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Chikirinの日記 RSSフィード

2013-01-27 興味が持てない2つのニュース

アルジェリア、イナメナスの天然ガス精製プラントで、イスラム過激派のテロリストに各国の技術者達が殺害された事件。

日本人が最多の10名も殺害されたということで、事件発生からずっと、膨大な量の関連ニュースが流されました。


なんだけど、ちきりんは今ひとつこのニュースに関心がもてません。もちろん、そんな場所で苦労しながら働いていた8カ国37名の方(もっと増えているのかも?)のご冥福は心からお祈りしたいし、ほんと、いいかげんにしてほしい(→テロの人)とは思います。

でも、“報道”にはあんまり興味が湧かず、チャンネルもすぐ変えちゃうし、新聞記事も読む気がしません。

それってなんでなんだろと自分でも不思議だったので、ちょっと考えてみました。


一番の理由は「そんなこと議論しててもしゃーないでしょ」ということ。

テレビキャスターも政治家も、「今後、どうやって海外で働く邦人の安全を確保していくのか」とか、「緊急時に、情報がより迅速に入るようにすることが必要」などとまじめな顔で言ってますが、ああいう場所がどういう場所か、わかって言ってんのかな??

ぶっちゃけて言ってしまえば、あんなところで民間人の安全を守るといっても限界があります。本気で確実に守りたいなら、プラント全体を米軍基地の中に作るくらいのことをしないと不可能でしょう。

「緊急時でも情報を迅速に手に入れる」って、砂漠の真ん中で銃撃戦が行われてるんだよ。いったいどうやって、誰が情報を取りに行けと?


今回だって、プラント運営側は相当の対策をとっていたはず。それでも命も惜しくないような人たちが、戦争で使うような武器をもって突入してきたら(相手を皆殺しにできる手段でももたないかぎり)どうしようもないんです。

日揮のほうはそんなことは百も承知の上で、リスクとって仕事してる。わかっていて社員を海外に送っているわけです。

彼らはこんなことがあっても、海外でのプラント工事を止めたりしないし、アルジェリアのこのプラントだって、おそらく続けていくんでしょう。


プラント会社だけでなく、商社マンとかメーカーの現地法人トップも、世界のあちこちで定期的に誘拐されたり襲撃されたりしてます。もちろんみんな気を抜いていたわけではなく、護衛官付きの車で移動してる。それでも襲われる。

でもどこの会社も、だからといってそういう国から全面撤退したりしない。

その覚悟と使命感に対比して、あまりに呑気で適当な議論をしてるニュースをいまいち見る気がしないというのが、私がこれ関係のニュースに関心がもてない理由だと思います。



もうひとつ。大きく取りざたされてるのに見る気のしないニュースがあります。

大阪、桜宮高校のバスケ部キャプテンが顧問から体罰を受け(というか、暴力をふるわれ)翌日に自殺した事件です。

その後、橋下大阪市長や教育委員会の意向で体育科の入試が中止されるのどうのということになり、騒ぎが続いています。


このニュースもいまいち関心が持てず、「なんであたしはコレに興味がないの?」と考えてみました。

ひとつはコレも「死者がでなかっただけで、教師による生徒への暴力は、もっとあっちこっちの学校で起こってるはず」と思われるのに、報道はこの一件のみに注目し「なんでこんなひどいことが!」みたいな話になってるからだと思います。

一言で言えば、白々しいんです。


以前も、「教師の採用にコネが働いてる!」とか言ってメディアが大騒ぎしていてあきれたことがあります。(関連過去エントリ→ 「大分県教委の汚職事件に関するエントリ」)

教師の採用がコネだらけであることなんて、生徒さえ知ってる話でしょ。

なんでテレビキャスターが目を丸くして「教師がコネ採用なんていいんでしょうか!?」とか言ってるかな。と思えてね。てか、自分自身テレビ局で働いてて、コネ採用の人に会ったことないの?? って感じです。


朝日新聞が大騒ぎしてた「いただきます論争」の話も同じ。(参照過去エントリ → 偽造される社会論争

メディアってほんと、自分たちだけで虚構の世界に入り込んで議論するのが好きだよね。


今回のテロ事件、プラント全体で何人の人が働いており、そのうち何人が殺されたか、みなさん知ってます?

日揮の関係者だけでなく、日本人の被害者の数だけでなく、

・全体で何人が働いていたプラントに、

・何人のテロが押し入り、

・何人の犠牲者がでて、

・そのうち、アルジェリア人と外人はどういう比率で

・今まだ安否がわからない人は何人いる

んでしょう?


プラント全体で働いていた人の数が40人で、そのうち37人が殺されたのか、全体の労働者数は1000人で、今回37人殺されたのか、それって意味がかなり違うでしょ? 

押し入った方のテロは20人だったのでしょうか、それとも200人の武装勢力が押し入ったの? これも、その規模によって全然違う事件に見えるよね。でも、こういう数字をググらずに言える人って、どれくらいいるんでしょう? 


事件の全体像を報じることより、邦人被害者10名の氏名を個別に手に入れ、高齢の両親が顔をくしゃくしゃにして泣いている絵をとりたいだけ。に思えてしまうから、ニュースに関心がもてないんです。

教育現場(特に体育教育現場)での教師による暴力の実態や、大阪の一部無法地帯化している学校の実態には切り込まず、今の時点で叩かれて弱っている特定の学校の過去のアラだけを、これでもかこれでもかとほじくり出したり、

大阪における“めちゃな場所”が、どんだけめちゃか、想像もできないくせに、適当な対策を議論する、もしくは、その「めちゃな実態」の構造自体(→なぜどこの学校でも、暴力教師を起用してまでも全国大会で自校のチームを優勝させたいと思うのか、とか、大阪の公立学校って、上位ガバナンスがちゃんと働いてない学校が山ほどあるんじゃないの? それってなぜ? とか)を報道しようとしない。


そういう報道にまったく興味がもてないんです。


韓国ドラマみてる方が100倍マシ



自殺された生徒さん含め、亡くなられた方のご冥福を心よりお祈りいたします。

2013-01-24 縮む市場でめちゃめちゃ縮むビジネス

前回は、「縮小する市場においても、成長できるビジネスはいくらでもあるんですよー」という話を書きましたが、賢明な皆様はすでにお気づきのはず。


縮小する市場で伸びるビジネスがあるということは・・・


縮小する市場でめちゃくちゃ縮小するビジネスもあるということだ!!!



