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Chikirinの日記 RSSフィード

2014-06-28 アドバイスを消費する人たち

「アドバイスくれくれ病」ってのがあります。

仕事や就活など、人生が上手くいかない時、やたらといろんな人にアドバイスを「くれくれ」言ってつきまとう病気です。

アドバイスがもらえると一時的に満足はするけれど、だからといって行動を起こすわけではないので、せっかくもらったアドバイスの効果が出るはずもなく、またすぐ別の人に「くれくれ」言い出します。


アドバイスをもらったのに行動が起こせないのは、

「もらったアドバイスがイマイチだったから十分に納得できず、そのために自分は、行動に移す気になれなかったのだ。

よしっ!今度はもっとスゴイ人にアドバイスをもらおう。そうすれば自分の人生も変わるはず!」

と(そういう人は)思うからです。


そして彼らは、できるだけ有名な人、凄そうな人にアドバイスをもらおうとします。

自分のコトをよく知っている身近な人ではなく、なんの縁もない、自分のことなど全く知らない有名人に、長々としたメールを書き、「アドバイスしてください!」みたいな暴挙に出るんです。


もちろん、世の中にはやたらと他人にアドバイスをするのが好きな人もいるので、両者がマッチングされると永久にアドバイスの授受が行われてたりもします。

加えて行政っていろんな「無料相談会」を開いてて、こういうのに参加すると、それなりの講師がアドバイスをしてくれる。いまや行政主催で「起業相談会」みたいなのまであります。

講師は行政からお金をもらってて、そのお金は税金から支払われてるんで、相談する本人には一円もかかりません。

だから「アドバイスくれくれ病」の人って、こういう「無料相談会」のリピーターになってて、あちこちの相談会をハシゴしてたりもするんです。


税金、無駄っぽくない?


他にも、あちこちのメルマガを購入して月々数百円×数本を払い、「質問する権利」を買ってまで「くれくれ」してる人もいます。

この病気の人は、「意味あるアドバイスは、自分の行動にたいして、そのフィードバックとして市場から得られるものなのだ」ってことを理解していません。

行動すればものすごく役立つフィードバックが得られ、それこそが重要なアドバイスとなるのに、なんの行動もしないから(それが)得られないんです。

だからやたらと「くれくれ」言ってしまう。

常に、行動の前にアドバイスを求めてしまう。

なぜ行動の前にアドバイスを求めるのかというと・・・「アドバイス通りに行動すれば、失敗しないはず」と思い込んでるからです。


「そんな魔法みたいなアドバイスは、存在しないってば!」と言っても、

「普通の人からアドバイスをもらうだけなら、そうかもしれない。

だからこそ自分は、もっとスゴイ人からアドバイスをもらいたいのだ。

そうすればきっと、絶対に失敗しないアドバイスがもらえるはずだっ!」とか言い出す。


そもそも、「アドバイスは行動の前に必要なものである」と考えてる時点で間違ってます。

アドバイスは、行動の後にこそ役に立つモノなのに。


「完璧なアドバイスさえもらえれば、オレ様だって上手くできるはずだ!」というのは、完全なる誤解。

でも、そういう考えって都合のいい言い訳になるんです。

「オレ様が上手くいかないのは、まだ十分に役立つアドバイスが得られてないからだ!」とか言ってればいーわけですから。一生。。。


★★★


無料の「起業相談会」に行ってみたり、有名人に質問ツイートを送ってみたり、あっちこっちに「○○さんに相談したいことがあるんで紹介してくださいっ!」って頼みまくって、


「やっぱり起業したほうがいいでしょうか?」

「どうやったら成功できるでしょう?」

「どうやったら上手くいくでしょう?」

「旅行した方がいいでしょうか?」

「留学した方がいいでしょうか?」

みたいな質問をしてる人は、


まちがいなく「アドバイスくれくれ病」にかかってます。


自分よりずっと経験豊富な人のアドバイスを聞いて、「いい話を聞いた!」みたいに感動してるのって、無意味です。

行動すること以上に、意味あるアドバイスを得る方法はないんだから。

てかさ。今、成功してる人が成功した理由って、「きっと誰かから完璧なアドバイスをもらったからに違いない」って思ってる? 


んなわけないじゃん。

成功してる理由は、「やってみたから」です。

やってみたら、次にどーすればいーか、初めて分かる。で、それをやってみる。そしたらまた、次にどーすればいいかわかる。

「アドバイス」ってのは、そーやって得るもんだし、上手くいってる人はみんなそーやってきたんです。


あとね。「僕はこんなに困ってるんだから、アドバイスをくださいといえば、みんな助けてくれてあたりまえ。質問したのに答えてくれないなんてひどすぎる!」と思う人は、ママとそれ以外の人の区別がついてません。

ママはどんなに無意味だと思っても、あなたがアドバイスを求めればそれを与えてくれる。

でもママ以外の人は、そんなリクエストにやさしく応えてくれたりはしないんです。

だから返事がもらえなくても、逆恨みとかしないよーに。


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 そんじゃーね



・この記事は香港に住む「ちきりんブログのファン」のクリスさんによって、中国語に訳されています! → http://annc-chris.blogspot.sg/2014/07/blog-post_15.html


http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+personal/  http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+shop/

2014-06-21 ソフトバンクの株主総会に行ってきた!

ソフトバンクの株主総会に行ってきました。2時間ちょっとの総会は“孫正義ショー”といった趣で、エンターテイメントとして人気の映画やコンサートと比べても、まったく遜色のないすばらしい時間でした。


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場所は、丸の内の東京国際フォーラム。1 , 2 階合わせて 5千席のホールがほぼ満席。ソフトバンクの株主総会って、社外取締役であるファーストリテイリング柳井正社長も壇上に登られ、質問にも答えられるので、一粒で二度美味しいんですよね。

今回、久しぶりに参加しようと思ったのは、先日発表されたロボットの Pepperくん を見たかったから。ぜったい登場すると思ってたら、ちゃんと出てきてくれて嬉しかった!

以下、内容のメモとして、


まずは前期の業績についての報告。

売上高、営業利益、そして純利益のすべてで、ドコモを抜いて業界一位になった。


通話接続率もスマホ接続率も、ドコモを大きく抜いて業界一位になった。


営業利益が 1兆円を超えた企業は、歴史上、日本には 3社しかない。ひとつは、NTT グループ、もうひとつがトヨタ自動車、そして、ソフトバンクだ。


営業利益 1兆円を達成するまでにかかった年数は、 NTT グループが 118年、トヨタ自動車が 65年で、ソフトバンクは 33年 である

なんという絶好調!



