったものは、決して小さくないのです。


基本的には「得しただけ」なんてないんです。

駆け引き、交渉ごと、取引の基本は「何かを得た時は、何かを失う」ということであり、「何かを譲れば、何かを得ている」ということです。

「勝った!」「得した!」だけなどということはありえません。

“WIN-WIN”(両方にメリットがある)という言葉がよく使われますが、反対に言えば、WIN-WINでない限り、常にWIN-LOSEの関係が出現します。

この“WIN-LOSE”を、「自分がWIN、相手がLOSE」と解釈するのは間違いです。

そうではなく、自分の中にWINとLOSEのふたつが残るのです。


だから、自分にとってどうでもいいことなら、どんどん人を助けてあげればいいし、譲ったほうがいいのです。それはいわば「世の中に貯金する」行為だから。

反対に、あちこちで自分の主張を通すのは、世の中に借金を作って歩くような生き方です。

お金の借金は簡単に返せますが、人や社会への借りはなかなかゼロクリアできません。

つまらないものを得るために、大事なものを失うのは馬鹿げています。

しかもお金の場合は、人は自分の借金を自覚していますが、あちこちで自分の主張が通っている人は、自分が借りを作っている、ということに無自覚です。

“自覚のない借り”ほどやっかいなものはありません。


できるだけたくさん、あちこちで譲り、助け、許しておきましょう。

それは「社会に貯金をする」、もしくは、「社会に資産をもつ」行為です。わざわざ回収になどまわらなくても結構な確率でそれは戻ってきます。

反対に、「ちょっと強く言ってみたら主張が通った」とか喜んでいると、増えるのは「借り」ばかりになってしまう。

むやみに人に勝とうとしないこと、むやみに自分の意見を通そうとしないこと。そっちの方がだんぜん得なのです。


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そんじゃーね


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2010-12-12 ちんたら生きていく

実質的な退職日から明日でちょうど100日目。

いい区切りなので、今日は「働かない生活っていったい何してるの?」について書いてみます。


まずは結構忙しい100日でした。

勤務年数がそこそこ長かったので、送別会だけでもかなりの数だったし、年末・年始に入り、退職時にタイミングが合わなかった人からも再度「忘年会・新年会を兼ねて一度食事でも」という話が来つつあり、まだその流れが続いています。

なので、ありがたいことに「会社を辞めたら誰とも会わなくなる」みたいなことは起っておらず、寧ろ働いていた頃より多くの人に会い、密に話をしています。

誰と話しても、会社にいた時より自由に話せて気楽で楽しいです。


働かなくなったら旅行に行きたい!と思っていたけど、こちらについてはチョコチョコって感じです。

金沢や道後温泉に友人、家族と出かけ美味しいものを頂きました。

クリスマスは常夏ビーチで過ごす予定だし、仕事の関係でずっと行けていなかった 2月の雪祭りも予約が完了。

あとは来年の気候のいい頃に、欧州の美術館巡りをゆっくりやろうかなと思っています。

それと奈良や京都に 1週間とか 10日とか滞在してゆっくり回ってみたい。

出張の多い仕事をしていたので、旅行は「ゆっくり滞在型」で楽しみたいです。


美術館や工場やいろいろ行ってみたい!と思っていたのですが、これらはまだまだ実現していません。

辞める直前に夏のコミケに行ってみたのと、ホンダの工場見学、ゴッホ展、世田谷美術館に行ったくらいかな。

来年はもっとあちこちチャレンジしたいです。(AKB48のコンサートにいくとか、試しにネットカフェに泊ってみるとか、やってみたいです。)


韓国語と中国語を勉強し、同時に「日本語教師」の資格もとってボランティアも始めたいと考えています。10月末に日本語教師の資格試験があって、10月はその勉強(独学)が結構大変でした。(まだ結果は来てないですが、落ちてる率7割かな。)

語学についてはお金のかからない方法がいいので、放送大学とかテレビの番組とかを使うと思います。両方同時に始めるのは無理かもなので、来年はとりあえず韓国語かな。

長期的には、「1年のうち数ヶ月くらいアジアの都市に滞在してプラプラしている」みたいな生活ができればいいなと考えてます。

私は日本が好きなので他国に住むことは考えてませんが、でも、数日や 1週間以内の旅行とは違う滞在の仕方ができればいいなと思ってるんで。それを楽しむためにもとりあえずは最低限の語学を学びたいです。

