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Chikirinの日記 RSSフィード

2016-02-28 写真で学ぶラオス事情

シリーズでお送りしているラオス旅行記の続き。

今日は写真を見ながら、ガイドの Tさんから聞いた話をあれこれご紹介。


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こちらはラオスの刑務所。

Tさん 「刑務所は街から離れたメコン河沿いの森の中や、中州の島にあります。

刑務所に入るのは、喧嘩(傷害)、事故、詐欺、泥棒などで捕まった人が多いです。殺人などの凶悪犯罪はまだ少なく、麻薬で捕まるのも国境付近の人だけです。

女性は売春や窃盗、三角関係による喧嘩などで入る人が多いと聞いています。


ラオスには死刑はありません。

終身刑がありますが、服役態度が良く、差し入れの一部を看守に渡すなど“行いが良い”と早く出られるので問題視されています。

刑務所では、農作業の他、カゴやセーターの編み方を教えるなど職業訓練も行いますが、長く刑務所に入っていて元の村や家に戻れなくなった人は、出所後、刑務所の周辺に住んで魚を釣ったり農業をして、刑務所に納める仕事につく人もいます」


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Tさん 「以前のラオスでは、木材や農作物を運んだり、畠を耕すクワを引くためなどに、象が使われていました。

でも農業や林業をやっていた人が、「象よりトラクターやトラックなど機械のほうが、エサも要らないし死なないしパワフルだ!」と考え、

次々と象をタイに売ってそのお金で重機を買うようになり、象が激減してしまいました。

ラオス政府はあわてて象の国外販売を禁止しましたが、その後、観光客を象に乗せて散歩するという観光メニューができ、象で外貨が稼げるようになりました。

昔は、まさか象で毎日何十ドルも稼げるようになるなんて、誰も想像していませんでした」


ちきりん 「自分にはたいしたモノだと思えなくても、他の人にとっては大きな価値がある」 

それに気が付く能力が大事! ってことですね!


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<郊外のメコン河沿いに建つ豪華な家>

Tさん 「ルアンパバーンは街全体が世界遺産で、特にゾーン1と言われる中心街では、個人の家でさえユネスコの許可が無いと一切リフォームできません。

修理改築の申請をしても、回答を得るまでに 5- 6年、賄賂を渡しても 2年はかかります。


そこで中心街の住民は、家をヨーロッパやビエンチャンのお金持ちに長期貸与。数十年分の家賃を前払いで受取り、そのお金で郊外に大きな家を建てて引っ越しています。

郊外ならユネスコの許可も不要だし、中心街の家は(街が世界遺産に指定されてから)ものすごく高く貸せるようになったので、“世界遺産成金”が多数現れています。


今、この町には信号もないし、メコン河を渡るための橋もありません。どちらもユネスコの許可がでないので作ることができません。

ファストフィードのチェーン店も作れないし、中心部には大型バスも入れません。

排気ガスを出すオート三輪のタクシーは、少しずつ電気自動車に置き換わる予定です。

前は中国から買った電気自動車がありましたが、半年で壊れ修理もできませんでした。

今は日本から援助してもらった電気自動車を使っています」


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Tさん 「これはナンパするための楽器です」

ちきりん 「ナンパ?」

Tさん 「求愛です」

ちきりん 「・・・それは同じ意味じゃないです。具体的にいつ使うものですか?」

Tさん 「昔は男性数人が、この楽器や太鼓をもって、音楽を奏で、唄いながら女性の家まで行きました。で、家の前まできたら、歌で求愛します。

男性側が 3人の場合、女性も隣の家の女性を呼んできて 3対 3になったり。あっ、合コンみたいなものです」

ちきりん 「それもまた求愛とは全然違う気がするんですけど・・・

日本でも平安時代には、男性が女性の家まで行って歌を詠み、ナンパする慣習があったようです。ラオスではそれ、いつ頃の風習ですか?」

Tさん 「私の父の世代まではそういうことをやってたみたいです」

ちきりん 「そんな最近の話だったの!?」

Tさん 「私はやったことはないですが、小さい頃、男の人がそうやってナンパに行くのを見ました」

ちきりん 「女性をナンパしに行くのに、そんなウルサくして目立ちながら行くわけ?」

Tさん 「はい。黙っていくのは、奥さんのいる人だけです」

ちきりん 「!」


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なんかメタボだし、ずいぶん俗っぽいお坊さんだなと思ったら、

Tさん 「昔ものすごくハンサムなお坊さんがいて、どこにいっても女性が寄ってきて、結婚したい、愛人にしてほしいと騒ぐので、集中して修行をすることができず、

自分で自分に魔法をかけ、あえて不細工になったお坊さんの像です」


ほんまかいな。


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Tさん 「これは洪水に備えるため水位を測る石で、メコン河に一定間隔で設置してあります。フランスが植民地時代に設置しました」


ちきりん心の声・・・シンプルな造りだけど、こういうものを河に設置すべきという発想や、大雨でも流されないよう固定する・・・のが、技術であり文明の知恵よね。

フランスが植民地時代に造ったものが、今のラオスでも役立ってるわけで、その格差たるや、驚くべきものがあるだよ。


Tさん 「ラオスの歴史や仏教文化、少数民族に関する専門書も、その多くが英語かフランス語で出版されます。ラオス語で読みたいと思っても翻訳されない本も多く、ラオス人は勉強することができません」

ちきりん心の声・・・「クメール語では頭と脳という言葉の違いが無いため、脳出血が頭出血と区別できない」とおっしゃってた北原先生のお話を思い出しました → ビジネス用語にカタカナが多い理由 - Chikirinの日記

自国の文字で自国の歴史や文化が学べるというのは、とても幸せなことなんですね。


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Tさん 「あれは、メコン河を上る乗り合いの水上バスです。

料金は格安ですが、一日一本しかなく、時間も決まっているため、途中下車した場所で乗り過ごすと、翌日までジャングルの中において行かれてしまいます。

その点、今、ちきりんさんの乗ってるこの船は貸し切りですから安心です。

ひとりで借りても 30人で借りても料金は同じで、お客さんのスケジュールに併せて運行します」


ちきりん心の声・・・ってことは、あたしはひとりで 30人分の船代を払ってるってこと?

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知らんかったよ。

ずいぶん豪勢だね、あたしの旅行・・・


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そんじゃーねー


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2016-02-26 お坊さんと王様@ラオス

シリーズでお送りしているラオス旅行記の続き。

ラオスは敬虔な仏教国。今日はお坊さん関係の話と、その昔、王国であったラオスの王様関係の話です。


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ちきりん 「お坊さんになる人って、小さいころから仏教が好きで、それでお坊さんになると決めるの?」

Tさん 「出家には 3種類あります。ひとつが習慣出家。男子はみな 3ヶ月は習慣として出家します。

もうひとつは厄払い出家。自分や家族に悪いことが続いたとき、厄払いとして 3日とか 1週間だけ出家します」

ちきりん 「へー!」

Tさん 「最後が、教育を受けるための出家です。ラオスでは義務教育は無料とされていますが、実際には教科書代や課外活動のためお金がかかります。

でも 10歳でお坊さんになると、一般の学校ではなくお坊さんの学校に通えます。こちらは食べ物も托鉢などでまかなえ、生活費を含めてすべて無料です。

だから、田舎の貧しい家に生まれたけど勉強したい子は、親に勧められたり、自分で決めて 10才くらいで出家する場合があります」

ちきりん 「教育を受けるために仏門に入るんだ! で、教育が終わったら、他の職業についてもいいの?」

Tさん 「はい。高校の課程を終えたときにお坊さんをやめて、公務員になる人もいます。ラオスで英語やフランス語のガイドをやっている人の中にも、教育はお坊さんになって受けた、という人がたくさんいます」

