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Chikirinの日記 RSSフィード

2015-11-30 嫌いな人向けの商品開発へ

先日の 「自動運転車が実現すると、こんなにいいコトあるよー」というエントリの冒頭で私は、「トヨタ自動車まで実験を始めるのだから、いよいよ現実味がでてきた」と書きました。

というのも、つい最近までトヨタ自動車は、“無人運転車”の開発にあまり積極的ではなかったからです。


彼らはこれまで、車にセンサーを付けて車間距離をコントロールしたり、自動ブレーキで衝突を防止するしたりするのは、すべて「より安全な車をつくるため」であって、「無人で走行する車を作るためではない」と言ってきました。

・バックしようとした時、後ろに人がいたらセンサーが自動で検知してストップするとか、

・車間距離が詰まりすぎたら自動的にスピードを落とすとか、

・目の前に突然、人が飛び出してきたら自動でブレーキがかかるとか、

それらはすべて、無人運転車の開発が目的なのではなく、自動車事故を減少させる(できればゼロにする)ためだと言ってきたんです。


ところが最近はトヨタ自動車のトップも、表現を変えてきました。ここのところ彼らが使うのは、

「高齢者など、運転が不可能になった人にも使ってもらえる自動車を開発する」という表現です。


これは、実質的には無人運転車です。それまで言っていた「安全性を高めるため、運転者を支援するシステム」ではありません。

が、これだとグーグルなどが目指している商品とは、まだ同じではありません。

なぜならグーグルが作ろうとしているのは、「高齢でもなんでもなく、運転は(やろうと思えば)問題なくできる人のための、運転しなくてもいい車」だからです。


この違い、わかります?


ステップ1:運転者を支援し、事故を無くすための自動運転技術の開発

ステップ2:高齢者や障害者など、運転が困難な人のための自動運転技術の開発

ステップ3:運転はできるけど、したくない人のための自動運転技術の開発


トヨタ自動車はようやく最近、ステップ1からステップ2に移行しました。

が、グーグルは最初からステップ3を目指しています。

トヨタとグーグルの間には、まだもう一段階の違いがあるんです。


★★★


なぜトヨタ自動車はなかなかステップ3に移行できないのでしょう?


それは、自動車会社には、

・運転が嫌いな人

・運転が苦手な人

・運転が楽しいとは思えない人

があまりいないからです。


てか、そんな人、自動車会社に就職しないっしょ。だからそういう人が「実はめっちゃ多い」ことが理解できないのです。


グーグルには、「毎朝の通勤時、自分で運転するより誰かに運転してもらい、自分は隣でスマホをいじっていたい。早くそうなればいいのに!」と思ってる技術者がたくさんいますが、

自動車会社には、「運転が大好き!」な人ばっかりが集まってます。


だから彼らが作る車は、

「走りを追求」とか

「運転する楽しみをとりもどせる車」などと表現され、その売り文句においても、

「電気自動車なのに加速がすばらしい」

「ダントツの走行性能」

みたいな話ばかりが前面にでてきます。


つまり、自動車会社が未だに「走る愉しみ」を追求する商品開発をしてるのにたいして、

グーグルなど非自動車会社は、「できるだけ手間なく、目的地まで移動させてくれる機械」を作ろうとしてるんです。


★★★


過去には、掃除機の開発でも同じことが起こりました。

従来の掃除機メーカーは、「いかに完璧に掃除できる機械を開発するか」にしのぎを削ってきました。


「壁際のゴミも残さず吸い込める」

「毛足の長い絨毯に絡まったペットの毛も簡単にとれる」

「吸引仕事率が業界ナンバーワン!」

など、どれも「いかに掃除がきれいに完璧にできるか」を競う発想からでてきた言葉です。


でも・・・ルンバの開発趣旨は違いました。


この商品は「掃除なんてしたくない人」向けに開発されたんです。


多くのメーカーが発売当初のルンバにたいして「ゴミがきちんと吸い込めていない」「あんなものでは、完璧な掃除は無理」→ だから売れないだろう、と考えました。

「消費者は、より完璧に掃除ができる機械を求めているはず」と思っていたからです。


もちろんそういう消費者もたくさんいるでしょう。

でも実際には「そもそも掃除なんて、したくないんですけど?」という消費者もたくさんいたわけです。

だから「完璧に掃除できる機械」を凌駕する勢いで、「掃除しなくていい機械」が大売れしました。

消費者の中には「掃除が完璧にできたら嬉しい!」人ばかりではなく、「掃除をしなくてすんだら、めっちゃ嬉しい!」という人も多かったのです。


★★★


調理器具にも同じことを感じます。

シャープは、ヘルシオというブランド名で高機能な調理家電を販売していますが、最初の頃に開発した高機能オーブンと、最近発売の自動無水調理鍋は、アピールする層が全く違います。


この 9万円もする高機能オーブンは、「料理が大好き!」「いろんな料理を試して、美味しいモノを家族に食べさせたい!」という人にアピールする商品ですが、


最近でた、材料を放り込んでおけばカレーや煮込みができあがる(火加減やかき混ぜの必要も無い)自動無水鍋は、

むしろ「できれば料理なんかしたくない」人から評価されています。

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シャープがその違いを意識して開発したのかどーかは不明ですが、おそらくこの商品から着想を得たんでしょう ↓


いままで炊飯器やトースターなど含め調理器具の多くは、より美味しく調理できる機械を目指して開発されてきました。

「料理好きな人こそがいろんな調理器具を買ってくれる」、「調理が嫌いな人は、調理器具には興味を持たないだろう」と考えられていたんです。


でもね。

「調理なんて苦手だし、特にやりたいわけでもない」が、

毎日、外食するわけにもいかないし、子どもにファストフードやコンビニ弁当ばっかり食べさせるわけにもいかないから、「仕方なく調理する」という人も、実はたくさんいるわけです。


自動車にしろ掃除機にしろ調理器具にしろ、今までは、

「運転が好き!」

「きれいに掃除したい!」

「美味しい料理を作りたい!」人が、想定ユーザーだったけど、


これからは、

「できれば運転なんて誰かにやってほしい」(隣でスマホいじってる方がラク)