加えて「教える資格」ももっていれば相互に教え合うとかできて楽しそうかなと思っています。


日常をよりきちんと楽しみたい、というのは、かなり実現できてます。

まず、食事は圧倒的にまともになりました。「会社近くのコンビニで買った弁当でランチ」というのがなくなり、食材とメニューをあれこれ吟味し、自分で料理をする回数も増えました。これはとても満足。

あと、ジムに通い泳ぐようになりました。

まだ一回 500メートルくらいしか泳げないけど(それ以上泳ぐと疲れ切って、その日なにもできなくなる・・)、水の中にいるのが好きなので気持ちよいです。

平日の空いている時間帯に通うことができるのが「無職の有利さよねー」と痛感します。というわけで体重は現状維持。

洋裁とかDIYが趣味で、会社を辞めたらアレを作ろう、コレを直そうとか思っていたことについては、全く手つかずです。全然時間がありません。


ネット上で知り合う人とコンタクトすることが多くなりました。特に若い人とよく話すようになった。

このブログ、ちきりんと同世代、もしくはちきりんより年上の読者も多いようだけど、学生さんや、働いて数年目など若い人の読者も多いみたいです。

何度も書いてるけど、若い人がすごく優秀なので、彼らと話しているといろいろ勉強になります。


先日、オンライン英会話のラングリッチの授業を試しに受けてみたりしましたが、働いていたらああいうのも「試してみる」時間自体がなかなかとれなかったでしょう。

他にもこの前はBLOGOSのシンポジウムに行ったけど、仕事している時だったらあれも多分行けなかったし、最近は講演でお話してください、みたいなお誘いも頂きますが、在職中はそんなの引き受けるのは(時間的にも立場的にも)無理でした。

このあたりのネットワークと活動範囲の拡大は、組織と仕事を離れたのでそこそこのスピードで進み始めている気がします。


家族とすごす時間はもっととれるかと思ったけど、最初に書いたように結構忙しく思い通りではありません。

古い友人達で、まだ会えていない人も多いので、来年は少しずつでも訪ねてみたいです。

経済的にやっていけるのかどうかは正直よくわかりません。

とりあえず家計簿を付け始めたので一歩前進。そもそも生きていくのに幾らかかるのか調査中です。

来年は住民税、社会保障費なんかがバカ高いのでどうしようもありませんが、再来年からは落ち着くのではないかと思います。

この面においては、やっぱり「ローンの終わった持ち家(=マンションの部屋)がある」というのが大きく、家賃やローンを払いつつではこんな呑気な生活は不可能だったと思います。 (参考エントリはこちら→「いつでも辞められる」)


生活のペースとか、そういうのは全然崩れないです。昼夜逆転とかするかな?と思ったけど、しないです。

学生とか20代の頃なら夜中まで遊ぶのも楽しかったのでしょうが、今はそんなことしたらお肌が悲惨なことになります。

混んだ電車に乗らずに済むこと、お天気のいい日にゆっくり陽射しを楽しみながら朝ご飯を食べられること、雨なら雨で「雨だー」とかいいながら景色を楽しめること、昼間からお風呂に入ったりできること、ランチにお酒を飲んだらそのままお昼寝できること、夜いつまでもだらだら韓国ドラマを見ていても翌朝のことを気にしなくていいこと、などは、働いていた時にはありえなかった開放感が得られる、本当にナイスなところです。


「無職です」って人に言うことは、たまに説明が難しいし、書類に書いた時に「?」みたいな顔をされることはありますが、今のところ特別な問題は起っていません。

ITの勉強もしたいけど、まだ何も考えてません。退職直前にTwitterを、また、つい最近にスカイプ始めてみました、とかいうすごい低いレベルで進化中(?)です・・・。

