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Chikirinの日記 RSSフィード

2012-11-13 すべてがアマゾン経由で売られる時代へ

先日ネット通販企業の経営者が、「配送料や手数料が高い」とつぶやいた顧客(女子高生)を、ツイッター上でいきなり罵倒した事件がありました。(下記エントリに書いた件です)

 → 「Twitterについて理解しておくべきこと

そのネット通販企業は、社長がお詫びをした後、今月から配送料を完全無料化すると発表しました。購入額に関わらず配送料はゼロです。


これを機に、ネットでモノを購入することが急拡大している昨今、“配送料”の相場がこれからどうなっていくのか、もう一度考えてみました。

この件に関するキープレーヤーは、皆様ご存じの通り、アマゾンドットコムです。今、アマゾンでモノを買うと、本にしろ雑貨にしろ、アマゾンの倉庫から直接発送されるものに関しては、値段に関わらず配送料は無料です。500円のモノをひとつ買っても、無料で届けてくれるのです。(追記の注:その後ルールが変わり、それより安いものは、まとめて買うことを要求されます)

こんなことがなぜ可能なのでしょう? 


考えられる理由はいくつかあります。

理由1)配送業者が、通常より大幅に安い単価で仕事を請け負っている

これは当然でしょう。ヤマト運輸、日通などにとっては、大量の商品を一箇所でピックできて作業効率もいいし、アマゾンは今後も取扱高がどんどん伸びていくと予想される有望顧客なわけですから、ギリギリの値段を示してでも取引したいでしょう。

その上、こういった世界最先端の倉庫管理、物流システムの設計や運営ノウハウを学べる機会は、利益には替えられない大きなメリットがあります。アマゾンが存在しない韓国の配送業者や、アマゾンとつきあえない中小業者には、決して得られないノウハウを、ヤマト運輸も日通も蓄積しつつあるのです。


理由2)仕入れ単価が非常に低い

1000円の書籍を出版社から600円で仕入れれば、200円の配送料がかかっても200円の利益が確保できます。出版社にとって「納入価格が低いから、うちの本はアマゾンでは売らない」などという選択肢が存在しないことは明らかです。

本以外の商品についても、アマゾンの販売力が高くなればなるほど、出品業者側は納入価格をぎりぎりと引き下げざるを得ないでしょう。大量に売れるものに関しては、メーカーからの直接仕入れだって可能です。そうなればアマゾンにとっての仕入れ価格はもっと下げられるはずです。


理由3) 客の購入単価は必ずしも低くない

世の中には500円のものを一つだけ、しかも毎日のようにアマゾンで買う人もいるのかもしれません。でもちきりんの場合、受け取りも面倒だし、段ボールの処理もウザイので、急がないものはまとめて注文することがよくあります。

制度としては何円のものを買っても配送料はタダですが、実際に「ものすごく安いもの一品」の注文はそんなに多くないかもしれません。

そうなれば、一部に足の出るケース(配送料無料では利益がでない商品)があっても、全体としては問題なく制度が維持できる、というわけです。


ちきりんは過去にも何度も、この件に関してエントリを書いています。下記の最初のエントリにあるように、物流はネット消費時代の三大インフラのひとつです。また、3番目のエントリにあるように、楽天が最も苦しくなるのはこの点での格差でしょう。

<過去関連エントリ>

ネット消費時代のインフラ御三家 物流・決済・窓口

アマゾンが一番すごいと思う

楽天とアマゾン


ちきりんには、アマゾンは今、ものすごくいろんなことを仕掛けに来ている、という気がしています。それは、キンドルどころの騒ぎじゃない“何か”です。


たとえばこのマロントリュフ、めっちゃ美味しいのですが、これを作っている有名なパティシエのタカギさんのお店は東京にしかありません。(レビューで“おいしくない”とか書いてる人がいてびびります・・。味覚は人それぞれですが、ちきりんにとってはこれは絶品レベルです)

(詳細エントリはこちら)

私は青山のお店で買うのですが、直接は買いに行けない人も多いでしょう。普通はそういう場合、お店が電話で注文を受けて配送したり、オンラインサイトを開いてネット通販をします。パティシエタカギにもオンラインショップがあります。でも、それだと配送料を無料にはできません。

ところがアマゾン経由なら配送料無料で届くわけです。(お店のオンラインショップと商品の値段自体は同じです) ←追記)今見たら、販売元配送になってました(=配送料が必要)・・・もしかして注文殺到でアマゾン分売切れ・・?


現在、アマゾンに出品してモノを売っているお店や小売業者はたくさんあります。その多くがアマゾン経由の注文でも、自社から配送しているお店です。

しかし、これらの商品を買うと配送料が最低でも600円程度かかることが多いので、ちきりんは最近「この商品はアマゾンから直接配送します」という商品ばかりを買うようになりました。販売元がアマゾンに販売委託をしている商品ということです。

皆がそうなれば、お店の方も「アマゾンの倉庫に置いてもらった方がよく売れる」と考え始めます。当然、納入価格は低くなりますが、その分の配送や包装・決済業務は不要になります。


もし多くのお店や小売店が、「自分で売るよりアマゾンに売ってもらった方が得だ」と考え始めたら・・・・?



「すべてのものがアマゾン経由で売られる未来」も、決してあり得ない世界ではないのです。



そんじゃーね