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Chikirinの日記 RSSフィード

2015-04-28 空の玄関、機能麻痺まであと一歩

この前、ジャカルタに行く時に使った成田空港、一年前に比べて外国人が激増してて驚きました。

2013年に 1036万人だった訪日観光客が、2014年は過去最高の 1341万人まで増え、今年は更に増えてるとのこと。

それにしても休暇シーズンでもない一般日なのに、あの混みようには驚きました。ゴールデンウィークに成田空港から出国する人は、いつも以上に早めに空港に到着したほうがいいんじゃないかな。


列が長くなってるのは 3ヵ所。

1)手荷物検査レーン

2)出国審査

3)免税店や売店のレジ

です。


私の場合、手荷物検査は上級マイレージ会員向け専用レーンを使い、出国(&入国)審査は自動化ゲートを使って難を逃れましたが、いずれも普通に並んでたらかなり待たされます。

出国&入国審査の自動化は、一度登録しておけば(パスポートを更新するまで)有効なので、頻繁に成田空港を使う人はぜひやっておきましょう。

→ 成田空港 自動化ゲートについて (羽田、関空、中部空港でも使えるらしい)


免税店や売店では、お土産のチョコレート菓子の奪い合いが起きていて、店員さんが補充のため倉庫から出そうとする段ボールにまで、あちこちから手が伸びる始末。成田空港の売店で棚がガラガラなのって、初めて見ました。

飛行機の出発時刻が近づくにつれ、みんな殺気立ってくるし、レジもすごい行列。私は目覚まし時計の電池を空港の売店で買いたかったのですが、瞬時に諦めました。あんな列には並べません。


おそらく同じコトが、札幌や関空など、あちこちの空港で起こってるのでは? 

成田は LCC 専用ターミナルもできたので、少しは改善されることと思いますが、これからまだまだ海外からの観光客は増えるので、抜本的な対策をしないと大変なことになると思えました。


★★★


ちなみに、世界の観光立国が受け入れている海外からの観光客数は、

フランスが一位で 8301万人 (2013年、以下すべて)、次が米国で 6977万人、3位はスペインの 6066万人、その後、中国 5569万人、イタリア 4770万人と続きます。

アジアで、中国の次に国際観光客の多いタイは、2500万人以上を受け入れているので、日本へやってくる観光客も、今よりさらに倍増しても不思議ではありません。

そんなことになったら、空港はマジでパンクしそう。


今のところ日本人の出国数は年間 1800万人ほどですが、こっちは今後も大きくは伸びないので、早晩、空港利用客の大半は非日本人になります。

なので今後は私たち日本人も、「空港についた瞬間から海外!」という雰囲気を体験することになるんでしょう。


直近で、世界の空港における国際線の利用者数は、成田空港が 2795万人、羽田空港 804万人、関西国際空港 1187万人に対して、世界一のドバイ空港は 7000万人、ヒースロー空港 6800万人、シャルル・ド・ゴール空港 5800万人です。

ドバイは大半が乗り換え客(入国審査・出国審査の不要な利用客)なので別としても、ヒースローやシャルル・ド・ゴールくらいまで成田の利用客が増えるのは、“想定内”としておいたほうがよさそう。


というのも、海外からの観光客というのは、どの国でも近隣国からの客が非常に多いのです。フランスに来ている人の多くはドイツ、イギリスを始めとした近隣ヨーロッパの人だし、アメリカに来ているのも、カナダやメキシコの人が多い。

つまり今まで日本にくる観光客が少なかったのは、日本の近隣に「海外旅行ができる経済力の国が少なかった」という理由もあるのです。


ですが今や、日本のそばには、巨大な“観光客の送りだし国”として成長しつつある中国があるし、東南アジアでも、人口が多く、親日的な国の経済成長が続いています。

このままアジアの経済発展が続けば、訪日観光客は、欧州の比ではなくなる可能性も高いのです。

てかね、昨年、日本を訪れた中国人は 240万人なんだけど、中間層だけでも 数億人いる中国の人口を考えたら、近い将来 2000万人くらいの中国人が日本に来ても、あたしは驚かないです。

<中国からの観光客数の試算>


2014年の台湾からの訪日人数は 282万人で、これは台湾の人口の 12%にあたります。同じく昨年の、韓国からの訪日人数の韓国人口比は 5.5%。


13.5億人いる中国人のうち、上から 4億人が、海外旅行ができる経済力を付け、台湾人と同じくらい日本を訪れるようになれば、中国からの訪日客数だけで 4800万人! 