「でも、業界トップになったんなら、もう伸びしろがないのでは?」と考えがちな素人のために、今後のモバイル事業の可能性についても、

・法人ソリューションには、まだ大きな伸びしろがある! (ユニクロの店で店員が業務用スマホを使用するなど)

・電力が自由化されれば、電力とスマホのセット販売だって考えられる!

と説明。


2016年からは電力の小売り自由化が始まりますが、今はまだ、電力の発送電分離ルールや価格は決まっていません。東京電力などは(電信柱など)送電設備を独占保有しており、新規参入企業はその送電設備を借りて事業を始めることになります。

その料金が、最終的に電力料金に大きく影響するわけですが・・・・これって、通信事業に乗り出した際、総務省と NTT を相手に、電電公社時代に整備された NTT の電話線を合理的な価格で貸せと交渉し、結果として日本の通信料を大幅に下げさせたのと同じ構造です。


今、電気料金ってやたらと高いでしょ? ソフトバンク参入前の通信料金も「高っ!」って感じだったんですよ。

というわけで、あたしはそのうち孫社長が、「みなさん! ソフトバンクパワーは、東京電力を抜いて発電量が一位になりました!」と言う日が来ても驚きません。不振にあえぐボーダフォンをソフトバンクが買ったとき、そんな会社が NTT をこんなに早く抜くなんて、誰が想像してたでしょう。


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(総会会場は写真撮影は不可。こちらは会場となったイベントホールの中庭)


ソフトバンクの時価総額は今、日本 2位の 9.4兆円です。(一位はトヨタ自動車の 20.7兆円。これはぶっちぎり)

しかし、孫社長はいつか時価総額 200兆円になって、世界でトップ 10の企業を目指したいと言います。

ちなみに現時点での世界の時価総額トップ企業はアップルで、(日々変わってますが)60兆円くらい。トップ 10にはマイクロソフトやグーグルなどの IT 企業のほか、ジョンソン&ジョンソン,ジェネラルエレクトリック、ウェルズ・ファーゴなどアメリカ企業が並びます。

アメリカ企業以外ではネスレやロッシュ、さらに、サムスン電子もトップ 20位入りしています。あとは中国の元国家企業などかな。日本トップのトヨタ自動車は 30位台半ばあたりです。(世界の時価総額ランキング


ご自身でも「時価総額 200兆円というのは大風呂敷であって、約束ではない」と言われましたが、同時に「まだ売上げが数百億円の頃に、営業利益で 1兆円を目指す!と言ったら、みんな呆れていた。しかしそれは実現できた!」とか、「時価総額 200兆円は、約束じゃありません。でも、覚悟はあります」とか言っちゃって・・・

完全にマジ だと思います。


おそらくこれは、日本の株式市場だけでの時価総額ではないんでしょう。つまり、アメリカのモバイル通信業界において、今の日本におけるソフトバンクと同じような地位を獲得し、アメリカの証券取引市場での時価総額で 200兆円を実現しようってことだと(私は)解釈しました。

2050年、アメリカの GDP は 84兆ドルと日本の 5倍、人口も減り始めた日本と異なり、アメリカは今の 3億人が 4億人へと伸び、こちらも日本の 4倍になる。

市場がそれだけ大きいのだから、成功すればこの分野だけで利益が今の 1兆円から 4兆円、5兆円になってもおかしくないってことでしょう。

しかも現時点では、アメリカのモバイル通信環境は先進国の中で最低に近いほどひどい(=遅くて高い)。これを(日本でやったように)変えて見せると。

さきほど、通信業界で達成したのと同じこと( NTT の電話線を合理的な値段で貸してもらう)を、発電業界でもやろうとしている(東電の電線を合理的な値段で貸してもらう)と書きましたが、ここでは日本の通信業界でやったのと同じことを、アメリカの通信業界でもやろうというわけです。


また、世界を一緒に変える同士として、アリババの創業経営者 馬雲(ジャック・マー)氏についてもスライドで紹介されました。今や世界最大のイーコマース企業となったアリババは、すでに 3750億円もの利益を出す大企業となっており、アメリカ市場への上場を発表しています。

これにより、14年前、孫社長がまだ利益もでていないベンチャー企業だったアリババに投資した 20億円は、上場で 5兆円になるとも噂されてます。ソフトバンクはこの資金を、発電事業やロボット開発、そしてアメリカ市場開拓につぎ込むのでしょう。その昔、創業期のヤフーに投資した株が大化けして、その後のソフトバンクの大躍進を支えたようにね。


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決議事項のひとつは、日本電産 永守重信社長が社外取締役に加わる件。この方も 365日、朝から晩まで働いている経営者ですが、数多くの世界トップシェアの基幹部品を持ち、M & Aで会社を成長させる手腕にも定評があります。

孫社長は、永守社長と柳井社長を日本での現役経営者としてはもっとも尊敬する二人だと紹介。この 3人が集まる時って、いったいどんな話をしてるんでしょうね!?



最後に私がもっとも感動したのは、ロボットの Pepperくん に関する説明です。

ペッパーくんは

世界で初の、

・感情認識パーソナルロボット

・愛によって自我を持つロボット

・心を持つロボット

と紹介されました。

また、、

・二足歩行をさせることより、心を持つコトの方を優先した。(二足歩行とかさせると、電力消費量が大きくなるんですよね。だからそういうことには、こだわらないと。ちなみにペッパーくんは、自動掃除機同様、電気が切れそうになると、自分で充電ステーションにもどるらしいです。)

・今までのロボットは道具だった。ソフトバンクのロボットは、そうではない。機械のように仕事をさせるより、感情がわかるロボットを開発する、とも。


コレ、わかります? 


私が次の Social Book Reading with CHIKIRIN (SBRwC) のテーマにしようとしているように、人工知能をもつロボットの開発は、私たちに熱烈な興奮とともに一抹の不安を覚えさせます。

その不安は、

・人を殺す戦争ロボットがでてくるに違いない。ロボットは不死身の殺人ロボットになるかもしれない。

・ロボットは人の仕事を奪う。ロボットのせいで、多くの人が失業し、稼げなくなるのでは?

