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Chikirinの日記

2012-07-12 「赤ちゃんが欲しい人の本」を読んでみた

不妊治療について、なんか一冊読んでみようと思って、これを買ってみました。不妊治療クリニックを経営されている女性医師が書かれた本です。

赤ちゃんが欲しい人の本

赤ちゃんが欲しい人の本


目次は、

1.やっぱり心配 ひょっとして不妊症!?

2.妊娠力アップ 赤ちゃんができる生活

3.赤ちゃんが欲しい! 病院へ行こう!

4.チャートで分かる不妊症の原因と治療

5.いろいろ大変だから、納得して治療を受けるために

「不妊治療問題」についての本ではなく、「赤ちゃんが欲しいんだけど、なかなかできない・・・」という人のための本です。イラストが多くて、大きな文字で、イイ紙で、ずっと手元において何度も見るための本、みたいな作りです。



以下、いくつか内容からご紹介

「WHO(世界保健機構)による7273カップルの不妊症の原因調査」によると、不妊の原因は・・・

女性のみにある=41%

男性のみにある=24%

男女双方にある=24%

原因不明=11%

重なりを併せて計算すると、女性に原因がある場合が65%、男性にある場合が48%ってことですね。

(誤解のないように。これは不妊治療(検査)を受けている人が母集団です。)



「赤ちゃんができないなー」と思った時、いつのタイミングで病院に行くべきかについて

赤ちゃんができないからといって、不妊症とは限りません。セックスのタイミングがずれているのかもしれませんし、単にふたりの体調がちょっとよくないだけかもしれません。ですから、ふつうは1年ぐらいは様子をみます。(中略)


ただし、妊娠を妨げる病気などがありそうなときは、1年待たずにすぐにでも病院へ行くべきです。(中略)


女性の年齢が30代半ば以降(34才以上)なら、一年もようすをみないで、すぐに病院へ行くことをおすすめします。


以上、太字にしたのは、ちきりんです。

病院にいくタイミングは、こういうのを先に読んでいるかどうかでかなり違いそう。女性の年齢が高くても、仕事が忙しかったりすると2,3年は病院に行かないカップルも多そうな気がします。

なおこの本の第一章には、男女別の「気がかりチェック表」がついていて、質問に答えていくだけで、今すぐ病院にいくべきか、1年は様子をみてもよいか、わかるようになってます。



こちらは基本的なタイミング療法ですね。これで巧くいったら幸運という感じでしょうか。

妊娠しやすいセックスの回数は?


基礎体温でわかる排卵日は、あくまでもおおよその排卵日なので、日にちの幅があります。一方で、精子は卵管の中で二日から数日は生きることができます。ですから、セックスは一回ではなく、何回かを排卵日に集中させると、受精の可能性が高まります。


具体的には、体温がガクンと下がる前日に一回、その後は一日おきに2回というようにセックスをするとよいでしょう。



全体の治療のステップはこんな感じ。

<不妊治療はこうして進む>


ステップ1(約3ヶ月)各種の検査を行って、不妊原因を明らかにするための期間

  初診、検査、カウンセリング、基本的なタイミング指導など


ステップ2(約一年)ステップ1を踏まえ、治療を行う期間

  超音波で排卵日を割り出し、より正確なタイミング指導など

  排卵障害の場合は、作用が緩やかな飲み薬を使うなど


ステップ3(半年〜1年)ステップ2を踏まえ、より高度な治療を行う期間

  人工授精

  排卵障害がある場合は、飲み薬よりも強力な注射による治療など


ステップ4(2〜3年)一般治療では結果がでなかったことを踏まえ、高度医療を行う期間

  体外受精、場合によって顕微授精、ギフト法など


ステップ1〜3が一般治療、4が高度医療と分けられているようです。治療の妊娠率は、

・一般治療で妊娠する人が4割

・高度医療に進んだ後に妊娠する人が4割

併せると、8割が妊娠に成功、とのこと。

反対にいえば、治療を受けている人の5人に一人は高度医療を受けても妊娠できていないし、6割の人は一般治療だけでは妊娠できない、ということです。(かつ、妊娠しても出産までに何らかの問題が起こり、出産できない場合もあります。)

