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Chikirinの日記 RSSフィード

2018-02-18 「生き方」と「死に方」

連載エントリの途中ですが、ここは私が考えたコトを記録しておく自分のための思考の格納場所なので、ちょっと中断して別の話を。

タイトルにぎょっとされた方もあるかもしれません。

ここんとこよく思うのは、SNSが普及してネットで発信する個人が増えたことで、他人の死に方(←生き方と読み替えてもらっても OK です)をリアルタイムで目にすることが増えた、ということです。

最初にそんな時代を意識したのは、下記の本の著者でもある天野貴元さんが、30歳で亡くなられる直前までツイッターを更新されていたのを目にした時のことです。


オール・イン ~実録・奨励会三段リーグ
天野 貴元
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天野さんは将棋の棋士を目指して奨励会にいらした方で、結果としては棋士にはなれず、その後は働きながらアマチュアの強豪棋士として様々な大会にでていらっしゃいました。

舌がんを患い、その発覚、手術、リハビリ、再発を含め闘病の様子を日常生活のひとつのシーンとしてブログやツイッターで淡々と開示されており、

おぼろげな記憶ですが、亡くなられる 10日ほど前まで発信されていたんじゃないでしょうか。


その後、昨年は歌舞伎役者、海老蔵さんの奥様、小林麻央さんのブログがものすごく大きな注目を集めました。

ふたりのお子さんの母親でもあり、世間によく知られた家族として好奇の目にもさらされかねない状況で発信を続けると決心されたのは、大きなご決断だったと思います。


★★★


一方、発信こそしないけれど、強い意思があったと感じさせられた「死に方」(←「生き方」と同じ意味)もあります。

先日、川で入水自殺をされた評論家、西部邁(にしべすすむ)さん。

78歳でお体も弱っていたようですが、ずいぶん前から「老いて子供に迷惑をかけたくない」「延命のための治療を長く受け続けるような状況には陥りたくない」といった理由で、自ら命を断ちたいと口にされていたそうです。

足も弱ってらしたのに早朝に家を抜け出し、川原まで移動して入水されたのは、これ以上、足や体が弱ると、自らの命の終わりを自分で決められなくなるという危機感があったのかもしれません。


西部さんは若い頃の学生運動の活動家から転向して保守の論客となり、東大教授などを経て評論、言論活動をされていました。

つい最近までテレビにも出られていましたが、その中で

「長らく言論活動を続けてきたが、本を書いても議論をしても講演をしても社会はまったく変わらない。(言論活動に捧げてきた自分の)人生は壮大な無駄だった」

と笑いながら話されており、いろいろ達観されていたようにも思えます。


その後に入ってきたのが、元アナウンサー有賀さつきさんの突然の訃報(享年 52歳)。

バブル絶頂期に当時イケイケだったフジテレビに入社、元帰国子女でバラエティなどでも大活躍。当時の日本でも最も華やかな世界にいらした方です。

もしもあの頃 Instagramがあれば、誰もが羨む派手やかな生活を謳歌する女性アナウンサーのアカウントには、多数のフォロワーがいたに違いありません。

ここのところはシングルマザーとして娘さんを育てながらテレビにも出ていらっしゃいましたが、数年前から激やせやカツラ使用が報道されており、長い闘病生活だったことが窺えます。

驚いたのは、彼女が実の父親や娘さんにも病名を知らせていなかったという話。

ましてや友人や仕事仲間には、闘病中であること自体、開示されていなかったそうです。


家族にも言わないってなぜだろう? 

と考えてみました。唯一考えられるのは、母娘ふたりの家庭において、母親が重い病気であることをまだ幼い娘に告げることの残酷さを、母親として避けたかったのかなということです。

幼い娘さんには受け止めきれないほどの衝撃だろうし、自分がひとりで残されてしまうかもという恐怖を娘さんに与えたくなかったのかなと。

真意はわかりませんが、病名どころか闘病中であることを一切、誰にも言わない。こういう選択肢もあるんだなと思いました。


多くの人がネットで日常生活を発信するようになり、「インスタ映え」とか「フェイスブック疲れ」といった言葉からもわかるように、「ネットで自分の楽しい人生を多くの人にアピールする」ことが日常的に行われるようになりました。

