ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

Chikirinの日記 RSSフィード

2011-04-29 ミュージカルよりビジネスのほうが興味深い

劇団四季の「アイーダ」を見てきました。ラストの演出が粋でよかった。楽しめました。


でも実は、内容より「劇団四季」の運営のほうに関心が高まりました。今回アイーダを観た大阪の専用劇場は梅田の一等地。劇団四季は東京を中心に、名古屋、札幌など全国9個の常設劇場を抱え、京都でも長期契約で劇場を押さえています。感じたことをメモっておくと、


1.多数の専用劇場が維持できる売上げ能力がすごい

専用劇場をひとつ抱えれば、年間300ステージをこなす必要がでてきます。10個で3000ステージ×500席から1000席。それだけの客席を埋め続けるのは並大抵のことではありません。リピーターを生み、維持するための工夫はもちろん、修学旅行生を集めるなど団体営業も不可避です。

リピーターが何人いて、年間何ステージ観ているのか知りませんが、コア層だけでは埋められない規模だなーと思いました。そこが宝塚歌劇団やAKB48とは違います。(彼らはコアファンだけで埋まる規模までしか投資しません。)


2.相当数の雇用も生んでいるよね

「役者」「舞台技術スタッフ」「大道具・小道具」などの舞台関係スタッフ、前述したマーケティングや営業関係スタッフ、管理部門(財務、人事、法務)、劇場維持スタッフ(清掃、管理、受付、案内)など、数千人の雇用を生み出していると思います。(直接雇用だけで千人弱みたいです。)

特に、ミュージカル俳優を目指す人にとっては、「劇団四季=雇用市場」くらいの規模なんじゃないでしょうか。ただし、夢のある職場だから「給与が低くてもぜひ働きたい!」という人が多く、人件費は相当抑えられているとは思います。


3.日本語で見られるのはいいよね

オペラ座の怪人やキャッツ、コーラスラインなどのミュージカルの定番を「母国語」で鑑賞できるのは、英語、日本語のほか、何ヶ国語あるんでしょう?

フランスやドイツあたりではそれらの言語で演じられているのかな?でも、せいぜいそのあたりの国までじゃないかと思います。これは子供や、経済的理由により海外にミュージカルを見に行くなんてありえない層にとってものすごく大きなメリットですよね。


4.アート側とビジネス側が巧くやってるのね

演劇集団の多くは「アート至上」で、ビジネス面の大成功を目指すことを「卑しい」と考える風潮さえあり、財務や管理、マーケティングのために有能な人を(=高給で)雇ったりしません。

劇団四季はIPOしないという判断、しっかりした提携企業を選びながらも、特定企業に依存しない提携戦略、儲からない専用劇場を閉めて撤退する、つまり「辞めるという判断ができる」など、ビジネス側の判断がしっかりしていると感じます。

アート側の人がビジネス側の仕事の価値を理解・尊重しているからここまでこれたのでしょう。


5.ここから先は微妙かなー

S席一般客9800円のチケットはかなり割高な感じです。この値段で家族でリピートは相当厳しいでしょう。修学旅行などでは相当割引していると思いますが、チケット価格を(水面下で)多様化させるのは諸刃の剣です。

10個もの大型専用劇場を抱え、バブル崩壊もリーマンショックも乗り越えたのは立派です。ただ、固定費ビジネスは稼働率が下がると一気に厳しくなります。日銭がはいるという強みはあるものの、今後の消費人口の変化、景気動向、ネットを含むエンターテイメント市場の変化に彼らがどうついていくのか、次のチャレンジかもと感じました。すくなくとも専用劇場がこれから15,20と増やせるとは思えません。


6.他の劇場・劇団との違い

劇団といえば、「カリスマスターとその仲間達」でやっている小規模なところが多く、そもそも規模の拡大を目指すところ自体が少ないですよね。質的にはとてもユニークなところが多くて素敵ですが。

よしもとも専用劇場を持っていますが、あそこは「芸人派遣業」が本業なので劇場はやや位置づけが違うように思えます。

宝塚歌劇団とAKB48は同じ専用劇場型ですが、基本的に「コアのファンだけでやっていきます」戦略という点で、やはり四季とはちがうっぽい。

松竹は映画や伝統芸能など複合エンタメ企業ですが、規模や利益などビジネス的な目標をもつ、という意味では似ている形態かもと思いました。

伝統芸能(歌舞伎と能)は専用劇場です。劇団四季もミュージカルですが、その特性として「舞台装置」が大掛かりで複雑ということがあり、どうしても専用劇場が必要(少なくとも長期契約が必要)なのですが、この点では歌舞伎、能、ミュージカルって似てるかも、と思いました。


などなど、アイーダを観ながらそんなことばっかり考えてました。


そんじゃーね。

2011-04-27 ゴールデンウィークはひきこもり

ちょっと早いけど、いよいよゴールデンウィークですねー!


GWと言えば、昨年はこんなところに行ってたし、一昨年はここに行ってました。その前の年はここだったんだけど、今年のGWは日本(東京じゃないけど)にいます。だって、もうこんな割高な時期に旅行する必要はないのでね。


会社辞めてよかった!!




で、今年のGWは何をするかというと、読書です。読む予定の本は下記の3冊。ちゃんと読み終え、かつ、気が向いた場合は感想を書きますね。


昭和史 1926-1945

昭和史 1926-1945


単純な脳、複雑な「私」

単純な脳、複雑な「私」


起きていることはすべて正しい―運を戦略的につかむ勝間式4つの技術

起きていることはすべて正しい―運を戦略的につかむ勝間式4つの技術



下記には、ちきりんのお勧め本をピックしてあります。みなさんも読書しましょう!

ちきりんのお勧めブックショップ


あと、昨日発売のSPA!に取材されてて、ちきりんもコメントが載ってます。

SPA!の取材を何も気にせず受けられるなんて・・・


会社辞めてよかった!!



そんじゃーね。

2011-04-24 「絶対安全」という危険思想

1週間前から福島第一原発の建屋内に遠隔操作ロボットが入り、写真を撮ったり放射能レベルをチェックしています。素人目で見ても、これらのロボットにより極めて貴重な情報が得られているとわかります。事故から1ヶ月、人が入ることができない建屋内の様子が初めてわかったのですから。

それにしても震災・原発事故から1ヶ月以上たってようやくのロボット投入。なぜこんなに時間がかかったのでしょう?

理由は、日本が高放射能下にある原発サイトでの使用を想定したロボットをもっていなかったからです。だからアメリカから借りました。でも、借りることさえ「想定外」だったから、日米の無線周波数の違いのためすぐには使えなかったんです。それでこんなに時間がかかったんです。


「日本はロボット技術では世界で一番だ!」とか言ってませんでしたっけ?