それにしても、治療期間がすごく長いですね。もちろんスグに成功する人は短いわけですが、5人に一人は3年、4年と治療を続けて、それでも妊娠にまでも至らないとなると、経済的、身体的、精神的、時間的な負担はかなり大きそう。



検査の種類や内容も、それぞれ内容や目的の説明が載ってるのですが、それを読むと、女性の検査が、超音波検査、子宮卵管造影検査、通水・通気検査、子宮鏡検査、頸管粘液検査、ヒューナーテスト、ホルモン検査、腹腔鏡検査と多岐にわたるのに、男性については、精液検査と精巣検査のみ・・。目次を見るだけでも女性の負担が大きいことがわかります。


男性の精液検査はこんな感じ。

精液検査とは、精液を採取して元気な精子がどれくらいいるかを調べる検査です。(中略)

なるべく状態のよい濃い精液で検査をするのがよいので、数日間禁欲してから行います。専用の容器を渡されるので、病院の採精室(もしくはトイレ)でマスターベーションによって精液を採取します。

→採取された精子は、すぐに検査に回されます。


治療費は、体外受精になると跳ね上がるようで、

体外受精 20万円から45万円

・排卵誘発のための薬代や検査代は別

・顕微授精の場合は、上記に5万円から10万円プラス

健康保険はきかないので全額自己負担なのですが、これを数回やったら・・・すごい額ですね。ちなみに30代後半の治療経験者は、総額400万円くらいかかったと言ってました。


この本に、今、体外受精で生まれる赤ちゃんは日本では一年に1万5千人と書いてありました。去年の日本の出生数は105万人なので、1.4%の赤ちゃんが、体外受精で生まれていることになります。

また上記に「一般不妊治療で4割が妊娠、高度医療(体外受精など)で4割が妊娠する」と書いてあったので、(やや不正確ですが)体外受精で生まれる赤ちゃんと同じ数の赤ちゃんが一般不妊治療を経て生まれているとすると、日本で生まれる105万人のうち、2.9%の3万人程度が不妊治療の結果、生まれていると推定できます。

経済的な理由で不妊治療ができていない人も相当数いるはずなので、不妊治療が保険適用になれば体外受精で生まれる子供はもっと増えるでしょう。


それと、日本で不妊治療を受けている人の数は28万強と書いてありました。昨年、赤ちゃんを産んだお母さんの数が約105万人ですから、この数字はかなり大きな数字なんじゃないでしょうか。

28万人が希望どおり子供を産めていたら、出生数は105万から133万人へと26%も増えるんですよ。少子化対策としてこれほどインパクトのある施策は他にはなさそうに感じます。(出生数を10%増やすだけでも相当大変なことです。)


赤ちゃんが欲しい人の本

赤ちゃんが欲しい人の本
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というわけで、とりあえず超基本的なことだけ理解したのですが、この本に載ってるレベルのことを大学で参考授業として全大学生に教えるだけで、出産年齢の高齢化に歯止めがかかるんじゃないかなと思えました。

あと、「仕事が落ち着いたら、子供も作りたい」と思ってる若いカップルの方も先に一度、読んでおくのもありだと思います。仕事って一生“落ち着いたり”しないから・・


それにしても、不妊治療における女性への負担の重さは(けっしてそれが強調されているわけでもないのに)ヒシヒシと伝わります。当事者の方は本当に大変な経験をされているのだと思いました。

・・・


ずっと続けて書く気はありませんが、この問題については、引き続き、考えていきたいと思います。


そんじゃーね。



前回のエントリ)「不妊治療問題の整理



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