「できれば掃除なんて誰かにやってほしい」(その間、ソファでテレビを見ていたい)

「できれば夕食の用意なんて、誰かにやってほしい」 (私食べるだけの人になりたい)

という人向けの市場が大きくなるんです。


そういえばずっと昔は勉強についてさえ、「勉強するの、苦にならない。学ぶのって楽しい!」みたいな人向けに作られた参考書ばかりでしたけど、

この分野はかなり前から「勉強なんてキライ!」「できればやりたくない」「超苦手」な人をメインターゲットにしてますよね。

だって勉強なんて、「大好き!」な人より「キライ!」な人のほうが多いんだもん。そして、そういう人こそが、お金を使ってくれるんですもん。

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これからは、自社が開発する商品を「できれば使いたくない」と思っている人こそがメインターゲットになる時代です。

でも自動車会社のトップが、「やろうと思えば運転できる若者向け」の自動運転車を開発するとなかなか言えないのは、そんなことを言えば、これまでずっと訴求してきた「走る愉しみ」を自ら否定することになるからです。


たしかに、運転を「愉しみ」ではなく、「できればやりたくないコト」と位置づけるのは、自動車会社として大きな抵抗があるでしょう。

でもそこに踏み出せない限り、グーグルとの戦いは始まりさえしません。

このままでは、「運転なんて、面倒だし危ないし疲れるだけだから、できればやりたくない」人の市場は、すべてグーグルに持って行かれてしまいます。


私には、これまで嬉々として「走る愉しみ」をプレゼンしていた自動車会社の幹部が、

「みなさん、運転はとっても面倒ですよね? できれば車なんて運転したくないですよね?」

と消費者に語りかける日も、そんなに遠い日だとは思えないのでありました。


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そんじゃーね。


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2015-11-23 GDPは100兆円くらい下げたほうがいいのでは? 

過去10年以上、500兆円付近で停滞してる日本の国内総生産 = GDP を、今から 100兆円増やして 600兆円にしようというのが安倍総理の目標のひとつらしいけど、

あたし的には、むしろ日本は GDPを 100兆円くらい減少させたら、すごくいい国になると思ってるんだよね。


たとえば、美容室でヘアカットして1回 5000円を払っていた人が 1000円カットに行き始めると、1回につき 4000円、2ヶ月に一度として年間で 2万 4000円分、GDPが下がります。

人口の 4割の人、5000万人が年に 2万 4000円、美容院に使うお金を減らすと、GDPは 1兆円以上減ることになるわけですが、これって別に悪いことじゃないよね?


政府はスマホ代が高すぎるから、通話も通信もごくたまにしかしない人向けに格安プランを出すよう通信キャリアに求めてるけど、これも、月に 1万円払っていた人が月 5000円になると年間 6万円の支出減。

5000万人が格安スマホに転換すると、3兆円の GDPの減少につながります。


年賀状は今でも 50億枚も売れてるらしいけど、こんな慣習がなくなって、半分の人が出さなくなると、52円掛ける 25億枚で 1300億円の GDP 減。お歳暮やお中元も同じ。

てか反対に GDP を何がなんでも増やしたいなら(=安倍さんが言うように 600兆円にしたいなら!)、国民みんなに年賀状やお歳暮をおくることを奨励すればいいんだけど、ほんとにみんな、そんな方向がいいと思ってるの?


新刊の単行本って 1500円くらいするけど、それを電子本のセールや中古で買う人が増えて、平均単価 600円くらいになれば、年間発売冊数の 6億冊 × 900円で、5400億円分 GDPは減少するし、

不動産に関しても、新築好きの日本では毎年 100万戸くらいの新築不動産が販売されているのにたいして、中古住宅の取引量は 20万戸にも達しない。

これが 欧米みたいに中古住宅の取引数の方が多い 状態まで増え、不動産の平均購入価格が 2割ほど安くなるだけで 5兆円以上、GDP は減ります。


英会話学習もスカイプ英会話に変わると、月 2万円の月謝が 5000円になる。年間 1.5万円の節約を 1000万人分として 1500億円の GDP 減。

100均ショップの登場で、今まで 300円だったものが全部 3分の1 の値段になったんだから、それらの GDP 押し下げ効果も大きそう。

他にも、LCCや(新幹線ではなく)高速バスで旅行する人が増えたり、車を買わずにレンタカーやシェアカーを使うとか、

大学に行く代わりに、海外の大学の無料講座(動画やネット配信)と大学検定で教育を受けるという人がでてきたら?

家だってシェアハウスなら一人で家賃を払うより何割かは安くて済むでしょ。この分も GDP の低下につながります。


今でも大学って、一度払うと(他の大学に進学することになっても)入学金を返してくれなかったりするんだけど、あれも禁止したらその分 GDP が減るし、

他の店で買ったドレスを持ち込むと「持ち込み料」とかいう意味不明な理由で多額の手数料をとる結婚式場とかが淘汰されたら、持ち込み料分の GDP も下がる。

ちょっとでもいい漢字(そもそも“いい漢字”って何?って感じですが)を含む戒名を付けてもらうため、何十万円もお寺さんに包むとか、これからの若い人が続けるとは思えないけど、それで GDP が下がっても、なんか問題ある?


GDP が下がるっていうと、

・節約モードで消費が停滞した状態、とか、

・価値あるモノが売れず、廉価な粗悪品しか売れない状況とか、

・一円でも安い調味料を買うため自転車でスーパーをハシゴする主婦とか

・正社員を減らして安い非正規雇用を増やす企業

なんかを思い浮かべるかもしれないけど、


今や GDP が減るのは、

・無駄や虚飾の習慣を廃し、

・分け合えるモノはどんどんシェアするなど、合理的に行動し、

・不要なモノにお金を払うのをやめて、

・その分、残業せずに個人の時間を増やす、

みたいな生活をも意味するわけで、


「GDPが増える=豊かな生活」、「GDPが減る=貧しい生活」 ってわけでもないんじゃないの?

