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Chikirinの日記 RSSフィード

2011-05-29 ちきりんの初「帯コメント」!

今日は英語に関するエッセイ本の紹介です。

坂之上洋子さんという海外経験の長いブランドコンサルタントの方が2003年に出された「犬も歩けば英語にあたる」という本の新装版です。

なーんと、ちきりんが楽天の三木谷浩史さんと並んで、帯コメントを書いています。

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それにしても、まじなのか と思いますよね。

ちきりんブログが本になることは想定内でしたが、誰かの本の帯コメントを書くなんて、かなり想定外です。

こんな誰も知らん人が帯コメントを書く意味とかあるんかいな。

と今でも思います。


でも、これがまたいい本なんです。(だから帯を書かせて頂いたんですけど。)


坂之上さんがNYなどアメリカで働いたり、生活されたりした頃の様子がエッセイふうに綴られていて、そのシーンの中で使われる英語表現があれこれ紹介されています。どれもごく短い英語文ばかりで、日本語訳もついているから簡単に理解できるし、なんといっても表現がとても自然です。「そうそう、こういう英語、よく聞くよね」っていう表現ばかりです。


たとえば職場で異性の上司から“I need you.”と深刻な声のトーンで言われても、それは

「ボクにはキミが必要なんだ!人生を共にしてくれ!」という意味ではなく、

「ええっと、ちょっと頼みたい仕事があるんだけど」っていう意味ですよ、とか。


そういう超大事なことが書いてあります。。。。



あと、“911”を「ナイン イレブン」と読めば例のテロ事件のことだけど、「ナイン ワン ワン」と読むと救急車が来ちゃいますよ、とか。


すごい実務的!


これ、海外経験なしに外資系企業に転職する人や就職する学生さん、米国への転勤予定がある人、初めて外人上司と働くことになった人などに、すごく役立つと思います。

語学留学前のタイミングで読むのもいいですね。英語表現だけじゃなくて、日本とは違うアメリカのビジネス慣行とか生活慣行についても、読んでいるうちにアレコレ知識が身につくようになってます。


その上、著者の坂之上さんがまたいい人なんです。読んでて「まじなの?」っていうくらいいい人だとわかります。ある意味、ちきりんと対極っていうか。「こんないい人がいるのね、世の中」くらいの驚きがあります。

この本を読んで、ちきりんは思いました。「文章ってこんなにストレートに書き手の人柄を表すんだなー」って。


あぁ・・、


つらいね。


(何が?)


★★★


ところでちきりんが昔、中1で英語を習った時、教科書の最初にでてきた英語文はたしか“This is a pen.”でした。が、実際にアメリカで暮らしたり働いたりして、「これはぺンです。」と、実際に言う機会はほとんどありません。

長くアメリカに住んでる人、実際の場面で使ったこと、あります?


実はちきりんは一度だけあります。とあるホテルでスタッフとイベントの打ち合わせをしていた時、ちきりんはカラフルな毛糸がもこもこしたすごくかわいいペンをもっていました。日本によくある「めっちゃかわいい文房具」のひとつです。それは一見ペンには見えない代物でした。

打ち合わせで、ちきりんがメモを取るためにそのペンを鞄から取り出した時、相手のホテルスタッフが言いました。“What is it ?”

ちきりんは応えました。“This is a pen.”


おーーーーー!


ちきりんは自分の口からでた言葉に固まりました。

そして次の瞬間、思わず“Do you know this is the first English sentence I've learned in my life ?”と口にしてしまったほどでした。まさか“This is a pen.”という言葉を使う機会があるとは思ってなかったからです。

ホテルスタッフの女性は・・・・なにそれ?みたいな顔で一瞬だけ私を見つめ・・・・すぐさま打ち合わせの話に戻ってしまったので、ちきりんの言葉は華麗にスルーされました。


まあとにかく、ちきりんは幸いにも一生の間に“This is a pen.”と口に出す機会を得ましたが、たいていの人にはこんな僥倖は訪れないと思います。なので、日本で一番最初に教えるべき英語は、

“For here or to go ?”

あたりにすべきだと思っているちきりんです。これなら短期の旅行に行くだけでも10回くらい聞くことになるのですから。


まあ、そんな話はどうでもいいんですが、この本には、それよりも100倍くらい心暖まる、しかも、役立つ英語表現が満載です。「自然で、生活の中でよく使われる英語文に興味ある!」という方にも、「ちょっと心温まる感じのエッセイを読みたい。」という方にもお勧めです。こんな素敵な本に初めての帯コメントを書かせていただけたことにとても感謝しています。



(一時、在庫切れで注文できなくなりましたが、今は注文可能になりました。興味のある方はお早めに!)

犬も歩けば英語にあたる

犬も歩けば英語にあたる



そんじゃーね!

2011-05-26 PR) ロコンドに行ってきた!

「ロコンドってどこの国?」って感じですかね。ロンドンの打ち間違いじゃなくてロコンドです。昨年末にサービスを開始した「自宅で試し履きできる靴のネット通販」です。

ロコンド 日本最大級の靴とファッションの通販サイト


ちきりんは前に、ロコンド同様「試し履きできる靴の通販」を展開するジャバリ(javari)の体験記(そのエントリはこちら)も書いており、このビジネスには大きな可能性を感じています。と言っていたら、ロコンドさんから「うちのサービスも体験してしてして!」というお誘いを頂き、「OK。じゃあ代わりにオペレーションセンターが見たい見たい見たい!」と応えて実現したのが下記の訪問記です。


★★★


「ロコンド」のオペレーションセンターは埼玉県の新三郷にあります。最初はむっちゃ遠いかな?と思ったけど、よだれたらして寝てたらすぐ着きました。


駅から徒歩5分くらいでヤマト運輸が運営するロジスティックスセンターに到着。いかにもな建物ですね−。どうみたって物流センターか核兵器格納庫にしか見えません。

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さっそく案内していただくと中はこんな感じ。 靴がいっぱい! いや正確には靴箱がいっぱい!

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靴の納入/搬入管理やピックアップ/発送作業を管理する端末。バーコードを発明した人は天才。

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案内してくださった田中ゆーすけさん。シャツの色とおひげがおしゃれ。

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お客様からの注文をピックするための台車?

日本の倉庫はどこもかしこも整理整頓が行き届いていて感動します。

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発送を待つ商品の箱。箱がかわいいよねー。

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ちきりんは工場やオペレーションセンターが大好きなので、萌え萌えしながら次は靴の撮影スタジオへ。

たとえば、この靴をネットで販売するためには・・

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こういうセットの中で

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こうやって写真を撮って、

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パソコンに取り込んで画面に載せるわけですね。

・・・カメラマンさんは、帽子とおひげがおしゃれ・・・

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★★★


今回も実際に購入体験をしてみましたが、

・配送費も返送料も一切無料。返済期限も長いので思う存分、試し履きできる。

・家で試し履きできるから、手持ちの複数の服や鞄とあわせたり、手持ちの靴と比較できる。

・値段やヒールの高さなどで検索できて便利、です。


特に、

(1)「ピンク系でフラットシューズを探してる」、「ブーツ形のレインシューズ買いたい!」など、欲しい靴のイメージが具体的な人


(2)サイズが大きい(小さい)ため、店だとサイズ切れで取り寄せ&再訪問の手間がかかりがちな人


(3)足形に特徴がありフィットする靴探しに苦労してる人、店員にせかされずじっくり試し履きしたい人


(4)地方在住で、街には安売り靴店と品揃えがいつも同じの少数の靴屋しかないという人


(5)忙しいから連休中に山ほど試し履きして、今シーズンの靴をまとめ買いしたい!という人

などにお勧めです。


あとウエブで見たけど、「誰かに靴をプレゼント」というのもいいかもね。

「これ、あの人にいいかなー」みたいな靴を複数選んで相手に送り、相手がそれを全部試し履きして買う靴を一足選ぶ、という方法。母の日とか、「こういう靴履いてほしい!」的なイメージがあるなら恋人へのプレゼントにもいいと思います。

ただし相手が全部履いちゃって一足も返品しないと、贈り主が全足分払わされるハメになるから要注意。イマイチ信頼できない男や、おねだりされちゃうと断れない段階の女性ににこの方法で贈るのは自己責任で・・。


javariとの違いは・・・ほぼないんじゃない?(とか書いていいのか??)

