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Chikirinの日記 RSSフィード

2013-04-17 情報は看板に集まるでござる

かれこれ 2週間ほど梅原大吾さん関連のエントリを書いてるんですが、その間いろんな人から情報をいただきました。

たとえば「Ted にゲームに関するスピーチがありますよ!」とか、

「梅原さんは過去にこんなこと言ってました。ブログの話と矛盾しませんか?」

「ウメ昇龍というのがあるんですよ、知ってます?」などなど。

他にも「僕もゲーセンでいろいろ学びました!」とか。

コレも笑えましたね。ありがちすぎ → 日本最大の格ゲー大会 “闘劇2012”がスゴイことに! 

極めつけは「ちきりんさんのブログ読んで、NYUで行われた梅原さんの講演に行ってきました。200人ほどの会場は立ち見がでる大人気。対談後も梅原さんとのツーショット写真を求めるファンが列をなしてて、そのヒーロー性にびっくりしました」というレポートメールまで。

情報を送ってくださった皆様には心から感謝しています。


★★★


さて、こういうのをビジネスの世界では、「看板効果」と言います。

看板効果とは、「新しいビジネスを始めるとき、十分な知識や実績がない段階でも、まずは看板を掲げるべし。そしたら情報が集まり、これから何をすべきかわかる」というものです。

たとえば商社が、まだ十分な実績がない段階であっても、「ミャンマー工業団地・進出支援 推進室」という看板を掲げたとします。

(看板を掲げるとは、新部署を作る、ニュースリリースをする、ということです。警察が対策本部を立ち上げるときや、政府が戦略本部を作るときに、よく看板掲げてるでしょ。あれです)

で、看板を掲げると、いろんな人がやってきます。たとえば、


・「実はミャンマーに進出したいと思っていろいろ調べてるところなんですが、法律が未整備な点が一番不安なんですよね。御社はこの辺、どうなると思います?」などと問い合わせてくる企業や、

・「ミャンマーに新たな円借款(ODA)を行う予定があるんですが、道路や空港、港湾など、どういったニーズがあるのか教えてもらえますか?」と聞いてくる政府 ODA 関係者、

・「僕はミャンマー人で東京の大学に留学しています。書類制作や通訳ができます。なにかお手伝いできることがありますか?」と聞いてくる就職希望者、

・「ミャンマーにご関心をお持ちいただき、ありがとうございます。ぜひ一度ご挨拶を」と連絡してくるミャンマー政府の担当者、

と各方面から連絡が入り始めます。


この会社、最初はたいした実績もなかったのに、看板を見て集まってきた人たちと話をしているだけで、どんどん情報が集まり、ネットワークが拡がります。

大事なことは、最初に看板を掲げることです。

同じ事業に進出しようと準備を進めていた 2社があり、うち 1社だけが看板を掲げ、他社は「もう少し体制が整ってから看板をあげよう」と考えたとします。


最初の段階では、2社の実績や持っている情報、技術、ネットワークなどに差がなくても、半年後から一年後、最初に看板を掲げた会社は、もう一社より圧倒的に多くの情報とネットワークとノウハウを持つに至ります。

その理由は「先に看板を掲げたから」に他なりません。


昔は「看板を上げる」方法は限られていて、日経新聞に『○○社が○○新規事業を始める』という記事を書いてもらうくらいしか、方法がありませんでした。

これだと、日頃から経済紙や雑誌記者とつきあいのある大企業じゃないと、看板が揚げられません。


でも今は、個人でもスタートアップ企業でも簡単に看板が揚げられます。特に個人のキャリア形成関係で看板効果が上がっているケースをよく見ます。

中学生くらいでも「将来プログラマーになる!」とか、「政治家になる!」と宣言して発信を始めると、

「やめとけ」とか「そんな甘い世界じゃない」といった声とともに、

「本当に政治家になりたいなら、こういう勉強をしておけ」とか「こういう覚悟で臨め」など、玉石混交のアドバイスが寄せられるのです。

本当になれるかどうかはさておき、自分の進む道を決めるために必要な材料は、看板を上げることで、すごく集まりやすくなるというわけ。


おもしろいのは、有益な情報は看板に集まるのであって、情報を直接的に求める人のところに集まるわけではない、ということです。

たとえば「プログラマーになるにはどうすればいいでしょうか?」みたいな質問をする人のところではなく、「プログラマーになると決めた!」と看板を掲げた人の方に、より多くの有益な情報が集まるんです。


ブログも同じです。「○○について教えてください」と毎日書いてたって、誰も何も教えてくれません。

でも、「あたしは今月は、ゲームについてだけブログを書く!」と宣言すると、いろんな人が情報提供をしてくれます。

最初に宣言した時にはたいして書く材料も持ってなかったのに、宣言したことで情報が集まり、こうやって延々とエントリを書くことができる。


「情報は看板に集まる」と言われるゆえんです。


「1ヶ月分、ブログに書けるネタを集めてから書き始めよう!」と思ってる人は、情報収集に長い時間がかかってなかなか書き始められないのに、

ネタも無いのに「今月これについて書きます!」と宣言した人にはどんどんネタがあつまる。


世の中には、「内容が足りてないのに看板を出すなんて(不誠実なことは)できない」と考える人もいるし、何かが流行りそうになると、とりあえず最初に看板を掲げることで、ノウハウを全部もっていこうとする人もいます。

当たり前ですが、看板効果は「最初の看板」で非常に大きく、5枚目の看板、10枚目の看板では得られるものはごく僅かとなります。

大事なのは最初に看板を掲げることなんです。

良し悪しはともかく、とりあえず、「情報は看板に集まるのだ」ってことは覚えておきましょう。

てか最近だと、「ネットワークも看板の下に集まる」ため、看板効果の価値はこれまで以上に大きくなっていると感じます。


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そんじゃーね。


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