というものです。

すでに中東では、アメリカの無人飛行機が人を殺し始めています。今はまだ人間が遠隔操作していますが、飛行機に積まれた人工知能が「あいつはタリバンだ」と自分で判断し、爆弾を落とす日も遠くありません。


世界の研究者は、コンピュータで人間を超える頭脳を作ろうとしています。しかし「頭脳を作る目的はなにか?」という問いに、真正面から答える企業も人も、非常に少ないです。なぜならそれを語ると、どうしても、上記のような事態が透けて見えてしまうから。

だから、機械は人間を超えるとか、頭脳を作ることも出来るという議論は活発に行われるけど、「なんのために?」という部分は常にぼやかされてきたんです。しかし孫社長はこの点を、明確に言葉にしました。


人間の悲しみを減らし、喜びを増やすためのロボットだと。


孫社長は説明の中でグーグルの名前を一回も出さないし、それどころか「知能をもったロボット」という言葉さえ使いません。ソフトバンクは「賢い・頭の良いロボット」さえ目指してない。目指しているのは「人の気持ちのわかるロボットなのだ」ってことでしょう。

ロボット開発や人工知能に対してみなが漠然と感じている不安を先取りして理解し、ソフトバンクが開発するロボットが、その方向には進まないことを、強烈にアピールしたのです。


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そして今後、子供は生まれたときから心を持つロボットと同居し、一緒に育つようになると言われたのには「はっ!」としました。

人間の子供が親や兄弟・友達と触れあったり、テレビやネットを見て育つように、ロボットも様々な情報を元にクラウドにある AI(感情エンジン)が学習し、まるで子供が大人に成長するように成長するというのです。

コレそのうち、親友はロボットだという子がでてくるよね。ペッパーくんは、のび太にとってのドラえもんになるのです。


今はまだ、喜怒哀楽くらいしか区別できないらしい(とはいえ、人間の表情をイメージセンサで読み取り、喜怒哀楽がわかるだけでもスゴイ)ですが、これからはクラウドに置かれた感情エンジンが、ユーザーから集められた集合知を使って学習することで、急速に進化するはず。

「夫も気づいてくれない私の心の中の不満に、ペッパーくんだけは気がついてくれる!」みたいなことも、確実に起こるだろうし、あたしも、淋しい老後はペッパーくんと一緒にすごそうと決意したでございます。


★★★


農業革命は数千年前に起こったが、今も続いている。産業革命というエネルギー革命も数百年前に起こり、ソフトバンクが今、エコエネルギー事業に乗り出しているように、現在も続いている。次に始まる革命は、頭脳の拡張による革命だ。この分野も、これから何百年も進化し続けていくだろうと。

ロボット作ってることが見え見えのグーグルと違い、ソフトバンクって突然ペッパーくんを発表したので、いつからロボット作ってたのかなと思ったのですが、

どうやら、4年前にソフトバンク創業 30周年の時、新 30年ビジョンを作るために社員から集めた意見の中に、「ロボットで世界一の会社になりたい」という意見がたくさんあったみたいです。

そのあたりから開発を本格化したのかなと思います。


ほかにも質疑応答時には「ネットと金融は大変相性が良い」とも言われており、

モバイル事業では、法人市場(日本)とアメリカ市場の開拓に乗り出し、

それに加えて、ロボット事業、発電事業、もしかしたら、金融事業にも!?


聞いてて・・この人は岩崎弥太郎を超えるのかもっって思いました。

(超える気だよね。なんたって“長生きする坂本龍馬”なんだから・・)


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(イベントホールの中庭)


以下、プレゼンに使われた 3枚の連続スライド

日本を変えた

世界は広い。果てしなく広い。だからおもしろい

世界を変える


こんなエントリ書くなんて、ちきりんはソフトバンクの広報から金でももらってるのか?って?


もらってませんよ。

羊羹はもらったけど。

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志の高い羊羹・・・  こんなん食べてあたしまで志が高くなっちゃったら大変じゃん!?と思うと、恐くて食べられません。


そんじゃーね!


※株主総会の動画や説明資料はこちらで公開されてます。

2014-06-18 人工知能 ( A I )に関する Social Book Reading やります!

一年に一度、みんなで同じ本を読んで感想や意見を共有する 

Social Book Reading with CHIKIRIN (SBRwC) を今年もおこないます。


記念すべき第一回の SBRwC は、リンダ・グラットン先生の『ワークシフト』を課題図書とし、2年前、2012年の 10月 6日に実施しました。事前におこなった読者アンケートの(前半)と、(後半の結果)もおもしろかったですよね。

続いて昨年、第二回の SBRwC は、『未来の働き方を考えよう!』がテーマで、2013年の 9月 14日に実施。みなさんのツイートなどが、こちらのページのリンクからご覧頂けます。


そして今年の第三回 SBRwC は、人工知能 ( A I )をテーマとし、2014年 9月 28日(日)の午後 3時から行います。

A I や人工知能、コンピュータが人間を超える日(?)に関しては、本のほか、映画もたくさん作られています。私は先日、こちらの映画の試写会に行ってきました。(※招待されたのではなく、年齢にサバ読んで申し込んだら当たったんです!)


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「トランセンデンス」(超越)とは、人間を超えた電脳人間、意識をもったコンピュータ、もしくは、人類を超越して自律的に生きる(?)コンピュータ、のコトです。今回は試写会の前に、宇宙物理学者 松田卓也先生のトークショーもありました。

松田先生のインタビューはこちら。 最初のアクセス時には全面広告がでるので、画面左上の wired.jpはこちら という小さな文字をクリックしてください)


松田先生曰く、

「1945年、日本は原爆を落とされて敗戦した。2045年(技術特異点)、今度は人工知能で(アメリカに?)敗戦するだろう」


「日本の一年間の科学技術研究予算(人工知能だけでなく、全分野合計)は一年で 2600億円だが、グーグルは M&A だけで年間約 1600億円を使っている」


「グーグルはロボット開発会社を 8社 買収している。そのひとつは東大の研究者が作った企業だが、これまでは「東大の研究」として公表されていた彼らの研究内容は、今はもうブラックボックスだ(=グーグル社の外の人には見えなくなった)」