というか、商品ラインアップは個人の好みの問題だと思います。サイトの機能等もほぼ同じ。ロコンドは返送用宅急便伝票が最初から入ってる、現金で買えば現金で返金される(javariは現金購入だとアマゾンギフト券が返ってくるのでクレジットカードで買うことが前提)、箱がおしゃれで返品したくなくなる(??)などがいい感じ。

ただし返品伝票に写真やサイズ表記がないので、どの商品番号がどの商品のことかわからなかった。(同じ靴で違うサイズ、違う色を試し履きすると、伝票の表記が酷似してる。)その上、4足返品したら4つ別々の返品確認メールと、4つ別々の返金お知らせメール、つまり8通もメールが来てびびった。しかも、そこには注文番号以外なにも(ブランド名、写真やサイズ、価格表記)ないから「このメール、どの靴の返品のこと?」ってのが全く不明。


んー、これは、どうなの!?と思ったりもしたけど・・・


ここだけの話にしといてあげる。


(てか、IT担当の方、頑張って下さい。)



まっ、そんな感じで。

日本最大級の靴のネット通販 ロコンド.jp



極端な話、気にいったのがなければ全部返品してもいいわけで、みんな一回くらい試してみればいいんじゃないの?って思います。今は「靴をネットで買うなんて・・」と思う人も多いんだろうけど、昔は「本はやっぱり本屋で手にとって見てみないと・・・」と言ってる人も少なからず存在した。

使い始めてみれば、結局「やっぱりネットは便利よね」になるんじゃないかと思うです。



ちきりんの試した靴をみたい方はこちらもどうぞ! → 「ロコンドを買ってみた!」



そんじゃーね!

2011-05-24 共同問題解決という手法

温家宝首相と李明博大統領が菅首相と一緒に被災地の避難所を慰問し、現地の果物を食べてるニュースを見た。加えて温家宝首相は、日本の農産物の輸入や、日本への観光をそれなりに推進しますと表明してみたり。

両首脳ともまだまだ日本への不信感もあるだろうに、ここは隣国のよしみで協力してくれている感じがアリアリと伝わる。ありがたいこととは思います。


でもちきりんは思ったよ。「一緒にさくらんぼを食べることはできるけど、一緒に問題を解決するのは苦手なんだよなー」って。

ほぼ同時に流れていたのはIAEAの研究者ら20人が、福島の状況を調査するために日本を訪れたというニュース。「ようやく・・・」というのが正直な気持ち。しかも今回は調査に来てるだけ。そうじゃなくて必要なのは、「一緒に問題を解決する」ということなのに。


★★★


日本人は「外部の人と一緒に問題解決する」というのが苦手だよね。むしろ「内部の問題は内部だけで解決するのがスジだ。」とか、「外部と一緒に問題解決してもらおうなんて無責任な態度だ」とでも思っているようだ。

「問題は決して外部にでないように隠し、内部できっちり処理をする」・・それが今までの日本の組織の「正しい落とし前の付け方」だった。隠蔽体質とかっていうけど、そうではなく、「内部だけで処理をするのが正しい責任の取り方」だと教えられ、そして信じてるんだと思う。


外部の人と一緒に問題解決するのって、あうんの呼吸が通じる内部者間だけで解決するのに比べて、最初はちょっと面倒くさい。議論のベースや使う言葉を摺り合わせる必要もあるし、アプローチ、価値観、スピード感覚など、何もかもが違う。

本当は「だからこそ」、内部者だけで話し合っていても堂々巡りして抜け出せない迷路から抜け出せることがある。だからこそ、いつもいつも同じ着地点に至ってしまう内部者だけの議論ではなく、創造的な解が見つかることがある。

だけど大きな問題が起こっている時はみんな余裕がない。だからやっぱり「目先の余計な手間」を省いて、よくわかっている人達だけでやりたいという話になる。これはなににせよ、同質性の高い組織ですべての物事を決めてきた日本のひとつの特徴でもある。


なにより日本の組織エリート達は、「自分と異なる価値観の人達と議論して、一緒に問題を解いた」という実体験がない。これが致命的だと思う。

彼らの多くはいわゆる「エリート」だから、個人戦で十分に満足のいく成果を残してきた記憶が染みついている。就職してからもあまりにも似通った人達が集まる集団内だけで議論している。2年間だけ留学しても、(日本人の留学タイミングが非常に遅いので)自分達より10才近く若いアメリカ人(のお子ちゃま)とチームを組むことになり、なんだかピンとこない。


異質な人達と一緒に必死でリアルな問題に取り組んで「同質の者だけでやっているより、明らかにいい解にたどり着けた!」という成功体験に決定的に欠けている。

経産省も東電も原子力関係の研究者が所属する大学も、そういう人ばっかりで構成されている。


★★★


IAEAは世界から原子力がなくなるなんて事態を望んでいない。そんなことになったら彼ら自身が存立前提を失う。アメリカやフランスにいたっては自国の政治的基盤や経済的未来が原発にかかっている。彼らは福島の解決のためにいくらでも協力してくれるだろう。

それなのに、日本のエリート達はそれを利用しない。

その上、こういう事故の時に外部者の参加を頑なに拒むことが、外からどう見えるか、どれほどの不信感を招くかを理解できない。

「オレ達だけでなんとか解決できれば、あいつらだって納得するはず。見直してもらえるはず。見返してやろうぜ。」くらいのことを思っている。



あほちゃうか。


そうじゃないんだよ。



日本にも優秀な研究者がたくさんいるのだとか、日本の技術がどれほどすぐれているかとか、そいういう話じゃないんです。「世界と一緒に問題解決をする」ということ自体に極めて大きな価値があると、なぜわからない?

彼らを問題解決のプロセスに巻きこんで一緒にやれば、世界の不信感は一気に解消できる。日本の原発処理を冷ややかに懐疑的に眺める世界の目を、「みんなで一緒にやろう!」という姿勢に変えられる。


汚染水や除去した汚染物質の処理、農産物や漁業産物の被害拡大の防止、同時に食の安全の確保、さらには人体への影響を見極めた避難エリアの決定・・・メルトダウンしている炉心の処理だけじゃない。緊急に解決が必要な問題が文字通り山積してるわけで。

そろそろ日本も、「他者と一緒に共同で問題解決する」ってことを、覚えたほうがいいんじゃない?