そのとおり。

前回のエントリでちきりんが言いたかったのはまさにそれです。


というわけで、ひとつずつ見ておきましょう。


<縮む市場で成長する企業にまでやられ、めちゃくちゃ縮むビジネスとは?>


1.大型店、チェーン店に客を取られる個人商店


2.ネット企業に客を取られるリアル店舗や代理店


3.一昔前の若者の嗜好品を作ってる会社


4.専業主婦がいることが前提の商品

これは商品というより、慣行とか学校などかもしれません。幼稚園とか、やたらと帰宅の早い小学校とかね。

手のかかる食材も、どんどん半製品や下処理の済んだ商品に置き換えられていくでしょう。


5.市場化によって売れ残る商品

実はこれが一番、厳しいよね。売れない商品が出てくるのは他のカテゴリーと同じですが、その商品が「人間そのもの」だったりするから。


たいへんたいへん


笑う者あれば泣く者あり 


ご覧のように、普通にしてれば、企業の売上げは下記のラインに沿って下がっていきます。

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そして上記で挙げたような企業は、このラインを遙かに超えるスピードで衰退していくわけです。売り上げも利益も下がるし、それに応じてもちろんコスト(の一部である人件費、つまり給与も・・)減っていく。



(あたしが韓流ドラマ見てダラダラにやにやしてる間に)みんな頑張って働くように・・・


そんじゃーね

2013-01-22 縮む市場で伸びるビジネス

以前にも使った下記のデータ。日本の20代と30代の合計人数の推移です。

戦後すぐから1980年まで、20歳から39歳までという消費意欲が高い人の総数は、急速に伸びてきました。こんな時代なら、炊飯器を売るのも自動車を売るのも、さぞかし簡単だったことでしょう。

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ところが1990年以降は、この数が伸びなくなりました。だから多くの企業は、頑張っても頑張っても売上げが伸びない・・・という状況に陥ったのです。

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そして今から起こるのがこれ・・・

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絶望的?

日本ではもう高齢者向け市場しか伸びない? 海外に出るしかない??


そうですね。だからどの企業もシニアシフトだし、中国だインドだブラジルだと言ってます。


でもね。実は日本で若者向けにビジネスやってて、売り上げが伸びている企業はいくらでもあります。それはどういう企業なのか。今日はその類型をまとめておきます。


<市場全体が縮んでも、売上げが伸ばせる企業とは?>

1.個人商店を淘汰して伸びるビジネス

個人経営の店がどんどん潰れ、それらの売り上げが大型店やチェーン店に移行することがよくあります。これにより縮小市場においても、特定企業は売り上げを伸ばし続けることが可能になるのです。

近所のおじさん、おばさんがやっていた小売店や雑貨屋が潰れれば、その分の売り上げがコンビニやスーパーに流れます。

都会ではコンビニもスーパーも飽和気味ですが、地方だとまだこのパターンで売上げをアップできるエリアもあるはずです。「そういえば、うちの田舎、最近やたらとセブンイレブンが増えている」って人いませんか?

全く同じことは多くの分野で起こりえて、個人経営の喫茶店が潰れてスタバやドトールが伸び、個人経営の定食屋が潰れてファミレスやファストフードチェーンが成長します。

そういえば個人商店の家具屋って、都会ではもうあんまり見ませんが、そのかわりにイケアやニトリが売り上げを上げていくわけです


2.ネットで代替して伸びるビジネス

今までリアル店舗で売れていたモノが、ネットで買われるようになり、ネット企業の売り上げが(市場全体では売上げが下がっていても)伸び続ける、ということも起こります。

旅行取り扱いもそうだし、書籍だって全体としては市場規模が縮小するでしょうが、当面アマゾンの売上げは伸び続けるでしょう。

生命保険だって全体の市場は伸びるはずもないですけど、ネット生保の売り上げは伸びないはずがありません。今後は、食料品の販売でも、ネットスーパーの売上げはどんどん伸びていくでしょう。

これだけ子供が減ると、塾や予備校の市場規模が伸びるとは思えませんが、e-learningのソフトやサービスで急成長する企業は、出てきても不思議ではありません。


3.嗜好変化によって伸びるビジネス

人の嗜好は時代によって急速に変化するので、エンタメやファッション、文化など嗜好性の強い分野では、人口が減っても、新たに売れ始める商品やサービスが出続ける可能性が高いです。

ソーシャルゲームやITガジェットが売り上げを伸ばしているのはその典型で、代わりに一昔前の若者がお金と時間をかけていた「車でデート」みたいな遊び方は消え、映画はもちろん、音楽や演劇、雑誌、そしてテレビなど、数多くのエンタメ市場から、どーんとお金が移動しています。

伊達めがねも含め、あれこれメガネを掛け替えるのは若者にとってはファッションの一環ですが、ブランドモノを持つ代わりに格安メガネでおしゃれを楽しまれては、ファッション市場全体は大きく縮小してしまいます。とはいっても、その中で、おしゃれメガネ屋自体の売り上げは急増するというわけです。