ちきりん 「じゃあ子供の出家って、貧困家庭向け無料教育の福祉制度でもあるのね! 教育内容はお坊さんの学校も一般の学校も同じ?」

Tさん 「お坊さんの学校では仏教についても学びますが、それ以外は同じです」

ちきりん 「にゃるほどねー。それはいいシステムかも」


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<お寺へのお供え物を売る店>


ちきりん 「真っ暗闇の洞窟で座禅を組むのって、修業とはいえ怖そう・・・」

Tさん 「お坊さんには 2種類のお坊さんがいます。

1)布教や読経や説教を行うお坊さん

2)ひたすら修行をするお坊さん

1)は仏教を広める人、2)は仏教の修行を突きつめる人です。


2の人は布教も説教もせず、ひたすら自分を無にするための修行に専念します。

光の全くない洞窟の中で何日も(ごく少量の水と植物性の食べ物だけを摂取しながら)座禅を組み、何を食べても味がしない、目の前にいるのが人間か動物かさえ気にならなくなるような、無の境地を追求します。

生きながらにして死の境地に至ることを目指す厳しい修行です。

こういう修行をしているお坊さんは修行僧、高僧と呼ばれ、大臣も王様もひとめ会って拝みたいと考えますが、なかなか会えません。


1)のお坊さんは、修行に専念する2)のお坊さんに代わり、一般の人に仏教の教えを説いたり、座禅のやり方を教えたりします。

ラオスでは男子はみな 3ヶ月お坊さんをやるといいましたが、それは1)のお坊さんのことです。

でも自分は、それに加えて 2ヶ月弱、2)のほうもやってみました。飲まず喰わず、眠らず暗闇で座禅をしてると、たしかに頭が空洞になる瞬間があります。

目の前にいるのが人間か動物か、ふっとわからなくなる。

けど、自分の場合は美人が拝んでいると、「あっ、きれいなお姉さんだ!」とすぐに現世にもどってしまいます。

私には修行は無理です」


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その他、お坊さんとお寺関係でいくつか。


Tさん 「お寺は必ず多くの人の寄付で作ります。お金持ちがひとりでお金を出してお寺を作っても御利益はないと言われています。お寺は誰にも独占できない。みんなのものだから」

★★★

Tさん 「お寺には毎日、多くの人が食べ物を持ってくるので、お坊さんが食べきれないほど集まります。

お坊さんは集まったご飯のすべてを、一口ずつ食べます。

お坊さんがひとくち食べた残りを食べると御利益があるとされているので、ひとくち食べて残し、残りは周りの人や貧しい人にまわします」

★★★

Tさん 「仏像を国内外に移動させることは禁じられています。

今でもタイのお坊さんが、仏像をラオスのお寺や洞窟で祭るため持ってくることがありますが、そういう場合は、どの時代のどの仏像をどこに持っていくか、申請書を出してちゃんと記録します。

そうしないと、時代や宗派の違う仏像が混じってしまい、あとから、歴史の研究ができなくなるからです」

ちきりん 「さすが、そういうところはしっかりしてるんですねー」


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次はお坊さんではなく、王様の話。ラオスは社会主義国になる前は王国でした。


Tさん 王宮だった建物内部の壁画を見ながら、「これは王様が象にのって道を通るところです。みんな道端で横座りになって、王様を見送ります」

ちきりん 「横座りがラオスの正式の座り方?」

Tさん 「男も女も横座りが正式です」

ちきりん 「でもこの絵だと、沿道に座ってるのは女性ばっかりですね。なぜ?」

Tさん 「いいところに気が付きましたね。王様が道を通るとき、女性はきれいに着飾って道に座ります。運がいいと愛人にしてもらえるからです」

ちきりん 「まじ?」

Tさん 「そして男性は、王様がやってくると聞くと隠れます」

ちきりん 「なぜ?」

Tさん 「体がしっかりしてると、「おいお前、家来になれ」とか「軍隊にはいれ」とか言われる。それを避けるためにです」

ちきりん 「それでこの壁画、沿道には女性しか書かれてないの?」

Tさん 「はい」

ちきりん 「ホントに?」

Tさん 「はい」


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<ガイドさんの話を聞きながらとったメモの一部。手元は見ず、視線はガイドさんに向けたままメモを取るので、字が汚くて後から判別するのが大変・・>


ちきりん 「ラオスが社会主義になって王国が滅びた時、王様の家族は中国のラストエンペラーみたいに逮捕されたり投獄されたりしてないの?」

Tさん 「してません。ただ、一部の人はそれを怖れ、タイ経由でアメリカやフランスに亡命しました」

ちきりん 「逃げたのは一部だけ? じゃあラオス国内にも、今でも王族の子孫が残ってる?」

Tさん 「たくさんいます。今は普通の人として暮らしています」

ちきりん 「みんな、お金持ち?」

Tさん 「お金持ちの人もいるし、貧乏な人もいます。普通と同じです。

そういえば私の友達は、王室の子孫の女性と結婚しました。それで仲間から、夜ベッドに入るときに(昔なら王女様なので)緊張しないか? とか、からかわれています」

ちきりん 「そーすか。。。」


他にもおもしろい話をたくさん聞いているのですが、なかなか追いつきません。

気長に少しずつ書いていきたいです。


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そんじゃーね。


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2016-02-25 ラオス旅行記 日常生活編

先々日先日に引き続き、ラオス旅行のガイド、Tさんとの会話です。

昨日は政治と歴史の話でちょっと重かったので、今日は経済や文化の話。


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<フランスの植民地だったインドシナはどこも、フランスパン+アジア具材のサンドイッチがメチャ旨>


ちきりん 「自動車のナンバープレートの色が違うけど・・・」

Tさん 「黄色は個人の車、白は企業の車、青が外交官や政治家で、赤が警察や軍の関係車です」

ちきりん 「黄色いプレートも多いですね。みんなどうやって車を買うお金を手に入れるの?」

Tさん 「ラオス人は土地持ちだから、土地を売って車や家電を買い、生活費として使います。

たとえば、ビエンチャンの川沿いの土地なら一平米 1000ドル以上、街中でも 300ドルくらいするけれど、田舎の土地は、一平米 1ドルくらいで買えるんです。

ところがそういう田舎の土地でも、日本からの援助で近くに道路が作られるとすぐに一平米 20ドルとか 50ドルに跳ね上がります。

田舎には土地がいくらでもあるので、そういう土地を売れば車が買えるようになるんです」


ちきりん 「じゃあ、近くに道路ができるという情報は貴重だよね?」

Tさん 「はい。だからその情報を先に手に入れて、田舎の土地を安く買い占める人もいます」

ちきりん 「あー、それは日本語では田中角栄メソッドっていいます。・・・・あわわ、それ、メモしなくていいから!

道路だけじゃ無くて、工業団地とか、政府が再開発する土地も値上がりする?」

Tさん 「大規模な工業団地などの開発が行われる場合は、土地は政府に接収され、遠くにある他の土地と交換されてしまいます」

ちきりん 「そういうところは社会主義的だね!」

Tさん 「ラオス式社会主義です」


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<一部のお寺は本堂内も撮影可能>


ちきりん 「お札のケタが大きいですよね。インフレがすごかったのかな」

Tさん 「以前はそうでした。昔はローンの仕組みも無く、車も家も現金で買う必要があったんですが、インフレのせいで必要なお札の量がすごいんです。

だから家を買う時には、大量の現金を何個ものズダ袋に詰め込み、親戚や友達の車も借り、何台もの車やバイクにお金を積んで取引場所に向かいました」

ちきりん 「それ、あたしも昔ミャンマーで見たけど・・・・数えるのが大変だよね」


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<卵がピンク!>


ちきりん 「携帯やスマホが普及し始めたのはいつ頃? 子供は何歳くらいからスマホを持ちますか?」

Tさん 「 5,6年前から急速に普及しました。それに伴い、パソコンを使う人が減っています。

大人達は、自分がスマホを使えなくても、15,16歳くらいになった子供にスマホを与え、彼らが使いこなしてから教えてもらっています」

ちきりん 「よく使われる SNS は?」

Tさん 「Facebook, LINE, セルフィ、WhatsApp かな。あと、スマホゲームで遊ぶ人が多い」

ちきりん 「ブログって知ってる?」

Tさん 「知りません」

ちきりん 「えー。そーなの?  ががががーん!」

Tさん 「なんですか?」

ちきりん 「いえ、別に。 じゃ、youtube は? テレビとどっちが人気?」

Tさん 「youtube はよく見られてますが、テレビには及びません。家ではみんなよくテレビを見ます」

ちきりん 「テレビとスマホは、どっちが高いですか?」

Tさん 「テレビです」

ちきりん 「Tさんもスマホを 2台持ってるみたいですけど、私用と仕事用ですか?」

Tさん 「いえ、ひとつの通信会社だけでは、ラオス全土をカバーできておらず、ある地域ではこっちの電波だけが入る、別の地域だとこっちだけつながる、みたいなことが多いから、ビジネスパーソンはスマホを 2台持つ人が多いです」