あと、本名での活動をいつ頃始めるのか、というのも難しい判断で、まだ当面いろいろやりたいことがあるので来年の夏くらい以降かなーと思っています。

こちらはこちらでまたちょっとした計画もあるんですが手つかずです。


という感じで、働かなくなって 100日目。

てきとーに生きてます。時々「独立したんですね」とか「ライターとしてやっていくんですか?」みたいに言われますが、そういうのではないと思います。働くのを辞めただけ。

なんにも有意義なことせずに、ちんたら生きていきたいです。


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2010-12-09 超てきとー)メディア別・入社時代別 人生総括表

先日、田原総一朗さんの話で「言われてみれば確かにそーだ」と納得したのは、「メディアの主役はずっと新聞だったけど、80年代にテレビに主役を奪われた」って発言。

これ、私の年齢でさえ「そーいわれれば」って感じだけど、若い人なんてもっと「へー」じゃない? 新聞がテレビよりメジャーだった時代なんて知らないでしょ。

でも実は、NHKのテレビ放送開始が 1953年なのに対して、朝日新聞は大阪での発刊が 1879年らしいし、新聞は“かわら版”から始まったとか言い出したらさらに圧倒的。

田原さんがテレビで働き始めた頃、新聞界の人はテレビを「どうせテレビなんか絵を映してるだけだろ」って小馬鹿にしてたらしい。

「絵を映してるだけ」って、今となっては何をどうバカにしてるのかさえよくわからない。


さらにおもしろかったのは、当時、記者クラブには新聞記者しかいなかったのだが、NHKがテレビで初めて記者クラブに入ってきたって話。

つまり記者クラブが、テレビという新参メディアに開かれたってことですね。

それでも当時は政治家の記者会見などがあると、会見後にNHKの人は新聞社の人にこう聞いてたらしい。

「今の話、新聞では何面の何段くらいの記事になりますか?」って。


つまりNHKの人は、発表されたニュースがどれくらい大事なのかについて自ら判断するのではなく、新聞社だったら一面に載せる記事なのかそれとも 3面なのか、1段なのかそれとも 5段記事なのか、と聞き、

それを目安にして「じゃあこれは夕方のニュースのトップにしよう」とか決めていたらしい。


ふーん

そりゃー確かに「新聞の方が格上」の時代ですわね。


でも次第にその力関係は変わり始め、「 70年代の後半から 80年代にかけてテレビの影響力が新聞より大きくなり、次の 90年代には大きな差がついた」ってのは皆さんもご存じのとおり。

こう考えてみると、案外、最近の話なんですよね、テレビがメディアの王様になったのって。


まとめるとこんな感じかしら?

60年代・・・新聞がメディア王者の時代

70年代・・・まだ新聞がトップ

80年代・・・逆転の始まり

90年代・・・テレビが王者の時代へ!

2000年代・・・引き続きテレビが王者

2010年代・・・逆転の時代の始まり? (←今年がこの10年の初年)

2020年代・・・ネットが王者の時代


確かに今年は「逆転の 10年の一年目」って雰囲気だった。

まだここから 10年かかるのねー。でも、人が働く期間は 23歳から 65歳として 40年以上。

30年くらいでメディアの主役が変わるなら、誰しも自分が働いているうちに一回くらいはメディアの主役変化に出くわすってことだね。


で次は、「いつ、どのメディア企業に入ったらどんな人生だったか」を図解してみました。


まずは新聞社に入社した人を、入社した年代別に書いてみると・・・

(ピンクが黄金時代、オレンジが成熟期、グレーが没落期)

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新聞社に就職した人でもっとも幸運な人生が送れたのは、1950年代に入社した人ですね。

この人達は「新聞のほうがテレビより圧倒的に上」という状態の時に働きざかりで、テレビが黄金期を迎えた頃には既に引退モードに入れています。完全に逃げ切り。

とはいえ、入社した 1950年代というのは、まだ多くの人が「戦争を煽りまくり、大本営発表ばっかり書いてた新聞」をよーく覚えている時代。

そんな時代に新聞社に入ったからこそ、その後のキャリアで報われた、ってことなんでしょう。


その後、1960年くらいに就職した人も、最後はテレビにやられたとはいえ、“まあまあいい感じ”でメディア人生を終えることができてます。

1980年代あたりだと「テレビのほうがメジャーだけど、テレビは娯楽中心なので、新聞のほうが社会意義のあるメディアだ」と感じて入社した人が多そう。

雲行きが怪しくなるのは、 1990年代入社あたりから。


さらにその後、2000年以降に新聞社に入った人は、最初から「テレビには全く歯が立たない」時代しか知らない上、働き盛りの頃には、ネットメディアに存在を脅かされる時代に突入しています。