次世代の若者がエキサイトできるモノを提供できれば、若者の数が減っても、また、彼らがエンタメに使う総額(市場全体)が縮んでも、それを提供できる企業は、関係なく成長できるのです。


4.専業主婦ジョブの外部化で伸びるビジネス

人口が減るだけでなく、若い人はひとりあたりの収入も伸びません。ですけど、今までは夫だけが働いていたのに、これからは二人とも働き始めます。このことによって新たな市場がでてきます。

完全なビジネスとはいえませんが、保育サービスはまだいくらでも売上げが伸びそうだし、介護施設の売り上げも(専業主婦である妻が義理の親の面倒を見ることが不可能になり)まだまだ伸びるでしょう。

外食や中食は「家で調理する」代わりに伸びるし、そのうち子供の送り迎えなどを含め、家事手伝いサービス的なビジネスも増えるはずです。(今はルンバですが・・)

また単身者が増えることで、今までは家族の中で融通されていたものが外部ビジネス化するというパターンでも、いろんな可能性がありそうです。


5.市場化によって伸びるビジネス

婚活や就活、転職などが典型的なのですが、過去には相対取引だったものが市場取引に移行し、それに伴い、周辺に新たな産業が誕生することがあります。

就活、転職といっても一般的な人材紹介ではなく、たとえば「女性の社外取締役を捜す市場」などは、昔はなかったのに新しくでてきた人材ビジネスです。

有能なスポーツ選手を海外チームに移籍させるビジネスだって、昔はほとんど存在しなかったでしょう。

講演会の講師を探す“講師市場”も形成されつつあるし、口コミで評判を広めてくれる影響力のある人とスポンサー企業をつなぐ市場も、半分アングラ的ではありますが、出てき始めていると思われます。

負の側面ですが、貧困ビジネスもこのパターンです。



このように、日本の縮小し続ける若者市場においてさえ、まだいくらでも急成長するビジネスはあり得るし、そういう企業は興し得るってことなんです。


というわけで、(あたしが韓流ドラマ見ながらダラダラしてる間に)みんな頑張って働いてください。


そんじゃーね

2013-01-19 第三次グローバリゼーション

グローバリゼーションというと、「海外から格安な商品が輸入される」みたいなことをイメージしがちですが、それって「第一次グローバリゼーション」、もしくは「第二次グローバリゼーション」であって、今後はいよいよ本格的な「第三次グローバリゼーション」が始まるでしょう。


ここで第一次グローバリゼーションとは、技術の進歩によって、モノの国際移動が可能になったことを指しています。

最初は大型船ができて、機械製品の輸出が可能になりました。だから日本車も日本のテレビも、世界中で売ることができたのです。そのうち冷凍技術や農薬など化学技術が進んで、腐りやすい生鮮食品も地球の裏側から取り寄せられるようになりました。

このように、世界でそれを作るのが得意な国から、世界中に製品・商品が輸出されるのが、第一次グローバリゼーションです。


その次に労働力や医療など、「運べる商品や製品以外のもの」が世界中で共同調達・共同利用されるようになりました。

企業は製品を輸出・輸入するかわりに、工場を海外に建ててそっちで製造するという方法を選びます。これにより、労働力のようにモノとして輸入することが困難なものでも、グローバル調達が可能になりました。

先進的な医療を行える国に、他国の病気の人が行き、そちらで移植手術を受けたりするのも同じです。これって事実上の「医療の輸出」(反対側から見れば輸入)ですが、医療は動かせないので、人が動いているわけです。

不動産も動かせませんが、REITという形で証券化すれば、海外から投資(保有)することが可能になります。文字通り「動かないもの=不・動・産」であった土地が、どこへでも移動できるようになったのです。

それらをここでは「第二次グローバリゼーション」と呼びます。


さて、これから始まる「第三次グローバリゼーション」とはなんでしょう?

それは、高度教育人材のグローバリゼーションです。頭脳のグローバリゼーションと言ってもいいでしょう。今まで、先進国の圧倒的な強みは高い教育をうけた人材が豊富だったことです。

企業が海外進出するにあたって、先方の国の教育レベルを重視するのは、教育レベルが事業の生産性を規定すると知っているからです。

経済発展を望む大半の国が、最優先課題として教育分野に投資をするのも同じで、それが「国富を生む条件として、非常に重要な要素である」と考えているからです。


そしてその貴重なリソースは、これまで圧倒的に先進国に偏っていました。大学レベル以上の教育を受けた人の絶対数や、大学院レベル以上の研究をする人の数に、新興国と先進国では大きな差がありました。

今後はこの格差が一気に縮まり、「高度知的人材のグローバル調達」が本格化することでしょう。


高度教育のグローバリゼーションも、インターネットを中心とする情報化技術の革新が引き起こします。

今までは、その国の政府が義務教育制度を整備し、実際にハード(箱)としての学校を建設し、給食を提供したり、授業料を税金でまかなったりしながら、国の隅々まで届く学校制度を整備しないと、その国の教育レベルは向上しませんでした。

シムシティをやったことのある人ならわかると思うけど、これは大変なことなんです。(参考エントリ → 「世界はゲームだ!