そうです。日本のロボットは、二足歩行したり、ダンスしたり、握手したり、という点で世界一です。自動車を組み立てたり、高速でペットボトルに水をつめたり、一分間に何十個もの寿司を握るのも得意です。

けれど、日本には原発現場で使えるロボットはありません。だって「原発は絶対安全だ」から、人が立ち入れなくなる事態に備えておく必要なんてなかったからです。

東電や経産省がロボット技術をもつ日本企業に声をかけ始めたのは事故の後で、そんなんじゃ現場で実験をするようなもんです。高い放射能レベル下にある原発建屋の中に、そんな環境で初めて使う精密なロボットを入れて万が一動かなくなったら、ロボットは取り除くこともできない「建屋内の新たな障害物」となってしまいます。


じゃあ、なんでアメリカには原発内でも使えるロボットが既にあるんだって?

だってアメリカでは、「絶対安全」などという危険思想は流布されていないからです。


★★★


今回、福島原発で冷却機能を回復するだけでも半年から年単位の期間が必要になりつつある中、重大な問題となりつつあるのが、現地で復旧作業をするエキスパート作業員の不足です。

事故以来、東京電力や協力会社の現場社員の方々は、放射線を浴びつつ不眠不休の作業を続けてくださっています。こういった作業員の被曝線量には規定値があり、「被曝が累計100ミリシーベルトに達すると、5年間は原発で作業ができない」と法令で決まっていました。けれど、既に21名もの作業員がその基準を超えて作業をしています。

そこで東京電力、協力会社、そしてなんと労働組合までが「彼らはプロ中のプロ、今後彼らが原発の仕事に就けなくなるのは損失。規則を変えるべきだ。」と主張し、厚生労働省がそれを追認。上限は100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げられました。

それでもこの先の作業期間の長さを考えると作業員の不足は明白です。政府はさらにこの基準を上方に変更することを検討し始めています。


ところで下記の朝日新聞の記事には、福島県の電力総連の幹部の発言として「作業員には、被曝量が上限を超えたら原発では働けなくなるため、失業してしまうという不安がある」とあります。

既に規定以上の被曝をしている作業員が怖れているのが、「失業すること」だと思ってる電力総連の幹部ってマジですかね?いったい何を食べたらそんなユニークな発想が身につくんでしょう。作業員の方のご家族の気持ちとか考えられないんでしょうか。


被曝基準超えた作業員の雇用継続求める 労使、国に要望

2011年4月9日17時14分

 厚生労働省の小林正夫政務官は8日、福島市内で福島第一原子力発電所の労働環境改善について東京電力や協力会社、労働組合からヒアリングをした。基準を超す放射線を浴びた作業員が今後も原発で働けるよう、国に対応を求める声が労使双方から出た。小林政務官は「一義的には上限を超えた作業員は内勤にするなど企業が責任を持つべき話」と述べ、国の支援策については言及を避けた。


 福島第一原発の事故復旧での作業員の被曝(ひばく)線量の上限は250ミリシーベルトだが、累計100ミリシーベルト以上になった人は、法令上は今回の復旧作業開始から5年間は原発で作業ができないとの解釈がされている。現時点で100ミリシーベルトを超えた作業員は21人いる。


 ヒアリング後、東芝の担当者は朝日新聞の取材に対し「今、作業しているのはプロ中のプロ。今後、彼らが原発の仕事に就けなくなるのは損失。規則を変えるべきだ」と話した。福島県電力総連幹部は「上限を超えたら失業してしまう不安が作業員にはある。1人の被曝線量が上がりすぎないよう、人手を多く確保するため国も後押ししてほしい」と求めた。

http://www.asahi.com/national/update/0409/TKY201104090116.html



★★★


先日紹介した、日本の原発立地の地図をもう一度ご覧ください。どこも複数の原子炉が造られており、ひとつの災害でそれらが同時にトラブルに陥る可能性があります。

今回の福島第一原発も、4つもの原子炉が問題を起こしているからパニックなわけです。あっちこっちで次々と別のトラブルが起こる。対応できる作業員の数は限られているのに全然追いつかない。トラブっているのが、もし原子炉ひとつだったら全く状況は違ったでしょう。



f:id:Chikirin:20110408131637j:image

・出展:日本原子力産業協会の原発立地地図



上図で部分拡大図になっている福井県の原発密集エリア。このエリアが何らかの天災(金王朝のミサイル実験失敗で誤爆されることを含む)に襲われたら、福島の4個どころではなく、10個から15個の原子炉等が同時にトラブルに見舞われる可能性があります。

その時、それらの対処に必要な作業員数を、関西電力は確保できるんでしょうか?福井県や京都府の知事はその辺、ちゃんと確認しておいたほうがいいと思います。



それとも、失業が怖くて何時間でも高放射能下で働く作業員がいるから問題ないって?

というか、原発は「絶対安全」だから、そんなこと考える必要もないと?



既存原発の災害対策として、予備電源を用意したり、津波対策の壁を高くしたり、そういう「ハード的」な対策ももちろん大事だとは思います。でも実は一番足りてないのは、人なんじゃないの?

「絶対安全」という危険思想をすてて、消防署と同じくらい普段から訓練していたら「イザという時、何が足りないか」、もっとビビッドにわかったはず。「絶対安全」ってホントに最悪な思想です。


そんじゃーね。

2011-04-21 東京電力があたしと同じくらいアホな件

「お風呂に入ろう!」と思ってバスルームにいったら、バスタブに低濃度の汚染水が貯まってる上に、天井のバーには昨日の洗濯物がまだ干されてた。

汚染水は(相対的には低濃度だと勝手に判断したから・・)こっそり海に流したけど洗濯物は別の場所に移動する必要がある。しかもまだ湿っていてすぐ格納できる状態ではなかったので乾燥機に移そうと思ったら、なんと乾燥機には一昨日の洗濯ものが残っていた。


「こっちを先に片付けないとダメだ!」と思って、それらを衣服ケースに格納しようとしたが、衣装ケースにはクリーニングに出すべき冬服が2トンも貯まっていて入れられない。


「しょーがない。まずはクリーニングに持っていかないと始まらない・・」と思いなおし、クロゼットの奥にあった大きめの紙袋をひっぱっりだしたら、洗濯をしてない“使用済み運動着”(たぶん昔、ジムに行った後、そのまま・・・)が入っていて、温度が上がっちゃって高濃度の臭気を発していた。どうしようかと思ったけど危険なので、周囲2メートルを立ち入り制限区域にして放置、何も見なかったことにした。


「まいった、まいった」と思いながら隣の棚の上にあった他の紙袋をひっぱりおろしたら、上に積まれていた雑巾が風にのって舞い落ちてきて顔が汚染された。

ただちに健康に問題があるレベルじゃないけど、基準値の4千倍くらいは汚い雑巾だったからちょっと心配。




ええっと、そもそも、あたしは何がしたかったんだっけ?