今後はさらに厳しく、完全に「時代遅れの産業に就職した」感じ。


テレビ局に入社した人の場合は・・・

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一番、得をしてるのが 1970年代に入社した人です。

彼らは 30代の頃にバブル期=テレビ業界にじゃぶじゃぶにお金が流れ込んだ時期に、もっとも脂ののった仕事ができてるんです。

1980年代の前半入社の人あたりまでは同じかな。


1990年代の入社の人は、最初は黄金期だけど、働き盛りになってからは凋落傾向という一番“残念”なパターン。

当面は王者の位置にいられるけど、自分が経営者になる年代には「かなり厳しい時代」を迎えざるを得ません。

2000年代入社組あたりからは、さらに「厳しい時代」が長くなり、2010年代の入社だと「撮影・編集技術や番組製作ノウハウだけ覚えた上で、さっさとネット系に転職すべき」な感じかも。


最後に、ネットメディアで働く人の場合、

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2000年代に入った人はかなりの先駆者。

2010年代の就職組からが黄金のキャリアパスで、2020年代での就職は王道の選択って感じっぽいですね。


栄枯盛衰・・・


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2010-12-08 組織と市場 - 人を育てる2つのもの

あたしが最近すごく関心をもっているテーマのひとつが、「これからは、誰が人を育てるんだろう」ということです。

育児の話じゃなくて、社会人、ビジネスパーソンとして、人を育てるのは、誰の役目になるんだろうというコト。


人を育てられるのは、ふたつしかありません。「組織と市場」です。

組織とは学校や会社、市場とはコミュニティや仕事ですね。

前者は座学であったり徒弟制度であったりし、後者は人付き合いや仕事のやりとりなどを含みます。


一番バランスのいい人の育て方は、組織で基礎を学び、市場で実戦経験を積むことです(&それの繰り返し)。

新卒で大企業に入れば、まずは研修を受け、その後はOJTで先輩や上司から徒弟制度に基づく手厚い指導を受ける。

そのうち自分で仕事を担当し、顧客と向き合いつつ市場から学び、その後、もし組織を離れて独立すれば、自分自身を市場の中で売っていきながら成長する。これが「人材育成の黄金のパス」でしょう。


ここんとこ問題になってるのは、組織に余裕がなくなり、人を育てることができなくなっていること。

新聞社でさえ、朝日新聞が早期退職を募集する時代、社内で若手を育て、早めに一人前にしてやろう!という中高年はなかなか奇特な存在になりますよね(若手が早く育つほど、給与の高い中高年は要らなくなるんだから)

それ以前に、新規の正規採用人数だってどんどん減っていきます。

組織はできる限りの人数を非正規で(育成のコストもかからない立場で)採用しはじめる。

彼らには正社員に与えられたような、“育てる仕組み”は適用されません。


その一方、伸び盛りのベンチャー企業は(たとえその意思があったとしても)急成長に人材供給が追いつかず、組織的に人を育てる余裕がない。だから組織の中であるにも関わらず「市場で人を育てる」方式しか提供できません。


今後、人を育てる場である「組織と市場」のうち、組織の人材育成機能が消滅する(もしくは大幅に削減される)と、人は「市場」で育つしかない。

ところが、組織にいれば育つことができるレベルの人が全体の 8割いるとすれば、市場で育つことができる力をもった人は2割程度しかいない。

花壇で世話をしてもらえば大半の種子は花を咲かせられるけど、その辺の土地に種子が蒔かれて放置されたなら、花が育つところまで到達できるのは稀なケースになります。


組織の人材育成機能が失われると、その差の 6割の人達は成長できなくなるかもしれない。トップ2割にもボトム2割にも関係ないけど、まんなかの6割の人には世界が変わってしまいます。

