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Chikirinの日記 RSSフィード

2017-02-24 依存症になる前に

「自分には関係ない」って思ってる人も多そうだけど、実は誰でもなる可能性のある依存症。

タブレットやスマホゲームをやってると、「あと1回、あと1回」と思ってる間にいつのまにか 1時間も 2時間も過ぎてたりする。

「これって依存状態だよね?」と自分でも思います。


★★★


依存症というのはドーパミンという脳内ホルモンの分泌異常が起こる「治療すべき病気」であって、

一度なってしまうと、意思の力や根性により、ひとりで治すのは困難。

よく「生活保護の人がパチンコしてる」のを「働けるのにサボってる」と非難する人がいますが、あれは、

1)パチンコや競馬にはまってギャンブル依存症になる

   ↓

2)依存症になって仕事に身が入らなくなり失職

   ↓

3)貯金を使い込むなどして家族にも愛想を尽かされる(離婚)

   ↓

4)食べていけなくなり生活保護になる

という順番なので、依存症の治療をしないと問題は解決できません。


依存症を放置したまま生活保護を打ち切っても、ギャンブルするお金欲しさにひったくりやコンビニ強盗を繰り返し、どこかで牢屋に入ることになる。

日本の場合、ひとりの確定囚の収監コストは年間 300万円くらいらしいので、多くの場合、生活保護のほうが安いです。


★★★


どういう状態になると「依存症患者」なのかについては、専門的な(精神医学的な)診断基準もあるので知りたい人はググってもらえばよいのですが、

2014年の厚生労働省の調査では、日本人男性の 8.7%、女性の 1.8%が「病的ギャンブラー」だという結果がでました。(厚労省 関連ページ

男女あわせると 4.8%、20人ちょっとにひとりというのは、他国と比べてもめっちゃ高い数字です。

理由は(おそらく)、日本ではパチンコ屋があらゆるところに存在していることと、

競馬、競輪、競艇、オートレースなどの公営ギャンブルまで「家族連れ」を呼び込もうとするなど、

地方自治体までもが、子どもにまで、ギャンブルを親しませようとしてる国だからと言われてます。


行政って公営ギャンブルで税収を上げてるつもりかもしれませんが、結果としてギャンブル依存症患者を増やし、

生活保護の人や犯罪者、さらにはシングルマザー(夫がギャンブルにはまって離婚、養育費も払わないケースなど)を増やしてる気もするので、

トータルに見て、「それ、ほんとに儲かってるの?」って感じです。


★★★


依存症は「否認の病気」とも言われます。

客観的に見て「それはあかんやろ」という状態になってるのに、本人がそれを否定する場合は依存症の可能性が高い。

たとえば「夜通しゲームが止められず、朝になっても起きられず、学校や仕事に行けなくなる」という状態、

もしくは、仕事に行っても眠くて頭が働かず、まともに仕事ができない状態は、客観的に見れば「あかんやろ」でしょ。

でも本人は「昨日はちょっとやり過ぎただけ」「大事な仕事の前の日にはやらない(から問題ない)」と言い張る。

これは「既に本人はまともな判断ができなくなっている」ことを示しています。


仕事があるのに朝まで飲んでて、酒臭い状態で職場に行くのも、客観的に見れば完全にアウトですが、

本人は「酒臭くても頭は動いてるから大丈夫」とか言う。


運転中にまでスマホを見てしまうのは(たとえ事故ってなくても)スマホか SNS かゲーム依存でしょう。

本人は「一瞬、見ただけ」とか「ちゃんと前も見てるから大丈夫」とか言いますが、客観的に見れば、あきらかに「あってはならない危険運転」です。

客観的にアウトなことを「大丈夫」だと言い張るのは、依存症という病気により、まともな判断ができなくなっている証拠です。


ちなみに、運転とは自動車だけでなく自転車も同じです。

自転車も、高齢者や子どもにぶつかると、一瞬にしてその人を「寝たきり生活」や「車椅子人生」に陥れてしまう危険性があります。

そんなモノに乗りながら、スマホを「見ざるを得ない状態」になっている人は、かなり重症の依存症患者です。


FXの負けについて家族にも言い出せず、子どもの進学費用や親の老後資金に手を付けたり、消費者金融からお金を借りて続けている状態でも、

本人は「一発当てたら全部きれいに返せる」とか思ってます。

もはやまともな判断ができていません。


★★★


依存の対象には、

・ゲーム

・FX など短期投資

・アルコール

・ギャンブル

・SNS(スマホ依存、ネット依存と呼ばれる場合も)

・買いもの

・セックス(恋愛)

・薬(麻薬)