そんじゃーね。

2011-05-21 エアコン設計にみる昭和的発想

先日来ご紹介しているエアコンの取り外しクリーニング

あの日、エアコンについていろいろ教えてもらったんだけど、中でも興味深かったのが最近流行の「お掃除ロボ付きのエアコン」について。


そもそも「エアコン内部がかなり汚れてる」ってことには昔から消費者も気がついていて、だからこそ洗浄スプレーや高圧洗浄など、エアコン掃除グッズ&サービスが大人気なわけです。

そりゃあわかりますよね。だって明らかにカビ臭いもん。フィルター掃除だけではキレイになってない。

でもエアコンを作っているメーカーは、今までそのニーズに全く対応してきませんでした。

「高圧洗浄でも洗浄スプレーでも、消費者の方で勝手にやれば?」みたいな感じ。

だからエアコンは「分解して洗浄し、再組み立てすることを前提としない造り」になっているわけです。


何かを組み立てたことのある人ならわかると思うけど、「一回組み立てたら、あとは壊すまで分解しないもの」と

「分解して再度組み立てることを想定したもの」は、設計段階から全く違います。

そして今のエアコンは、前者の思想で作られています。

だから素人が「分解して掃除する」なんて不可能だし、私が頼んだようなプロのお掃除屋さんでさえ、試行錯誤しながらの作業になります。


今回、作業を見学していて思ったのは「これって、設計図のないプラモデルをやってるのと同じだ!」ってこと。

最初にできあがり品をよく見て組み立て構造を理解し、その後にパーツを少しずつ外し、洗い終わった後、どの順番でどこからはめていくか、すべて試行錯誤しながらの作業です。

もちろんメーカーが違えば構造も部品も違う。

エアコンは 10年を越えて使われる商品だから、昔と今のモノもすごく違う。基本、分解して掃除するなんて「考えないでください」というのがメーカーの立場なのでしょう。


でもね、「なんでエアコンメーカーは、最初から分解クリーニングがラクにできるような商品設計をしないの?」でしょう。

彼らはエレベーターメーカーとちがって、メンテで儲けているわけではありません。

だったら「分解して掃除しやすいですよ!」という商品を売り出せば、儲かるんじゃないの?

今はアトピーの子供も多いし、ペットがいる家も多い。「丸洗いできるエアコン!」を付加価値として訴求するのは難しくないと思うんです。

ところがそういう商品は出てこない。

そして今になって彼らが出してきたのは、それとは真逆の「おそうじロボ付きエアコン」・・・


「構造をできるだけシンプルにし、分解、再組み立てしやすいエアコンを設計する」のと

「構造はめっちゃ複雑になり、分解も再組み立てもむっちゃ難しくなる「おそうじロボ付きエアコン」を設計する」のは、

設計思想が 180度違います。


これ、なんで後者になるんだと思います?

ひとつは素人に分解なんてして欲しくない。危ないから、ということでしょう。

でももうひとつは、「付加価値をあげるとは、付加機能を増やすことである」という昭和的価値観から逃れられていないからじゃないかな。


日本の家電はすべてそうなんです。

毎年モデルチェンジして、たとえ少しでも去年より高く売りたい。そのためには「なにか新機能を付けなくては!」と思ってる。


「よりシンプルにすることで、付加価値があがる」

「よりシンプルにしたほうが、高く売れる」

「付加価値とは付加機能のことではない」という考えができないんです。

これは、物不足の時代に育った人の典型的な発想です。

機能は多いほうがいい。機能は多い方が高級・・・昭和ってそういう時代だった。


欧州の家電のデザインが素敵なのは、機能を絞り込むからです。

デロンギのオーブンにはレンジ機能はついてないし、ティファールのポットに保温機能がありません。だから売れているんです。

これらは「機能てんこ盛り」の日本製品より高く売れたりします。

日本でも消費者は、「機能が少ないシンプル商品という付加価値」を認めているからです。

欧州メーカーでは、そういったことを理解する世代が商品企画の決定権をもっているのでしょう。だからそういう商品が日の目を見るんです。


一方の日本のメーカーでは、まだまだ「昭和的価値観のおじさん」が最終的な意思決定をしています。

だから「誰でも 3ステップで分解でき、簡単におそうじできるシンプルエアコン」ではなく、「超複雑マシン・おそうじロボ付きエアコン」を開発したくなる。


昭和的発想には業界分業の考えもありません。なんでもかんでも自社内に取り込みたがる。

「掃除はエアコン専門の外部業者がやればいい。そういう外部の業者でも掃除しやすい商品を開発するのが本当の顧客目線である」という発想はありません。

むしろ「クリーニング機能も、自社内で商品に組み込むことこそ物作り大国の矜持だ!」とか思ってる。

そういえば昭和の人は未だに「総合○○企業」が一番エライと思っているっぽいですよね。


おそうじロボ付きエアコンは、従来のエアコンに比べても圧倒的に内部が複雑です。

当然、壊れやすいし、壊れた時の修理も大変になる。

そんな商品にするから、メンテ体制の整った日本でしか売れない(世界で売れない)商品になってしまう。


わかってます?


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そんじゃーね


http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+personal/  http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+shop/

2011-05-18 エアコン分解洗浄・解説編

昨日、写真で紹介したエアコン掃除の様子、今日はその体験記です。



<分解洗浄を選んだわけ>

昨年の夏にカビ臭がひどかったこと、今年は節電のため少しでもエネルギー効率をよくしたいと思い、夏前のエアコン洗浄を思いつきました。

12年前のエアコンなので買い換えも考えましたが、ちきりん家のは鉄筋25畳以上対応の上位機種。このクラスだと商品代15万円、今のエアコンの処分代、設置具代や工事費をいれると20万円近いのでお掃除してもらうことにしました。

エアコンを外さず高圧洗浄する方法も試したことがあるのですが、壁付けのままの高圧洗浄では、キレイになったかどうか全くわからない。

よく業者さんは「ほら、こんなに汚れていたんですよ」とバケツに排出された汚水を見せてくれるのですが、汚水がでてきたことと、エアコン内部がキレイになったかどうかは、あんまり関係ないですよね。。。

汚れた雑巾をバケツの水で洗えば水はすぐに汚れるけど、雑巾がキレイになったかといえば、それはまた別の話です。

それに「マンション一括申し込み」方式だと値段は1万円ほどですが、あれだと業者さんは「一日に○軒こなさないといけない」というスケジュール(別名ノルマ)があり、キレイになったらではなく「一定時間作業したら終わり」です。なので、今回は「エアコン内部がきれいになったことを直接確認できる方法」を探しました。



<依頼決定まで>

まずは「エアコン、取り外し、洗浄」などのキーワードでネット検索し、我が家に来てもらえるエリアの業者さんをいくつかピックアップ。

今回の業者さんはブログも書いてらして、内容を見ると子供の健康にすごく気を遣っている感じがしたので「まじめでいいお父さんぽい」と思ってメールで問い合わせました。

HPに載っていたのは「エアコンを丸ごと取り外して持ち帰り、完全分解して洗って組み立て、後日持ってきて取り付ける」という方式。

内容はまさに求めていたものでしたが、今回は作業現場が見たいと思いました。実は私、自分では全くできないくせに、こういう「機械の分解、中身を見る」というのが大好きなんです。

働いていた時期なら、持ち帰って洗ってもらう方法を選んだでしょう。でも、今やちきりんも天下のぷー太郎。平日に丸1日エアコンの分解、洗浄を見学できるなんて、まさに「会社を辞めた甲斐がある!」というもんです。


そこでメールで「作業を見せて頂きたいんですけど可能ですか? 写真を撮らせていただければブログに書いて宣伝にご協力します。結構たくさんの方が見てくれてるブログなんですけど・・」と問い合わせたところ、先方より「じゃあ、そちらのご自宅で洗いましょう。その方がラクでしょ?」と。

「うちで洗っても、きちんと洗浄できますか?」と聞くと「道具、全部もっていくんで大丈夫です!」(と、自信満々に答えられましたが、後から聞いたら“お客様の家で洗うのは今回が初めてです”だって。なにそれ。)


最後に「それだと水道や電気代も私の負担になるし、そちらは一回分、往復の移動時間も節約できますよね? その分の割引とかありますか?」と聞いたら


「ないです」(きっぱり)


こんなロジカルな値引き要請を断るなんてすごいなと思ったけど、見積もりの時、「室外機も洗う必要あると思いますか?」と聞いたらざっと調べた上で「これならまだ洗わなくてもいいと思いますよ」って言われたし、細かく現場をチェックされていて仕事熱心そうだったので、こちらにお願いすることに決めました。



<作業を見学して>

非常に楽しかったです。ブラックボックスの中を見るのは本当にワクワクです。「どの程度汚れているの?」や「それがどこまでキレイになるの?」も実感できるし、洗浄のプロセスも逐一確認できる。取り外しや組み立てのプロセスも含め、すべてが新鮮でした。

また、今回お願いした高橋さんと山田さんのお仕事振りには正直、感心しました。「あー、これぞ日本の職人的技術屋さんだー!」という見事な仕事振り。


高橋さんはエアコン修理会社の勤務歴が 20年で、エアコン掃除やメンテが「大好き」なんだそうです。

山田さんも「小さい頃、おもちゃ屋がプラモデルを組み立ててくれと頼みに来ていた」くらい手先が器用で細かい仕事が好きとのこと。たしかにすばらしいお仕事振りでした。

でも高橋さんはご自身のことを「職人ではなくサービスマンです」と言われていました。お客様の喜んでくださるのがなにより嬉しいんです。」とのこと。なんだかイチイチかっこいいですね!