そうそう、お風呂に入りたかったんだ・・




普段からやるべきコトをやっておかないと、イザという時に全然コトが進まない。

これじゃあ、まるで東京電力みたいだよ。


そんじゃーね。

2011-04-19 福島市の方からのメール

先日の「原発の名前は変えたらどうだろ?」というエントリへの感想として、福島市にお住まいの20代の方からメールを頂きました。

とても誠実ないい文章だなあと思ったことと、「現状を知って頂けたら幸いです。」と書かれていたので、私だけでなく多くの方に読んでいただければと思い、ご本人の許可を得て下記に転載させて頂くこととなりました。

文中にでてくるお名前は本名のままではありませんが、それも含め転載許可を頂いています。また、これは一個人の方のご意見であり、「福島市住民の代表的な意見」「大半の方の意見」ではないことをあらかじめご理解下さい。

転載は全文で、修正はありません。ただし改行等書式は私がはてなで読みやすいよう整えています。

「言葉の力」が実感できるすばらしいメールを頂いたことと、掲載許可をいただけたことの両方に感謝しています。


そんじゃーね。


★★★


ちきりんさんはじめまして。

ちきりんさんのブログの一読者のこうちと申します。突然のメール失礼します。(現在はコメント欄も停止のようですし、私はツイッターを利用していないので…)今日のエントリについて思うことがありました。長くなりますがこのメールを読んでいただき、現状を知って頂けたら幸いです。


私は現在福島県の福島市に住んでいる27歳です。そもそも福島市は福島県を縦に3つに割ったうちの真ん中の中通りと呼ばれる地方、その北部にあたります。

震災当日はもちろんおおきな揺れで、私の部屋もレンジが落ちて壊れたりはしましたが、幸いなことに私の実家である隣の市では電気、水道は使えていました。その点を考えると、ちきりんさんの方が当日大変な思いをされていたと思います。翌日から約1週間断水となりましたが、現在では物流の回復で不自由なく生活ができています。


ただ1点を除いてです。原発の問題です。


福島市は原発からだいたい60〜70km離れています。避難の対象の区域にももちろん入っていません。

この「福島市」という名前、お気づきと思いますが「福島原発」の福島です。「会津」はもっと原発から離れていますし、会津だけでもある程度名が知れていると思うのでこれから挽回できることを願います。

福島市はどこまで切り離して考えても、福島の名前がつきまといます。せめて、その町の名前にしていてくれたらと今更ながら考えます。そう悶々と考えているときに今日のエントリを読みました。離れている方でもそういう考えをもってくださっていることが嬉しかったのです。


一方で、福島市は避難区域外で飯舘村に次いで2番目に放射能の数値が高い市です。

「人体にただちに影響ない」と言われ続けて、毎日放射能を浴びています。

県が雇ったアドバイザーは大丈夫だと言い、ツイッターでは誰だかわからない人が危険を訴えます。私たちは何を信じていいのかわかりません。

なぜ避難にならないのか、まだまだ安全なのかもしれませんが、避難区域に比べて人口が多いのです。そして津波の被害にあった海沿いに住んでいた方が福島市に避難してきています。計画避難となった飯舘村の妊婦や子供も避難してきています。ここで福島市までが避難区域となればパニックになることは目に見えているから、行政は避難させないのかもしれません。


そもそも、こんなに少しずつ放射能を浴びて生活することになった人は初めてなのかもしれないから、人体実験されている気分だと友達と話したりします。これから体にどんな影響があるのか、何もないのか、まだわかりません。結婚の予定もありませんが、今は子供を産むことは諦めています。

そういう考えが広まりつつあるように感じます。


今まで原発が県内にあることに対して何も考えたことはありませんでした。立地してる町ではありませんので恩恵があったわけでもありません。今でも、原発に賛成でも反対でもありません。代わりにもっと安全なエネルギーがあればとは思いますが。

東電の対応がよくなかったかもしれませんが、東電に働く1人1人が悪いわけでもなくと考えると何も言えなくなってしまいます。菅さんが辞任しようが、東電の社長が辞任しようが、この事態に大きな差があると思えず、今言うことじゃないよねと思っています。


どうしてさっさと自主避難しないのかという声もありましたが、福島市で自主避難しているのは、他県に実家や親せきのいる専業主婦と子供だけです。私のように、自分で生活をしている人、家族を養っている人は簡単には離れられません。この仕事が大事な以上に、避難した先で仕事が見つかる保障がないからです。

まして、福島県民自体が変な風評にさらされています。福島県民は採用しないとか、福島県民は嫁にもらうなとか、福島県民給油お断りとか…他県で生活どころか旅行すらできる気がしません。


私は福島で産まれ、育ちました。高校を出て働きはじめたので、この地のほかで生活したことはありません。(その分視野は狭いかもしれませんが)福島は果物がおいしくて、野菜もおいしくて、車を走らせれば海もあって、いいところです。正直、こんなにいいところがなんでこんな目にあわなきゃいけないのかと泣きそうになることもあります。この1ヶ月ちょっとのできごとが全部なかったことになればいいのにと。


福島市民がのんきに花見しているとツイートされていましたが、福島では行政も、会社も放射能の値などまるで無視です。毎日放射能におびえて、室内にこもっているような生活を送ることも不可能です。そもそも福島市は国的には「安全」なのですから。


放射能を浴びてる福島県民が近くにいたら、怖いかもしれません。感染はしなくても、服についてたのが飛び散るとか思う人もいると思います。そういう考えを否定しませんので、どうかその場をそっと離れてください。気がつかないように。

あからさまな看板を出したりしないでほしいのです。

ある日自分が突然差別される側になった恐怖を少しでも考えてほしいのです。


突然メールを送りつけた上、長くなってしまい申し訳ありません。今更になりましたが、ブログ毎回楽しみにしています。ニュースって案外偏っているので、ちきりんさんの日記を読むと「なるほどね〜」と思うことが多々あります。本も面白かったので、いろんな人にすすめてみました。

こうして外に向けて情報や意見を発信されている方に、フクシマの声を聞いていただけたらと思いました。


最後まで読んでくださってありがとうございました。



2011-04-17 原発の名前は変えたらどうだろ?