ちきりんはこれを「もうひとつの中間層の崩壊」、と呼んでいます。


私も含め、長く組織で働いてきっちりとした訓練を受け、その後、独立してそれなりに成功している人はたくさんいます。

最初に組織で育てられ、だからこそ後から市場で自分を成長させる基礎力も得られた、というケースです。

でも今後は、最初の最初から市場で育たなければならない人も増えてくる。だとしたら・・・

どの業界でも同じです。今でも、大手の企業は組織として人材を育てる力に溢れていると考えられてる。(だから学生は大手企業に殺到する)。

でも彼らが抱えられる人材は多くない。それに、最初から市場で勝負しようという優秀な学生もたくさんでてきている。彼らが最大限の速度で育てるような「市場の整備」が必要だよね。


全体として、市場だけでも育つことの出来る人を増やさないと、どの分野、どの業界でも人材の質が落ちてしまう。

組織の人材育成機能が低下する中、市場の人材育成機能を強化する必要がある。

そんな中、「市場で人を育てる」にあたり、今までのような完全なジャングルルールではなく、なんらかの「インキュベーションシステム的なプラットフォーム」が必要になるよね、というお話でした。


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2010-12-06 会社(公務員含む)の辞め方パターン一覧

会社員や公務員として働いている人が、その企業や組織を辞めるタイミングについて、個人側と組織側のふたつの視点から整理しておきました。「なるほど、あの人は(2)の(b)か」とか、自己紹介で「私は(4)の(c)でした」などのようにご利用ください。

「ボクは一社目は(1)の(a)でしたが、二社目は(4)の(d)でした」などのようにも使えます。



個人軸)入社後年数

(1)入社してすぐ辞める

就職活動の時に余り考えず、周りに流されて就職。入社してみたら「全く違う!」と気がついてすぐに軌道修正する人。


(2)数年で辞める

入社後すぐに「これは違うかも?」と思ったが、周りの人のアドバイスもあり数年(合っていないことを確認するための期間が)たってから退職するケース。非日本人、女性の場合は、日本人男性優位の組織に早めの見切りを付けるタイミング。もしくは、ベンチャーへの転職や留学、進学のために、このタイミングで退職するパターンも多い。


(3)10年で辞める

30代半ば。基本的な商業訓練、スキルを学んだ後、組織にい続けるメリットが感じられず、リスクをとって退職する。独立して自営開業する人も多い。辞めた直後の10年くらいは前の会社の名前を売って生きられるので、その間に自分の市場価値を確立する必要がある。


(4)20年で辞める

40代半ば。組織内での出世の可能性の有無が明確になった段階で、敗戦処理キャリアを続けることをヨシとせず退職する。ローンや教育費支払いのまっただ中での退職となるため、家族の理解が得られず退職を断念する人もいる。若い頃は「自分はこの会社で勝ち組になれるはず」と思っていたのに、40代半ばにして役員になれないと気づいたショックは大きい。


(5)30年で辞める

50代半ば。早期退職制度などに応じ、早めの引退で第二の人生をやっていこうと決断するケース。大半の場合、既に経済的基盤ができているため、辞めた後も趣味と仕事が半々の過ごし方となる人も多く同僚から羨ましがられる。


(6)40年で辞める

勤め上げて定年退職でやめる。60歳から再就職して給与を半額にしてまで働き続けるつもりはない、という人。ボランティアをやる、海外の若者育成に携わる、地域に貢献するなどの夢を持つ人も多いが、最初は会社人間の癖が抜けず苦労する。



企業軸)組織の壊滅度

(a) 組織には問題がない時期に辞める

辞める理由は自分の理由であり、業界、会社(組織)は盤石と思われている時期である。もしくは、非常に長期的な視野をもって業界について考えており、一見なんの問題も見えていない時期に会社を辞める。


(b) 組織の先行きがやや懸念され始めた時期に辞める

学生は気づいてないが、新聞で不安がかき立てられたり、世間から叩かれ始めたりしており、業界の人で集まって話せば、将来性のなさはかなり明らかな時期。当面の問題はないが、業界や組織の将来性に暗雲がたれこめ始めた時期に辞める。