って思うんだよね。


高度成長時代は、みんなが新築の不動産を買い、自分の家専用の自家用車を保有し、年賀状出して、お歳暮やお中元を贈って、

教育費は聖域だと言って無制限にお金をつぎ込み、一日で終わってしまう成人式や結婚式や葬式に何百万円もつぎ込む、

それらへの支払いのために止めどなく残業し、単身赴任までして稼ぎを増やす・・・

そういうことで GDP を伸ばし、GDP が伸びる=豊かな生活だと信じていたわけですが、


ここからはもしかして、GDP をシュリンクさせることのほうが、豊かな生活につながりそう。


格安眼鏡がわかりやすいと思うのだけど、JINS や眼鏡市場、Zoff のおかげで、今まで 3万円だった眼鏡は 3000円になりました。

複数の眼鏡を買う人が増え、ファッショングラスを使う人も増えたけど、それでも 3万円分 × 1本 = 3万円だった GDP は 3000円 × 5本 = 1万 5千円と半額くらいになったはず。

でもこれにより、今までは一種類の眼鏡しか持ってなかった人がアレコレ気分に合わせて多彩な眼鏡を使い分けられるようになり、機能としての眼鏡が必要ない人もファッションアイテムとして眼鏡を楽しめるようになった。

眼鏡の GDP は半額になったけど、眼鏡に関する生活は豊かになってるでしょ。


なので、安倍さんの目標は GDP を 600兆円にすることらしいですが、あたしとしては、GDP は 400兆円を目指すべきだと思ってます。


そして、消えた 100兆円を、今は無い、新しく生まれる新たな市場価値でもういちど増やせばいい。

ざっくり言って今のお金の使われ方のうち、2割くらいは無駄だと思わない? 

まずはその 2割分、100兆円の無駄を排除してこそ、次に「本当に価値あるもの」を生みだす余裕(人材や時間)が捻出できるんじゃないかな。


だからまず(このまま無駄な消費を増やして GDP を600兆円にするのを目指すのではなく)、不要な 100兆円分の市場を減らして 400兆円を目標にしようよ。

そして、その後で 100兆円増やして(元の)500兆円にする。これこそが日本にとっての成長戦略だと(あたしは)思っているでございます。


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 そんじゃーね


<追記>

コレなんてまさに「 GDP が減って豊かになった例」と言えます ↓

「GDP が減るなんてとんでもない。GDP は常に増えていくべき」という人は、「音楽 CD しか音楽を聴く方法がなく、CDが売れまくり、GDP が伸びる社会」が続いていたほうが、豊かな社会だったと思っているのでしょうか?


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2015-11-17 休暇の目的限定や日数制限を廃止しよう!

育児休暇とか、産休(産前産後休暇)に加え、最近は介護休暇やボランティア休暇など、「目的を限定した休暇制度」があれこれあるんだけど、

こういうのって全部、目的を限定しない休暇に置き換えたほうがよくない?


たとえば産休や育児休暇はあるのに、不妊治療休暇はないでしょ。

でもフルタイムで働きながら何年もの不妊治療を続けるって、大変なことだと思うんだよね。排卵日に合わせて通院したり、不正出血や痛みを伴う検査や治療もあったり。

少子化が問題だというなら、そういう人にも休暇をあげたり、時短適用をしてあげるべきでは?


必要なら、そういう目的の休暇制度も作ればいいって? 

そーでもないのよ。だって「不妊治療休暇」という目的限定休暇が制度化されても、すごく取りにくいもん。

妊娠したことを職場の仲間に知られるのはいいけど、不妊治療をしてることは誰にも言ってない(言いたくない)って人はたくさんいるんだから。


他にも、親の介護なら介護休暇もとりやすいけど、配偶者が若年性認知症になったらどう? 

たとえ制度的に認められていても、上司にそれを話して介護休暇とるの、勇気いるでしょ?


普通の有給休暇を取るときも理由を書かせる会社が多いけど、「子どもが大けがをしたので」なら簡単に言えても、

どうやら息子が猫を殺しているらしいから精神科につれていかなくちゃ、って時には、「子どもが問題を起こして」とさえ言いたくないはず。

しかもそういう時に必要な休暇は 2日や 3日じゃ済まない。


本来、休暇の目的なんて、限定する必要も公にする必要も無いと思うんだよね。


育児のためだろうと、旅行のためだろうと、新発売されたゲームをやりこみたいからだろうと、理由を問わず「一定期間前に申請すれば、何日でも何週間でも休みをとれる」ようにしたらいい。

休暇だけじゃなく、3ヶ月休みたいなら 3ヶ月前に申請すること、1年休みたいなら 1年前までに、みたいな申請タイミングのルールだけ作って、数ヶ月とか 1年という単位でも休業できるようにすればいいし、


時短勤務だって希望者全員に認めればいい。その理由も、子育てでも介護でも絵を描くでも婚活するでも習いごとをするでも、なんでもいい。

時短勤務を「子どもが小さいうちしか認めてはいけない」正当な理由、なんて誰も思いつけないでしょ。


ただし休暇取得や時短勤務など、社員が働いていない時間については、会社など所属組織は給与も手当も払わなくていいと思う。

これなら休む人が増えても、その分のお金で他の人を雇えばいいだけだから、企業の人件費は増えない。そうじゃないと申請通りに休みを与えるなんて無理だからね。


かわりに、“公共の利益につながる”特定の目的のときだけ国が失業手当と同じ方式で休業手当を支払えばいいんです。

たとえば、「不妊治療と出産と育児が理由の場合は、少子化対策予算から一日○千円 支払う」みたいに。


★★★


そもそも、

1)「この目的なら休んでいい」と、休暇を取れる「正しい理由」を企業が限定列挙するなんて大きなお世話

だし、

2)産休とってる人の仕事を肩代わりするため、不妊治療をしてる人が残業させられるとか、不公平すぎ

それに、

3)今の方式だと、大企業の人や公務員組織の人、しかも正社員しか手当を受け取りながらの休暇制度を使えない。もしくは、組織が大きいほど手厚い福利厚生制度があって、取れる休暇が増えたり貰える手当が大きくなるけど、


「会社に申請して休みをとった後、特定の理由の場合は、誰でも国に申請して手当が受け取れる」って形にしたら、零細企業の社員や非正規雇用の人でも、育児休暇や産休がとれるようになるし、


申請書類には休暇の目的を書く必要があっても、職場の仲間や上司にはそれを知られなくて済む。


★★★


そんなことしたら、みんな休みをとりまくるだろうって?