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ちきりん 「ラオスは、自然災害はなにかある?」

Tさん 「ラオスには地震も台風も無いです。台風と呼ばれることもあるけど、ちょっとした強風と大雨に過ぎません。

地震に至っては、ラオス人の多くは「あれは嘘だ。あんなことが起こるはずが無い」と思っています。地面が揺れるなんて、にわかには信じがたいです」

ちきりん 「Tさんも信じてないの?」

Tさん 「あたまでは信じています」


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ちきりん 「テレビでタイの放送が流れてますけど、タイからの文化的な影響はある?」

Tさん 「おカマ文化が入ってきました」


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<ラオスとタイを結ぶ橋。メコン河にかかる>


ちきりん 「一般の人でも、タイに行くのは簡単?」

Tさん 「簡単です。個人の車でも行けるし、バスや電車もあります。メコン河の橋を渡るのは 10分ほどです」

ちきりん 「タイには何しにいくの?」

Tさん 「買いものに行きます。ラオスでは大半の商品がタイから輸入されているので、タイのほうが種類も豊富だし、ちょっとだけ安いです。

あとは病院に行きます。ラオスにはいい病院も医師もいないので、大きな病気をするとタイの病院にいきます。

お金持ちの場合は週末に飛行機でバンコクまでいって、日本料理を食べたり、アメリカの新しい映画を見て帰ってくるというような遊びもします」


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<タイとラオスを結ぶ橋の上は電車も走ります。最初は 5両編成でしたが、10分で橋を渡り終える電車なのに出発が 2時間遅れたりするため誰も乗らなくなり、1両ずつ減って今は 2両編成になってしまった>


ちきりん 「ラオスにも中国からの観光客はたくさんきますか?」

Tさん 「先週は中国の旧正月だったので、ものすごい数の人がきました。ラオスだけでなく、ラオス、カンボジア、ベトナムなどを1週間くらいかけて回ります。

この期間はラオスでもホテルが足りなくなり、予約せずに旅行するバックパッカーはゲストハウスにも泊まれず、道ばたで寝たりしてました」

ちきりん 「日本でも同じことが起こってます・・・」

Tさん 「中国人観光客に関しては、北京オリンピックの前後で劇的にマナーが良くなりました。

以前は、ところかまわず喉を鳴らして道にツバを吐く人がいましたが、オリンピックの後はほとんどいなくなった。これから中国人観光客のマナーも、どんどんよくなると思います」


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ちきりん 「ラオスでの結婚年齢と子供の数は?」

Tさん 「僕の父の世代だと 10人兄弟だけど、大人になるまで生きてるのは 2人とか 3人でした。今でも田舎だと 20歳までに結婚し、6,7人の子供を産みます。

都会の人は家も狭いので、子供は 2,3人でいいと思ってます。学校に進む人が増えたので晩婚化も起こっていて、今は 25歳くらいで結婚するのが平均的です」


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<ラオスのカフェラテアート!>


滞在6日目、ラオスのことが少しずつ分かってきましたね。


「ブログ」が知られてなくてショックでしたけど・・・考えられる理由は、

1)パソコンの普及率が極めて低いままスマホが普及した地域では、ブログは使われない

2)多くの人が日常的に本や新聞、雑誌を読む(長い文章を読む)という文化的な習慣が未発達な国では、ブログを書く人も読む人も少ない、

ということなのでしょう。


今まで考えたこともなかったけど、「ブログ」って先進国でしか流行らないプラットフォームなのかも。


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そんじゃーね。


↓この本に書いた数十年前のミャンマーと今のラオス。本当に大きな違いがあり、感慨深いです。キンドル版なら 680円

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2016-02-23 ラオスの歴史と政治について

先日に引き続き、ラオス旅行のガイド、Tさんとの会話です。

今日は国立博物館でラオスの歴史について説明を受けたので、それに関連する話から。

ラオスの歴史、知らない人も多いと思うので簡単にまとめておくと↓こんな感じ。

  • 1353年 ラーンサーン王国が成立
  • 1713年頃 ラーンサーン王国が3つの王国に分裂
  • 1893年 フランスが植民地化
  • 1945年 日本軍が一時期だけ傀儡化しようとするが、日本の敗戦後すぐフランスが再植民地化
  • 1953年 ラオス王国としてフランスから独立するも、ベトナム戦争が始まるとラオス王国はアメリカの傀儡政権と化し、少数民族も含めベトコン(ベトナム共産軍)との戦いにかり出された上、全土に米軍のクラスター爆弾が投下されるなど焦土化。
  • 1975年 ラオス王国を倒し、社会主義国のラオス人民民主共和国が成立
  • 1986年 政治体制は社会主義のまま、資本主義経済を採用するラオス式社会主義へ
  • 1997年 ASEANに加入し、グローバル経済の一員へ

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(打ち落とされた米軍機)


ちきりん 「ベトナム戦争ってベトナムだけじゃなく、ラオスも主戦場だったってこと、あまり知られていないかも」

Tさん 「ラオスは東西両陣営にとって重要な位置にありました。北の中国と東のベトナムが共産国化し、西のタイは資本主義のまま。ラオスはその中間にあったので、

ホーチミンは「ラオスを共産化しないと、すぐ近くまで米軍に迫られてしまう」と怖れたし、アメリカはラオスの共産化だけは食い止めないと、インドシナ全体が共産化すると怖れたのです。

北のホーチミンが南ベトナムでの戦いを支援するために使ったホーチミンルートという補給路が有名ですが、あの道の大部分はラオス国内のルートで、アメリカはこの道にそって大量のクラスター爆弾を落とし、今でも多くの不発弾が残っています」


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ちきりん 「でもラオスって、フランスの植民地時代のほうが長いのに、なぜ今でもドルが街で使われているの?」

Tさん 「ベトナム戦争の頃、共産陣営は組織的に大量の偽ドルを作りました。彼らは本物の米ドルをコピーして同じナンバーのお札を作ったのですが、本物か偽物か、自分たちには見分けられるよう、最後の数字だけ少し傾けて印刷したそうです。

これらの偽札は両替やお釣りを通して、アメリカ人が使う本物のドル札と混ざり始めます。

ベトナム戦争中はもちろん、戦争が終わった後もそのまま米ドルを流通させておけば、それら偽物のドル札を、海外からの観光客やビジネス客が使う本物のドル札と、自然な形で交換することができたんです」

ちきりん 「つまり、大量に流通している偽ドルを「ツーリズム・ロンダリング」するために、街では現地通貨とドルの両方が使えるようにしてたわけね? ラオスだけじゃなく、ベトナムやカンボジア、あとタイとかも長く米ドルがそのまま使えてたのはそーゆーわけだったのかぁ!」