堀江貴文さんのブログで、「ネーミングでの風評被害」というエントリを読んで、確かにそうかも、と思いました。

簡単にいえば、災害や公害、事故が「地名で呼ばれると、長期間にわたり風評被害が残る」という話で、水俣病や四日市ぜんそくという名前だと、公害が収束した後も風評被害を受け続ける。

一方「イタイイタイ病」だと、一定期間後は多くの人はそれが何県かも分からなくなり、風評被害を受けにくい。福島は海外メディアも含め既に広く使われていて間に合わないかもしれないけど、今後はネーミングを変えることで風評被害がある程度、防げるのでは?という話でした。


これは、確かにそーだよね。ということで、各地の原発の名前を調べてみたんだけど、大半の原子力発電所名には地名が使われています。(火力発電所も同じかも。)前に臨海事故を起こした東海村も地名ですね。

公害とちがって原発の場合は、建設時には「村の名前を売りたい!」ということで、地名を名称に含めるのは地元としても望ましいことだったのかもしれません。

また原発事故が起きた場合は、「どこにある原発なの?」というのが世界の一番の関心事になるので地名を報道するのは一種のお約束なのかもしれません。

ちなみにチェルノブイリもスリーマイルも地名で、大半の人はそれらの原発を保有、運営していた電力会社の名前なんて知らないと思います。


で、原発名称には地名を使うのが基本なのだとしても「風評被害を最小限に抑える」という意味では、「できる限り、狭いエリアを表す地名を使う」ことが大事なんじゃないでしょうか。

原発名に使われているのが「福島」のように県名だと、「福島のお米」「福島の野菜」「福島の観光地」という感じで、ブランド毀損の範囲が広くなってしまいます。これが小さな市や町の名前であれば、県内のそれ以外のエリアには風評被害が及びにくくなるでしょう。


下記を見ると、日本の原発名称で県名がついているのは実は「福島」と「島根」のふたつだけのようで、今回事故を起こしたのがそのうちのひとつだったというのは、とても不幸なことだったわけです。

いったん事故が起こり、海外メディアも含めて大量の報道が始まってしまうと、ネーミングを変えるのは不可能になるので、とりあえず「島根原子力発電所」は早急に名前を変えたほうがいいかもと思ったりしました。

またそれ以外のところも、県名よりは市名、市名よりは町名、町名よりはその付近の通称名、にしたほうがいいかもしれません。(この点、福井県は非常にラッキーかと。)


<日本の原発の名前一覧>

東海 (村名)

敦賀 (市名)

泊 (村名)

東通(村名)

女川 (町名)

福島 (県名)

柏崎刈羽 (市名、群名)

浜岡 (元町名)

志賀 (町名)

美浜 (町名)

高浜 (町名)

大飯 (町名)

島根 (県名)

伊方 (町名)

玄海 (町名)

川内 (市名)

---------------

六ヶ所処理施設 (村名)

もんじゅ (非地名)

(「ふげん」というのもあったみたいです)

---------------


というか、必ずしも地名を付ける必要もないなら、どこの原発も「もんじゅ」みたいに、わけわからん名前にしておけばいいんですよね。(ただし、「寿司」とか日本のブランドに関わる名前は使用禁止!)


地名にする場合も、原発なんて広大な敷地を買収して作るんだから、原発の立地だけ新たな行政区域を作って人工的に名前を付けることもできるはずでしょう。その地域だけ「ちきりん一丁目」とかいう住所にしちゃえば、事故が起こっても海外メディアは「Chikirin disaster!」「Chikirin, critical situation!!」みたいに報道するわけで、既存の地域ブランドが傷つかなくて済みます。


というわけで、原発がある地元の市長さんや議員の方、農協の方は、まずは電力会社に「原発名称の変更要請」を出したらいいんじゃないかな。これって、今すぐできる、最もコストパフォーマンスの高いリスク対策のような気がします。



<再掲>

f:id:Chikirin:20110408131637j:image

・出展:日本原子力産業協会の原発立地地図



そんじゃーね。

2011-04-14 動画で見る「ちきりんの日記」

先日、「休眠口座とか休眠宝くじとか」(こちら)というエントリを書いたところ、下記のようなツイートを頂きました。




で、早速その動画を見てみたら・・・↓

D



めっちゃ、すばらしくない?

まじで感動しました。

趣旨に賛同される方、ツイッター、“いいね!”、もしくはみなさんのブログを通じて、ぜひ多くの方に共有してください。よろしくお願いします!  (いいね!ボタンは、このエントリの一番下についてます)


-------------

ところで、これで思いついたのが、「動画で見るChikirinの日記」という電子書籍の企画。

ちきりんの日記の過去エントリをいくつか選び、それぞれを短い動画にして、それを集めて電子書籍にする。おもしろそうじゃない?

しかもこの案のすばらしいところは、「ちきりんには、今後の作業や手間がほとんど発生しない」ってこと。これこそ「働かずして生きていきたい」私にぴったりな企画!


と思って自分でも絵コンテでも描いてみるかな、とやってみたところ・・・

-------------------------------------

f:id:Chikirin:20110414131837j:image

-------------------------------------

f:id:Chikirin:20110414131836j:image

-------------------------------------

だって・・・

f:id:Chikirin:20110414131834j:image

-------------------------------------



・・・圧倒的な才能不足に打ちのめされたので、これにて終了。


そんじゃーね!

2011-04-12 「投票する側」ではなく「投票される側」の問題

東京都知事選で石原慎太郎氏が4選を果たしました。投票率は57.80%と、地震直後で選挙戦が盛り上がらなかったわりには高かったようです。前回より3.45%高いし、全員が新人候補で有権者の関心が非常に高かった12年前(石原氏当選一期目)の57.87%に近いです。期日前投票が前回の1.5倍以上もあったことも、関心の高さを示しています。

今回、いったんは不出馬まで決めた石原氏が再選されたことで、投票することの無力感や、相変わらず低いであろう若年層の投票率にたいする同世代からの批判など、「投票する側」に問題意識をもつ人が多いようだけど、ちきりんは異なる感想をもちました。

問題は、「投票する側」ではなく、「投票される側」にある、と思えたのです。


★★★

今回の都知事選の結果を、先日行われた名古屋・愛知の地方選、今回行われた大阪の議会選挙と併せて考えてみましょう。名古屋・愛知では、河村陣営が圧倒的な強さを見せて県知事と市長職を独占したし、大阪でも(橋下知事は敗北宣言とか言っているけど)、府議会で維新の会がいきなり過半数をとるなど、既存政党や既存政治家は大敗北を喫し、新しい勢力が台頭しました。

大阪と名古屋で既存勢力が大負けし、政治が大きく変わりつつあるのに、なぜ東京では過去12年間も知事であった人が、開票前に当確を決めてしまうほど強いのでしょう?

