またもや本に散財

今年もまた、各社文庫の夏のお勧め本のお披露目の時期となりましたね。私は中学生のときに「新潮文庫の100冊」を親に買ってもらって以来、なんだかずっと新潮文庫ファン。新しくラインナップに加わった作品のうち興味をひかれたものを選んで買い続けております。
今年はすでに、「卵の緒」を読了いたしました。

卵の緒 (新潮文庫)

卵の緒 (新潮文庫)

「へその緒」を頼んでも見せてくれない血が繋がっていない疑惑の家族や母親が違う弟との突然の同居、という特殊な状況下での人間同士の愛情の深さが描かれていて、なんだか心が慰められる本。ちょっとイイ話。
その他、9冊ほど買っちゃいました。最近本を読む心の余裕がなかったので、活字とストーリーに飢えています。いい本をご存知でしたら教えてください。
また、日経ウーマン8月号では「心を満たす夏の必読本220冊」が紹介されており、早速amazonで中古本や新本併せて11冊を購入。私は結構、パワーをもらいたいときは起業家が書いた本を読みたくなるのですが、「裸でも生きる」はとても追随できない驚きの集中力と行動力で、刺激を受けるというより呆気にとられました。この情熱はどこから湧いてくるのでしょうか?人前でも泣ける女は熱くて強い!
裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)

裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)

「心寂しい日々を過ごす人に」という触れ込みに魅かれてついつい、購入したのが「この本が、世界に存在することに」。人生のいろんな場面で一緒の時を過ごしてくれた本の話。これ新潮文庫版だと「さがしもの」というタイトルになり、実は同じ本を購入してしまったことに後から気づいたのでした。
最後に、先月久しぶりに読書会に参加したのでカミュの「異邦人」について語りたいと思います。
異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

私の主人公=マザコン説には大ブーイングの嵐でしたが、まぁちょっと待ってくださいよ。この小説の冒頭で亡くなるのが母親じゃなくて父親だったとしたら、主人公のその後の犯罪行為は引き起こされなかった(物語としても面白みがなくなる)と思うのですが。不条理をテーマにした小説なのだから主人公の内面や行動を常識から推し量ることは全く不可能としてもよいですが、私としては愛する母親の死→喪失感→マリーと関係を持つ(代償行為)→不充足→自失状態(あるいは自暴自棄)→殺人(破滅願望)というように、物語の展開を解釈します。主人公は自分の感情や考えを、他人に分かるように表現する必要はないと考えていますけれど。現代は、共通の思想基盤(ここではキリスト教)が瓦解→本来的なコミュニケーションの不可能性が浮上→一人一人が言葉の通じない「異邦人」状態に、という鋭い意見の方がいらっしゃって、勉強になりました。この男は万事に意味を認めない冷めたニヒリストかと思っていましたが、第2章は打って変わって主人公の考えがさらけ出されていて、結構熱い内面を持った奴じゃないか?と感じられたところもありました。なんだか最後の方、あまり意味がよく分からない箇所があるので、英訳で読み直したいところです。
上記とも多少関係しますが、現在は、NHKのテキスト「100分de名著」4月号の西研さんが書いたニーチェツァラトゥストラの解説に感動して、岩波文庫を読み返しています。ちょっとくどいけど…。(笑)