誰でもそうですが、「自分がとても恵まれた立場にいる」ことは、なかなか自覚できないものです。

ちきりんが就職するとき、どんな一流大学をでても「女性は一切(アシスタントでしか)雇わない」というのが、大企業から中小企業まで、大半の日本企業の方針でした。当時は、「学歴差別が問題だ!」と叫ぶ男子学生を見ると、「何を甘えてるわけ?」と思えました。

今でも管理職以上のビジネス会議にでると、女性は自分一人という場合が少なくありません。男性の方は一度目を閉じて、よ〜く想像してみてほしいです。「自分以外の出席者は全員女性」という会議を。そうしたら、女性がどれくらい自分と異なる環境で働いているか、わかっていただけると思います。

また、「結婚や子供を持つことと、仕事を辞める(変える)ことがセットの問題であっても、自分は今と同じように結婚や子供をもつことについて考えることができただろうか?」とも想像してみてください。

男性というだけで、日本ではいわば「特権階級」なのです。


でもちきりんは、男女差別に怒っているわけではありません。なぜなら、今の時代の日本で、五体満足で生きていることだけでも、自分も相当に恵まれているという自覚があるからです。

世界の人口のうち「今日は何食べる?」などと言えるのは、60億人中、先進国の人と中進国の富裕層など12億人程度だけです。5人に1人です。残りの人たちは、「今日の夕食」に選択肢があったりはしないのです。

しかも男性は半分なので、世界人口60億人のうち6億人しか「先進国の男性」はいません。つまり日本の男性は、その事実だけで世界でトップ10%に入る「恵まれた人たち」なのです。

ちきりんだって、6億人には入らないけど12億人には入ってます。食べることに悩んだことのない12億人であり、本当にありがたいと思います。


今世界で、「自分がどれくらい有利な立場か」ということを決める要素は、

(1)どの国の、どの時代に生まれるか・・・これでほとんど決まってしまいます。

(2)五体満足かどうか・・・そうでないと、どの国でもホントに大きなハンディを押しつけられます。

(3)男性か、

(4)その国のマジョリティの人種か

といったあたりでしょう。それ以外の要素なんて、この4つに比べたら誤差みたいなもんです。

★★★

もちろん、恵まれているからといって卑屈になる必要はありません。そして、恵まれていないからといって、怒ったり悩んだりしても何も変わりません。

ちきりんもよく「超お金持ちの家に生まれていたら・・」とか「超美人に生まれていたら・・」などと思いますが、今は今の環境と条件でやっていくしかありません。


また、自分より恵まれていないすべての人を助けることもできません。私は「アフリカでは子供が飢え死にしているのよ。だから、嫌いな人参も残さず食べなさい」という理屈が好きじゃないです。私が人参を食べても残しても、アフリカの餓死数は変わりません。

自分は自分の与えられた環境で、楽しく一生懸命生きればいいと思うのです。女が不利だから男になりたいとも思いません。けれど、いろんな条件の人がいることは、早めに知った方がいいと思います。

ちきりんが「こんなに差別されるのね」と初めて知ったのは、就職活動を始めた22才の時でした。今思えば、あのタイミングで「努力ではどうにもならないことがある」と理解できたのは幸運でした。

そうでなければ、無駄に努力する人生を送っていたかもしれません。自分に手に入るものと、手には入らないものがあることを理解し、自分の持っているカードで人生を乗り切り、楽しくやっていこうと思えるようになりました。私が目標を低く持ち、自分の“分”の範囲で十分幸せを感じられるのは、あの時の学びがあるからだと思います。


ではまた明日

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Chikirin
Chikirin

社会派ブロガー・紀行文筆家 (詳細は写真をクリック)