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Chikirinの日記

2010-12-29 人生で得たものの返し方

ちきりんブログの私設応援団長であるライフネット生命の出口治明社長から新著を送っていただいたのでご紹介。




副題に「旅」と「読書」で学びなさい!とあるように、後半では出口社長のお勧めの本と旅先が紹介されています。ちきりんも旅行好きなのですが、本はそんなに読むほうではありません。でも来年からはちょっと読書もしようかなーと思ってます。仕事もしてないわ、新聞もよまないわ、本も読まないわでは、いかがなもんよ、という気がしてきたんで。というわけで参考にさせていただきます。


ところでこの本の中で一番しんみりと心に響いたのが下記です。

私はかって勤めた日本生命や生命保険協会で多くの先輩から生命保険のイロハを叩き込まれましたが、その恩返しとして、私の経験や知見をすべて投入して生保不信を終わらせ、生命保険をよりよいかたちで次世代に渡すことが大事な役目だと思っています。

出口社長が始められたネット生命は、表面的には既存の大手生保業界へのアタッカー企業に見えるけど、実際には、反乱などではなく“恩返し”なのよね、とよくわかる一文。


ここ数年、定年退職を迎えている団塊世代付近の方々には、こういう思いに共感される方も多いんじゃないでしょうか。日本の高度成長時代の中でモーレツサラリーマンとして働きながら、様々なことを経験し、学び、その成果を体感してきた人たち。

この本の帯には「元エリート、還暦ベンチャー社長が語る」とあるけれど、「元エリート」といえるような立場にいた方の多くは、株式会社ニッポンを形成する大企業・大組織に長年属し、そのインフラを最大限に活用して、個人ではとても得られないような貴重な経験をしてこられているはず。

“自分を育ててくれたもの”“自分がここまで来られた環境”に強く感謝している人も多いだろうし、これからの人生を、車と秘書つきの名誉職として、もしくは暖かなリゾート地でゴルフ三昧で暮らすより、なんらか社会に還元する活動に使いたいと思っている人も少なくないはず。


なんだけど、そういう方が口にされる言葉に、「自分が得てきたものを若い世代に教えていきたい」とか、「本にまとめたい」というパターンが多いことに、ちきりんはいつもひっかかる。

たしかに大学で教えるのも本を出すのも悪い話ではないと思うけど、必ずしもそれらが「人生で得てきたものを社会に還元する最良の方法」だともちきりんには思えない。

大学で教える側に立つとか、著者として若者に人生の学びを伝えるのは、確かに“格好のよい、自尊心やプライドを満たしてくれる、最も古典的な方法”でしょう。

けれど時にそれは“ヒエラルキーを利用した説教の押し付け”になるし、学ぶ側のニーズより教えたい側の自己満足に沿ったものになりがちだと思うから。


出口社長は、新しい生命保険会社(しかも、自分が“こうあるべき”と考える理想の会社)を立ち上げるという機会とめぐり合えたコトに心から感謝されているように見える。前に“高齢社という高齢者の派遣会社を起業した高齢者”の話を書いたことがあったけど、あの創業者の方の選択もすばらしいと思った。

機会があれば同じ判断をする人も多いかも。だけど実際には大半の人は、方法論として「大学で教える」「本を出す」以外を思いつけない。めぐり合えない。と思い込んでいる。

これって「社会の役に立つ仕事をしたい」と思う若者が、公務員かNPOで働くこと以外の方法論を思いつかないのと全く同じ。目的ひとつに手段はせいぜいふたつくらいしか考えてみない。世間と慣習が用意したプロセスにのって“就活”をするのも、“晩年”のすごし方を決めるのも、おんなじだよね。


ふむー。


ちきりんには「大学で教える」とか「本を出す」ことが目標になりはじめたら終わりだよねーという感覚がある。それって「自分が終わりました」という宣言にも聞こえる。いやもちろん“いい晩年のすごし方”だとは思います。でもあくまで“晩年”のすごし方。

経済的基盤も確立し、子供も独立し、奥さんも自分の人生を楽しみ始め(??韓流??)、自分が“晩年”以外の人生を送りたいと思ったら、学校で教える、本を出す、以外の道を選ぶのもひとつの手。若者に「元気を出せ!」とか言ってるくらいなら、自分でもう一回、やってみればいい。


というわけで、いつもは若者をあおってるんだけど、今日は上の世代もあおってみた。



そんじゃーねー!



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