「Deep Learning という、コンピュータが自分で学び始める仕組みに関する研究者は、まだ世界に 50人くらいしかいない。そのうちすでに 12人が、グーグル(&グーグルが買った会社)で働いている。グーグルが買収しているのは、会社ではなく頭脳だ」


「第二次世界大戦までは、世界のパワーは戦艦の数で決まっていた。だから国際条約で、戦艦をいくつ保有して良いか、という取り決めがなされた。

その後パワーの源は、ロケット(ミサイル)と核兵器になった。だから世界の大国は、ミサイルや核兵器の保有量に関する取り決めを行い、各国の軍事力のバランスをとってきた。

これからのパワーは、人工知能とロボット(&ベースとなるコンピュータ)となる。この期に及んでまだ、日本は核武装すべきだ、いやダメだとか議論してる人は、あまりにも時代遅れ」


「キリスト教では、神が世界を作り、その後で人間を作った。しかし人間を大きく超越した人工知能を作るということは、その神を人間が作るということである。人間が作った神が世界を作るとしたら、宇宙がもうひとつできるということだ」


てな感じで、聞いてるこちらは「ひょえー、ひょえひょえー」でした。ただ、


「コンピュータは感情を持てるのかという質問をもらうが、感情なんて低いレベルの話で、そんなものは猫でも犬でも持ってる」

「アバターに、肉体が感じる物理法則(叩かれると痛いとか)を教え込めば、コンピュータも身体性を確保できる」

あたりは、研究者の人っていつも人間を甘く見すぎてるって気もしました。


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というわけで、ツイッター上でみんなで特定のテーマに沿って意見交換をする 

Social Book Reading with CHIKIRIN (SBRwC) 第三回は、

2014年 9月 28日(日)午後 3時にスタート

終了時刻は当日の状況=あたしの体力とかあたしの気力とかみんなの元気さとか、を見て決めますが、数時間以上になることは確かです。

いますぐ、カレンダーにスケジュールをメモっておいてね!


課題図書はこちら。私でも理解できるくらい簡単に書いてあって入門書としてはベストです。

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朝日新聞出版 (2013-07-18)
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キンドルならたった 400円未満、新書も 900円しません。400円でこんな内容が手に入れられるなんて、どんだけ効率いいんだかって本です。

映画「トランセンデンス」も、この本を読んでから観に行くとより楽しめると思います。


→ 新書版(紙の本)はこちら (朝日新書)

→ ★楽天ブックスはこちら★


オレ様はもっと専門的な話も理解できる!という方はこちらもどうぞ。(あたしはまだ読み終えてません・・)



A I ( Artificial Intelligence ) =人工知能に関するシリーズエントリはこちら。

<シリーズエントリ一覧>

第一回  A I (人工知能) <冬の時代を超えて>

第二回  A I 開発 <新しい主役の登場>

第三回  A I のある生活 <イメージ編>

第四回  A I は怖い?

第五回  ビッグデータと A I

第六回  シンギュラリティ ・ 技術的特異点 (まじ?)


楽しみだー!

そんじゃーね

2014-06-15 個人資産100億円みたいな人のお金の使い方

猪瀬前東京都知事にお金を貸してたのが、徳洲会(医療法人)の創業会長で、みんなの党の渡辺さんにお金を貸してたのが化粧品&サプリ会社 DHC の創業会長だと聞いて、「なるほど、政治家にお金を貸す人って、そういう人たちなのね」って思いました。

で、個人資産が数十億、もしかして百億円を超えるレベルの人って、いったい何にお金を使うのか、考えてみました。思いついたのは、こんな感じ↓


1)政治家になる

徳洲会の二代目もそうだし、夢に日付を書いてた人とかも。


2)政治家にお金出す

冒頭に書いたような例ですね。こういうレベルのスポンサーが付かないと、新党なんて作れないんだと思う。


3)寄付財団を作る

ビルゲイツ氏とか、アメリカに多い。日本でもカンボジアに学校寄付するとか、障害者施設を作ったり、奨学金制度を始めるとかありますね。

自分や家族に病気の人がいたりすると、難病など、特定の研究分野にどーんとお金出すとかもある。


4)美術館を作る

こことかここも、そうだし、いっぱいあるよね。

相続対策が必要になるまでは美術館を作らず、個人であれこれ集めて抱えてる人も多そう。


5)カジノに行く

トイレットペーパー会社のぼんぼんとか。←この人は会社のお金までつぎ込んだから問題になったけど、個人資産の範囲で遊んでる分には問題にならないので、他にもいそう。


6)企業に投資する

エンジェル投資家っぽくなるとかね。自分の資産形成方法が、起業の成功だという場合は、このパターンが圧倒的に多い気がする。


7)宇宙に行く

男性にとってはロマンなんでしょうねー。あたしはお金もらっても行きたくないけど。


8)スポーツグループを買う

これも多いよね。任天堂の山内氏のマリナーズとか、楽天の三木谷氏のサッカーチームとか。(ソフトバンクや DeNA のは、会社で買ってるのでこれには入りません)

よく知りませんが、バレエ団を買うとか、楽団を所有みたいな富豪もいるんですかね。


ここから下は、日本人ではあまり聞かないけど、欧米では多そうなパターン

9)古城とか島とか買う

日本人でこれやってる人いるのかな。海外だと結構いるよね。フランスの古城を買うとか、地中海の小さな島を買うとか。


10)学校作る。もしくは、校舎をぽーんと寄付して、学校名を自分の名前に変えちゃう。

アメリカの大学や学部って、人の名前の学校がたくさんあるよね。


なお、ホテルを買うとかゴルフ場を買うのは、単なる資産運用とも言えるので省略してます。


災害とかあった時にちょこちょこ寄付するくらいはみんなやってるけど、100 億円単位の個人資産があると、そんなレベルでは全然使い切れない。贅沢なんてしても使える額はしれてるし、基本は「値札のついてないものを買う」っていう行為が必要になるんだよね。

こんなお金を手に入れることは、あたしの人生では起こらないけど、もし自分だったら、どーするだろ? って考えるのはちょっと楽しい。


たぶん、アラブの王様系とかだと、もっと斬新なお金の使い方してるっぽいけど、あたしには想像もつきませんね。何か抜けてたら教えてください。

追記)競走馬を多数所有したり、レース自体を主催したり、有名ワイナリーを広大な畑ごと(村ごと??)買ったり、ヨーロッパのクラブチーム(サッカー)のオーナーになったりするらしい。なるほど。


あたしなら(昔の貴族みたいに)売れてないアーティストのスポンサーをしたいなーと思ったけど、よく考えたら、売れてない間のアーティストなんて支援しても、たいした額にはならないですね。すでに成功したアーティストの作品をひとつ買うお金で、100人くらい支援できそう。


そんじゃーね!