だったら、休みをとる人が多い時間帯やシーズンの時給を上げればいーじゃん?


たとえば、夕方がかき入れ時のビジネスなのに、5時になったらスグに帰りたい人が多い企業なら、5時以降だけ時給をどーんと上げればいい。

かわりに 5時までの「ヒマで、かつ、多くの人が働きたいと考える日中の時給」を下げ、全体の人件費は今と同じにすればいい。

正社員だって年収を実質的な労働時間で割ってそれぞれの標準時給を計算し、そこから「多忙な時間は○割増し、ヒマな時間は○割減」という調整をかければいいだけでしょ。


どんな企業でも、忙しい時とヒマな時があるはず。

夏にバカ売れする商品なら、夏の時給は高く、冬の時給は安く、

週末に忙しい小売店なら、週末の時給は高く、平日の時給は低く、

昼休みだけメチャ混みする店なら、昼休みだけ高く、


人手が足りない時間帯は、人手が足りるようになるまで(=「そんなに時給が高いなら、なんとかやりくりして、その時間帯に働こう!」と思う人が増えてくるまで)時給を上げればいい。

シンガポールの高速道路とかで、混んでくるほど値段が高くなったりするのと同じで、んなもんシステムを作ってリアルタイムに自動計算&自動管理をすればいいんだよね。


いつでもネットで「明日以降、数ヶ月先までのカレンダー」が閲覧できて、そのカレンダーには、全時間スロットに「この時間に働いたら時給いくら」と

・その時間に働くと申請した人の数と、

・会社側が設定した需要数との関係から

自動計算された時給の増減率が表示されてる。

みたいになれば、その増減率に自分の標準時給を掛け、「月に 20万円稼ぐためには、自分は来月ならどの時間帯にどれだけ働けばいいか」を各人が計算できる。


今はタクシーも、同一地域で同一時間ならいつでも同じ料金だけど、Uber なら雨の日や年末の週末で終電の後など、需要の多い時は高めの料金に、反対に客が少ない時間帯は安めの料金で乗れるようになる。

テクノロジーが進めば「 23時から一律 2割増し」みたいな画一的なプライシングではなく、需給に併せた柔軟な料金設定ができるようになるんだから、そーゆーシステムを働く人の時給にも適用すればいいんだよね。

なんの工夫もせず「繁忙期の夕方に働く人が少ない」とか言っててもしゃーないやん。


需給に応じて時給が変わるシステムにしたら、たとえ育児中でも

「時給は安いけど、やっぱり日中に(子どもは保育所に預けて)働き、5時に帰宅して子どもとご飯を食べたい」という人と、

「子どもとは日中の時間を一緒にすごし、週に 3日だけ子どもを夜間保育に預けて時給の高い夕方以降に集中的に働いて稼ごう」っていう、両方の人が現れるはず。


そもそも「申請さえすれば、いくらでも休みがとれる」といっても、多くの人は、

・稼ぐ必要がある

・仕事以外に特にやりたいこともない

・仕事を通してこそ、やりがいや成長感が感じられる

みたいな理由で、けっこうちゃんと働くんだと思うよ。休んで手当がもらえるのは、国が定めた一定の理由の時だけなんだから。


★★★


そんな簡単に休みがとれたら、同じ部署で働く人が大変だって?


休みを取る人は一定期間前に申請するんだから、それにあわせて業務予定をたてればいいだけでしょ。それこそ“管理職”様のお仕事じゃん。

それに、休みたい人が多くて人手の足りない時間の時給はとめどなく上がるんだから、かならず「俺、その時間に働きます!」って人がでてくるって。


★★★


特定の人がいないと回らない仕事もあるって?


そーね。

あなたがソフトバンクにおける孫正義氏と同じような立場なのだとしたら、「自分がいないと仕事が回らず、周りに迷惑をかける」と心配になるのもわかります。


でもね、大半の人はそんなことを心配する必要はありません。

ヒマな時期にあなたが休めば、会社はあなたに払う人件費が節約できて嬉しいだろうし、

反対に忙しい時期にあなたが休めば、その時間に働く他の人の時給はぐーんとアップするんだから、下手したら「休んだことを感謝される」みたいな人のほうが多いのが現実では?

大半の人には「自分がいないと回らない仕事」なんて無いんです。


それに、これなら「仕事にやる気が見いだせないから」という理由で休むのさえ、会社からも同僚からも感謝されます。

だってそんな奴が嫌々会社にでてきて“やる気なさげー”にチンタラ仕事してるより、いっそ休んでくれて自分の時給が上がったほうが(周りの人から見ても)嬉しいじゃん。


・・・なんかこれ、めっちゃいい制度じゃない?


これが実現すれば、繁忙期にも遠慮せず休みや時短を申請できるし、自分が休んだり早退することで同じ部署の人の時給を上げてあげられるから、周囲にも感謝されつつ大手を振って休みがとれます。

こんな名案を思いつくなんて、あたしってもしかして天才?


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 そんじゃーね


<合わせて読みたい名(迷)解決法>

就活市場を一発で適正化できるミラクル解決法

通勤手当なんて廃止すべき


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2015-11-11 ちきりん本まとめ

このエントリでは、これまでに出した本の内容をまとめています。随時更新です。(最終更新日=2016 年 12月 3日)


会社を辞めた翌年、“ちきりん”として初めて出版した本で、過去に書いたブログエントリをテーマ毎にまとめたものです。(一部、本書のための書き下ろしエントリも含む)

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「人生設計の方法」「支出のマネジメント方法」「前向きに生きるコツ」「恋愛や結婚について」など、生き方に関するエントリを中心に構成しています。

私の生き方の原則みたいなものが伝わる本となっています。

文庫になっているので、紙でも電子書籍でもお手頃なお値段で手に入ります。


読書メーターでの感想(文庫版)

読書メーターでの感想

Booklogでの感想(文庫版)