今回の大阪府議会選挙の投票率は46.46%で前回から1.56%高いだけだから、都知事選との違いは投票率ではありません。年齢別投票率はまだいずれも発表されていないけど、若い人の投票率が低いのも、有権者に占める高齢者の比率が一定以上なのも、どの地域も同じだと思います。


違いは、「投票する側」ではないんです。

最大の違いは、東京都知事選には橋下徹氏がいなかったし、河村たかし氏がいなかった、という点です。違いは「投票される側」にあったんです。


★★★

結局のところ、「この人だ!」という候補者がいれば、その人が当選できます。どこの地方選挙でも「現職」というのは圧倒的に強いです。圧倒的に強い現職を倒すには、圧倒的に強い対抗馬が必要です。大阪と名古屋にはそういう人がいたのに、東京にはそういう人が出馬しなかった。それが最大の違いです。

石原氏は261万票を獲得しました。2位の東国原氏は169万票、3位のわたなべ氏が101万票です。2位と3位を併せれば270万票なので、石原再選への批判票はそれなりの数、存在していました。けれど、それを併せて得票できる候補者はいませんでした。個別に比較すれば、石原氏は2位に100万票差をつけ、3位にはダブルスコア以上の差をつける集票力をもっていました。

いったい他の候補者に足りなかったモノは何なのでしょう?そもそも東京都知事になるのに必要な能力、要素とは何なのでしょう?


ちきりんが思う「都知事に選ばれるために必要な要素」は、まずは「選挙力」、「集票能力」です。組織力でもいいし、本人のカリスマ力や知名度も含めて、票がとれないと話になりません。最初に石原氏の後継者として立候補した松沢氏はここが弱すぎたので石原氏に見限られました。

次に「実務能力」です。東京都知事に求められる実務能力は、この国では首相に求められる実務能力より遙かに高いので、政治家か行政家としての経験が皆無の候補者が当選するのは至難の業です。

この点で12年在職の石原氏の実務能力を◎、副知事の猪瀬氏、同じ都市型の神奈川件の知事を務めた松沢氏を○とすると、都会の行政を知らない東国原氏は一歩後ろ、わたなべ氏や小池氏は全くの素人と判断されたと思います。


さらに重要なのが「東京のリーダー」としての自覚です。東京のリーダーの仕事は、地方の知事とは全く違います。地方の知事の仕事は、平時であれば「中央に嘆願して補助金をもらってくること」と「地元の名産品をPRすること」です。これらは東京では重要な仕事ではありません。

またお金の流れに関しては、地方リーダーと東京のリーダーは完全に利害が対立しています。この国ではお金は、「大都市→中央(霞ヶ関)→地方」に流れており、地方リーダーの仕事はこのお金を多くすること、都市のリーダーの仕事はこのお金を少なくすることです。「(東京のお金で)宮崎にもっと高速道路を造るべきだ」と主張していた人なんて都知事にはふさわしくない、と考える都民は多いでしょう。


この「対中央への対抗意識」が非常に重要なのは、大都市圏の特徴です。大阪でも名古屋でも「中央に嘆願するのはやめよう。中央とは交渉するのだ。屈しないでやっていこう!」と訴えるから、河村氏も橋下氏も人気があるんです。石原氏も「財務省が東京の金をネコババした」的な発言をされてましたが、この感覚がないと都市ではリーダーに選ばれません。

この点で、地方の知事であった人は相当態度を変えない限り当選が難しいです。また、強者が日本で一番多い東京において「私は弱者の味方です」と強調することは、そのまま「私にとって都民が一番大事なわけではありません」と言っているのに等しいです。

当選することより主義主張を明確にすることに存在意義がある共産党の小池氏が、弱者保護を前面に出すのはわかります。しかし、わたなべ氏にも「都民より弱者が大事」という姿勢が感じられました。経営マインドを強調しながら、「うちの店の顧客はどんな人か?」を読み間違えていては、当選はできません。



まとめるとこんな感じでしょうか↓。得票数上位4名に、立候補を取りやめた松沢氏と、待望論も強かった猪瀬氏も加えてみました。

f:id:Chikirin:20110412133228j:image

(敬称略)


石原氏も今回はそんなに立候補したいわけではなかったと思います。それでも「他にいないから」立候補したし、有権者もそんなに石原氏に続けて欲しいわけでもありませんでした。それでも「他にいないから」石原氏を選んだのです。

★★★

なんで、候補者がいないんでしょう?実は、前回の都知事選にもまともな候補者はいませんでした。前回は、東国原氏と同様に「中央への陳情が最も大事な地方知事」であった浅野史郎氏が、石原氏に100万票以上の差を付けられて負けています。さらにその前は石原氏があまりに強いので候補者が集まらず、2位の樋口恵子氏の3倍以上の得票で石原氏が勝利しています。この12年間で、石原氏と拮抗できる候補者はひとりもでていないのです。

なぜ、東京都知事の候補者がでてこないのでしょう?


日本人が「エリート教育でリーダーを育てる」のが嫌いだからだと、ちきりんは思っています。先に書いたように、東京都知事は首相より重要なポジションなのです。この点で大阪とも名古屋とも圧倒的な格差がある特殊なポジションです。相当の人でないとつとまりません。

石原氏は一種の特権階級で育っています。戦後の混乱の中、一般の子供が鼻水をすり切れた綿シャツの裾でふいていた時代に、自家用車の中で、ラクダのセーターを着て、フランス詩集をたしなみ、ヨットに乗りに行くような家で育っています。

お金持ちであることが重要なわけではありません。若い頃から「社会のリーダーになる」ことを意識していることが大事なのです。「リーダーになる以外、ありえないでしょ?」的な環境で育っていることが大事なんです。日本では、そういう環境で育てられた世代は、もうみんな80才近くになっている、ということなんでしょう。


あきらめ論かって?