(c) 具体的な問題が発生した時期に辞める

赤字になる、ボーナスが大幅カットされる、経費削減が始まる、新規採用が抑制・凍結される、など具体的にヤバイ兆候がでてきた段階で辞める。


(d) リストラ開始時に辞める

早期退職プログラムが導入されたので応募して辞める。早期に受けるほど退職金が手厚く、辞めるタイミングについて苦悩する人が大量に発生するなか、周りの様子を注意深く見守りながら辞めるタイミングを計る。


(e) 部門閉鎖や指名解雇で辞める

会社更生法を申請したり、銀行の債権放棄が行われるなど私的会社更生が始まった後に辞める。退職金割増しもなかったり、持ち株が暴落するなど経済的には厳しい門出となる。



以上です。皆さんはどれ?


そんじゃーねー

2010-12-04 若者にお勧め→「起業のファイナンス」

昨日から、「isologue(イソログ)」で有名な磯崎哲也さんとの対談掲載が始まりました。全体で9回の掲載だそうです↓

Business Media 誠:ちきりん×磯崎哲也のマジメにおちゃらける:え、水商売を? ちきりんさんの正体に迫る (1/4) Business Media 誠:ちきりん×磯崎哲也のマジメにおちゃらける:え、水商売を? ちきりんさんの正体に迫る (1/4)


対談前半では“レトロおちゃらけた写真”が目を惹きますが、大事なのは後半、磯崎さんの新著「起業のファイナンス」が話題になってるところです。

これ、若い人(学生さんから30歳くらいまで)に是非読んで欲しい本です。企業財務や資本政策について基礎知識が学べるので、ファイナンスをよく知らない人にはもちろん役立ちますが、この本のポイントは寧ろタイトルの前半「起業の」のところにあります。財務の本というより起業についての本なんです。

各章は資本政策とか財務諸表の意味などファイナンスの各面についての説明なのですが、全体を通して読むと、「ファイナンス面から見れば、起業ってのは何なのか?」ということがよくわかります。


起業を語る時っていろんな側面があるでしょ。

・ビジネスモデルで語る

・技術で語る

・起業家の個性について語る

・市場や既存プレーヤーに与えた影響から語る、など。


そんな中、「起業をファイナンス面から語ると、こういうことなんですよ」というのが、この本のコアメッセージと(ちきりんは)理解しました。対談でもふれましたが、この本の中には起業をする時(した時)に大事なのは、「いつ頃、どれくらいのビジネスにしようと思うか」という目安を持つことだと書かれています。

そしてそういう企業規模の目安を、顧客数やアクセス数などでもつのも悪くないけど、まずは「売上高と利益」の目安をしっかり持ちましょう、と。で、そこから逆算して、だったらどれくらいの顧客数が必要、どういう単価にならないといけない、どれくらいのアクセスが要るよね、と遡って分解していけばいい。


この売上の目安(目標とさえ言わなくていいと思います。目安や目処、でいい)と、それを実現しようとする時期(これも○年○月決算と決めるのがベストだけど、3年後、5年後、8年後、くらいのゆるい目安でいい)をもつと、「自分達は何をやろうとしているのか」が非常にクリアになる。

そして組織(経営者仲間)でその数字を共有すれば、節目となる経営判断を迫られた時に判断のよりどころにできる。

たとえば「自分達の目標は○○年に○○億円だよね。だったら、今これをやる必要はないんじゃない?」とか「○○年に○○億円を目指してるわけでしょ。このやり方じゃ全然間に合わなくないか?いろいろ問題はあっても、やっぱりあそこと提携すべきだよ。」とか意思決定の判断基準として使えるようになるわけです。

人の採用とか、どういうペースで事業を拡大すべきかなど、ベンチャーを経営してると毎日「???」がいっぱいの経営判断を迫られます。そんな時、この「目標と到達期限」が判断のよりどころ(指針)となり、ぶれない判断が迅速にできるようになる。これがそもそも、経営計画や財務計画の存在意義なんですよ、という理屈はとてもわかりやすい。非公開段階の企業にとっての財務(ファイナンス)の意義を明確に表現していると思います。