でもこれからは、当事国の政府が少々ぼーっとしていても、世界水準の教育を受ける高度知的人材は登場しえます。

格安のスマホ的端末が世界中に普及し、無料のe-learning プログラムが提供されれば、新興国の田舎で、高校もない村に生まれた子供でも、英語や基礎的な数学を学べるようになるからです。

それらのプログラムの多くは、言語ができなくても直感的に操作できるものであり、大人が使い方を教えてくれなくても、子供達が自分で勉強できるでしょう。


基礎的な内容の習得が終われば、世界の大学がネットに流す授業を無料で受けたり、世界の専門家が議論するネット上のコミュ二ティに参加することにより、双方向の教育を受けることも可能になります。

プログラミングや金融理論など高度で複雑な分野でさえ、じっくりと資料を読み込んだり、議論&作業に自ら参加することで、自学自習ができる環境が整うし、名だたる学術誌やシンクタンクがネット上に公表する論文を読めば、専門的な分野についての知見も無料で獲得できます。


誤解のないように。私は世界中のすべての人がそれらを使って、高度な知的人材になるのだと言っているわけではありません。

そうではなく、卓越した意欲と能力のある人であれば、教育環境の整った先進国以外に生まれても、世界最高レベルの教育を受けることが可能になると言っているのです。

そうなれば、いままで先進国にしかいなかったそれらの人材の数は、10倍になる可能性があります。(世界の人口が90億人になる数十年後に、今の先進国人口は9億人です)


今までは、世界的にすぐれた数学的才能をもつ人を探そうと思っても、先進国でしか見つけることができませんでした。他のどんな分野にしろ、「最先端の頭脳」はほぼすべて先進国に所属していたのです。

けれど今後は、最先端の頭脳が、必ずしも大学進学率も高くない、義務教育さえしっかりしていない国から出てくるかもしれません。世界の頭脳が今までの10倍になり、様々な国から出現するのです。


インドネシアには今、2億人以上の人がいます。世界中の企業がこの国を“大消費地”として有望視しているし、その豊富な労働力を活かせる“製造拠点”としても注目しています。

しかし、人口が日本の倍であるこの国には、理論上、日本の2倍のタレント(才能)も存在しているはずです。

彼らはまだ見いだされていないし、高度な教育を受けていません。でも、もし彼らが教育さえ受けられれば、日本にいる同等の人の倍に上る“超優秀な人材”が出現するでしょう。


今まで先進国の最先端企業は、自国の中で最も優秀な人から順番に採用していました。最も優秀な人たちは、その国で最も人気のある企業に就職するので、それ以外の企業は仕方なく“次のレベルの人”を自国内で採用していたのです。

でも、よく考えたら、他の国にはもっと優秀な人がいるじゃん!?

と彼らが気づくのは当然でしょう。そしてそれが可能になるのも時間の問題です。


第二次グローバリゼーションによって、工場で働いている人は、世界との競争にさらされました。これからは、ビルの中で働く人、大学で働く人、研究所で働く人たちが、世界との競争にさらされる番です。

しかもそんな大惨事グローバリゼーションは、すでに始まりかけているのです。


おっと、誤字でした。

大惨事じゃなくて、第三次グローバリゼーションです・・


そんじゃーね

2013-01-15 はてな訪問

“はてな”に遊びに行ってきました。“はてな”というのは、私がこの「Chikirinの日記」を書くのに使っているブログサービスを運営している会社です。


下記がこのサイトのURLですが、hatena って文字が入ってますよね。この会社です。

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/


はてなは京都で創業され、今も本社は京都なのですが、最近、東京でもオフィスを(再)オープンされたということで、遊びに行っていきました。南青山のこじんまりしたビルの3Fにあります。

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入り口には、見慣れたマークが!

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はてなオフィスの内装はナチュラル&シンプル系です。そういえば先月はmixiを訪問し、先々月はGoogleでランチを頂いてきたのですが、オフィスデザインにはそれぞれ個性があって興味深いですね。

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このロゴの下に受付電話があったので、「あのー、ちきりんと申します。近藤社長とお約束をいただいてるんですけど」と伝えます。



で、待つこと、1分


はてなの創業社長である近藤淳也さんとのツーショットです!

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左側が“はてな”の近藤社長ですね。そして右が・・・



似顔絵↓とそっくりでしょ

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・・・冗談ですよ。右側はチーフエンジニアの大西さんです。

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いったい何しに行ったのか、よくわかってなかったのですが、とりあえずコーヒーが出てきたのでホッとしました。

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ちょっと背景説明をしますと、今、私が使っているのは「はてなダイアリー」なのですが、実はもうひとつ、「はてなブログ」という新しいサービスが一年ちょっと前に始まっています。なので今は、ひとつの会社が、ふたつの似たようなサービスを提供しているわけです。

そのふたつの何が違うのかは、私には全然わからないのですが、とりあえず今日、お話を伺って、「あたしが理解する必要はないらしい」とは、わかりました。


訪問前は、「ちきりんさん、“はてなダイアリー”から“はてなブログ”に移行してもらえるなら、10万はてなポイントを差し上げますよ」って言われたら、どう答えるべきかなど3日くらい悩んで、友達にも相談していたのですが、それは杞憂に終わりました。

先方としては私に「これから“はてなブログ”がメインになっても、“はてなダイアリー”も廃止したりはしないから、安心して下さいね」と伝えたかったのかもしれません。


・・・それはありがたいことです。


でも実は私、「はてなダイアリーがサービス停止になるなら、その日に、ちきりんの日記も終わりにしよう!」と思ってたんです。だってちょっとかっこいいでしょ。


ひとつのブログサービスがその使命を終える時、ちきりんも静かにペンを置く・・・


でも、はてなダイアリーはなくならないそうなので、この案はボツになりました。



今のダイアリーについての使い勝手についても、いろいろヒアリングされました。

これについては、私は使い勝手にも特に不満はないし、デザインテンプレートにもうちょっとバリエーションがあればいいな、大人用というか、ビジネスライクなのがあればいいなとは思いますが、そんなに深刻な問題でもありません

なによりも日付がわかりやすいというのが、私がはてなを使っている大きな理由なのですが、この点だけで考えても今のところ、他に使いたいと思うブログサービスはないんですよね。→ 「私が“はてな”で書き始めた理由

