泥棒!泥棒!

学会の二日目、火曜日にもオモニアまで満員電車に乗らなくちゃいけませんでした。サナーシスが近くの駅まで連れて行ってくれて、正しい方向の電車に乗せてくれました。電車は混んでいた上に、荷物全部(手荷物用バッグ、手提げバッグ、お気に入りの首からかける赤いバッグ)を持っていました。というのもその日は弟が来る日だったので、ホテルに移動だったんです。

私の隣に若い男の人がいて、体を何度か動かしたので、私も動いたんです。ちょっとその人が怪しい動きをしたと思ったんでバッグに余計に気をつけていたんです。次の駅でその人が降りたから本当に怪しいと思って私も降りました。バッグを触ったらチャックが開いていたので、すぐに叫び始めて、中身をチェックしました。いつもクレジットカードやIDカード(免許証や学生証)を入れているピンクのフォルダーが無いことに気がついて、もっと大声で叫んで、そいつの腕をつかんで揺さぶりました。
その時、間にもう一人の若い男が入ってきたので、友達がはじめの男から戦利品を奪いに来たと思ったので、大声で「財布を盗んだ!財布を盗んだ!財布を盗んだ!」と叫びながら、そいつの腕もつかんで揺さぶりました。その時、ピンクのクレジットカードのフォルダーがホームに落ちたのでそれを拾ったんですが、そいつらはいなくなりました。パスポートや他の大切な書類は他のところに保管してあって安全だと分かっていたので、追いませんでした。怖くて震えていたので、もう電車には乗らないことにしました。
それから、駅員に話したんですが、英語が分かりませんでした。中年の男性がやってきて通訳してくれたんですが「何が起こったか、見たよ」と言ったので、「なんで助けてくれなかったんですか?」と聞きました。でも分からなかったのか、わかりたくなかったのか返事はありませんでした。もう電車はやめてタクシーに乗ろうと思った時、現金がないことに気づきました。だいたい40ユーロだったかなあ。

下の階にある交番に行って何が起こったか説明しました。電話をかりてサナーシスにかけたら、すぐにかけつけてくれました。サナーシスに話したり会ったりしていたら随分気が楽になりました。特にサナーシスが共感してくれて、泥棒(1人だったのか2人だったのか分からないけど)に対して怒ってくれたからです。誰も助けてくれなかったことに関しても理解できないし頭に来ると言ってくれました。それからタクシー代が払えるようにお金を貸してくれました。
サナーシスが来る直前に、トルコ人の観光客が2人交番に同じ問題を抱えて入ってきました。パスポートも現金もクレジットカードも盗まれたそうです。2人とも当然のごとく心配していて、トルコ大使館に電話していました。私も警察署に報告するのかと聞いてきたんですが、警察官も言った通り、現金だけだったのでどうしょうもないから忘れたほうがいいと思ったので、行かないと答えました。警察官が「アメリカ人はもっと気をつけなくちゃいけないよ!」と言いました。アメリカ人と間違えられたことよりも被害者の私の責任かのように言ったことに腹が立ちました。

サナーシスはタクシーに乗るのを手伝ってくれました。タクシーを止めたりするだけでも大変だったんですが、この荷物を持って電車に乗るのだけは嫌だったので、どうしてもタクシーに乗りたかったんです。10人ぐらいのタクシー運転手と交渉した後、やっと一人捕まりました。サナーシス、本当にありがとう!!!その運転手は本当に少ししか英語が分かりませんでしたが、身振り手振り顔振り(?)で今回の出来事を説明したら、運転手はカードを取り戻したのはよかった、とほめてくれました。