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(左が山田さん、右が高橋さん)


おふたりとも素人目にもわかる熱心&丁寧な作業で、「早く終わらせよう」という感じが全然なく、延々延々延々延々とお仕事されていました。

組み立て・再設置が終わった後も、冷房、暖房を切り替えながら、あちこちから出てくる空気の温度を調べて、室外機の調子も確認して・・・とふたりで確認&確認。

最後のほうなんて、「君らいつまでやってんの?」的な感じで、飽きちゃったあたしはブログ書いてました。なんか知らん人がふたりウチにいるけどまあいいや、みたいな感じです。


そういえば最初は「朝 9時にきます。だいたい 6時間くらいです。」とおっしゃっていたのに、9時15分くらいに到着し、終了は夕方 6時 45分。それ、9時間半なんですけど・・・

帰り際に「長い時間おつかれさまでした。」と言ったら、「いや、全然気にならないんです」って。いやこっちの都合が・・・


というわけで、もし今後こちらに頼まれる方、持ち帰りではなく自宅での洗浄を依頼される場合は、後の予定は入れないほうが無難です。(なお今回は、室外機の移設も頼んだので少し長めです。)

まあでも、ホントに仕事熱心なおふたりでした。どれくらいキレイになったかは昨日の写真でわかると思いますが、正直、壁付けのままの高圧洗浄とは、洗えるレベルが全く違うと実感しました。


でもエアコンって分解して洗うことを想定していない商品です。だから(取り付け工事だと業者さん向け手順書があるけど)分解洗浄にはマニュアルがありません。

また、設計もそういうことを前提にしていないので、バラして組み立てるのは本当に大変で、プロのワザが必要です。

そのため分解洗浄をやってくれる業者さんはそう多くはなく、まさにこのおふたりのような「プラモデル大好き!」「エアコン大好き!」みたいな人じゃないとなかなか手に負えないのでしょう。

今回は作業の後、エアコンの選び方やメンテの方法についてもいろいろ教えてもらって大変参考になりました。

ドラッグストアで売っているスプレー式の噴射洗浄剤については「百害あって一利。その一利は、一瞬だけいい香りがすること」だそうです・・・


というわけで、対象エリアにお住まいの方には超お勧めです!

なお高橋さんのところでは、解体洗浄だけでなく、壁に付けたままの高圧洗浄もやってらっしゃいます。その場合こそ、私たちでは内部の仕上がりが直接確認できないわけですから、信頼できる方にお願いしたほうが安心かと思いました。

高橋さんの会社→「エアコン&ハウスクリーニングはこちらです。


ちなみに今回の「取り外し完全分解」は一台 35,000円からです。(私は取材のため自宅で洗ってもらいましたが、本来は持ち帰りで作業され、取り付けにこられます)

壁につけたままの高圧洗浄だと 1万円ちょいのところもあるので値段は 3倍近いです。それでも、私は次回も確実に丸洗いの方を頼むと思います。

赤ちゃんの生まれたおうち、アトピーの方がいるおうちには特にお勧め。また、賃貸マンションの入居時にお願いするのもいいですね。賃貸住まいだとエアコンの買い換えはなかなかできないと思うけど、洗浄ならOKの場合もありそう。数年住む気があるなら電気代の節約を考えても価値があると思います。

なお今回ふたりで来られたのは、室外機の移設も依頼したからだと思います。それは別料金です。

ところで高橋さんも今回の件をブログに書いていらっしゃいます。

→ 高橋さんのブログ(ちきりん家の作業について)


そのブログを見にいった時になにげなく高橋さんのツイートが目に入りました。それは、「明日は早朝野球・・・もう寝るかな?」というつぶやきでした。

あれ? あたしが始め「エアコンのお掃除、火曜日はどうですか?」って言ったら、「その日は朝、会合があるんで都合が悪いんです」ってことで、月曜日になったんじゃなかったっけ??もしかして会合って早朝野球だったわけ?


まあ、いいか 

   ゆるく考えよう・・


そんじゃーねー!





今回を機に、その後も高橋さんに

お風呂クリーニング

トイレ分解!掃除

窓、網戸、サッシのお掃除に、

キッチンのお掃除もお願いしました。完全にリピーター顧客になってるちきりんです。いずれも写真必見ですよー!

2011-05-17 エアコン完全分解クリーニング・写真編

朝、9時過ぎ、チャイムに応じてドアを開けたらこの荷物!

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12年もののエアコン掃除前。キレイそうには見えるけど・・

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前部パネルを外すとかなり汚れてるとわかる。

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取り外しも2人がかり・・

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おっ、はずれた!

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ゆっくり降ろして・・

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なにやら真剣なまなざし・・

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壁も汚い!

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はずしたエアコンをベランダに配置

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そして更に分解・・・

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水をかけられない電気系統の部分?をはずして、

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うわっ!

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ぎゃー!!!

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こっちもすごい。

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こりゃあ、臭いはずだわ・・

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うげげ

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分解完了!

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“がががー”とか動く機械。コンプレッサー?

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プラスティック部分をひとつずつ手洗い

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キレイになったら乾かします。

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こういうのは機械で洗う。

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楽しそうだー!

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びゅんびゅん!

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アワアワ−!

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裏からも泡泡!

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そして、しゅわー!

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さらにブラシで手洗い

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終わりかと思ったら、また洗剤つけてる・・

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すごい泡。。

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今度はつけ置き洗い?

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さらにジェットで飛ばして・・

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水洗い(すすぎ)

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丁寧に丁寧に水洗い

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さらに汚れが残っていないか念入りにチェック

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最後に水切り!

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取り付け用の鉄板ももちろん丸洗い

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細かいパーツも、

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そして、できあがりのプラスティック部分!

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なにこの美しさ!

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まじですか?

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光ってるー!

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すげー!!

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こちらも・・

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ピカピカ!

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これって、洗う前を覚えてますか?

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こんなんだったんですよ・・・

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すべてを並べて乾燥します。

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いよいよ再組み立てスタートです。

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モーターにファンをつけて・・

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このあたりから、ふたりとも“プラモ少年”状態に・・

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こっちかな?

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いや、こっちじゃねーの、的な・・

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すべてのネジを留めて・・

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組み立て終わり。ってか、時計の時間が・・

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よっこいしょ

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ほいっ!

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ふむ

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最後にいろんな管や線を処理して・・

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エアコン分解お掃除、無事終了!!! 感涙

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みんないろいろ質問あるでしょ?

「どこの業者さん?」とか、

「連絡先は?」

「でも、お高いんでしょ?」とか。


詳しい説明は次回のエントリをどうぞ


そんじゃーね!