これには「そんなことが理由なんですか?」みたいな顔をされましたが、私に言わせると、「それ以外にはてなでブログを書く理由って何があるんですか?」って感じです。



あとは、“はてなブックマーク”という、はてなのメインサービス(←事業価値的な意味で)についてもいろいろお話ししました。

最近、私はブックマークとはちょっと距離を置いているのですが、その理由なども説明しました。これって「ネガティブなコメントが多いから非表示にしたのだろう」と思われてるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

ちきりんは、はてなブックマークを、どんどん健全で人畜無害なサービスにするという方向がほんとにいいのかどうか、やや疑問に思っています。

新しいはてなブックマークページも、ちきりんにはとてもいい感じですが、「こんなのヤダ!」という人もいるのはよくわかります。

まっ、この辺は高度な機密事項なんで、ここには書きませんけど。(←大げさすぎです)



てか、それってこの話とつながってるんだよね。→ 「“横の壁”が無くなる

今日もちょっと話したのですが、ネットメディアはまだまだセグメント別に未分化すぎるんだと思います。雑誌や新聞、テレビ番組のように「これは自分向けのものなのか」ということが、一見しただけでは全然わからない。

「いやわかるよ!」って言う人もいるでしょうけど、それは、そういう人向けのものが、既にネット上にあるからです。「自分向けのネットサイトがない」と思ってる人はまだまだたくさんいる。




というわけで、最後に記念写真も撮らせて頂き、

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ちきりんの背が低いわけではありません。(おふたりが巨大なわけでもないですが)


Tシャツも頂きました。

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楽しかったです。

ありがとうございました。


そんじゃーね!

って言わずに帰ってきたことだけが心残りです。



そんじゃーねー!

2013-01-12 1986年の7月、僕は体制を変えたいと思った。

最近、本の紹介が続いているので、また本について書くのはどうかとも思ったけど、今日はこれを読み終えてから他には何も考えられなくなってしまったので、毒をはき出す意味で書くことにします。


読んだのはこちら

ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)
小林 和彦
新潮社 (2011-10-28)
売り上げランキング: 51,080


著者の小林和彦氏は1962年生まれ。早稲田大学でアニメーション同好会に所属し、卒業後はアニメ制作会社の亜細亜堂に勤務。

その 2年後、幻覚妄想状態となって精神科に入院(後に統合失調症と診断)。

その後は入退院を繰り返しつつ、現在(正確には出版タイミングである 2011年 11月に)はグループホームでデイケアを受けながら暮らしています。

この本は、著者が発狂した時に何を考えていたか、世の中がどう見えていたかについての、克明な記録の書です。


「発狂」という言葉は、著者が使っている言葉そのままです。“序”に次のようにあります。

僕はかろうじて人を傷つけなかった。

自分の命もなんとか守った。

そういう意味で「正しい発狂」をしたと思っている。


幼少時から大学時代までについて語る第一章に続き、働き始めてから仕事で関わったアニメについても詳しく説明しつつ、著者(の精神状態)に何が起こったかが時系列に説明されます。

特に、初めて幻覚妄想に襲われ、精神科に入院することになった 1987年 7月 25日から 27日の 3日間と、

その前段階である 7月 20日からの 5日間の高揚感溢れる思索と行動の記録は壮絶なもので、

読み手も尋常ではない思考の世界に否応なく巻き込まれます。

今日のエントリのタイトル、「 1986年の 7月、僕は体制を変えたいと思った」は、この 7月に彼の頭の中に降ってきた指令であり、確信です。(本書中の一文です)


下記は「発狂」というサブタイトルが付けられた、特定の日の記述ですが、「その日のことを、ここまで詳細に記述できるってどういうこと?」と、驚愕します。


僕は心底疲れ、往来の真ん中で大声で叫んだ。

「おかあさーん」

と叫べばよかったのかもしれない。


しかし僕は、僕に課せられたこの試練は、CIAか内閣調査部の仕業だと思い、

「田中(角栄)さーん、竹下(登)さーん、勘弁してくださいよ−」

と叫んでしまったのだ。そう叫んだら、世界はますます地獄の様相を呈してしまった。

すれ違う人が皆、僕に殺意を持っているような気がして、「殺さないで下さい。殺さないでください」と会う人会う人に頼みながら歩いて行った。


相手は僕に会釈するような態度をとったが、今にしても思えば、僕を「アブナイ人」と判断し、目をそむけていたのだろう。


何を思ったか、近くにとまったそば屋のバイクのおかもちを開け、中から数本の割り箸を取り出し、その意味するものを必死で考えた。これも何かの暗号のはずだった。


このように、この日に著者がとった行動・・・街中で叫んだり、喫茶店の厨房に入り込んで居座り、警察を呼ばれたり・・・が、ひとつひとつ丁寧に淡々と説明されます。

現実と妄想の入り交じった世界に引きずり込まれる恐怖と戦いながら、それでも文字から目を離すことができなくなり今日一日で一気に読みました。(気持ちの弱い人は読まないほうがいいです)


解説で精神科医の方が、

本書は、統合失調症と診断された著者が自らの精神疾患の体験について綴った出色のドキュメンタリーであり、精神医学的にも貴重な記録である。

統合失調症においては、思考障害という症状が知られている。思考のまとまりが悪くなり、筋道を立てて考えを進めていくことが困難となることが多いのである。

さらに重症の場合には、話の意味が全然通じず、極端なものでは話は無関係な言葉の羅列になり、「言葉のサラダ」と呼ばれる。この状態を「滅裂思考」と呼ぶ。

これに対して、小林氏の文章は明晰であり、論理的な破綻も見られない。


と書かれているように、これはスゴイ記録です。

私自身、いわゆる「言葉のサラダ」状態の文章も読んだことがあるし、そういう人と直接に話したこともありますが、正直言って何を言われているのか全然わからないです。

だからここまで「本人から、世界がどう見えているのか」をわかりやすく伝えている文章が存在することに驚愕しました。

タイトルそのままにこの本には、「ボクには世界がこう見えていた」という様子が、詳しく書かれているのです。(もちろん同じ病気の人でも個人差はあるでしょう)