中国が台湾ほど親日的にはなることはないと仮定し、韓国と同じ比率で訪日するとしても 2200万人の中国人が日本を訪れる可能性があるのです。


フランスやアメリカの場合、陸続きの隣国からは電車や車で来る人も多いですが、日本の場合、たとえ近隣であってもアジアからの観光客は(ほぼ)みんな空港を使います。

というわけで、成田や関空、札幌などの各空港は、これから相当のキャパ増強が必要でしょうし、今こそ、無駄に作りまくった地方空港を積極的に活用すべきなのかもしれません。

関係者の皆様には、空港のすぐ近くに、外国人向けの巨大な免税ショッピングセンターを作るとかも含め、抜本的な対策をお願いしたいです。(幸いにも成田周辺にはまだ土地もあるし、免税店ならホテルと違って、安普請の建物で十分なんだから)


そーしないと、マジで空港が機能しなくなりそーでビビりました。


そんじゃーね!


 関連エントリ → 成田空港から東京駅へのリムジンバス、ひどすぎます


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2015-04-25 単位(ケタ)くらいは明確に

細かい数字にこだわる人が多いのですが、あたしは(結論を変えない細かい数字には)全く興味がありません。

その一方、単位やケタ、すなわち「レベル感」を意識するのは、すごく大事なことだと思ってます。


たとえば、「あるビジネスに将来性があるか否か」みたいな話をする際、いわゆる起業家なら、「少なくとも数十億円、もしくは数百億円のビジネスになりえるか?」くらいのイメージで考えるでしょう。

だからそういう人に「成功しても 1億円にしかならない」ビジネスについて聞けば、そんなの将来性がないと断じられます。


でも、私が「いーんじゃないの?」「いけるんじゃないの?」って言う時に想定してるのは、「そのビジネスなら、大人ひとり十分に食べていけるでしょ?」って話であって、

具体的には「年収 500万円から 800万円くらいは稼げるはず」といったレベル感です。だから、1億円の売上げが期待できると感じれば「すごく可能性のある市場だよね!」って言います。


前提を理解せずそれらを聞いてしまうと、「ふたりの言っていることは矛盾している」などと思いがちですが、実は、両者の認識にはなんの違いもありません。むしろ、「そのビジネスなら、だいたい1億円くらいの市場でしょ」って点において、意見は一致しているんです。

このように、人の話を聞くときは「どのレベルの話をしてるのか」について、相手の前提を理解してないと、トンチンカンなことになってしまいます。


同様に、よく「起業なんて、一万人にひとりも成功しない」と言う人がいますが、

それって「一千億円規模の企業に育て上げられる確率」の話をしてるのか、「個人で事業を始めて、月商数百万円、年商で数千万円ほど稼げるようになる確率」の話をしてるのかによって、全く異なるのです。


★★★


なにかビジネスを始める時にも

・Facebook, Apple, Google みたいな世界規模のビジネスに育てたいのか

・楽天とか DeNA みたいに、日本だけで一千億円以上を目指すのか

・数百億円くらいを考えているのか

・数十億円のビジネスを目指すのか

・数億円(月商で一千万円ちょい)の規模を想定しているのか

・数千万円(月商 数百万円)= 個人事業+αのレベル、なのか

の違いくらいは意識しておくべきだし、一緒に起業する仲間の間でも、目指してる事業のケタくらいは摺り合わせておいた方がいいと思います。

なぜなら目指している事業規模がワンランク異なると、達成するために求められるモノや、必要になるコト、やるべきコトが全然違ってくるからです。


たとえば数千億円以上ってのは、レバレッジの効かないビジネスでは、まず実現できないんじゃないでしょうか。

「レバレッジが効く」とは、

・ゲームソフトやアプリのように、1回作れば同じモノが無限に(容易に、かつ非常に低いコストで)複製できる

・言語さえ翻訳すれば、世界中で同じビジネスモデルが通用する(ウェブ or スマホサービス)

・ライセンスビジネスのように、提携他社を利用した事業拡大が可能

といった事業です。


レバレッジを効かせずに数千億円の事業を実現するのは超大変なことで、通常は“代”を超えた成長が必要になります。(伝統的なメーカーみたいにね)

だから、もし一代でそういう規模を目指したいなら、最初から「このビジネスってレバレッジが効くか?」という視点で考えておく必要があるわけです。


でも数百億円のビジネスなら、必ずしもレバレッジが効かなくてもいい。すると、ビジネスモデルの幅は相当に広く考えられます。


と言っても数百億円にするには、「大規模オペレーション」は不可欠です。

工場で作るとか(工場が自社工場である必要はないです)、コールセンターで処理するとか、フランチャイズで展開するとか、マニュアル通りに働く人を大量に雇うとか。

そういう「大量生産ライン」なしで、売上げを数百億円に乗せるのはけっこう苦しいコトです。


さらに下げて売上げが数十億円でいいなら、レバレッジが効かないビジネスで、大規模オペレーションにも乗り出さず、付加価値の高い製品をカスタムメイドで提供する、って形でも達成可能になります。

スゴク個性的な車を、ほとんど手作りで作って売るとか、

コンサルティングみたいに人間がアドバイスする事業も、レバレッジは効かないし大規模オペレーションも難しいけど、数十億円なら(単価も高いので)十分に達成可能でしょう。