Booklogでの感想


★★★


私は学生時代にバックパッカーとして海外ひとり旅を始め、その後も長くあちこちを旅行してきました。

こちらは、それらの旅で考えたことを集めた“旅のエッセイ集”です。文庫化した際には、直近に旅行した 3つの国についての新章も追加しています。

これも文庫化にあわせて電子書籍の価格を下げたので、お手軽に手にとって頂けるようになりました。


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ネタバレすると、この本のキンドル版(文庫版のキンドル版)には、私の“お面無し”の写真が掲載されています。ずっと昔の写真で、ごく小さなものですけど。

→ 文庫版のキンドル版はこちら


この本はオーディオブックになってます。旅のエッセイ集なので、ゆったりした気分の時に音で聞くにも向いてるかもしれませんね。(ただしオーディオブックは単行本の時の内容で作られており、新章は含まれません。)


読書メーターでの感想(文庫版)

読書メーターでの感想

Booklogでの感想(文庫版)

Booklogでの感想


★★★


『未来の働き方を考えよう』も文庫化され、紙でも 700円、キンドル(電子書籍)なら 600円で読めるようになりました。

今や 70歳、もしかすると 80歳まで働くことになる時代、20代で決めた職業に固執し続けるのではなく、人生の途中で新しい働き方に移行することを勧めた本です。

就活前の学生さんや専業主婦の方、大学をでてからずっと同じ会社に勤めていて、「このあと 30年、今と同じように働くのが、本当に自分の希望なんだろうか?」などと、「働くこと」について考えるタイミングを迎えている方に特にお勧めです。


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アマゾンは“アンチレビュアー”の皆様がご活躍ですので、感想についてはこちらもどうぞ。

読書メーターでの感想

Booklogでの感想


★★★


ダイヤモンド社からは「現代を生き抜くための根幹の力」を解説するシリーズ本を出しています。

これからの世の中、「大学の卒業証書」や「国家資格」だけで一生安泰という時代ではありません。よく言われる「生きる力」とはいったい何のことなのか?

ちきりんが考える「生きる力」をひとつずつ取り上げたシリーズです。


第一弾が“ロジカルシンキング・社会派バージョン”とも言えるこの本。論理思考を、実際の世の中の事例を使って練習したい方に向いています。

この本は大学などで教科書にも使われているし、大学入試にも出題されました。→ ちきりん本はテストに出ます!

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読書メーターでの感想

Booklogでの感想  


★★★


「これからの社会を生きるために必要となるスキル」の解説シリーズ、第二弾がこちらです。


→ Kindle 版

→ 楽天ブックス

読書メーターでの感想

Booklogでの感想


★★★


シリーズ第三弾がこちら。

みなさん、生活が多忙すぎませんか? 「このままでは自分が人生でやりたいことが全然できないまま、年だけとってしまいそう!」と心配になりません?


そんな不安をお持ちの方に「どうやって多忙すぎる生活から脱却し、自分の時間を取り戻すか」について書いた本です。


→ 紀伊國屋書店   Kinoppy 電子版

→ 楽天ブックス 紙版   kobo版

→ アマゾン 紙版   キンドル版


とはいえ「社会派ちきりん」の本なので、ただの生活ノウハウ本ではありません。実は、ここで扱っているある概念が、今の世の中の方向性の本質を表しているのです。

いったいこれからの世の中は、どちらに進んでいくのか。それにより私たちの生活はどう変わるのか。そんな視点と、自らの生活のコントロール。

その両面から「ある概念」について説明しています。


→ 読書メーターでの感想

→ ブクログでの感想


★★★


次にご紹介するのは、電子書籍(キンドル)本として自分で出版した本です。

10年前からのページビューの推移や、ブログからの収入、コメント欄を閉じた理由や、ツイッターなど SNS での方針について、ぶっちゃけて語る“ちきりん流 ブログ運営記”です。

表紙が手作り感に溢れてますね・・・

「Chikirinの日記」の育て方
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読書メーターでの感想

Booklogでの感想


この本はキンドル版だけですが、同じ内容が次の『「自分メディア」はこう作る!』にも収録されているので、紙の本をご希望の方はそちらをご覧ください。


★★★


新書本サイズのコンパクトな本書は、「裏」篇と「表」篇の二部構成です。

裏篇は、上記のブログ運営記

表篇は、私自身が選んだ「ベストエントリ」を21本、収録しています。


「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記
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家族や友人など、「ちきりんを知らない周りの方」に、「これがちきりんだ!」と紹介するのに適した本です。

ご自身がブログを書いている方には、ブログ運営記としても楽しんでいただけるでしょう。

こういうデータとか、けっこう赤裸々に載せてます→ 本が売れるとわかるとこーなります!


※ この本の電子書籍はありません。裏篇のみの電子書籍は、ひとつ上の『「Chikirinの日記」の育て方』です。


読書メーターでの感想

Booklogでの感想


★★★


最後は私のツイートをテーマ毎にまとめ、“140字で思想を伝えること”に挑戦した一冊。

各ページにひとつ、多くても 3つか 4つほどのツイートを集めただけなのに、順番に読んでいくと、「ちきりん」が伝えたいことが(ブログや他の本よりさらに濃く)凝縮されていることに気がついていただけるはず。

名言集や詩集のような読み方が楽しめる本です。

多眼思考 ~モノゴトの見方を変える300の言葉! ~
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他の本とはスタイルが違うので、レビューをご覧になってからお買い求めください。

読書メーターでの感想

Booklogでの感想


★★★


以上、各販売ページへのリンクは下表にもまとめておきました。

なお、オーディオブックとは文字通り、本の内容を音声で“聞く本”です。

下記のような「オーディオブックまとめ買いセット」もでていますので、通勤時や車の運転時に聞きながら理解したいという方はぜひお試しください。

→ オーディオブック ちきりん本6冊まとめセット!


ここんとこ全く(ブログ以外の)執筆活動はしていないかったのですが、来年あたりからは、そろそろ次の本を書き始めようと思ってます。

書き始めるのが年初だと(私のペースでは)来年中に出せるかどうか、微妙なところではありますが・・・

また何らか、新しい考えがお届けできるよう、頑張ります!