でも(当然ですが)人生では結婚や出産といった明るいイベントだけでなく、様々な困難な問題も起こります。

それをどこまで開示していくのか、しないのか。


何も開示しない

楽しいコトだけ開示する

どちらも開示する

の他、

困難な問題に直面してから初めて発信を始める、という人もいます。

病気だけでなく、詐欺にあったとか離婚したとか含め問題が起こって初めて、心から発信したいと思えることが見つかることもあるからです。


他にも、

ネットでは開示しない

リアルでも開示しない

どちらでも公にする

など様々な選択肢がありますが、ひとつだけ確実なことがあります。


それは今後、死を意識しながら生きる人たちの呟きや発信を、リアルタイムで目にすることが誰にとっても相当に多くなるだろうということです。

これまで亡くなる確率の高い高齢者は、 SNS で発信している割合も低かったけれど、今後は「若い頃からずっと発信してきた人」が高齢になっていきます。

また、そういった発信を目にして励まされたり考えさせられたりした経験のある人が増えれば、同じ境遇に陥ったとき、自分も発信したいと考えるきっかけになるでしょう。


書籍の闘病記(特に難病の)は過去にもたくさん出ていますが、編集者の手が入った書籍と、本人がリアルタイムに行う発信は、そのインパクトの大きさが相当に異なります。

わざわざ探してお金を出さないと読めない書籍と、自分のタイムラインに自動的に表示される SNS の発言では、目につきやすさも違います。

お金を払って友達や彼氏彼女をレンタルし、充実した私生活を送っているとアピールする人がいる現在、お金を払って「病気になった自分を心から思いやってくれる家族やパートナー」を雇う人も出てくるのでしょうか?

名も無き個人の多くが自らの「生き方」について発信を始める時代。それらは確実に、それを読む別のどこかにいる誰かの「生き方」を変えていくことでしょう。


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そんじゃーね


<関連ツイート>


<関連エントリ>

・「あなたの文章を私は読んでいます


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2018-02-04 皇位継承問題より公務負担問題

第一回 日本人としての必読書

第二回 皇位継承に男女平等を持ち込むのは変でしょ

先日、「皇位継承に男女平等なんて持ち込まないで!」と書きましたが、その前に、基本的なことから。たとえば女性天皇と女系天皇の違いについて。

前者は文字通り、女性が天皇になることで、こちらは歴史上、事例があります。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

→ 歴代の女性天皇について

人数は少なくありませんが、みな男系の女性天皇で、かつ、みな寡婦か独身です。


男系というのは、父親をたどれば必ず天皇に行き着くってことです。

反対に女系天皇というのは、一度は母親をさかのぼらないと天皇の血筋にたどり着けない。

なお、男系でもあり女系でもあるという天皇は OK。女系だからダメという話ではなく、男系であれば OKなので。


★★★


女系天皇と女性天皇の違いをさらにわかりやすく言えば、愛子様が天皇になられたら、男系(女性)天皇、愛子様の息子が天皇になられたら、それは女系(男性)天皇です。

上記の資料にあるように、歴史上存在する女性天皇は全員、寡婦か独身でした。それが(天皇になる)条件だったのか、単なる偶然かはわかりませんが、

女性天皇が子供を産み、その子が天皇になると(たとえ息子であったとしても)その子は「女系」天皇となってしまうので、それを避けるためだったのかもしれません。


ここで!

小泉首相時代に女性・女系天皇容認論が高まった時、秋篠宮家が 12年ぶりのご懐妊を発表された、って話を思い出しましょう。

このご懐妊には、女性・女系天皇が安易に容認されてしまう危機を避けたいという秋篠宮様のご意思があったのでは?と私は推測してます。

同様に、もし国民が皇室典範を変えて女性を天皇にしてしまうと、天皇となったその女性は「自分は結婚しない」もしくは「子供を作らない」というご決断をされる可能性があります。

だって自分が息子を産んでしまったら、その子が次の天皇になるかもしれない。

自分の息子が「歴史上、初めての女系天皇」となる=自分の結婚・出産が原因で 1500年も続いた天皇家の男系血筋が途絶えてしまう。

そんなこと、絶対にしてはならない。そのためには、自分は子供を生むべきではない。結婚すべきじゃない。

そう考えられても不思議じゃなくない?


世の中には「愛子様も眞子様、佳子様もかわいいし、しっかりしてる。誰が天皇になってもいいわ」とか思ってる人がいるかもしれませんが、

女性が天皇になったら、その人は家庭を持つこと、子供をもつことを( 1500年の伝統を守るために)諦めるという判断をされるかもしれないのです。

それとも女性皇族の方が、「1500年の伝統が私の代で途絶えてもぜんぜん問題ないわー」って思われると・・・思います?


★★★


もうひとつは、女性天皇・女系天皇を認めないと、天皇制が途絶えてしまうのでは? という理由で「それを避けるために女性・女系天皇も認めるべき」という意見について。

こういう意見の人が心配していることはふたつあります。

ひとつは文字通り、皇位継承者たる男系男子が途絶えてしまうこと

もうひとつは、皇族の数が減ると、公務が忙しすぎて回らなくなること。


まずは最初の点。皇位継承者がいなくなって天皇制度が途絶えてしまうことがありうるのか、という話。

皇太子様は来年、即位され、天皇となられます。その時点以降の皇位継承者は、秋篠宮文仁親王と悠仁親王。あとは、現在 82歳の常陸宮正仁親王のみです。

秋篠宮文仁親王と悠仁親王の年齢差は 41歳ですから、悠仁親王が(お父様の文仁親王が結婚された) 25歳になられた時、文仁親王は 66歳。まだまだお元気なご年齢です。