つまりこのレベルの目標でいいなら、プロフェッショナルファーム的な組織の作り方でも実現可能だし、大都市のみでの展開でも達成可能。

慣れない分野に乗り出したり、「自分たちとは価値観の違う人達」を組織に抱える必要がないので、精神的にはかなり楽です。


とはいえ、それでも数十億円の規模を目指すには、多くの場合、組織の中に複数のリーダーが必要になります。だから、仲間以外からも優秀で信頼できる人材を確保できないと実現できない。

これが、「売上げは数億円でいい」となれば、リーダーは自分だけとか、起業メンバーの 2名だけ、でも実現可能になります。

これなら自分の好きなビジネスを、気の合う仲間だけと、自分たちの好きなやり方でやってればいい。


さらに(すでに起業というレベルではなく)あたしがよく勧めてる「自由に生きるために自分で稼ごう!」的な話になると、売上げは数千万円ほどでいい。

これなら初期投資を最小化してほとんどリスクなくスタートできるし、自分の得意な分野でマーケット感覚を発揮し、試行錯誤をして市場と失敗から学ぶ力さえあれば、半分くらいの人は成功できます、みたいな世界になる。

「ちきりんビジネス」なんて、まさにコレです。


というわけで、起業する時や自分で市場に乗り出す時、細かい数字はどうでもいいけど、とりあえず「どのレベルの成功を目指してるのか」くらいは意識しておくといーんじゃないかと思います。


そんじゃーね。


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2015-04-23 市場&失敗こそ学びの場

今回の新刊では、どうすれば「マーケット感覚」が身につくのか、その方法について詳しくまとめています。

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中でも重要なのが、「市場から学ぶ力をつけること」です。そしてそれは「失敗から学ぶ力をつけること」でもあります。


学びの場には、大きくわけて「組織」と「市場」のふたつが存在します。組織からの学びとは、学校組織や会社組織での学びです。他には、セミナー会社主催の勉強会などもあります。

学校では教育が行われ、企業でも新人研修やスキル研修が行われる。講演会や勉強会もふくめ、これらは「組織的な学びの場」として広く認知されています。


でも、もっとも重要な学びの場は「組織」ではなく「市場」です。

なぜなら組織からの学びでは「わかるようにはなる」けれど、「できるようになる」ことは期待できないからです。

「わかるようになる」に加え、「できるようになる」ためには、組織での学びに加え、市場からの学びも手に入れる必要があります。

ところが、「学ぶ場」というと組織しか思い浮かばず、市場から学ぶというコンセプトの理解できない人、もしくは、不得意な人も、世の中にはたくさんいます。


なぜかって?

失敗が怖いから。

失敗に慣れてないから。

失敗は避けるものだと教えられて育っているから。

です。


市場からの学びは、組織での学びと異なり、座学ではなく実践です。実践し、失敗し、そこから学ぶというプロセスです。つまり、市場から学ぶとは「失敗から学ぶ」とほぼ同義なんです。

このため「失敗は避けるべきものである」と考えている人は、市場から学ぶという大きなメリットを享受できません。


★★★


下記は新刊に掲載されたイラストです。(良知さんに書いて頂きました


失敗を怖がる人は、失敗と成功の関係をこのように捉えています。

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*1


こんなふうに考えていると、スタートラインに立ち、できるだけ失敗しないよう準備することばかりに(貴重な人生の)時間を使うことになります。「勉強ばかりして、いつまでも動けない人」になってしまうわけです。


本来、失敗とは成功までの道すがらにある「成功までのプロセス要素のひとつ」です。失敗とは、成功するために拾い集めなければならない「価値ある石」なんです。

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これがわからないと、「何かを学びたい!」と思った時、常に(失敗を避ける方法ばかりを教えてくれる)組織から学ぼうとしてしまいます。でもそれだけでは、けっして「できる」ようにはなりません。

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「日本は一度、失敗したら許されない国。もっと寛容になるべきだ」とか言う人は、本質が理解できていません。失敗は、「悪いことだが許されるべきこと」なんかじゃありません。

自分が手に入れたいモノ(生活を含め)に到達するための、必須プロセスなんです。


失敗しない方法ばかり考えて、こういう人や会社になっちゃうのではなく、

・失敗しそうなことはやらない = やりたいことも(失敗しそうだから)やらないままになる人

・失敗の可能性のある間は、ひたすら勉強を続ける = やらないまま時間だけが過ぎていく人


・企業の場合=「他社が同じような商品を出して、成功するとわかってからウチも出す」

・「それまでは、組織内で延々と検討を続ける」


失敗と成功の関係を正しく理解し、市場から学ぶ能力を身につけて、「新たにできるようになること」をどんどん増やしていきましょう。


こちらの堀江さんのスピーチ。最後まで見てください。「失敗の意味」がとてもよくわかります。

D


そんじゃーね!