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そんじゃーね


発行日単行本文庫本電子書籍オーディオブック
2011.01ゆるく考えよう文庫本kindle版ページオーディオブック
2011.10自分のアタマで考えようなしkindle版ページオーディオブック
2012.06世界を歩いて考えよう!文庫本kindle版ページオーディオブック
2013.06 未来の働き方を考えよう文庫本kindle版ページなし
2013.11下記「自分メディアはこう作る!」に収録なし「Chikirinの日記の育て方」kindle版なし
2014.11「自分メディア」はこう作る!なしブログ運営記のみ、上記「Chikirinの日記の育て方」に収録なし
2014.11多眼思考なしkindle版ページなし
2015.02マーケット感覚を身につけようなしkindle版ページオーディオブック
2016.06悩みどころと逃げどころ (新書)なしkindle版ページなし
2016.11自分の時間を取り戻そうなしkindle版ページオーディオブック

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読書メーターでの書評:   『ゆるく考えよう』、  『自分のアタマで考えよう』、  『世界を歩いて考えよう!』、  『未来の働き方を考えよう』、  『「Chikirinの日記」の育て方』、  『自分メディアはこう作る!』、  『多眼思考』、 『マーケット感覚を身につけよう』、  『悩みどころと逃げどころ』、  『自分の時間を取り戻そう』



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2015-11-08 ひとりで弁当食って寝たい人向き

先日、金沢に お寿司を食べに行った 時、行きは北陸新幹線の普通指定席、帰りはグランクラスに乗ってみました。


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北陸新幹線は 4月に開業したのに、なぜ今頃って?

だって記念乗車の人ばっかの時期に乗っても、「このクラスに本当に価値あるの? どんな人が乗ってるの?」がわからないだろうと思って。

それが、今頃になって乗ってみた理由です。


決してトレンドに“乗り遅れた”わけじゃないですからね!

誤解しないようにね!!


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これまでの普通席&グリーン車に加え、“ファーストクラス並”を標榜して導入されたグランクラス。

普通指定だと東京・金沢間は片道 1万 5千円ほどですが、グランクラスだと 2万 7千円近くと、料金は倍近い。

はてさて、それだけの価値があるんでしょうか?


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(車内は、一人用と二人用の席が通路を挟んで並び、全体で 6列 18席)


結論から言えば、「私にはそこまでの価値はない」って感じです。


グランクラスは、シートが非常にいいです。ものすごく座り心地がいい。

飛行機のビジネスクラスと比べても、さらに高品質で快適。よくできてる=すばらしいデザインです。(なので、ゆっくり寝たい人には最高です。)

とはいえ、今や飛行機のファーストクラスは完全フルフラットなんだから、それと比べるのは無理です。


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(シェル型なので、座席を倒しても後ろの席に影響しない。写真はリクライニング前)


このクラス、普通席なら 5席ある電車幅に 3席しかないので、隣の席がやたらと“遠い”です。

そして、シェル型シートに座席間の仕切り板があるので、背もたれを倒して体が沈み込むと、隣の人の顔はまったく見えません。

なので隣が他人ならいいんですが、「隣に座った夫婦や友人の顔を見ながら話す」のもできないんですよね。


そうなると、カップルとか女子旅とか家族旅行とか、“おしゃべりしながら行きたい”乗客には必ずしも向いていません。

小さい子供だって、座っていて自然に母親の顔が見られる席のほうが安心でしょ。


さらにグランクラスは座席を向かい合わせることもできないので、親子 4人(もしくは友達 4人)で乗ると、前後 2列に別れてしまい、背もたれも高くて話ができません。

親子 3人なら通路を挟んで横一列に座ることになり、これもめっちゃ“遠い”です。車両の端から端まで「おとーさーん!」って感じになり、お茶とかお菓子とかを渡したければ、わざわざ立つ必要がある。

ワイガヤで行きたい旅行なら、そんな席より向かい合って座れるグリーン車や普通指定席のほうがいいですよね?


帰省シーズンに新幹線でよく見かける子供を 2人連れたお母さんも、普通車なら腕置きを跳ね上げてつなげ、ソファみたいにして使えますが、ここではそういう使い方も無理。

「大人ひとり」で乗ることが前提のグランクラスは、子ども連れにもやさしくない。家族やグループでの旅行向けには、イマイチな作りでした。


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お弁当や飲み物、おつまみは無料で、特にお弁当はとても美味。東京駅で売ったら 1500円くらいのレベルのお弁当。

なんだけど、乗車時間が最長でも 2時間半なので、必ずしもその時間内に弁当を食べたい人ばかりじゃないんですよね。

おいしいけど「おやつには多いが、食事には物足りない」みたいな中途半端な量だし。


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お茶も(なぜかワザワザ)下部が狭くなってる不安定なガラスコップで出されるので、ウトウトした時にコップを倒しそうで怖いです。


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車両の飾り付けには“和”をすごく意識してるんですけど、


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たった 2時間半なのに、こんな「いかにも飛行機の真似をしました」みたいな飲み物メニューとか、配る必要があるのかな?


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日本って“ラグジュアリー“のことを、“形式張ってる”ことだと勘違いしてる人が多い。


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私が乗ったのは、

・開業してから半年後

・平日昼間

でしたが、

乗車率は 6割ほど。これは悪くないと思います。


意外だったのは、乗ってる人にビジネスパーソンが多かったこと。

中には高崎・東京という 50分ほどの距離にグランクラスに乗ってくる人もいて、当然、会社の経費規定で認められてるんだと思いますが、

「景気いいのなー」って思いました。


だったらもっと“ビジネス仕様”な席にすればいいのに、テーブルは東海道新幹線の普通席よりかなり小さくて不安定。

前席の背部から倒すタイプのテーブルではなく、自席の脇から斜めに引き出すタイプのため、重いモノを乗せるとたわむし使う時に膝に当たるしで、体の大きい人やパソコン使う人には、かなり不便な作りでした。

これじゃあ、仕事もグリーン車の方がやりやすいかも。


それにこの車両、“大人専用”ではないので、赤ちゃん連れのお母さんが隣に乗り込むこともあり得ます。

つまり、「がっつり仕事するぞ!」と思って高いお金を払っても、必ずしも静かな環境が保証されているわけではないんです。

加えて乗務員の女性が(「お茶のおかわりはいかがですか?」的な感じで)やたらと通路を行き来しながら手元をのぞき込むので、集中して仕事してる人には落ち着かない。


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(洗剤、水、空気が出る手洗いは便利。家に欲しい!)


