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Chikirinの日記 RSSフィード

2012-04-10 企業内・国際分業のススメ

大赤字を出したシャープに、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が出資して筆頭株主になるというニュースは、久しぶりの明るいニュースでした。

発表の翌日にはシャープの株価はストップ高となり、市場も高く評価したようです。

最近ちきりんは、「このグローバル分業の時代に、企業内の全機能を、すべて同じ国の人が担当する必要はないよね」と考えています。


欧米のグローバル企業では、インド人や中国人、東欧人など、様々な国の出身者がマネジメントメンバーに入っています。なのに日本企業だけが、すべての役員が日本人だなんてスゴク不利です。

だって、日本人の得意な分野ならいいけれど、不得意な分野まで日本人が担当したら、全体として巧くまわらないでしょ。


というわけで、「企業の中で、様々な国の人が自分たちの最も得意なことに集中して分業したらいいじゃん」と思うのです。

たとえば日本には、「グローバル環境で大企業を経営する」スキルをもった経営者が非常に少ないです。ゼロとは言いませんが、とても少ないのです。その理由は・・

・そもそも「経営」が大事な機能だと思ってない。


・「経営」が、「開発」や「経理」「法務」など他の専門分野と同様、一定のスキルセットや知識が必要な機能分野であり、それを担当する人は、まずは経営を勉強し、さらに実践的に経験してスキルを高めることが必要、とも理解していない。


・その上「経営」を「60歳以上の日本人男性」にしか担当させないと決めている。(もし、「開発を 60歳以上の日本人男性にしか担当させない」と決めたら、どうなるか考えてみてくださいな)


結果として現状では、「グローバル市場において、大企業を経営できるスキルをもった日本人」って、本当に少ない。

だったらいっそのこと経営については、別の国の人に任せてしまったほうがいい。

たとえば製造業に関しては、「モノ作りもわかっているし、迅速な意思決定も得意。前例がないことでもリスクをとって大胆に決められる」、台湾、韓国、中国の人にやってもらったほうが、巧くいくでしょ。

そして日本人は「開発」に注力すればいいんです。

そういう意味で、今回のシャープへの台湾企業の資本注入は(第一歩として)非常にいい感じ。経営は台湾の人、開発は日本人がやればいいじゃん!って感じです。


日本の輸出産業と言えば、長らく自動車産業とエレクトロニクス&ハイテク産業だったけれど、今、自動車会社はまだなんとか持ちこたえているのに、後者が軒並みアウトになっているのは、後者の方が圧倒的に環境変化が激しく、経営にスピードが求められるからです。

つまり、経営の舵取りが難しい分野だからです。

日本の大組織は意志決定が驚くほど、たまげるほど、びっくらこいてしまってシャックリが止まるほど遅いので、ハイテク分野の企業経営なんて、もう無理だと思うんです。

なのでこの分野の企業経営は、中国人や韓国人に任せたほうがいいでしょう。

もちろんマーケティングや商品設計も外国人に任せたほうがいいよね。

グローバル市場のニーズを理解する、といった時、顧客は(もうほとんどモノを買わなくなってしまった)「日本の中高年」ではなく、伸び盛りの国の若者であり、ファミリー層なんだから、商品企画担当者はそういった環境で育ってきた人に任せた方が圧倒的に土地勘が働くはず。

調達も彼らに任せましょう。

これからはグローバル調達が基本ですから。そうそう、M&Aや買収した子会社の経営ももちろん外国人に任せましょうね。英語もできない人にそんなことやらせるのは無理です。


じゃあ日本人は何を担当するのかって? もちろん日本人がとても強い分野を担当しましょう。たとえば・・

・基礎研究

・技術開発

・オペレーションの改善(工場での製造工程の他、サービスオペレーションも含む)


・販売員、店舗スタッフや、ホテル、レストランなどのサービススタッフの教育と育成

・味覚関連商品の開発


・ファッション、センス系のデザイン

・キャラクター開発、アニメ系クリエイション、おもしろグッズの発明

などなど。


日本人は重箱の隅をつつくのも大好き(かつ得意)なので、“経費計算業務”なども向いてるんですが、こういうのは給与が低いフィリピン人にやってもらったほうがコストパフォーマンスがいいんで、東南アジアでやってもらいましょう。

あと、人材育成と人事関係はアメリカ人に任せましょう。日本には、経験を知識化して教えるという文化がないので、人が育つのがめっちゃ遅いです。

この点、アメリカにはすべての暗黙知を「trainable」にするという文化があって、人を育てる仕組みを作るのがとても上手。加えて業績評価や解雇(すること)にも慣れてます。なので人事・研修関連は全部、アメリカ人に任せたほうがいいと思う。


「日本企業だから日本人だけで経営する!」なんてのは、「高知県の会社だから高知県出身者だけで経営する!」とか「横浜市の会社だから横浜市出身者だけですべてを担当する!」と決めるのと同じくらい馬鹿げてます。

どこの人でも、得意な人に任せるべきでしょ。


というわけで、企業内の機能、全部を日本人がやる必要はありません。特に経営は他国の人に任せよう。

どうせ日本人って、経営が大事だと思ってないじゃん。

だから「経営が向いてる人」じゃなくて、「技術者として優秀だった人」とか「営業でいい成績を上げて来た人」「社内政治が得意な人」に経営者をやらせるんでしょ? 

それよりは他国の若い人で、経営が得意な人、好きな人、それを勉強してきた人、やってきた人に、任せたほうがいいと思うよ。


分業、分業!


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そんじゃーね。


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