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2015-04-20 キャリアの一貫性なんてマジ無用

今回ジャカルタで会った人と話してて、「一貫したキャリア形成が大事」なんて、まったくもって嘘っぱちだよねーと、改めて確信しました。


ある女性は自身の母親がそうであったように、自分も長く働きたいと考え、大学ではデザイン学科に進みます。卒業後は、希望通りデザイン事務所に就職。専門職としてキャリアを積んでいこうと考えます。


でも働いてみたら、「デザインだけをやる事務所ではなく、自社でモノを作っているメーカーで商品デザインを担当したい」と考えるようになり、一年後にメーカーに転職。プロダクトデザイン部門で働き始めます。

頭の古いキャリアカウンセラーからは「石の上にも 3年は我慢すべき。1年で辞めたりしたら絶対ダメ!」とか言われそうですね。


とはいえ、ここまでは、いわゆる「一貫したキャリア」だったのですが、更にステップアップしようと転職したアウトドアグッズのメーカーでは、なぜか広報・PR 部門に配属されます。

大好きなアウトドアグッズのプロダクトデザインができると思っていたので、これには大ショック。いわゆる、「転職してみたら、話が違うじゃん!?」ってやつです。ありがちありがち。


加えて、後から希望部署に異動できたにもかかわらず、今度は思ったほど仕事が巧く回らない。「頑張り続けることで乗り切るしかない」と焦る彼女は、心身ともに疲れ切ってしまいます。

そしてそんな彼女を待っていたのが、店舗部門への配属辞令・・・


デザイナーから広報 PR ,そして店舗販売へとどんどん「分断されていくキャリア」に、「結婚適齢期と転職限界年齢が近づく!」という呪縛、さらには東日本での大震災の発生。

アウトドアグッズメーカーの商品は避難生活グッズとしても使えるため、緊急の注文が殺到します。

工場の横には商品ができあがるのを待つ大型のトラックが横付けし、商品が奪い合われて運ばれていく、みたいな特需が発生。会社も現場も大混乱。。。


こうした現場の混乱を目の当たりにした彼女は、いったん仕事を辞めて心と体を休めようと考えます。いわゆる「キャリアの中断」です。


「そういうことをしてはいけない」と、キャリアカウンセラーは言います。「キャリアにインターバルなんて作ったらだめです。そんなことしたら再就職が難しくなりますよ!」と。

でも糸の切れてしまった彼女は仕事を辞め、失業保険で食いつなぎながら、ぼんやりと日々を過ごします。


その様子を見て友達が、「旅行に行こう」と誘ってくれました。

行き先はバンコク。

そこで訪ねたスパ施設で、彼女は偶然、バンコクに住む日本人向けに作られた無料のタウン情報誌を目にします。(世界のいろんな都市で、こういった情報誌が発行されています)


広報の仕事をしていた彼女は、「こんな情報誌を作る仕事もあるんだ」と気づき、物は試しで、情報誌の発行元企業名をリクナビに入力してみました。

すると・・・なんとその情報誌を作っている会社が、編集職の募集をしていたのです。もちろん、勤務場所はバンコク!


こうして彼女は、バンコクで日本人向けの情報誌の編集の仕事を始めます。帰国子女でもなんでもありません。海外で働くのは初めて。というか彼女は地元で進学、就職したので(今に至るまで)東京で働いたこともありません。


バンコクでの仕事は楽しそうに思えました。でも、こういう仕事でバンコクで就労ビザをとるのはとても難しいんです。そのため、たった数ヶ月で別の仕事を探す必要に迫られてしまいます。

キャリアカウンセラーの人ならこういうでしょう。「よく考えもせず、いきなり海外で就職なんてするからそんなコトになるんです。海外就職なんて、ほとんどの人が失敗するんですよ!」と。


その通りかもしれません。


困った彼女は、他の地域で情報紙を作る仕事がないかと探します。すると、日本人観光客からの人気が高くなったインドネシアのバリ島で同様の仕事があることを発見します。

彼女は迷わずバリ島に移ることにしました。「バリ島ってインドネシアだったんだ!?」レベルの知識と伴に。


ここで彼女は数年働きます。しかし日本人の中には、「大好きなバリ島に住めるなら、給与なんて低くても問題ない!」と思う人も多いため、その報酬は日本はもちろん、バンコクに比べても極めて低い水準でした。

「仕事はおもしろいけど、こんな給与では長くは続けられない」と彼女は悩みます。


これって、アジア就職をした日本人の多くが感じる困惑です。「こんな給与で働いていていいのか? まだ日本で働いていた方がマシだったのでは?」


とはいえバリ島で 2年も仕事をすると、たとえ日本語情報誌の編集という仕事であっても、当然に現地語が求められます。厳密にはバリ島の言葉とジャカルタの言葉は同じではありませんが、彼女はこの滞在期間に、インドネシア語をマスターします。

つまり「安い給与でいいように使われた」とも言えるし、「語学を学びながら、お小遣いまでもらえた」とも言えるってことです。


そんな頃、バンコク時代に知り合った友人から連絡が入ります。「日本の金型メーカーが、ジャカルタの工業団地に進出するんだけど、その立ち上げを担当できる日本人を探してるらしい。誰か適任者はいないかな?」と。


彼女は言います。「あたし、ジャカルタで働きたい。新しい工場の立ち上げ? それ、是非関わってみたい!!」


こうして彼女は金型メーカーの社長と面接。


へっ? 金型メーカー? って思いますよね。大学でデザインを勉強、デザイン事務所から転職してメーカーで広報 PR を担当。その後はバンコクとバリ島で日本人向けの情報誌の取材編集をやってきて 30代半ば・・・


「今から金型メーカー?」 「外国で工場の立ち上げ??」


でも、インドネシア語をマスターした彼女は社長に言い切ります。


「私を雇ってください。決して後悔させません!」

  

採 用!