違います。


今、10才から19才くらいの人に言いたいんです。今から、社会のリーダーになることを目指せ、と。それくらいじゃないと間に合わないということなんです。


そんじゃーね。

2011-04-08 「最悪の事態」は福島ではなく。

昨夜の大きな余震は、変電施設や女川原発など福島以外の電力関連施設に被害を与えました。

震災・原発事故に関して現時点で想定可能な「最悪の事態」は、「福島原発で何か起こること」ではありません。最悪の事態とは、数年以内に日本の別の場所で大地震が起こり、他の原発が福島と同様の事態に陥ることです。他の地震が、いつどこで起こってもおかしくない国に私達は住んでいます。


下記は過去20年間の(一定規模以上の)地震の記録です

・1993年 1月15日 釧路沖 - M 7.5

・1993年 7月12日 北海道南西沖 - M 7.8

・1993年 10月12日 東海道はるか沖 - M 6.9

・1994年 10月4日 北海道東方沖 - M 8.2

・1994年12月28日 三陸はるか沖 - M 7.6

・1995年 1月17日 阪神・淡路 - M 7.3

・1995年12月4日 択捉島付近 - M 7.7

・1997年 5月13日 鹿児島県北西部 - M 6.4

・1998年 5月4日 石垣島南方沖 - M 7.7

・1998年 8月20日 鳥島近海 - M 7.1

・1998年 9月3日 岩手県内陸北部 - M 6.2

・2000年 3月28日 父島近海 - M 7.6

・2000年 7月1日〜8月18日 新島・神津島・三宅島近海 - M 6.5、M 6.3

・2000年 8月6日 鳥島近海 - M 7.3

・2000年 10月6日 鳥取県西部 - M 7.3

・2001年 3月24日 芸予 - M 6.7

・2001年12月18日 与那国島近海 - M 7.3

・2003年 5月26日 宮城県沖(三陸南地震) - M 7.1

・2003年 7月26日 宮城県北部 - M 6.4

・2003年 9月26日 十勝沖 - M 8.0、最大余震 M 7.1

・2004年 9月5日 伊半島南東沖 - M 7.4

・2004年10月23日 新潟県中越 - M 6.8

・2004年11月29日 釧路沖 - M 7.1

・2004年12月14日 留萌支庁南部 - M 6.1

・2005年 3月20日 福岡県西方沖 - M 7.0

・2005年 8月16日 宮城県南部 - M 7.2

・2005年11月15日 三陸沖 - M 7.1

・2006年 4月21日 伊豆半島東方沖 - M 5.8

・2007年 3月25日 能登半島 - M 6.9

・2007年 7月16日 新潟県中越沖 - M 6.8

・2008年 5月8日 茨城県沖 - M 7.0 余震 M 6.4、M 6.3

・2008年 6月14日 岩手・宮城内陸 - M 7.2

・2008年 7月24日 岩手県沿岸北部 - M 6.8

・2008年 9月11日 十勝沖 - M 7.1

・2009年 8月11日 駿河湾 - M 6.5

・2010年 2月27日 沖縄本島近海 - M 7.2

・2010年12月22日 父島近海 - M 7.4

・2011年 3月9日 三陸沖 M7.3

・2011年 3月11日 東北太平洋岸・東日本 Mw9.0

・2011年 3月11日 茨城県沖で地震。M7.4

・2011年 3月12日 長野県北部で地震。M6.7

・2011年 3月15日 静岡県東部で地震。M6.4

・2011年 4月7日 宮城県沖 M7.4


ここでわかることは、「日本は今後も毎年、マグニチュード6,7,8,9の地震が起こり続ける国だ」ということです。上記を見る限り、「来年も地震はあるし、再来年も大地震はある」と思うのが普通でしょう。


★★★


次に、下記が日本の原発立地です。それぞれの名称に“原子力発電所”という言葉をつけてグーグルマップで検索すると、その原発の周囲30キロにどんな都市、施設、交通機関(高速道路、新幹線、空港)があるか簡単に確認できます。



f:id:Chikirin:20110408131637j:image

・出展:日本原子力産業協会の原発立地地図



これらを見る限り、次の5年から10年の間に、日本のどこかで再びM8-9の地震があり、他の原発が福島と同じ状態になることは十分に想定できます。


多くの方と同様に、ちきりんも今回の災害からの日本の復興は十分に可能と考えています。けれど、数年以内に他の地震で別の原発が同様の事態に陥ったら、その時はほんとに THE END です。日本は「原発で死んだ国」として世界史に名を残すことになるでしょう。


私は原発に反対でも賛成でもありません。現実的に考えて今すぐ原発を全部止めるなんて不可能です。一方で今後の数十年は原発の新設も不可能でしょう。結局のところ「ゆるやかな脱原発」という「何も決められない日本」にふさわしい方法がとられるのではないでしょうか。

問題は「原発の新設」ができなくなることにより、どこの電力会社も「廃炉にすべき古くなった原子炉」をギリギリまで使い続けようとするだろう、ということです。それらは、万が一の際の被害を大きくしてしまいます。

また今後は、いったんなにかの事故で原子炉を止めれば再稼動させることが(住民の反対などで)難しくなるため、「できるだけ原子炉を止めたくない」という意識が現場にでてくるかもしれません。「異変に気が付いてしまえば原子炉を止めなくてはならなくなる。それはまずい。なので・・・」という想像はホラーです。


原子力発電反対も賛成もどうでもいいです。大事なのは早急に既存の原発の災害&事故対策を行うことです。「絶対安全だから、事故が起こった時にどうするか考えておく必要はない」とかいうアホみたいなことだけはもう言わないようにしたいです。


そんじゃーね。

2011-04-07 エネルギー史における中東と先進国

原油が高騰してますねー。当然といえば当然。もう世界には石油しかないというこのタイミングで、産油国が政治不安にゆれているのですから。


ところで石油資源ってオイルショックの頃から「あと50年しか持たない」と言われ始めてました。1974年ー1979年、既に35年前です。では今、石油はあと15年しかもたないと言われているでしょうか?

算数的にはそうなるはず。でも実は変わらず「石油資源はあと50年しかもたない」と言われてます。30年後にもたぶん「石油資源はあと50年」と言ってるんでしょう。

なんで?  結局、永久にもつの??