2014-06-11 仕事と家庭の両立なんて、目指すのやめたらどう?

この前テレビで、妻が関西に単身赴任をしている共働き家庭(子供はふたり)が取材を受けていました。

会社には育児や介護のため、転勤を数年間、猶予する仕組みもあるのですが、妻は「その制度は子供が学校に行き始めた後に使いたい」と考え(お受験の頃?)

今はあえて制度を利用しないと決めたらしい。ちなみに、子供は 2歳と 5歳くらいでした。


また、今回の転勤により彼女は出産後、働く時間を抑えるために就いていた内勤の仕事から(花形の)営業職に戻れており、転勤を避けなかったことでキャリアアップにもつながってる。

一方の男性(父親)は、東京で二人の子育てをしながら働いているのですが、「会社には申し訳ないと思うけど、残業はしないという働き方をさせてもらっている」と。もちろん保育所を利用中。

夫曰く、「大変だけれど、妻が子育てのために仕事をセーブしているのは申し訳なかった。だから今は自分がサポートしたい」


母親は毎週末、関西から東京に戻ってくる。また、平日の朝は毎日スカイプを使って、子供&夫といっしょに(画面の向こうで同時に)朝ご飯を食べてます。


まとめるとこんな感じ↓かな。

・女性も男性も、正社員として働いている


・女性が働く会社では、女性にもキャリアアップの機会が与えられている。


・同時に、本人が望むなら、介護や育児のために転勤を数年猶予する制度もある。


・加えて、これも本人が望むなら、内勤の仕事に異動し、仕事をセーブしながら働くという選択肢も選べる。


・男性の会社も、子育てのために一切残業しない働き方を認めてくれている。


・男性は仕事をしながら、平日はひとりで二人の子供を育てるという覚悟をもっている。


・夫婦、子供とも健康で、親の介護などの問題はまだ発生していない(ようでした)

つまり夫婦ふたりとも、勤める会社にも能力にも健康にも恵まれ、みごと「仕事と家庭の両立に成功」してる。


★★★


ここで私の質問は、「みんなホントにこんな生活がしたいの? これが理想の生活なの?」ってこと。

就活中の女子ってすぐに「仕事と家庭の両立は可能ですか?」と聞くけど、そういう子達って、こういう生活に憧れてるの?


ちょっぴり想像力のある人ならわかるはず。

こういう生活が、どれだけ大変か。


月曜から金曜日までバリバリ仕事をこなし、金曜の夜には新幹線に飛び乗って深夜に自宅に戻り、月曜の早朝には再び東京駅に向かう。

赴任先では洗濯や掃除などすべての家事を、平日、仕事が終わった後に片付ける。

赴任先の家は「寝るだけ」の家になるし、毎日の食事だって、きちんとしたモノを食べるのは至難の業。


しかもせっかく数年間、違う地域に住んでいるのに、その地の文化を経験するために使われる週末はひとつもない。       

ふたりとも自分の趣味に使う時間も皆無だろうし、それどころか、自分たちの健康を維持するための十分な睡眠時間だって、確保できていない可能性が高い。


年老いていく自分の親と時間を共有したり、友人達との時間や、自らの新しい可能性や視野を開くであろう社会的な試みに参加する時間もとれない。

子供の病気やアレルギーという問題が発生すればさらに余裕がなくなり、親も子も一気に疲弊消耗する。


これが本当に、みんなが求めてる「家庭と仕事の両立」なの? 


★★★


目指すべきゴールを間違えたら、苦労してそこに到達しても、誰も幸せになれません。

だからよく確認してね。

これが、この二人のしている生活が、みんなの理想なの?


政府は、みんながこういう生活をできるように、

・企業に育児休暇や介護休暇の制度を整備するよう求め、

・男性に育児や家事を積極的に分担するよう求め、

・女性にもキャリアアップの機会を与え、男性にも、残業をしない働き方を求め、

・保育所を整備しようとしてるの?


長期の海外出張や転勤は断り、たとえ緊急かつ重要でも夕方に始まるミーティングには出席せず、大事な顧客と関係を深められる機会であっても会食には一切でない。

それでも仕事において、自分が納得できる成果を上げ続るのは、男性であれ女性であれ、相当に仕事のできる人だけでは

たとえ 10時から 16時までの時短で働いていたとしても、

夫が“そこそこ”のイクメンであったとしても、

子供二人育てながら週に 5日、正社員で働く女性の忙しさ(てか、テンパってる度合い)は生半可じゃない。

ましてや 2歳と 5歳の子供を置いての単身赴任! 


ここでちょっと別のゴールも考えてみて。


女性に、キャリアアップにつながる関西転勤の話が出たとき、男性側が仕事をやめて、家族で関西に引っ越す。


家族四人で数年間、関西に住む。最初の一年は、男性は育児と家事を担当し、その後は、関西で就職して仕事をする。もちろん週末には、家族みんなで京都や瀬戸内など、関西の名所や自然を楽しむ。


何年か関西で働いた後、男性側が勤める企業がアジア進出を決め、男性に香港転勤を打診。おもしろそうな仕事だということで、今度は女性が会社を辞めて、一家全員で香港に引っ越す。


香港で最初の一年、女性は現地の大学付属の語学学校に通い、英語と中国語を習う。香港では安くお手伝いさんも雇えるので、家族の時間も確保できる。


その後、女性は香港で新たな職を見つけて働き始める。


数年後、男性に日本への帰国辞令が出るが、家族全員で話し合い、男性が退職して(他の仕事を香港で探すことにし)、当面、子供の教育にキリのよいタイミングまで香港で暮らすことを選ぶ。


私なら、こっちのほうを「目指すべき姿」とするかな。  

これなら家族は一度も離れずに済むし、週末ごとの移動にかけていた時間とお金は他のことに使える。

縁あって住むことになった土地を、家族みんなで楽しめる。


転職を繰り返すなんて難しすぎるって? 

上で描かれた生活って、転職より簡単そう?