以下は著者本人の後書きからの引用です。

ただ言いたいのは長年精神障害をかかえている者として、精神障害者の使命には次の3つがある、ということ。

1.自殺をしないこと

2.他者を傷つけないこと

3.どうしてもダメだと行き詰まったらすみやかに精神科に入院すること


僕の病名が「統合失調症」であることは、この柏崎厚生病院で初めて知らされた。

1992年頃のことだ。最初は受け入れがたかったが、その後の入院体験で典型的な統合失調症であることを認めざるを得なかった。


しかし、それでも僕には使命があり、それを果たさなければならないという観念があった。大げさにいえば、世界の救済だ。

最後の一文がなければ、この人が統合失調症だとは思えませんよね。


今回、この本が商業出版されたことを、著者はとても喜んでいるのですが、

中学生の頃から、北杜夫や筒井康隆や井上ひさしを読み耽っていた大好きな新潮文庫から僕の本が出る! ・・・リアルな現実世界でこれ以上の喜びはありません。

・・・リアルな現実社会以外では、これ以上の喜びも経験してるってことを窺わせる一文です。


実はこの本、最初に本人が『東郷室長賞 好きぞ触れニヤ』というタイトルで共同出版したものを、(このタイトル自体、よくわかりませんが)、

アニメーション同好会と亜細亜堂での先輩であった望月智充氏(アニメーション監督)が読み、もっと多くの人に読んで欲しいと思って商業出版への道を探られたことから、新潮文庫になったという経緯があります。


その望月氏の文章です。

今回、本書を読み直してみて思うことがある。

小林君は現在の病気を完治させたいのだろうか。もし完治する病気だとしたら、一人前の社会人に戻る気は。それはすなわち障害者年金を打ち切られて自立することを意味する。


普通は病気というものは嫌なもののはずだが、彼はもしかして今のままが気楽でいいと思っているのではないかと、そんな気もするのだ。


もちろん病気は辛いものだろうが、自立した社会人として生きていくのも、いわずもがなだが様々に辛い。この点に関して考えると、いろいろ複雑な気分になる。


すごい本でした。


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注意)統合失調症を患ったご家族がある方などに、この本をいきなりプレゼントするなどの行為については、極めて慎重にご判断ください。

また、言うまでもないことですが、本人の趣味・職業と病気にはなんの関係もありません。


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2013-01-08 お勧めキンドル本とアマゾンの着々準備

最近、kindle本が増えてるみたいなので、

・内容的におもしろく

・1000円未満で、お得感たっぷり

なものをいくつか紹介します。


まずはこのシリーズ。池上さんの説明はマジでわかりやすい。

金融危機から各国の政権交代の背景、資源や宗教を巡る国際紛争からインフレターゲットまで、日常のニュースで報じられる大半の問題について、中学生でもわかるように説明してくれてます。

しかもキンドル版なら 600円未満と、お値段もお手軽。

知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)

知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)


実はこれ3部作なんですが、3冊をまとめてタブレットかスマホに入れとけば、時事問題の辞書として使えます。

ニュースで何か報道されてて、「あれっ、それってナンだっけ?」って時に、その項目をちょちょっと探して読んだり、子供に説明したりできる。すごく便利です。



こちらは、ちきりんも大好きな池波正太郎さんの時代小説。これもキンドルになってたのかー。

本当におもしろいシリーズで、最初の一冊を読むと止らなくなり、続編をエンドレスで読みたくなります。そして江戸ラブ、江戸ご飯ラブになっていくのです。

剣客商売一 剣客商売(新潮文庫)

剣客商売一 剣客商売(新潮文庫)


鬼平犯科帳も400円未満・・・。これもいいよ。はまります。「オレは時代劇なんて見ねえよ」と思ってる人も、一冊読むと・・・おほほほほー

鬼平犯科帳(一): 1

鬼平犯科帳(一): 1



かなり趣向は違いますが、この本は、ちきりんのような超文系人間でも相対性理論が分かった気になれる、すばらしい解説本です。これがキンドル版400円はお買い得。


最近でたメディア・メーカーズも既にキンドルになってるのねー。これは内容的にも電子版で読むのがいいですよね。ちきりんの感想は、こちらのエントリに書いてます

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 宣伝会議

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 宣伝会議


ところで、ここからが今日のエントリの本題なんですけど、アマゾンってkindle本の価格をけっこう頻繁に変えてるんだよね。

セールだとか言って。なので上記に紹介した本も、私が確認した時点では1000円未満だったけど、皆さんがご覧になった時は千円以上になっている可能性もあります。

アマゾンはおそらく本のジャンル別に価格弾力性の調査をやってるんでしょう。再販制のない他国では、本の値引きは当たり前のことで、「どういう本の場合、どれくらい下げれば、どれくらい売れるのか」というデータは、他業界同様、とても大事なデータです。


ところが、このデータ、日本では誰も持ってない。


それって結構すごいことじゃない?