ワイワイ行きたい観光客にも、乗車中に仕事したいビジネスパーソンにも向かないとすると、このクラスに価値を感じるのは、

・一人で乗って誰とも話さず、弁当食って寝たい人

・夫婦旅行だけど、お互い話したくもない(顔も見えなくていい?)熟年夫婦

・芸能人など、他の乗客に見られたくない有名人

かな。

特に、一両に 18席しかなく、このクラスの切符を持ってないと(ルール上は)車両にも入ってこれないので、「隠れていたい」人には大きな価値があると思います。


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今回、私が価格相応の価値を感じられなかった理由のひとつは、片道に普通指定席を使ったからかもしれません。

というのも、北陸新幹線は平日なら普通席もガラガラなんです。直前に切符を買っても、隣に誰もいない二人席や三人席が確保できる。

これだと、「隣に人がいるグランクラスの 2人席のひとつ」より、「その半額で 3人席を自分ひとりで使える普通席」のほうが、かなりお得。

親子や友達との旅行だって、向かい合って(しかも空席が多いから、2人や3人で 4人分の席を使いながら足を伸ばし)お弁当食べたり話したりゲームしながら行けるわけで。

断然そっちのがいいよね?


だからホントは、いつでも普通席が満席に近く、グリーン車でさえ隣席が埋まることも多い東海道新幹線にグランクラスを作ったら、もっと大きな価値が出せるんです。

こちらは芸能人や大物経営者の利用も多いので、高価格でもプライバシーとゆったりさが確保できる“より上のクラス”のニーズはかなり大きいはず。

東京・広島間以上の距離など乗車時間が長い場合でも、あのシートなら体もラクだろうし。確実に飛行機から客を奪えます。


でも現実的には、東海道新幹線にグランクラスを導入することはできないでしょう。あんな乗車率の高い電車の席数を減らすのは不可能。

これだけ寝るのに適した快適シートなんだから、夜中に博多や札幌を出て、朝、東京駅に到着するなど、超長距離利用にも向いてる。

東京を夜中に発、博多に早朝着なら弾丸ツアー向けに便利だし、反対方向は、地方で仕事の後の会食までたっぷり楽しみ、だけど夜の間に東京に戻りたいというビジネスパーソンにぴったりだけど、これも線路の保守点検時間を確保するために不可能。

かくして日本では、九州の豪華列車や北陸新幹線、東北新幹線のグランクラスなど、「客が少ない路線ばかりが豪華になる」というパラドキシカルな状況が起こっています。


この、「富裕層のニーズがあるから豪華列車」ではなく、「客が少なくて車両が空いてるから豪華列車」となるのは、いかにも日本的ですよね。

そもそもの発想が「市場=需要がある」ではなく、「供給能力がある」というところから始まってるでしょ。


製造業でも同じです。多くが「こんな技術があるから、こんな商品を作ってみました」であって、いつまでたっても、「こういうニーズがあるから、こういう商品を作ってみた」に変われない。

今回のグランクラスで感じたのは、まさにそれと同じでした。「ニーズ側(市場側)じゃなく、供給側からの発想で作られたクラスよね、これ」と。


だからこんな「一体、誰向けのサービスなの?」かが、よくわからない席になってるわけです。

形式を整えてラグジュアリー感だけは醸し出すけど、顧客のニーズを深く考えたという形跡が見えない。

楽しく旅したいグループ旅行客や家族連れのニーズも、がっつり仕事したいビジネス客向けのニーズも掘り下げることなく、「ひとりで弁当食って眠りたい」みたいな人向けに、こんなクラス作ってどーすんの?


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(キスしてるみたいでかわいい!)


グランクラスについては以上ですが、北陸新幹線には普通席とグランクラスの他グリーン車もあるので、来年はそれに乗ってみたいと思います。

私の仮説では、グリーン車は更にガラガラなのでは? って感じ。あと、グリーンとグランクラスの客層の違いにも興味あります。


そんじゃーね!



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2015-11-03 自動運転車 超楽しみ!

各国で走行実験が始まり、あの(超保守的で慎重な)トヨタまで実験を始めるというのだから、いよいよ現実味がでてきた自動運転車。

自動車が「人間が運転するもの」ではなくなり、自分で走って目的地に着くなんて、ほんとーに未来的です。

最初に実現するのは高速道路上での自動走行だと思いますが、それだけでも日本経済には極めて大きなプラス影響があるでしょう。

なぜなら、


1)人手不足が解消される

日本は今、急激に生産年齢人口が減少しています。働ける年齢の人は、今後の数十年で 1000万人以上、減るんです。

そんな中、物流量が増えたからといって、ドライバーの数を増やすのには限界があります。

「高速道路の起点から終点までは運転手が要らない」時代がくれば、大量の労働者が「高速道路でトラックを運転する」という仕事から解放されます。

これは高速バスでも同じです。

海外から訪れた観光客は、高速バスで東京から京都、大阪まで移動しているし、日本人にも、割高な新幹線を避け、高速バスで移動する人が増えています。

それらのバスに運転手が不要になれば、どれだけ人手不足解消に役立つことでしょう。

さらにいえば、「人手が確保できないために、これまで提供できなかったサービス」も、どんどん実現するはずです。



2)事故が減る。被害者に加え、加害者も減る

長時間労働に疲れ、居眠り運転で事故るトラックやバス、

行楽からの帰り、お酒を飲んで運転する不届き者、

田舎の高速道路を逆走する高齢者、

運転に慣れない休日ドライバー

持病で突然死する高齢ドライバー

無理な割り込みや追い越しをする人、

などによる事故が、大幅に削減できます。


最近はタクシードライバーも高齢者が多くて、夜中に首都高をぶっ飛ばしてると(後ろの席に座ってて)ほんとに怖いです。「お願いだから急死しないでね!!」と思わず呟きたくなるほど高齢の方もいらっしゃるんで・・・

もはや自動運転車のほうが、よほど安心です。


ちなみに、自動運転で上記のような事故が減れば、「死んだりケガしたりする人が減る」だけでなく、

「運転のミスで他人を殺してしまったり、傷つけてしまう人も減る」(=被害者だけでなく、加害者も減る)ので、

結果として日本全体の幸福量を大幅に増やす効果があります。


なおこの点に関して、コンピュータがバグって事故が増えるとか言う妙な人がいますが、既に何年も前から、最先端の医療機器の大半はコンピュータに制御されて動いてます。

そういう医療機器が「バグって死んだ患者」ってどんだけいるんでしょう? 医者の判断ミスや看護師の投薬ミスより、手術中に機械がフリーズして起こる医療事故のほうが多いの?