2011-05-15 国民負担はあたりまえ

福島の原発事故の補償費用をどこから捻出するかという議論において、「電力料金に転化するのはおかしい」とか「国民負担が発生するスキームはだめ」的な意見を聞くたびに、「なんでよ?」と思います。

どう考えても国民負担すべきでしょ。


東京電力が発電や送電に必要な設備を除き、保養施設や社員寮など業務に不可欠でない資産を手放すこと、役員、社員の給与をせめて“協力企業”である東芝程度に引き下げることは当然としても、徹底した東電のリストラで足りない分は電気料金の値上げと公費(税金)で補償するのが当然だと思えますけどね。

御用学者がどうの癒着がどうのというけれど、突き詰めれば「原発を利用しながら、豊富な電力を得て利便性の高い社会を作ろうとしていたのは、まさに日本の国民(有権者)の民主的な意思決定の結果だった」とちきりんは理解しています。

その意思決定に伴う損害を、今は福島県の人が一身に背負わされているのだから、その補償のために東電の資産で足りない分を国民全員で負担するのは当然だと思います。


★★★


電気料金を上げるのはおかしいという議論もよくわからない。電気が不足していて、電力を得るコストが上昇しているのだから、当然、電気料金は上げるべき。

個人宅なら電気料金が2割上がったら電気の使用量を2割減らせばいいだけです。つまり国民に求められているのは「節電」以外のなにものでもありません。もちろん「節電がイヤだ!」という人はその分のお金を(罰金的に)払うわけだからそれでいいじゃないですか。節電がヤなわけ?

ちなみに、今、地下鉄やJRやデパートなどは電気を一部消してるけど、あの分、それらの会社は電気代(経費)が安くなってます。今だとそのために増えた利益は、JRやデパートの株主に帰属してるんだよ。

これは、電気料金の値上げによって、節電努力で捻出したお金を(それらの会社の株主の利益ではなく)福島の人の補償に当てましょうって言う話なんです。

何に反対してるのか全然わからんす。



電気料金を値上げしたらコスト競争力が落ちて工場が海外移転するとか心配する人がいるけど、したらいーじゃん。どうせこの国は「製造コストの安さ」で勝てる国じゃないんだから。「コストが高くても、この会社に発注したい!」と思ってもらえるもの以外の工場は、海外移転すればいいよ。そして、「コストが高くてもやっていける商品を開発しなくちゃ!」ともっと迫られたほうが日本のためになるって。



大口債権者の銀行が責任を取らないと変だというのもよくわかんない。債権者は株主と違うんだから経営責任なんてないでしょ。倒産したら全額は戻ってこないし、担保があればそれを得るし、利子が払われなくなれば期限の利益を失ってデフォルトするだけです。普通に契約書通りやればいい。

日本の債券市場への影響まで云々する人がいるけど、そもそもそんなたいした市場じゃないんだからどうでもいいって。格付け機関はなんかひとことくらい言うことあるんじゃないの?とは思うけど。


一方で、株主の経営責任を問う意見はそれなりに理屈が通っているとは思うけど、今この時点で東電の株主責任を問うことにエネルギーを使うのが政府の優先事項なのか、ってのは疑問だよ。すでに株主は、株価下落と向こう10年単位での配当ストップ(予想)という形で、相応の責任は取らされてるはず。

まだまだ福島原発は収束に向かいつつあるなんてとても言えない状況なんです。まずは福島の現場を安定化させ(=工程表通りの解を実現し)、福島の人の生活や仕事を補償し、話はそれからでしょ。東電の経営者や政治家の多大な時間を割くことになる経営体制の変更を、今やるべきだとは全然思いません。



発電と送電の分離は(そもそも論でいえば)やればいいと思う。これをやれば自然エネルギーの開発も進むだろうし、原発反対だの賛成だのという二元論的な論争ではなく、「私は絶対原発はイヤだ」という人は風力発電会社から(たとえ割高でも)電気を買うという選択肢を得るわけで、極めて合理的だと思う。

だけど、発電、送電の分離に関してもやっぱり、「今」これをやるのが優先順位が高いのか?ということは考えるべき。私たちのリーダーの能力は残念ながら(私たち同様)そんなに高くない。だから一個ずつ、大事なことから集中してやってもらったほうがいいじゃん。それはまずは現地状況の収束と、福島の人の補償ですよ。


なお「東京電力は地域独占だから潰せないのだ。だから地域独占でなくすべきだ」という意見もたまに聞くけど、これも全く理解できません。潰れたって電気は供給されます。JALが潰れても飛行機は一日も止まってないでしょ。だから地域独占と潰せる潰せないの話は関係ないです。

ちきりんも電力会社(発電)に関して、地域独占より複数社競合の方が絶対にいいと思うけど、今のこのドタバタした状況の中でそんなことする必要性は全然感じません。



浜岡をとめたのは英断だと思います。止めても危険性は変わらないという人もいるけど、組織というのはミッションが変われば組織も人も動き方が大きく変わる。

動かしたままで対策をしようとすれば、浜岡原発のミッションは「電力の安定供給を確保しながら、最大限の安全を確保する」だけど、止めればミッションは「早期に安全対策を実施する」に変わる。この違いはとても大きい。


じゃあ、即刻、他の原発も全部止めるべきでは?って。そんなむちゃ言ってもしゃーないでしょ。ちょっと足りないだけで、計画停電だなんだと大騒ぎだったんだし。

それに「危ないモノを全部なくせ」とか言ってたら、タバコも車も飛行機もガスボンベも全部なくなっちゃう。「危ないからなくせ」は退化の思想なんです。それをどうにかするのが進化と進歩の思想のはず。

だから他の原発も早急に緊急時対策を整えるべきだし、それこそ御用学者も反原発学者も総動員して全国それぞれの原発に対して今後どういう対策が必要か、アクションプランを考えていけばいい。福島で事故が起こり、浜岡を停止させたことで、他の原発は「絶対安全呪縛」から逃れられた。今こそ、万が一を想定した対策が公に準備できるはず。



とか思います。


そんじゃーね。

2011-05-13 5月はイベント強化月間?

Twitterでは何度かお知らせしましたが、本日以降、いくつかのイベントに参加するのでまとめておきます。


<出口社長講演会の特別ゲスト>

本日19時より、六本木のアカデミーヒルズ49にて、

「ライフネット生命保険・出口治明氏 出版記念セミナー」

「百年たっても 後悔しない 仕事のやり方」

が開催されます。

百年たっても後悔しない仕事のやり方

百年たっても後悔しない仕事のやり方


ちきりんは出口社長のご講演の後の対談に、スペシャルゲストとして出演します。このセミナー、急遽、定員が拡大されたので、今日の夜、お時間のある方、ご関心のある方は今からでもお申し込みいただけます。(残席がある限り。なおこれは有料セミナーです。) ←満席になったみたいです。御礼!

詳しくはこちら


【当日スケジュール】(予定)

・出口氏 講演 60分

・出口氏×ちきりん氏 スペシャル対談 40分

・会場からの質疑応答 20分


この但し書きがすごいです↓  オペラ座のちきりん状態

※ちきりん氏は40分間のスペシャル対談の間のみ仮面をかぶって登壇し、対談終了後は退出いたします。匿名での活動のため、何卒ご了承ください。




<J-WAVEにゲスト出演>

明日の土曜日、朝10時過ぎからの Radio DONUTS, LIFE IS A GIFT という30分のコーナーにゲスト出演します。既にコメント収録を終えているので、あとは編集と明日の放送を待つばかり。


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でも自分で聴くのもすごい恥ずかしいです。。。声って、自分の声でも録音してそれを聴くと案外「えっ?」みたいなことがよくありますよね。「これ、あたしの声??」みたいな。・・・嬉し恥ずかし。楽しみです。

それにしてもJ-WAVEのオフィスはかっこよくて素敵でした。

それと、LIFE IS A GIFTってちきりん向きのネーミングだなーと思いました。日本語で言うとなんていう意味だって? んー、「生きてるだけで丸儲け」、かな。  (超ダイナミックな意訳なので信じないように。)


Radio DONUTSのページはこちら


ラジオではもちろんですが、PCやスマートフォン、タブレットなどでも、Radikoのサイトから聴けると思います。ただし、首都圏以外の方も視聴できるのかどうかは未確認です。ご自身でご確認ください。




<勝間和代さんとust対談>

こちらは一週間後の21日の土曜日夜です。 テーマは

「変化の時代の乗り切り方」

〜「ゆるく考える(ちきりん)」 VS 「しくみで乗り切る(勝間)」 〜

詳しくは勝間さんのブログをご覧ください。


Twitterで「動くちきりんが見られる!」というつぶやきがありましたが、「動きません」のであらかじめご了承ください。


テーマはおもしろそうだし、勝間さんとお話させていただけるのはとても楽しみです。

が、ちょっと心配な点もあります。



・あのエネルギーレベルの高い勝間和代さんと

・2時間

・サシで

・話し続ける


そんなことが、脱力系ブロガーとも呼ばれている私に可能なんでしょうか?