理解したほうがいい。仕事と家庭の両立ってのは(転職するのに負けず劣らず)難しい。

どっちも“無理ゲー”と言えるほどに難しいんだけれども、

じゃあ「実現できたら嬉しいのはどっちなの?」「あなたはどっちを目指したいの?」

ってのが、私の質問です。


まずは自分が手に入れたい生活=目標を間違えないようにしましょう。

上のふたつの生活は、どちらも難しいです。

だから、「自分がより魅力的だと思うほう」を目指しましょう。


★★★


なんで皆、大して魅力的でもないゴールを達成するため、こんなに苦労したがるのか。

理由は簡単です。

終身雇用を前提として、すべての社会問題を解決しようとするからだよね。


その(無茶な)前提条件を外さないから、睡眠時間もまともにとれなくなるような過酷な生活を「仕事と家庭の両立」とか言って、みんなで目指すことになる。

子育てで一回、会社を辞めたら、同じレベルの報酬がもらえ、同じレベルのチャレンジと成長機会が得られる仕事には、もう二度と就くことができない。

だからどんなに過酷な状態でも仕事は辞めず、ヨレヨレになりながらも「家庭と仕事を両立させねば! ブヒー!」みたいな話になる。

日本の労働市場に蔓延する「企業の人材抱え込み発想」が & 「個人の終身雇用しがみつき発想」が、異常に過酷な両立神話を多くの人に選ばせている。


「仕事と家庭の両立神話」って、本当に罪が大きい。

両立できて当たり前? 

冗談でしょ。

あんな大変なことができるのは、環境や健康に恵まれた上、めっちゃ能力(もしくは根性か思い込み)のある、ごく一部の人だけです。

両立は、できたら偉いしスゴイですが、「できて当たり前」なんかじゃありません。

出来ない人が卑下する必要も、焦る必要も、肩身を狭くする必要もないんです。


最後にコメントを求められた(関西に単身赴任中の)女性は、「もちろん本当は家族みなで一緒に住むのがいいと思うんですけど・・・でも、自分で選んだ道ですから」と涙ぐんでた。

そりゃそうだよね。

2歳と 5歳の子供と離れて単身赴任してる生活を、「ベストな生活です!」とは言えないでしょう。


だったら、

「仕事と家庭が両立できる社会」ではなく、

「両立なんてできなくても、なーんら問題のない社会」を目指したほうがいいのでは?


「 23歳で新卒就職した会社に 65歳までの 42年間、勤め続けなければならない」という前提の上で家庭と仕事をむりやり両立させようとする社会ではなく、

数年間のインターバルや、

非正規雇用の時期や、

(夢を追うとかモラトリアムとか含め)人生において個人的な試行錯誤をしていた数年間を挟んでも、

いつでもやりがいと適切な報酬を得られる仕事に戻れる、

そういう流動性の高い社会をこそ目指すべきでは?


いえもちろん、みなさんが上記で紹介した二人のような「仕事と家庭を両立してる」状態を、

「素敵! こんな制度の整った会社に勤めたい!」とか、

「素敵! こんな理解のある男性と結婚したい!」と感じ、

心から羨ましくて、自分も是非そういう生活がしたいというなら、それはそれでいーです。

もしくは、

「転職なんかより、パートナーが単身赴任してる間、2歳と 5歳の子供を働きながらひとりで育てるほうが、よっぽど簡単だ!」と思ってるなら、

それはそれでいーです。


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そんじゃーね



★下記の本は、これからの新しい働き方についての私の考えをまとめたものです。

就活女子の方、子育てと仕事の両立に悩む方、男女問わず、これからまだ 30年近く同じ仕事を続けることに疑問を感じる 40代の方、

この本を読んで、「自分が本当に手に入れたい思っている働き方とはどんなものなのか」、一度、自分のアタマでじっくり考えてみてください。もちろん男性も。

未来の働き方を考えよう 人生はニ回、生きられる (文春文庫)
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文藝春秋 (2015-11-10)
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<関連エントリ>


1) 仕事と家庭の両立を目指す女性の前に存在するふたつの道について

2) 上記エントリへの皆様からのコメント 


3) 関西転勤なら毎週戻ってこれるけど、これからはもっと大変な時代になりますよ! って話

4) 分業と非分業と生産性 なぜ共働きは大変なのか


5) 不妊治療に関する課題ポイント

6) 不妊治療について(上記まとめ)


7) 「グローバル人材」って何かわかってる?


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2014-06-07 ネットインフラ整備のおかげです

今年の1月から先月末(5月末)までにちきりんが得た収入を、支払い元の企業タイプ別に集計したところ、こんな感じになりました。



凄いことになってますよね。。。

このグラフが意味しているのは、「某ネット通販企業が存在しなかったら、あたしの収入は半分しかなかった」ってことです。もしくは、「某ネット通販企業の出現のおかげで、収入が倍になった!」とも言えます。10年前どころか 5年前でさえ、こんなことは想像もできなかったでしょう。

★★★


私の収入は、その大半が「書くこと」に対する対価です。上記のうち、講演料だけは「話すこと」への対価ですが、それ以外はすべて「書くこと」から得ています。


「書くこと」から得られる対価は二種類で、

1)ひとつが、広告やアフィリエイトなど「書くことで間接的に得られる収入」、

2)もうひとつが「文章を売ること」、すなわち、コンテンツ対価として、書くことから直接的に得られる収入です。


1)に関しては、ネット上で個人が書いた文章に広告をつけるという仕組みが登場して、初めて可能になりました。昔から新聞や雑誌はこの仕組みで収入の多くを得ていましたが、それが(ネット上なら)個人でもできるようになった。

上記のグラフでは、ピンク部分の一部と、オレンジの部分がこれにあたります。


2)に関しては、個人でも出版社を通して本や記事を書くことで、「コンテンツを売る」ことが(今まででも)可能でした。円グラフでもわかるように、私の直近の収入でも出版社経由で受け取る額は、二番目の大きさです。

2年前までは、この部分が「書くことで収入を得る人」にとって、ほとんど唯一の収入源でした。しかし、「自分で直接、自分のコンテンツを売る」という仕組みができて、いきなり私の収入も倍になったのです。


(それに大きく貢献したのが、昨年書いたこの本↓です)

