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Chikirinの日記 RSSフィード

2016-12-04 新たな経済成長の源

先週、発売された新刊、おかげさまで販売好調です。さっそくに買ってくださった皆様、書評や感想を書いてくださった皆様に心より感謝します。

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さて、今日も小林雅一さんが朝日新聞に書評を書いてくださってました。

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この書評の注目点は、

身の回りにモノが溢れ、一見豊かな現代社会も「生産性」という観点から見ると問題だらけ。ここに改めてメスを入れることが、長らくデフレに悩む日本など先進国にとって次なる経済成長の源になると本書は説く

と書かれた最後の部分です。


私の本は多くの方の手にとっていただけるよう、親しみやすいイラストを使った装丁に身近な事例をちりばめ、平易な文章で書いた本が多いのですが、

一方でその根幹には、「これから現代社会はどちらの方向に向かっていくのか」という社会の潮流の指摘が含まれています。

たとえば前著の「マーケット感覚」の本では、「社会の市場化」というトレンドに基づき、これからの時代を生きる人に不可欠となるスキルについて詳述しました。


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同じように今回は、「社会の高生産性シフト」という流れを紹介しています。

私たちの日常には「無駄に浪費されているお金や時間」が溢れています。

通勤時間はその最たるものですが、他にも、休日の渋滞や駐車場待ち、病院での待ち時間、スーパーのレジに並ぶ時間など、誰のトクにもなっていない時間が1日のうちにもたくさんあるのです。


これは消費者側からだけでなく、事業者側から見ても同じです。

客を探して延々とカラのまま走り続けるタクシー、高い家賃を払っているのに、24時間中半分ほどの時間しか営業できていない美容院や歯科医、ランチタイムなどピークタイム以外はヒマを持てあましているレストランのバイト、大型連休には予約を断っているのに平日はガラガラの温泉旅館・・・

あちこちで、人件費にも設備投資費にも「多大な無駄」が生じています。


時間だけでなくモノも盛大に無駄にされています。

土日にしか稼働しない自家用車、年に10回も着ないフォーマルウエア、売れ残って廃棄される食材・・・


いったい先進国の「先進」とはどういう意味なのでしょう?

私たちは便利な世の中に住んでいるつもりになっているけれど、1日に 24時間しかない人生のうち、下手をすると毎日 3時間以上も通勤やら待ち時間やらで浪費しています。

電車でスマホゲームをしている人が多いけど、あれは本当に「ゲームが好きだから」でしょうか?

私にはそうは思えません。みんな「電車の中で他にできる生産性の高いこと」が見つからないから、仕方なくゲームで暇つぶしをするのです。


睡眠時間も足りないほど超多忙な生活を送りながら、一方で暇潰しせざるを得ない時間が毎日毎日発生している。

年がら年中お金が足りないと嘆きつつ、一方でものすごく稼働率の低いモノが家中に溢れている。

それが今の先進国の生活なんです。


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(12月3日 日経新聞)


でもだからこそ、そこには大きなビジネスチャンスがあります。

これから大きく伸びるのは、人々の物欲を満たすかわいい(かっこいい)商品ではなく、人々の無駄な時間を減らせる=「生産性を上げるビジネス」です。

Uber や Airbnb の成長の源泉もそこにあります。(詳しくは本書をご覧ください)


先日、勝間和代さんが雑誌で「普通の鍋やフライパンは、ずっと見ていないといけないから使わなくなった。自動調理器は材料を入れて放置できるから便利」といった趣旨のことを書かれていました。

この意味、わかります?

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今までは「めんどうだな」くらいに思われていた「料理中、コンロから離れられない時間」が、明確に「無駄な時間」と認識され始め、それが自動調理器の流行につながっているのです。

ルンバの登場で「掃除機をかけるために、貴重な人生の時間を割り当てたくない」と気づいた人たちが、次なる「無駄な時間」を潰すための行動(投資)に乗り出した、といってもいいでしょう。


本書内では他にもさまざまな例を挙げて「今、いかに消費者が時間の無駄に敏感になりつつあるか」を説明しています。

多くの人は、時間やお金といった自分の希少資源を有効活用できる商品やサービスに価値を見いだし始め、そこにお金を使い始めています。

ビジネスに関わっている人は、一度「自分のビジネスは何の生産性をどれくらい上げるビジネスなのか?」、よーく考えてみてください。


さらに重要なのは、「自分の提供しているサービスが、消費者の生産性を下げていないか」という視点です。

典型的なのがテレビで、「決まった時間にテレビ受信機の前にいる」という、ものすごく時間が無駄になりやすい視聴形態を強いるため、

人生に時間があり余っている(何をして人生の時間を埋めればいいかわからない)定年退職者や、同じくヒマを持てあましている中高年主婦以外、テレビを見なくなってしまいました。

若い人=多忙な人のテレビ離れが起こっているのは「コンテンツがおもしろくないから」ではなく、時間の生産性を下げてしまうからです。

これから成功するビジネスには「その商品やサービスは、どういうメカニズムで誰の、何の生産性をどれほど上げるのか?」が厳しく問われ始めるでしょう。


しかし反対にいえば、これだけ無駄な時間の多い現代社会においては、まだまだ無限のビジネスチャンスがある、ということでもあります。

日本をはじめ先進国は軒並みマイナス金利を導入するなど、どこもデフレ克服に苦労しています。

そんなデフレ下でも高額でも売れている商品をよく見てください。ルンバも自動調理器も驚くほど高いけど、売れています。

それはなぜ?

消費者の人生の希少資源を奪わないから、むしろそれを増やしてくれるから、です。

→ 関連エントリ 「全録画マシンの購入で情報収集の生産性が劇的に向上」


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(ブックファースト新宿店の店頭。許可を頂いて撮影)


今回の本は、ふたつの視点から書かれています。

ひとつは、個々人が自分の人生の希少資源である時間やお金をどう有効活用すべきか、という視点です。

限られた資源をできる限り高い生産性で活用し、「やりたいことはぜんぶやれる人生」を手に入れて欲しい。

そう願っています。


そしてもうひとつが、このエントリで紹介した「新しい社会の潮流」です。

世の中がこれからどちらに向かっていくのか。それを理解していないと、人生の選択を誤ります。

私がなぜ「学校がダメダメだ」と考えているのか、その理由も詳述しています。


ぜひお手にとってみてください。


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そんじゃーね。


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