なので悠仁親王がお父様同様、20代半ばで結婚されれば、男系男子の皇位継承はなんとかなりそう。


しかもここからは想像に過ぎませんが、秋篠宮様は(ご自身同様)お子様方の早めの結婚にとても積極的に思えます。

紀子様も 40歳での出産に踏み切られたことからわかるように、皇位継承のために皇族たるもの何をなすべきか、相当のご覚悟をお持ちです。

だとすると秋篠宮家では今後、悠仁様へのご教育の中で、皇位継承の現状や 1500年続いてきた天皇制度を未来に引き継いでいくことの重要性について、それなりのお話がなされていくのではないでしょうか。

結果として今 11歳の悠仁親王は、あと15年後にはお父様になられているのでは?

15年後なら、来年即位される皇太子様は 72歳。85歳で退位が予定されてる現在の天皇陛下より 13歳もお若い。

なーんだ、ぜんぜん問題ないじゃん!

ってのが、私の考えです。


もちろん「万が一のことがあったらどーするんだ?」と心配する人もいるでしょう。

たしかにすべての人が平均年齢まで生きられるわけではないし、お父様が早婚だからといって息子もそうとは限りません。すぐに男子が生まれるとも限らない。不確定要素はたくさんあります。

とはいえ、「万が一に備えるためだけ」に皇統 1500年の歴史を変えるというのは、難しいんじゃないですかね。少なくとも「皇位継承者が複数、存在してる」時点で変えるべきこととは思えません。


こちらにあるように、日本の皇室は世界でもぶっちぎりに歴史の長い王室なんです。

「万が一」の時には、終戦後に皇籍離脱された旧皇族の中から「男系男子の血をひく赤ちゃんを、生まれた直後に皇室に養子として迎える」という方法のほうが、血統が維持できていいんじゃない?

こういうと「そんな一般人の子を天皇にしていいのか?」って人がいるけど、前回のエントリにも書いたとおり、大事なのは「血」なんです。

ロシアとかだって未だに「私はロマノフ家の末裔である」みたいな人が取りざたされるでしょ。

生まれた直後に引き取られ、ずっと皇族として育てられれば本人も戸惑わないし、大人になってから皇族になるわけじゃないので、自由に生きていた時の言動が問題になることもありません。


生まれたばかりの息子を天皇家の養子にするなんて、そんなことに協力する旧皇族がいるのかって?

いるでしょ。そもそも皇族の使命って「天皇陛下をお守りすること」ですからね。旧皇族の方々も、それこそが自分達の使命だと思われてるのでは? 

てか、秋篠宮、紀子様のご決断を知りながら、知らんフリできる人ばかりではないと思うよ。それこそ「 1500年の伝統」がかかってるんだから。

なお、もし愛子様など女性皇族の方が旧皇族の男系男子の方とご結婚された場合、ふたりの間の息子は「男系かつ女系の天皇陛下」に成るので、これもひとつの選択肢だという人もいます。


★★★


まっ、いずれにせよあたしは「悠仁様はかなりお若いタイミングでご結婚されそう」と思ってるので、皇位継承問題についてはあまり拙速に決めず、15年かけて考えればいーじゃんと思ってます。

ただ、もうひとつの「皇族の数が減ると公務が忙しすぎて回らなくなるのでは?」ってほうは急ぎの問題かも。女性皇族もみなさんお年頃で、いつご結婚されても不思議じゃないしね。


今のままだと悠仁親王が即位された時には(すでにお子様があり、皇位継承者は存在していたとしても)、一緒に公務を担ってくれる大人の皇族がぜんぜんいない! みたいになってそう。。。

それじゃあ悠仁親王が忙しすぎるやろ! ってのもあるし、

全体として担える公務が減ると、国民が皇室の存在を感じる機会が減り、そうなるとまたぞろ「天皇制度なんていらんのでは?」と考える人が増えてしまう。

(また書きますが)外交上、ほんとにこの制度は価値があるのだけど、その辺、知らない人もたくさんいるしね。


いずれにせよ私がいいたいのは、この制度がどうあるべきかについて、私たち主権者はみなそれぞれしっかり意見をもつべきだってことです。

どんな意見でもいいんです。こんな問題に「合ってる」も「間違ってる」もないんだから。

「よくわからない」「興味ない」「知らん」で思考停止せず、自分の意見は何なのか「考えて」みましょう。

基本的なことも何も知らないという人向けに、読みやすい本もでています。そういうの、一冊くらい読んでみたらどうでしょう?

そして「本を読んで自分のアタマで考えたこと」をぜひ、あなたのブログに書いてみてください。

本もブログも「知識を得るため」だけでなく「自分で考えるため」に読むものなのだから。


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そんじゃーね!


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