Tさん 「そうです。でも今はベトナムでも、ドルそのままの流通は制限されているし、ラオスでも政府は「原則としてラオスの通貨を使うように」と呼びかけ始めています。もはや偽ドル札を国全体でロンダリングするような時代ではありません」


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ちきりん (博物館の兵士の写真を見ながら)「女性の将校もいたんですね」

Tさん「ベトナム戦争に伴う内戦ではあまりにもたくさんの人が戦死したので、男性だけでは兵隊が足りませんでした。村に敵が来れば、女性も武器を持って戦わざるを得なかったのです。

その後、社会主義国になると、今度は国が貧しいため、女性も働くようになります。ラオス社会における男女の役割差が少ないのは、女性を気遣って家においておくというスタイルでは、戦争、そして、社会主義経済下での困窮の時代の経済が回らなかったからです。


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ちきりん 「フランスの植民地時代、そして、アメリカの傀儡政権となったラオス王国の後、ラオスは社会主義国として独立したわけだけど、あのタイミングで社会主義になる必要性はあったと思う?」

Tさん 「あったと思います。当時のラオス王国の政権は、まったく国民の幸せを考えていませんでした。

彼らだってラオス人なのに、自分がアメリカからいくらお金をもらえるか、どうすれば自分がアメリカに守ってもらえるか、それしか考えていませんでした。そして喜んでアメリカの傀儡政権となった。

彼らの行動があまりに酷かったから、その政権を倒して社会主義・共産主義を目指そうとするグループを、国民は支持しました。

今は資本主義のほうがいいと思うけど、あのタイミングで一度、社会主義になることは、ラオスの近代化のために不可欠だったと思います」


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ちきりん 「このラオスの旗の意味は?」

Tさん 「真ん中の青い線は、メコン河を示しており、両側の土地は赤い血で染められたラオスの国土だと言われています。ラオス人同士(社会主義側とアメリカ側に分かれて)殺し合って、その地で赤く染まっていると。白い丸は、メコン河に映る満月です」

ちきりん 「仏教では満月が大事なんだよね?」

Tさん 「満月の日はお釈迦様が出家した日で、敬虔な仏教国のラオスでは、都会の若い人でも満月の日だけはお寺にお参りに行くほどです。それは希望の日であり、祈りの日でもあります」

ちきりん 「若い人も定期的にお寺にくるんだ」

Tさん 「ラオスのカップルにとって、お寺は定番のデートコースなんですよ。特に満月の日に一緒にお寺に行くのは、大事なイベントです」

ちきりん 「なんで?」

Tさん 「ラオスの人は輪廻を信じているので、ふたりでお寺に行き、生まれ変わっても一緒になろうねと誓うんです」


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ちきりん 「今のラオスの産業は?」

Tさん 「ラオスが外貨を稼げるのは、コーヒー、電気、木材ですね。特にメコン河はダムを造れば電気がおこせる。作った電気はタイに売っており、ラオスは周辺国から「バッテリーの国」と呼ばれていいます」

ちきりん 博物館にあるダム建設中の日本工営の写真を見ながら、「日本はダム造りの支援をしてるんですね?」

Tさん 「ダムの他、空港も道路も日本が援助して作られています。だから一般のラオス人は、日本にとても感謝しています。

でも、軍や警察、政府には中国からの援助がたくさん入っているんです。戦車や武器、軍事支援などを含め、中国の支援なしにラオスの政府、警察、軍は成り立ちません。

政治は人民革命党の一党独裁による社会主義で、民間経済は資本主義というラオスの体制と、政府分野は中国からの支援、民間分野は日本からの支援という棲み分けはきれいに相応しています」


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4日前ここに来るまで、ラオスのこと全く知らなかったんですけど、めっちゃ詳しくなってきた!


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そんじゃーねー。


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2016-02-21 ガイド付き一人旅の勧め

ラオス旅行記、昨日までの二日分は“ぱーそなるブログ”に書いたのですが、今日はこちらに書いておきます。

ラオス一日目の日記

ラオス二日目の日記


会話文なので読みやすいとは思いますが、めちゃくちゃ長いです。

以下、すべて私とガイドのTさんの会話です。


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ちきりんQ 「ラオスに兵役はあるの?」

ガイドTさん 「昔は 15歳になったら一年の兵役があって、僕も小さいころはそう言われてました。でも自分が 15歳になった時には、兵役はなくなってました」

ちきりん 「なぜ?」

Tさん 「政府が、15歳の子供は兵役ではなく、学校に行かせた方がいいと判断したからです」

ちきりん 「政府エライね。今は完全になくなったの?」

Tさん 「田舎の方で、学校にもいかず、仕事もしていない人は兵役に行きます」

ちきりん 「なにそれ? ニートは兵役?」

Tさん 「行きたくなかったら、勉強すればいいんです。それか働けば良い。何もしない人は兵役です」

ちきりん 「!」

(※ これに限らず、ガイドさんの説明が正確かどうか、私には保証できません。彼はガイドの資格は持っていますが、歴史学者でも社会学者でもありません)


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ちきりん 「ラオスは仏教が盛んだけど、子供のお坊さんまでいるのはなぜ? 希望してなるものなの?」

Tさん 「男子は全員、一時期はお坊さんになる必要があります」

ちきりん 「そーなんだ! 兵役はないけど、お坊さん役があるのね。どれくらい? 一年くらい?」

Tさん 「最低 3ヶ月です。僕は 5ヶ月やりました」

ちきりん 「大変?」

Tさん 「最初は大変です。お坊さんは、朝から正午までしか噛むものは食べられません。正午を過ぎたら飲み物だけです」

ちきりん 「やせそう・・・」

Tさん 「自分の体や命は自分のためではないのです」

ちきりん 「はぁ・・」

Tさん 「お坊さんは、ホテルに泊まったりレストランでご飯を食べることも禁じられています。お寺に寝て、お寺で食べます」

ちきりん 「そうですかー」


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ちきりん 「タイやベトナム、ミャンマーとラオスの言葉は似てる?」

Tさん 「タイ語はよく似てるので、意思疎通できます。ベトナムやミャンマーの言葉は全く違いますが、文法が似ているので、数ヶ月勉強すれば話せるようになります」

(※ガイドさんは外国語習得がかなり得意な人だと思います)

ちきりん 「メコン河の向こう岸がもうタイなんでしょ? タイとラオスは仲がいい?」

Tさん「昔なんどもタイに攻められたので、年配の人はタイのことがとても嫌いです。

それに、昔タイの人は、ラオス人を見下していました。ラオス人はタイ人より劣っていると考え、バカにしていたのです」

ちきりん 「隣国とそういう関係ってのは、よくある話なのかー。でも今は違うんですか?」

Tさん 「今の若い人は個別に判断します。特に、教育レベルの高いタイの人は、今はもうラオス人を見下したりしません。

タイの田舎の人は今でも、「オレはタイの人間だから、オレのほうがお前よりエライ」という態度を示します。

が、そういうことを言うのはタイの田舎者だからだと、ラオスの若い人は理解しています」


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ちきりん 「ラオスってものすごい数の仏像があるけど、盗まれたり、お金持ちが買い集めたりしないの?」