やや不安です。



・・・・



頑張ります!




・・・・




仕方ない。

『ゆるく考えよう』・・・  




そんじゃーね。

2011-05-11 この国で恵まれてるとロクなことにならない

先日、人事コンサルタントの城繁幸さんと対談し、その掲載が始まりました。

第一回目の記事はこちら

第二回目の記事はこちら

(全7回掲載)


城さんと話していて感じたのは「お互い、恵まれてなくてよかったですね」ということ。


城さんは、日本人の男性で東大生だったけど、就職したのが1997年で氷河期の真ん中。日本を代表するハイテクメーカーはコストカットのための成果主義導入に絶賛邁進中で、人事部に配属された城さんには早くから「なんなの、コレ?」な状況が見えてしまったのだと思います。

だから、そこから途中下車することに躊躇はなかったと思うし、今でもその一流大手メーカーの管理職になっている自分より、現在のキャリアのほうが余程よかったと思われていることでしょう。


一方のちきりんはバブル期に向かう日本においての就職。だけれども女性だったため、超売り手市場の恩恵を全く受けず差別されまくり。ようやくもぐりこんだ企業で見えたのは「こんなとこでいくら頑張っても自分(女性)にはチャンスはない」という現実。

だから、そこから途中下車することに躊躇はなかったし、今でもその大手企業の管理職になっている自分より、現在のキャリアのほうが余程よかったと思っています。


というわけで、ふたりとも「恵まれてなくてラッキー!」という、まさに「よかった確認」な状況なわけです。


もし万が一、恵まれていて、

・日本人で

・男性で

・バブル期のタイミングで就職で

・東大生だったら・・・


今頃、霞ヶ関で民主党の意味不明な政治家に振り回され、くだらない仕事のために徹夜してたり、

20年以上、休みもとらず家族との時間も犠牲にして奉公した銀行で、あからさまに肩をたたかれたのに出向先もなくてどないすんねん状態だったり、

メーカー勤務で35年ローンに縛られ月のお小遣いが3万円なのに、またボーナスカット! みたいな生活だったかもしれません。



あー、よかった、恵まれてなくて!



っていえる国ってどうなんでしょう。


そんじゃーね!



若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

7割は課長にさえなれません (PHP新書)

7割は課長にさえなれません (PHP新書)

2011-05-08 岡本太郎展

生誕100周年(1911年〜1996年)を祝って、岡本太郎展が竹橋の東京国立近代美術館で開かれていました。すばらしかったので感想を書いておきます。(展覧会は本日終了です。書くのが遅くなってごめんなさい!)


観客は、高齢者が多いゴッホ展など「大御所の印象派画家の展覧会」に比べ若い人が多かったです。

また、それぞれの作品に付けられた説明文章がシンプルながらとても的確であったことが、展覧会の価値を大きく高めていました。これは、彼の元秘書で後に養子となった岡本敏子さんの功績が大きいのではないかと思います。

造形物、絵、写真、ビデオなど展示物も多彩で、岡本太郎氏の才能と人生を存分に堪能できました。1300円でこんなの見られるなんてすごいです。(加えて常設展も見られます。)


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感想を一言で言えば、岡本太郎氏が天才(芸術家)であったとよくわかる展覧会でした。これに限らず美術館や展覧会に行くと、「天才」「特別な才能」とは、「普通の人が精一杯努力しました」という地点の先に存在するわけではないとよくわかります。努力によって到達できる地点なんて、たかだかしれてるよね、と楽しくなりました。

★★★


個別の展示作品では、代表作である『森の掟』や話題作『明日の神話』もすばらしかったですが、個人的には彼の私的な思いが感じられる作品、たとえば、父の死の直前に、書き物をする父、岡本一平氏をモチーフにした作品が、とてもやさしい視線が感じられ、印象に残りました。

しかしこんな人まで31歳で招集されて1942年から終戦まで中国に送られていたらしく、戦争ってホント馬鹿げてるなと思えました。彼は当時のことを「あの数年間、私は冷凍されていたような気がする」と言っています。

若い頃はパリ留学をしピカソに衝撃を受けた太郎氏ですが、年齢を積んでからは日本の美も再認識していたようです。

彼が「美しい」と絶賛した縄文土器や、なまはげなど東北の伝統の祭りの写真やビデオも展示されており、確かにそういう目でみると、それらも「まさにアート」な感じでした。同じモノを見ても、見る目が違うってこういうことねと痛感します。

あと、ベトナム反戦のためにワシントンポストに出した「殺すな」という文字の広告はすごいインパクトで、まさにアートでした。


『太陽の塔』で有名な大阪万博(1970年)についての展示もおもしろかったです。のべ6400万人が入場したこの万博は、昨年の上海万博の7200万人と比べても(人口比を考えると)すごい規模のおばけイベントでした。よく知らなかったのだけど、太陽の塔の中には人類の過去と未来を表す様々な展示があったらしく、初めてそれらを詳しく知りました。

ところで、大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」だったんですって。これ、2011年のテーマとしてもよさそうじゃないですか?


★★★


岡本太郎氏はその言葉の豊かさでも有名で、展覧会でもいくつもすばらしい言葉が紹介されていました。


「ぶつかり合うことが調和なのだ」

「人間には意識があるからいろいろ虚しくなる」、「単細胞にかえるんだ、人間の根源にかえることが大事。」

「どうしても本職というなら、人間です。」

「芸術家はきれいに描こうとするんですよ。卑しいんです。」

などなど


どれも参考になりますよね。特に「ぶつかり合うことが調和なのだ」という言葉にはハッとしました。「ぶつかりあいの結果、調和が生まれる」と(凡人みたいなことを)言っているのではなく、「ぶつかり合うことが調和だ」と言っている点が「なるほど」です。


会場の最後のところに、穴の空いた箱がありました。「ひとりひとつお取りください」と書いてあって、中には岡本太郎氏の言葉を書いた小さな三角の紙がごっそり入っています。すごく粋ですよね。


そこでちきりんが選んだ一枚に載っていた言葉は、


「好かれるヤツほどダメになる」


そのとおりだよ。反省します。


そんじゃーね!



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岡本太郎氏の言葉は、まとめられて本になってます。↓ちきりんが一番好きなのはコレ。

壁を破る言葉

壁を破る言葉


あと、この「あいしてる」っていう絵本もすごくよいです。何十周年かの結婚記念日や、プロポーズの時のプレゼントに最高です。愛ってアートだからね!