何が起こっているかというと、石油の埋蔵量自体は“いっぱい”あるんです。でも、その時点の科学技術をもって計測できない埋蔵量は、理屈としては“ない”とされます。加えて、“30年前の技術で採掘可能”であった石油と、“今の技術で採掘可能な石油”の量も違う。昔は、深ーい海の底の石油まで掘ることはできませんでした。

もっと言えばコストです。オイルショックの前、石油は1バレル4−7ドル。オイルショックで倍になって15ドル。最近は1バレル50-100ドルにもなります。

海の奥深ーくにある海底原油を採掘するには、ものすごいコストがかかります。1バレル4ドルでしか売れないのでは、誰も掘ろうと思いません。埋蔵量を調べようとさえ思いません。

でもバレル50-100ドルで売れるのなら、調べて堀りに行っても利益がでます。こうして石油はどんどん増えているわけです。だから、いつでも「あと50年しかもたない」んです。


こんなことはちきりんが書くまでもなく、みんなわかっていたことです。でも(それを隠して)「石油資源はあと50年しかもたない!」と言いたい人がたくさんいたんです。無くならないとわかっていたけど、「なくなる!」と言わねばならなかった。

なぜか。


原子力発電を推進するためですよね。「石油はもたない」だから、「しかたないから、原発しかない!」と。そういうロジックが必要だったんでしょう。

★★★


世界のエネルギー史には大きな転換点が3つあります。


1. 産業革命

2. オイルショック

3. フクシマ

です。


産業革命で「エネルギーは、人類の豊かさを左右する最大の要因」となりました。

オイルショックで先進国は、自分達の豊かさを左右する最重要要素を中東のアラブ国家に握られます。

その後、何年もかけて、先進国はその呪縛を「技術」によって覆そうとしてきたのです。ところが、

フクシマにより、先進国が得たと信じていた「自分達の自由になるエネルギー」が不完全な代物だとバレてしまいました。


フクシマじゃなくて、スリーマイルでもチェルノブイリでもいいような気もしますが、スリーマイルは昔過ぎて技術がまだまだだった、という言い訳がありました。最後はミラクルに解決したしね。

また、チェルノブイリに関しては、世界は「まあ、ソビエトだからな」と言えました。「西側先進国ならこんなことは起こらない」という言い訳が使えました。

が、フクシマではなにも言い訳が見つかりません。

原発で事故が起こるたびに「言い訳」を探してきて、「あれは特殊なケースだ」とごまかしてきたのに、今回はそれが見つからないのです。


★★★


無くならない石油を「無くなる」と言いたかった理由は、「脱石油」を急ぎたかったからです。他にも「原子力はコストが安い」ともよく言われます。しかしフクシマは今、いかに原子力発電が「安くないか」を世界に示しています。

「化石燃料を燃やすとCO2がでて、それは地球環境を破壊する」、今年の初めまで世界中はそう言い続けていました。

しかし今、原発は二酸化炭素の何万倍も巨大な力で自然を破壊し、環境を汚染する可能性があると世界は認識しつつあります。原子力発電が石油より望ましいと主張するために挙げられていた、あらゆる理由が今、崩れようとしているのです。


「石油をもつ中東への依存から脱皮して、豊かさの源であるエネルギー源を自由自在に操りたい」、それは1970年以降何十年もの間、先進国の悲願でした。そのために「いかに石油がアカンか」というプロパガンダが、先進国の頭脳を結集して行われてきたのです。

そういえば、(中東に関係のない)メキシコ湾の海底で石油を掘ろうとしていたイギリスの石油会社(BP)が事故を起こし、広範囲な海洋汚染を起こしたのも昨年です。先進国のエネルギー獲得策は。ギリギリなところまで来ているようにも思えます。


サウジアラビアは王政が崩れたら一バレル300ドルだと脅します。ここにきて先進国連合は再び中東に振り回されつつあります。


結局は石油、なのか。

結局は中東、なのか。


そんじゃーね

2011-04-05 2020年代を楽しみに生きていこう!

日本の戦後を10年ごとにまとめてみた。


1940年代・・・「戦争と被占領の10年」 

前半の5年は天皇裕仁氏が、後半の5年はマッカーサー(GHQ)が日本の神様でした。前半は「神国ニッポン」「軍国主義にっぽん」で、後半は「Democratized Japan」「Occupied Japan」です。


1950年代 「西側選択の10年」

朝鮮戦争が勃発。米ソ対立、冷戦構造が明確になる中、安保反対運動などを乗り越えて日本は「アメリカの子分になる!」と決め、それにより経済復興の足がかりをつかみます。警察予備隊ができ、いったん釈放された左分子の皆さんは再度、監視の対象になりました。日本が「進むべき道=資本主義陣営」を選択した10年でした。


1960年代 「高度成長の10年」

所得倍増計画から始まり、新幹線、東京オリンピック、ダム、高速道路、高層ビル、とひたすら明るい未来に向かって走り始めた日本。男性は週休1日で朝から晩まで働き、女性は専業主婦として子育てと家事に専念。高度成長の中あちこちで公害が発生しましたが、健康被害や環境破壊より経済発展が優先されました。


1970年代 「先進国への10年」

田中角栄氏が1972年に列島改造論をぶちあげますが、その直後オイルショックが起こり、日本は戦後初めてのマイナス経済成長を経験。社会的、政治的にも、よど号事件や浅間山荘事件、ダッカ事件などテロが頻発。ベトナム反戦運動も盛り上がり社会は混乱します。

しかし、オイルショックでコンパクトな日本車がアメリカで売れ始め、日本は危機を乗り越えて経済発展を続け、ようやく先進国の仲間入りをします。そして、世界に例をみない「一億総中流社会」を作り上げた10年となりました。


1980年代 「幻想の10年」

「Japan as Number 1 」 という夢を見た時代でした。バブルの10年というより「幻想の10年」かな。誤解と無知は蜜の味。アメリカや欧州が「脱工業化」の苦難を経験している時に、プラザ合意での円高も乗り越え世界の工場としての価値を独占します。まるで日本だけに明るい未来が用意されているかのように見えた10年でした。


1990年代 「失われた10年」

バブル崩壊後、ひたすらに経済停滞が続く10年。自民党が弱体化し、非自民・非共産連立政権(細川・羽田・村山政権)が成立しましたが長続きしませんでした。中国が世界の工場として頭角を現し、日本はデフレ時代に突入。生き残りに必死になった企業に振り回され、雇用環境は一気に劣化します。


2000年代 「自由民主党、最後の10年」

10年のうち6年間が「自民党をぶっ壊す!」として強力なリーダーシップを発揮した小泉首相の時代。新自由主義的な経済政策がとられ、経済のグローバル化も一気に進展。経済格差が問題視されはじめます。小泉氏の後をついだ3名の自民党首相はいずれも超短命。戦後日本の独裁政党であった自民党は遂に政権を失いました。


2010年代 「震災、復興と増税の10年」

戦後初めての政権交代が実現し、民主党政権がスタートしましたが、すぐさま東北東日本大震災が起こります。日本は、原発処理と放射能汚染への対処、日本ブランドの名誉回復、電力不足問題などに忙殺される一方、巨額の財政負担を増税でまかなわざるを得なくなり、国民生活は疲弊します。「地震&原発処理と増税の10年」・・・



って感じなんで、とりあえずみんなで2020年代が来るのを楽しみに、そして気長に待とう!