日本では今、再販制度のせいで(おかげで)、業界の誰も書籍の価格弾力性を知らない。

大手取次も出版会社も書店も「こういう本を2割引にしたら、売上はどれくらい増えるのか」とか、「ビジネス書は価格弾力性が低いけど、料理本はすごい大きい」、「3冊で千円とかにしたら、どういう本がハケるのか」みたいなことが、全然分かってない。


神田の古本屋は市価だけど、個人商店では大量にデータを集めて分析なんてできないし、ブックオフは量り売りに徹してるから、価格を動かして利益を最大化することにそもそも興味がなさそう。

そんな中、アマゾンだけがそのデータを着々と、本の属性別、購入者のプロフィール別に集めているんだとしたら??

2年後、アマゾンは日本で唯一、書籍に関する価格弾力性データをもつ企業になるのかもしれません。

(出版社は、自社本に関してはアマゾン経由である程度分かるけど、読者プロファイルを渡して貰えるとは思えません)


これって結構すごいことだよね。日販もトーハンも、集英社も講談社も、紀伊國屋書店もジュンク堂も持ってない顧客プロファイル別・書籍タイプ別の価格弾力性のデータをもつアマゾン。


すごっ!


消費財や小売りの会社に勤めている人ならわかると思う。競合他社は一切持っていない価格弾力性のリアルデータを自分の会社だけが持っていたら、それってどれくらい有利なことか・・・


ほふー



Kindle本は、iPhone, iPad, アンドロイド端末などでも、無料アプリをダウンロードすれば読むことができます。詳しくは下記を。


→ 過去関連エントリ これがキンドルFire HDだ!


そんじゃーねー!

2013-01-06 ポートフォリオ型とコミット型

「ポートフォリオ」という言葉は、いろんな業界でいろんな意味で使われてる言葉なのですが、金融の世界では「分散投資した資産の組み合わせ」みたいな意味で使われます。

100万円を投資する時に25万円ずつ、国債や貯金(のように価格が安定しているもの)と、株式や外貨など(価格変動率が大きいモノ)を組み合わせることを、「ポートフォリオを組む」と言います。

このコンセプトは、仕事について考える時にも援用できます。仕事にも、ポートフォリオを組むような仕事と、ポートフォリオを組まずに、特定の個別案件に深くコミットする仕事の2種類があるんです。


たとえば投資においてファンドマネージャーが、自分が運用するファンドのお金でいろんな株を買うのは、ポートフォリオを組む仕事です。

この場合、ひとつひとつの個別株にコミットしているわけではないので、組み入れている株式は適宜入れ替えます。全体として巧く廻ることが大事なのであって、特定の個別株が値下がりして損をしても、大きな問題ではありません。

エンジェル投資家も、有望そうなスタートアップ各社に投資をしますが、自分が出資した企業の全部が成功するなんてありえないと(最初から)わかってます。

投資した中のひとつが google やfacebook になれば、後の会社は全部倒産しても大成功です。


一方、同じ投資業務でも、自分がコレだ!と思った会社の株式を過半数まで買い取り、経営して企業価値を向上し、売り抜けようとするような場合は、特定企業へコミットをする仕事と言えます。

この場合は、「この会社が行き詰まっても、損切りして他の銘柄に入れ替えればいいや」ってわけには行きません。自分の財産の大半がその会社の株式となっており、自分の時間もマインドシェアも、その特定の会社に注ぎ込んでいます。

なんとかして、その会社の企業価値を向上させねばなりません。これがコミット型の仕事です。


本の編集者もポートフォリオを組む型の仕事です。年間に10冊、10年も続ければ100冊以上の本を作ることになりますが、大事なのは「担当した『○○』という本が何十万部のベストセラーとなりました!」と言えることであって、100冊全部が1万部ずつ売れることではありません。

全然売れない本をヤマほど作っていても、ミリオン(100万部。一年に数冊でるかでないかです)を出せば、一生「○○の編集者です!」と言いつづけられます。


著者の方は、一般的にはコミット型ですが、ポートフォリオ型の仕事をする人もいます。一生に数冊しか本を出さない人や、長編小説家のように、一冊書くのに1年かかるような場合はコミット型です。どの本にたいしても、「なんとかこの本を売らねば!」となるでしょう。

でも、ビジネス本の著者などで一年に5冊くらい書き、それを10年も続けるのなら、「ぶっちゃけ、どれが当るかわからないから、いろいろ出しておこう」という感じになります。最初から一冊にコミットするのではなく、全体のポートフォリオの中で、どれかひとつくらいドドン!と売れたらいいな、って感じです。


メーカーで商品開発を担当すれば、大半の場合はコミット型の仕事です。いろいろ開発してみて、いろいろ販売してみて、どれか当ればいいな、というメーカーはほとんどありません。ひとつの商品を突き詰めて突き詰めて突き詰めて、満を持してマーケットに出してきます。(それでも売れるかどうかはわからなかったりするのがつらいところです)


一般的にビジネスは複層的になっていて、前線の人はたいていコミット型の仕事をしていますが、経営者に近づくほどポートフォリオ型の仕事になります。

インド市場担当者の人は、インド市場に深くコミットしますが、グローバル事業担当役員なら、インドと中国とブラジルを(ポートフォリオとして)ウオッチしながら、投資の濃淡を決めていくことになります。


起業家と投資家の関係も、たいていは起業家側がコミット型(自分が考案したビジネスアイデアを妄信してまっしぐら!)で、投資家側は「まあやってみれば?(どうせポートフォリオのひとつだし)」って感じです。

でも最近はシリアル・アントレプレナー(あちこちの投資家から起業を請け負って、起業部分ばかり次々担当するみたいな人)もいるので、両方ともポートフォリオ型だったりします。


どっちの仕事がいいとか悪いということはありません。どっちが成功しやすいとか儲かるということも一概には言えません。ただし、人により向き不向きはあるでしょう。

ポートフォリオ型の仕事には、ある種の冷たさと割り切りが必要です。すべての要素の成功はありえないので、「巧くいったり全然ダメだったり」という現状を受け入れる必要があります。

一方、コミット型の場合には、とことんこだわる意識と根性が必要です。飽きっぽい人には向きません。それに加え、「トコトンこだわって自分が人生を賭けたのに巧くいかない現状」を受け入れられる度量の大きさ(気持ちの切り替え能力)も必要です。


ちきりんは、わりとよくコミットします。その方が楽しいからね、プロジェクトX的には・・。

でも、コミットするってけっこうつらいので、最近はてきとーにやるようにしてます。コミットするのは好きけどたいしてコミットしない。そのへんが、ちきりんのちきりんたる由縁です。


そんじゃーね



関連記事→ ちきりん流 就活に失敗しない方法とは?


