富裕層に富を偏在させよう!

格差について語る時、「トップ 1%の人が全資産の 30%を持っている」とか「全体の 5%にすぎない富裕層が、アメリカの資産の 50%を保有している」みたいな言い方がされるんだけど、これって何が問題なのかわかりません。(以上の数字はすべて例です)

日本でトップ 1%の富裕層と言えば、孫正義社長とか柳井正社長あたりだと思うけど、フォーブスの富裕層ランキングを見る限り他の人も (→ 2014年 フォーブス富裕層ランキング 日本人編)、

楽天の三木谷社長とか、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊名誉会長、キーエンスや ABCマートの創業者など、軒並み(事実上の創業者と言える中興の祖を含む)起業家ばっかりです。


アメリカだって、マイクロソフトからヤフー、アップル、グーグル、アマゾン、フェースブックまで、超お金持ちなのは創業者ばかりでしょ。

しかもそれは昔も今も変わってない。昔の場合、創業したのは IT 系ではなく鉄道やエネルギー分野だったので、成功した人は石油王とか鉄道王と呼ばれてた。


日本でもアメリカでも、こういう人達に資産が集中するのは何も悪くない。それどころか、たくさんの普通の人が資産を分けて持つより、よほどいいです。

それは、「リスクをとった人がリターンを得るのは当然だから」だけではなく、「誰が多くの資産をもつべきか」という観点から考えても、そうなんです。


だってね。彼らのような人が一人ずつ 100億円を持っていたら、それを元手に自ら新しい事業を起こしたり、有望な若者が始めたスタートアップ事業や未知の技術に、どーんと投資をしてくれる。

もしくは、新しい分野の教育を普及させるため一流大学に講座を寄付し(時には大学自体を創立し)、オペラや演劇など一流の芸術団体を支え、歴史的な貴重品を収集して完璧な環境下で保存してくれる。(だから浮世絵とか、今も残ってるわけです)


ところがその100億円を、一般の人 1万人にそれぞれ 100万円ずつ渡したら、大半の人がその 100万円を銀行に預金するんだよ。んで、銀行はその 100億円で国債を買ったり、短期金融市場でお金を転がすだけです。

それって、お金の使い方として無意味だよね。そんなことしても何ひとつ生まれない。だったら、トップ富裕層の人にまとめて使って貰った方が明らかにマシでしょ。


彼らなら、有望な国や有望なビジネスや有望な技術を誰よりも早く見つけて投資し、それらを育ててくれる。政府よりよほど迅速に難民や災害地に寄付を届けてくれるし、お金にならない文化活動も支援してくれる。

そこまで意識の高くない富裕層でも、大量の贅沢品を購入し、消費拡大や景気回復に貢献してくれる。つまり彼らは一般人のような、「老後が心配だから大半を銀行預金に」みたいなアホなコトはしないんです。


ポイントは、トップ数%に入るようなお金持ちの人というのは、有効なお金の使い方を知ってるってこと。

というか、そういう人は「お金の増やし方」がよくわかってるからこそ、今の資産を築けたわけで、だったらお金はそういう人に託したほうがいいでしょ?


そういう人のお金をわざわざ「お金の増やし方をよく知らない=だから今も、たいしてお金を持っていない」人に分け与えるなんて、意味不明。

誰のお金であれ、お金の総額が増えれば経済は成長するし、税収も増えます。だからお金は、「お金を増やした実績のある人」に偏って持っててもらった方がよほどいいんです。


★★★


問題は、お金を大幅に増やした実績をもつトップ数%の人が富を独占していることではなく、

経済的に恵まれない人たちが、満足に食べていけないとか、必要な教育を受けるお金がないとか、病気になっても医療が受けられないとか、そういう状態にあることです。

これって全然違う問題なので、あまりごっちゃにしない方がいい。「何が問題で、何は問題じゃない」というのをきちんと理解しないと、単なる妬みになってしまう。


あとね、日本は巨額のお金をやたらと役人に預けるけど、あの人達もお金の増やし方を全然知らない人達です。

年金の運用に関しても、お金について全く無知な官僚やその OB (=天下ったおじさん)に国民年金の運用を任せたりするから、グリーンピアとかいう、意味不明な施設を日本中に作りまくって、(国民が)大損したわけでしょ?

日本がもしも年金資金の運用を、厚生労働省の役人ではなく孫正義氏に任せ、これから伸びると思う企業に投資しておいてもらったら、その残高は今よりよほど大きかったのでは?

つまり、その方がよっぽど、私たちの将来の年金額は増えたんじゃないの? 若い人が納める毎月の保険料だって、もっと少なくてすんだのでは?


・・・あたしとしては、今よりずっとたくさんのお金を富裕層に預けたいくらいです。


てかみんな、自分の大事なお金(自分の分の年金原資とか)を、「厚生労働省の役人か、孫正義氏のいずれかに預けなさい」って言われたら、どっちに預けるの??

たぶん、厚生労働省の役人の家族でさえ、孫さんに預けるんじゃないかしら。


★★★


もちろん富豪リストの中には、自分が起業したわけではなく、お金持ち一族に生まれたという人(サントリーの佐治社長とか)もいるけれど

彼らだってお金を増やす能力がなければ、企業は潰れちゃうわけです。そして先代が増やした巨額のお金は、いろんな人のところに分散してばらまかれる。ダイエーとか見てれば分かるでしょ。

つまりごく自然な成り行きとして民間では、お金を増やすことが下手な人は、巨額の資産を維持することはできないんです。


ただし例外として公的分野では、お金の増やし方を知らない官僚が膨大な予算を握ってます。だから国の予算って、無駄なことばっかりに使われるんだよね。

お金の運用方法や使い途を決めるのは、「ペーパーテストが得意だった人」ではなく、「お金を増やすのが得意な人」に頼んだほうがいい。ごく当たり前の話だと思うけど。


それに、「富裕層のトップ 50人は親もトップ 50人だった人ばかり」で、お金持ちの家に生まれないと富裕層になれないなら問題かもしれません。

でもね、孫正義氏も柳井正氏も父親が資産家だったわけじゃないでしょ。しかも東京の出身でさえないんだよ。

つまり彼らは、「都会の資産家の家に生まれ、教育熱心な親の元で有名私立進学校に行かないと、金持ちになれないわけでは決して無い」と示してくれてるわけで、ジャパニーズドリームの体現者じゃん。


稼ぐ力のある人に、元手となる資産が集中するのは何も悪くないんです。稼ぐ能力のない人に資産が集まるより余程いい。だってそれじゃあ、どんどんビンボーな国になっちゃう。

お金は、稼いだこともないのに浪費癖のある人(=官僚)や、銀行に預けるしか能が無い一般人ではなく、「巨額の富を稼いだ実績がある人」に、できるだけ集中させましょう!


そんじゃーね−!


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