「Chikirinの日記」の育て方

「Chikirinの日記」の育て方


昔、先進国になりたいと考える国は、みんな「インフラ整備」に大きな投資をしました。港湾に空港に鉄道に高速道路を作り、ダムと火力発電所を作って電気を引きました。それらのインフラが、様々な企業や産業を育てるからです。

ネット上で様々なサービスを提供してくれる会社は、それらのインフラ系の企業と全く同じ役割を果たしています。しかも今回は、個人もその恩恵を直接的に得ることができます。


そもそも“ちきりん”というビジネスが可能になったのは、ブログというウエブサービスができたからで、これも「自分の文章にたいして、市場の評価と認知を得るための、新しいインフラサービス」でした。

次に、ネット広告やアフィリエイトという仕組みができ、書くことから間接的に収入を得ることができるようになり、今や、コンテンツ販売という(書くことから直接的に個人が収入を得る)ためのインフラまで整備されました。


私は使っていませんが、書くことの対価として得られる収入は、メルマガ経由が最も多いという人もいるでしょう。また、動画コンテンツを中心に提供しているなら、「ネット通販企業」ではなく「検索企業」からの収入が最も大きくなるはずです。

今は私の場合、話すことの対価は講演料として受け取っていますが、新たなインフラサービスがでてくれば、この部分についても将来は、ネット経由での収入が大きくなるかもしれません。


5ヶ月間だけの集計とは言え、ネットインフラ経由での収入(=ピンク&オレンジの部分の合計)が全体の半分を超えた、というのがちょっと感慨深かったので(記録の意味もかねて)エントリにしてみました。

この円グラフ、2年後、5年後、そして 10年後には、どんなふうになっているのでしょう?

何年かあとに読み返すのが、とても楽しみです。


そんじゃーね



<関連過去エントリ>

経済成長に必要なインフラが変わることの意味

KDP キンドルダイレクトパブリッシング体験記

2014-06-04 バランスなんて、とる必要ないです

世の中には、やたらとバランスをとりたがる人がいる。

食べるものや時間の使い方について、偏ることを嫌い、常にすべてをちょっとずつ盛り込もうとする。得意科目と不得意科目があると、不得意科目の克服に時間をかけ、全科目、バランス良くできるようになろうとする。

でもあたしは、「バランスとるなんてロクなことないよね。そんなもん気にせず、どんどん偏った方がいいよ」って思ってます。

不得意科目なんて切り捨てて、得意なコト、大好きなコトに集中的に人生の時間を振り向けたほうが、よほど豊かだろうと思ってる。


他にもたとえば、

毎日、朝 9時から 6時まで働き、夕方以降と土日は、個人の時間としてきちんと確保する。夏休みと年末はそれぞれ一週間の休暇を取る

より、

毎日、夜中まで働き、土日も仕事で潰れることもある。でも、1年に 1ヶ月は休みを取り、海外を回って長期休暇を楽しむ!

の方が圧倒的に好きだし、実際にそういう働き方を選んできた。


人生全体で見ても、

新卒で就職してから定年まで、ずっと仕事と個人生活のワークライフバランスを維持しながら働く

より、

10年は“仕事=人生”的にめちゃくちゃ働く。10年はふつーに働く。5年は新しいことを学ぶ。5年は遊んで暮らす。5年は家族のために使う。

みたいな方が好ましい。


ゲームは一日一時間。その後は読書もするし、友達とも出かけるし、バランス良く遊ぶ

より、

ある時期はゲームにはまって引きこもり状態。寝ても覚めてもシムシティやってる。ある時期は友達と遊び歩いて、夜遅くまで家にも戻ってこない。もちろん本も読まない。でもある時期は本の虫となり、めちゃくちゃハマる。

みたいな感じの方が、圧倒的に楽しい。


食べ物だって、やたらとバランスばっかり考えてると調理も面倒だし、たいして美味しくもないものを「体にいいから」とかいう意味不明な理由で食べることになる。

それよりは好きなモノを思う存分食べて幸福感に浸るほうがいいって。それに、後から振り返れば「あの頃オレは、○○ばっかり食べてた。それくらい○○が大好きだった!」みたいな記憶が残る。そういう思いが残ることって、大事なんだよ。

世の中にはいろいろ美味しいモノがあるんだから、「上手いモン食いたい!」という気持ちさえあれば、自然にいろんなものを食べることになる。

小さな頃から「バランスバランス」言われて、好きでもないモノを毎日ムリに食べさせられるのは本当に不幸。


★★★


ちきりんが、「バランスをとらないアプローチ」の方がいいと思う理由は、

1)“ハマる”という経験がとても大事だと思ってるから、と

2)短時間で異なることを複数こなすために、いちいちモードを切り替えるのは時間が無駄だから(生産性が低くなるから)、そして

3)ハマると、自分が本当にやりたいことが見つけやすくなるから

です。


そもそも何にせよ、「常にすべてをバランスよく手がけてます!」って人で、おもしろい人に会ったことがない。

「この人すげえ! めっちゃおもしろい!!」って思う人は、たいてい大きくバランスが崩れてる。何かにのめり込み、偏ってて、「よくまあ、そんなことに、そんな時間を投入してますね」って感じの人ばっかりだ。

だから他の人も、もっとバランスを崩した方がいいと思ってる。バランスなんてとってると、すんごいツマンナイ人になる可能性が高い。


それにね。時間を細切れに分けて、一日にいろんなコトをやろうとすると、その間にイチイチ切り替え時間が必要になるでしょ。

介護や育児モードと、仕事集中モードの間には大きな断絶があるから、一日に何度もアタマとココロを切り替えようとすると、けっこうな時間と精神的な負担がかかる。

だからほんとは、数年は育児や介護に集中( 100%でなくてもいいけど、そっちを優先)、その後は仕事に集中。みたいなスタイルの方が、圧倒的に(どっちも)生産性が高くなる。しかも疲れない。


ゲームやスポーツも同じで、一日一時間とか細切れにやってても、まったく上手くならない。本当のおもしろみもわからない。

上達にも理解にも一定レベル以上の集中が必要で、そのためにはバランスなんて、とっていられない。

てか、ゲームを一時間やって、その後に本を一時間読んで、その後、友達と一時間あそぶって・・・ソレ、ほんとに楽しい??


