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Chikirinの日記 RSSフィード

2011-08-21 どっちの破綻が早い? 生活保護と年金

「年金制度なんて絶対もたない」「オレが 65歳になった時には間違いなく破綻してる」とか言う人がたくさんいます。

でも、「生活保護制度なんて絶対もたない」「間違いなく破綻する」と言う人にはあまり会いません。

いったいなぜ?


中には、「年金なんて払わなくても、老後にお金に困れば生活保護を受ければいい」と言う人までいて驚かされます。

もしかして「年金制度は破綻するが、生活保護制度は決して破綻しない」と思ってたりする?

どっちかいうと、年金よりは生活保護制度の方が先に破綻しそうだけど。だって・・・


その1)官僚の視点

官僚、すなわち公務員は共済年金という年金制度の中でも最も強固な年金制度に加入してます。

これは、彼らが全員(一階部分の)国民年金の加入者でもあるってことです。

では彼らの家族に「生活保護をもらえないと困る人」がたくさんいると思いますか?

よく考えてみて下さい。

厚生労働省の官僚は、予算がなくなってきた時、年金と生活保護、どちらの制度を守ろうとするでしょう?



その2)政治家の視点

政治家は「票」で動きます。

現在、年金の加入者数は 6800万人= 6800万票です。一方の生活保護の受給者数は 200万人です。

年金加入者は全員、票をもっていますが、生活保護の方は子供が含まれているので、票をもっている大人の数は 170万人くらいでしょうか。

政治家がどちらの票を重要だと思うか、よく考えて下さい。


もちろん年金加入者の中でも若い人の中には、「オレは年金より生活保護の方が得だ!」と思う人もいるかもしれません。

また、生活保護を受ける人は今後も増えるでしょう。それでも、現在の数字で 6800万人と 170万人の差があるんです。

加入者数どころか、既に年金をもらい始めている人だけでも 170万人とはケタが違います。

今後も票の重みが簡単にひっくりかえることはないでしょう。


しかもこのふたつのグループ、どっちの「投票率」が高いと思います?

年金に加入してる人と、生活保護を受けてる人、どっちがちゃんと選挙に行ってると思います?

よく考えてみて下さい。

政治家は、予算がなくなってきた時、どちらの制度を守ろうとするでしょう?



その3)憲法の視点

生活保護は憲法で保障されてるんだから、一介の法律で規定されている年金制度より大事にされるはずだ! 守られるはずだ! という素敵な人もいます。

憲法 第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


・・・そういうこと言ってる人って、憲法 9条を読んだことがあるんでしょうか?


憲法九条

1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


9条は守られてると思ってます?


だったら、25条も守ってもらえるかもしれませんね。



その4)現実性の視点

年金制度が破綻してもすぐに困る人ばかりじゃないが、生活保護制度を破綻させたら餓死者が大量にでる。それはやばいからきっと破綻させない!みたいな意見もあるようです。

ふーん。


こういう人って「破綻」の意味がわかってないんだと思うのですよね。

たとえば、今、現実に破綻してる「ホームレス支援策」や「シングルマザー支援策」を見ればわかるはず。

これらの支援策は全く無いというわけではありません。


厚生労働省は「ホームレス緊急一時宿泊施設」(いわゆるシェルター)も作っているし、相談センター的なものもあります。シングルマザーへの支援策もあれこれ制度として存在しています。

でも現実に救われていないホームレスやシングルマザーはたくさんいます。

生活保護も含め「制度が破綻する」というのは、制度が完全にゼロになるという意味ではなく、「事実上、救われない人がたくさんでてきてもそもまま放置される」という意味です。


保護シェルターを作ってもホームレスの人がそれを積極的に利用しないのは、「共同生活がイヤ」「門限やルールがウルサイ」、「個人情報を詮索される」(てか、調査される)などの理由があるからです。

派遣村が出来てマスコミが報道すると、一時的には「ビジネスホテルの部屋」が与えられた時もありましたが、

シェルターでは基本は共同生活、決まった食事時間、門限、外出時のルールなどが適用され、「早く自立しろ!」的なプレッシャーも常にかけられます。

真冬でもない限り、これならシェルターより路上の方がマシと思う人もいるわけです。


生活保護に関しても、現金給付ではなく「生活保護者シェルター」を作って同じような方式に変更しよう! という話になる可能性はあると思いませんか? 

「お金がないならシェルターに入ってください。イヤならいいですけど」っていう方式にね。

てか、そういう改正案がでた時に誰が本気で反対してくれるんでしょう?


★★★


というわけで、ちきりんの考えでは「年金が破綻する 12年くらい前に生活保護制度は破綻する」と思います。

「何で 12年なんだ?」って? 


もちろん適当です。


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そんじゃーね。


<関連エントリ>

年金が破綻するとか言ってる人は、はっきり言って甘い!


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