もう少し具体的にいえば、「5年後に1億円の売上の会社」を考えているのと(もしくは特に目処を持たず“行けるところまで行く”的な積上げ型思考で考えているのと)、「5年後に100億円の売上の会社」を当初からイメージしているのでは、

・同じ経営者が

・同じビジネスモデルで

・同じアセットをもって

起業しても、5年後の着地点は全然ちがったものになりますよ、ということです。それくらい「できあがりの姿の目安」を持つことが結果を規定してしまう。


これは、これから起業を考えている人、実際に起業したばかりの人、小さなスタートアップで働いていて漠然と「もっと事業を大きくしたい」と考えているような人にはとても価値あるアドバイスだと思いました。


磯崎さんは本の中で目安となる数字をあげていて、

投資家からお金をだしてもらったら、

・5年以上10年以内くらいで

・時価総額500億円くらい

を目安としてはどうかと言われてます。

時価総額500億円ということは株価収益率20倍として利益が25億円です。業態によりますが売上として100億円は必要になるイメージです。


この規模の“目安”って、なかなか自分では想定できないでしょ。起業する人の中には、家族親戚はみんな会社員や公務員という人も多いはず。そういう人にとって「7年後に売上100億円の会社にする」という目標は、自然にはなかなかでてきません。

すると“同じように必死で頑張っていても”、ベストケースで売上1億円くらいの会社に収まってしまうわけです。最初から「売上100億円、時価総額500億円!」と掲げていれば、それにより初めて、そこまで到達できる可能性がでてくる。(目安を持ったら成功するという話ではなく、持たなければまず到達できない、という話です。)


ここがこの本を読んで、ちきりんが一番、価値のあるメッセージだなーと感じた部分でした。


が、それ以外にもいろいろ勉強になるし、最初に書いたように「起業って何なの?」というのがイメージできるナイスな本なので、就活前で「起業とかアリなんだろうか?」と漠然と感じている学生さんや、働いて3年目くらいで、「次は何をしようか」と考えている若手の方にもすごく価値のある本だと思います。

それにかなり分厚いのだけど、磯崎さんのやわらかい口調そのものの文章で書いてあるので、とても読みやすいです。いい意味で「学者じゃない人が書いた本」です。で、読みやすいからさらっと読めてしまうけど、でもできればさらっと読まず、よく意味を考えながら読んだほうがいいかも。そうすると著者の含蓄が見えてきます。



というわけで、お勧めの読み方は下記です。

ステップ1:まず↓このエントリを読んで、絶望と混乱の穴に突き落とされてください。

就職氷河期 サイコー! - Chikirinの日記 就職氷河期 サイコー! - Chikirinの日記


ステップ2:落ちきったところで、↓この本を読んでください。

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと

きっとあなたの“救いの書”となるでしょう。


そんじゃーねー

2010-12-02 個人情報ロンダリング

下記は自宅の郵便受けに放り込まれていた広告。企業名はプロダクトダイレクトで、封筒の中に両面印刷の資料一枚と返信用封筒が入っていました。

表面↓はこちら。「ラッキーナンバーが当選したら一千万円を差し上げます!」だって・・

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上記のラッキーナンバーをお送りいただき、その番号が私どもの顧問弁護士による厳重な監視セキュリティーの下で保管されている当選番号と合致していることが確認されれば、当選賞金1千万円全額を無条件にお支払いすることを保証します。

こんなのに返事する人がいるのかと呆れますが、私の興味を引いたのは、この広告の裏面に奇妙なモノが載っていたこと。


裏面はこちら。ガーデン用カメラの説明です。花の生育を記録するカメラらしい。

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で、この広告の一部、顧客が切り取って返送する部分には下記の文章が載っているんです。

□参加します。 私の番号と貴社の顧問弁護士が厳重に保管している公式当選番号を比べて下さい。私のラッキーナンバーが当選している場合は、一千万円を支払うために私に連絡してください。


また、下のいずれかを選んで印をつけてください。(どちらを選んでも無料抽選には影響しません。)

□興味があります。  ガーデン用カメラに興味があります。詳しい資料を送ってください。

□興味がありません。  ガーデン用カメラには興味がありません。資料は要りませんので現金一千万円に当選しているかどうかだけを確認してください。


なんか謎でしょ?