こうして昨年の夏から、彼女はジャカルタの工業団地にある金型メーカーの工場の立ち上げに関わり始めます。必要な設備を買い集め、インドネシア人を雇い・・・ようやく無事にオペレーションが始まった工場で、今は総務や経理を担当しています。


あれっ? 


経理の経験なんて、あったっけ???


★★★


これから就職する人はよく覚えておきましょう。一貫したキャリア形成なんて幻想です。そんなモノ、ほとんどの人には無縁だし、実際のところ、要りもしません。

世の中は「なんでもあり」なんです。日本語情報誌の編集から、もはや転職は難しいと言われる年齢で、海外での金型メーカーの立ち上げというミッションを獲得できるレベルにはね。


しかも彼女のキャリアは、まだこれから 30年も続くのです。

「今の仕事はおもしろい。やりがいもある。待遇もいい。でも、私もいつかは自分で会社を興したいし、もっと成功したい」

「ちきりんさんの本は全部読みました。30代後半から、40代からでも、新しい仕事ができますよね?」


もちろんです!


新しい仕事もできるし、新しい生活も獲得できる。異なる分野で、もっと大きなことにチャレンジすることも可能でしょう。私はいつか彼女が、インドネシアの経済界で有名な日本人女性実業家として紹介される日が来ても、たぶん驚かない。


★★★


ブログを読んでくれている人に伝えたいです。

・キャリアなんて、一貫している必要はありません。


・一度や二度、仕事から離れる時期があっても問題ありません。


・就いた仕事が思いがけず条件が悪くても、自分がおもしろいと思うなら、やってみればいいんです。条件がすべてではありません。


・転職してみたら、配属された部署が約束の部署と違ってた? まあそういうこともあるでしょう。そして、


・30代でも 40代でも、価値が出せる人は常に求められています。転職限界年齢なんて存在しないんです。

反対に、

・専門性を身につけて、一貫した分野で着実にキャリアを重ねましょう。

・もちろん無用なインターバルはけっして作らず、

・転職回数は 3回までに抑え、

・35 歳を超えたら転職はできないと思いましょう。

みたいにいう専門家様のご意見を信じるのか、

ちきりんブログに書いてあることを信じるのか、

どっちでもいいです。それ自体が、あなたの人生の選択だから。


★★★


私自身、法学部だったのにバブルに惑わされて金融機関に就職し、留学も併せて 7年ほど金融関係の仕事をしました。その後、マーケティングの仕事に転職して 10年ほど従事。今は文筆業を職業にしています。

・法学部

 ↓

・金融

・マーケティング

・文筆業

中には 1年以内で辞めた会社もあるし、何年かやったあと能力不足に気付き、諦めたキャリアもあります。それでも全体としては、何の問題もありません。


「一貫したキャリアを積むべし」などという都市伝説に騙されないようにしましょう。「過去にやってきたことを活かそう」などと、考える必要さえないんです。

時代も変わるし、自分も変わります。やりたいこと、やれることも変わります。その時点その時点で、おもしろそうなことをやってみればいいんです。


最後に堀江さんのスピーチ動画をどうぞ↓

「平成26年度近畿大学卒業式」 堀江貴文氏メッセージ

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そんじゃーね!


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2015-04-18 めんどくさがりやで怖がりで胃腸も弱いけど

先日まで 10日間ほど、ジャカルタに滞在していました。海外投資の分野では数年前から「インドネシア・ブーム」だったので、ちょっくら見に行ってきたんです。

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私は 20歳の時から海外旅行を始め、これまで多くの国を訪ねてきました。家族や友人と自由旅行をすることもあれば、パッケージツアーにも参加します。今回のように、ひとりで行くこともよくあります。

特にバックパックを背負ってひとりで旅していた学生時代は、イスラエルからエジプトまでバスで移動したり、ポルトガルからひとりフェリーでアフリカに渡り、現地の人しかいないアラブ旧市街の安宿に泊まるなど「今なら絶対しない」こともやっていました。

当時はクレジットカードも持ってなかったし、怖がりな性格の上に胃腸の弱い私にとっては、毎日の目標が「今日も無事に過ごすこと」でした。


こんな話をすると、「勇気がある」「行動力がある」と思われる方もいるでしょうが、もともと私は

・めんどくさがりやで、

・怖がりで、

・だらだらした性格です。

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(一番上の写真以外はジャカルタではありません)


旅行の予定を立てるのも、ホテルや飛行機の予約など手続きをするのも、めんどくさくてめんどくさくて、本当に嫌いだし、その上、途上国では必ずおナカを壊します。

旅行の直前には、今でもすごく怖くなるしね。

空港からのタクシーでどこかに連れ去られるんじゃないか、ひとりで歩いてていきなりホールドアップ(強盗)に遭うんじゃないか、飛行機事故やテロに巻き込まれるんじゃないか。あれこれ考えると、何度も「行くのやめようか」と思います。


それでもなぜ私は出かけて行くんでしょう?

