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Chikirinの日記 RSSフィード

2012-03-08 日経平均を捨てて、日本を応援しよう!

先日、カリスマ・ファンドマネージャーの藤野英人さんと対談させて頂きました。

藤野さんは日系&外資系運用会社の勤務を経て独立。中小型株、成長株を専門とし、経営者インタビューや消費者目線での事業評価など、実地的な企業分析を重視して投資を行い、過去20年以上、そしてリーマンショック後も高い投資成果を実現されています。

ちきりんも自身で、株式、外貨、投信など投資をしていますが、藤野さんの本を読ませて頂いて再確認したことも多く、大変勉強になったので(対談記事はそのうちダイヤモンドオンラインに掲載予定ですが)今日は、藤野さんの本のポイントをまとめておきます。

それにしてもカリスマ・ファンドマネージャーとカリスマ・ブロガーのツーショットにもかかわらず、このホノボノとした雰囲気はどうよ?って感じですね。。。


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以下、本の感想より


その1 過去20年、日本はものすごく豊かになった

1990年から2010年までの日本経済は「失われた20年」と呼ばれます。けれど実際にはこの間、日本は本当に豊かになりました。

1990年、携帯電話を持っている人はほとんどいませんでした。インターネットも(特別な環境にいる人以外)誰も使っていませんでした。アマゾンも楽天もなかったのです。

新幹線の切符を買おうとしたら(一般的なクレジットカードはJRでは使えず)現金を用意する必要があり、お金をおろすには銀行のATMに並ぶ必要があって(コンビニにATMはありません)、振込みがしたいなら午後3時までに窓口に並べと言われたのです。

ユニクロのような高品質で安い衣料品もなく(1990年にはファーストリテイリングは、まだ小郡商事株式会社でした)、スーパーマーケットは午後8時には閉店していました。写真は撮った後に現像に出し、できあがりを見るまで、巧く撮れているかどうかさえわからなかったのです。

私たちの生活は、この20年で本当に便利になり、豊かになりました。20年は決して「失われた」わけではないのです。



その2 過去20年、日経平均への投資額の大半が失われた

では、過去20年の間に失われたモノはなんだったのでしょう? それは「株価」です。日本企業の時価総額と言ってもいいかもしれません。

1990年の年初、日経平均は「38,712 (.88)円」でした。(最高値はその前年末の38,915 (.87)円です)最近は9600円くらいですから、日経平均はこの20年で約4分の1になったのです。

これは、「もしこの20年間、日経平均インデックス投信を長期保有していたら、元本は25%になってしまった」ということです。TOPIXの方はやや穏やかではありますが、それでもこの20年で約3分の1になっています。まさに「失われた20年」ですよね。

もちろん20年の中にも浮き沈みはありますから、特定の時期を見れば上がっていた時期もあります。そしてそのことは、「日本の代表的な株式指標を見る限り、長期保有なんてしてたら絶対儲からない」ということを意味します。

この期間に市場インデックスで儲けようとするならば、リーマンショック直後など大幅に落ち込んだ時に買って、値がもどったらすぐに売る、など機動的に短期売買をするのが一番よかったのです。



その3 過去20年、多くの有望日本企業が現れ、急成長した!

藤野さんの本には、「2000年以降に株価が5倍になった株は、なんと783銘柄もありました。10倍になった株でも278銘柄に上ります。」と書いてあります。

そして実際に藤野さんはそういった株をコツコツと探し出し、投資をし、日経平均やTOPIXが下がり続ける中、ファンドマネージャーとして一定のリターンを確保してこられたわけです。

藤野さんは「今こそ日本株に投資すべき」と断言されています。それが具体的にどんな企業なのかや、基本的な投資に関する考え方に関しては、本を読んで頂ければと思いますが、私もこの本を読んで、日本株投資を再開しようかなという気になりました。


★★★


さて、この本における藤野さんのメッセージは、“はじめに”にある次の一文に集約されます。

「日経平均は死んだ」


この言葉をみた瞬間、「その通りだよね」と思いました。死んだのは、日経平均指数に組み入れられているような「過去の伝統的な日本の優良企業」です。こういった企業が今後、再生すると思うのであれば、日経平均インデックスを買うことには意味があるでしょう。でも、(おそらく)藤野さんも、そして私も、「それはもう起こらない」と思っています。

そういった会社は少しずつ衰退し、時に暴発し、そして消えゆく運命です。IBMのパソコン事業が中国のレノボになったように、ソニーのテレビ部門がサムソンになり(ブランドはそのまま活かされるでしょうが)、パナソニックの家電部門がLGやハイアールに成る日は、決して非現実的な未来ではありません。

先日、「変わらない。替るだけ」というエントリを書きました。日本経済の成長の原動力であったかっての優良企業は「変わることができないまま」、新たにでてくる企業に「替えられてしまう」のです。


繰り返しですが、過去20年、日経平均を買って長期保有していた大半の人が損をしているはずです。日経平均の主要構成株である多くの「過去の日本の優良企業」の株を持っていた人達も同じでしょう。

そういった人達は、「日本企業はもう成長余力はない。日本株への投資なんて無意味だ」と思っているかもしれません。

でも、そうではないのです。

死んだのは、日本企業でも日本経済でもなく、日経平均的なる伝統的大企業です。将来の成長余地がなく、衰退の道しかみえていないのは、日本経済ではなく、日本経団連企業です。


最近、投資というとFXが大流行です。でもちきりんとしては、やっぱり日本企業の株式で儲けようよ!という気持ちがあります。藤野さんも「応援するつもりでイイ会社の株を買おう!」とおっしゃっています。

この本を読んでちきりんは、「日本経済にも日本株にも未来がある」と再確認しました。「日経平均インデックスやTOPIX投信を買わずに、自分が応援したいと思える会社の株を買う」ことによって、私たちは日本経済の転換を応援することができるのです。



以上、本を読んで考えたことをまとめました。平易な文章なので、投資なんてやったことはないけど、株式市場とは何なのか? 企業に投資するというのはどういうことなのか? について、本質的なことを理解しておきたい、という人に向いてます。

加えて、今まで株式投資をやってきた人にも、もう一度、よく噛みしめてほしいことがたくさん書いてある本でした。

ただし(当然ですが)ここに書いてある株を買えば儲かる、とかいう話ではありません。じゃあどうすればいいのかって? それはもちろん『自分のアタマで考えよう』!


そんじゃーね。