↓kindle版もでたよ!

自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術

自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術

2013-01-03 「勝つこと」と「勝ち続けること」

さて、今年最初の本の紹介です。“年初の気合い入れ”に役立つ一冊をご紹介しましょう。

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)
梅原 大吾
小学館
売り上げランキング: 1,434

→ キンドル版

→ 楽天ブックス

著者の梅原大吾さんはプロのゲーマーなのですが、「なにそれ?」という人はまずはこちらの映像をどうぞ。

ちゃんと音声をオンにして見てね。見所は「会場の盛り上がり」なので。

D


ただし上記を見ても、大半の人にとっては相変わらず「なにそれ?」だと思うので、続けてこちら(解説バージョン)をどうぞ。(最後のスティックの握り方レッスンはやや微妙ですが・・)

D


この本のタイトルは「勝ち続ける意志力」なわけですが、本の中では「勝つこと」と「勝ち続けること」の違いが詳しく説明してあります。


「勝つためにやるべきこと」と「勝ち続けるためにやるべきこと」は全く違うし、時には相反さえする。

それに気がつかないと、単発で勝つことはできても、勝ち続けることはできない。プロである梅原氏は、勝つことではなく、勝ち続けることにこだわり続けているとのこと。

この話、ビジネスをやってる人にもとても参考になります。ビジネスだって一回だけ勝てればいいのではありません。勝ち続けることに意味がある。そのためには何が必要か?


一回勝つだけなら奇襲でもいいし、これを使えば絶対に勝てるという最終兵器(必殺技)を多用してもいい。大きくヤマを賭けても(巧くいけば)勝てるかもしれない。

でも、ずっと勝ち続けたいと思うなら・・・敢えて自分の得意技を使わずに戦う訓練をしたり、“オレの得意なスタイル”に頼りすぎず、別の(必ずしも得意とはいえない)スタイルや方法論も積極的に試してみる必要がある。

一回だけなら“動物的な勘”でも勝てるかもしれないけど、カンに頼っていたら勝ち続けることは不可能。

勝ち続けたいなら「どっちが正しいのか?」とか(つまらないことを)考える前に、すべての可能性を全部潰していくべきだ。

特定の環境に合わせた“勝ち方を覚える”のではなく、どんな状況にも対応できるよう、初めて遭遇した場面でも乗り切れるよう、常に自分を鍛え続けないといけない。


レベルは違うけど、ブログも同じです。

一回だけ大きなアクセス数を稼げればいいのなら、すごく刺激的な話題を選び、センセーショナルに煽ればいいし、マニアに受けそうなタイトルをつければいい。

びっくりするような特ダネを載せれば、一時的にはアクセス数が急伸するし、有名な誰かを派手に罵るだけでも注目を集めることができる。

だけど、何年にもわたって高いアクセス数を集めたいと思うなら、そんな方法で人気を維持するのは不可能です。一時的にアクセスを得るためには有効でも、長くアクセス数を維持したいなら、やらない方がいいという方法もあるでしょう。


なんでも同じだけど、一回だけ、ドンと勝ちたいのか、

ずっと勝ち続けたいのか

それによってやるべきことが違うんだよね・・


「勝つ方法」と「勝ち続ける方法」の違いを、これだけキレイに説明してくれた本は、初めて読んだ気がする。

言われてみれば確かにそうなんだけど、今まではほとんど意識してなかった。でもそれを意識すると、生産性がぐぐっと向上する。

これからは自分の判断についても、これって今回、勝つためのものではなく、勝ち続けることに資するのか、ちゃんと意識してみようと思った。


あとコレ、キャリア形成にも極めて示唆に富む本です。著者が、自分が生きる道を真摯に追求する姿勢にとても好感が持てるし、子供の将来についていろいろ不安に思っている親御さんにもお勧めかも。



年の最初に読む本は大事なので、心して選びましょう。

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)
梅原 大吾
小学館
売り上げランキング: 1,434

→ キンドル版

→ 楽天ブックス


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そんじゃーね!


このエントリが機となり、梅原さんと対談させていただきました!

→「成長したければ、ひたすら変化すべき


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2013-01-01 謹賀新年

みなさま、あけましておめでとうございます!

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またひとつ、新しい年が来ました。

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だからといって、明るく楽しく有意義な年になるかどうか

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私にはわかりませんが、

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とりあえず、こうして新しい年を迎えられただけで、

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いいんじゃないのと思います

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きっと世の中はどんどん大変になるから

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私たちはどんどん気楽に生きた方がいいと思う

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驚くようなことが起こっても、

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ひゃー、世の中大変なことになってるのね、くらいの感じで

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のんびり行きましょう。

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というわけで、今年も去年までと同じように、

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ぜったい達成できない目標でもたてながら、(世界制覇とか)

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楽しいお正月を過ごしましょう。

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今年のあたしの目標?

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ダイエットすること・・・

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そんじゃーね



関連過去エントリ →「気をつけたいよね、この5つ。年の初めに・・