理由は、旅から帰ってくるとスグにわかります。それは、旅を終えた時のこの高揚感が、日本で普通に暮らしていては決して手に入らないものだからです。


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実は今、先日までジャカルタで見聞きして考えたことをブログに書こうとし、画面に向かっても、何もでてこなくて呆然としているんです。

なぜって?

それは現地で得た情報の量と質が、アウトプットにまとめることが不可能なくらい膨大だからです。

こんな圧倒的な経験を、慣れ親しんだ日本で得ることはとても難しい。なぜならソコにあるモノの多くを、私は既に知ってしまっているから。


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旅することから得られる最大の衝撃は、「人生は自分の力ではどうにもならないことによって決定づけられる。社会には、どうあがいても解決できない問題が溢れてる。その中でみんな生きていくんだ」ということに気がつけることです。

多くの人がそうであるように、私も 18歳くらいまで、学校教育の中で提示される「清く正しい世界」が存在するのだと、ごく自然に思い込んでいました。

でも、世の中はそんなにキレイではありません。世の中がキレイでない理由は、それがキレイではない人間の集まりだからです。


じゃあ、そんな世の中には救いようがないのでしょうか?

私たちはみんなそんな世の中を「正すために」人生の時間を使うべきなのでしょうか?


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人間とは、社会とは、世界とは、生きるとは、

そういう問いへの答えのすべてを、私は旅することから学びました。

今回の旅行では、改めてそのことを認識することができました。

私は一生、旅することをやめないでしょう。


そんじゃーね。


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以下、旅行関係のエントリをまとめておきました。週末のゴロゴロのんびりタイムにどうぞ↓

<インドネシア旅行記>

ジャカルタに来てます

ジャカルタ二日目

ジャカルタで若者を煽りまくる

若者を煽りにバンドゥンまで

関西のおばちゃんトーク炸裂

歩行者天国じゃなくて通行止め

庶民的なエリアを散策

起業家カンファレンスから韓国料理へ

途上国の道の渡り方

<ココロを揺さぶる旅の記録>

ケニア編

イースター島編

ナスカ編

<ソビエト連邦 旅日記>

ソビエト旅行記 その1

ソビエト旅行記 その2

ソビエト旅行記 その3

ソビエト旅行記 その4

ソビエト旅行記 その5

ソビエト旅行記 その6

ソビエト旅行記 その7

<その他の関連エントリ>

「時を超えて」 新疆ウィグル自治区

天国に一番近い島

BORABORA! 南の島と海の中!

モロッコの砂漠

生き方においてクリエィティブでありたい

ヘリタンス・カンダラマ・ホテル

スリランカの本気度を感じる入国審査

チャインナタウンの「ホンモノのブランド品」

タンザニアで食べてたご飯

低価格ジョブは民主的な市場に不可欠

“ちきりん”の人格を作り上げた旅の記録。電子本、文庫本もあります


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2015-04-06 取材後記 市場化する社会を生き抜こう!

<これまでのあらすじ>

第1話 ウォールストリートから八日市へ

第2話 価値を伝える

第3話 「市場の選択」という幸運

第4話 「買うと決める」と「買う」の分離

第5話 「パジャマを生地で選ぶ」という新しい市場

第6話 グローバル人材の意味、わかってる?

滋賀県のパジャマメーカー、株式会社ラブリー社の訪問記は、今回をもって終了となります。


3年前 2012年の終わり頃、私は楽天市場で偶然に見つけたオーガニックコットンのパジャマを購入しました。

着てみると肌触りがすばらしかったので、翌年早々、そのパジャマが政府専用機用に選ばれたのを機に、 ブログで紹介したんです。


その翌日、滋賀県の小さなパジャマメーカーは、ちょっとした驚きに包まれていました。同社が運営するオンライン販売サイト、「パジャマ工房」へのアクセス数が、通常の数倍にも急増したからです。

増えたアクセス元のドメインは " hatena " 、さらに検索を進めると、ちきりんというブロガーが取り上げたからだと判明します。


その数週間後、今度は私がびっくりさせられました。ちきりんとしてではなく、本名で使っているアカウントに、こんなメールが届いたからです。

f:id:Chikirin:20150403161528j:image:w600


号外!?