新幹線だって飛行機だって、コンピュータに制御されて走行しています。

ニューヨークから東京までの 12時間のフライト中、パイロットが飛行機をずっとマニュアル操縦してると思ってます? 

「自動運転車が暴走したら怖い」などと言う人は、「新幹線が暴走して東京駅で止まらず、丸ビルに激突する!」みたいな事故を、同じように心配してるんですかね?

既にコンピュータは、人命を預かる仕事を数多く、そして難なくこなしているんです。



3)物流コストが下がり、生産性が上がる

今は自動運転車も高価ですが、普及が進めば、人間が運転するより全体のコストは安くなるでしょう。

また、人間が運転するより全体のスピードも上げられるので(=時速制限も、人間の運転技術ではなく、機械の性能に合わせて上げていける)、東京・大阪間の所要時間も短くなるはず。

完全にコントロールされた車間距離で走るから、渋滞も減るし(それによって、さらに所要時間が減り)、燃費も良くなります。

人間と違って途中の休憩も不要だし、夜中に働かせてもなんの問題もないので、24時間稼働も可能。


加えて自動運転になれば、トラックももっと大型化するはず。アメリカの高速道路を走ってるトラックって、日本の倍くらいにも見えますよね。

人間が運転しないなら“操作性”とか気にしなくてよくなるわけで、東京・大阪間なんて、もっとでかいトラックを走らせればいーんです。


物流企業では、ドライバーの採用や健康管理、運転技術の訓練や体調のチェック、手配(スケジューリング)が不要になります。

今はこういう管理業務にものすごい手間がかかってるので、それらの業界では大幅なコスト削減が見込めるでしょう。

こうやって物流コストが安くなれば、都会にモノを売る地方のお店のチャンスはさらに拡がります。高速バスだって料金が安くなれば旅行者も増え、いろんなところが潤います。



4)人生の時間の浪費が減る

これは、トラックドライバーやバスドライバーの時間だけではありません。

帰省や行楽時、3日間で 10時間近く運転のために拘束されていた“お父さん”は、その苦しい責務から解放されます。

高速道路上の移動時間は子供と触れあったり、行楽地に着く前に一眠りして疲れをとったりもできるでしょう。

盆と正月、ゴールデンウィークに年 3回、出かけるだけでも年に 30時間は有意義な時間が取り戻せるし、渋滞時のイライラが減れば、精神衛生上もよい影響が大きいです。


そもそも、「長時間の運転や渋滞が嫌だから出かけたくない」「運転が疲れるから、出かけるのをやめた」って人も多いと思われるので、

あの苦痛がなくなれば、より積極的にみんな旅行にいくようになると思います。

その経済効果も大きいし、特に「車でしか行けない地方」が潤うはず。


ただし、ラジオは壊滅的な影響を受けそうですね。運転中、前を見ている必要がなくなれば、誰だってラジオじゃなくてテレビを見始めるでしょうから。

ラジオ局の皆さん。始まりは 5年後、終わりは 20年後ですよ。



5)商圏が拡大し、施設の集約が進められる

観光地でもない地方では、高速道路の出口には「なんもない」みたいな場所がたくさんあります。

高速道路上の自動運転が実現した後、こういった出口のすぐ側にその地域の基幹病院を作れば、数十キロ先からでも高齢者がひとりで通ってこれるようになります。

過疎地の自治体は、高速道路の入り口までだけのマイクロバスを走らせれば、あとは自動運転車が住民の高齢者をその病院まで連れて行ってくれるわけです。

病院に、介護施設やショッピングセンターや図書館を併設すれば、みんな毎日でもそこに通えます。


今、過疎地では(高齢者は増えるのに)病院は減り、介護保険料をずっと払ってきたのに介護施設も存在しない(から利用できない)、スーパーも閉店してしまった、みたいなことが起こってます。

しかも、これからそんな村のすべてに必要な施設を作るなんて、いくら補助金をつぎ込んでも不可能です。

だったら、客の方を遠い場所まで運べばいい。

今は 50キロ先のショッピングセンターに日常の買い物にいくなんて考えられませんが、地方のスカスカの高速道路ならたいした時間はかかりません。

同じように、工業団地で働く人も 50キロ先から通えるし、高校や大学だって 50キロ圏内から(運転できない子供も)通えます。


鉄道や地下鉄の駅ができたら駅前は急速に開発されますよね? 

でも今までは、高速道路の出入り口が作られたからといって、必ずしもその周辺が発展するわけではありませんでした。

この鉄道と高速道路の差は、「誰でも簡単に行けるかどうか」だったんです。

日本は田中角栄先生のおかげで、地方の隅々まで高速道路が整備されています。高速道路の入り口が近いエリアでは、すべての施設の商圏が一気に何倍にも拡大することでしょう。



というわけで、自動運転は“未来的”であると同時に、

・高速道路網の整備がされており

・そんなに国土も広くない(アメリカだと自動運転車が実現しても、地図上ですぐ近くに見えるサンフランシスコとロスの間でさえ、飛行機のほうが圧倒的に便利です)

・かつ人口が減り、高齢化の進む日本には、

ほんとーに大きなメリットがある技術です。


早く「高速道路の入り口には、一人乗りの自動運転タクシーが置いてある」「誰でもそれに乗れば、さくっと温泉地まで行けちゃう」みたいになったらいいな!


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 そんじゃーね


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嫌いな人向けの商品開発へ - Chikirinの日記


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