あいしてる―岡本太郎の絵本

あいしてる―岡本太郎の絵本

2011-05-05 観光客に背を向けるトーキョー

もしも今、海外から東京に観光にやってくる人がいたら、残念ながら彼らは、日本にあまりいい印象を持たないだろうと思います。

暗い店、暗い街、あちこちで止まっているエスカレーター、消灯されて見えにくい案内板・・・荷物を持っての移動にはとても不便だし、暗い街は消費意欲を刺激しません。見えにくい案内板のせいで、不慣れな乗換えに戸惑う人もいるでしょう。


最初は違和感のあることでも、人は案外早く慣れてしまいます。東京にずっといる人は、今の「暗い東京」に既に慣れつつあります。「今までが明るすぎたのだ」「これくらいでいいじゃないか」とさえ言い出す人もいます。

もしも東京が「東京の人のためだけの都市」になろうとしているのなら、それもアリかもしれません。けれど、東京以外の普通の大都市は、今の東京より圧倒的に明るく、旅する人に便利でわかりやすく楽しい街なのだ、ということも覚えておいたほうがいいでしょう。

大阪駅の大改装が終わってにぎわう関西と往復するちきりんの目にさえ、今の東京は、「なんだか薄暗い街」「灯火管制やってんの?戦争中みたいな街だね」と見えるほどです。

申し訳ないけれど、こんなところで休暇をすごしたり、一生懸命働いて貯めてきたお小遣いでばーんと消費しよう!とは思えません。デパートも、きらびやかな他都市のデパートと違って、なんだか地味で雰囲気がよくありません。かなりの電気を消しているからです。ウキウキする高揚感無しに財布の紐はゆるみません。


暗さと移動の不便さに加え、花火大会や各地のお祭りなど続々と中止されるイベント、ミネラルウォーターを買おうとしたら本数制限がかかる街。もしも、ちきりんが初めて旅行した国で水を買う本数を制限されたら、唖然としたに違いありません。「この国、物資不足なんだ。貧しい国なんだなー」と思うでしょう。

そうでなくても、一日一回余震があるだけでも地震を知らない国の人には「ものすごく恐ろしい場所」です。それに加えて、「暗い、不便、おもしろくない」ではお話になりません。

加えてこれから夏になれば、多くの観光客が驚くでしょう。「東京って冷房が全然効いてなくて、めっちゃ暑くて死にそうだった。もう二度と行きたくないかも!」と。


ちきりんは今、海外の知人から相談されても東京への観光は勧めないです。無理してやってきて悪いイメージを持ってしまうくらいなら、来てもらわないほうがまだましです。東京ではなく、大阪や京都など関西に行ってもらったほうがよいでしょう。

秋葉原も原宿も銀座も、いまや外国からの観光客無しにはやっていけないお店も多いはずです。間接的に雇用を失った日本人もたくさんいるでしょう。それでも、今の状況で「是非、東京へ!」というキャンペーンをするのはむしろ逆効果とさえ思えるような惨状、それが今の東京の姿です。


実際に電力が足りないのだから仕方ないのでしょう。けれど、状況認識だけはしっかりもっておいたほうがいいと思います。

今の東京は決して外部の人にとって観光に向いた都市ではありません。「いい印象」「快適な移動」「楽しい経験」を提供できる状況ではありません。

また、「欧州はもっと暗いのだから、これで問題ない」などと言いだす人もいるんですが、欧州の都市と東京は「観光の売り」にしているものが全然違うんです。

照明や便利さも含め「観光資源としてその都市の魅力をどう売るか」という視点で考えれば、また、建物や街の造りと最適な照明の関係を考えれば、東京が欧州の古都と同じ不便さ、暗さでは話になりません。


東京の人が「被災地のことを考えれば、これくらい暗いくらいでちょうどよい」と思うことは自然なことで、責めるつもりはありません。しかし、この都市が今、他都市からの観光客にたいして厳しく背を向けた都市になっているということは理解しておいたほうがいいと思います。


そんじゃーね。




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関連過去エントリ1: 「東京は世界最大の都市です。


関連エントリ2:「少しくらい不便でもいい」と思うのは強者の視点です。

2011-05-03 どこに避難します?

福島第一原発の影響で、地震や津波の損害はないのに避難命令により、地元からの転出を余儀なくされる人が増えています。

今回わかったのは、「避難命令がでても、誰かが移転先住居を確保してくれるわけではない」ということ。

一ヶ月だけ滞在できる旅館とか、やたらと不便な場所にある公営住宅とか紹介されても困りますよね。


今は人口が少ない村が中心ですが、いわき市や福島市、郡山市など人口数十万人の都市に避難命令がでたら、いったいみんなどこに行くのでしょう?

「人口が多い都市には(どんなに危なくても)避難命令は出せないだろう」という言葉が冗談には聞こえなくなります。


他地域の人にとっても他人事ではないですよね。

日本にはあちこちに原発があり、それらが福島と同じ状況に陥れば・・・下記をみると原発の 50キロ圏内には人口数十万人クラスの都市が数多く存在しています。

・ 各地の原発からの距離の地図


想像してみてください。

「ある日突然、自分の住んでいるエリアに強制避難命令がでたら、自分は、自分の家族はどこにいくのか?」そして「仕事はどうなるのか?」

自分だったらどうするだろうとリアルに想像してみたら、今、避難命令を受けている人たちの気持ちも少しはわかるかもということで、ちょっくら考えてみました。


★★★


ちきりんが、「もし今、自分の家のエリアに強制避難命令がでたらどうするか」


1.今と全く同じ条件で避難命令がでた場合

戻って来れなくなる可能性も考え、必要なもの(スーツケース2個と貴重品程度)をもって関西の家族の家に移動します。

その家に(なんらかの理由で)いられなくなった場合は、その町にウィークリーマンションを借りて数ヶ月住みます。

数ヶ月たっても戻れるめどがたたなければ、どこか住みたい都市を考えて移住を考えます。東京の家に戻ることはできるだけ早めに諦めるかな。

こう考えていると、私のように「住む場所にこだわりがないどころか、仕事さえどこでもできる」人はシンプルです。

ですが、世の中、こんなに「避難に適したプロファイル」の人ばかりではないので、少しずつ条件を変えて考えてみます。


2.自分が70歳以上だったら・・・

「ただちに健康に影響はない」なら避難したくありません。ギリギリまでとどまります。

が、現実的には、周りのお店が全部閉まって食料が手に入らなくなり、業者がサービス圏外設定をするため通販や宅配も届かなくなります。

人口の多い東京 23区内の住宅地住まいなので、強制避難命令がでても「オレは残る!」人が相当数と思われ、水道や電気が止められることはないかなと思います。

なので他地域との往復が可能であれば、買いだめしながら生きられるかもしれません。

けれど高齢であること、病院なども閉まることを予想すると、自分だけとどまるのは「死を覚悟」みたいな案ですね。

結局はどこかに避難する必要があるんでしょうが、いずれにせよ「ギリギリまで動かない」と思います。


3.要介護者を抱えていたら・・・

自分が 70歳で、夫や 90歳以上の親を介護している場合や、障害のある家族がいる場合です。

前者の場合は「もうここで死なせてくれ!」的な思考になりそうですが、そうもいかない場合は、とりあえず物資不足などが起こっていない遠方の街に移って、そこで定住するでしょう。

あちこち点々とするのが被介護者にとっては一番よくない気がするので、生活できる間は(避難命令がでていてもそこに)とどまり、いざ転出する時には思い切って遠くの街に移動します。

「 70歳で 90歳の親を介護」してたら、避難所にはいかないよね、というか、いけないでしょ。

もちろん経済力の有無によって選択肢は変わってくるのでしょうが、お金がなくても臨時の場所で暮らすよりは別の都市で生活保護の申請をするほうが合理的に思えます。

もうそっちで人生を終えたいです。


4.小学生など小さい子供がいたら・・・

これもやはり、転出するとなればかなり遠い大都市に永続的に移転することを考えるかな。

先が決まらないまま半年ごとにあちこち移転するより、転勤命令がでたと思って数年単位で大阪や福岡なんかに転居しちゃう方が、子供の学校も一回だけ変わればいいので好ましく思えます。

「戻れるかも、戻れるかも」と思いながら長く「仮住まい」的に暮らすのってすごく疲れそう。

でも、そうは思えない人も多いんでしょうね。それに実際には複数の子供がいて、うち一人がすぐ受験だったり、判断は難しそう。


ところで、地域に避難命令がでた場合、仕事はどうなるのでしょう?