メールを開けてみると・・・

f:id:Chikirin:20150403161524j:image:w400

f:id:Chikirin:20150403161525j:image:w400

f:id:Chikirin:20150403161527j:image:w400


・・・ビビりました。


結局その後に買い増した真冬用のパジャマも非常に気持ちがよかったので、「いつか、この会社の取材をしたい」と思っていたのです。

こちらは、今回のインタビューに応じてくださった北川恭司社長。『マーケット感覚を身につけよう』も、ご購入いただいていました。

f:id:Chikirin:20150320135907j:image:w400


お気づきのように、この連載は、新刊『マーケット感覚を身につけよう』のケーススタディとなっています。

リーマンショックの時はもちろんですが、日本のアパレルメーカーは過去何十年にもわたり、縫製工程の海外シフトを進めてきました。

その過程で、廃業を余儀なくされた国内の縫製工場の数は数万に上ります。1985年、7万ヵ所近かった繊維産業の事業所は、2013年には 2万ヵ所まで減少。実に 7割もの工場が消えてしまったのです。


大手アパレルの下請けをしている時には、生地や型紙、そして詳細な縫製指示が発注元から与えられます。工場は指示通りに製品を縫い上げ、一着いくらの縫製工賃を受け取るだけです。

でも自ら商品を売ろうと思えば、商品の企画、デザインの他、生地の調達、型紙作成(パターン起こし)、そして販売まで、すべてを自社で行わねばなりません。


「そんなこと、できるわけがない」「たとえいい物を作っても、ノーブランドでは売れない」・・・過去 30年の間に廃業した 数万ヵ所の縫製工場の大半が、そう考えたことでしょう。

でもインターネットの普及により市場化が進んだことで、「ダメ元でとりあえずやってみる」企業には、生き残るチャンスが与えられるようになりました。

こうして株式会社ラブリーも、“大手の下請け工場”から、“自ら市場に向き合う独立パジャマメーカー”へと脱皮したのです。


他にも最近は、仕事を求める縫製工場と、極小ロットのオリジナル商品を縫ってくれる工場を探すセレクトショップを結びつけ、生地の調達や型紙作成を支援するベンチャー企業も出てきました。

これも社会の市場化に伴って生まれた、新たな市場(市場創造)です。


下記の本にも書いたように、これからはアパレル分野だけではなく、あらゆる分野で同じようなことが起こります。だからみんな、マーケット感覚を身につけることが重要となるのです。


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読者の皆様。ここまでの連載のご愛読、ありがとうございました。

インタビューを受けてくださった北川社長にも心より感謝しています。


そんじゃーね!


<関連サイト>

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2015-04-03 第6話 グローバル人材の意味、わかってる?

<これまでのあらすじ>

第1話 ウォールストリートから八日市へ

第2話 価値を伝える

第3話 「市場の選択」という幸運

第4話 「買うと決める」と「買う」の分離

第5話 「パジャマを生地で選ぶ」という新しい市場


ラブリー社でいろんなパジャマを見せてもらい、話を聞いていると、「ここのパジャマは、まだいくらでも売れる!」って思えました。

「日本製の手作り」で「圧倒的に気持ちのいい自然素材で作られてる一万円のパジャマ」を欲しがる中国人プチ富裕層はゴマンといそうだし、「この手触りなら欧米でもハイエンド商品として売れるかも!?」とか考えていたら、

「実は国内でもいろんなところから引き合いがあるんです。でも、人手と場所が足りなくて・・・」と北川社長。


たしかに高級スパや一流ホテル向け、デパートでの販売も含め、国内でもまだまだ売れそう。足りないのは需要ではなく、供給能力だったんですね。特に大変なのは人手の確保でしょう。

「どんな人が必要なんですか?」と聞くと、「手先が器用で、細かい仕事に丁寧に、根気強く取り組める人」と。


あー、わかります・・・・うちの母みたいな人ですね。


ちきりんの母は、何をやっても驚くほど丁寧です。

母に洗濯してもらうと、何年も着ていた綿のハイネックが新品みたいになるし、料理でも、野菜の切り方から衣の付け方まで「ここまでやる?」ってくらい丁寧な仕事振りです。


洋裁もめっちゃ得意で、このスーツは母の手作り。着てるのは大学時代の私。超まじめっぽいでしょ。

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細かい柄の布でもピッチリ柄合わせをするし、手縫いで完璧なボタンホールを作ります。


ちなみに私も母の影響で洋裁をするんですが、その雑さたるや、自分でもクラクラするくらい適当です。

こちらは学生時代に飲み屋でアルバイトしてる私。着てるピンクのワンピースは自分で縫いました。

当時はお金がなかったので、普段着は安い布を買って自分で作ってたんだよね。母の作品とはレベルが違いますけど・・

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というわけで、私にはラブリーが求めてる人材がどんな人かよくわかります。それはまさに私の母のような人であり、かつ、私とは正反対のタイプの人なんです。


