ゲームに対する報道の、テレビ局の温度差(NHKとフジテレビ)

ここ数日ゲームに対する、ある対照的な報道が2つのテレビ局によってなされた。残念なことにそのどちらもがWEB上からは消えているのではてなブックマークのページにリンクする。

前者の詳細は「deblog - 漠然とした不安の原因を、「新しいもの」のせいにするのは老化の証拠」に詳しい。

後者の趣旨は、

  • 「将来に希望より不安を感じる」と答えた生徒のプレイ時間
    • 1時間以内:10%
    • 約3時間:21%
    • 4時間以:27%
  • 小さな動物をいじめたり傷つけたりした経験
    • 1時間以内:4%
    • 4時間以上では:15%
  • 暴力シーンに「とてもわくわくする」と答えた生徒の割合
    • プレイ時間が増えるに従って多くなる
  • けんかをした時の対処法
    • ゲームをしない生徒
      • 大半が「話し合う」か「人に相談する」を選んだ
    • 4時間プレイする生徒
      • 多くが「我慢する」か「相手をやっつける」を選んだ

調査を行った魚住絹代氏の意見

「子どもの心は、人とのつながりや実体験によって育つものだが、ゲームによってそれが侵害されていることがうかがえる。暴力や攻撃性など、相次ぐ凶悪事件との関連もみられ、子どもの心の発育のためにどうすべきか、大人や社会が考えていく必要がある」

と、言うものである。

同じテレビメディアであるにもかかわらず、この2つの報道の温度差は興味深い。どちらの内容もこれといった新しい内容を含むものではないが、しかしながら、一般的にはどちらも興味深い内容であることだろう。なぜここまで違いが出るのだろうか。

―報道が真実のみを伝えているならこういうことは起こらない。報道が思想を伝えようとするからこういう温度差が生まれる。もっとも限られたチャンネルと放送時間の制限の中では、一つの思想に集約しがちなので、温度差があることは大分マシなのかもしれない。つくづく、可能性を生み出さない制限ほど価値の無いものはないと思う次第だ。

さて、折角WEBというメディアをわれわれは利用しているのだから、もう一つリソースを提示しよう。これに変えて私の意見としたい。

1.ビデオゲームの登場により、若者に暴力行動がひろまった。

(前略)暴力的なビデオゲームに対する倫理的な恐慌は、二重の意味で有害である。成年者からなる権威層が、すでに社会から切り離されていると感じている多くの子供たちに、より不審と敵意を強める方向へつながるうえに、若者の暴力の実際の原因を取りのぞくために使われるべき労力が浪費され、問題が悪化するにまかせてしまう。

2.暴力的なゲームで遊ぶことと若者の攻撃性のあいだに関連を見いだした科学的な証拠がある。

この種の主張は、比較的小規模な学術研究の学派である「メディア効果」に属する研究者の調査にもとづいている。彼らの調査には、メディアの暴力に関する300以上の論文も含まれている。しかし、これらの論文の大部分は確定的なものではなく、多くは方法論的な観点から批判を浴びている。これらの論文では、実際の文脈から切り離されたメディアのイメージが使用されており、被験者は通常とは大きく異なる、あるいは理解不能なやりかたで対象に従事するように求められる。そして、研究室における環境は、ゲームが通常プレイされる環境とは根本的に異なるものだ。

大部分の論文が発見したのは相関関係であって、因果関係ではない。つまり、これらの研究が示しているのは、攻撃的な人物は攻撃的な娯楽を好むということでしかない。これが「関連」というあいまいな言葉が使用されている理由である。(後略)