欲の皮が突っ張った人の連絡先が知りたいだけなら「一千万円当たってるかもしれないから、住所と氏名を書いて返送してね!」でいいはず。

なんでこんな商品を紹介し、わざわざ関心の有無まで聞くの?


ちなみに、ご丁寧に同封されている返信用の封筒の裏面がこれ。まるで銀行や役所から来た封筒の文言です。

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さらによく見ると、このチラシの一番下にはずいぶんと小さな字で注意書きが書いてありました。それは・・


個人情報の使用承認について:この申し込みを利用した者(広告の受取人)は、次に掲げる事項について同意するものとする。


広告主は、広告の受取人が提供した情報を、商品の情報提供と商品の発送、アフターサービスの為に使用し、また、通信販売によるあらゆる新しい商品や新しいサービスの提供の為に使用する。


さらに、広告の受取人は、広告の受取人が提供した個人情報が第三者に提供される場合があり、その場合に当該情報に基づき第三者が受取人の興味がありそうな商品やサービスを紹介することに同意する。


ひえー! 何コレ、この文章!!

これって「誰にでも合法的に譲渡できる個人情報リスト」を作るビジネスだったんですね。

こうやって本人から「誰に私の情報をだしてもいい」という同意を得てしまえば、その後の情報売買は自由自在です。


そういえば昔の名簿屋は、有名大学の卒業名簿や一流企業の社内電話帳、テレビの懸賞やキャンペーンに応募してきた人の葉書の束などを丸ごと手に入れて名簿を作って売ってました。

でも今は、そんな名簿は簡単には手に入らない。だからこうやって「正当な方法で集められた個人情報」(??)が必要になるわけですね。


それにしても、相変わらず「なぜ、一千万円の当選金だけじゃダメなのか?」ってのが気になるのですが、こうしておけば出来上がった名簿は(名簿屋で売るときに、)

「ガーデニンググッズの通信販売のチラシに反応してきた人で、情報の使用に関しては、本人の許可が得られています」と言えるんだよね。

もしくは、「家電・情報機器の通信販売カタログに反応してきた人で、本人の許可も得ている名簿」とも言えそう。


そうすると、少なくとも「一千万円当たります、というチラシで集めた個人情報です」って言うより、圧倒的に「合法感」が高まるでしょ。

このように「騙して集めた個人情報ではありません」と言い易くするために、「一千万円当たります」だけではなく、変な商品の広告をくっつけてるんだと思うんです。


そしてもちろん、こんなのに返信してくる人は、

・考えが足りず、

・欲の皮が突っ張ってる

わけだから、情報を買う側にもメリットが大きい。


★★★


そういえば、ネットのサービスでも会員登録すると、関係ない会社から営業メールが山ほど届くようになるサイトがありますが、ああいうのも「同意する」規約の中に、上記みたいな文章が入ってるんだよね。

たとえば「相談相手がいない高齢者」のリストが欲しい場合、「高齢者だけの安心コミュニティです! 登録して茶飲み友達を探しましょう」みたいなサイトを作って、個人情報を集めるわけです。

登録時には、住所のほか、一人暮らしかどうかや、貯金の額まで聞く。


しかもそれらの情報を第三者に提供することに、本人が同意してる(たぶんちゃんと文章を読んでないけど、「同意する」をクリックしてる)。

こういうデータを使う人って・・・


まっ、いずれにせよ、

ネットのサイトに登録する際 → 利用規約の文章に「個人情報」という単語で検索をかけて、最低でもそこだけは読んでから「同意する」をクリックしましょう。(他に「解約の方法」「契約解除」も検索するといいかも)

チラシや葉書、コンビニなどでやってるキャンペーンカードに住所を書く際 → まずは最も小さな文字の部分を見ましょう。そこに「個人情報」という文字を探しましょう。


あと、「抽選で(ひとりに)一千万円が当たる!」だとすぐに「詐欺だな」と思う人でも、「抽選で 10万円が 100人に当たります!」だと(総額は同じなのに)住所氏名を書いてせっせと応募したりするけど、こんなもんに応募しつつ「個人情報が云々」とか言うのは、完全に矛盾してます。


そんじゃーね。


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