Tさん 「ラオスの人は信心深いので、仏像を盗むことはありませんが、外国の泥棒が来る時はあります」

ちきりん 「お金持ちが自分の家に飾ったりしないの?」

Tさん 「ラオスでは、仏像を個人の家に置くと、その家に不幸が起こると言われています。息子が死んだり、災害が起こったりすると信じられているんです。

だから、お金持ちの人でも、仏像を手に入れたらすぐに近くのお寺に寄進し、そこで皆と一緒に拝むのです」

ちきりん 「うはー」

Tさん 「なんですか?」

ちきりん 「すばらしいインセンティブシステムだなと思って・・・法律で仏像の私有を禁じるより、よほど賢いです!」


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<メコン河に沈む夕日。向こう岸はタイ>


ちきりん 「ラオスは 40以上の少数民族がいて、全部あわせると人口の 4割を超えますよね? 独立運動とか内乱とか、起こらないんですか?」

Tさん 「そこは政府がものすごく気を遣っています」

ちきりん 「たとえば?」

Tさん 「日本政府が毎年 20人くらい奨学金で日本に留学させてくれるんですが、ラオスはその多くを少数民族の子供から選んでいます」

ちきりん 「なるほど!」

Tさん 「20人くらいの留学生のうち、5人は本当にアタマのいい子供達ですが、10人は、少数民族の部族長の息子や娘です」

ちきりん 「へー!」

Tさん 「そうすれば、部族長がラオス政府に逆らわなくなります。

子供がたくさんいる部族長も多いのですが、この子は日本、あの子はオーストラリア、そして末っ子はフランスへと、あちこちに留学させてもらってます」

ちきりん 「部族長さえ押さえておけば、少数民族の反乱が起こらないからだね!」

Tさん 「そうです。少数民族にとって部族長は神ですから」

ちきりん 「でも、少数民族の子供って義務教育の学校に通ってなかったりもするでしょ? そんなんで留学してついて行けるの?」

Tさん 「日本を含め海外の政府はラオス政府に、コネや賄賂で留学生を選ばず、能力のある子供を送れと文句を言っています。でも、ラオス政府は無視しています」

ちきりん 「日本政府から見れば、ラオスの国作りのためなんだから優秀な子を送ればいいのに、と思うんだろうけど、

ラオス政府にしてみれば、少数民族の部族長の子供を留学させることこそが、国の安定につながる施策だってわけね・・。

ところで、さっき 20人の奨学生のうち 5人はアタマの良い子、10人は部族長の子供って言ったじゃん。じゃあ、残りの 5人は?」

Tさん 「お金を払った人の子供です」

ちきりん 「・・・・」


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ちきりん 「ラオスには世界遺産がいくつあるんですか?」

Tさん 「ふたつだけです。でも他にいくつも候補や調査対象になってるのがあります」

ちきりん 「だよね。調査すればいくらでも増えそう」

Tさん 「でも、たとえばこの仏舎利も、昔、ヨーロッパから調査団が来て、これは世界遺産に登録できそうだと言い出したんです。

ラオス政府はすごく喜んで、さっそくあちこちのペンキを塗り直したり、壊れた部分を直したりしました。

そしたらその後、ヨーロッパ人が戻ってきて、悲しそうな顔で言いました。「こんなふうに手をいれてしまったら、もう世界遺産には登録できない」って・・・」

ちきりん 「そうか、世界遺産は古いまま残ってるからこそ登録してもらえるんだもんね」

Tさん 「ラオス政府はそれを知らなかったんです。だからすごくがっかりしました」

ちきりん 「かわいそう・・・」


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ちきりん 「ラオスは社会主義国だよね? Tさんが生まれた時も既に?」