★★★


ところが都市部で一般的な就活をすれば、私の方が相当に有利です。

なぜなら、そういう“市場”では多くの企業が「なんでも手早く理解し、要領よくこなせて話の上手い学生」、いわゆる「コミュニケーション能力の高い学生」を求めているからです。


反対に、手先が器用で細かい仕事を丁寧にこなせても、クチ下手で慎重な性格のため行動がゆっくりめの学生は、「ややトロい?」「積極的じゃない?」みたいに思われてしまう。

能力がないわけじゃないのに合わない市場で就職活動をして苦労し、くだらない「面接の練習」とやらでしゃべる練習をやらされたりとか、間違った方向にプレッシャーを掛けられて疲弊してる人もたくさんいます。


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実は、ラブリーのようなところで働けている人は、まさに「グローバル人材」なんですよね。

英語が話せる人をグローバル人材と呼ぶなら、彼女たちはグローバル人材ではありません。

でも、「世界に通用する価値を提供できる人」をグローバル人材と呼ぶなら(←私の定義はこれです)、彼女らは間違いなく、グローバル人材です。


マーケット感覚を身につけよう 』の中で、ファミレスで働いてる人の多くはグローバル人材だが、メガバンクの銀行員の大半はグローバル人材じゃないって書きました。

それと同じです。

工業用ミシンを自在に操り、日本で有数の縫製技術をもつ人達とは、事実上、「世界で有数の縫製技術をもつ人」です。こういうモノ作り系、職人系の仕事については、日本でトップクラスなら、世界でもトップクラス、というケースはよくあります。


ラブリーが滋賀県の小さな下請け工場から、楽天の パジャマ部門のトップ 10 にいくつも商品を送り込むメーカーになれたように(注:パジャマ工房と表示されてる商品がラブリーのもの)、個人でもそのレベルの縫製技術があれば、世界で食べていくことが可能になるでしょう。


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昨年 「仕事と家庭の両立なんてやめたらどう?」 というエントリを書いたところ、「転職して海外で仕事を得られるなんて、一部のエリートだけでしょ!」と反発した人がたくさんいました。

そういう人が考える「海外で仕事を得やすい人」とは、英語ペラペラ、海外で MBAを取得、専門資格を持ってる、みたいな人なんでしょう。


でも私が考える「海外でも仕事が得られるグローバル人材」とは、そんな人ではなく、まさにラブリーでパジャマを作ってるような「世界最高レベルの縫製技術を持ってる人」なんです。

日本レベルの縫製技術やその工程を理解していて、新人にミシンの指導ができ、商品の品質管理ができる人、そういう人を雇いたい海外のアパレルメーカーや工場はたくさんある。


みんなちょっと、「グローバル人材」の意味をはき違えてるんですよね。

「海外 MBAをもってるエリート」がグローバル人材だなんて思い込んでる人は、マーケット感覚がなさ過ぎです。


★★★


私がホントにかわいそうだと思っているのは、ラブリーのような企業に巡り会い、10年も働けば、確実に「世界に通用する技術」が身につけられる(うちの母のような適性をもつ)人が、

都市部の一般的な就職活動という「自分に合わない労働市場」を選んだがために、正当な評価を得られず、挫折感や劣等感に苛まされ、自分の人生に自信を失ってしまう、という状況です。


親の立場でこのブログを読まれている方。もし自分の子供が、自分を正当に評価してくれない就活市場で苦しんでいたら、ぜひ「市場の選択」についてアドバイスしてあげましょう。

グローバル人材になるのに、一流大学を出たり、英語を勉強したり、「社交的で明るい性格」なんかになる必要は全くありません。世界的に名の知れた大企業で働く経験さえ不要なのです。


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「そんな小さな縫製工場で働いても、たいして稼げない」と思います? たしかにお給料がすごく高いわけではないでしょう。

でもね。世界トップクラスの縫製技術とマーケット感覚を身につければ、都市部の会社員なんかより、よほど市場で稼ぐ力が付くのです。


ラブリーの人気パジャマは、1万円もします。そしてパジャマなら、うちの母でも半日で作ってしまいます。プロが専門のミシンを使えば、もっとたくさん作れるはず。 

一流大学をでて大企業で働いてても、個人で それだけ( 1日数万円)の売上げが得られる人は、多くないのでは?


しかも今、楽天のランキングに入っているのは「パジャマ工房のパジャマ」ですが、これからは個人が作った「○○さんが縫ったパジャマ」がランキング入りすることさえ、可能な時代になります。個人が書いてるブログが、ちょっとした雑誌と同じくらい読まれる時代が来たように、ね。


わざわざ自分に合わない就活市場や職場を選び、疲弊するのは止めましょう。「価値を生み出せるスキル」に「マーケット感覚」をあわせて身につければ、コミュニケーション能力なんて、たいして重要じゃないんです。


そんじゃーね!


「市場の選択」について詳しく知りたい方はこちらを。


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→ 初コラボ 真夏用レディース ちきりんパジャマが新発売!

→ 真夏用メンズ ガーゼパジャマも開発!

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