しかも、何でも一日中、もしくは、何日も何ヶ月も続けてひとつのことをやってると、自分がそれを本当に好きなのか、人生の中心にそれを据えたいと思えるほど好きなのか、が、わかってくる。

たとえば私は、今年になって今日までの 5ヶ月間に、マレーシアとモロッコとスリランカに遊びに行き、沖縄と長崎にも旅行しました。

旅行ばっかりしてる半年を過ごすと、自分がどれくらい旅行が好きか、もしくは、どれくらいそういう生活が続けられるものか、自分自身に問い直すことが出来る。

一年に一回くらい旅行して、「暇になったらずっと旅行して暮らしたい」とか言うのって、実際にやってみたら全然楽しめない人もたくさんいるはず。「本当に自分が望んでる生活」って、ある程度の集中度をもってやってみないとわからない。


旅行に限らず、どんな趣味でも、そして、どんな仕事でも、細切れにやってると、「結局、俺って何が好きなんだっけ??」ってのがよくわからないままになっちゃうんだよね。

でも、一時期集中してそれをやれば、「あっ、こんなの疲れるだけだ」とか「ずっと憧れてたけど、やってみたら別にそんなに好きじゃなかった」、みたいなことはすぐわかる。


人生はけっこう長い。数年くらい一つのことにハマっても、人生全体ではいくつもおもしろいことが出来る。だからあんまりチマチマした単位で、律儀にバランスを取る必要は全然ない。

てか、そんなことしてると、つまんないし、生産性も悪いし(=すべてが中途半端になるし)、何も成し遂げられない上に、自分が本当に手に入れたいモノさえわからないままになる。


というわけで、

間違ってもバランスとろうなんて考えなくていーです。


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そんじゃーねー!


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2014-06-01 考える力の弱い人へ

考える力には(生まれつき)個人差があります。

他の能力と同じように、つまり、走る力とか、歌う力とか、香りを嗅ぎ分ける力などと同じように、生まれつき、それが得意な人と下手な人がいるんです。


そしてどの力も同じですが、誰でもきちんと方法論を学び、かつ実践練習を重ねれば、ある程度は上達します。

でも、スタートラインは人によって違うし、ポテンシャル(学んで練習すればどこまで伸びるかという可能性)も人によって違います。

つまり、考える力が高い人と低い人が(あらゆる能力について、その能力が高い人と低い人がいるように)いるってことです。


考える力が弱い人がその力を伸ばすには、『 自分のアタマで考えよう 』 に書いたように、「考える方法論を地道に学び、それを何度も実践で使って練習する」のが王道ですが、実はもうひとつ、別のアプローチもあります。

それは、できるだけ他の人と違う経験をする、ってことです。

そうすることにより、相当程度、「考えた結果」のレベルを底上げできます。


たとえば私は、学生時代からソビエト連邦やビルマ(どちらも当時の名称)を含め、あちこちの国を旅してきたけれど、そういう経験をすると、考える力がそんなに高くなくても、それなりにおもしろいことを考えつきます。

考えるための材料が非常に強力なので、でてくるモノ(考えた結果)のレベルが大きく底上げされるんです。


料理でも、本当に料理の上手い人は、どんな材料からでも美味しいモノを作ります。スキルがあるから、材料の質を問いません。

でも、料理のスキルが劣る人が対抗しようと思うなら、その人より“圧倒的にいい材料”や“ものすごく珍しい材料”を使うのがひとつの方法です。

そうすれば、結果としての料理のおいしさは、それなりに底上げできます。

考える時もそれと同じ。考える力が弱いなら、材料を工夫すればいいんです。


★★★


つまり、「考える力の弱い人ほど、行動すべし」ってことです。

本当に考える力がある人は、書斎にこもってるだけで、考えることができます。

アタマの中にどんどん発想が広がり、それがどういう展開を見せるのか、その新展開はどういう意味をもつのか。そういうことを、アタマの中だけでシミュレーションできる。

考える力の高い人は、そういうことが可能です。


でも、そういう力が無い人でも、多彩な行動から得たインプットの助けを借りて考えれば、結果(考えた結果)は、そこそこおもしろいモノにできる。

私は学生時代、セブンイレブンやマクドナルド、ロイヤルホストなど、いろんなチェーン店でアルバイトをして、その経験からいろんなことを考えました。

同じ大学の同級生の多くは、時給の高い家庭教師や塾の講師のバイトをしていました。バイトなんか全くせずに、資格のための勉強ばかりしてる子もいました。

元々の考える力は彼らの方が高くても、経験の質が圧倒的だと、軽く逆転できると、そのとき気がつきました。


★★★


世の中には、「考えてだけいる人」と「行動だけしてる人」がいます。どっちも凡人がやるべきことではありません。

凡人がそんなことやってたら、「頭でっかちで世の中を知らない使えないヤツ」か、「朝から晩まで働いてるのに、全く報われない人」にしかなれません。


考えてだけいて、それなりの結果がだせる人は、天才です。そういう人は元から、生まれつき、考える力が尋常じゃないんです。

行動だけしていて、結果が出せる人も同じです。

何も考えず、ひたすら行動だけしていて、それで結果が出るなんて、凡人にはありえません。彼らは、いわゆる“動物的な勘”ってのを持ってるんです。

でも、凡人にはそんな力もセンスもありません。


凡人がやるべきは、「行動する」と「考える」を上手く組み合わせることです。特に、「オレは(私は)考える力がイマイチだな」と思ったら、できるだけ行動側を強力なものにすればいい。

あまり人が行かない国に行く。多くの人が避けている仕事に就く、あまり人気のないコトをやってみる。他の人が諦めたことでも、諦めない。

そうやって「他の人がやらないこと」を材料にして考えれば、凡庸な日常だけから考えてる人を、一歩凌ぐことができます。


私はこのブログに「日々考えたコト」を書いてます。

今後、おもしろいことが書けなくなったら、おそらく(この年から考える力を鍛えようとするよりは)、「なんか強烈におもしろい経験をしよう!」と考えるでしょう。

アマゾンの倉庫でバイトする、牛丼屋で深夜に働いてみる。それだけで、相当におもしろいことが考えられるはず。ユニークな経験をすれば、かなりの部分、考える力を補えると知っているから。



何も行動せず、高い結果がだせるレベルの思考力がある人なんて、世の中ではほんとーに一握りです。

何も思考せず、日々の実践だけから高い結果が出せる行動派の人も、ごく僅かです。


考える力の弱い人ほど、動きましょう。人と違うことをやりましょう。それが勝因です。


そんじゃーね