Tさん 「ぼくが生まれる前すこし前に社会主義になりました。でもラオスは、政治は社会主義だけど、経済は資本主義です」

ちきりん 「そーなの? たとえば?」

Tさん 「たとえば、中国やベトナムでは土地は国有ですが、ラオスでは土地は私有なので、土地を売って大金持ちになる人がたくさんいます」

ちきりん 「へー!」

Tさん 「衛星放送で海外のテレビを見ることを禁じる社会主義の国が多いですが、ラオスではパラボラを設置するのは自由です。

それに、海外にいくのもお金さえあればラオス側には制限がありません。海外に行きにくいのは、相手の国が規制してる場合だけです」

ちきりん 「たしかに社会主義なのに海外渡航が自由って珍しいね。一番、行きにくい国はどこ?」

Tさん 「アメリカと日本は、ビザを取るのがとても難しいです。お金があっても、亡命してその国に住みついてしまうことを怖れているのだと思います」

ちきりん 「たしかにそれは日本も怖れてそうです」


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市場のスマホ売り場で

ちきりん 「中古だけど、いろいろありますね。一番人気は?」

Tさん 「前はソニー製が人気でしたけど、今、ソニー製のスマホは中国が作った偽物が多すぎて買えません。なので、韓国のサムソン製を使います」

ちきりん 「サムソンの偽物はないの?」

Tさん 「最近少し出始めたらしいですが、まだ少ないです」

ちきりん 「ソニーには偽物があるけど、サムソンには偽物が無い。ブランドとしてまだまだそれだけの格の差があるってことね?」

Tさん 「はい。だから iPhone も偽物ばっかり。特に中国製のスマホは、壊れるだけじゃなく爆発するから怖いです」

ちきりん 「スマホ以外でも中国の商品が増えてる?」

Tさん 「中国製の洋服を僕もいくつか買いましたが、何回か洗濯するとボロボロになるので、もう買いません」

ちきりん 「そうなんだ。どこの製品がいいの?」

Tさん 「洋服なら、タイ製品の品質がいいです」

ちきりん 「なるほど」

Tさん 「でも、僕は中国製が悪いと言ってるわけじゃないんです」

ちきりん 「どういうこと?」

Tさん 「日本で売ってる中国製品は問題がありません。アメリカで売ってる中国製品にも問題はない。

でも、ラオスで売ってる中国製品はダメです。理由は、ラオスには輸入品の品質をチェックできる人がいないからです。

だから僕がダメだと言っているのは中国製品ではなく“ラオスの中国製品”のことなんです」

ちきりん 「あたし、そのことについて、この前ブログを書いたところです!」


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食肉や野菜など食品市場で、

ちきりん 「新鮮ですねー」

Tさん 「ラオスの人は、野菜と肉はスーパーでは無く市場で買うほうが美味しいと思っています。

特に肉は、市場では、その日に殺してさばいた肉しか売っていません。スーパーだと、殺した翌日とか、そのまた翌日とかの肉ですから」

ちきりん 「数日なら問題ないのでは?」

Tさん 「ラオスの人は、腐らないよう何か薬品を使ってると疑っているんです」

ちきりん 「へー。でもスーパーの方が清潔でしょ?」

Tさん 「そうですね。だから、ハエが怖いか、防腐剤が怖いかという問題です。

ハエがイヤな人はスーパーで買うし、防腐剤が嫌な人は市場で買います。

ハエが止まった肉でも洗って焼けば問題ないですが、防腐剤は染み込んでいます」


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市場の金のアクセサリー売り場で

ちきりん 「金のアクセサリーのお店、多いですね。貯金代わりに買う人が多いんですか?」

Tさん 「昔はみな銀行を信じていなかったので、お金がたまると金のアクセサリーを買っていました」

ちきりん 「なぜ銀行が信じられなかったの?」

Tさん 「社会主義だからです」

ちきりん 「ほー!」

Tさん 「昔は村長が各家を回って、強制的に貯金を集めていきました。でも、その貯金は自由におろせなかった」

ちきりん 「それはひどい」

Tさん 「だから、村長が来る前にお金を金の指輪に変えてしまうんです」

ちきりん 「今は変わってきたんですか?」

Tさん 「昨日話したように、10年くらい前に私立の銀行ができて、口座を開くと抽選で家や車をくれるようになったので、みんな銀行口座を開くようになりました」

ちきりん 「社会主義の国なのに、国立銀行は信じられないけど民間銀行なら信じられるんですね!?」


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パリの凱旋門ふうの建物に上りながら、

ちきりん 「これ、フランスの協力で建てられたんですか?」

Tさん 「デザインはパリの凱旋門に模してますが、フランスは無関係です。建設費はアメリカから補助されてて、少数民族はそれに怒っています」

ちきりん 「なんで?」

Tさん 「ベトナム戦争の時、アメリカは少数民族の若者を集めて兵隊にし、ホーチミン軍に負けそうになると放置して彼らを見捨てました。

たくさんの若者が亡くなったので、少数民族はアメリカが嫌いです」

ちきりん 「国民全体としてもアメリカが嫌い?」

Tさん 「それはないです。だから政府も、少数民族をなだめるのに気を使っています」


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凱旋門の上から

ちきりん 「あのカラフルな建物はなに?」

Tさん 「植民地時代にフランスが作った高校です。ラオスで一番の高校で、特別な人しか入れません」

ちきりん 「特別な人ってどんな人?」

Tさん 「エライ人の子供であっても、あの高校にいくにはお金とコネが必要です」

ちきりん 「エライ人の子供じゃない場合は?」

Tさん 「その場合は、まず頭が良いことが前提です。そしてお金とコネも必要です」

ちきりん 「つまり。エライ人の子ならコネとお金、普通の人の子ならアタマ、コネ、お金の3つが必要だってこと?」

Tさん 「そうです」


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マイクを通して、何かを叫んでいる車を見ながら、

ちきりん 「あれはなに?」

Tさん 「お寺が改修費や新しい仏像を作るための募金を呼びかけています」

ちきりん 「ラオスの人は信心深いから、お金が集まりそう」

Tさん 「そうです。それで中国やベトナムから、お寺のフリをして募金を集める車がやってきます」

ちきりん 「それってもしかして寺寺詐欺?」

Tさん 「だから今は、お坊さんとして寄付を請うには、パスポートや身分証明書を示してからでないとできません」

ちきりん 「そーかー。どこの国にも詐欺はいるのね」

Tさん 「いえ、彼らはラオスの詐欺ではありません。自分の国にはそんな風習もないのに、ラオスに来て寺の募金活動の真似をするんです」

ちきりん 「ひどいね。そういえば、ラオスのお寺、金色のが多いけど、あれは全部、ほんものの金?」

Tさん 「昔はそうだったし、今も、寄付でできている部分はそうです」

ちきりん 「寄付でできてる部分以外ってなに?」

Tさん 「政府が改修を行う時は、金箔ではなく、黄色のペンキを塗るだけです」

ちきりん 「そうなんだ」

Tさん 「社会主義にとって宗教は好ましくありません。

でも、ラオスでは仏教を利用した方がみんなを治めやすいと政府も気付いています。

だからペンキでもいいから寺を改修するのです」

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ほんとにいろいろ勉強になりました。

下記の本にも書きましたが、こうやってひとり旅で自分専用のガイドさんを雇うのは、その国のことをいろいろ知りたい人にはうってつけの方法だと思います。

学生時代から数十年に渡ってあちこち旅行をしながら、見たり聞いたり考えたことをまとめた“ちきりん”旅行記。関心のある方はぜひどうぞ。

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2016-02-17 保険パラドックス

犯人がいちばん捕まりやすい(バレやすい)殺人は、生命保険目当ての殺人でしょう。

なぜなら・・・警察に加えて生命保険会社も、疑いの目を持って調べるから。

ちなみに最もバレにくい殺人は、「誰かが死んだこと」自体が明るみにでない殺人です。身寄りのない人を殺して山奥に捨てた、みたいなやつね。

ふつう、人がひとりいなくなると誰かしらが気が付くし、多くの場合、警察に届けられます。

それが起こらない殺人がいちばんバレにくい。

「誰かが死んでる」ってこと自体が闇に葬られると、事件や犯罪の発生にさえ警察も気が付かないから。


一方、生命保険目当ての殺人では、必然的に「この人が死にました」と(多くの場合、保険の受取人であり殺人犯でもある当人が)役所に届けることになるので、犯罪を隠すのはかなり難しい。

しかも警察だけでなく、生命保険会社も刑事顔負けの専門スタッフを送り込んで調査を始めるので、多くの場合、犯罪はバレてしまいます。

警察ももちろん頑張りますが、生命保険会社も数千万円から億の単位の保険金支払いがかかってるわけで、超真剣です。


でね。

この仕組みは、もっといろんなことに使えるはずなんです。


たとえば、

高齢者施設向けの保険として、「入居の高齢者が事故死した場合に備えた保険」を作り、高齢者施設には、そういう保険に入ることを義務付けます。

保険加入後に入所者の事故死が起こると、保険会社が「施設が入居者の家族に支払う賠償金や見舞金」を払ってくれる、という保険です。


ただしこの保険は、「事故死なら保険金がでるけど、施設スタッフによる虐待死の場合は保険金がでない」とします。当然ですよね。

すると、高齢者施設で入所者が事故死した場合、警察だけじゃなくて、保険会社も独自に調査を始めます。「虐待じゃないでしょうね?」って。

これにより従来より施設内の犯罪が明るみにでやすくなるし、抑止力にもつながるというわけ。


保育園も同じ。事故や過失や(もしかしたら故意により)預かってた赤ちゃんが死んじゃう事件が定期的に起こりますが、

ああいうのも、事故死の場合は保険会社が保育所に代わり遺族に賠償金を払う。でも、虐待や重過失があった場合は払いませんよ、という保険があり、保育所はみんなこの保険に入る義務を負う、という形にしたら?

先ほどと同じように、事故発生時の調査も警察と保険会社のダブルで行われるし、「万が一の時、保険金を受け取れるようにするため、虐待を防止しなくては!」という保育所経営者へのプレッシャーもかけられる。


実はこういう保険は、施設に加入を義務付けなくても親が任意で入るだけで、効果があります。

なぜなら保険会社は、保険に入ってくれた親が子供を預ける予定の施設が、虐待を起こす可能性が高くないか、ってことを気にし始めますから。


もし、虐待を起こす可能性の高い施設だとわかれば、保険料を引き上げたり、保険を引き受けるのをやめたいでしょ。

だから「この保育所(もしくは高齢者施設)は大丈夫かな?」という目で審査をする。

そして「施設別・保険料一覧表」みたいなのを作り始める。

当然ですが、保険会社の調査能力は、親や(高齢者の)家族の調査能力より遙かに高いので、一般の人はその保険料を参考にして、施設を選ぶことができるようになるんです。


全国の小学校、中学校向け、もしくは、それらの子をもつ親向けに「いじめ保険」が開発され、

いじめによる傷害や殺人が起こった場合、学校が一定の防止策をとっていた場合は保険金が出るけど、そうしてない場合は、校長や担任に直接の賠償請求ができる、みたいになれば、

学校側には今より綿密にいじめを早期発見し、防止しようというインセンティブがかかるし、

保険金支払いを最小化したい保険会社(保険業界)は、いじめを防止したり早期発見する仕組みをあれこれ考えて学校側に提案を始めるでしょう。

学校や親だけでなく保険会社にも「いじめを少なくしたい!」というインセンティブ(動機・理由)が生まれる・・・ここがポイントなのです。


またこれを、学校が加入する保険ではなく、親が加入する保険として設計すれば、さきほどの例と同様、保険会社は親にたいして「この学校なら、この保険料です」という資料を作って渡すことになります。

これにより「いじめ保険の保険料が高い学校はヤバイ!」と親が気付けば、そういう学校は市場から退場を迫られることになる。危機感を感じた学校側は、そっこーで改善策を打ち出してくることでしょう。


★★★


保険の有効な使い方は他にもたくさんあって、

ドローンで何かを傷つけて賠償が必要になったり、ドローン自体が壊れたり無くなったりした時の補償がついたドローン損害保険が売り出され、ドローンを買う時、バイクみたいに保険に入らなくちゃいけなくなったとします。


でも、その保険は、

・ルールを守った地域で飛ばしてた時しか支払われないとか、

・ドローンの訓練を○時間以上、受けた人の保険料は安くなるとか、

・合計○時間以上、事故無くドローンを飛ばした実績があると、(自動車事故の損害保険みたいに)等級が上がり、保険料が格安になるとか、


みたいになると、技術を磨こう、ちゃんと練習してから飛ばそう、ルールを守ろう、といったインセンティブが働くようになります。


★★★


「再開発・赤字補填保険」とかもありかな?