など、いろんなものがありますが、依存がヤバイ理由は大きく分けてふたつ。


ひとつは「犯罪者になってしまうこと」


典型的なのは、

・薬を買うお金が欲しくて強盗をする

・ギャンブルの資金が欲しくて横領をする 

・15分で戻ってくるつもりが いつのまにか 2時間になってしまい、パチンコ屋の駐車場で車内の子どもを殺してしまう

・薬やアルコールを摂取した状態で運転し、人身事故を起こす

・薬やアルコールの影響で暴力を振るう

・運転中にもスマホが手放せず、人身事故を起こす

みたいな犯罪。


もうひとつの問題は、「自分と家族の人生を崩壊させること」

・ドラッグは文字通り、本人の健康を崩壊させるし、

・子どもの学費や家族の貯金を使い込んだり、大きな借金を抱えての離婚や夜逃げなど家庭崩壊

・ゲームにのめり込むあまり、学校や会社に行けなくなって退学や失職

・お酒を飲んでトラブルを起こし、解雇されて失職

・反社会的な勢力と関わりを持ってしまい、除名や資格停止など社会的地位を失う

 などなど。よく聞く話ばかりです。


ベネッセから個人情報を盗んで売り払ったエンジニアもギャンブルにはまっていたし、

大王製紙の創業家三代目もカジノに注ぎ込むため会社の資金の流用を繰り返した。

世の中の横領事件の裏には、ほとんどの場合「ギャンブル依存」か「買いもの依存」か「セックス(恋愛?)依存=貢ぐ相手」が存在します。

てか、依存症対策をしっかり打てば、横領事件とかめっちゃ減ると思います。


だって客観的にみて、会社のお金や組合のお金に手を付けたらよくないことくらい、誰でもわかるはず。

でもその判断ができなくなるのが「依存症」という病気なんです。

「絶対バレない」「すぐに返せる」だから、「ちょっとくらい借りても大丈夫」とか思ってしまう。

横領のことを「ちょっと借りる」と感じる時点でまともではありません。


★★★


自分や家族の誰かが依存症になる可能性は「常にある」と思っておきましょう。

日本のギャンブル依存が多い理由は「身近にパチンコや公営ギャンブルが多いから」だと思われますが、

最近はインターネットでのギャンブルも可能です。


FXもそうだし、オンラインカジノだって、スマホゲームの延長線上に存在してます。

公営ギャンブルも、場外に馬券売り場を作ったり、ネットで買えるようにして、どんどん「ギャンブルを身近に!」しようと頑張っています。

競馬場に行かなくても、パチンコ屋に入れなくても依存症になれる時代。

カジノでギャンブル依存が増えるという議論がありますが、そんなモンなくても、ほぼすべての人にとって、依存症になるリスクが高まっている時代です。


私のお勧めは、ふたつ。

ひとつは、「自分でルールを作り、それが守れるか、定期的にチェック」すること。

たとえば「水曜日はお酒を飲まない」とか「土曜日の午後、5時間はスマホを触らない」など。

たかだかこれくらいのことができなかったら、それは「既に自分の意思ではコントロールできない状態に陥っている」ということです。

「いつでも止められる」ではなくなっているということなので、自分がそうだとわかったら、なんらかの対策が必要です。


もうひとつは、依存症に「まだ」なってない状態の時に、依存症ってどういうものなのか、一冊でいいから本を読んでおくことです。

客観的な視点が持ててる段階で「どういう病気なのか」知っておかないと、依存が始まった後では、どんな情報を見ても


「自分はまだここまでヒドくない」

「止める気になればいつでも止められるから心配しなくていい」

という「否定」が始まってしまいます。


客観的にモノゴトを判断できる段階で依存症についての知識を身に付けておき、「ヤバイ」と感じ始めた初期の段階で制御に入れるようにしておくこと。

それが大事です。


「いつでも止められる」

「軽いクスリだから(ビールは水だから)大丈夫」

「仕事ができる人はみんな仕事中毒。だから中毒は必ずしも悪いことじゃない」


こういう言い訳を立て板に水のように口にし始めたら、

もはや手遅れです。

自分のため、そして家族のために、「なる前に」知識を仕入れておきましょう。


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そんじゃーね。


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↑この方(著者)はギャンブル依存症患者の治療に関わる医師の方です。

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買いもの依存に関しては、「買った商品を包装も開けずに部屋の隅に放置しておきながら、次々と買いものを続ける」状態になったら、確実に依存が始まってます。


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本人が「止めたいのに止められない」と言い出したら、治すチャンスです。「ひとりで治すのは無理な病気だから、専門家に診てもらおうね」と勧め、専門の医療機関を受診しましょう。


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