そんじゃーね。

2011-04-03 「そうだ、選挙、行こう」

福島原発が大変なことになり、昔からの原発反対論者の人が勢いづいています。彼らの多くは自衛隊にも大反対していたはずと思いますが、彼らが今それを言うことはありません。

米軍の“思いやり予算”も先日、すんなりと可決・承認されました。これも同じで、原発反対に勢いづく人達の多くは、米軍予算に関して昨年までは大反対をしていたはず。でも今年は「国会を混乱させないため」という理由で、形だけ反対を述べて終わりです。

この辺が「大人の世界」というか、「空気を読む」というか、「とりあえず叩きやすい奴を叩いとけ!作戦」というか、人間様のおもしろいところだなーと思います。


★★★


原発問題が起こってから、「海外メディアの報道と日本のメディアの報道が余りにも違う。これはなぜなのか」的な論調が起こっているのも楽しいです。

なぜなら、震災前だって海外メディアと日本のメディアは全くちがうことを報道していました。別に震災後いきなり違ってきたわけではありません。

というより、震災前には、世界がチュニジア革命を報じている時に日本は相撲の八百長問題を報じていたし、世界がウィキィリークスのアサンジ氏と米政府の攻防について熱く報道している時に、日本は海老蔵さんが麻布で殴られた話を熱く報道していたんです。

そういう意味では震災後は(細かく言えば内容は違うにせよ)世界も日本も「フクシマ原発と放射能」について報道しています。「震災後、海外と日本のメディアは報道内容が非常に似通ってきた」というほうが正確なんじゃないでしょうか。


★★★


東京で放映されていない関西のテレビ番組、「たかじんのそこまで言って委員会」の中で原発問題について解説した某教授の映像がネットにアップされ、多くの東京の視聴者がそれをみて大騒ぎになり、その教授は大人気、みたいになっているのも愉快です。

原発問題に関わらず、あの番組では「これはとても東京では放映できないよね」というような内容をしょっちゅう電波に乗せています。「まじかよ!?」みたいなことがよくあるんです。が、普段は東京の人はそんなの見ていません。もし見ていたら(今回同様)大騒ぎになったはずです。

普段は海外メディアなんて見ない人が、今回は海外メディアもみて「違うことが報道されてる!」と驚いたのと同様、普段は関西の番組なんてみない東京人がたかじんさんの番組(のしかも一部だけを、取り出した形で)みて、番組の立ち位置も理解できないまま「こんなことが報道されてる!」と騒いでいるのは、構図として全く同じです。


ちなみに、この番組の特殊性に関しては、ちきりんは4年前にもこちらのエントリで書いています。橋下氏が大阪府知事になる前にこの番組内で煽り発言をし、それを「お作法を知らない視聴者が真に受けた」ため、現実社会におおごとを引き起こした例です。

世の中には「たかじんさんの番組だから許されること」があり、それらは「東京的なる世界では視聴されないこと」を前提とした内容です。「まさかみんな真に受けへんやろ」というのが前提になってるからこその内容なんです。

違う言葉で言えば、あの番組には見る時の「お作法」がある、と言ってもいい。ましてや今回は特に、震災の被害が遠い関西と東京ではいつも以上に受け手側の心理が違っています。それも踏まえての番組作りがされているのです。

今回の騒ぎは、それを知らない人が一部だけ切り出された映像や発言を見て、驚愕したり問題視して大騒ぎになってるようにも思えます。


★★★


66歳の清水正孝東電社長が入院されたということで、71歳の勝俣恒久会長が他の役員と共に記者会見されるのを見ていて思いました。

「この国のリーダーはこういう人達なんだよねー」て。そこに並んでいるのは全員が50代、もしかしたら60代以上の日本人男性。東電みたいな巨大な会社なんだから当然なのかもしれませんけど、日本の社会というのは、こういう人達が作ってきたし、動かしているんですよね。そうであれば、今回もみなさんで頑張って問題を解決してほしい。よろしく頼んだ!って感じです。


それにしても71歳とはいえ、とりあえず勝俣会長がお元気そうでなによりです。大危機が起こった時にはリーダーは「元気で丈夫」なことが一番です。菅首相も(なにはともあれ)頑強そうでよかったです。万が一にも与謝野さんが首相だったらどうなっていただろうと考えるとぞっとします。そして何よりも、枝野さんが体力がある人だったことは日本の僥倖でした。

私たちはたとえば選挙で政治リーダーを選ぶ時、「誰でも同じ」と思ってしまうことも多いですよね。けど、一旦こういう大災害が起これば、自分達が所属する組織のリーダーの体力と精神力と能力は、自分達の命運を左右します。東電の社員、株主、債権者は東電の経営者達に命運を左右されてるし、災害で避難されている方々も自分達が選んだ市長や町長の資質の影響を今、存分に受けていらっしゃると思います。


4月10日は被災地を除き、統一地方選挙です。東京でも向こう4年間のリーダー(都知事)を選びます。電力不足に日本&東京ブランドの毀損、原発の影響など、東京もこれから大変です。もちろん直下型の震災などもっと大きな問題さえ起こるかもしれません。

私たちはこの選挙で、「もしも東京にそういうことが起こった時、誰にリーダーになってほしいか」ということを選ぼうとしています。もしも東京で大震災が起これば、「今回選んだその人」が陣頭指揮をとるんです。いきなり入院しちゃう人とか、混乱しちゃう人とかじゃ困るでしょ?誰に自分の命運を預けたいか、よくよく考えて投票しなくちゃねって思いませんか?


ちきりんは選挙日の4月10日は用があるので、さきほど期日前投票を済ませてきました。みんな自分の住んでいる地域の役所のHPを見れば、どこで期日前投票できるか確認できます。たくさんの場所があるし、そんな手間じゃないから、10日が忙しい人は先に行けばいいと思います。候補者一覧やプロフィール一覧もネットで確認できるはず。


ほんとうに大きな危機が起こった時、その人に私たちは命運を預けるんです。



「そうだ、選挙、行こう」



そんじゃーね。

2011-04-01 オレだよ、オレ!

未だにオレのことを女だと思ってる奴がいて驚く。女にこんな文章が書けるわけねえだろ。わかんないかね。

対談に出てくる写真はどうみても女だって?

知らねえよ、あんな女。 ITMediaのスタッフか誰かじゃねーの?




ちなみに、昔のオレ↓

f:id:Chikirin:20110401000139j:image



そして今のオレ↓

f:id:Chikirin:20110401000136j:image


我ながらネクタイが微妙だな・・




そんじゃーな。





追記)

→昨年の4月1日のエントリはこっちだぜ!

→翌年の4月1日のエントリはこっちだぜ!