市長や市議会が「オラが駅前にでかいショッピングセンターを作って再開発する!」とか言い出した時、その失敗に備えて入る保険。

当然のことながら、民間から見て「こんなもん、絶対失敗するでしょ」と思われる開発物件については、保険料がめちゃくちゃ高くなります。

ので、自治体は保険に入れない。


一方、「まあこれなら巧くいくでしょ」と思われたら保険料も安くなるので、自治体も入りやすくなる。

住民にとっては、再開発が行われる前から、そのプロジェクトを民間のプロが客観的に査定した結果がわかる、という効果があります。

市長や市役所や市会議員が「再開発をすれば人口も税収も増え、我が町はこの地域で最も住みやすいエリアとなるでしょう。わっはっは!!」みたいに言ってても、

再開発・赤字補填保険には入れないくらい保険料が高い、と査定されてる・・・


これどうよ?

って話になりますよね。


このように保険というのは本来、リスクに備える事後的な補償システムという側面だけではなく、犯罪発見や犯罪抑止、事故防止から客観的な査定機能など、多彩な機能をもつ非常に使える仕組みなんです。

・・・なんだけど、


問題は、当の保険業界がものすごく保守的で、「統計的に事故率や死亡率がわかってからじゃないと保険を設計しない=売りたがらない」ってことです。

統計的な事故率や死亡率がわかってからなら、保険会社は自分が絶対損をしない保険料を設定できますから。


でもね、相当の数の事故が現実に起こらないと、「統計的な事故率」なんてわからない。

それまでに多くの人が犠牲になるし、新技術や新制度の普及も進まない。


大航海時代、ヨーロッパからインドや新大陸に向けて船を送るのは、本当に大きなリスクでした。

多くの船が、嵐や事故に遭って海の底に沈んでしまう。だから、スペイン女王みたいな絶対的な権力と巨大な富を持つ人しか船は出せなかった。


ところが船舶保険や積み荷保険という損害保険ができると、王侯貴族以外の民間事業者でも船を出せるようになる。

保険という制度が、世界貿易が始まるきっかけ(=グローバリゼーションの最初の一歩!)を作ったわけです。


今、ドローンだけじゃなく、自動運転車、人工知能とロボットを使った医療や介護、遺伝子解析を利用した治療など、いろんな「リスクはあるけど、世の中を大きく変えうる技術」が出てこようとしています。

こういうの、大航海時代の貿易船と同じなんじゃないかな。

保険でそのリスクが軽減され、問題行動や事故にたいする抑止力が働くようになれば、普及への強力な後押しができる。


ところが問題は・・・新しい世の中を引っ張っていくのに非常に向いたこの商品を扱っている業界に、社会でもっとも保守的な人達が集まってるってことです。


「ボク、リスク取るの、好きじゃないんです。安定した人生が希望だから」

「世の中の変化? 急激な変化は起こらないほうが安心です。ボク保守的なんで」

みたいな学生が、

新しい技術や仕組みが内包するリスクを引き受け、その普及を推進することで世の中の変化を強力に支援できる優れた仕組みである保険を扱う業界に、こぞって就職していくという現実・・・・


冒険家を支えるべき業界に集まる、超安定志向の若者達。

これが「保険パラドックス」


世の中はホント、うまくいかない。


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そんじゃーね。



追記)事故が起こるとすぐ「規制を強化すべきだ!」と考えてしまう“規制脳”の方には、こちらを読んで「市場の仕組みで問題を解決できないか?」と発想する“市場脳”への転換を強くお勧めします↓


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2016-02-09 告知 今週土曜の夜 トーク配信やります!

御 礼

たくさんの方にお聞いただき、心より感謝&感激しています。


私のツイッターアカウントで、いくつかの感想ツイートを“お気に入り”として残しています → https://twitter.com/insideChikirin/likes


楽しかったー!


今週の土曜日、2月13日の夜 9時から、私“ちきりん”と(某)地域再生のプロ“きのりん”による、ミッドナイト・スペシャルトーク配信を行います。

テーマは、「人口減少社会における地方再生」

副題(裏題?)は、“世の中を知らない若者の人生を崩壊させる NHK の闇”


・音声配信のみで、もちろん無料です。

・youtube が見られるネット環境にあれば PC でも スマホでもお聴きいただけます。

・アクセス URL やハッシュタグは当日の配信開始 10分前までに、このエントリ冒頭と、私のツイッターアカウントでお知らせします。


右側が“きのりん”です↓・・・・ 誰だよ、それ!!って?

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“きのりん”さんは、高校生の時に商店街再生を担う企業の社長となるなど、これまで一貫して商店街再生、地域再生に関わっていらっしゃいます。

最初のきっかけは私がコメンテーターを務めるラジオ番組で紹介されたこの本。


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番組でお会して以来、なんどかお話したのですが、ほんとーにおもしろい方なんです。

いつもならブログを書く私ですが、木下さんとの話は「とても文字に落とせる量じゃない・・・」&「あまりに本音すぎて文字にできない・・・」と感じることばかり。

でも、こんな楽しい話を非公開のままなんてもったいない & 申し訳ない。みんなにも聞いてほしい!

ということで、「私達が話してる声をそのまま、ブログ読者の方に聞いてもらえばいいじゃん!」と思い立ち、今回のイベントを企画しました。


時間は

第一部が 21時− 23時半の 2時間半

条件が揃えば、24時から 26時まで第二部を行います。


第二部が行われる条件は、私達ふたりのライフゲージが残ってて、かつ、その時点でのリスナー数が一定以上ってことかな。

内容については、文句なしにおもしろいと思うのだけど、そのおもしろさを上手く伝えられるかどうかは、ちょっとしたチャレンジなので、頑張りたいです。


★★★


「人口減少社会における地方再生」

“世の中を知らない若者の人生を崩壊させる NHK の闇”


内容は <オープニング>に続き、

<セッション1> 人口減少社会における地方再生について、まず理解すべきこと

<セッション2>  若者よ。メディアに煽られて人生を棒に振らないよう、気をつけよう!

<セッション3>  過疎地は今、何をすべきなのか?

<セッション4>  地方中核都市の現状と進むべき方向性 〜札幌、金沢、福岡、四国など〜

<セッション5>  東京の本当の問題

で、<クロージング>  〜地方再生に関心のある人へ〜


と計画していますが、生トークなので、当日のみなさまからのコメントを参考にしつつ、あっちこっち飛びながら“ぶっちゃけ弾丸トーク”を繰り広げることになるかと思います。


★★★


事前資料として、このエントリふたつは目を通しておいていただけるとよいかも。

→ 東京一極集中と地方の衰退は無関係 - Chikirinの日記

→ 次の50年で4500万人 減るということ - Chikirinの日記


こちらはきのりんさんのブログ↓

revitalization.jp -&nbspこのウェブサイトは販売用です! -&nbspエリアマネジメント タウンマネジメント 地域再生 中心市街地 リソースおよび情報


下記はトークに関連する資料の一部です。当日、参照するかもしれません。

資料1 都道府県別人口の自然増減及び社会増減(大正9年〜平成17年) 総務省統計局資料

資料2 海士町 財政状況(平成20年度)

資料3 海士町 町勢要覧 資料集 (人口、産業等)

資料4 平成26年度 島根県 普通会計決算ポータルページ

資料5 神山町財務 (徳島県内市町村の財政状況資料集)

資料6 神山町人口

資料7 完熟農園に関するニュース(グーグル検索結果)

資料8 青森県青森市アウガ(グーグル検索結果)

資料9 アルネ津山(wikipedia)

資料10 23区内の本社、地方移転で税制優遇 東京集中を緩和へ

資料11 公立1000校超、2年間で廃校に 少子化が影響

資料12 東京都長期ビジョン


おたのしみに!


