ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

Chikirinの日記 RSSフィード

2013-05-12 これ以上、女性の人生を計画的にしてどーすんだか

少子化対策として「女性手帳」を作って、若い女性に持たせようという話がでています。

政府は7日、少子化対策を議論する作業部会「少子化危機突破タスクフォース」(座長・佐藤博樹東大大学院教授)の会合を開き、晩婚化や晩産化が進む中、若い世代の女性向けに妊娠・出産の知識や情報を盛り込んだ「女性手帳」(仮称)の導入を議論、委員からは異論などは出なかった。


女性手帳は「妊娠や出産の適齢期を知らない人が多い」との指摘を踏まえて検討されたもので、女性の将来設計に役立ててもらうのが狙い。作業部会の下で具体的な妊娠・出産支援対策を討議してきたサブチームが導入を提案した。(共同通信の元記事より抜粋、一部を赤字にしたのはちきりんです)


「妊娠には適齢期がある」ということは、もっと広く知られるべきでしょう。ですが、この案にはやっぱり「なんで女性だけ?」と思えます。

そもそも「少子化は、女性が将来設計をきちんと考えていないから起こってる」という発想(上部赤字部分)自体が、現実と真逆です。

寧ろ少子化は「女性が将来設計を真剣に考えすぎているからこそ」起こってる。なのに手帳まで持たせて、これ以上、女性に人生を計画させてどーすんだか。


就職活動時だって、「仕事と家庭の両立が可能か」とか「育休の取得実績は?」、「保育サービスへの補助はあるか?」など熱心に質問してるのは、圧倒的に女子学生ばかり。彼女らは若い時から、ものすごく真剣に将来設計を考えてる。

彼女らが、社会の現状をよくよく調べ、必死で考えたうえで出てきてるのが「まずはキャリア」であり、結果としての出産年齢の高齢化なわけです。

たしかに(年齢と妊娠力の関係についての)情報の欠如は存在してる。だからといって新たな情報を与え、問題をより難問化した上で、更に女子にだけ「もっと考えろ」と言うなんて、ちょっと酷すぎる。

やるとしたら、「ナンも考えてない男子にこそ手帳を持たせろ」なんじゃないかと。


★★★


実際の話、たとえ妊娠のメカニズムについての知識が広くいきわたったとして、親になる心の準備がなかなかできないのは、女性よりむしろ男性なんじゃないでしょうか。

私は、高齢になれば妊娠が難しくなるという知識が広まれば、「先に出産・育児、あとからキャリア形成をしよう」と考える女性は、結構な数いるんじゃないかと思っています。

最近は専業主婦を10年、15年と続けた後、ビジネス世界でゼロからキャリアを積む女性の例も増えています。そもそも70歳まで働く時代になりつつあるのに、「35歳からキャリアを積むなんて遅すぎる」はずがない。

育児中だって勉強は続けられます。早めに子供を産み、育てながら働き始め、子どもが手がかからなくなったら本格的に働く! みたいな道を選ぶ女性はそれなりに存在するでしょう。


けれども、彼女らが「じゃあ 25歳から子供を産みたい!」と思った時、大きな障害になるのは「男性側のパパになる覚悟」なんじゃないかな。

なぜなら、女子が25歳から出産となると、パートナーの年齢もほぼ同じくらいというケースが多いからです。

このデータを見ればわかるけど、お見合い中心時代と異なり、恋愛結婚の多い今は、夫婦の年齢が非常に近くなってます。てか、既に23%は妻のが年上!なわけで、若くして女性に出産させたいなら、男性も若くしてパパになってもらうしかない。


しかも若い女性ほど、パートナーの年齢も若そうじゃない? 働き始めれば、年上の人とも知り合うけど、学生時代に出会った人とそのまま結婚、出産というケースでは、相手は同級生か、せいぜい2,3歳上くらいまででしょ。今、20代で子供を産んでいる人ってのは、ほとんどそういうパターンなんじゃないでしょうかね。

そういう状況の中で、女性が「私は早めに結婚して子供産みたい!」と考えたら・・・パートナー男子にも、20代でパパになる覚悟が必要になるわけです。


なんだけど、20代後半、30代前半がキャリア形成のキモ(かつ、遊びたい盛り)なのは男性も同じ。女性の出産適齢期に合わせて、自分も若くしてパパとなる! という心の準備ができる若い男性はそんなに多くない。というか、女性よりさらに少ない気がする。

なので、手帳を配りたいなら、むしろ男性に配ったらいーんじゃないかな。大学生に男性手帳を持たせて、20代からパパになる心の準備を始めてもらえばどう?

男性の多くが「オレは20代でパパになりたい!」って考えるようになったら、自然と女性の出産年齢も下がりますよ。



まっ、それにしても・・

さっきのデータにもあったように、昔、多くがお見合いで結婚してた時代って、夫婦の年の差が今より大きかった。これって、男性が結婚するのは「家族を養う仕事力が付いてから」であり、女性は「子供を産みやすい若い頃」に結婚するという、超合理的な制度だったわけです。

貧しい時代というのは、「生きるため」、「種を保存するため」の仕組みが、ホントにきれいに埋め込まれてるんだなって、いつも感心します。


そんじゃーね!





★★★ 読者の皆様からのコメント (57) ★★★




↑そういうコト


↑これは非常に鋭いと思った


↑夫婦の年齢差を大きくする方向の施策は、効果大きそう


<不妊治療について過去に書いたエントリです。ご参考まで>

不妊治療に関する課題リストアップ

不妊治療関連問題の整理

赤ちゃんが欲しい人の本を読んでみた!

こちらに書いたように私の提案は、「女性だけに女性手帳を配る」のではなく、『男女とも、高3か大学で教える」です。ただし、「男女のどちらかにしか配る予算がない」とでもいうなら、男性に配ったほうがいいと思います。


↑こういうこと(この会議の主催や女性手帳)に税金使って、その一方で消費税上げますって言われるのはせつないよね


↑だからこそ、この問題は女性の問題ではなく、社会の問題なのですよん


↑小中学校だと現実味がもてないと思うのですよね。私は大学で教えるべきと思ってます


↑おっしゃるとおりで、「妊娠には適齢期がある」という知識が普及すればするほど、それ以下の年齢の女性には役にたっても、今の時点で35歳以上の女性には、むしろ厳しい状況になりかねない、という問題もあります。


↑まさに、こういう体験談を「男性手帳」に載せればいいと思います!


↑↓この上下のコメントを見て、早めに結婚・出産・育児をすることで、早期引退含め、多彩な人生設計が可能になるという、(早期出産の)メリットについて、男女ともにもっと広めたらいいのにと思いました。


↑男性には「もっと遊べばいいのに」と言い、女性には「早めに子供産め」というのは通らないよね、というお話





↑ ちきりんはコレ、今後はマジであり得ると思ってます。


↑これは間違いなく、ひとつの解の方向


↑そのとおり。キャリアを中断しても就職・転職できるようになれば、早めに生めるようになる。男性だって、「1年は育児に専念してから、転職」がありえる。


↑これも鋭い。女性のほうがよく理解しており、考えているからこそ、肉食系的に(積極的に)動かざるを得ない。


↑でしょ! 男性がそうだと、女性だけで覚悟決めて生むなんて無理じゃない??


↑女性だけに手帳配ったりしたら、まさにこういうことが起こる!