同じ地域に職場がある場合、多くの人は仕事も同時に失いますよね。

会社自体、立ち行かなくなり、従業員も一斉に失業します。ふむ・・失業保険、もらいましょう。。


もし全国規模の大企業に勤めていて、他の都市に転勤させてもらえる場合は、居住地もあわせてそっちに移動することになるんでしょうか。

でも現実的には、「当面、自宅待機。給与は払えないかも」みたいなケースも多そう。これだと失業保険ももらえないし経済的に大変です。


5.その土地に自分の会社や業務用の土地をもっていたら・・・

酪農とか農業をやっている場合や、自分で工場を所有しているような場合。

レストランを経営してるとかのサービス業も同じです。避難期間によりますが、期間が1年も続くなら「強制避難=廃業」ですね。

こういう場合、普通は大きな借金があるので、(いくら補償がもらえても)商売を突然やめたら破綻せざるをえないでしょう。最悪です。


でも強制避難命令がでたらどうしようもありません。

すべて放りだして出ていけということなんでしょう。ちきりんは自殺はしないけど、相当のストレスだとは思います。後から国や東電を訴えるかもです。

あと、いったん自己破産すれば借金はチャラにできますが、当面、お金が借りられないので他所に移って再興することはできなくなります。

本気で「夜逃げ」とか考えたくなりますね。。


これ以外のケースでも、補償金や支援品、失業保険、生活保護などで必要な経費や物品が賄えるとは考えにくいので、多かれ少なかれ自分の貯蓄をはたいて避難することを余儀なくされると思います。


★★★


と、いろいろなパターンを考えてみましたが、実際には、もっと複雑な事情がある家庭も多いだろうし、買ったばかりの家で住宅ローンを払い始めた矢先に「強制的に避難しろ」というような場合も泣けますよね。

だからこそ、ちょっと考えてみたほうがいいかな、と思ったんです。

全国どこに住んでいる人もみな、もし明日「1ヵ月後にその周囲 20キロ圏から強制避難せよ」と命じられたら、「自分は、自分の家族はいったいどうするのか?」、「仕事はどうなるんだろう?」ということを。

仕事、家、その他、現実的に想像してみると、これがどんなに大変なことかわかると思うんです。今、実際にこんなことを言われている人達がいるというのが現実なわけで。



一ヶ月以内にその街から強制避難しろといわれたら、

あなたの仕事はどうなりそうですか?

そしてあなたとあなたの家族は、いったいどこに避難します?


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そんじゃーね


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2011-05-01 半藤一利氏 『昭和史』

半藤一利氏の『昭和史』を読みました。

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半藤 一利
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→ 昭和史 1926-1945 キンドル版

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半藤氏は、『週刊文春』や『文藝春秋』の編集長をつとめ、その後は作家となって、昭和史に関する様々な著作があります。

この本はあとがきに「昭和の語り部」と表現されているように、半藤氏が生徒に語りかけながら授業をする感じで書かれていてとても読みやすいです。

「日本政府はこんなアホなことをしていたのだ」的なカジュアルな文章です。

また、「時系列に語る」という歴史の勉強には最も適切な方法論でまとめられていて、何がおきていたのかよくわかります。

深い内容なのでひとつのエントリで感想を書くのは難しいのですが、とりあえず印象に残った点について書いておきます。


冒頭で、半藤氏は日本の近代史を40年ごとのアップダウンで表現しています。

ペリーの開国要求を受けて幕府が倒れ、最後まで攘夷(外国を追い出せ!)を唱えていた朝廷が、最終的に開国要求を受け入れざるを得なかった1865年が近代日本のスタートとされています。

そこからたった 40年で日本は近代国家を作り上げます。

文化的にも急速に洗練され、経済的にも、そして軍事的にも先進列強の仲間入りをした日本は日清・日露戦争の勝利で圧倒的な自信を得ます。

その日露戦争の勝利が開国からわずか 40年後の 1905年です。


しかし次の 40年。日本は、無謬性を信じるエリート集団の思考停止リーダーシップにより、軍国主義と無謀な戦争へ突っ走り、ひたすら破滅への道を進みます。そして 1945年が敗戦。

ところがその後、日本はまたもたった 40年で“Japan as No.one"とまで呼ばれるような復興を遂げます。

文化的にも急速に洗練され、経済的にも外交的にも先進列強の仲間入りをした日本は貿易戦争の勝利で圧倒的な自信を得ます。これが焼け野原から 40年後、1985年以降のバブル経済です。

そして次の 40年・・。無謬性を信じるエリート集団の思考停止リーダーシップにより、官僚主義と無謀な国債発行へ突っ走り、再び破滅への道を進みつつある日本。その結果が・・・てな感じのことを図示すると下記のようになります。



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たしかに、今の日本は破滅に向けて突っ走ってる感じもありますよね。この 40年アップダウン説が正しければ、あと 15年は日本はどんどん破滅に向かって進んでいくのでした。。。。15年後の破滅が楽しみ?


ふむー。


★★★


この本のおもしろさのひとつに、当時の人や新聞の言葉がそのまま書かれていることがあります。これらを読むと、その頃の空気感や煽られ方がよくわかります。


たとえば、真珠湾攻撃が大成功で終わったその翌日の知識人たちのコメントは下記です。

小林秀雄氏(評論家)「大戦争がちょうどいい時にはじまってくれたという気持ちなのだ。戦争は思想のいろいろな無駄なものを一挙になくしてくれた。無駄なものがいろいろあればこそ、無駄な口をきかねばならなかった。」


亀井勝一郎氏(評論家)「勝利は、日本民族にとって実に長い間の夢であったと思う。すなわちかってペルリによって武力的に開国を迫られたわが国の、これこそ最初にして最大の苛烈きわまる返答であり、復讐だったのである。維新以来、わが祖先の抱いた無念の思いを、一挙にして晴らすべきときが来たのである。」


横光利一氏(作家)「戦いはついに始まった。そして大勝した。先祖を神だと信じた民族が勝ったのだ。自分は不思議以上のものを感じた。出るものが出たのだ。それはもっとも自然なことだ。」



そして、もう日本が全くお話にならないくらい負けて疲弊して食べるものもなくて死にそうになっていた 1945年 7月 28日、前日に届いたポツダム宣言について各マスコミが報じた内容は下記です。

(これ、原子爆弾が落ちる前です。ポツダム宣言をすぐに受諾し敗戦に持ち込んでいたら、原爆を落とす余地を与えずに済んだ、というタイミングです。)


讀賣報知新聞 「笑止 対日降伏条件: 戦争完遂に邁進。帝国政府問題とせず」


朝日新聞 「政府は黙殺」


毎日新聞 「笑止! 米英蒋共同宣言、自惚れを撃砕せん、聖戦を飽くまで完遂」


“笑止”はないんじゃないの?と思いますよね。

この時期には既に、南方に送られた兵士の多くは戦う前に(食料不足で)餓死しつつあり、弾も燃料も無くなった日本軍は若者に「志願」をさせて、敵艦に突っ込ませるという特攻隊で戦争を続けていたというのに。

マスコミも軍部も政治家も、日本のリーダー達は、続々と無駄死にしていく若者のことなど一顧だにせず、この期に及んでまだ能天気な煽りを続けていたわけです。

死んでいく若者のことなんて全く眼中になかったのでしょう。←なんか今と似てない?



というわけで、いろいろ勉強になりました。昭和の現代史って学校では本当に全然学ばなかったりするのだけど、この本に書いてあることくらいは日本人として知っておくのがあたりまえ、と思える内容でした。

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)
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それと、この本には続編として戦後篇もあるのですが、こちらの内容も本当にすばらしいです。上下巻ともキンドルになっています。分厚い本なので電子書籍がお勧めかな。

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読んだ感想をまとめておいたのでご覧ください ↓

今、日本が抱えている問題が、戦後どのような流れで形成されてきたのか、手に取るようにわかります。

『昭和史 戦後篇』


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そんじゃーね!


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