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そんじゃーね。


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2016-02-04 学校で浪費される無駄な10年をどーにかすべき論

乳児と幼児の時代を終え、“子供”と呼ばれ始める 4歳からの10年間で、すっかり大人になってしまう子がいます。

もちろん 14歳なので見かけは子供です。

でも 100人にひとりくらい、つまり、2クラスにひとりくらい、中身的にはもはや子供ではないという子がでてきます。


自分で考える意思と能力をもち、周りの子と自分が異なることを怖がらない 14歳

子供のために設計された学校という世界に飽き足らず、大人の世界に生きたいと思う 14歳

学校の先生なんてあんまり賢くもないんだなとわかってしまう 14歳

大人達相手にいっぱしの意見を言い始める(もちろん知らないことは多々あるけれど、の)14歳


この子たちは、4歳からの 10年間、かなりのスピードで成長します。

ところが 14歳になると、その成長カーブがいきなり緩くなってしまうんです。

なぜなら、この期間に彼らが受ける「クラスの真ん中の子」にあわせた教育が、あまりに“かったるい”から。

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もちろん彼らは、中学、高校、大学生活をそれなりに楽しみます。

友達と遊び、好きな本や雑誌や映画に(今ならネットやゲームや SNS に)熱中し、クラブ活動にいそしみ、

ちょっとでもいい大学を目指せという大人の口車に乗せられて勉強してみたり、恋愛してみたり、“まあまあ楽しい”青春時代を過ごします。


が、成長カーブはそのフルポテンシャルにたいして、かなり低いレベルに抑えられています。

彼らは 14歳で既に「自分で考える意思と力」を持ち始めているのに、それを発揮できる舞台もなければ、

フルに発揮しなければ達成できないゴールも与えられないからです。

彼らにとって“いい大学に行く”などというのは、大して難しいコトではありません。なかには、そんなことに意味はないでしょ?と理解してしまう子さえいます。

(前者は成績が良く後者は成績が悪いので、全員が学校的な優等生なわけではありません)


彼らが 14歳ではなく 24歳だったら、成長を加速するための舞台は自分で探すでしょう。でも 14歳では、それは難しい。

だから彼らは「そこそこ楽しく、そこそこ成長する」10年間を経て、24才となり、社会にでていくんです。


社会にでると再び、成長カーブが大きくなります。働く生活は、学生生活なんかより、よほどチャレンジングで、成長機会に富んでいるからです。

でも 10年たつとまた、成長カーブは鈍ってきます。34歳くらいから、今までほどの成長はできなくなる。


年功序列で高齢化が進む日本の組織では、既に事業部門ひとつくらい回せる能力がついた 34歳にも、係長だの課長代理だのといったポジションしか与えられません。

自分の力を持てあまし気味になり、成長カーブも鈍ります。

しかし今回は 14歳の時とは違います。

彼らは自分で自分の環境を変える術を持っています。

だから、転職したり起業して、成長カーブをもう一度、大きくすることができます。


ただし、この年齢では既に「住宅ローンもあるし、妻も反対するので」成長カーブより、安定や会社の名前を選ぶ人もおり、そういう人は、二度目の緑の線を辿ることとなります↓

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34歳以降の違いについては、本人の意思による選択なのでどっちでもいいんですけど、

いずれの場合も、14歳から 24歳の成長カーブが最大化されてない、というのが、すごいもったいない。

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ちなみに100人に一人じゃなくて 10万人に一人くらいの傑出した子(各学年で、全分野あわせて 10名から 20名)は、下記の赤ラインのように、14歳からさらに成長カーブが加速します。

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錦織選手とか羽生選手とか、もうひとりの羽生さんとか、10代で欧州の音楽コンクールで入賞しちゃうピアノやバイオリンの上手い子とか。

そういう子達は 14歳の時には既に「こいつはスゲエ!」と誰にでもわかる状態になっているため、多くの場合、特別コースに乗り換えるんです。

なので、14歳以降の成長カーブが、10歳−14歳の時より更に高くなる。


問題は、「そこまでじゃないけど、チャンスさえあれば、かなり良い線に行ける」という、クラスにひとりいるかいないか、くらいの子。

こういう子向けの特別コースが存在しないため、彼らの成長カーブは 14歳のところで寝てしまう。これが問題なんです。


100人にひとりというのは、日本全体で見ればそれなりの数(一学年で1万人から2万人)になるわけで、

その人数 × 10年分の成長が最大化されてないというのは、国全体としては大きな損失です。


今これらの子の多くは、学校の授業くらいでは時間がつぶせないため、親が与えた“将来は医者か弁護士ね”とか“東大を目指そうね”みたいなストレッチゴールを目指したりもするんだけど、

そんなのたいしたチャレンジじゃないんだよね。

受験ってのは基本“暗記”なので、そんなもんに頑張っても大して成長しません。

この“ 100人にひとり”の子が 14歳の時に必要なのは、そういった「優秀な子供向けの目標」ではなく、「ひとりの大人としての目標」なんです。


彼らは今、「十分、大人の世界に入っていける状態なのに、10年もの間、周りが子供ばっかりという環境で、子供扱いされながら過ごす」ことになり、そんなんじゃ成長カーブが最大化するわけない。


とはいえ大学からは自由度も高まるので、「こんなスピードの成長ではヤバイ」と気付き、

学生時代から起業をしたり世界放浪をしたり、就職を待たずに大人の世界に飛び込むことで、成長カーブを早めに戻す人も最近は多くなってて、

その場合は下記のように、緑の部分(成長が抑制されてる時期)が最小化できるので、かなりマシにはなってます。↓

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それでも 4,5年の間は成長スピードが無駄に抑制されており・・・全くもってもったいない。


ひとつの対策として中高一貫校というのがあり、できるかぎり無駄な時間(受験のための時間)を減らそうとするわけですが、それでもやっぱり「中学生」「高校生」という枠を超えた体験はさせてもらえない。

彼らが 14歳からあんなかったるい教育システムの中に放置されず、もっと実践的なリアルワールドの中で鍛えられてたら、全く違ったゴールにたどり着ける可能性が高い。


今、大学在学中の 19歳で起業してる人の中には、学校という枠組みさえなければ、15歳の時には起業してただろうという子がいるんです。

大学の研究室での活動(研究)だって、20歳ではなく 15歳からでも十分やってける。そういう子が 100人にひとりはいる。

ふつーにベンチャーやら大企業のインターンとして(大学生と同じくらいのパフォーマンスで)働ける14歳の子も少なくないです。


彼らがせめて真ん中の黒線のように、スピードを落とさず成長できていたら・・・もっと早く、リアルな社会を見ることができていたら・・・・もっともっと遠くにいけたはずなんです。


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実はこのカテゴリーに自らが属する人であっても、自分の成長カーブが 14歳から 24歳にかけて緩んでたことを意識してる人はそんなに多くない。

楽しい時期であったことは確かだし、「よくできる子供向けの目標」である“東大入りましたー”みたいな達成感によって、一応の満足が得られちゃってるから。

このため、「この 10年が無駄になってる! 次の世代のこの 10年を救わねば!」という問題意識が醸成されにくい。


それが、あたしが今日、このエントリを書いた理由です。

「 2クラスに 1人 × 10年間」という、無駄に放置されてる膨大な時間をどう変えていくか。

これが、国全体でみた時の人材育成上の大きな課題であることを、もっとみんな理解しましょう。

人を育てるべき学校が、優秀な子供の成長の足かせになっているなんて、ナンセンスでしょ?


昨年末に紹介した フェルドマンさんの本 が提案する方法は、いい案だし、ひとつの可能性だと思います。

でも国全体が動くのは時間かかる。

だったら、自分にできることは何かないのか、ちょっとだけでも考えてみたい。


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そんじゃーね。


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